特許第6902278号(P6902278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902278引き戸装置およびセーフティーストッパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902278
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】引き戸装置およびセーフティーストッパー
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/00 20170101AFI20210701BHJP
   E06B 7/36 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   E05F5/00 D
   E06B7/36 F
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-118165(P2018-118165)
(22)【出願日】2018年6月21日
(65)【公開番号】特開2019-218785(P2019-218785A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】中井 康人
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−224516(JP,A)
【文献】 特開2014−118790(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3039990(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0238091(US,A1)
【文献】 中国実用新案第204552489(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−13/04
E05C 1/00−21/02
E06B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸を所定の位置でロックしてそれ以上開かないようにする一方、ロックを解除することで前記引き戸を前記所定の位置よりもさらに開けるようにするセーフティーストッパーを備えた引き戸装置であって、
前記セーフティーストッパーには、前記引き戸の戸閉方向における戸先側から表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバーが設けられており、
前記セーフティーストッパーは、
建屋側部材に取り付けられたブロック体と、
前記引き戸側に取り付けられ、戸開時に前記ブロック体に当接することによってロックされるレバーを有するストッパー装置とで構成され、
前記ストッパー装置には、前記引き戸の板厚方向に延在し、前記レバーが上下に回動する回動軸が設けられ、
前記レバーには、前記ストッパー装置の引き戸閉方向における端部から表出し、前記切り替えレバーが設けられた操作部と、前記回動軸を挟んで前記操作部の反対側に、前記引き戸を開方向へ移動させるときに前記ブロック体と当接する当接部とが設けられ、
前記切り替えレバーは、前記操作部の第2回動軸を中心に回動し、一方の回動位置で前記ストッパー装置の本体部と当接することで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接しない位置で保持されるようになり、他方の回動位置で前記本体部と当接しないようにすることで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接する位置まで自重で回動するように構成したことを特徴とする引き戸装置。
【請求項2】
引き戸を所定の位置でロックしてそれ以上開かないようにする一方、ロックを解除することで前記引き戸を前記所定の位置よりもさらに開けるようにするセーフティーストッパーであって、
前記引き戸の戸閉方向における戸先側から表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバーが設けられており、
建屋側部材に取り付けられたブロック体と、前記引き戸側に取り付けられ、戸開時に前記ブロック体に当接することによってロックされるレバーを有するストッパー装置とで構成され、
前記ストッパー装置には、前記引き戸の板厚方向に延在し、前記レバーが上下に回動する回動軸が設けられ、
前記レバーには、前記ストッパー装置の引き戸閉方向における端部から表出し、前記切り替えレバーが設けられた操作部と、前記回動軸を挟んで前記操作部の反対側に、前記引き戸を開方向へ移動させるときに前記ブロック体と当接する当接部とが設けられ、
前記切り替えレバーは、前記操作部の第2回動軸を中心に回動し、一方の回動位置で前記ストッパー装置の本体部と当接することで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接しない位置で保持されるようになり、他方の回動位置で前記本体部と当接しないようにすることで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接する位置まで自重で回動するように構成したことを特徴とするセーフティーストッパー。
【請求項3】
前記切り替えレバーには、当該切り替えレバーを回動させるための爪部が設けられており、前記爪部は、前記切り替えレバーが前記ストッパー装置の前記本体部と当接した状態で、前記引き戸の戸先側の面とほぼ面一になるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のセーフティーストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸を開く際に、この引き戸が所定の位置よりも開かないようにする一方、ロックを解除することで引き戸を所定の位置よりもさらに開けるようにした引き戸装置、およびこれに用いるセーフティーストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
建屋の出入り口や収納庫などに設けられた引き戸装置では、引き戸を開く際に、引き戸の取手を持つ人の指が戸袋等に挟まれてしまうおそれがある。そのため、指が挟まれる位置よりも手前側で、引き戸がそれ以上に開かないようにするためのセーフティーストッパーが用いられている。また、このセーフティーストッパーは、解除することによって引き戸を完全に開ける(開ききれる)ようにもすることができる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている引き戸装置は、開いた引き戸が戸袋に収納されるタイプのものであり、引き戸の戸先側(引き戸の閉方向における先端側)にセーフティーストッパーが取り付けられている。このセーフティーストッパーは、建屋側に取り付けられたブロック体と、引き戸側に取り付けられたストッパー装置によって構成されており、引き戸を開く際に所定の位置でストッパー装置がブロック体に当接する(ロックする)ことによって所定の位置よりも引き戸が開かないようにしている。また、このストッパー装置に設けられた解除レバーを利用者が指で押し続けている間だけ、ストッパー装置とブロック体とが当接しないようにする(ロックを解除する)ことができ、簡単な操作で引き戸を開ききれるようにしている。そして、利用者が解除レバーから指を離したときには、ストッパー装置が自動復帰して、上述した所定の位置でストッパー装置がブロック体に当接するようになることで、ロックのし忘れによって指が挟まれることがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−224516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、利用者が複数回にわたって荷物を搬入(搬出)しようとする場合において、引き戸を常に開ききったままの状態で留めておくことができるのであれば、上述した従来技術で問題は生じない。しかしながら、搬入の度に引き戸を閉じた状態に戻さなければならないときには、引き戸を開く度に利用者が解除レバーを押してロックを解除し、引き戸を開ききった状態にしなければならず、手間がかかる。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者の操作によってロック解除の状態を保持可能な引き戸装置およびこれに用いるセーフティーストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る引き戸装置は、引き戸を所定の位置でロックしてそれ以上開かないようにする一方、ロックを解除することで前記引き戸を前記所定の位置よりもさらに開けるようにするセーフティーストッパーを備えた引き戸装置であって、前記セーフティーストッパーには、前記引き戸の戸閉方向における戸先側から表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバーが設けられており、前記セーフティーストッパーは、建屋側部材に取り付けられたブロック体と、前記引き戸側に取り付けられ、戸開時に前記ブロック体に当接することによってロックされるレバーを有するストッパー装置とで構成され、前記ストッパー装置には、前記引き戸の板厚方向に延在し、前記レバーが上下に回動する回動軸が設けられ、前記レバーには、前記ストッパー装置の引き戸閉方向における端部から表出し、前記切り替えレバーが設けられた操作部と、前記回動軸を挟んで前記操作部の反対側に、前記引き戸を開方向へ移動させるときに前記ブロック体と当接する当接部とが設けられ、前記切り替えレバーは、前記操作部の第2回動軸を中心に回動し、一方の回動位置で前記ストッパー装置の本体部と当接することで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接しない位置で保持されるようになり、他方の回動位置で前記本体部と当接しないようにすることで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接する位置まで自重で回動するように構成したことを特徴とする。
【0009】
さらに、前記引き戸には、前記引き戸を戸先側から見て、前記ストッパー装置の本体部を覆うフロントカバーが取り付けられるようにしてもよい。
【0010】
本発明に係るセーフティーストッパーは、引き戸を所定の位置でロックしてそれ以上開かないようにする一方、ロックを解除することで前記引き戸を前記所定の位置よりもさらに開けるようにするセーフティーストッパーであって、前記引き戸の戸閉方向における戸先側から表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバーが設けられており、建屋側部材に取り付けられたブロック体と、前記引き戸側に取り付けられ、戸開時に前記ブロック体に当接することによってロックされるレバーを有するストッパー装置とで構成され、前記ストッパー装置には、前記引き戸の板厚方向に延在し、前記レバーが上下に回動する回動軸が設けられ、前記レバーには、前記ストッパー装置の引き戸閉方向における端部から表出し、前記切り替えレバーが設けられた操作部と、前記回動軸を挟んで前記操作部の反対側に、前記引き戸を開方向へ移動させるときに前記ブロック体と当接する当接部とが設けられ、前記切り替えレバーは、前記操作部の第2回動軸を中心に回動し、一方の回動位置で前記ストッパー装置の本体部と当接することで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接しない位置で保持されるようになり、他方の回動位置で前記本体部と当接しないようにすることで、前記レバーの前記当接部が前記ブロック体と当接する位置まで自重で回動するように構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、前記切り替えレバーには、当該切り替えレバーを回動させるための爪部が設けられており、前記爪部は、前記切り替えレバーが前記ストッパー装置の前記本体部と当接した状態で、前記引き戸の戸先側の面とほぼ面一になるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る引き戸装置およびセーフティーストッパーは、前記引き戸の戸閉方向における戸先側から表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバーが設けられているので、利用者は、これらの機能の切り替え作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る引き戸装置にセーフティーストッパーを設けた平面図であり、(A)〜(C)はセーフティーストッパーが機能する態様を示したものである。
図2】(A)は、図1(C)の状態を戸先側の斜め上から見た斜視図であり、(B)は図1(C)の状態を戸先側から見た図である。
図3】ブロック体の斜視図である。
図4】ストッパー装置の斜視図である。
図5図4の分解斜視図である。
図6】レバーの回動支持部の拡大図である。
図7】切り替えレバーを単体で示す斜視図である。
図8】切り替えレバーを下側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
図9図8の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
図10】ストッパー装置であって、(A)は切り替えレバーを下側に回動させた状態、(B)は上側に回動させた状態を示す。
図11図4の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態を示す斜視図である。
図12】ストッパー装置の変形例であって、切り替えレバーを下側に回動させた状態である。
図13図12の分解斜視図である。
図14】(A)は、図12の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態、(B)は、図12の状態から切り替えレバーを回動させずに押圧部を押し込んだ状態である。
図15】(A)は、図12を戸先側の斜め上から見た斜視図、(B)は、図14(A)を戸先側の斜め上から見た斜視図である。
図16】切り替えレバーを下側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
図17図16の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る引き戸装置Hおよびこれに用いるセーフティーストッパーSについて、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る引き戸装置HにセーフティーストッパーSを取り付けた状態を上側から見たものであり、(A)は、引き戸を閉じた状態(セーフティーストッパーSが機能(作動)する前の態様)、(B)は、セーフティーストッパーを機能させ、引き戸の先端が少しだけ突出している状態、(C)は、セーフティーストッパーの機能(作動)を解除させ、引き戸が完全に開ききった状態を示している。また、図2(A)は、図1(C)の状態を戸先側の斜め上から見た斜視図であり、(B)は図1(C)の状態を戸先側から見たものである。
なお、本実施の形態では、引き戸1を開いたときに引き戸1が戸袋2内に収納されるタイプの引き戸装置HにセーフティーストッパーSを取り付けたものについて説明する。
【0016】
また、以下の説明で使用する方向で、戸開側とは、引き戸1を開く方向(図1の紙面右側)をいい、戸閉側とは、引き戸1を閉じる方向(図1の紙面左側)をいう。また、上側、下側とは、図2の紙面上下方向をいう。さらに、表側とは、図1の紙面下側を正面とし、この正面から引き戸1を見た側をいい、裏側とは、表側の反対側をいう。また、幅方向とは、引き戸1の板厚方向であって、表面側(或いは裏面側)から裏面側(或いは表面側)に向かう方向をいうものとする。
【0017】
セーフティーストッパーSは、図1および図2に示すように、ブロック体10と、ストッパー装置20とで構成されている。引き戸1の下側には、ブロック体10が取り付けられている。このブロック体10は、取付ねじ(図示せず)によって床面5上に固定する態様で取り付けられている。また、床面5には、引き戸の開閉方向に沿って下側レールを取り付け、この下側レールにブロック体10を取り付けるようにしてもよい。なお、本明細書では、上述した「床面5」または「下側レール」を総称して、「建屋側部材」と記載する。
【0018】
一方、引き戸1の下面には、図2(A)および図2(B)に示すように、開閉方向に沿って延びる溝部1bが形成されている。この溝部1bは、引き戸1の戸先側1aから戸尻側まで連続して形成されており、戸先側1aの先端面にはこの溝部1bの開口1cが形成されている。ストッパー装置20は、この溝部1b内であって、引き戸1の戸先側1aの先端部分に収容され、開口1cから表出する態様で取り付けられている。
【0019】
なお、引き戸1の上側には、案内ローラ(図示せず)が取り付けられている。この案内ローラは、引き戸1を吊り下げる態様で取り付けられており、案内ローラが上側レール上を開閉方向に沿って自由に転動することによって、引き戸1が開閉方向にスムーズに移動できるようになっている。
【0020】
このセーフティーストッパーSは、ブロック体10と、ストッパー装置20とが協働することによって機能する。まずは、この機能について簡単に説明する。図1(A)に示すように、引き戸1が閉じた状態では、ブロック体10とストッパー装置20とは離れており、セーフティーストッパーSは機能(作動)していない。この状態から、引き戸1を開くと、図1(B)に示すように、ブロック体10とストッパー装置20とが当接し、引き戸1がL2の長さだけ突出した状態でこれ以上開かないようになる(開口がL1の長さまで開いた状態)。引き戸1の取手(図示せず)は、この突出した部分の引き戸1の表面側或いは裏面側に位置するようになる。この状態でストッパー装置20を操作して当接を解除(ロックを解除)することにより、図1(C)および図2(A)、(B)に示すように、引き戸1をさらに開く(開口がL3の長さまで開いた状態)ことができるようになる。なお、セーフティーストッパーSの詳細な作用・動作の説明は、ブロック体10、ストッパー装置20の構造を説明した後に行う。
【0021】
図3は、ブロック体10の斜視図である。ブロック体10は、平板状の座部11と、この座部11の上面から上方向に突出する突部12とを備え、これらが樹脂材料によって一体に成形されている。突部12は、座部11の幅方向の中央部に位置している。この突部12の幅方向の厚みは、上述した引き戸1の溝部1bの幅方向の長さよりも小さく形成されており、引き戸1を開閉移動させたとしても突部12が溝部1bの内壁部に干渉しないようになっている。また、この突部12の突出長さは、溝部1bの深さよりも小さく形成されており、溝部1b内の上面と干渉しないようになっている。
【0022】
また、この突部12は、引き戸1に前後方向(引き戸1の板厚方向)への力が作用したときに、この突部12と溝部1bの内壁とが当接して引き戸1が前後方向に外れないようにする振れ止めとしても機能する。
【0023】
また、座部11には、突部12の幅方向の両側に皿穴13がそれぞれ設けられている。ブロック体10は、この皿穴13に取付ねじ(図示せず)を通して締結することによって床面5に固定される。
【0024】
突部12の戸閉側には、図3に示すように、座部11の上面から上方に向かうに従い戸開側へと湾曲する当接面12cが形成されている。この当接面12cには、引き戸1を戸開側に移動させる際に、詳細は後述するレバー40の緩衝部材50(図5参照)が当接するようになる。
【0025】
また、突部12には、当接面12cの上端部から戸開方向へ略水平に延びる頂部水平面12dが形成されている。この頂部水平面12dには、引き戸1を戸閉側に移動させる際に、詳細は後述するレバー40の接触面43aが接触するようになる(詳細は後述する)。
【0026】
頂部水平面12dには、傾斜ざぐり穴12aが形成されている。この傾斜ざぐり穴12aは、上面から戸開方向下側に向けて斜めに形成されており、座部11の下面まで連通している。この傾斜ざぐり穴12aに取付ねじ(図示せず)を挿通して締結すると、取付ねじの頭部はざぐり穴の内部に入り込み、頂部水平面12dよりも上側に突出しないようになる。このように戸開方向へ斜めに固定することで、ブロック体10に戸開方向へ力が作用したとしても、この力をより確実に受けることができる。
【0027】
図4は、ストッパー装置20の斜視図、図5はその分解斜視図である。また、図6はレバー40の回動支持部41の拡大図である。
【0028】
ストッパー装置20は、図4および図5に示すように、外側部分を構成する外側ケース30(本体部)と、この外側ケース30の内部に組み付けられるレバー40と、レバー40を外側ケース30に対して回動させるための回動中心となる回動軸60とで構成されている。
【0029】
外側ケース30は、下側が開口する断面コ字形状に形成されており、幅方向の側部に位置する2つの縦壁部31、31と、これらの縦壁部31、31の上端を幅方向に繋ぐ上面部32とで構成されている。また、外側ケース30の戸開側および戸閉側の端面は、開口している。さらに、上面部32の戸開側の端部は、縦壁部31の端部よりも戸開側へ延びる延出部33が形成されている。
【0030】
2つの縦壁部31、31には、それぞれを幅方向に貫通する態様で案内凸部誘導長穴31a、回動軸取付穴31bが形成されている。また、上面部32には、上下方向に貫通する取付穴32aが形成されている。同様に、延出部33には、上下方向に貫通する取付穴33aが形成されている。これらの取付穴32a、33aには取付ねじ(図示せず)が下側からそれぞれ挿通され、これらの取付ねじを締結することによってストッパー装置20が引き戸1の溝部1b内の上面に取り付けられる。
【0031】
レバー40は、図5に示すように、外側ケース30の下側開口から組み付けられ、詳細は後述する回動軸60を介して外側ケース30に対して回動自在に取り付けられる。このレバー40は、図5に示すように、紙面の正面から見て左側(戸閉側)に位置する回動支持部41と、この回動支持部41から戸開側に延びる連結部42と、この連結部42の終端部から戸開方向の下側に斜めに延びる傾斜部43とで構成されている。レバー40は、これらの部分が樹脂成形によって一体に形成されている。
【0032】
回動支持部41は、幅方向に間隔を空けて設けられ、戸閉側へ突出するように延びている。この回動支持部41には、幅方向に貫通する第2回動軸取付穴41a、41aが形成されている。また、この回動支持部41の戸閉側の先端部は、図6に示すように、円弧状に形成されており、この円弧状部分には、第1ラッチ溝41bおよび第2ラッチ溝41cが形成されている。
【0033】
連結部42には、上下方向に連通する取付長穴42aが形成されている。この取付長穴42aには、レバー40を外側ケース30内に組み付けた状態で、取付穴32aに挿通させる取付ねじ(図示せず)を下側から通すための逃げのようなものである。また、連結部42の戸開側の終端部には、レバー40の幅方向に貫通する回動軸取付穴42bが形成されている。
【0034】
傾斜部43は、図6および図7(B)に示すように、回動軸取付穴42bから略直線状に戸開側の斜め下側に向けて延びており、その下面に略平面状をなす接触面43aが形成されている。この接触面43aは、引き戸1の開閉動作時に上述したブロック体10の頂部水平面12dおよび傾斜面12bと接触・摺動するようになる。また、傾斜部43には、中央部よりも少し戸開側に、幅方向に突出する案内凸部43bが形成されている。
【0035】
また、傾斜部43の戸開側の端部には、略コ字形状の窪みが形成されており、この窪みに緩衝部材50が挿嵌されている。この緩衝部材50は、接着剤或いはねじ止めなどの手段によって取り付けられている。この緩衝部材50は、上述したブロック体10の当接面12cと当接する際に、音や衝撃を吸収するためのものである。なお、この緩衝部材50を含め、レバー40の開側端部を総称して当接部Tとする。
【0036】
レバー40は、回動軸取付穴42bを挟んで、開閉方向における戸開側の部分(傾斜部43側の部分)の重量が、戸閉側の部分(回動支持部41側の部分。後述する切り替えレバー80も含む)の重量よりも重くなるように形成されている。これにより、詳細は後述する回動軸60を回動軸取付穴31b、42bに挿通させた状態で、レバー40が時計回りのモーメント力によって自重で回転するようになる。
【0037】
さらに、レバー40は、回動軸取付穴42bから回動支持部41までの長さよりも、回動軸取付穴42bから緩衝部材50までの長さを大きくしている。これにより、回動支持部41を押し込むときの押し込み長さ(押し込み量)に対し、緩衝部材50が回動して移動する長さ(回動量)を大きく確保できるようになる。その結果、わずかな押し込み量でブロック体10と緩衝部材50との当接を解除することができる。
【0038】
案内凸部43bは、外側ケース30内にレバー40を組み付ける際に、案内凸部誘導長穴31a内に挿入される。案内凸部43bは、案内凸部誘導長穴31aに沿って移動することで、レバー40の回動範囲を規制している。
【0039】
回動軸60は、回動軸取付穴31b、42bが幅方向に連通するように調整した後に、外側ケース30の外側から挿入される。回動軸60は、その挿入後、先端部をかしめることによって外側ケース30に取り付けられる。この回動軸60は、レバー40を自由に回動させるための回転中心となっている。
【0040】
図7は切り替えレバー80を単体で示す斜視図である。さらに、図8は、回動支持部41に切り替えレバー80を下側に回動させた状態を示す拡大斜視図、図9は、図8の状態から切り替えレバー80を上側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
【0041】
レバー40の回動支持部41には、図6図8図9に示すように、第2回動軸70を介して切り替えレバー80が回動自在に取り付けられている。この切り替えレバー80は、図7に示すように、回動基端部82と、この回動基端部82から第1爪部83、第2爪部84が延びるように形成されている。また、第1爪部83と第2爪部84との間には、係合凹部86が形成されている。
【0042】
回動基端部82には、図6に示すように、幅方向に貫通する挿通穴82aが形成されている。この回動基端部82は、レバー40の回動支持部41、41の間に挿入され、第2回動軸取付穴41a、41aと挿通穴82aに第2回動軸70を挿通することによって、回動自在に組み付けられる。
【0043】
第1爪部83には、図7図9に示すように、外側(係合凹部86の反対側)に略平面状に形成された押圧面83aが形成されている。この押圧面83aは、利用者がセーフティーストッパーSのロックを解除する際に指で押圧する面である。さらには、第1爪部83の内側には、図9に示すように、この爪部を補強するための補強リブ83bが形成されている。
【0044】
第2爪部84には、第1爪部83と同様に、外側に平面84aが形成されている。また、第2爪部84の回動基端部82側には、回動支持部41に向けて突出し、第1ラッチ溝41bまたは第2ラッチ溝41cと係合する突起85が設けられている。この突起85は、図8に示すように、第2ラッチ溝41cと係合した状態で、切り替えレバー80が下側に向けられた位置で保持されるようになる。また、図9に示すように、第1ラッチ溝41bと係合した状態で、切り替えレバー80が上側に向けられた位置で保持されるようになる。
【0045】
また、突起85は、第2ラッチ溝41cと係合した状態から上側に向けて回動させる際に、突起85が押されて弾性によって変形し、回動支持部41の円弧状の縁部とこすれながら移動する。これにより、利用者は、切り替えレバー80の操作中に少し重い感覚を受ける。そして、突起85が第1ラッチ溝41bに到達したときに上述した突起85の弾性変形がもとに戻ることで重い感覚はなくなり、利用者がこの第1ラッチ溝41b内に到達したこと(溝に係合したこと)を認識できるようにしている。なお、第1ラッチ溝41bから第2ラッチ溝41cへ回動させるときも、同様である。
【0046】
係合凹部86は、利用者が切り替えレバー80を上下に回動させるために、工具(例えば、マイナスドライバー)の先端を挿入するためのものである。なお、この切り替えレバー80を含め、レバー40の戸閉側端部を総称して操作部Pとする。
【0047】
上述したストッパー装置20を引き戸1の溝部1b内であって、その戸先側1aに取り付けた状態では、引き戸1の表側および裏側からストッパー装置20の切り替えレバー80以外の部分が見えないようになる(図2(A)および図2(B)参照)。また、ストッパー装置20の切り替えレバー80が、引き戸1の溝部1bの戸先側1aの端面の開口1cから表出するようになる(図2参照)。さらには、ブロック体10についても、戸袋2の内方に取り付けられているので、引き戸1の表側および裏側からブロック体10が見えないようになる(図2参照)。そのため、引き戸1の意匠性が損なわれることがない。
【0048】
なお、本明細書で使用する「表出」とは、外側から見える程度の意味であり、開口から突出している状態、面一の状態、或いは表面よりも奥まった状態のいずれもが含まれるものである。
【0049】
また、切り替えレバー80は、図4に示すように、ストッパー装置20を溝部1b内に組み付けた状態で、引き戸1の溝部1bの戸先側1a端面の開口1cから少しだけ突出するように構成されている。この切り替えレバー80の突出長さは、ストッパー装置20を取り付けるときに任意に調整することができる。これにより、利用者が切り替えレバー80を押し込む操作を容易に行うことができる。また、利用者の両手が塞がっているときには、突出する切り替えレバー80を足で押し込むようにすることで操作することもできる。なお、当然に、切り替えレバー80の先端部分が戸先側1a端面の開口1cと面一に、或いは、突出しないように調整して取り付けることもできる。
【0050】
次に、本発明の実施の形態に係るセーフティーストッパーSの機能(作動)・動作について説明する。
図10は、ストッパー装置20であって、(A)は切り替えレバー80を下側に回動させた状態、(B)は上側に回動させた状態を示す。また、図11は、図4の状態から切り替えレバー80を上側に回動させた状態を示す斜視図である。
【0051】
セーフティーストッパーSが機能する前は、図1(A)に示すように、引き戸1の戸先側1aがブロック体10よりも戸閉側に位置し、ストッパー装置20がブロック体10に対し離れた位置にある。この状態において、引き戸1は、引き戸1を閉じた状態からセーフティーストッパーSが機能するまでの長さ(図1で示すL1の長さ)を開閉方向に自由に移動することができる。
【0052】
引き戸1が図1(A)の状態から所定の位置(引き戸の取手を持つ人の指が戸袋等に挟まれる手前側の位置)に移動すると、図1(B)に示すように、ブロック体10の当接面12cとストッパー装置20のレバー40の緩衝部材50とが当接する。より詳細には、レバー40は、自重によって傾斜部43が下側に回動した位置にあるため、当接面12cと緩衝部材50とが当接することになる。この状態では、図4に示すように、切り替えレバー80は、下側に回動した位置にあり、第1爪部83が外側ケース30の戸閉側縁部31dよりも突出した状態になる。これにより、セーフティーストッパーSが機能(ロック)することになり、引き戸1の戸先部1aが戸袋2の開口部2aから長さL2(図1(B)参照)だけ突出した位置で停止し、引き戸1がこれ以上開かないようになる。
【0053】
また、出入り口から車いすなどを搬入出させるために、より大きな出入り口(開口)を確保する場合には、図10(A)に示すように、切り替えレバー80の押圧面83aを押して、回動軸60を中心にレバー40を反時計回りに回動させる。緩衝部材50は上側に移動するため、ブロック体10の当接面12cと当接しなくなる(ロック解除)。これにより、引き戸1の戸先側1aが長さL2だけ突出した状態(図1(B)の状態)のままで、ロックを解除することができる。
【0054】
なお、上述した引き戸1の戸先側1aの突出長さL2(および、開口長さL1)は、開閉方向におけるブロック体10の取付位置を調整することによって任意に変更することができる。これにより、引き戸1の種類や構造などに合わせて、最適な突出長さL2を得ることができる。
【0055】
また、緩衝部材50が当接面12cよりも戸開側へ移動したときに切り替えレバー80から手を離すと、レバー40は、傾斜部43の自重によって回動軸60を中心に時計回りに回動する。この状態で引き戸1を戸開側に押し込めば、図1(C)に示すように、引き戸1を完全に開いた状態まで開ききることができる。
【0056】
さらに、引き戸1を再び戸閉側に移動させると、レバー40の傾斜部43の接触面43aがブロック体10と接触する。この状態から引き戸1をさらに閉じると、レバー40の傾斜部43が押し上げられてレバー40が反時計回りに回動する。そして、傾斜部43がブロック体10を閉方向に乗り越えると、傾斜部43が自重で下がり、レバー40が時計回りに回動する。これにより、図1(A)の状態に自動復帰することになる。
【0057】
一方、ロックを解除した状態を保持する場合には、図10(B)に示すように、切り替えレバー80を上側に回動させるようにする。この作業は、図4図10(A)に示す戸閉側縁部から指を入れ、切り替えレバー80の平面84a或いは係合凹部86あたりを引き出して切り替えレバー80を起こすようにし、その後、平面84aを押し込むようにすることで行うことができる。このとき、レバー40は回動軸60を中心に反時計回りに回動し、緩衝部材50が上側に移動してブロック体10と当接しなくなるとともに、切り替えレバー80の第1爪部83の先端部が外側ケース30の上面部32と当接して、レバー40が回動した状態を保持するようになる。これにより、セーフティーストッパーSのロックを解除した状態を保持することができ、引き戸1は、図1(A)の状態から、図1(B)の状態を経由せずに、図1(C)の状態まで完全に開ききることができる。
【0058】
この状態では、図2(A)、(B)、図10(B)、図11に示すように、引き戸1の戸先側1aから見て、上側に回動した切り替えレバー80の第2爪部84の平面84aが見えるようになる。この平面84aは、引き戸1の戸先側1aの面とほぼ平行であり、ほぼ面一或いは少し奥側に位置するようになる。これにより、戸先側1aから見て意匠性が損なわれないようにしている。
【0059】
また、再び、切り替えレバー80を下側へ回動させることで、ロック解除を保持した状態から、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ戻すことができる。この作業は、利用者が切り替えレバー80の係合凹部86に工具(図示せず)を挿し込んで、切り替えレバー80を回動させることで、容易に行うことができる。
【0060】
すなわち、戸先側1aから表出している切り替えレバー80を上下に回動させることで、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能に切り替えることができる。
【0061】
本発明の実施の形態に係る引き戸装置HおよびセーフティーストッパーSによれば、セーフティーストッパーSには、引き戸1の戸閉方向における戸先側1aから表出し、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能な切り替えレバー80が設けられているので、利用者は、これらの機能の切り替え作業を容易に行うことができる。
【0062】
また、セーフティーストッパーSは、建屋側部材に取り付けられたブロック体10と、引き戸側1aに取り付けられ、戸開時にブロック体10に当接することによってロックされるレバー40を有するストッパー装置20とで構成され、ストッパー装置20には、引き戸1の板厚方向に延在し、レバー40が上下に回動する回動軸60が設けられ、レバー40には、ストッパー装置20の引き戸閉方向における端部から表出し、切り替えレバー80が設けられた操作部Pと、回動軸60を挟んで操作部Pの反対側に、引き戸1を開方向へ移動させるときにブロック体10と当接する当接部Tとが設けられ、切り替えレバー80は、操作部Pの第2回動軸70を中心に回動し、一方の回動位置でストッパー装置20の本体部30と当接することで、レバー40の当接部Tがブロック体10と当接しない位置で保持されるようになり、他方の回動位置で本体部30と当接しないようにすることで、レバー40の当接部Tがブロック体10と当接する位置まで自重で回動するように構成しているので、戸先側1aから表出する切り替えレバー80を上下に回動させるだけで、2つの機能を容易に切り替えることができる。これにより、従来の引き戸装置と比較して、セーフティーストッパーSが常に機能しないようにして、引き戸1を常に開ききれるようにすることができる。
【0063】
さらに、切り替えレバー80には、切り替えレバー80を回動させるための第1爪部83および第2爪部84が設けられており、第2爪部84は、切り替えレバー80がストッパー装置20の本体部30と当接した状態で、引き戸1の戸先側1aの面とほぼ面一になるように構成されているので、切り替えレバー80を容易に回動させることができるとともに、戸先側1aから見たときの意匠性を損なうことがない。
【0064】
以上、本発明の実施の形態に係る引き戸装置HおよびセーフティーストッパーSについて述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0065】
図12は、ストッパー装置の変形例であって、切り替えレバーを下側に回動させた状態、図13は、図12の分解斜視図である。また、図14(A)は、図12の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態、(B)は、図12の状態から切り替えレバーを回動させずに押圧部を押し込んだ状態である。さらに、図15(A)は、図12を戸先側の斜め上から見た斜視図、(B)は、図14(A)を戸先側の斜め上から見た斜視図である。また、図16は、切り替えレバーを下側に回動させた状態を示す拡大斜視図、図17は、図16の状態から切り替えレバーを上側に回動させた状態を示す拡大斜視図である。
【0066】
なお、以下の変形例の説明では、本発明の実施例で説明した構造と異なる部分についてのみ説明し、同一の構造については、図に同一の符号を付することで説明を省略する。
【0067】
ストッパー装置120の外側ケース130(本体部)は、図12図15に示すように、下側が開口する断面略コ字形状に形成されており、戸閉側の先端部にフロントカバー180が取り付けられている。このフロントカバー180は、外側ケース130と同様に断面略コ字形状に形成されており、樹脂材料で一体に形成されている。
【0068】
このフロントカバー180には、図13に示すように、戸閉側に突出する嵌合凸部181が設けられており、外側ケース130には、この嵌合凸部181と対応する位置に、当該嵌合凸部181が嵌め込まれる嵌合凹部134が設けられている。このフロントカバー180を外側ケース130に取り付けた状態では、戸閉側から見て、外側ケース130を覆うようになる。これにより、例えば外側ケース130を金属で製作している場合であっても、この金属部分をフロントカバー180で覆い隠すことができるので、戸閉側から見た意匠性をより良くすることができる。
【0069】
外側ケース130内に組み付けられるレバー140は、その戸閉側の部分に、回動支持部141が形成されている。この回動支持部141には、図13に示すように、第2回動軸70が取り付けられるための第2回動軸取付穴41a、41aと、この第2回動軸取付穴41a、41aの下側に延びるように形成された押圧部142が形成されている。また、幅方向に離間して設けられた第2回動軸取付穴41a、41aの間には、詳細は後述する切り替えレバー190が取り付けられる取付溝143が設けられている。
【0070】
切り替えレバー190は、図13に示すように、略L字形状に形成されており、そのL字形状の1辺が第1爪部191であり、この第1爪部191と略直角をなす他辺が第2爪部192になっている。また、これらの第1爪部191、第2爪部192が交わる基端部には、幅方向に貫通する挿通穴193が形成されている。
【0071】
この挿通穴193には、第2回動軸取付穴41a、41aとともに第2回動軸70が挿通される。これにより、切り替えレバー190は、第2回動軸70を中心にして、レバー40に対して上下に自由に回動できるようになっている。
【0072】
押圧部142には、戸閉側に平坦な押圧面142aが形成されている。また、取付溝143は、切り替えレバー190が組み付けられた状態で、この切り替えレバー190が自由に回動できる程度に形成されている。
【0073】
ストッパー装置120は、図12に示すように、通常状態では、緩衝部材50が下側に位置し、セーフティーストッパーSが機能する(ロックされる。図1(B)参照)態様で引き戸1の溝部1b内に取り付けられている。この状態では、図15(A)に示すように、押圧部142が戸閉側に少しだけ斜めに突出している。
【0074】
この状態からロックを解除する場合、図14(B)に示すように、押圧部142の押圧面142aを押し込むようにする。これにより、緩衝部材50は上側へと移動してブロック体10と当接しなくなり、引き戸1を完全に開ききることができる(図1(C)参照)。
また、押圧部142から手を離すと、レバー140は、自重によって時計回りに回動し、元の状態(図12の状態)に自動復帰することになる。
【0075】
一方、ロックを解除した状態を保持する(自動復帰しないようにする)には、押圧部142を押し込んだ状態で、切り替えレバー190を回動させる。切り替えレバー190は、図12および図16に示すように、第1爪部191の先端部が下側を向き、第2爪部192の先端部が戸開側へ向くようにして組み付けられている。この状態から、第1爪部191を戸開側へ押し込むと、図14(A)および図17に示すように、切り替えレバー190は反時計回りに約90度だけ回動し、自動復帰ができないようになる。
【0076】
より詳細には、第1爪部191は、その先端部が戸開側に向くようになり、この先端部が取付溝143の内壁に当接する。これにより、第1爪部191がレバー140を反時計回りに押し上げ、緩衝部材50が上側に持ち上がるようになる。また、第2爪部192は、その先端部が上側に向くようになり、外側ケース130の上面部32(或いは、フロントカバー180の上面部)に当接する。これにより、第2爪部192がレバー140の重量を支えることによって、レバー140が自動復帰しなくなる。
【0077】
また、第2爪部192の基端部側には、図16および図17に示すように、突起194が形成されており、この突起194が第1ラッチ溝41bおよび第2ラッチ溝41cと係合することにより、上述した回動前後の位置が規制されるようになる。
【0078】
切り替えレバー190を約90度だけ回動させた状態では、図14(A)、図15(B)に示すように、押圧部142の押圧面142a、および第2爪部192の平面192aは、引き戸1の戸先側1aの面とほぼ平行であり、ほぼ面一或いは少し奥側に位置するようになる。これにより、戸先側1aから見て意匠性が損なわれないようにしている。
【0079】
このような構造の引き戸装置HおよびセーフティーストッパーSは、フロントカバー180を設けることで、戸先側から見て外側ケース130をフロントカバー180で覆い隠すことができるので、戸閉側から見た意匠性をより良くすることができる。
【0080】
このような切り替えレバー190を用いることによっても、本実施例に記載したように、ロックを解除した状態を保持する機能と、ロックを解除した状態からロック可能な状態へ自動復帰する機能とを選択可能に行うことができる。これにより、利用者は、これらの機能の切り替え作業を容易に行うことができる。
【0081】
また、第2爪部192の平面192aは、切り替えレバー190がストッパー装置120の本体部130と当接した状態で、引き戸1の戸先側1aの面とほぼ面一になるように構成されているので、戸先側1aから見たときの意匠性を損なうことがない。さらには、押圧部142の押圧面142aも戸先側1aの面とほぼ面一になるので、戸先側の開口1cが、平面192aと押圧面142aで平面状に覆われるようになるため、さらに意匠性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 引き戸
1a 引き戸の戸先部(戸先側)
1b 溝部
1c 溝部の戸先側端面の開口
2 戸袋
2a 戸袋の開口部(開口側)
5 床面(建屋側部材)
10 ブロック体
11 座部
12 突部
12a 傾斜ざぐり穴
12b 傾斜面
12c 当接面
12d 頂部水平面
13 皿穴
20、120 ストッパー装置
30、130 外側ケース(本体部)
31 縦壁部
31a 案内凸部誘導長穴
31b 回動軸取付穴
31c 戸開側縁部
31d 戸閉側縁部
32 上面部
32a、33a 取付穴
33 延出部
40 レバー
41、141 回動支持部
41a 第2回動軸取付穴
41b 第1ラッチ溝
41c 第2ラッチ溝
42 連結部
42a 取付長穴
42b 回動軸取付穴
43 傾斜部
43a 接触面
43b 案内凸部
50 緩衝部材
60 回動軸
70 第2回動軸
80、190 切り替えレバー
82 回動基端部
82a 挿通穴
83、191 第1爪部
83a 押圧面
83b 補強リブ
84、192 第2爪部
84a、192a 平面
85、194 突起
86 係合凹部
134 嵌合凹部
142a 押圧面
143 取付溝
180 フロントカバー
181 嵌合凸部
191 切り替えレバー
H 引き戸装置
S セーフティーストッパー
L1 セーフティーストッパーの作動時の開口長さ
L2 セーフティーストッパーの作動時の引き戸先端側の突出長さ
L3 セーフティーストッパーの作動解除時の開口長さ
T 当接部
P 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17