(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、上方又は下方はそれぞれヒータユニットの使用時(基板載置時)における向きを示す。
【0021】
(第1実施形態)
図1から
図3を用いて、本発明の第1実施形態に係るヒータユニットの全体構成について説明する。本発明の第1実施形態に係るヒータユニットは、加熱機構を有する。また、第1実施形態に係るヒータユニットは、CVD装置、スパッタ装置、蒸着装置、エッチング装置、プラズマ処理装置、測定装置、検査装置、及び顕微鏡等に使用することができる。ただし、第1実施形態に係るヒータユニットは上記の装置に使用するものに限定されず、基板を加熱する必要がある装置に対して使用することができる。
【0022】
[ヒータユニット100の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るヒータユニットの構成を示す斜視図である。
図2は、
図1のA−A’断面図である。
図3は、
図2のB−B’断面図である。
図1から
図3に示すように、第1実施形態に係るヒータユニット100は、第1の基材200、第2の基材300、シャフト400、及びシースヒータ110を有する。
【0023】
図1から
図3を参照すると、上面が平坦であり、下面に溝220が設けられた第1の基材200と、第2の基材300とを接合することで、第1の基材200及び第2の基材300の接合面の溝220にシースヒータ110が埋設される。第1の基材200の上面は、基板を載置するためのステージ240である。基板はステージ240上に設置される。すなわち、シースヒータ110は第1の基材200を介してステージ240上の基板を加熱する。
【0024】
シースヒータ110は、それぞれ独立して制御される第1のシースヒータ110a、第2のシースヒータ110b、を含む。ここで、第1のシースヒータ110a及び第2のシースヒータ110bを特に区別しないときはシースヒータ110という。本実施形態では、2つのシースヒータ110が、第1の基材200及び第2の基材300の接合面において、それぞれの対応する領域にパターンを形成する構成を示した。しかしながらこの構成に限定されず、第1の基材200及び第2の基材300の接合面に設けられるシースヒータ110の数は、1以上であればよく、適宜設定することができる。第1の基材200及び第2の基材300の接合面に設けられるシースヒータ110の数が多いほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0025】
本実施形態において第1のシースヒータ110a及び第2のシースヒータ110bは、第1の基材200及び第2の基材300の接合面において円形パターンを形成する構成を示した。しかしながらこの構成に限定されず、第1の基材200及び第2の基材300の接合面に形成されるシースヒータ110のパターン形状は、適宜設計することができる。例えば、シースヒータ110のパターン形状は矩形であってもよく、矩形以外の多角形であってもよい。また、第2のシースヒータ110bが第1のシースヒータ110aを囲む構成を例示したが、この構成に限定されない。各シースヒータ110が配置される複数の領域は、上記以外の多様な形状に分割されていてもよい。例えば、複数の領域は、第1の基材200及び第2の基材300の接合面の中心を基準に扇形に分割した領域であってもよい。本実施形態に係るシースヒータ110は、後述する構成を有することで、複雑な形状に曲げ加工が可能であり、第1の基材200及び第2の基材300の接合面において微細なパターン形状をレイアウトすることができる。第1の基材200及び第2の基材300の接合面に設けられるシースヒータ110のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0026】
本実施形態においてシースヒータ110は、第1の基材200の下面(ステージ240とは反対側の面、第1の基材200及び第2の基材300の接合面)に設けられた溝220に配置される。
図4は、
図3のD領域における拡大断面図である。ここで溝220の形状が分かるよう、
図4においては右2つの溝220にはシースヒータ110を図示しない。
図4(A)に示すように、シースヒータ110を配置する溝220aは、第1の基材200の下面側に開口端を有し、第1の基材200の上面側に丸底部を有する凹部である。例えば、シースヒータ110の外径が4.5mmである場合、シースヒータ110を配置する溝220aの深さは、第1の基材200の表面から4.3mm以上4.5mm以下である。シースヒータ110を配置する溝220aの幅は、4.5mm以上5.0mm以下である。シースヒータ110を配置する溝220aの形状およびサイズをシースヒータ110の形状およびサイズに近づけることで、シースヒータ110と第1の基材200の接触面積が増加し、シースヒータ110が発生する熱エネルギーを効率よく第1の基材200へ伝えることが可能となる。
【0027】
しかしながらこれに限定されず、シースヒータを配置する溝の形状およびサイズは、シースヒータ110の形状およびサイズによって適宜設計することができる。例えば、
図4(B)に示すように、シースヒータ110を配置する溝は、第1の基材200の下面側に開口端を有し、第1の基材200の上面側に丸底部を有する凹部と、第2の基材300の上面側に開口端を有し、第2の基材300の下面側に丸底部を有する凹部との組み合わせであってもよい。ここで第1の基材200の下面側および第2の基材300の上面側は、ともに第1の基材200及び第2の基材300の接合面である。例えば、シースヒータ110の外径が4.5mmである場合、シースヒータ110を配置する第1の基材200の溝220bおよび第2の基材300の溝320の深さは、それぞれ第1の基材200及び第2の基材300の接合面から2.25mm以上2.5mm以下である。シースヒータ110を配置する第1の基材200の溝220bおよび第2の基材300の溝320の幅は、4.5mm以上5.0mm以下である。シースヒータ110を配置する溝220bおよび溝320の組み合わせの形状およびサイズをシースヒータ110の形状およびサイズに近づけることで、シースヒータ110と第1の基材200および第2の基材300の接触面積が増加し、シースヒータ110が発生する熱エネルギーを効率よく第1の基材200および第2の基材300へ伝えることが可能となる。
【0028】
さらに
図4(C)に示すように、シースヒータ110の形状を溝に合わせて変形できるように、溝の形状およびサイズを適宜設計することもできる。例えば
図4(C)に示すように、シースヒータ110を配置する溝220cは、第1の基材200の下面側に開口端を有し、第1の基材200の上面側に丸底部を有する凹部である。例えば、シースヒータ110の外径が4.5mmである場合、シースヒータ110を配置する溝220cの深さは、第1の基材200の表面から4.0mm以上4.5mm以下である。シースヒータ110を配置する溝220cの幅は、4.5mm以上5.0mm以下である。シースヒータ110を配置する溝220cの断面積がシースヒータ110の断面積とほぼ同じとなるよう設計することで、シースヒータ110の形状を溝220cに配置するときに微調整し、溝の形状にあわせることもできる。シースヒータ110の形状およびサイズを、シースヒータ110を配置する溝220cの形状およびサイズに近づけることで、シースヒータ110と第1の基材200および第2の基材300の接触面積が増加し、シースヒータ110が発生する熱エネルギーを効率よく第1の基材200および第2の基材300へ伝えることが可能となる。
【0029】
図4(A)〜(C)では、シースヒータ110と、シースヒータ110を配置する溝220および/または溝320の形状およびサイズを近づけた構成を例示したが、これに限定されない。シースヒータ110と、溝220および/または溝320との形状およびサイズは異なっていてもよい。シースヒータ110と第1の基材200および第2の基材300との間にスペースが存在している場合、シースヒータ110の動きが限定されず、熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性の高いヒータユニット100を提供することができる。
【0030】
シースヒータ110と第1の基材200および第2の基材300との間にスペースが存在している場合は、例えば、ろう材によってスペースを充填してもよい。ろう材としては、例えば銀、銅、および亜鉛を含む合金、銅と亜鉛を含む合金、リンを微量含む銅、アルミニウムやその合金、チタン、銅、およびニッケルを含む合金、チタン、ジリコニウム、および銅を含む合金、チタン、ジリコニウム、銅、およびニッケルを含む合金などが挙げられる。本実施形態においては、第1の基材200および第2の基材300としてアルミニウム基材を用いていることから、アルミニウムによる充填が好ましい。同じ金属材料を用いることによって、熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性の高いヒータユニット100を提供することができる。ろう材によってスペースを充填することで、シースヒータ110が発生する熱エネルギーを効率よく第1の基材200および第2の基材300へ伝えることが可能となる。
【0031】
第1の基材200および第2の基材300としては金属基材を用いることができる。第1の基材200および第2の基材300に使用される材料の熱伝導率は、好ましくは200W/mK以上であるとよい。第1の基材200および第2の基材300に使用される材料の熱伝導率が200W/mK以上であることによって、シースヒータ110が発生する熱エネルギーを効率よくステージ240へ伝えることができる。
【0032】
第1の基材200および第2の基材300に使用される材料の熱膨張率は、好ましくは25×10
-6/K以下であるとよい。第1の基材200および第2の基材300に使用される材料の熱膨張率の差は、好ましくは10×10
-6/K以下であるとよい。第1の基材200および第2の基材300に使用される材料は、より好ましくは同程度の熱膨張率を有する材料であるとよく、さらに好ましくは同じ金属材料であるとよい。本実施形態では、第1の基材200および第2の基材300としてアルミニウム基材を用いている。しかしながらこれに限定されず、第1の基材200および第2の基材300の材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ステンレス(SUS)などの材料を用いることができる。第1の基材200および第2の基材300に使用される材料の熱膨張率の差が10×10
-6/K以下であることによって、熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性の高いヒータユニット100を提供することができる。
【0033】
第1の基材200および第2の基材300の接合は、例えば、ろう付けによって行うことができる。ろうとしては、例えば銀、銅、および亜鉛を含む合金、銅と亜鉛を含む合金、リンを微量含む銅、アルミニウムやその合金、チタン、銅、およびニッケルを含む合金、チタン、ジリコニウム、および銅を含む合金、チタン、ジリコニウム、銅、およびニッケルを含む合金などが挙げられる。本実施形態においては、第1の基材200および第2の基材300としてアルミニウム基材を用いていることから、アルミニウムによるろう付けが好ましい。同じ金属材料を用いることによって、熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性の高いヒータユニット100を提供することができる。
【0034】
本実施形態に係るシースヒータ110は、2つの接続端子50をシースヒータ110の一端に有する片端子型である。例えば、第1のシースヒータ110aの一端に2つの接続端子50a及び接続端子50bを有する。ここで、2つの接続端子50a及び接続端子50bを特に区別しないときは接続端子50という。シースヒータ110の接続端子50を有する一端は、第1の基材200の略中央部260から第2の基材300の略中央に配置された貫通孔340を介して、第2の基材300の第1の基材200とは反対側の面に取り出される。シースヒータ110の接続端子50を有する一端は、円筒型のシャフト400の中空部を介して、外部機器(ヒータコントローラ、電源など)に接続されている。外部機器から供給される電力によりシースヒータ110が加熱され、これによってステージ240の温度が制御される。
図3には示さなかったが、ヒータユニット100には、温度センサーや、ガス管、冷却管などがシャフト400の中空部を介して配置されてもよい。本実施形態に係るシースヒータ110は片端子型であることから、シースヒータ110の片端を外部接続のため取り出せばよく、シャフト400の中空部を有効に活用することができる。
【0035】
[シースヒータの構成]
図5を用いて、本発明の第1実施形態に係るシースヒータの構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るシースヒータの構成を示す断面図である。
図5に示すように、第1実施形態に係るシースヒータは、帯状の発熱線20、絶縁材30、金属シース40、および接続端子50を有する。
【0036】
図5(A)を参照すると、発熱線20は円筒型の金属シース40内に間隙をもって配置され、発熱線20と金属シース40とは間隙に配置される絶縁材30によって絶縁されている。
図5において、金属シース40は一端を閉じた形状に示したが、これに限定されず、両端とも開放した形状であってもよい。発熱線20は、金属シース40内を円筒軸方向に往復するように配置され、金属シース40の一端に発熱線20の両端が配置される。すなわち、1つの発熱線20が金属シース40の円筒軸方向の大部分において2軸(2芯)となるよう配置される。金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20は間隙をもって配置され、間隙に配置される絶縁材30によって絶縁されている。
【0037】
図5(B)は
図5(A)のC−C’断面図である。
図5(B)を参照すると、帯状の発熱線20の幅d1は0.1mm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。帯状の発熱線20の厚みd2は0.1mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の内径d3は3.0mm以上4.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の厚みd4は0.5mm以上1.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の外径d5は3.5mm以上5.0mm以下の範囲であることが好ましい。本実施形態に係るシースヒータ120は上記構成を有することによって、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ120を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ120のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0038】
円筒軸と直交する断面における、金属シース40と、金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20との最短距離g1は0.3mm以上1.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40と発熱線20との最短距離g1は、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下の範囲であるとよい。金属シース40と発熱線20との距離g1を0.3mm以上にすることで、金属シース40と発熱線20との絶縁性を確保することができる。金属シース40と発熱線20との距離g1を1.0mm以下にすることで、シースヒータ120の径を細径化することができる。本実施形態に係るシースヒータ120は帯状の発熱線20を用いることで、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ120を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ120のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0039】
円筒軸と直交する断面における、金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20の距離g2は0.3mm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20の最短距離g2は、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下の範囲であるとよい。2軸の発熱線20の距離g2を0.3mm以上にすることで、発熱線20の絶縁性を確保することができる。2軸の発熱線20の距離g2を2.0mm以下にすることで、シースヒータ120の径を細径化することができる。本実施形態に係るシースヒータ120は、帯状の発熱線20を用いることで、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ120を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ120のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0040】
発熱線20の両端は、それぞれと電気的に接続する接続端子50a及び接続端子50bを備える。ここで、接続端子50a及び接続端子50bを特に区別しないときは接続端子50という。本実施形態のシースヒータ120は、2つの接続端子50がシースヒータ120の一端に配置される2軸片端子型(2芯片端子型)の構成を有することで、シャフト400の中空部を有効に活用することができ、より多くのシースヒータ120をヒータユニット100に配置することができる。ヒータユニット100に配置されるシースヒータ120の数が多いほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0041】
金属シース40内で発熱線20が2軸である領域において、帯状の発熱線20は、金属シース40の円筒軸方向に対して回転して配置される。帯状の発熱線20は、発熱線20の長軸が金属シース40の円筒軸垂直方向に回転した状態で、円筒軸方向に延在する。すなわち、発熱線20がらせん状にコイリングされた状態で、発熱線20の回転軸が金属シース40の円筒軸方向に対して略平行に配置される。発熱線20はコイリングされた状態で配置されることによって、金属シース40内に配置される発熱線20の長さが増加し、シースヒータ120の抵抗値をあげることができる。さらには、発熱線20はコイリングされた状態で配置されることによってばね性を有し、熱膨張時の断線が抑制される。このため例えば、金属シース40と発熱線20との熱膨張率の差が大きくても、信頼性を向上したシースヒータ120を提供することが可能となる。
【0042】
金属シース40内に配置される発熱線20が、らせん状に1回転する金属シース40の円筒長軸方向の長さである回転ピッチL1は3.0mm以下であることが好ましい。金属シース40内に配置される発熱線20の回転ピッチL1は、より好ましくは2.5mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以下であるとよい。金属シース40内に配置される発熱線20の回転ピッチL1を3.0mm以下にすることで、熱膨張時の断線が抑制され、信頼性を向上したシースヒータ120を提供することが可能となる。
【0043】
図5(B)は
図5(A)のC−C’断面図である。
図5(B)を参照すると、発熱線20が金属シース40内において2軸である領域において、発熱線20の幅d1が形成する面方向は、回転面の法線に対して略垂直である。すなわち帯状の発熱線20の面は、回転面の接平面である。さらに、2軸の発熱線20の面方向は略平行である。それぞれの発熱線20の中心軸が金属シース40の円筒軸方向にらせん状に回転する方向はほぼ一致し、回転ピッチL1も同程度である。それぞれの発熱線20の回転方向と回転ピッチL1が一致していることによって、2軸の発熱線20間の距離g2を一定に維持することができ、シースヒータ120の信頼性を維持することが可能となる。しかしながらこれに限定されず、それぞれの発熱線20の回転方向および/または回転ピッチL1は、異なっていてもよい。本実施形態に係るシースヒータ120は上記条件を満たすことで、発熱線20の回転を考慮しても信頼性を維持できるよう設計されている。
【0044】
本実施形態に係るシースヒータ120の断面形状は円形である。シースヒータ120の断面形状が円形であることによって、シースヒータ120は所望の形状にまげることが可能となり、第1の基材200の溝220および/または第2の基材300の溝320に容易に配置することが可能となる。しかしながらシースヒータ120の断面、溝220の底部、および/または溝320の底部の形状はこれに限定されず、上記条件を満たすかぎり任意の形状を有することができ、また任意の形に変形することもできる。
【0045】
帯状の発熱線20は通電することでジュール熱を発生する導電体を用いることができる。具体的には、タングステン、タンタル、モリブデン、白金、ニッケル、クロム、およびコバルトから選択される金属を含むことができる。金属はこれらの金属を含む合金でもよく、例えばニッケルとクロムの合金、ニッケル、クロム、およびコバルトを含む合金でもよい。本実施形態では、発熱線20の材料としてニッケル−クロム合金を用いている。
【0046】
絶縁材30は発熱線20が他の部材と電気的に接続されることを抑制するために配置される。つまり、発熱線20を他の部材から十分に絶縁性させる材料を用いることができる。さらに、絶縁材30に使用される材料の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上であるとよい。絶縁材30に使用される材料の熱伝導率が10W/mK以上であることによって、発熱線20が発生する熱エネルギーを効率よく金属シース40へ伝えることができる。絶縁材30としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどを用いることができる。本実施形態では、絶縁材30として酸化マグネシウム(MgO)の粉末を用いている。酸化マグネシウム(MgO)の圧粉体の熱伝導率は約10W/mKである。
【0047】
金属シース40に使用される材料の熱伝導率は、好ましくは200W/mK以上であるとよい。金属シース40に使用される材料の熱伝導率が200W/mK以上であることによって、発熱線20が発生する熱エネルギーを効率よく第1の基材200および第2の基材300へ伝えることができる。
【0048】
さらに、金属シース40に使用される材料の熱膨張率は、好ましくは25×10
-6/K以下であるとよい。金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300に使用される材料の熱膨張率の差は、好ましくは10×10
-6/K以下であるとよい。金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300に使用される材料は、より好ましくは同程度の熱膨張率を有する材料であるとよく、さらに好ましくは同じ金属材料であるとよい。本実施形態では、金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300の材料としてアルミニウムを用いている。しかしながらこれに限定されず、金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300の材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ステンレス(SUS)などの材料を用いることができる。金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300に使用される材料の熱膨張率の差が10×10
-6/K以下であることによって、熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性の高いヒータユニット100を提供することができる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態に係るシースヒータ120は、帯状の発熱線20を有することによって細径化が可能となる。シースヒータ120を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができ、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。シースヒータ120内に帯状の発熱線20がらせん状に回転した状態で配置されることによって、熱膨張時における発熱線20の断線が抑制され、例えば金属シース40と発熱線20との熱膨張率の差が大きくても、信頼性を向上したシースヒータ120を提供することが可能となる。金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300に同じ金属材料を用いることが可能となることで、ヒータユニット100の熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性を向上することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
[シースヒータの構成]
図6を用いて、本発明の第2実施形態に係るシースヒータの構成について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るシースヒータの構成を示す断面図である。
図6に示すように、第2実施形態に係るシースヒータは、第1実施形態と同様に、帯状の発熱線20、絶縁材30、金属シース40、および接続端子50を有する。第2実施形態に係るシースヒータ130は、金属シース40内での発熱線20の配置以外は、ヒータユニットも含めて第1実施形態と同様であるので、重複する構造および構成に関しては説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0051】
図6(A)を参照すると、発熱線20は円筒型の金属シース40内に間隙をもって配置され、発熱線20と金属シース40とは間隙に配置される絶縁材30によって絶縁されている。
図6において、金属シース40は一端を閉じた形状に示したが、これに限定されず、両端とも開放した形状であってもよい。発熱線20は、金属シース40内を円筒軸方向に往復するように配置され、金属シース40の一端に発熱線20の両端が配置される。すなわち、1つの発熱線20が金属シース40の円筒軸方向の大部分において2軸(2芯)となるよう配置される。金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20は間隙をもって配置され、間隙に配置される絶縁材30によって絶縁されている。
【0052】
図6(B)は
図6(A)のC−C’断面図である。
図6(B)を参照すると、帯状の発熱線20の幅d1は0.1mm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。帯状の発熱線20の厚みd2は0.1mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の内径d3は3.0mm以上4.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の厚みd4は0.5mm以上1.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40の外径d5は3.5mm以上5.0mm以下の範囲であることが好ましい。本実施形態に係るシースヒータ130は上記構成を有することによって、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ130を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ130のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0053】
円筒軸と直交する断面における、金属シース40と、金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20との最短距離g1は0.3mm以上1.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40と発熱線20との最短距離g1は、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下の範囲であるとよい。金属シース40と発熱線20との距離g1を0.3mm以上にすることで、金属シース40と発熱線20との絶縁性を確保することができる。金属シース40と発熱線20との距離g1を1.0mm以下にすることで、シースヒータ130の径を細径化することができる。本実施形態に係るシースヒータ130は帯状の発熱線20を用いることで、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ130を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ130のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0054】
円筒軸と直交する断面における、金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20の距離g2は0.3mm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。金属シース40内に配置されるそれぞれの発熱線20の最短距離g2は、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下の範囲であるとよい。2軸の発熱線20の距離g2を0.3mm以上にすることで、発熱線20の絶縁性を確保することができる。2軸の発熱線20の距離g2を2.0mm以下にすることで、シースヒータ130の径を細径化することができる。本実施形態に係るシースヒータ130は、帯状の発熱線20を用いることで、信頼性を維持した細径化が可能となる。シースヒータ130を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができる。シースヒータ130のパターンが微細なほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0055】
発熱線20の両端は、それぞれと電気的に接続する接続端子50a及び接続端子50bを備える。ここで、接続端子50a及び接続端子50bを特に区別しないときは接続端子50という。本実施形態のシースヒータ130は、2つの接続端子50がシースヒータ130の一端に配置される2軸片端子型(2芯片端子)の構成を有することで、シャフト400の中空部を有効に活用することができ、より多くのシースヒータ130をヒータユニット100に配置することができる。ヒータユニット100に配置されるシースヒータ130の数が多いほど、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。
【0056】
金属シース40内で発熱線20が2軸である領域において、帯状の発熱線20は、金属シース40の円筒軸方向に対して回転して配置される。帯状の発熱線20は、発熱線20の長軸が金属シース40の円筒軸垂直方向に回転した状態で、円筒軸方向に延在する。さらに発熱線20が金属シース40内において2軸である領域において、それぞれの発熱線20の回転中心軸がほぼ一致した状態で配置される。すなわち、それぞれの発熱線20が2重らせん状にコイリングされた状態で、発熱線20の回転軸が金属シース40の円筒軸方向に対して略平行に配置される。発熱線20はコイリングされた状態で配置されることによって、金属シース40内に配置される発熱線20の長さが増加し、シースヒータ130の抵抗値をあげることができる。さらには、発熱線20はコイリングされた状態で配置されることによってばね性を有し、熱膨張時の断線が抑制される。このため例えば、金属シース40と発熱線20との熱膨張率の差が大きくても、信頼性を向上したシースヒータ130を提供することが可能となる。
【0057】
金属シース40内に配置される発熱線20が、らせん状に1回転する金属シース40の円筒長軸方向の長さである回転ピッチL2は6.0mm以下であることが好ましい。金属シース40内に配置される発熱線20の回転ピッチL2は、より好ましくは2.5mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以下であるとよい。金属シース40内に配置される発熱線20の回転ピッチL2を2.0mm以下にすることで、熱膨張時の断線が抑制され、信頼性を向上したシースヒータ130を提供することが可能となる。さらに発熱線20が金属シース40内において2軸である領域において、それぞれの発熱線20の回転中心軸方向における最短距離L3は2.3mm以上であることが好ましい。2軸の発熱線20の距離L3を2.3mm以上にすることで、発熱線20の絶縁性を確保することができる。
【0058】
図6(B)は
図6(A)のC−C’断面図である。
図6(B)を参照すると、発熱線20が金属シース40内において2軸である領域において、発熱線20の幅d1が形成する面方向は、回転面の法線に対して略垂直である。すなわち帯状の発熱線20の面は、回転面の接平面である。さらに、2軸の発熱線20の面方向は略平行である。それぞれの発熱線20の中心軸が金属シース40の円筒軸方向に2重らせん状に回転する方向は180°ずれて、回転ピッチL2はほぼ一致する。すなわち、それぞれの発熱線20の回転は1/2ピッチずれている。それぞれの発熱線20の回転ピッチL2が一致していることによって、2軸の発熱線20間の距離g2を一定に維持することができ、シースヒータ130の信頼性を維持することが可能となる。しかしながらこれに限定されず、それぞれの発熱線20の回転方向のずれは180°でなくてもよい。本実施形態に係るシースヒータ130は、2軸の発熱線20の金属シース40の円筒軸方向の最短距離L3がg2以上であることを満たすかぎり、発熱線20の回転を考慮しても信頼性を維持できるよう設計されている。
【0059】
本実施形態に係るシースヒータ130の断面形状は円形である。シースヒータ130の断面形状が円形であることによって、シースヒータ130は所望の形状に曲げることが可能となり、第1の基材200の溝220および/または第2の基材300の溝320に容易に配置することが可能となる。しかしながらシースヒータ130の断面、溝220の底部、および/または溝320の底部の形状はこれに限定されず、上記条件を満たすかぎり任意の形状を有することができ、また任意の形に変形することもできる。
【0060】
以上述べたように、本実施形態に係るシースヒータ130は、帯状の発熱線20を有することによって細径化が可能となる。シースヒータ130を細径化することで、ヒータユニット100に微細なパターン形状をレイアウトすることができ、ステージ240の温度分布を無くすように精密に制御することが可能となる。シースヒータ130内に帯状の発熱線20が二重らせん状に回転した状態で配置されることによって、熱膨張時における発熱線20の断線が抑制され、例えば金属シース40と発熱線20との熱膨張率の差が大きくても、信頼性を向上したシースヒータ130を提供することが可能となる。金属シース40、第1の基材200、および第2の基材300に同じ金属材料を用いることが可能となることで、ヒータユニット100の熱膨張による変形を抑制することができ、信頼性を向上することが可能となる。
【0061】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0062】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【実施例】
【0063】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0064】
[実施例1]
図7(A)は、本発明の実施例1に係るヒータユニットのシースヒータのパターンレイアウトを示す断面構成図である。実施例1に係るヒータユニットは、上述した第1実施形態と略同様の構成であり、各パラメータは以下の通りである。
第1の基材および第2の基材の材質:アルミニウム
第1の基材および第2の基材の厚さ:15mm
第1の基材および第2の基材の直径:330mm
シースヒータのパターン:3ゾーン(
図7(A))
シースヒータの形態:2芯片端子型
シースヒータの最小屈曲半径:9mm
発熱線20の材質:ニッケル−クロム合金(ニッケル80%、クロム20%)
発熱線20の帯線の幅d1:0.75mm
発熱線20の帯線の厚みd2:0.2mm
2軸の発熱線20同士の最短距離:0.5mm
発熱線20の回転軸間の距離:1.5mm
発熱線20の回転径:1mm
発熱線20の回転ピッチL1:2mm
金属シース40と発熱線20との最短距離:0.5mm
金属シース40の材質:アルミニウム
金属シース40の内径d3:3.5mm
金属シース40の厚みd4:0.5mm
金属シース40の外径d5:4.5mm
【0065】
[比較例1]
図8(A)は、本発明の比較例1に係るヒータユニットのシースヒータのパターンレイアウトを示す断面構成図である。比較例1に係るヒータユニットは、丸線の発熱線をらせん状にコイリングした1芯両端子型のシースヒータを備える。各パラメータは以下の通りである。
第1の基材および第2の基材の材質:アルミニウム
第1の基材および第2の基材の厚さ:15mm
第1の基材および第2の基材の直径:330mm
シースヒータのパターン:2ゾーン(
図8(A))
シースヒータの形態:1芯両端子型
シースヒータの最小屈曲半径:15.5mm
発熱線20の材質:ニッケル−クロム合金(ニッケル80%、クロム20%)
発熱線20の丸線の直径:Φ0.5mm
発熱線20の回転径:2mm
発熱線20の回転ピッチL1:2mm
金属シース40と発熱線20との最短距離:1.5mm
金属シース40の材質:アルミニウム
金属シース40の内径:5.2mm
金属シース40の厚み:0.5mm
金属シース40の外径:6.2mm
【0066】
[パターンレイアウト]
上述した実施例1および比較例1のヒータユニットにおけるシースヒータのパターンレイアウトを比較した。実施例1のヒータユニットにおけるシースヒータは、2芯片端子型の構成を有することで、シャフトの中空部におけるシースヒータの取り出しがシースヒータ1本当たり1本となる。このため、シャフトの中空部を有効に活用することができ、3つのシースヒータをヒータユニットに配置することができる。また、シースヒータの外径が4.5mmと細径であるため、シースヒータの最小屈曲半径が十分小さく、
図7(A)に示すように、ヒータユニットに微細なパターン形状をレイアウトすることができる。一方で、比較例1のヒータユニットにおけるシースヒータは1芯両端子型の構成を有することで、シャフトの中空部におけるシースヒータの取り出しがシースヒータ1本当たり2本となる。このため、シャフトの中空部における端子の取り出しが混み合い、2つのシースヒータしかヒータユニットに配置することができない。また、シースヒータの外径が6.2mmであるため、シースヒータの最小屈曲半径が大きく、
図8(A)に示すように、ヒータユニットにラフなパターン形状しかレイアウトすることができない。
【0067】
[温度分布の評価]
上述した実施例1に係るヒータユニットを用いて、ヒータ加熱時の温度分布を測定した。実施例1におけるヒータ加熱時(200℃)の設定条件は以下の通りである。
第1のヒータa1(内側)が発生する熱量:500W
第2のヒータb1(真ん中)が発生する熱量:1200W
第3のヒータc1(外側)が発生する熱量:1200W
【0068】
上述した比較例1に係るヒータユニットを用いて、ヒータ加熱時の温度分布を測定した。比較例1におけるヒータ加熱時(200℃)の設定条件は以下の通りである。
第1のヒータa2(内側)が発生する熱量:2000W
第3のヒータc2(外側)が発生する熱量:2000W
【0069】
上記設定条件下において平衡に達した時の実施例1および比較例1に係るヒータユニットにおけるステージの表面温度を、赤外線サーモグラフィ(FLIR社製)を用いて測定した。実施例1および比較例1に係るヒータユニットのIR画像を
図7(B)および
図8(B)に示す。
図7(B)において、実施例1に係るヒータユニットのT2−N2線(Line1)、U2−O2線(Line2)、V2−P2線(Line3)、Q2−W2線(Line4)、R2−L2線(Line5)、S2−M2線(Line6)上の温度変化を
図7(C)に示す。
図8(B)において、比較例1に係るヒータユニットのN1−J1線(Line1)、O1−K1線(Line2)、L1−P1線(Line3)、M1−I1線(Line4)上の温度変化を
図7(C)に示す。
【0070】
図7(B)および(C)に示すように、実施例1に係るヒータユニットでは、ステージの表面に大きな温度分布は観測されなかった。最大温度を示す位置は第1の基材の周辺領域であり、その温度は200.8℃であった。一方、最小温度を示した場所は第1の基材の最外周領域であり、その温度は198.7℃となり、最大温度差は約2℃であった。一方、
図8(B)および(C)に示すように、比較例1に係るヒータユニットでは、ステージの表面に大きな温度分布が観測され、周辺領域から中心領域に向かうにつれて温度が大きく低下した。最大温度を示す位置は第1の基材の周辺領域であり、その温度は204℃であった。一方、最小温度を示した場所は第1の基材の中央領域であり、その温度は196.1℃となり、最大温度差は約8℃であった。
【0071】
以上の結果より、実施例1にかかるヒータユニットにおいては、ステージの加熱を均一に行うことができることが分かった。したがって、このヒータユニットを備えた成膜装置や膜加工装置を用いることで、基板上に均一な特性を有する種々の薄膜を形成する、あるいは薄膜に対して基板上で均一な成形を行うことができるため、より精密に半導体プロセスを制御することが可能である。
【0072】
[実施例2]
図9(A)は、本発明の実施例2に係るヒータユニットのシースヒータのパターンレイアウトを示す断面構成図である。実施例2に係るヒータユニットは、上述した第1実施形態と略同様の構成であり、各パラメータは以下の通りである。
第1の基材および第2の基材の材質:アルミニウム
第1の基材および第2の基材の厚さ:5mm
第1の基材および第2の基材の直径:330mm
シースヒータのパターン:1ゾーン(
図9(A))
シースヒータの形態:2芯片端子型
シースヒータの最小屈曲半径:9mm
発熱線20の材質:ニッケル−クロム合金(ニッケル80%、クロム20%)
発熱線20の帯線の幅d1:0.75mm
発熱線20の帯線の厚みd2:0.2mm
2軸の発熱線20同士の最短距離:0.5mm
発熱線20の回転軸間の距離:1.5mm
発熱線20の回転径:1mm
発熱線20の回転ピッチL1:2mm
金属シース40と発熱線20との最短距離:0.5mm
金属シース40の材質:アルミニウム
金属シース40の内径d3:3.5mm
金属シース40の厚みd4:0.5mm
金属シース40の外径d5:4.5mm
【0073】
[比較例2]
図10(A)は、本発明の比較例2に係るヒータユニットのシースヒータのパターンレイアウトを示す断面構成図である。比較例2に係るヒータユニットは、丸線の発熱線を直線状に配置した2芯片端子型のシースヒータを備える。比較例2に係るヒータユニットは、発熱線の材質がニッケル−クロム合金であり、金属シースの材質がSUSである。各パラメータは以下の通りである。
第1の基材および第2の基材の材質:アルミニウム
第1の基材および第2の基材の厚さ:5mm
第1の基材および第2の基材の直径:330mm
シースヒータのパターン:1ゾーン(
図10(A))
シースヒータの形態:2芯片端子型
シースヒータの最小屈曲半径:8mm
発熱線の材質:ニッケル−クロム合金(ニッケル80%、クロム20%)
発熱線の丸線の直径:Φ0.53mm
2軸の発熱線同士の最短距離:0.6mm
金属シースと発熱線との最短距離:0.6mm
金属シースの材質:SUS
金属シースの内径:2.54mm
金属シースの厚み:0.33mm
金属シース40の外径:3.2mm
なお、比較例2と同様の構成を有する(発熱線を直線状に配置した)シースヒータは、発熱線の材質がニッケル−クロム合金で、金属シースの材質がアルミニウムでは、それぞれの熱膨張率の差が大きいことから断線が問題となった。
【0074】
[パターンレイアウト]
上述した実施例2および比較例2のヒータユニットにおけるシースヒータのパターンレイアウトを比較した。実施例2および比較例2のヒータユニットにおけるシースヒータは、2芯片端子型の構成を有することで、シャフトの中空部におけるシースヒータの取り出しがシースヒータ1本当たり1本となる。このため、シャフトの中空部を有効に活用することができ、何れも2つ以上のシースヒータをヒータユニットに配置することが可能である。また、シースヒータの外径が細径であるため、ヒータユニットに微細なパターン形状をレイアウトすることが可能である。実施例2および比較例2においては、
図9(A)および
図10(A)に示すように配置した。
【0075】
[熱サイクル試験後のステージ表面形状の評価]
実施例2および比較例2に係るヒータユニットを用いて、150℃および400℃の温度昇降を500サイクル繰り返す熱サイクル試験を行った。熱サイクル試験後、実施例2および比較例2に係るヒータユニットのステージの表面形状を、三次元測定機(ミツトヨ社製)を用いて測定した。実施例2および比較例2に係るヒータユニットのステージの高さのばらつきを
図9(B)および
図10(B)に示す。
【0076】
図9(B)に示すように、実施例2に係るヒータユニットでは、ステージの表面に大きな高低差は観測されなかった。ステージの表面の平面度は0.0075であった。一方、
図10(B)に示すように、比較例2に係るヒータユニットでは、ステージの表面に大きな高低差が観測され、ステージ周辺領域から中心領域に向かうにつれて大きく隆起した。ステージの表面の平面度は0.2048であった。比較例2においては、金属シースの材料がSUSであり、第1の基材および第2の基材の材質がアルミニウムであることから、熱膨張率の差が大きく、熱サイクル試験によって変形したと考えられる。
【0077】
[熱サイクル試験後のステージ表面および非加熱対象表面における温度分布の評価]
上述した熱サイクル試験後の実施例2に係るヒータユニットを用いて、ヒータ加熱時の温度分布を測定した。実施例2におけるヒータ加熱時(360℃)の設定条件は以下の通りである。
シースヒータが発生する熱量:2000W
【0078】
上述した熱サイクル試験後の比較例2に係るヒータユニットを用いて、ヒータ加熱時の温度分布を測定した。比較例2におけるヒータ加熱時(360℃)の設定条件は以下の通りである。
シースヒータが発生する熱量:2000W
【0079】
上記設定条件下において平衡に達した時の実施例2および比較例2に係るヒータユニットにおけるステージの表面温度を、赤外線サーモグラフィ(FILR社製)を用いて測定した。実施例2および比較例2に係るヒータユニットのIR画像を
図9(C)および
図10(C)に示す。同様の設定条件下において平衡に達した時の実施例2および比較例2に係るヒータユニットにおける非加熱対象(この場合、ウエハ)の表面温度を、赤外線サーモグラフィ(FILR社製)を用いて測定した。実施例2および比較例2に係るヒータユニット上の非加熱対象のIR画像を
図9(D)および
図10(D)に示す。
【0080】
図9(C)および(D)に示すように、実施例2に係るヒータユニットでは、ステージの表面および非加熱対象の表面に大きな温度分布は観測されなかった。ステージの表面の最大温度差は9.82℃で、非加熱対象の表面の最大温度差は9.51℃であった。一方、
図10(C)および(D)に示すように、比較例2に係るヒータユニットでは、ステージの表面に大きな温度分布は観測されなかったが、非加熱対象の表面に大きな温度分布が観測された。非加熱対象の表面では、周辺領域から中心領域に向かうにつれて温度が大きく上昇した。ステージの表面の最大温度差は8.55℃で、非加熱対象の表面の最大温度差は15.53℃であった。比較例2においては、非加熱対象を載置するステージの変形が、非加熱対象の温度分布に大きく影響したと考えられる。
【0081】
以上の結果より、実施例2にかかるヒータユニットにおいては、ステージの変形を抑制し、非加熱対象の加熱を均一に行うことができることが分かった。したがって、このヒータユニットを備えた成膜装置や膜加工装置を用いることで、基板上に均一な特性を有する種々の薄膜を形成する、あるいは薄膜に対して基板上で均一な成形を行うことができるため、より精密に半導体プロセスを制御することが可能である。
【0082】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0083】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。