特許第6902388号(P6902388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6902388-矯正用衣類 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902388
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】矯正用衣類
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20210701BHJP
   A41C 1/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A61F5/02 K
   A41C1/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-86624(P2017-86624)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-183374(P2018-183374A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】512007672
【氏名又は名称】小林 篤史
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 和枝
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−048546(JP,A)
【文献】 特許第5038537(JP,B1)
【文献】 特開2013−253335(JP,A)
【文献】 特開2007−275139(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3118296(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3151446(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01 − A61F 5/02
A41C 1/00 − A41C 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成され、装着者の腰部に配置される腰ベルト部と、
前記腰ベルト部よりも下方に位置し、前記装着者の前下腹部を覆う前身頃と、前記腰ベルト部よりも下方に位置し、前記装着者の臀部を覆う後身頃と、を備える身頃部と、
前記装着者の内股の間に配置される股被覆部と、
を有し、
前記前身頃は、上下方向に沿って延びる帯状であり上下方向に沿って弾性変形可能な弾性繊維素地により形成され、前記前身頃における幅方向の中央に配置され、上端部が前記腰ベルト部に接続され、下端部が前記装着者の恥骨に対応した位置に配置されて前記股被覆部に接続され、弾性力により上方に向かって締め付ける第一締付部を有し、
前記身頃部は、弾性繊維素材により形成されて前記装着者の左側腸骨を含む左側臀部を覆い、幅方向における一側が前記前身頃の前記第一締付部に接続され他側が前記後身頃に配置される左方締付部と、前記装着者の右側腸骨を含む右側臀部を覆い、幅方向における一側が前記前身頃の前記第一締付部に接続され他側が前記後身頃に配置される右方締付部と、を有し、前記左方締付部の他側と前記右方締付部の他側とが前記後身頃の幅方向における中央で互いに接続されて、弾性力により前記装着者の前記左側腸骨を含む前記左側臀部および前記右側腸骨を含む前記右側臀部を左右方向から斜め下方であって尾骨に向かう方向に締め付ける第二締付部を有する、
ことを特徴とする矯正用衣類。
【請求項2】
前記腰ベルト部の後方縁部は、後方から見て、幅方向における中央部分が前記腰ベルト部の前方縁部よりも下方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の矯正用衣類。
【請求項3】
前記前身頃における左右の脚ぐりは、前方から見て、それぞれ上方に頂部を有するV字状に形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の矯正用衣類。
【請求項4】
前記矯正用衣類は下着であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の矯正用衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、矯正用衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の腰部や臀部に装着し、装着者の骨盤を矯正するとともに、装着者の姿勢を正すことを目的とするサポータや矯正用衣類が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の下着は、下臀部から下腹部および腰部に渡って配置された比較的強い引っ張り応力を備えた当て布を有し、この当て布が下臀部を腰部によって上方に引き上げる引上げ端部と、下臀部から下腹部を締め付ける締付け端部と、引上げ端部を締付け端部から分けるように形成された切込み部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3134739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、下臀部を上方に引き上げる場合、装着者の背筋が反る方向に荷重が加わることとなる。このため、装着者は腰痛になりやすいという問題がある。したがって、従来技術にあっては、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正するという点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みたものであって、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる矯正用衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の矯正用衣類は、環状に形成され、装着者の腰部に配置される腰ベルト部と、前記腰ベルト部よりも下方に位置し、前記装着者の前下腹部を覆う前身頃と、前記腰ベルト部よりも下方に位置し、前記装着者の臀部を覆う後身頃と、を備える身頃部と、前記装着者の内股の間に配置される股被覆部と、を有し、前記前身頃は、上下方向に沿って延びる帯状であり上下方向に沿って弾性変形可能な弾性繊維素地により形成され、前記前身頃における幅方向の中央に配置され、上端部が前記腰ベルト部に接続され、下端部が前記装着者の恥骨に対応した位置に配置されて前記股被覆部に接続され、弾性力により上方に向かって締め付ける第一締付部を有し、前記身頃部は、弾性繊維素材により形成されて前記装着者の左側腸骨を含む左側臀部を覆い、幅方向における一側が前記前身頃の前記第一締付部に接続され他側が前記後身頃に配置される左方締付部と、前記装着者の右側腸骨を含む右側臀部を覆い、幅方向における一側が前記前身頃の前記第一締付部に接続され他側が前記後身頃に配置される右方締付部と、を有し、前記左方締付部の他側と前記右方締付部の他側とが前記後身頃の幅方向における中央で互いに接続されて、弾性力により前記装着者の前記左側腸骨を含む前記左側臀部および前記右側腸骨を含む前記右側臀部を左右方向から斜め下方であって尾骨に向かう方向に締め付ける第二締付部を有する、ことを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、本発明の矯正用衣類は、装着者の恥骨を持ち上げるように、上方に向かって締め付ける第一締付部を有するので、矯正用衣類の装着者は、恥骨が上方に持ち上げられることにより、腹部が凹むように第一締付部から締付力を受けることができる。
また、本発明の矯正用衣類は、装着者の左側腸骨を含む左側臀部および右側腸骨を含む右側臀部を、尾骨に向かう方向に締め付ける第二締付部を有するので、左側腸骨および右側腸骨を装着者の正中線に向かって斜め下方に締め付けるとともに、仙骨を下方の尾骨に向かって締め付けることができる。これにより、装着者の臀部が引き締められるとともに、背筋を反らすことなく延ばすことができる。
したがって、本発明の矯正用衣類によれば、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる。
【0010】
この構成によれば、第一締付部および第二締付部は、それぞれ弾性力により締め付けるので、締め付けるバンド等を別途設けることなく、例えば伸張可能な生地により矯正用衣類を作成できる。したがって、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる矯正用衣類を低コストに提供することができる。
【0012】
この構成によれば、第一締付部は、前身頃において恥骨に対応した位置から腰ベルト部に向かって上方に延びているので、確実に恥骨を上方に持ち上げるように締め付けることができる。したがって、本発明の矯正用衣類によれば、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる。
【0014】
この構成によれば、第二締付部は、前身頃と後身頃とにわたって形成されているので、左側腸骨および右側腸骨を装着者の正中線に向かって斜め下方に締め付けるとともに、仙骨を下方の尾骨に向かって締め付けることができる。
さらに、第二締付部は、前身頃と後身頃とにわたって形成されることにより、左右の大転子を覆った状態で締付力を発生することができる。これにより、矯正用衣類の第二締付部は、左右の大転子を下方の尾骨に向かって締め付けることができるので、装着者の臀部がさらに引き締められるとともに、背筋を反らすことなく延ばすことができる。
【0015】
また、本発明の矯正用衣類は、前記腰ベルト部の後方縁部は、後方から見て、幅方向における中央部分が前記腰ベルト部の前方縁部よりも下方に位置するように形成されていることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、腰ベルト部の後方縁部は、後方から見て、幅方向における中央部分が腰ベルト部の前方縁部よりも下方に位置するように形成されているので、装着者の背筋が延びたときに、腰ベルト部の後方縁部と干渉するのを抑制できる。したがって、本発明の矯正用衣類によれば、心地よい装着感を維持して腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる。
【0017】
また、本発明の矯正用衣類は、前記前身頃における左右の脚ぐりは、前方から見て、それぞれ上方に頂部を有するV字状に形成されていることを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、前身頃における左右の脚ぐりは、それぞれ上方に頂部を有するV字状に形成されているので、矯正用衣類の装着時において、装着者の腿と脚ぐりとの干渉を抑制し、股や大腿部への負担を軽減できる。したがって、本発明の矯正用衣類によれば、心地よい装着感を維持して腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる。
【0019】
また、本発明の矯正用衣類は、下着であることを特徴としている。
【0020】
この構成によれば、矯正用衣類は、下着であるので、他者に気付かれることなく装着することができる。したがって、本発明によれば、周囲を気にすることなく矯正用衣類を使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の矯正用衣類によれば、装着者の恥骨を持ち上げるように、上方に向かって締め付ける第一締付部を有するので、矯正用衣類の装着者は、恥骨が上方に持ち上げられることにより、腹部が凹むように第一締付部から締付力を受けることができる。
また、本発明の矯正用衣類は、装着者の左側腸骨を含む左側臀部および右側腸骨を含む右側臀部を、尾骨に向かう方向に締め付ける第二締付部を有するので、左側腸骨および右側腸骨を装着者の正中線に向かって斜め下方に締め付けるとともに、仙骨を下方の尾骨に向かって締め付けることができる。これにより、装着者の臀部が引き締められるとともに、背筋を反らすことなく延ばすことができる。
したがって、本発明の矯正用衣類によれば、装着者の腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤を矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る矯正用衣類を前方から見たときの説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る矯正用衣類を後方から見たときの説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る矯正用衣類を装着したときの骨盤に対する作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る矯正用衣類を前方から見たときの説明図である。
図2は、本発明の実施形態に係る矯正用衣類を後方から見たときの説明図である。
図1および図2では、ユーザーである装着者Uを二点鎖線で図示している。また、図1および図2では、装着者Uの骨盤100について、透過した状態で図示している。また、以下の説明における前後上下左右幅方向は、装着者Uから見た前後上下左右幅方向と一致している。
【0024】
図1および図2に示すように、本実施形態の矯正用衣類1は、いわゆるショーツと呼ばれる女性用の下着である。なお、以下に説明する矯正用衣類1が女性用の下着である場合は、本発明の実施形態の一例である。したがって、本発明が適用される矯正用衣類1は、女性用の下着に限定されない。
本実施形態の矯正用衣類1は、装着者Uの下半身に装着されるものであって、例えば全体がポリウレタン繊維や、脂肪族ポリアミド繊維等を合わせて編み込み形成されている。矯正用衣類1は、腰ベルト部3と、身頃部5とを有する。
【0025】
腰ベルト部3は、矯正用衣類1が装着者Uの下半身に装着されたときに、装着者Uの腰部のウエストラインに沿って配置される。腰ベルト部3は、環状に形成されている。腰ベルト部3は、周方向に沿って弾性変形可能なゴム編み生地等の弾性繊維素材により形成されており、伸縮性を有している。
腰ベルト部3の直径は、装着者Uのウエストサイズよりも若干小さくなるように設定されている。このため、矯正用衣類1は、装着者Uが下半身に装着した時に、腰ベルト部3の収縮力によって装着者Uの腰部に係止される。
【0026】
腰ベルト部3の上方に位置する縁部31のうち、脇中央部よりも前方は前方縁部31aとなっており、脇中央部よりも後方は後方縁部31bとなっている。
腰ベルト部3の後方縁部31bは、後方から見て、幅方向における中央部分31cが腰ベルト部3の前方縁部31aよりも下方に位置する。具体的に、後方縁部31bは、後方から見て、脇中央部から幅方向における中央部分31cに向かって、下方に傾斜するように形成されている。
【0027】
身頃部5は、腰ベルト部3の下方に位置しており、前身頃51と、後身頃56と、を備える。
前身頃51は、身頃部5のうち脇中央部よりも前方に位置しており、装着者Uの前下腹部102を覆っている。前身頃51は、例えばレース生地等により装飾が施されていてもよい。前身頃51は、第一締付部11と、一対の脚ぐり54,54を有する。
【0028】
第一締付部11は、上下方向に沿って延びる帯状に形成されている。第一締付部11は、前身頃51における幅方向の中央に配置されている。第一締付部11の上端部53aは、腰ベルト部3の縁部31に配置されている。第一締付部11の下端部53bは、前方から見て、恥骨101に対応した位置に配置されている。第一締付部11の下端部53bは、内股の間に配置される股被覆部52に接続されている。これにより、第一締付部11は、前身頃51において、装着者Uの恥骨101に対応した位置から腰ベルト部3に向かって上方に延びるように配置されている。
【0029】
第一締付部11は、長手方向(すなわち上下方向)に沿って弾性変形可能なゴム編み生地等の弾性繊維素材により形成されており、伸縮性を有している。第一締付部11は、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、装着者Uの恥骨101を持ち上げるように、上方に向かって締め付ける(図1における矢印F1参照)。これにより、矯正用衣類1の装着者Uは、恥骨101が上方に持ち上げられることにより、腹部が凹むように第一締付部11から締付力を受ける。
【0030】
一対の脚ぐり54,54は、第一締付部11および股被覆部52を挟んで幅方向における両側に設けられている。一対の脚ぐり54,54は、装着者Uの脚が貫通可能な孔となっている。一対の脚ぐり54,54には、それぞれ装着者Uの右大腿部と左大腿部とが配置される。ここで、一対(左右)の脚ぐり54,54は、前方から見て、それぞれ上方に頂部54a,54aを有するV字状に形成されている。このため、装着者Uは、矯正用衣類1の装着時において、脚ぐり54,54が円弧状に形成されている場合と比較し、装着者Uの腿(大腿部)と脚ぐり54,54との干渉が抑制される。
【0031】
後身頃56は、身頃部5のうち脇中央部よりも後方に位置しており、装着者Uの臀部105を覆っている。後身頃56の幅方向における中央には、後述の第二締付部12を構成する左方締付部12Aと右方締付部12Bとを縫合する縫合部57が設けられている。縫合部57は、上下方向に沿って延びている。具体的に縫合部57は、上端が腰ベルト部3の後方縁部31bの中央部分31cと接続されており、下端が股被覆部52に接続されている。後身頃56は、前身頃51と同様に、例えばレース生地等により装飾が施されていてもよい。
【0032】
ここで、身頃部5は、第二締付部12を有する。第二締付部12は、前身頃51と後身頃56とにわたって形成されており、左方締付部12Aと右方締付部12Bとを有する。
左方締付部12Aおよび右方締付部12Bは、第一締付部11と同様に、弾性変形可能なゴム編み生地等の弾性繊維素材により形成されており、伸縮性を有している。左方締付部12Aおよび右方締付部12Bは、それぞれ対称形状となるように形成されている。
【0033】
左方締付部12Aの幅方向における一側は、前身頃51に配置されており、第一締付部11に接続されている。左方締付部12Aの幅方向における他側は、後身頃56に配置されている。これにより、左方締付部12Aは、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aを覆うように配置される。
【0034】
右方締付部12Bの幅方向における一側は、前身頃51に配置されており、第一締付部11に接続されている。右方締付部12Bの幅方向における他側は、後身頃56に配置されている。これにより、右方締付部12Bは、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、装着者Uの右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを覆うように配置される。
【0035】
上述のように配置された左方締付部12Aと右方締付部12Bとは、左方締付部12Aの幅方向における他側と、右方締付部12Bの幅方向における他側とが、後身頃56の幅方向の中央において縫合部57により互いに縫合されて接続されている。このように、第二締付部12は、前身頃51と後身頃56とにわたって形成される。これにより、左右の大転子110A,110Bを覆った状態で締付力を発生することができる。
【0036】
第二締付部12を構成する左方締付部12Aは、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、弾性力により装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aを尾骨107に向かう方向に締め付ける。第二締付部12を構成する右方締付部12Bは、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、弾性力により装着者Uの右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを尾骨107に向かう方向に締め付ける。
すなわち、第二締付部12は、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、弾性力により装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aおよび右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを、尾骨107に向かう方向に締め付ける(図2における矢印F2参照)。また、このとき、第二締付部12は、装着者Uが矯正用衣類1を装着した時に、仙骨109を下方の尾骨107に向かって締め付ける。これにより、装着者Uの臀部105は、第二締付部12により、左右方向から斜め下方に向かって引き締められる。
【0037】
以下に、本実施形態の矯正用衣類1の作用について説明する。
上述の実施形態の矯正用衣類1は、環状に形成され、装着者Uの腰部に配置される腰ベルト部3と、腰ベルト部3よりも下方に位置し、装着者Uの前下腹部102を覆う前身頃51と、装着者Uの臀部105を覆う後身頃56と、を備えた身頃部5と、装着者Uの恥骨101を持ち上げるように、上方に向かって締め付ける第一締付部11と、装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aおよび右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを、尾骨107に向かう方向に締め付ける第二締付部12と、を有する。
【0038】
この構成によれば、本実施形態の矯正用衣類1は、装着者Uの恥骨101を持ち上げるように、上方に向かって締め付ける第一締付部11を有するので、矯正用衣類1の装着者Uは、恥骨が上方に持ち上げられることにより、腹部が凹むように第一締付部11から締付力を受けることができる。
また、本実施形態の矯正用衣類1は、装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aおよび右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを、尾骨107に向かう方向に締め付ける第二締付部12を有するので、左側腸骨103Aおよび右側腸骨103Bを装着者の正中線に向かって斜め下方に締め付けるとともに、仙骨109を下方の尾骨107に向かって締め付けることができる。これにより、装着者Uの臀部105が引き締められるとともに、背筋を反らすことなく延ばすことができる。
したがって、本実施形態の矯正用衣類1によれば、装着者Uの腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤100を矯正することができる。
【0039】
また、本実施形態の矯正用衣類1は、第一締付部11は、弾性力により装着者Uの恥骨101を持ち上げるように、上方に向かって締め付け、第二締付部12は、弾性力により装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aおよび右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを、尾骨107に向かう方向に締め付ける。
【0040】
この構成によれば、第一締付部11および第二締付部12は、それぞれ弾性力により締め付けるので、締め付けるバンド等を別途設けることなく、例えば伸張可能な生地により矯正用衣類1を作成できる。したがって、装着者Uの腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤100を矯正することができる矯正用衣類1を低コストに提供することができる。
【0041】
また、本実施形態の矯正用衣類1は、第一締付部11は、前身頃51において、装着者Uの恥骨101に対応した位置から腰ベルト部3に向かって上方に延びている。
【0042】
この構成によれば、第一締付部11は、前身頃51において恥骨101に対応した位置から腰ベルト部3に向かって上方に延びているので、確実に恥骨101を上方に持ち上げるように締め付けることができる。したがって、本実施形態の矯正用衣類1によれば、装着者Uの腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤100を矯正することができる。
【0043】
また、本実施形態の矯正用衣類1は、第二締付部12は、前身頃51と後身頃56とにわたって形成されている。
【0044】
この構成によれば、第二締付部12は、前身頃51と後身頃56にわたって形成されているので、左側腸骨103Aおよび右側腸骨103Bを装着者Uの正中線に向かって斜め下方に締め付けるとともに、仙骨109を下方の尾骨107に向かって締め付けることができる。
さらに、第二締付部12は、前身頃51と後身頃56とにわたって形成されることにより、左右の大転子110A,110Bを覆った状態で締付力を発生することができる。これにより、矯正用衣類1の第二締付部12は、左右の大転子110A,110Bを下方の尾骨107に向かって締め付けることができるので、装着者Uの臀部105がさらに引き締められるとともに、背筋を反らすことなく延ばすことができる。
【0045】
また、本実施形態の矯正用衣類1は、腰ベルト部3の後方縁部31bは、後方から見て、幅方向における中央部分31cが腰ベルト部3の前方縁部31aよりも下方に位置するように形成されている。
【0046】
この構成によれば、腰ベルト部3の後方縁部31bは、後方から見て、幅方向における中央部分31cが腰ベルト部3の前方縁部31aよりも下方に位置するように形成されているので、装着者Uの背筋が延びたときに、腰ベルト部3の後方縁部31bと干渉するのを抑制できる。したがって、本実施形態の矯正用衣類1によれば、心地よい装着感を維持して腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤100を矯正することができる。
【0047】
また、本実施形態の矯正用衣類1は、前身頃51における左右の脚ぐり54,54は、前方から見て、それぞれ上方に頂部を有するV字状に形成されている。
【0048】
この構成によれば、前身頃51における左右の脚ぐり54,54は、それぞれ上方に頂部を有するV字状に形成されているので、矯正用衣類1の装着時において、装着者Uの腿と脚ぐりとの干渉を抑制し、股や大腿部への負担を軽減できる。したがって、本実施形態の矯正用衣類1によれば、心地よい装着感を維持して腰痛を防止しつつ、姿勢を正すように骨盤100を矯正することができる。
【0049】
また、本実施形態の矯正用衣類は、下着であることを特徴としている。
【0050】
この構成によれば、矯正用衣類1は、下着であるので、他者に気付かれることなく装着することができる。したがって、本実施形態によれば、周囲を気にすることなく矯正用衣類1を使用することができる。
【0051】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0052】
上述の実施形態では、本発明にかかる矯正用衣類1として、いわゆるショーツと呼ばれる女性用の下着を例に説明をしたが、本発明の適用はショーツに限定されない。したがって、本発明にかかる矯正用衣類1としては、例えばいわゆるガードルやインナーボトム、スパッツパンティストッキング等であってもよい。
また、本発明にかかる矯正用衣類1は、上述の女性用の下着に限定されない。したがって、例えばいわゆるブリーフと呼ばれる男性用の下着であってもよい。
【0053】
さらに、本発明にかかる矯正用衣類1は、下着に限定されない。したがって、本発明にかかる矯正用衣類1は、例えばカーゴパンツやジーンズ等のズボンであってもよい。
【0054】
上述の実施形態において、第一締付部11は、弾性力により装着者Uの恥骨を持ち上げるように上方に向かって締め付け、第二締付部12は、弾性力により装着者Uの左側腸骨103Aを含む左側臀部105Aおよび右側腸骨103Bを含む右側臀部105Bを、尾骨に向かう方向に締め付けていた。
これに対して、第一締付部11および第二締付部12の締め付け力は、弾性力により発生する形態に限定されない。したがって、第一締付部11および第二締付部12の締め付け力は、例えば締め付け可能なベルトを利用して発生させてもよい。また、第一締付部11および第二締付部12の締め付け力は、例えば面ファスナーを利用して発生させてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 矯正用衣類
3 腰ベルト部
11 第一締付部
12 第二締付部
31a 前方縁部
31b 後方縁部
31c 中央部分
51 前身頃
54 脚ぐり
56 後身頃
101 恥骨
102 前下腹部
103A 左側腸骨
103B 右側腸骨
105 臀部
105A 左側臀部
105B 右側臀部
107 尾骨
U 装着者
図1
図2
図3