特許第6902403号(P6902403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902403
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/03 20060101AFI20210701BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20210701BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20210701BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01R13/03 D
   H01R13/04 E
   H01R13/11 K
   H05K3/40 C
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-112546(P2017-112546)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2018-206667(P2018-206667A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宮川 大亮
(72)【発明者】
【氏名】岡部 敏明
(72)【発明者】
【氏名】和田 圭史
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−115204(JP,A)
【文献】 特開2012−121262(JP,A)
【文献】 特開2006−245582(JP,A)
【文献】 特開2014−107505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/03
H01R 13/04
H01R 13/11
H05K 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属母材となる板金の相手側端子の接点部となる箇所にめっき部を設け、
前記めっき部に凹部を形成し、
前記凹部の底面に凸部を形成し、
前記凹部内にめっきの金属材料を塗布した後で焼成したことを特徴とする端子。
【請求項2】
属母材となる板金の表面にニッケル下地めっき層を積層形成し、
前記ニッケル下地めっき層の手側端子の接点部となる箇所にめっき部を設け、
前記めっき部に凹部を形成し
前記凹部の底面に凸部を形成し、
前記凹部内にめっきの金属材料を塗布した後で焼成したことを特徴とする端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側端子と電気的に接触する接点部にめっきを施した自動車用コネクタ端子等の端子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の端子の接点部にめっきを施す技術として、特許文献1に開示された高密着性金属ナノ粒子焼結体膜の形成方法がある。この形成方法は、図25(a),(b),(c)に示すように、撥液剤被覆層2により表面をコートした基板1上に、所定の塗布液厚で金属ナノ粒子分散液を塗布し、該塗布液層5の表面から、所定の波長のレーザ光を垂直照射し、金属ナノ粒子分散液と接する撥液剤被覆層2のレーザ露光領域を選択的に除去し、引き続き、塗布液層5に所定の波長のレーザ光を照射し、基板1と塗布液層5との境界面の温度を上昇させ、該基板1の表面に高い密着性を示す金属ナノ粒子焼結体膜6を形成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−283783号公報(図1
【特許文献2】特開2010−181536号公報(図14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の金属ナノ粒子焼結体膜6を形成する技術を端子の接点部のめっき処理に適用した場合、液状のめっき金属材料を塗布した後の焼成時に液膜周辺部で膜が厚くなるコーヒーステイン現象が起きてめっき膜を平らに形成することが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部のめっき膜全体を平らにすることができる端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属母材となる板金の相手側端子の接点部となる箇所にめっき部を設け、前記めっき部に凹部を形成し、前記凹部の底面に凸部を形成し、前記凹部内にめっきの金属材料を塗布した後で焼成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、金属母材となる板金の表面にニッケル下地めっき層を積層形成し、前記ニッケル下地めっき層の手側端子の接点部となる箇所にめっき部を設け、前記めっき部に凹部を形成し、前記凹部の底面に凸部を形成し、前記凹部内にめっきの金属材料を塗布した後で焼成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、金属母材となる板金や板金の表面に積層形成したニッケル下地めっき層の相手側端子の接点部となるめっき部に凹部を形成し、この凹部の底面に凸部を形成し、かつ、凹部内にめっきの金属材料を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部のめっき膜全体を平らにすることができる。また、相手側端子の接続時に接点部のめっき膜の端部が相手側端子と干渉しないため、めっき膜の端部の剥がれを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図2図1中A−A線に沿う断面図である。
図3】(a)は上記板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図4】(a)は上記板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図5】本発明の第2実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図6図5中B−B線に沿う断面図である。
図7】(a)は上記第2実施形態の板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図8】(a)は上記第2実施形態の板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図9】本発明の第3実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図10図9中C−C線に沿う断面図である。
図11】(a)は上記第3実施形態の板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図12】(a)は上記第3実施形態の板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図13】本発明の第4実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図14図13中D−D線に沿う断面図である。
図15】(a)は上記第4実施形態の板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図16】(a)は上記第4実施形態の板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図17】本発明の第5実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図18図17中E−E線に沿う断面図である。
図19】(a)は上記第5実施形態の板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図20】(a)は上記第5実施形態の板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図21】本発明の第6実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図である。
図22図21中F−F線に沿う断面図である。
図23】(a)は上記第6実施形態の板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図である。
図24】(a)は上記第6実施形態の板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
図25】従来の金属ナノ粒子焼結体膜を形成するプロセスを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図2図1中A−A線に沿う断面図、図3(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図3(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図4(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図4(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、自動車用端子材料である銅合金製の板金(金属母材)10を1次プレス加工で打ち抜いたブランク11に、相手側端子30の接点部となる箇所にめっき部12を設けてある。このめっき部12には、ブランク11の表面11aより一定の深さtを有して四角形状に凹んだ凹部(凹形状部)13を形成してある。
【0013】
図3(a)に示すように、ブランク11の凹部13内には、金属成分を有するインク(めっきの金属材料)21を山盛りに塗布する。そして、図3(b)に示すように、インク21をヒータ或いはレーザ等により加熱して、その熱により焼成する。この焼成した後で、ブランク11を2次プレス加工でメス形やオス形或いは角線材形に打ち抜いて端子10Aを形成する。この焼成と打ち抜き加工により、端子10Aの接点部12には、ブランク11の表面11aと面一で全体が平らなめっき膜20が形成される。
【0014】
また、図4(a)に示すように、ブランク11の凹部13内には、ペースト状の金属材料(めっきの金属材料)22をブランク11の表面11aより一定の高さh突出させて塗布する。そして、図4(b)に示すように、ペースト状の金属材料22をヒータ或いはレーザ等により加熱して、その熱により焼成する。この焼成した後で、ブランク11を2次プレス加工でメス形やオス形或いは角線材形に打ち抜いて端子10Aを形成する。この焼成と打ち抜き加工により、端子10Aの接点部12には、ブランク11の表面11aと面一で全体が平らなめっき膜20が形成される。
【0015】
以上第1実施形態の端子10Aによれば、銅合金製の板金10の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角形状の凹部13を形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Aの接続安定性を向上させることができる。
【0016】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の相手側端子30の接点部となる箇所に凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0017】
また、図3(a)に示すように、ブランク11に形成された凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、インク21の表面張力で塗布範囲を限定することができる。また、図4(a)に示すように、ブランク11に形成された凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、塗布範囲を限定することができる。これらの塗布範囲の限定により、塗布をめっきが必要な最小範囲に限定することで、めっきの材料費を削減することができる。
【0018】
さらに、端子10Aの接点部である凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図3(b)及び図4(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0019】
図5は本発明の第2実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図6図5中B−B線に沿う断面図、図7(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図7(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図8(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図8(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0020】
この第2実施形態では、図5及び図6に示すように、ブランク11のめっき部12に設ける凹部13をブランク11の表面11aから一体突出形成した四角枠状の突起14により形成してある点が、前記第1実施形態と異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0021】
以上第2実施形態の端子10Bによれば、銅合金製の板金10の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角枠状の突起14を一体突出形成して四角形状の凹部13を形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Bの接続安定性を向上させることができる。
【0022】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の相手側端子30の接点部となる箇所に四角枠状の突起14を一体突出形成して凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0023】
また、図7(a)に示すように、ブランク11に四角枠状の突起14を介して形成された凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、インク21の表面張力で塗布範囲を限定することができる。また、図8(a)に示すように、ブランク11に四角枠状の突起14を介して形成された凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、塗布範囲を限定することができる。これらの塗布範囲の限定により、塗布をめっきが必要な最小範囲に限定することで、めっきの材料費を削減することができる。
【0024】
さらに、端子10Bの接点部である凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図7(b)及び図8(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0025】
図9は本発明の第3実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図10図9中C−C線に沿う断面図、図11(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図11(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図12(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図12(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0026】
この第3実施形態では、図9及び図10に示すように、ブランク11のめっき部12に設けられた凹部13の底面13aの内側に山形状の凸部13bを形成してある点が、前記第1実施形態と異なる。この凸部13bは、焼成時にコーヒーステイン現象を回避する形状になっている。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
以上第3実施形態の端子10Cによれば、銅合金製の板金10の相手側端子30の接点部となるめっき部12に設けた四角形状の凹部13の底面13aの内側に凸部13bを形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Cの接続安定性を向上させることができる。
【0028】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の相手側端子30の接点部となる箇所に底面13aの内側に凸部13bを有した凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0029】
また、図11(a)に示すように、ブランク11に形成された底面13aの内側に凸部13bを有する凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、凹部13の底面13aとその内側の凸部13bの形状に沿った厚みでめっきすることができる。また、図12(a)に示すように、ブランク11に形成された底面13aの内側に凸部13bを有する凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、厚さの範囲を限定することができる。めっき膜20の厚みを凹部13で制限できるため、膜厚の管理が可能となり、必要最低限の膜厚でめっきを施すことができる。
【0030】
さらに、端子10Cの接点部である凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図11(b)及び図12(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0031】
図13は本発明の第4実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図14図13中D−D線に沿う断面図、図15(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図15(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図16(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図16(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0032】
この第4実施形態では、図13及び図14に示すように、ブランク11のめっき部12に設ける凹部13を、ブランク11の表面11aより一体突出形成した四角枠状の突起14と四角枠状の突起14内のブランク11の表面11aを該表面11aより深く掘り下げることにより形成すると共に、凹部13の底面13aの内側に山形状の凸部13bを形成してある点が、前記第1実施形態と異なる。この凸部13bは、焼成時にコーヒーステイン現象を回避する形状になっている。尚、他の構成は、前記第3実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
以上第4実施形態の端子10Dによれば、銅合金製の板金10の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角枠状の突起14を一体突出形成して四角形状の凹部13を形成すると共に凹部13の底面13aの内側に凸部13bを形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Dの接続安定性を向上させることができる。
【0034】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の相手側端子30の接点部となる箇所に四角枠状の突起14を介して底面13aの内側に凸部13bを有した凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0035】
また、図15(a)に示すように、ブランク11に四角枠状の突起14を介して形成された底面13aの内側に凸部13bを有する凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、凹部13の底面13aとその内側の凸部13bの形状に沿った厚みでめっきすることができる。また、図16(a)に示すように、ブランク11に四角枠状の突起14を介して形成された底面13aの内側に凸部13bを有する凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、厚さの範囲を限定することができる。めっき膜20の厚みを四角枠状の突起14で制限できるため、膜厚の管理が可能となり、必要最低限の膜厚でめっきを施すことができる。
【0036】
さらに、端子10Cの接点部である四角枠状の突起14を介して形成された凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図15(b)及び図16(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0037】
図17は本発明の第5実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図18図17中E−E線に沿う断面図、図19(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図19(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図20(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図20(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0038】
この第5実施形態では、図17及び図18に示すように、銅合金製の板金(金属母材)10を1次プレス加工で打ち抜いたブランク11の表面11aに、ニッケル(Ni)下地めっき層15を積層形成してあり、このニッケル下地めっき層15の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角形状の凹部13を形成してある点が、前記第1実施形態と異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
以上第5実施形態の端子10Eによれば、銅合金製のブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角形状の凹部13を形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Eの接続安定性を向上させることができる。
【0040】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15の相手側端子30の接点部となる箇所に凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0041】
また、図19(a)に示すように、ブランク11の表面11aに積層形成のニッケル下地めっき層15に形成された凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、凹部13の形状に沿った範囲と厚みでめっきすることができる。また、図20(a)に示すように、ブランク11の表面11aに積層形成のニッケル下地めっき層15に形成された凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、厚さと範囲を限定することができる。めっき膜20の厚みを凹部13で制限できるため、膜厚の管理が可能となり、必要最低限の膜厚でめっきを施すことができる。また、塗布をめっきが必要な最小範囲に限定することで、めっきの材料費を削減することができる。
【0042】
さらに、端子10Eの接点部である凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図19(b)及び図20(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0043】
図21は本発明の第6実施形態の銅合金の板金を打ち抜き形成したブランクの平面図、図22図21中F−F線に沿う断面図、図23(a)は同板金の凹部に金属成分を有するインクを塗布した状態を示す断面図、図23(b)は同インクを焼成してなる端子の部分断面図、図24(a)は同板金の凹部にペースト状の金属材料を塗布した状態を示す断面図、図24(b)は同ペースト状の金属材料を焼成してなる端子の部分断面図である。
【0044】
この第6実施形態では、図21及び図22に示すように、ブランク11のめっき部12に設ける凹部13を、ブランク11の表面11aに積層形成したニッケル(Ni)下地めっき層15の表面15aから一体突出形成した四角枠状の突起16により形成してある点が、前記第5実施形態と異なる。尚、他の構成は、前記第5実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
以上第6実施形態の端子10Fによれば、銅合金製のブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15の相手側端子30の接点部となるめっき部12に四角枠状の突起16を一体突出形成して四角形状の凹部13を形成し、この凹部13内に金属成分を有するインク21或いはペースト状の金属材料22を塗布した後で焼成したことにより、焼成時にコーヒーステイン現象が起きても接点部12のめっき膜20全体を平らにすることができる。このめっき膜20の表面を平らにすることができるため、相手側端子30に対する端子10Fの接続安定性を向上させることができる。
【0046】
また、銅合金製の板金10の1次プレス時に、ブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15の相手側端子30の接点部となる箇所に四角枠状の突起16を一体突出形成して凹部13を作製できるため、従来技術の撥液剤塗布やレーザでの除去の工程を省くことができる。この従来の工程を省くことができるため、より短時間にめっき処理が可能となる。
【0047】
また、図23(a)に示すように、ブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15に四角枠状の突起16を介して形成された凹部13内に金属成分を有するインク21を塗布する時に、凹部13の形状に沿った範囲と厚みでめっきすることができる。また、図24(a)に示すように、ブランク11の表面11aに積層形成したニッケル下地めっき層15に四角枠状の突起16を介して形成された凹部13内にペースト状の金属材料22を嵌め込むことで、厚さと範囲を限定することができる。めっき膜20の厚みを四角枠状の突起16で制限できるため、膜厚の管理が可能となり、必要最低限の膜厚でめっきを施すことができる。また、塗布をめっきが必要な最小範囲に限定することで、めっきの材料費を削減することができる。
【0048】
さらに、端子10Fの接点部である凹部13内に表面が平坦なめっき膜20を形成することができるため、図23(b)及び図24(b)に示すように、相手側端子30との接続時に、接点部12のめっき膜20の端部へのダメージがなく、めっき膜20の端部の剥がれを確実に防ぐことができる。
【0049】
尚、前記各実施形態によれば、金属母材として銅合金製の板金を用いたが、銅製やアルミニウム合金製等の板金を用いても良い。また、凹部は、四角形状に限らず、四角形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等でも良い。
【符号の説明】
【0050】
10 板金(金属母材)
11a 表面
10A〜10F 端子
12 めっき部(接点部)
13 凹部
13a 底面
13b 凸部
15 ニッケル下地めっき層
20 めっき膜
21 金属成分を有するインク(めっきの金属材料)
22 ペースト状の金属材料(めっきの金属材料)
30 相手側端子
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