特許第6902493号(P6902493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902493
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
   E06B7/14
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-67391(P2018-67391)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-178518(P2019-178518A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2020年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】合歡垣 慎也
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−007583(JP,U)
【文献】 特開2017−145588(JP,A)
【文献】 実開昭58−115694(JP,U)
【文献】 特開平05−209483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/14
E06B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水溝部を有する横材と、横材に取り付ける排水装置とを備え、排水溝部の室外側見付壁には、排水穴が形成してあり、排水装置は、排水経路延長容器と、排水具とを有し、排水経路延長容器は、上下方向の排水経路を延長するものであり係合部と排水穴を有し、排水具は、排水の入口と、出口と、入口と出口との間に設けた弁室とを有し、入口を開閉して弁室内で回動する弁が設けてあり、排水経路延長容器の係合部を排水溝部の排水穴に室外側から係合してあり、排水経路延長容器の排水穴に、排水溝部の排水穴にも着脱自在な排水具が取り付けてあり、排水溝部の底面よりも下に位置していることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下枠(横材)の排水溝部に形成した排水穴に排水具を取付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭50−121529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、排水穴と排水溝部の底面が略同一であるため、水密性能を向上させることが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、水密性能を向上させることができる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、排水溝部を有する横材と、横材に取り付ける排水装置とを備え、排水溝部の室外側見付壁には、排水穴が形成してあり、排水装置は、排水経路延長容器と、排水具とを有し、排水経路延長容器は、上下方向の排水経路を延長するものであり係合部と排水穴を有し、排水具は、排水の入口と、出口と、入口と出口との間に設けた弁室とを有し、入口を開閉して弁室内で回動する弁が設けてあり、排水経路延長容器の係合部を排水溝部の排水穴に室外側から係合してあり、排水経路延長容器の排水穴に、排水溝部の排水穴にも着脱自在な排水具が取り付けてあり、排水溝部の底面よりも下に位置していることを特徴とする建具である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、排水具を排水溝部の排水穴に取り付けてそのまま使用しても良いし、排水溝部の排水穴に排水経路延長容器を付けて、排水経路延長容器の排水穴に排水具を取付けて使用しても良い。排水経路延長容器を用いることで、水頭差を大きくして排水を促進するので、水密性能を向上させることもでき、ニーズに合わせた使い方ができる。
また、排水経路延長容器の係合部は、排水溝部の排水穴に室外側から係合するものなので、排水経路延長容器の上下方向の寸法を自由に変更することができ、それに応じた水密性能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる建具であって、図8に示すA−A断面図である。
図2図1と同じ位置における建具の断面図であって、排水溝部の排水穴に排水経路延長容器に代えて排水具を取付けた状態を示す図である。
図3】網戸及び目隠し材を外した状態の下枠及びその周囲部分を室外側から見た正面図であり、(a)は下枠の排水穴に排水具を取付けた状態を示し、(b)は下枠の排水穴に排水装置を取付けた状態を示す図である。
図4】排水経路延長容器の図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
図5】排水具の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は(a)に示すE−E断面図、(e)は(A)に示すF−F断面図である。
図6】弁の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる建具であって、図9に示すB−B断面図である。
図8】本発明の実施の形態にかかる建具を室外側から見た正面図である。
図9】本発明の実施の形態にかかる建具を室内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図8及び図9に示すように、第1実施の形態にかかる建具1は、採風扉付きドアであり、ドアの内周にたてすべり出し窓3が設けてある。
図9に示すように、窓ユニット3は、枠5と、障子7と、網戸9(図8参照)とを備えている。
枠5は上枠11、下枠13、左右の縦枠15を枠組みしてあり、図1及び図7に示すように、各枠11、13、15は断熱樹脂材17で室外側形材と室内側形材を連結して断熱が図られている。尚、上枠11の断面は省略する。
障子7は、たてすべり出し障子であり、パネル19と、パネル19の外周に組まれた框21とを備えている。図1及び図7に示すように、框21も断熱樹脂材27で室外側と室内側との断熱が図られている。尚、上框の図示は省略する。
また、図1に示すように下框21aは、下枠13に設けた支持材29に支持アーム31を介して連結されている。
【0010】
図1に示すように、下枠(横材)13は、排水溝部33と、排水装置35とを備えている。
排水溝部33は、室内側見付壁33aと、室外側見付壁33bと、底面33cとで上側が開口する溝を形成している。底面33cには上述した支持材29が固定されている。室外側見付壁33bは、室内側見付壁33aよりも高くしてあり、上端部に障子下框23に当接する気密材37の保持部39が形成されている。また、室外側見付壁33bには、底面33c側に排水穴41が形成されており、排水穴41の底面と排水溝部33の底面33cとは略同一面である。
【0011】
排水装置35は、排水経路延長容器43と、排水具45とを備えている。
図1に示すように、排水経路延長容器43は上下方向の排水経路Sを延長するものであり、図1及び図4に示すように、室外側に凹んだ凹状の本体部44と、係合部47と排水穴49を有している。本体部44には、下枠13の室外側見付壁33bに室外側から当接する当接部44aと当接部44aよりも室外側に位置する室外側壁44bとを有し、図4(b)に示すように、室外側壁44bの下には室外側壁44bよりも当接部44a側に凹んだ段部44cが形成されている。
係合部47は、本体部44において室外側壁44bから当接部44aを越えて突設してあり、図4(a)(b)に示すように、左右に間隔をあけて2つ設けてある。図1に示すように、左右の各係合部47、47は排水溝部33の排水穴41において室外側から左右の縁に係合している。
図4(a)(b)に示すように、段部44cの見付壁51には、左右の排水穴49、49が並んで形成されている。図1に示すように、段部44cには排水具45が取付けられる。
【0012】
図1及び図5に示すように、排水具45は、本体部53と、係合部55a、55bとを有している。
本体部53は排水の入口57と、出口59と、入口57と出口59との間に設けた弁室61とを有し、弁室61には入口57を開閉して弁室61内で回動する弁63(図1及び図6参照)が設けてある。
図5に示すように、本体部53は、見付壁53aと、上壁53bと、左右の見込壁53c、53cとを有し、これらの壁53a、53b、53c、53cで弁室61を形成している。左右の見込壁53c、53cには、それぞれ軸受け54、54が形成されている。
入口57は、本体部53の見付壁53aに左右に2つ並んで正面視長方形に形成されている。図1に示すように、出口59は、左右の見込壁53c、53c間で弁63が開いたときの下方空間に形成されている。
上係合部55aは本体部53の上壁53bから突設して排水経路延長容器43の排水穴49(図4参照)の上縁に係合し、横係合部55bは左右の各見込壁53c、53cから突設して排水経路延長容器43の排水穴49(図4参照)の左右縁にそれぞれ係合している。
図1に示すように、排水具45の本体部53は排水経路延長容器43の段部44cに配置してあり、段部44cの凹み内に収まっており、排水経路延長容器43と排水具45とで全体として側面視四角形状を成している。
【0013】
図6に示すように、弁63は軸部63aと、弁本体63bとを有し、軸部63aは弁本体63bの左右からそれぞれ側方に突設してある。左右の軸部63a、63aはそれぞれ、図5に示す本体部53の軸受け54に回動自在に軸支されている。
弁本体63bは軸部63aと一体に形成してあり、入口57(図1及び図5参照)に対向する排水受け面63cを有し、排水受け面63cは入口57と反対側に凹んで形成されている。弁本体63bの排水受け面63cの裏側は室外側の風圧を受ける風圧受け面63dである。
【0014】
ここで、網戸9について説明する。図7及び図8に示すように、網戸9は開き障子7の室外側に設けてある。図7に示すように、網戸9において、左右の網戸縦框65a、65aは、左右の網戸格子枠67a、67aに取付けてあり、網戸格子枠67a、67bは建具1の室外側見付面に固定されている。
図1に示すように、網戸下框65cは、下枠13の室外側に設けてあり、建具1の下端から下枠13の室外側見付壁33bの上端に設けてある気密材保持部39に亘る寸法を有し、網戸下框65cで排水装置35の室外側を覆っている。
図7及び図8に示すように、網戸9の網9aの室外側には目隠し材69が配置されており、目隠し材69は網戸上框65d(図8参照)及び網戸下框65c(図1参照)に固定されている。
【0015】
次に、排水装置35の組立て及び排水装置35の下枠(横材)13への取付けについて説明する。
図1に示すように、排水経路延長容器43の段部44cに排水具45を配置し、排水具45の上係合部55a及び横係合部55bを排水経路延長容器43の排水穴49に係合して取付ける。
図1及び図3(b)に示すように、排水経路延長容器43の下枠13への取付けは、下枠13の室外側見付壁33bの室外側に排水経路延長容器43を配置して、下枠13の排水穴41に室外側から係合部47を嵌め入れて排水穴41の左右縁に着脱自在に係合する。
図1に示すように、排水経路延長容器43は、その上端部44dを排水溝部33の室内側見付壁33aの上端よりも高い位置でねじ66により固定する。
【0016】
また、図2及び図3(a)に示すように、排水経路延長容器43を用いないで、排水具45のみを下枠(横材)13に取付けることも可能であり、その場合には、排水具45を下枠13の排水溝部33の排水穴41の室外側に配置して、排水具45の上係合部55aを排水穴41の上縁に、左右の横係合部55bを排水穴41のそれぞれ対応する左右の横縁に係合して着脱自在に取付ける。
【0017】
次に、本実施の形態に係る建具1の作用効果について説明する。
図1に示すように、水頭差を大きく取りたい場合には、排水具45を装着した排水経路延長容器43の係合部47を下枠13の排水溝部33の排水穴41に係合して取付ける。
排水経路延長容器43では、排水溝部33に浸入した水を排水溝部33の排水穴41に係合する係合部47、47間(図4(a)参照)から取込んで、排水経路Sを経てその下方に位置する排水穴49に取付けた排水具45の出口59から排水する。排水経路延長容器43の排水穴49は排水溝部33の底面よりも下方に位置しているから、排水溝部33の水頭差H2(図2参照)よりも大きな寸法の水頭差H1を得ることができる。このように、水頭差H1を排水溝部33における水頭差H2よりも大きくすることで、排水性能を高めることができる。
排水具45において、入口57と出口59との間には弁室61を設けてあり、弁室61内に入口57を開閉する弁63を設けているので、出口59から風圧が作用した場合には、入口57を弁63で閉じる。これにより、室外側から風圧により外気が室内に入るのを防止する。
【0018】
本実施の形態によれば、図2及び図3(a)に示すように、排水経路延長容器43を用いないで、排水具45のみを排水溝部33の排水穴41に直接取り付けてそのまま使用しても良いし、図1及び図3(b)に示すように、排水経路延長容器43を排水溝部33の排水穴41に取付けて、排水経路延長容器43の排水穴49に排水具45を取付けて使用しても良い。排水経路延長容器43を用いることで、水頭差H1を大きくして排水を促進するので、水密性能を向上させることもでき、ニーズに合わせた使い方ができる。
排水経路延長容器43の係合部47は、排水溝部33の排水穴41に室外側から係合するので、排水経路延長容器43の上下方向の寸法を自由に変更することができ、それに応じた水密性能とすることができる。
【0019】
また、図1及び図8に示すように、網戸下框65cを排水溝部33の室外側に設けると共に網戸下框65cの上端を排水経路延長容器43の上端を越えて設けて、排水経路延長容器43を隠しているので、外観が良い。同様に、図2に示すように、排水溝部3に排水具45を取付けた場合にも排水具45が室外側から見えないので外観が良い。
排水具45は、入口57と出口59との間に弁室61を設けて、出口59から風圧が作用した場合には、入口57を弁63で閉じて、風圧による外気の侵入を防止しているから、気密性を高めることができる。
図1に示すように、排水経路延長容器43は、その上端部44dを排水溝部33の室内側見付壁33aの上端よりも高い位置でねじ66により固定しているので、排水経路延長容器43の固定部からの水漏れを防止できる。
【0020】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、特許請求の範囲に記載の横材は、下枠13に限らず、無目であっても良い。また、建具1は、ドアに限らず、引戸やサッシであっても良い。
上述した実施の形態は、2つの排水穴に41、41に排水経路延長容器43を取付けたが、一つの排水穴41に排水経路延長容器43を取付けるものであっても良い。
【符号の説明】
【0021】
1 建具
13 下枠(横材)
33 排水溝部
35 排水装置
33b 室外側見付壁
33c 底面
41 排水穴(排水溝部の排水穴)
43 排水経路延長容器
45 排水具
47 係合部(排水経路延長容器の係合部)
49 排水穴(排水経路延長容器の排水穴)
57 入口
59 出口
61 弁室
63 弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9