(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記飲料用水素含有水製品は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に前記容器体の周囲が前記仕切り材に当接するように装填されている、請求項1に記載の箱詰めキット。
可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなる飲料用水素含有水製品を、箱詰めする方法であって、
前記箱は、2個以上の飲料用水素含有水製品が、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた逆さ姿勢が保たれるように、前記箱の内部空間を格子状に仕切る仕切り材を設けてなり、
前記仕切り材の高さは、前記容器体の底部よりも低い位置に設定されており、
前記仕切り材は、個々の又は2個以上の飲料用水素含有水製品を区切るように設けられてなり、
該飲料用水素含有水製品を、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向
いた姿勢にて箱内に装填し、容器内部の空間と容器外部の空間との連通を断つことを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰め保存法。
該飲料用水素含有水製品を、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に前記容器体の周囲が前記仕切り材に当接するように装填する、請求項3に記載の箱詰め保存法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が対象とする水素含有水製品にあっては、空気と接触することで空気が水素含有水に溶解して水素含有水中の溶存水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。すなわち、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気との接触をできる限り抑制することが、水素含有水製品の品質保持のために重要となる。
しかしながら、これまで提案された容器、例えば袋状容器体やスパウトやキャップのカバーに気密性の高い素材を採用した容器(特許文献1〜特許文献3など)は、以前と比べて密封性が高められているものの、これらスパウトとキャップは気密性を完全に保てる訳ではないため、容器外部と極僅かながら連通することは避けられない。
このため、容器内部の水素ガスは長い時間をかけて、スパウトとキャップから極微量が徐々に放出され、それとともに容器外部からの空気が容器内部に徐々に流入し、結果、容器内の水素含有水の溶存水素濃度が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、斯かる観点より改良考案されたものである。本発明者らは鋭意検討を進めた結果、所謂「チアパック」と呼ばれる可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを
装着した袋状容器に水素含有水を充填・密封した飲料用水素含有水製品において、これを製造後に保管する際、キャップが下を向いた姿勢に、容器体の底部が上を向いた状態に保管することで、容器内部の水素ガスの容器外部への放出と容器外部から容器内部への空気の流入を少なくすることにより、飲料用水素含有水製品の溶存水素濃度を大きく低下させずに長期間保管できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、飲料用水素含有水製品が箱内に装填されてなる箱詰めキットであって、該飲料用水素含有水製品は、可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなるものであり、そして前記飲料用水素含有水製品は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されていることを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰めキットに関する。
【0008】
本発明の箱詰めキットは、2個以上の前記飲料用水素含有水製品が、その容器体同士が当接するように箱内に装填されていてもよい。
また前記箱は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた前記飲料用水素含有水製品の逆さ姿勢が保たれるように、箱内に装填された2個以上の飲料用水素含有水製品を個々の製品ごとに或いは2個又は3個の製品ごとに区切る仕切り材を設けていてもよく、或いは、前記キャップの動きを拘束する姿勢保持手段を設けていてもよく、これら仕切り材と姿勢保持手段の双方が設けられていてもよい。
さらに前記箱の側面の少なくとも一箇所及び/又は上面に、箱内に装填される飲料用水素含有水製品を表示する標識が設けられていてもよい。
例えば本発明の箱詰めキットの一態様として、
飲料用水素含有水製品が箱内に装填されてなる箱詰めキットであって、
該飲料用水素含有水製品は、可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなるものであり、
そして前記飲料用水素含有水製品が装填された前記箱は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向き、前記飲料用水素含有水製品の天地が逆の逆さ姿勢が保たれるように、前記キャップの動きを拘束する姿勢保持手段を設けてなり、さらに、前記箱は、箱内に装填された2個以上の飲料用水素含有水製品を、個々の製品ごとに、あるいは、2個又は3個の製品ごとに区切る仕切り材を、飲料用水素含有水製品の容器体の周囲に当接するように設けてなり、該仕切り材により形作られる個々の区域は、飲料用水素含有水製品が収納される大きさの空間となっている、
飲料用水素含有水の溶存水素濃度の減少がより小さい飲料用水素含有水製品の箱詰めキットを挙げることができる。
【0009】
さらに本発明は、可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなる飲料用水素含有水製品を、箱詰めするにあたり、該飲料用水素含有水製品を、前記容器帯の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填することを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰め保存法も対象とする。
また例えば本発明の箱詰め保存法の一態様として、
可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなる飲料用水素含有水製品を箱内に装填し、箱詰めするにあたり、
前記箱は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた前記飲料用水
素含有水製品の天地が逆の逆さ姿勢が保たれるように、前記キャップの動きを拘束する姿勢保持手段を設け、さらに、前記箱は、箱内に装填された2個以上の飲料用水素含有水製品を、個々の製品ごとに、あるいは、2個又は3個の製品ごとに区切る仕切り材を、飲料用水素含有水製品の容器体の周囲に当接するように設けられ、該仕切り材により形作られる個々の区域は、飲料用水素含有水製品が収納される大きさの空間となっており、
そして、
該飲料用水素含有水製品を天地が逆の逆さ姿勢にて前記箱内に装填することを特徴とする、
飲料用水素含有水の溶存水素濃度の減少がより小さい飲料用水素含有水製品の箱詰め保存法を挙げることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の箱詰めキットは、スパウト付包装容器の内部に飲料用水素含有水が充填された飲料用水素含有水製品を保管する際、容器体の底部が上を向き、キャップが下を向いた姿勢にて、すなわち製品を謂わば逆さ向きに箱内に装填することにより、容器内の雰囲気(空間)と外気との連通(つまりキャップやスパウトを通したガス接触)を断ち、容器内部の水素含有水の溶存水素濃度を大きく低下させることなく、水素含有水製品を長期間保管できる。
このため本発明により、長期間保管後においても水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した水素含有水を消費者に供給することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らはこれまで、様々な健康障害の改善を期待できるとして注目されている水素溶解水(単に水素水ともいう)の新規な製造方法として、原料となる水から残存ガスを脱気し、次いで得られた脱気水及び加圧された水素ガスをガス透過膜モジュールに導入して水素ガスを脱気水に溶解させる工程を閉じられた系において繰り返し実施することにより、得られる水素水において溶存水素濃度をより効率的に高めることができる方法を提案してきた(特許第4551964号)。
この方法によれば、水中の気体を脱気した後、加圧水素ガスを溶解させることで飽和濃度に近い高濃度の水素含有水を得ることができるものの、仮に得られた水素含有水が空気と一たび接触するならば、空気が水素含有水に再び溶解して水素含有水中の溶存水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。このため、水素含有水を容器に充填する際、空気の容器内への混入を防ぎ、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気の残留量をできる限り少なくすることが、水素含有水製品の品質保持のためには重要な事項である。このため本発明者らは、空気の残留量をできる限り少なくできる充填方法を検討したり、スパウト付包装容器の空気溜まり量を減少させる容器を提案したりしている(特開2011−240959号公報)。
しかしながら、水素含有水製品の製造時において、容器内部における空気の残留量をで
きるだけ減少させたとしても、スパウト付包装容器におけるスパウトやキャップの気密性を完全に保つことは難しく、僅かながら容器内部の空間と外部の空間とが連通しており、長期間保管後に容器内部の水素ガスが外部に放出することを完全に遮断することは困難であった。すなわち、長期間保管後には、水素含有水製品における水素含有水の溶存水素濃度が低下してしまうという傾向があった。
【0013】
そこで本発明者らは、製造した飲料用水素含有水製品の保管中に、容器内部の水素ガスが外部に放出することを如何にして減少させることができるかその方法を検討した。
そして製品の天地を逆さにし、スパウトやキャップの部分を製品内部の水素含有水自体で塞ぐ(製品内部に存在するガスをスパウトやキャップと接触させない)ことによって、これらから容器内部の水素ガスの放出が抑制されることを見出した。そしてそれにより、溶存水素濃度を大きく低下させることなく水素含有水製品を長期間保管できる箱詰めキット並びに飲料用水素含有水製品の保存方法の完成に至ったものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の箱詰めキットは、飲料用水素含有水製品が箱に充填されてなる箱詰めキットである。
前記飲料用水素含有水製品は、可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填され、キャップによって密封されてなるものである。
【0015】
上記スパウト付包装容器は、詳細には、上述の通り可撓性を有する袋状の容器体に筒状のスパウトを装着し、これをキャップにて密封することができる袋状容器、所謂「チアパック」の形態の容器をいう。
このような容器体としては、例えばアルミラミネートフィルム製の容器体、所謂パウチ容器が、気密性が高く水素の流出を防ぐことができるために好ましく用いられる。パウチ容器の形状としては、既に市販されているガゼットタイプ(まち付き)、スタンドタイプ(まち無し)等、各種のタイプのものを使用できる。
また、上記容器において使用するスパウトとしては、バリア材を使用して製造されたバリアスパウトを用いることが望ましい。
上記容器の製品容量は特に限定されないが、例えば100ml乃至2,000ml、特に150ml乃至500ml、好ましくは180ml乃至300ml程度の容量の容器を好適に使用できる。なお本明細書において「製品容量」とは、製品が流通・販売される際の規格容量(適正充填量、表示内容量とも称する)であり、容器に充填できる最大容量より数%〜10%程度、より少ないものとなっている。
【0016】
また上記飲料用水素含有水は、例えば本発明者らが先の特許出願(特願2009−123310号明細書)において開示された方法に準じて、所謂膜溶解法により実施され得、同出願のすべての内容は参照することにより本書に組み込まれる。
上記飲料用水素含有水そして飲料用水素含有水製品は、具体的には(1)浄化装置において原料となる水をろ過及び浄化し、得られた浄化水を脱気装置に送る浄化工程と、(2)前記脱気装置に供給された浄化水を脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、(3)前記水素溶解装置に供給された脱気水に水素ガスを溶解させ、得られた水素溶解水を殺菌装置に送る水素溶解工程と、(4)前記殺菌装置に供給された水素溶解水を殺菌し、得られた水素含有水を充填装置に送る殺菌工程と、(5)前記充填装置に供給された水素含有水を袋状容器に充填し、充填された水製品を加熱殺菌装置に送る充填工程と、(6)前記加熱殺菌装置に送られた水製品を加熱殺菌する加熱殺菌工程、とを含み、前記水素溶解装置が、ガス透過膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、一方気体室に水素ガスを加圧して供給することにより、水素ガスを前記脱気
水に溶解させるガス透過膜モジュールを備えてなり、そして工程(4)で得られた水素含有水の一部を工程(2)の脱気装置に戻し、工程(2)乃至工程(4)の間で水循環させることによる方法により、製造することができる。
なお上記工程のうち、飲料用水素含有水を製造する工程、すなわち(1)浄化工程、(2)脱気工程、(3)水素溶解工程及び(4)殺菌工程は、各工程が閉じられた系において連続して為すことにより、溶存水素濃度の高い飲料用水素含有水を製造できるので好ましい。
【0017】
また、上記飲料用水素含有水は、前記(4)殺菌工程終了後、得られた水素含有水に茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキス、さらには桜の花抽出物、リンゴポリフェノール、キウイ種子抽出物、メチルヘスペリジン、テアニン、ポリアミン、ポリデキストロール、バラの花抽出物といった機能性原料を溶解又は混合し、機能性原料配合飲料用水素含有水としてもよい。
なお機能性原料配合の飲料用水素含有水は、前記(1)浄化工程実施時において原料となる水に機能性原料溶解又は混合した後、その後の工程に供して製造してもよく、或いは、機能性原料の液体(例えば野菜ジュース、牛乳など)自体を脱気し、ガス透過性中空糸膜を介して水素ガスを溶解することによって製造してもよい。
【0018】
本発明の箱詰めキットは、上記スパウト付包装容器の内部に飲料用水素含有水が充填された飲料用水素含有水製品を、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されている点を特徴とする。これは、謂わば製品の天地を逆転させて(逆さ姿勢にて)保管するものである。
前記箱詰めキットは通常、2個以上複数個、例えば6個、12個、24個、30個、60個の飲料用水素含有水製品を箱に装填したものとすることができる。
【0019】
上記箱詰めキットに用いる箱は、飲料用水素含有水製品を好ましくは複数個装填可能な大きさと耐久性を有するものであればよく、例えばボール紙や段ボールなどの厚紙(紙製)の箱が使用され、また樹脂製のコンテナ容器などであってもよい。箱の形状は通常直方体であり得、箱の大きさは装填する飲料用水素含有水製品の数に応じて適宜選択し得る。例えば箱に装填する飲料用水素含有水製品が1個の場合には、飲料用水素含有水製品の容器体が箱の周囲にちょうど当接する縦横の大きさを有する箱を用いることが好ましい。また複数個の飲料用水素含有水製品を装填する場合、これらを殆ど隙間なく同じ向きに一列又は複数列に整列させ、この整列姿勢する製品群とほぼ同じ縦横の大きさの箱に装填することが好ましい。なお、装填される飲料用水素含有水製品は、複数段重ねて装填されてもよいが、好ましくは重ねずに(一段にて)装填されることが望ましい。従って箱の高さは、飲料用水素含有水製品の高さより多少大きいものであればよい。
前記箱には、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた前記飲料用水素含有水製品の逆さ姿勢が保たれるように、個々の或いは複数の水素含有水製品を区切るように仕切り材を設けてもよいし、或いは、前記キャップの動きを拘束する姿勢保持手段を設けてもよい。
【0020】
前記仕切り材は、前記箱と同じ材料或いは異なる材料にて構成され得、例えば前記容器体の周囲に当接するように設けられ得る。
前記仕切り材は、前記飲料用水素含有水製品の容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができるような箱内の位置に設けられていればよいが、前記飲料用水素含有水製品の箱内からの取り出し易さなどを考慮すると、箱内に装填された容器体の底より高い部分には設けられていないことが好ましい。
また前記仕切り材は、個々の水素含有水製品を区切るように設けられ、或いは、複数個の、例えば水素含有水製品を2個ずつ区切るように設けられる。前記仕切り材が複数個の
水素含有水製品を区切るように設けられる場合、仕切り材で区切られた場所から水素含有水製品を一つ取り出し後においても、当該区切られた場所に残された別の水素含有水製品が、上述したように容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができるという条件を考慮して該仕切り材は設けられ、例えば2個ずつ、あるいは3個ずつ区切るように設けられる。
【0021】
前記姿勢保持手段としては、例えば前記キャップを上方より挿込むことにより、前記飲料用水素含有水製品の容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができる、つまり容器体が倒れない姿勢を保つことができる構造のものであれば、如何なる構造のものでもよい。ただ、キャップを上方より挿込む構成の姿勢保持手段であるときは、その手段は上方へ容器体を引き抜きやすい構造のものであることがより好ましい。
前記姿勢保持手段としては、例えば剛性の相対的に高い面材、例えば厚肉クラフト紙や段ボールや樹脂シート、発泡スチロールボードに、キャップの挿込み孔を設けてなる態様が挙げられる。
該キャップの挿込み孔は、箱内に装填する水素含有水製品の数だけ、そして好ましくは、容器体の本体同士が軽く押圧し合うような間隔を保って、複数個設けられる。該キャップの挿込み孔としては、例えば切り込みが十字形状や放射状に形成された切り込み孔であって、その切り込み片がキャップ外周に設けられたツバやネジ山と係止する構造のものや、キャップの径よりわずかに大きい径の孔、若しくは更にくぼみのある孔で、孔の周縁部がキャップ外周に設けられるツバやネジ山と係止する構造のものが挙げられる。該挿込み孔が切り込み孔である場合、切り込みの周囲に折り曲げやすくなるような溝が設けられたり、或いは、切り込み孔の中心部においてキャップの径よりも小さい径の孔が設けられたりしてもよい。
またこうした挿込み孔が設けられた姿勢保持手段は、通常、箱内の底部辺りに設けられるが、その際、キャップの向きが垂直に保持されるように、そしてキャップの挿込みが容易となるように、キャップの先端が箱の底にほぼ当接するくらいに近接する高さに挿込み孔が設けられてなる態様であることが好ましい。これは、例えば姿勢保持手段が設けられた段ボールなどの厚紙の周囲を折り曲げ、該姿勢保持手段に高さを設けることにより実現できる。なお姿勢保持手段の材料として発泡スチロール製のボードを採用した場合には、ボードの厚みと挿込み孔の深さを調整することにより、キャップの向きを垂直に保持することができる。
【0022】
本発明の箱詰めキットの一例を
図1乃至
図4に示す。
図1及び
図2に示すように、前記箱詰めキット1の箱3には、前記飲料用水素含有水製品2が、前記容器体21の底部21aが上を向き、反対に前記キャップ22が下を向いた逆さ姿勢を保つように、各製品同士の間にボール紙などで仕切り材4を設けることにより、上述の天地逆の逆さ姿勢を保つことができる。
図1及び
図2の態様では、前記飲料用水素含有水製品2の容器体21の周囲に当接するように、また容器体の底部21aよりも低い部分に、格子状に設けられている。そして
図1の態様では、該仕切り材4は、前記複数の飲料用水素含有水製品2を個々の製品ごとに区切るように設けられ、また
図2(a)及び(b)の態様では、該仕切り材4は、前記複数の飲料用水素含有水製品2を2個ずつ区切るように設けられている。
また
図3に示すように前記箱詰めキット1の箱3には、前記飲料用水素含有水製品2が、前記容器体21の底部21aが上を向き、反対に前記キャップ22が下を向いた逆さ姿勢を保つように、キャップの動きを拘束する姿勢保持手段5を設けてもよい。ここで
図1の態様では、その一例として、キャップ部分を挿入することができる挿込み孔5aが設けられたボードをキャップの動きを拘束する姿勢保持手段として採用したものである。そして、該挿込み孔5aは、切り込み孔として設けられ、すなわち放射状(五角形)に切り込み4bが設けられ、切り込み5bの周囲には折り曲げやすくなるように溝5cが設けられ、キャップの挿込み方向に切り込みが曲げられている。そしてこの挿込み孔5aに飲料用水素含有水製品2のキャップ22部分を挿入することにより、天地逆の逆さ姿勢を保つこ
とができる。
また、
図4に示すように、仕切り材4とキャップの動きを拘束する姿勢保持手段5とを併用してもよい。
さらに
図5に示すように、箱3の側面の少なくとも一箇所や上面に、箱内に装填される飲料用水素含有水製品2を表示する標識7が設けられていてもよい。これにより、本発明の箱詰めキット1を販売店や顧客に配送したり、或いは販売店において陳列・保管したり、顧客において飲料用水素含有水製品2を飲用する際まで、箱詰めキット1の天地を反転させる行為を防止でき、飲料用水素含有水製品2が天地逆の逆さ姿勢を保つことを容易とする。なお
図5には示していないが、箱3の側面や上面に加えて、箱3の下面にも標識7が設けられていてもよい。
【0023】
また本発明の箱詰め方法、すなわち可撓性を有する袋状の容器体と、該容器体内に差し込まれたスパウトと、該容器体の頂部に取着された該スパウトのキャップとを備えてなるスパウト付包装容器の内部に、飲料用水素含有水が充填されてなる飲料用水素含有水製品を箱詰めするにあたり、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填するという箱詰め方法は、特別な装置や複雑な手順を用いずとも、製品製造後における飲料用水素含有水の溶存水素濃度の低下を抑制でき、飲料用水素含有水製品を高い品質のまま長期間保管できる。
【実施例】
【0024】
本発明の望ましい実施形態をさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0025】
[飲料用水素含有水製品の製造]
本実施例で使用した飲料用水素含有水そして飲料用水素含有水製品は、本発明者らが先の特許出願(特願2009−123310号明細書)において開示された方法により、好適に製造できる。
すなわち、(1)浄化装置において原料となる水をろ過及び浄化し、得られた浄化水を脱気装置に送る浄化工程と、(2)前記脱気装置に供給された浄化水を脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、(3)前記水素溶解装置に供給された脱気水に水素ガスを溶解させ、得られた水素溶解水を殺菌装置に送る水素溶解工程と、(4)前記殺菌装置に供給された水素溶解水を殺菌し、得られた水素含有水を充填装置に送る殺菌工程と、(5)前記充填装置に供給された水素含有水を密封容器に充填し、充填された水製品を加熱殺菌装置に送る充填工程と、(6)前記加熱殺菌装置に送られた水製品を加熱殺菌する加熱殺菌工程、とを含み、前記水素溶解装置が、ガス透過膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、一方気体室に水素ガスを加圧して供給することにより、水素ガスを前記脱気水に溶解させるガス透過膜モジュールを備えてなり、そして工程(4)で得られた水素含有水の一部を工程(2)の脱気装置に戻し、工程(2)乃至工程(4)の間で水循環させることによる方法により、飲料用水素含有水を製造した。
【0026】
なお上記(5)充填工程で使用した密封容器には、適正充填量:350mlとして販売されているガゼットタイプのスパウト付袋状容器(
図5)を用いた。
図5に示すように、ガゼットタイプの容器6は、内容物(水素含有水)を充填すると箱状(直方体状)の形状となり、この容器は、アルミラミネートシートを熱溶着して袋状に成形してなる容器体61と、樹脂製のスパウト62と樹脂製のキャップ63から構成される。
容器体61は、略長方形状をなす前後のシート611a、611bの両側面に、細長い側方のシート611c、611dを2つ折にして夫々挟み込み、前後のシート611a、611bの下縁部を共に接合して底部612を形成し、また側縁部を共に接合してまち部
613を形成した。そして、前後のシート611a、611bの上縁部の略中央の差込口614にスパウト62を差し込み、スパウト62と共に前後のシート611a、611b及び側方のシート611c、611dと一体に接合することにより形成した
【0027】
[箱詰めキット]
図1乃至
図5に実施例1乃至実施例5の箱詰めキット1を示す。
【0028】
実施例1(
図1)の箱詰めキットは、矩形の箱3とその中の適当枚数の仕切り材4からなり、箱詰めキット1の箱3に飲料用水素含有水製品2が、容器体21の底部21aが上を向き、反対にキャップ22が下を向いた逆さ姿勢を保つように、仕切り材4が設けられている。箱3及び仕切り材4は、いずれも段ボール製である。
仕切り材4は互いに直交する縦板と横板とからなり、箱3の内部空間を格子状に仕切る板材である。仕切り材4により形作られる個々の区域は、飲料用水素含有水製品が丁度よく収納される大きさの空間となっている。すなわち、仕切り材4は、飲料用水素含有水製品2の容器体21の周囲に当接するように、そして仕切り材4が飲料用水素含有水製品2を個々(1個)の製品ごとに区切るように、格子状に設けられている。このように仕切り材4を配置することで、箱3に装填された任意の一の飲料用水素含有水製品2を取り出した場合において、箱3に装填された残りの飲料用水素含有水製品2はそのままその容器体21の底部21aが上を向く姿勢を保つことができる。
また仕切り材4の高さは、容器体21の底部21aよりも低い位置に設定されている。このように仕切り材4の高さを調整することで、箱3内に装填された水素含有水製品2が取り出し易さが向上する。
【0029】
実施例2(
図2)の箱詰めキットは、仕切り材4が飲料用水素含有水製品2を横並びの左右2個ずつ(
図2(a))又は縦並びの前後2個ずつ(
図2(b))区切るように設けられている以外には、実施例1と同様の構成である。
本実施例の箱詰めキットにおいて、仕切り材4を2個ずつ区切るように設けることにより、仕切り材4により形作られた区域内の一方の飲料用水素含有水製品2を取り出したとき、もう一方の飲料用水素含有水製品2は、仕切り材4により区切られた一の区域内で、その容器体21の底部21aが上を向く斜め姿勢を保つことができ、これにより水素の放出が抑制される。しかも、仕切り材4の使用量を減らすことができるため、コストの削減につながる。
【0030】
図3に示す実施例3の箱詰めキットは、上記仕切り材4の代わりに姿勢保持手段5が設けられた実施例である。箱3と同様、姿勢保持手段5はダンボール製の板材であって、その板材の表面に、前後左右に適当な間隔を保って設けられた適当数の挿し込み孔5aから構成される。具体的には、姿勢保持手段5として、飲料用水素含有水製品2のキャップ22を挿入することができる挿込み孔5aが設けられ、該挿込み孔5aは、放射状(五角形)に切り込み5bが設けられ、切り込みの周囲には折り曲げやすくなるように溝5cが設けられ、これにより、キャップ22の挿入と引き抜きが容易となっている。また姿勢保持手段5の段ボール板は、その周囲5dが折り曲げられ、キャップ22の長さ分のスペースが設けられている。
姿勢保持手段5は、1枚の段ボールに切り込みを入れそしてその周囲を折り曲げることで、容易に形成可能である。また、箱2内からの飲料用水素含有水製品2の容易な取り出しが可能である。
【0031】
そして
図4に示す実施例4の箱詰めキットは、仕切り材4と姿勢保持手段5の双方を採用した箱詰めキット1である。仕切り材4と姿勢保持手段5の双方を採用することにより、箱詰めキット1が輸送や保管時の移動中等において手荒に扱われた場合においても、飲料用水素含有水製品2の姿勢(容器体21の底部21aが上を向き、反対に前記キャップ
22が下を向いた逆さ姿勢)を保ちやすくなる。
【0032】
なお
図5に示す実施例5の箱詰めキットは、実施例1の箱詰めキットの箱3の上面及び側面に、箱3内に飲料用水素含有水製品2が装填されていることを表示する標識7が設けられたことを示す例である。なお図を判り易いものとするため、
図5において仕切り材4は省略されている。
【0033】
[保管状態の違いによる溶存水素濃度変化]
製造した飲料用水素含有水製品を、室温にてテーブル上に正常置き(比較例1:
図5における611a又は611b面をテーブルに接地させた姿勢)或いは逆さ置き(実施例5:キャップ22がテーブルに接地し、容器体の底部21aが上を向く姿勢)にて保管した。
0日(製造直後)から90日後(逆さ置きについては180日後)までの飲料用水素含有水の溶存水素濃度を測定した(試料数:各2)。製造直後からの溶存水素濃度の減少率(%)について表1に示す。
なお、本試験は、飲料用水素含有水の溶存水素濃度を1.40ppmに調整し、充填してなる飲料用水素含有水製品を用いて行った。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、正常置きに保管した比較例1の飲料用水素含有水製品は、製造直後からの溶存水素濃度の減少率が90日経過後には37.9%に達した。
一方、逆さ置きに保管した実施例5の飲料用水素含有水製品においては、90日経過後においても減少率が20.7%であり、比較例1と比べて比較的高い溶存水素濃度を維持しており、150日経過後にようやく比較例1と同程度の溶存水素濃度の減少率となった。
このように、本発明に従う、飲料用水素含有水製品を逆さ姿勢にて保管する方法により、飲料用水素含有水製品の溶存水素濃度を長期間高い値にて維持することが可能であった。