(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現状の従来技術から進展させる本発明の目的は、モータ駆動される作業装置の動作方法又はモータ駆動可能な作業装置であって、所定の作業動作中に所定の作業力の達成のみが必要であるという事実を利用することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本方法に関して、この目的は先ず、請求項1の主題により解決される。要点は、所定の作業動作中に特徴的変化の検知に関する評価が実行されること、及び、特徴的変化の達成が所定の作業動作を終了させるための信号として用いられることである。
【0008】
本装置に関して、この目的は先ず、請求項2の主題により解決される。要点は、所定の作業動作中に所定の作業力を達成することによる特徴的変化の検知に関して評価を行うことができること、及び、特徴的変化の検知が、所定の作業動作を終了させるための信号として用いられることである。
【0009】
本発明によれば、所定の作業力を達成した後であるが通常の
許容最大作業力を達成する前に、かつ
許容最大作業力を達成したか否かに関係なく、作業装置の1又は複数のデバイス値における特徴的変化を生じ、そしてこの特徴的変化が、作業動作の個別の終了のために利用可能であり、その際に、作業動作の質に関してすなわち作業動作の望ましくない終了に関して許容せざるを得ないようないかなる損失も生じない。本発明によれば、絶対的なデバイス値ではなくデバイス値の変化が、所定の作業動作の終了をトリガーするために利用される。
【0010】
複数の作業動作中、複数の異なる圧力又は力を生じることもでき、その間、個々の(所定の)作業動作が終了させられる。極端な場合、各作業動作を、異なる圧力又は異なる力で終了させることができる。
【0011】
圧力媒体が作業力を印加するために用いられる場合、圧力媒体が予め設定された圧力値を達成したときに作業動作を終了させることと比較すると、所定の作業力を達成したときに予め設定された圧力値を達成していない場合であっても、作業動作の質を損なうことなくこの作業動作を完了させられるという利点も得られる。同様のことが、電気モータのモータ電流量が用いられるときにも当てはまる。好適には、本発明の範囲内では、作業動作中に
許容最大作業力(又は
許容最大圧力)に達したか否かに関してデバイス値は全くチェックされず、結果的に予め設定された圧力値のチェックも必要とされないので、所定の作業動作がその質に関して完遂させられることなく作業動作を終了させられることは起こり得ない。自明であるが、このことは、最大許容圧力又は最大許容作業力に関するモニタリングが行われかつそれを超えると作業装置を保護するために作業動作を終了させるという例外と共に適用される。
【0012】
作業動作は、例えば圧着とすることができる。特に液圧式圧着装置を用いる圧着である。ここでは、2つの圧着顎が通常互いに対して移動させられ、それらの圧着顎の間に圧着対象部品又は圧着対象部品の組合せが挿入される。作業顎が互いに移動することにより1又は複数のそれらの部品が弾性的にかつ/又は可塑的に変形させられる限り、作業力の−第1の−上昇が生じる。それらの顎が互いに移動したとき、作業力のさらなる上昇は、実際には作業顎の"底入れ"においてのみ生じる。従って作業力のさらなる上昇に対しては、装置特性自体のみ、すなわち例えば2つの顎に固有の弾性又は剛性のみが実質的に影響する。このさらなる上昇に関して、作業力の−第2の−変化した上昇が生じる。作業力の第1の上昇から第2の上昇への移行は、デバイス値の特徴的変化を生じる。
【0013】
例えば、作業力を発生するために使用される圧力媒体の圧力上昇の計測中の特徴的変化は、圧力上昇曲線の大きな上昇からなることができる。特に、圧力媒体の場合の圧力上昇曲線は、一連のステップ状部分領域から構成され、それらは以下ではステップとも称され、異なるステップは、圧力媒体における圧力の上昇により生じる。所定の作業力を達成したとき、さらなる作業力の実質的な吸収すなわち1又は複数の圧着対象部品における実質的な吸収がもはや生じないとき、ステップは極めて大きく(高く)なる。作業力を発生するために電気モータが間接的に又は直接的に用いられるとき、電気モータのモータ電流を比較可能な対象とすることができる。間接的利用の例では、圧力媒体における作業力発生に必要なポンプの駆動部としての電気モータがある。直接的利用では、例えば電気モータにより圧着顎が、モータ軸に機械的に結合した機械的伝達手段を介して移動させられるときに生じ得る。
【0014】
作業動作が、切断からなることもできる。ここで、所定の作業力を得ることによって作業片の剪断が生じるとき、圧力媒体の圧力が再び低下するか又は先ず電気モータのモータ電流が減少する効果を、最初に生じることができる。しかしながら、このような作業装置において剪断部分がさらに移動すると、”底入れ”も生じる。その間は、剪断部分の互いに対する移動はもはや生じず、増大する力が直接、装置部品自体に吸収され、特に弾性変形により吸収される。ここで、切断エッジの移動の継続に伴う作業力のより大きな上昇という意味でのデバイス値の特徴的変化は、剪断動作の完了すなわち所定の作業動作の事実上の終了の直後には顕在化しない。しかしながら、このような特徴的変化は、剪断部分又は剪断部分を搭載した部分が”底入れ”となるときの切断動作中に顕在化する。多くの場合、これは実際には時間的なことではなく、また実際には作業動作の事実上の終了後でもない。その替わりに、切断動作の場合、剪断完了後の結果としての作業力の急激な低下又はモータ電流の同様の減少への移行を、デバイス値の特徴的変化として利用することもできる。液圧又はモータ電流は、例えばこの目的のためのデバイス値として利用することもできる。
【0015】
同じ構成は、作業動作がさらに可能な型押しからなるときにも得られる。
【0016】
所定の作業動作の終了は、好適には、上述した全ての作業動作において特徴的変化を検知した直後に生じる。上述した圧力ステップの場合、予め設定されたステップ高さを超える、第1に検知されたステップ高さが、既にその作業動作を終了に導くことができる。しかしながら、2つ又はそれ以上の、例えば5個〜10個の圧力ステップを介した認知もまた実行可能であり、そしてそのような数の圧力ステップについて、予め設定された平均値に関して、そのような平均値がそれを超えることを作業動作の終了のために利用することができる。従って、所定の作業動作を完了するために必要な力よりも大きな作業力を、不必要に装置に負荷することは実質的に生じず、又は、可能な限り少なく維持することができる。同じことが、例えば特徴的変化に関して同様のことが検知されたモータ電流に関しても当てはまる。モータ電流も、上述したようなステップ状の曲線である限り、上述した圧力媒体における圧力上昇と実質的に同様な評価を行うことができる。モータ電流が連続的に上昇するとき、その勾配を、曲線の検知及び数学的微分により速やかに算出することができ、所定の勾配の大きさが得られたときに、所定の作業動作の終了が行われる。しかしながら好適には、モータ電流を、極めて短く設定された時間間隔における絶対的上昇についてモニタリングすることもでき、そして、−好適には最初に−所定の予め設定された作業値を超えたときに、所定の作業動作の終了をトリガーする。
【0017】
モータ電流は、時間に亘る圧力上昇以外の特徴を有することもできる。特にピストンポンプの場合、モータ電流は非常に顕著に脈動し、すなわちピストンポンプのポンプピストンの運動の関数として顕著に変動する。それは、ポンピング中のポンプピストンのポンプ運動に関して、すなわちポンプシリンダ内のポンプピストンの滑り込みと、実際に無負荷運動を構成するポンプピストンの後退時の運動に関係して最大値を有することができ、極めて顕著に減少することができる。ここでは、平滑化された電流プロフィールを決定し、例えばデバイス値と同じ勾配を利用することが望ましい。勾配が所定の大きさを超えると、そのようなモータ電流に基づいて作業動作の終了を生じさせることもできる。このような曲線の勾配を決定する際には、力−時間関係(力−時間曲線)ではなく力−距離関係(力−距離曲線)に焦点を当てることが原理的に必要である。しかしながら、力−時間曲線の場合に、計算により可変のモータ回転速度を考慮して、時間軸を距離軸に変換することが可能である。力は、直接計測する必要はなく、圧力から計算することもできる。
【0018】
液圧式システムにおいて計測された圧力のステップ高さの評価に関しては、以下にさらに詳細に説明するように、力−距離情報が実際に同時に得られる。なぜなら特に、この場合はピストンポンプのポンプストロークである各ポンプストロークをもつポンプピストンを用いるとき、常に同じ量の圧力媒体が第1の近似において供給されるからであり、従って液圧ピストンが実際にピストンポンプの一ストローク当たりとほぼ同じ距離を移動する。ピストンポンプのストロークの距離に関係する力は、ステップの高さに対応する。この結果、ステップの高さの計測値が、圧着ヘッドの機械的(及び液圧的な)剛性の直接的な尺度として得られることになり、従ってデバイス値として用いることができる。
【0019】
さらに示されるように、デバイス値の検知が極めて短い時間間隔で、かつこの点に関して連続的に行われるので、所定の作業動作の時間的な終了が、所定の作業力の達成後に数分の1秒以内に行われる。このようにして、作業装置の極めて効果的な時間的利用を実現することも可能とする。特徴的変化に関する評価のために、複数のデバイス値の検知を合わせて使用することも可能である。このプロセスにおいて、”and”結合だけでなく”or”結合も使用できる。”or”結合の場合、使用されるデバイス値の1つが特徴的変化を示すときに、作業動作の終了が行われる。従って、”and”結合の場合は、特に使用される全てのデバイス値が特徴的変化を示す場合にのみ、作業動作の終了が行われる。
本発明の実施形態の例は、以下に示す添付の図面を参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び
図2に関して、先ず、液圧式駆動される手動圧着工具1が示されている。液圧式駆動される手動圧着工具1は、グリップを有することができる。さらに、ケーブル無しに動作させる場合、バッテリ3を有する。しかしながら、電気ケーブルを用いた電気ネットワークを介して電源に接続することも可能である。
【0022】
液圧式手動圧着工具1は、さらに、液圧タンク4を有する。例えばピストンポンプであるポンプ5を用いて、圧力媒体を液圧タンク4から液圧シリンダ6に吐出することができる。圧力媒体を液圧シリンダ6に吐出することにより、液圧シリンダ6内の液圧ピストン7が、開始位置と終了位置との間で移動することができる。液圧ピストン7は、復帰スプリング8の作用を受けることができる。
【0023】
液圧ピストン7の移動により、実施例においては可動作業チャック9が、固定作業チャック10に対して移動することができる。圧着チャンバ12内に圧着ブランク13を受容することができる。圧着ブランク13は、例えば互いに圧着されるべきスリーブとチューブとすることができる。
【0024】
他の液圧式手動圧着装置では、クランプするための2つの可動作業顎が、例えば液圧ピストン7により互いに対して旋回可能とすることもできる。
【0025】
ポンプ5は、上述したバッテリ3又は例えば上述したケーブルを介して電力供給される電気モータ11により駆動可能である。さらに、
図1による液圧式手動圧着装置が、そして以下に示すさらに別の装置も、送信される計測値を評価するために適切なデータ処理装置を有し、ここではそれは符号14で概略的に示されている。さらに、このような装置は、符号19で概略的に示されデータ処理装置14とライン接続された制御装置を有する。データ処理装置14及び制御装置19の機能も、標準化された電子部品により作製することができる。制御装置により、装置が作業動作の終了を直接かつ自動的に実行可能である。例えば、上述した構成については、以下の
図11〜
図15を参照してさらに説明する。
【0026】
同様に、液圧式手動圧着装置1が、電気モータ11のモータ電流を検知するためのセンサ15及び/又は圧力媒体の圧力を検知するためのセンサ16を有することができる。好適には、液圧シリンダ6内の圧力媒体の圧力が、センサ16により計測される。
【0027】
モータ電流用のセンサ15及び/又は液圧用のセンサ16は、それぞれ極めて短い時間間隔で計測値を提供する。時間間隔は、特に1秒未満であり、さらに好適には0.1秒未満である。このような時間間隔は、わずか1ミリ秒又は数ミリ秒とすることもできる。
【0028】
特に、センサが、ここでは例えばバッテリ3により電力供給される電子センサである。
【0029】
作業動作の終了は、圧着工具の場合は顎の動作部品又は切断工具の場合は切断エッジ又は型押し工具の場合は型押し顎などの作業部品が、開始位置に戻ること、又は、そのような復帰動作を始めることとすることができる。液圧式圧着工具の場合、その初期化では特に、圧力媒体が液圧シリンダから液圧タンクに戻ることにより液圧ピストンが後退移動させられることができる。このために特に、逆止弁が開くことが通常必要である。このような液圧式装置の特別な実施形態については、以下の
図11〜
図15を参照して可能な実施例によりさらに詳細に説明する。
【0030】
液圧式圧着工具を用いて汎用的な圧着動作を行うとき、例えば、圧着ブランク13を圧着チャンバ12に挿入した後に手動操作されるスイッチ17により圧着が始動される。実施例ではピストンポンプであるポンプ5は、その後、複数回のピストンストロークを行うことにより液圧タンク4から液圧シリンダ6への圧力媒体の吐出を開始する。
【0031】
図9から明らかなように、圧力が縦軸に時間が横軸にプロットされる場合、圧力の所定の上昇により、圧着顎によるA点におけるワークピースの接触(しかしながらこの場合それ以上の意味はない)を認識することができる。圧力が上昇し続け、すなわち通常、ワークピースが接触する前よりも大きいB点まで上昇する。このB点において所定の作業力が得られ、そしてそれ以上大きな作業力は実際には必要とされない。
【0032】
圧力曲線の勾配S又はS’における特徴的変化はB点後に顕在化し、そしてさらに、
図9に拡大図で示すように圧力曲線の個々のステップに関して、B点に達する前のステップの高さhに対してステップの高さHへと特徴的上昇が現れる。
【0033】
このステップの高さHの特徴的値は、実施例では、所定の作業力の達成を決定するために用いられ、ステップの高さHの達成を所定の作業動作を終了するための信号として用いる。
【0034】
データ処理装置及び/又は制御装置のメモリには所定のデバイス値を記憶することができ、それは実際に検知されたデバイス値との比較に用いられ、それを超えること(又は場合によってはそれを下回ること)が、所定の作業動作を終了するための信号として用いられる。記憶されたデバイス値は、例えばステップの高さなどの絶対値、又は、それ以前のステップの高さ(又は複数のステップの高さの平均)を超えることに関して例えば10%又は20%等の限界割合を予め決めておく相対値とすることができる。
【0035】
記憶された限界値は、上述した勾配についての値とすることもでき、個々に算出された勾配をそれと比較することができる。
【0036】
単なる図示として、作業動作がここではさらにC点まで行われたように
図9において鎖線で表されており、C点は
許容最大作業力の達成を表している。
【0037】
実施例における圧力曲線のステップ状の形状は、用いられたピストンポンプにより生じる。ピストンの前進中は高圧に達し、ピストンの後退中はこの圧力が維持されるか僅かに低下し、そして次のピストンの前進中に再び圧力が増大する。このようなピストンポンプは、通常、1サイクル/秒より大きい周波数で動作する。この実施例では、少なくともピストンポンプの周波数に対応するデバイス値、例えば液圧値又はモータ電流量に関する値の検知周波数による高い分解能でポンプの動作を検知することができ、よってこの場合、ピストンポンプのピストン移動により生成される個々の圧力ステップを生じる分解能で検知することができる。圧力ステップの絶対値又は圧力ステップの高さに関する計測は、それらの値が比較可能な時点において比較されるように行われる。例えば、(このようなピストンが用いられる場合)ピストンポンプのピストンストロークの開始時又は(前方への)ピストンストロークの終了時である。
【0038】
図9aでは、例示の手動式圧着装置で計測された圧力ステップの高さが、時間に対してプロットされている。終了時(9秒の領域)には、1つの圧力ステップにおいて約22barの大きさの絶対値が見られる。(後述する所定の手動圧着装置において特徴的なものである)この所定の絶対値を達成することは、その後、作業動作を終了するために用いることができる。
【0039】
図10において、電子液圧式に動作する手動圧着装置のピストンポンプのモータ電流の特徴が再現されている。さらに、平均化された電流曲線が導出され、それにより、作業動作を終了するために用いられる(先行する)勾配S
1から勾配S
2への移行を、作業動作を終了するための対応するデバイス値として用いることができる。従って、B点は、特徴的勾配同士の間の移行時、すなわち特徴的に高い勾配への移行時である。
【0040】
この勾配は例えば、例えば電流曲線の最大値により特定することもでき、鎖線並びに勾配S
1’及びS
2’を参照されたい。
図10aでは、
図10の領域Xaが拡大して再現されている。計算されたラインは、明らかにこれらのピークに沿ってそしてこれらのために計算された勾配S
1’及びS
2’上に配置することができる。実線で示した電流曲線を用いて平均化を行うこともでき、それを用いて勾配S
1又はS
2が検知されるか又は計算される。
【0041】
図9、
図9aの複数の圧力ステップに関して、断絶へと繋がる高い圧力ステップは、実際に圧着される対象物に関係なく所定の絶対値を有するが、所定の装置について一定値と考えるべきである。具体的な液圧式に動作する圧着装置の場合、この一定値は例えば15〜25barであり、特に20〜22barである。
【0042】
これに関して、特にこの目的のために必要な逆止弁、電気駆動部等の装置の全ての構成要素が適切な状態にあるときにのみ、装置に対応するこの値又は他のいずれかの絶対値が得られることが判明している。摩耗が顕在化しているときは、上記の大きさはもはや達成されないが、それにも拘わらず信頼性のある圧着を行うことができる。なぜならこの場合、圧力の許容最大値への(
許容最大作業力への)通常の上昇が起こり、その
許容最大作業力の達成による作業動作の終了が可能だからである。
【0043】
広い意味において、この関係は、ユーザに対する装置の検査を行うようにとのメッセージのために、1又は複数回の汎用的作業力の達成を利用するように用いることもできる。これに加えて、このような1又は複数回の
許容最大作業力の達成は、例えば3〜10回の所定の回数を予め設定できるが、さらに特に、この回数が短時間に続いて起こるときは装置をスイッチオフするように予め設定でき、それによって、ユーザに検査を実行させたり、該当する場合は作業を検査させたりする。
【0044】
図3及び
図4の実施形態は、同様に、切断装置の場合の動作を示している。ここでは、切断されるべき切断ブランク18が
図3に示されている。
図4では、切断動作が終了している。
【0045】
しかしながら切断後は先ず作業力が突然低下するので、この動作は
図9に鎖線L
1で再現されている。ここでは、低下後の領域L
1’における上昇の結果、実施例では液圧ピストン7が、復帰バネ8の各コイルが互いに隣接することによりさらに移動することができず、液圧ピストンと液圧シリンダとの間の"ボトムアウト(底入れ)"による圧力上昇が現れる。ここでも、ピストンポンプが用いられているときのステップの高さの特徴的上昇、又は、圧力上昇曲線の大きな勾配に関する特徴的変化等を、所定の作業動作を終了させるための信号として解釈することができる。
【0046】
図5及び
図6並びに
図7及び
図8は、1つの電気モータ11のみが設けられ、それが軸に対して直接作用することによって圧着顎又は切断顎の移動を生じる。この場合、電気モータ11のモータ電流の評価が、デバイス値の特徴的変化を検知するために適切である。それに替えて又は補足的に、作業動作の進行中に力を受ける装置部分における歪みゲージを介して計測される例えば力、膨張又は張力を、その特徴的変化が評価に利用されるデバイス値として用いることができる。
【0047】
液圧式に作業力を発生する場合、所定の作業動作の終了は、好適には逆止弁の開放により開始される。同時に、液圧式ポンプがスイッチオンされることが好適である。逆止弁として、ソレノイド駆動される逆止弁を用いることができ、例えば特許文献3の独国特許出願公開公報に開示されている。ここでこの出願の内容は、本願の請求の範囲にこの先願のの特徴を含めるためにもその全てが本願の開示に含まれるものとする。
【0048】
電気モータのみで駆動される作業装置の場合、所定の作業動作の終了は、電気モータ11を停止し、さらに好適には直ちに逆回転を開始させることにより行うことができる。逆回転により、上述した圧着顎又は切断顎等の作業手段を再び開くことができる。
【0049】
図11〜
図15に関して、液圧式圧着装置の場合における、作業動作を終了させるための、又は少なくとも終了を開始させるための逆止弁の駆動をさらに詳細に説明する。
【0050】
図11〜
図15に示した液圧式圧着装置は、
図1に示した液圧式圧着装置に対応する、ここでは詳細に再現しない電気モータ11と、圧力媒体貯蔵空間4と、ポンプ5とを有する。
【0051】
さらに、
図11〜
図15の液圧式圧着装置は、液圧負荷により液圧シリンダ6に対して移動可能な液圧ピストン7を有する。
【0052】
作業動作を実行するために、液圧媒体がポンプ5により液圧シリンダ6内に吐出される。液圧シリンダ6はさらに、戻りライン20を有し、それを介して液圧媒体が逆止弁21を介して液圧タンク4に還流することができる。
【0053】
特に
図13及び
図14から、液圧シリンダ6の容積が、液圧式手動圧着装置1の作業状態によって変化することがわかる。
図13において、液圧ピストン7は、
図11に対して変化した位置にある。所定の作業動作の終了又は終了の開始に対応する逆止弁21の開放(
図14)に続いて、液圧ピストン7が
図1の開始位置の方向に戻っていく。
【0054】
ポンプ5を動作させて液圧ピストン7を作業位置の方向に移動させるための電気モータ11は、好適には手動操作される押しボタンとして形成されたスイッチ17を介して起動される。電気モータ11の、好適にはさらに上述したスイッチング/制御用電子部品の、並びに適用可能な場合はさらに装置の電気又は電子部品の電力供給は、
図11〜
図15には示していない装置側バッテリにより、又は系統電源への電気配線を介して行われる。
【0055】
弁の閉鎖位置において、逆止弁21は押圧バネ22により弁座に押し付けられる。具体的には、弁座は、好適には、ねじ山24を介して液圧式手動圧着装置1のハウジングに螺合されるねじ込み部品23からなる。
【0056】
弁座には貫通孔25が設けられ、適用可能な場合は、ねじ込み部品23に設けられる。流れに関して、戻りライン20との連通においても同様である。
【0057】
押圧バネ22により印加される予圧に対して弁座における貫通孔25の断面が細いため、原理的に逆止弁21は、所定の閾値圧力を超えたときにのみ開放される。この圧力は例えば600又は700barである。この閾値圧力は、
許容最大作業力の達成に対応する。
【0058】
逆止弁が開放されたならば、圧力媒体の圧力はもはや、例えばニードル弁26により設けられる部分ピストン面である貫通孔25の断面に対応する面上には存在せず、圧力空間(特に液圧シリンダ6)に対向する面全体に、ニードル弁26を有する逆止弁21の逆止弁ピストン28の部分面27に存在する。このことから、開放された逆止弁21は、例えば2〜5barの極めて低い圧力で戻りライン20内にて開放位置に既に保持されている。
ニードル弁26は、理想的に一点で終端するように形成する必要はない。好適には、ある程度、円錐形に形成される。
【0059】
好適には、この低圧力は、液圧ピストン7の復帰中、液圧ピストン7に作用しかつ液圧ピストン7を端位置へと付勢するバネ29により生成される。
【0060】
貫通孔25の後のドレン流方向においては、圧力が再びさらに著しく低くなる。例えば特に液圧ピストンの復帰の開始時における圧力は、貫通孔25又は弁座より前の圧力の3/4又はそれ未満しかなく、実際には例えばおよそ半分である。しかしながら、この圧力差は、その後、実質的に均等化され、液圧ピストン7の復帰直後は、単に通常の比較的低いだけの圧力となる。
【0061】
逆止弁21の開放に続いて、貫通孔25から逆止弁ピストン28の部分面27までの空間30が圧力空間に含められる。その後、圧力媒体がドレン孔31を介して液圧タンク4に流れ戻る。上述及び後述の空間30は、バルブ空間とも称される。
【0062】
部分面27を貫通し好適には逆流防止された軸孔32は、
図11及び
図12による逆止弁21の閉鎖状態において、液圧タンク4からの圧力媒体の流入を可能とし、それにより特に増圧ピストン33の復帰を容易とする。
【0063】
別途の手段無しに、液圧すなわち閾値圧力がニードル弁26を弁座から上昇させることは、
許容最大作業力の達成に対応する。
【0064】
ここで上述したデバイス値の特徴的変化を達成したときに所定の作業動作を終了することにより、逆止弁21はその開放位置に移動させられるが、液圧ピストン7において逆止弁21の上昇のために必要な液圧は不要である。
【0065】
このために、好適には流出方向に貫通孔25に続く液圧空間を設けられた、
図11〜
図15で説明した実施例を参照すると、動作状態において圧力媒体で充填されるさらなるライン34が設けられる。このライン34は圧力媒体シリンダ35に続き、好適にはその中で上述した増圧ピストン33が直線的に変位可能である。ライン34は、図示のものより短くすることも又は省くこともできる。
【0066】
電気的に駆動されるセッティング磁石36により、液圧シリンダ35又はライン34内の増圧ピストン33の直線移動が実現できる。セッティング磁石36を駆動することにより生じる増圧ピストン33の移動は、好適には、増圧ピストン33に作用する復帰バネ37の力に抗して行われる。
【0067】
好適には逆止弁21の移動方向に向いた、例えばねじ込み部品23に設けられた孔38により、ライン34は、液圧的に空間30の一部を形成している。
【0068】
組立状態において、ねじ込み部品23は、対向するハウジング壁に対して直接置かれておらず、それにより、増圧ピストン33により移動させられた圧力媒体は、容易にライン34から流出し、孔38を介して圧力媒体の流出方向に弁座の後に配置された空間30の部分に流入することができる。
【0069】
作業動作を行っている間、ここでは例えば圧力媒体の圧力又は電気モータのモータ電流量等の1又は複数のデバイス値が検知され、上述した特徴的変化に関して評価される。
【0070】
値の比較により予め設定された特徴的変化を達成したとき、セッティング磁石36の駆動を生じさせる制御において対応する信号が生成される。
【0071】
セッティング磁石36の駆動の結果、増圧ピストン33もまた、好適に設けられた復帰バネ37の力に抗して、
図14及び
図15に示された供給位置へと急激に移動する。これにより、増圧ピストン33は、周方向に関して実質的に密閉された極めて細いライン34の圧力媒体シリンダ35との相互作用へと移動する。増圧ピストン33の前方に存在する圧力媒体は、増圧ピストン33の移動方向に、逆止弁21の方向に変位し、それにより、図示の実施例では、貫通孔25の”後”の空間に移動させられる。従って、圧力媒体は、逆止弁21の閉鎖状態下において部分面27とねじ込み部品23の該当する側により形成される空間及び逆止弁21が受容されるシリンダの一部に移動させられる。これは、上述した空間30であり、バルブ空間である。このように、このバルブ空間はサイズ縮小の意味で作用を受けている。この結果、逆止弁21の部分面27に作用するための空間30内の短時間の圧力上昇を生じる。部分面27の直径領域は弁座の貫通孔25の断面積に比べて実質的に拡大されているので、負荷によって例えば2〜5barである数barの圧力の増加による逆止弁21の上昇が既に達成可能である。この圧力は、(初期には)増圧ピストン33のピストン様の変位によってのみ達成される。
【0072】
特に、液圧式圧着装置の場合のこのような構成により、所定の作業動作の終了のための信号としての上述した特徴的変化の達成に対し、極めて好ましくかつ迅速に反応することができる。
【0073】
これにより、ニードル弁26が弁座から持ち上げられることによって、液圧シリンダ6から液圧タンク4への圧力媒体の戻りを生じることができ、その場合、液圧ピストン7が
図11に示す端位置に到達してそれにより逆止弁21を開に維持する圧力が低下するまで、逆止弁21は上昇位置に維持されることができる。
【0074】
増圧ピストン33による逆止弁21に対する圧力上昇は、初期化の効果を有する。逆止弁21が上昇しそれに伴って空間30のドレン孔31との接続が生じ、同時に貫通孔25を開放すると、液圧ピストン7の復帰により存在する圧力が逆止弁21に対して作用する。
【0075】
セッティング磁石36の電気駆動は先ず衝撃的に起こることができ、それにより増圧ピストン33は完全な前進ストロークの後、ほぼ突然に
図14に示した前進位置に現れる。作業サイクルの通常通りの完了時まで、すなわち特に上述した構成により原理的には実行可能でもある移動部分の復帰の早期終了が望まれない場合は、増圧ピストン33は、作動される限りこの位置に留まる。
【0076】
セッティング磁石36の駆動の断絶が、液圧ピストンの完全な復帰移動の前に早めに行われることにより、増圧ピストン33は、それに対応して早期にその開始位置に戻ることができる。これに関係するバルブ空間30の拡大は、これによる所望される逆止弁21の閉鎖が達成されるように確実に圧力を低下させることができる。これによって、操作スイッチを押された状態に維持することにより通常通りに調整されたり個別に変化させられたりする開始位置を、さらなる作業動作のために実現することができる。
【0077】
増圧ピストン33の復帰動作により、バルブ空間30に必要な圧力媒体を供給するために、好適には液圧タンク4からバルブ空間30への流路も同時に開放され、それが上述した増圧ピストン33の復帰動作を可能とする。逆止弁21が再び閉じられると直ちに、圧力媒体はそれ以上弁座を介してバルブ空間30に流入できなくなる。この流路は、逆止弁ピストンに配置された逆流防止弁及び/又は液圧タンク4からライン34への接続通路により設けることができる。増圧ピストン33の復帰動作により、先ず、圧力媒体の液圧タンク4への(さらなる)ドレン経路もライン区間39を介して生じることができ、それは、戻っていく増圧ピストン33により開放される。それに加え、しかしながら相補的に又は代替的に、増圧ピストン33のピストン軸41のマウンティング40を介しても行われる。これにより、そして増圧ピストン33の作動ピストン43が配置されている好適に続く拡大空間42により、圧力媒体が直接、液圧タンク4にドレンされることができる。
【0078】
作動状態において、
図14及び
図15に示すように、ここでは円錐形に形成された作動ピストン43の前面が、関係する壁に対して直接接触することも重要である。一方、この作動ピストン43の後方部分は、拡大空間42を完全には充填しない。その側面の一部が平坦である結果、駆動によって進行した
図14又は
図15に示す状態において拡大空間42内に自由空間44も残る。
【0079】
液圧ピストン7の作業位置への前進移動が、ユーザがスイッチを操作している間にのみ維持されるようにすることもできる。スイッチを開放したとき(所定の作業力が達成される前)にセッティング磁石36を駆動させる信号が生成される構成においては、それにより、増圧ピストン33を介してバルブ空間30の圧力上昇を生じる。従って、スイッチを開放すると、逆止弁21が開放位置に移動し、これに関して逆止弁21は液圧ピストンを端位置に自動復帰させることもできる。これに関係なく、スイッチが連続的に押された状態を維持する場合であっても、デバイス値の特徴的変化が達成されたときに所定の作業動作における上述した状態を設けることもできる。
【0080】
増圧ピストン33は、逆止弁21に対して横向きに配置することができる。増圧ピストン33と逆止弁21のそれぞれの長軸は、好適にはその延長領域で互いに交差する。このことは、望ましいコンパクトな設計に寄与する。
【0081】
さらに、実施例にも示したように、セッティング磁石36又はこれに関係する構成部分が、液圧タンク4内に突出することにより圧力媒体によって取り囲まれることができる。
【0082】
上記の説明は、各場合において、少なくとも以下の特徴の組合せによって、従来技術をさらに進展させた、本願により包括的に包含される発明の説明に有用である。すなわち:
【0083】
開示された全ての特徴(それ自体もまた互いの組合せにおいても)本発明の本質である。本願の開示には、関係する優先権書類(先願の複写)もまたその全体が、それらの書類の特徴を本願の請求の範囲に組み込む目的も含め、ここに包含される。従属項はその構成により特徴付けられ、従来技術に対する独立した進歩性ある改良であり、特にこれらの請求項に基づく分割出願を行うためである。