特許第6902557号(P6902557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902557放射線感受性熱可塑性複合パネルおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902557
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】放射線感受性熱可塑性複合パネルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 4/00 20060101AFI20210701BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20210701BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   G21K4/00 N
   A61B6/00 300N
   G21K4/00 M
   C08K3/01
   C08L23/02
   C08K3/16
   C08K5/3415
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-549755(P2018-549755)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2019-505816(P2019-505816A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2016045501
(87)【国際公開番号】WO2017105556
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】62/304,970
(32)【優先日】2016年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/266,860
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517429282
【氏名又は名称】ケアストリーム・デンタル・テクノロジー・トプコ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャガナタン セシャドリ
(72)【発明者】
【氏名】ランキン チャールズ エム
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ ローレンス ディー
(72)【発明者】
【氏名】アルリーチ バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ガフィー ベツィー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジャン−マルク
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−250639(JP,A)
【文献】 特開2008−001910(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0291528(US,A1)
【文献】 特開2004−177314(JP,A)
【文献】 特開昭60−200200(JP,A)
【文献】 特開平02−276998(JP,A)
【文献】 特開2005−005792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/20
A61B 6/00−6/14
C08K 3/00−13/18
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニン青色色素を含む無機蓄積性蛍光体層を含む、独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、
前記無機蓄積性蛍光体層は、前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニン青色色素を溶融混合して溶融複合物を形成し、溶融複合物を溶融押出し、射出成形又はホットプレスすることにより形成され、
前記熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン、シロキサン、ポリ塩化ビニル、又はポリ塩化ビニリデンであり、
前記独立型無機蓄積性蛍光体パネルを引き裂くのに必要とされるピークトルク(Tp)が、0.04ニュートンメートルより大きく、0.2ニュートンメートルより小さいことを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって
前記無機蓄積性蛍光体材料は、粒子を含み、前記粒子の95%が直径6.8μm以下でありかつ前記粒子の95%が直径1.0μm以上であることを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、光吸収材料を含むまたは含まない、少なくとも1つのポリマーを含む支持体をさらに含むことを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項4】
請求項1に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、前記少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィンが、ポリエチレンであることを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項5】
請求項1に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、前記独立型無機蓄積性蛍光体パネルが、1ミリメートルあたり15ラインペア(lP/mm)の解像度を有することを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項6】
請求項1に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組合せであることを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項7】
請求項6に記載の独立型無機蓄積性蛍光体パネルであって、
前記ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又は超低密度ポリエチレンであることを特徴とする独立型無機蓄積性蛍光体パネル。
【請求項8】
無機蓄積性蛍光体パネルを製造する方法であって、
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニン青色色素を溶融混合して溶融複合物を形成するステップと、
前記溶融複合物を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、製造無機蓄積性蛍光体パネルを形成するステップと、を含み、
前記熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン、シロキサン、ポリ塩化ビニル、又はポリ塩化ビニリデンであり、
前記無機蓄積性蛍光体パネルを引き裂くのに必要とされるピークトルク(Tp)が、0.04ニュートンメートルより大きく、0.2ニュートンメートルより小さいことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリオレフィンであり、
前記無機蓄積性蛍光体材料は、粒子を含み、前記粒子の95%が直径6.8μm以下でありかつ前記粒子の95%が直径1.0μm以上であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、光吸収材料を含むまたは含まない、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む支持体をさらに含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には無機蓄積性蛍光体材料の分野に関する。より詳細には、本発明は、無機蓄積性蛍光体材料と熱可塑性および/または熱硬化性ポリマーとの溶融押出可能なおよび/または射出成形可能なおよび/またはホットメルトプレス可能な複合体、ならびにそれを製造および/または使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀初頭近くには、放射線感受性ハロゲン化銀乳剤を含有するフィルムを、患者を通過したX線放射線(X線)に曝露すると、医学的に有用な解剖学画像を得ることができることが認識された。その後、放射線写真蛍光体パネルをフィルムに隣接して置くことによってX線曝露をかなり低減できることが認識された。
【0003】
放射線写真蛍光体パネルは、X線を吸収し、光を放射してフィルムを露光することができる無機蛍光体の層を典型的には含有する。無機蛍光体層は、一般に、画像様の(image−wise)X線に反応する結晶性物質である。放射線写真蛍光体パネルは、使用する蛍光体の種類に基づき、即時放射パネルおよび画像蓄積パネルとして分類され得る。
【0004】
画像蓄積パネル(一般に「蓄積性蛍光体パネル」とも称する)は、X線を吸収し、その後、蓄積されたX線パターンに応じて画像様の光を放射するように刺激されるまでそのエネルギーを蓄積することができる、蓄積性(「輝尽性」)蛍光体を典型的には含有する。蓄積性蛍光体パネルの周知の使用は、コンピューターまたはデジタル放射線写真におけるものである。これらの用途では、最初に、パネルをX線に画像様に曝露し、これを無機蛍光体粒子に吸収させ、潜像を生成する。蛍光体粒子は、ある程度蛍光を発し得るが、吸収されたX線の大部分はそこに蓄積される。最初のX線曝露後、ある間隔を置いて、蓄積性蛍光体パネルを、長波長の放射線、例えば、可視または赤外光(例えば、刺激光)にさらすことにより、蛍光体粒子に蓄積されたエネルギーが刺激ルミネセンス(例えば、刺激光)として放射され、これは検出され、逐次電気信号に変換され、この信号は処理されて、記録材料、例えば、光感受性フィルムまたはデジタル表示装置(例えば、テレビまたはコンピューターモニター)の可視像になる。例えば、蓄積性蛍光体パネルを、X線に画像様に曝露し、その後、赤色光または赤外線ビームを有するレーザーで刺激することにより、緑色または青色光が放射され、これは検出され、電気信号に変換され、この信号は処理されて、コンピューターモニターの可視像になる。刺激光はまた、大面積の蓄積性蛍光体の刺激を可能にするレーザー以外の他の光源(例えば、LEDランプ)であってもよく、検出は、2次元検出器、例えば、CCDまたはCMOS装置を用いて行われてもよい。その後、蓄積性蛍光体パネルからの画像は、蛍光灯などからの紫外線への曝露により「消去」できる。
【0005】
したがって、蓄積性蛍光体パネルは、蓄積されたエネルギーを次の刺激の後までごく少量放射しながら、できる限り多くの入射X線を蓄積することが典型的には予想され、刺激光にさらされてはじめて、蓄積されたエネルギーが放射されることになる。このようにして、蓄積性蛍光体パネルは、放射線画像を蓄積および伝達するために繰り返し使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、蓄積性蛍光体パネルの改良が必要とされている。より具体的には、同等のX線吸収度の従来の溶剤被覆スクリーンの画質に相当する画質を有する、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一態様は、医療用、歯科用および非破壊の撮像システムの技術を向上させることである。
【0008】
本出願の別の態様は、関連技術における少なくとも前述および他の欠点に全体的または部分的に対処することである。
【0009】
本出願の別の態様は、少なくともここに記載した利点を全体的または部分的に提供することである。
【0010】
一態様において、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を含む、例示的な溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの実施形態であって、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルが、同等のX線吸収度の従来の溶剤被覆スクリーンの画質に相当するか、またはそれより良好な画質を有する、実施形態が提供される。
【0011】
別の態様において、熱可塑性オレフィンおよび無機蓄積性蛍光体材料を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを含む、例示的な無機蓄積性蛍光体検出システムの実施形態も開示される。
【0012】
更なる態様において、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を得るステップと、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を、溶融押出または射出成形またはホットプレスして、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を形成するステップとを含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを製造する、例示的な方法実施形態が開示される。
【0013】
更なる態様において、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料、および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、例示的な無機蓄積性蛍光体パネルであって、パネルを引き裂くのに必要とされるピークトルク(Tp)が、0.04ニュートンメートル<Tp<0.2ニュートンメートルである、例示的な無機蓄積性蛍光体パネルが開示される。
【0014】
更なる態様において、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニン青色色素を含む材料を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、製造無機蓄積性蛍光体層を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体パネルを、0.04ニュートンメートル<Tp<0.2ニュートンメートルのピークトルク(Tp)を用いて引き裂くステップとを含み得る、例示的な方法が開示される。
【0015】
これらの目的は、例示的な例としてのみ示され、このような目的は、本発明の1つ以上の実施形態を例示し得る。本開示の発明により本質的に達成される他の望ましい目的および利点は、当業者に思いつくか、または明らかになるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0016】
本発明の前述および他の目的、特徴および利点は、添付の図面に例示するように、本発明の実施形態の以下のより特定の説明から明らかになるであろう。図面の要素は、互いに対して必ずしも縮尺通りであるというわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本開示の様々な実施形態によるシンチレーターパネルの例示的な部分を示す図である。
図1B】本開示の様々な実施形態によるシンチレーターパネルの例示的な部分を示す図である。
図1C】本開示の様々な実施形態によるシンチレーターパネルの例示的な部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、例示的な実施形態の説明であり、同じ参照数字が、いくつかの図の各々において、構造体の同じ要素を特定する図面を参照する。
【0019】
ここで例示的な実施形態は、熱可塑性ポリマーおよび蓄積性蛍光体材料を有する押出蓄積性蛍光体層を含む、蓄積性蛍光体パネル、ならびにこれを調製する方法を提供する。本説明および例が、ヒトまたは他の被写体の医療用放射線写真の撮像を主に対象とし、本出願の装置および方法実施形態は、他の放射線写真の撮像の用途にも適用され得ることに注意されたい。これは、非破壊検査(NDT)などの用途を含み、これに関して、放射線写真画像は、撮像される被写体の様々な特徴を強調するために、様々な加工処理によって得られ、提供され得る。
【0020】
スクリーンの重要な特性は、そのX線吸収度である。特定の用途(整形外科、マンモグラフィー、口内歯科もしくは口外歯科、または金属の非破壊検査など)に応じて、蓄積性蛍光体スクリーン上に入射する放射線のエネルギーおよび強度は様々である。しかし、X線撮像手段として有用であるために、蓄積性蛍光体スクリーンは、有用な画像が生成されるように、十分なX線吸収度を有する必要がある。実際面で、これには、押出蓄積性蛍光体スクリーンの約40〜60%(体積)が、蓄積性蛍光体材料(フルオロブロモヨウ化バリウムまたは臭化セシウム)であることが必要とされる。
【0021】
蓄積性蛍光体スクリーンの別の要件は、スクリーンの情報を読み取るために用いられる刺激放射線の入射方向に関して、スクリーンの両側から透過または反射モードで読み取り可能であることである。また、スクリーンは、周囲照明条件または室内照明下で取扱い可能であることが望ましい。
【0022】
特定の撮像用途(医療用放射線写真もしくは歯科用放射線写真または非破壊検査)に応じて、蓄積性蛍光体パネルに必要とされる物性は、大きく異なってもよい。しかし、異なる物性は、蓄積性蛍光体スクリーンのいくつかの重要な特性、例えば、その剛軟度(http://www.taberindustries.com/stiffness−tester)、引裂抵抗性(http://jlwinstruments.com/index.php/products/test−solutions/tear−resistance−testing/)、または耐折性(https://www.testingmachines.com/product/31−23−mit−folding−endurance−tester)により定義され得る。これらの特性を評価する様々な方法の概要は、(http://ipst.gatech.edu/faculty/popil_roman/pdf_presentations/Prediction%20of%20Fold%20Cracking%20Propensity%20through%20Physical%20Testing.pdf)に概説されている。これはすべて、単層または多層構造を使用することで達成でき、この構造は、更なる共押出層をスクリーン上に含み、これは、微粒子および/または化学的性質を含有し、スキャナーの機構および/またはエンドユーザーによる取扱いに適応させるのに必要とされる必要な物性を得ることができる。さらに、押出蓄積性蛍光体スクリーンは、再利用可能であることが重要である。すなわち、スクリーンの組成が、これらを再利用して、蓄積性蛍光体スクリーンを製造できるか、および/またはスクリーンの蓄積性蛍光体部分を再利用して、新しいスクリーンを製造できるようなものである必要がある。
【0023】
蓄積性蛍光体パネルの刺激波長および放射波長は、特定の蓄積性蛍光体により一般に決定される。一般に用いられる蓄積性蛍光体のピーク刺激波長、刺激波長は、かなり広範であり、550〜700nmの範囲である。しかし、ユーロピウムドープフルオロブロモヨウ化バリウム蓄積性蛍光体の刺激放射は、約390nmにピークを有する。
【0024】
図1は、本開示の様々な実施形態による例示的な蓄積性蛍光体パネル100の一部を示している。ここで使用する「蓄積性蛍光体パネル」は、別段の指示がない限り、当技術分野でのその通常の意味を有することが理解され、X線放射線に曝露したとき、画像を蓄積し、別の(一般に可視)放射線により刺激されたとき光を放射するパネルまたはスクリーンを指す。そのようなものとして、「パネル」および「スクリーン」は、ここでは互換的に用いられる。図1A〜1Cに示す蓄積性蛍光体パネル100が、一般化された略図を表し、他の構成要素が、追加されてもよく、または既存の構成要素が除去または修正されてもよいことは、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0025】
ここに開示した蓄積性蛍光体パネルは、コンピューター放射線写真での使用に対する通常の要件すべてを満たすならば、任意の好都合な形態を取ることができる。図1Aに示すように、蓄積性蛍光体パネル100は、支持体110、および支持体110の上に配置される溶融押出または射出成形またはホットプレスされた蓄積性蛍光体層120を含んでいてもよい。蓄積性蛍光体パネルでの使用に適しており、蓄積性蛍光体スクリーンの再利用可能性に干渉しない任意の可撓性または剛性材料、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック、高分子材料、炭素基材などを、支持体110として使用できる。ある種の実施形態において、支持体110は、セラミック(例えば、Al)または金属(例えば、Al)または高分子(例えば、ポリプロピレン)材料で作られていてもよい。また図1Aに示すように、一態様において、支持体110は、蓄積性蛍光体層120と共に共押出されてもよい。支持体は、透明、半透明、不透明または有色(例えば、青色または黒色色素を含有する)であってよい。あるいは、所望される場合、支持体は、蓄積性蛍光体パネルにおいて省略されてもよい。
【0026】
別の態様において、アンチカール層を、支持体を使用する場合は支持体の両側、または蓄積性蛍光体スクリーンの側面に共押出し、蓄積性蛍光体スクリーンの寸法安定性を管理することができる。
【0027】
支持体110の厚さは、それ自体およびそこに配置される層を支持することができる限り、使用する材料に応じて変化させてもよい。一般に、支持体は、約50μm〜約1000μm、例えば、約80μm〜約1000μm、例えば、約80μm〜約500μmの範囲の厚さを有することができる。支持体110は、所望される用途に応じて、滑面または粗面を有することができる。一実施形態において、蓄積性蛍光体パネルは、支持体を含まない。
【0028】
蓄積性蛍光体層120は、支持体が含まれる場合、支持体110の上に配置できる。あるいは、蓄積性蛍光体層120は、図1Bに示すように、独立に溶融押出もしくは射出成形もしくはホットプレスされてもよく、または例えば、図1Aおよび図1Cに層150として示すように、不透明層、およびアンチカール層、ならびにこれらの組合せと共に溶融押出もしくは射出成形もしくはホットプレスされてもよい。
【0029】
蓄積性蛍光体層120は、熱可塑性ポリマー130および蓄積性蛍光体材料140を含んでいてもよい。熱可塑性ポリマー130は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの組合せ、またはポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン、シロキサン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)であってよい。一態様において、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)などであってよい。好ましい実施形態において、熱可塑性ポリマー130は、低密度ポリエチレン(LDPE)である。熱可塑性ポリマー130は、蓄積性蛍光体層120の全体積に対して、約1体積%〜約50体積%、例えば、約10体積%〜約30体積%の範囲の量で蓄積性蛍光体層120に存在し得る。
【0030】
ここで使用する「蓄積性蛍光体粒子」および「輝尽性蛍光体粒子」は、互換的に用いられ、別段の指示がない限り、当業者により理解されるその通常の意味を有することが理解される。「蓄積性蛍光体粒子」または「輝尽性蛍光体粒子」は、X線を吸収および蓄積し、さらに別の波長の放射線に曝露したかまたはこれで刺激したとき、第2の波長の電磁放射線(例えば、光)を放射することができる、蛍光体の結晶を指す。一般に、輝尽性蛍光体粒子は、数マイクロメートルから数百マイクロメートルの粒径を有する混濁多結晶であるが、サブミクロンからナノサイズの微細な蛍光体粒子も合成されており、有用であり得る。したがって、所定の用途に最適な平均粒径は、撮像速度と所望の画像鮮明度との間のバランスを反映している。
【0031】
輝尽性蛍光体粒子は、例えば、希土類イオンを活性剤として親材料、例えば、酸化物、窒化物、オキシ窒化物、硫化物、オキシ硫化物、ケイ酸塩、ハロゲン化物など、およびこれらの組合せにドープすることにより得ることができる。ここで使用する「希土類」は、原子番号39または57〜71(「ランタノイド」としても知られる)を有する化学元素を指す。輝尽性蛍光体粒子は、広範な電磁放射線を吸収できる。例示的な好ましい実施形態において、輝尽性蛍光体粒子は、約0.01〜約10nm(例えば、X線)、および約300nm〜約1400nm(例えば、UV、可視および赤外光)の波長を有する放射線を吸収できる。可視および赤外光の範囲に波長を有する刺激光で刺激したとき、輝尽性蛍光体粒子は、約300nm〜約650nmの波長の刺激光を放射し得る。
【0032】
ここでの使用のための適当な例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(I)
MFX1−zuM:yA:eQ:tD (I)
(式中、Mは、Mg、Ca、Sr、Baおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Xは、Cl、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
は、Na、K、Rb、Csおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
は、F、Cl、Br、Iおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Aは、Eu、Ce、Sm、Th、Biおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Qは、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al、La、In、SiO、TiO、ZrO、GeO、Nb、Ta、ThOおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Dは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
zは、約0.0001〜約1であり、
uは、約0〜約1であり、
yは、約0.0001〜約0.1であり、
eは、0〜約1であり、
tは、0〜約0.01である)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0033】
「z」、「u」、「y」、「e」および「t」で表される量は、モル量である。本開示の他の部分に示されている同じ呼称は、別段の指示がない限り、同じ意味を有する。式(I)において、好ましくは、MはBaであり、XはBrであり、MはNa、Kおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Xは、F、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、AはEuであり、Qは、SiO、Alおよびこれらの組合せからなる群から選択され、tは0である。
【0034】
ここでの使用のための他の例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(II)
(Ba1−a−b−cMgCaSr)FX1−zrM:yA:eQ:tD (II)
(式中、X、M、X、A、Q、D、e、t、zおよびyは、式(I)について上に定義した通りであり、a、bおよびcの合計は0〜約0.4であり、rは約10−6〜約0.1である)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
式(II)において、好ましくはXはBrであり、Mは、Na、Kおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Xは、F、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Aは、Eu、Ce、Biおよびこれらの組合せからなる群から選択され、QはSiO、Alおよびこれらの組合せからなる群から選択され、tは0である。
【0036】
ここでの使用のためのさらに例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(III)
1+2+X’bM3+X’’3:cZ (III)
(式中、Mは、Li、Na、K、Cs、Rbおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
2+は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu、Pb、Niおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
3+は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy Ho、Er、Tm Yb、Lum Al、Bi、In、Gaおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Zは、Ga1+、Ge2+、Sn2+、Sb3+、As3+およびこれらの組合せからなる群から選択され、
X、X’およびX’’は、同一でもまたは異なってもよく、互いに独立に、F、Br、Cl、Iからなる群から選択されるハロゲン原子を表し、0≦a≦1、0≦b≦1、0<c≦0.2。)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0037】
式(I)、(II)または(III)で表される好ましい輝尽性蛍光体粒子としては、ユーロピウム付活フルオロ臭化バリウム(例えば、BaFBr:EuおよびBaFBrI:Eu)、セリウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物、セリウム付活オキシハロゲン化物、二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物(例えば、Ba(Sr)FBr:Eu2+)、二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物、希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物、ビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体およびこれらの組合せが挙げられる。
【0038】
EuドープBaFBrI型蓄積性蛍光体の代替物としては、EuドープCsBr蓄積性蛍光体がある。これは、バインダレス蓄積性蛍光体スクリーンの形態で一般に用いられ、そこで、針状EuドープCsBr粒子は、基材上の材料の蒸着により生成され、次いで、これは不透水性材料を密閉する。このような針状ユーロピウムドープ臭化セシウム蓄積性蛍光体スクリーンは、約450nmに放射ピークを有する。
【0039】
熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を溶融混合して、複合熱可塑性粒子を形成し、次いで、これを溶融押出または射出成形またはホットプレスして、無機蓄積性蛍光体層を形成する。例えば、複合熱可塑性粒子は、2軸混合機を用いて熱可塑性ポリマーと無機蓄積性蛍光体材料とを溶融混合することにより調製できる。熱可塑性ポリマーと無機蓄積性蛍光体材料との比(ポリマー:無機蓄積性蛍光体)は、重量または体積で約1:100〜約1:0.01、好ましくは重量または体積で約1:1〜約1:0.1の範囲であってよい。組成物は、押出蓄積性蛍光体スクリーンの画質および/または物性を管理するために無機、有機および/または高分子添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、画質を管理するための青色色素(例えば、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン)、蓄積性蛍光体粒子のコロイド安定性を管理するための界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、複合体のレオロジーを管理するためのポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル)が挙げられる。溶融混合中、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を混合し、複数の加熱ゾーンから加熱してもよい。例えば、ポリオレフィンの場合、加熱ゾーンの温度は、使用するポリマー/添加剤ブレンドの特定の組成に応じて約170℃〜250℃で変化させてよく、各ゾーンでの時間は、使用するポリマー、および加熱ゾーンの温度に依存する。一般に、ポリマーは、ポリマーを溶融し、ポリマーを分解せずに無機蓄積性蛍光体材料を取り込むのに十分な時間および温度で加熱できる。各ゾーンでの時間は、約1秒〜約1分の範囲であってよい。複合熱可塑性材料を、溶融混合機から出した後、水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化してもよい。ストランドをペレット化し、約40℃で乾燥してもよい。熱可塑性ポリマー130および無機蓄積性蛍光体材料140各々のスクリュー速度および供給速度を、所望の通りに調整して、複合熱可塑性材料中の各々の量を管理してもよい。
【0040】
溶融混合の代替案としては、適当な溶剤中での複合混合物の生成が挙げられ、そこで、ポリマーを溶解または分散させ、無機蓄積性蛍光体粒子を分散させ、次いで、溶剤を蒸発させ、ポリマー/無機蓄積性蛍光体の複合混合物を粉砕し、それを、グラインダー、冷凍グラインダー、デンシファイア、アグロメレーターまたは任意の他の適当な装置を用いてペレット化する。
【0041】
無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合材料を、溶融押出または射出成形またはホットプレスして、無機蓄積性蛍光体層を形成してもよく、そこで、無機蓄積性蛍光体材料は、熱可塑性ポリマーに挿入(「充填」)される。例えば、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層は、複合熱可塑性材料を溶融押出または射出成形またはホットプレスすることにより形成できる。理論に限定されずに、溶融押出または射出成形またはホットプレスによる無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の形成により、無機蓄積性蛍光体層の均質性が高まり、溶剤を従来の溶剤被覆パネルにおいて蒸発させたときに生じる望ましくない「蒸発空間」が排除される。本開示による溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合パネルは、改善された機械および環境耐久性と共に、従来の溶剤被覆パネルと比較して、同程度の画質を有することができる。
【0042】
支持体層と組み合わせた、溶融押出または射出成形またはホットプレスされている無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層の場合、溶融処理パラメーター(溶融押出および射出成形の場合、温度、スクリュー速度およびポンプ速度、ならびにホットプレスの場合、温度および圧力)を調整して、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層および支持体層各々の厚さを個々に管理することができる。
【0043】
無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の厚さは、約10μm〜約1000μm、好ましくは約50μm〜約750μm、より好ましくは約100μm〜約500μmの範囲であってよい。
【0044】
任意選択で、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルは、所望される場合、機械的強度ならびに引掻き抵抗性および耐湿性を向上させる、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の上に配置される保護オーバーコートを含んでいてもよい。
【0045】
一実施形態において、シンチレーション検出システムは、少なくとも1つの蓄積性蛍光体パネル読取機/スキャナー160に連結、挿入または搭載された本開示の蓄積性蛍光体パネル100を含んでいてもよい。特定の蓄積性蛍光体読取機の選択は、作製された蓄積性蛍光体パネルの種類、および本開示の蓄積性蛍光体パネルと共に用いられる根本的な装置の意図された使用に部分的に依存する。
【0046】
評価
溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの重要な特性は、該パネルを、標準的な装置、例えば、グラインダー、冷凍グラインダー、デンシファイア、アグロメレーターまたは任意の他の適当な装置を用いて簡単に(例えば、機械的または電気機械的に)粉砕し、それを破砕工程中および/またはその後の上記の混合工程によりペレット化し、それを再び蓄積性蛍光体パネルとして押し出すことにより、再生および再使用できることである。溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、粉砕装置を摩耗させずに、蓄積性蛍光体パネルを粉砕できることが必要である。粉砕装置を摩耗させずに、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを粉砕する能力の重要な尺度は、パネルのその破壊強度である。溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの破壊強度は、使用中、所定の取扱いを維持するのに十分な高さでありながら、できる限り低いことが必要である。
【0047】
したがって、本発明および従来の無機蓄積性蛍光体パネルの粉砕または引裂パラメーターを比較することが有用である。実際上は、標準または従来の方法および装置、例えば、Xpansion Instruments(http://www.xinst.com/products.htm)からのSER(Sentmanat伸長レオメーター)汎用試験プラットフォームを用いて、無機蓄積性蛍光体パネルを引き裂くのに必要とされる(例えば、用いられる)ピークトルクを比較することが有用である。該装置の動作モードの一つは、ウェブサイト(http://www.xinst.com/results_fracture.htm)に示されている「高速破壊試験」である。該装置の動作の詳細は、http://www.xinst.com/images/SER_2004_Antec.pdfに記載されている。
この装置で測定されるフィルムの破壊は、以下の方程式、
FS=T/2Rt
(式中、FS−測定されるフィルムの破壊強度(ニュートン/メートル)、Tp−装置により印加されるピークトルク(ニュートンメートル)、R−ドラムの半径(メートル)、およびt−フィルムの厚さ(メートル))
で定義される。
パネルを引き裂くのに必要とされるピークトルク(Tp)は、以下の方程式、
Tp=FS×2×R×t
で示される。
【0048】
以下に示すように画質評価を行った。X線源は、Carestream Health CS2200X線発生装置であり、画像は、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーを用いて超高解像度モードでスキャンした。スクリーンを70kV、7mA、0.16秒のX線曝露にかけた。蓄積性蛍光体スクリーンの平坦場曝露によりピクセル値を得、ラインペアファントムを撮像し、目視観察することにより解像度を得た。ここで得られる画質評価からは、製造したパネル1セットもしくは1バッチごとに一貫してまたはそれにわたる、測定可能な1mmあたりラインペア(LP/mm)解像度(例えば、平均解像度)が得られる。連続的なX線曝露、一定のスキャナー条件に対して、線形ピクセルコード値(cv)は、光刺激発光により入射X線光子から可視光の光子(それは検出器により検出されてデジタル信号に変換される)に変換する際の蓄積性蛍光体スクリーンの速度を表す。
【0049】
比較例1
溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネル(CS7600)を比較例として使用した。パネルは、7milのPET支持体を被覆するBaFBrI蛍光体からなり、約6μmのPVDF/PMMAオーバーコートを有し、エッジは、同じオーバーコート材を用いて密閉されている。溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネルには、現在PET支持体が用いられている。さらに、出願人らは、口内コンピューター放射線写真パネルの支持体として使用し得る、分離した6milのPET支持体を、引き裂くことができなかった。全厚は325μmであった。
【0050】
発明実施例1
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製し、これは蛍光体に対して約200ppmのレベルで銅フタロシアニン青色色素を含有していた。
【0051】
配合は、LeistritzGL−400 2軸混合機を用いた、EM811Aポリマー樹脂とBFBrI粉末とのブレンドおよび混合を伴うものであった。スクリュー速度は300RPMに設定した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを、以下の表3に示す温度に設定した。
【表1】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0052】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを表2に示す温度に設定した。
【表2】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100〜200μmの厚さ範囲で形成した。全厚は150μmであった。
【0053】
発明実施例2
複合熱可塑性粒子の製造
発明実施例1に記載したように試料を調製した。主な違いは、ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、カーボンブラック含有低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)と共に、430°Fで設定した金型温度で2スロット金型から共押出し、カーボンブラック含有LDPE層を含む二層押出無機蓄積性蛍光体パネルを300〜350μmの厚さ範囲で形成したことである。蛍光体層中の青色色素濃度は、蛍光体に対して100ppmであり、全厚は325μmであった。
【0054】
分析
【表3】
本書において、「1つ(aまたはan)」は、特許文献で一般的な通り、任意の他の場合または「少なくとも1つ」もしくは「1つ以上」の用法とは無関係に、1つまたは1つより多いを含むように用いられる。本書では、用語「または」は、別段の指示がない限り、非排他性を指すように、または、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」および「AおよびB」を含むように用いられる。本書において、用語「含む(including)」および「そこで(in which)」は、各用語「備える(comprising)」および「そこで(wherein)」の平易な英語の同義語として用いられる。また、以下の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「備える(comprising)」は、非制限的であり、すなわち、特許請求の範囲においてこのような用語の前に列挙されるものに加えて、構成要素を含むシステム、装置、物品または工程が、依然として該特許請求の範囲内に含まれるとみなされる。
【0055】
本出願によるある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、歯の仮想モデル基部の仮想定義を提供し得る。本出願による例示的な実施形態は、ここに記載した様々な特徴を(単独でまたは組み合わせて)含み得る。
【0056】
本発明を、1つ以上の実行例に関して例示してきたが、変更および/または変形が、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱せずに、例示された例に対して行われてもよい。さらに、本発明の特定の特徴が、いくつかの実行例/実施形態の1つのみについて開示されていてもよく、このような特徴は、任意の所定または特定の機能について、所望され、有利であり得る、他の実行例/実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせられてもよい。用語「少なくとも1つの」は、選択できる列挙された項目の1つ以上を意味するために用いられる。用語「約」は、変更が、例示された実施形態の工程または構造との不適合にならない限り、列挙された値が幾分変更されていてもよいことを示す。さらに、「例示的な」は、それが理想的であることを意味するよりも、説明が一例として用いられることを示す。本発明の他の実施形態は、ここに開示された本発明の規定および実施を考慮することから当業者に明らかになるであろう。規定および実施例は、例示としてのみみなされ、本発明の真の範囲および精神は、少なくとも以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。
図1A-1C】