【文献】
Jun Dong, et. al,Full Ka-band right-angle transition from substrate integrated waveguide to air-filled rectangular waveguide,Electronics Letters,米国,2015年10月22日,Vol.51 No.22,p.1796-1798
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の誘電体からなる基板と、上記基板の両面にそれぞれ形成された第1導体層及び第2導体層からなる一対の広壁と、一対の狭壁及びショート壁として機能するポスト壁であって、上記基板を貫通し且つ上記第1導体層と上記第2導体層とを導通させる複数の導体ポストが柵状に配置された導体ポスト群からなるポスト壁と、を含み、且つ、一方の広壁の上記ショート壁の近傍の領域に結合窓が形成されたポスト壁導波路であって、導波領域は、上記第1導体層、上記第2導体層、及び上記ポスト壁により囲まれた基板により構成されるポスト壁導波路と、
一方の端部が上記結合窓を取り囲むように、上記一方の広壁に直接又は間接に突き当てられた導波管と、
上記導波管の内壁に配置された導体製のフィンであって、上記一方の広壁の一部と接触するフィンと、
誘電率が空気より大きい第2の誘電体からなり、且つ、上記結合窓を塞ぐ封止部材と、を備えており、
上記一方の広壁を平面視した場合に、上記ポスト壁導波路の上記導波領域のうち上記導波管の上記一方の端部と重畳している領域である変換領域は、上記ショート壁から遠ざかるにしたがって上記一対の狭壁同士の間隔が広がるテーパー領域と、該テーパー領域に連なり、且つ、上記間隔が一定である平行領域とにより構成されており、
上記結合窓は、上記テーパー領域と上記平行領域とにまたがって、上記ショート壁側を頂点とするV字状に形成されている、
ことを特徴とする変換構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者は、非特許文献1の
図1及び
図2に記載の変換構造が動作帯域を最も広帯域化できる変換構造の1つだと認識している。しかしながら、このような変換構造の動作帯域は広ければ広いほど好ましく、非特許文献1の
図1及び
図2に記載の変換構造であっても更なる広帯域化を図る余地がある。
【0007】
本発明の一態様に係る変換構造は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ポスト壁導波路内における電磁波のモードと、導波管内における電磁波のモードとを変換する変換構造において、動作帯域の広帯域化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る変換構造は、第1の誘電体からなる基板と、上記基板の両面にそれぞれ形成された第1導体層及び第2導体層からなる一対の広壁と、一対の狭壁及びショート壁として機能するポスト壁であって、上記基板を貫通し且つ上記第1導体層と上記第2導体層とを導通させる複数の導体ポストが柵状に配置された導体ポスト群からなるポスト壁と、を含み、且つ、一方の広壁の上記ショート壁の近傍の領域に結合窓が形成されたポスト壁導波路であって、導波領域は、上記第1導体層、上記第2導体層、及び上記ポスト壁により囲まれた基板により構成されるポスト壁導波路と、一方の端部が上記結合窓を取り囲むように、上記一方の広壁に直接又は間接に突き当てられた導波管と、上記導波管の内壁に配置された導体製のフィンであって、上記一方の広壁の一部と接触するフィンと、誘電率が空気より大きい第2の誘電体からなり、且つ、上記結合窓を塞ぐ封止部材と、を備えている。
【0009】
上記の構成によれば、ポスト壁導波路の導波領域を構成する第1の誘電体と、導波管の導波領域を構成する空気との間に、誘電率が空気より大きく第1の誘電体よりも小さな第2の誘電体からなる封止部材が介在する。したがって、ポスト壁導波路の導波領域と導波管の導波領域との境界において生じる誘電率の不連続性を緩和することができるので、本変換構造は、従来の変換構造と比較して、動作帯域の広帯域化を図ることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る変換構造において、上記フィンの形状は、階段状である、ことが好ましい。
【0011】
フィンの形状の例としては、上述した形状が挙げられる。
【0012】
本発明の一態様に係る変換構造において、上記一方の広壁を平面視した場合に、上記ポスト壁導波路の上記導波領域のうち上記導波管の上記一方の端部と重畳している領域である変換領域は、上記ショート壁から遠ざかるにしたがって上記一対の狭壁同士の間隔が広がるテーパー領域と、該テーパー領域に連なり、且つ、上記間隔が一定である平行領域とにより構成されており、上記結合窓は、上記テーパー領域と上記平行領域とにまたがって、上記ショート壁側を頂点とするV字状に形成されている、ことが好ましい。
【0013】
変換領域及び結合窓の形状の例としては、上述した形状が挙げられる。
【0014】
本発明の一態様に係る変換構造において、上記一方の広壁を平面視した場合に、上記V字状である上記結合窓の両翼部の先端は、とがっておらず所定の幅を有する、ことが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、平面視した場合に、V字状であり且つ両翼部の先端が所定の幅を有さずにとがっている結合窓を有するポスト壁導波路を備えた変換構造と比較して、動作帯域の広帯域化を図ることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る変換構造において、上記第1の誘電体は、石英ガラスであり、上記第2の誘電体は、ポリイミド樹脂である、ことが好ましい。
【0017】
第1の誘電体及び第2の誘電体の例としては、上述した材料が挙げられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、ポスト壁導波路内における電磁波のモードと、導波管内における電磁波のモードとを変換する変換構造において、動作帯域の広帯域化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る変換構造1について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、変換構造1の分解斜視図であって、ポスト壁導波路10と導波管20とを分解した状態の分解斜視図である。
図2の(a)は、変換構造1の導体層12を平面視した場合に得られる平面図である。
図2の(b)は、変換構造1の断面図であって、
図2の(a)に示したA−A’線に沿った断面を矢視した場合に得られる断面図である。A−A’線は、ポスト壁導波路10の導波領域R10において、一対の狭壁である狭壁14aと狭壁14bとから等距離にある直線である。
【0021】
〔変換構造1の構成〕
図1に示すように、変換構造1は、ポスト壁導波路10と、導波管20と、封止部材30と、フィン40とを備えている。
【0022】
(ポスト壁導波路10)
ポスト壁導波路10は、基板11と、導体層12と、導体層13と、ポスト壁14とを備えている。
【0023】
基板11は、第1の誘電体(本実施形態においては、石英ガラス)からなる板状部材である。
【0024】
導体層12及び導体層13の各々は、基板11の両面(
図1に示した座標系におけるz軸正方向側の主面及びz軸負方向側の主面)にそれぞれ形成された導体膜又は導体板である。導体層12及び導体層13は、ポスト壁導波路10の一対の広壁である。なお、導体層12及び導体層13の厚さは、電磁波を反射するために十分な厚さであればよく適宜設定することができる。
【0025】
ポスト壁14は、基板11を貫通する複数の導体ポストである導体ポスト群からなる。ポスト壁14を構成する各導体ポストは、基板11のz軸正方向側の主面からz軸負方向側の主面へ貫通する貫通孔を基板11に形成したうえで、その貫通孔の内壁に導体膜を形成することによって、又はその貫通孔に導体を充填することによって得られる。このようにして構成されたポスト壁14は、導体層12と導体層13とを短絡している。
【0026】
ポスト壁14において、上述した複数の導体ポストは、ポスト壁導波路10の一対の狭壁である狭壁14a及び狭壁14bと、ショート壁14cとにより構成されている(
図1及び
図2の(a)参照)。
図2の(a)においては、ポスト壁14を構成する各導体ポストの中心を結んだ線を2点鎖線で図示している。この2点鎖線は、複数の導体ポストが柵状に配置されてなるポスト壁14により実現される仮想的な導体壁を示す。
【0027】
図2の(a)に示すように、狭壁14aを構成する複数の導体ポストの中心と、狭壁14bを構成する複数の導体ポストの中心との間隔を間隔Dとする。この間隔Dは、特許請求の範囲に記載の一対の狭壁同士の間隔である。
【0028】
本願明細書において、変換構造1において、
図2の(a)に示すように導体層12をz軸正方向側から平面視した場合に、導波領域R10のうち導波管20の導波領域R20と重畳している領域を変換領域R10Tと称する。
【0029】
導波領域R10のうち、変換領域R10T以外の領域において、間隔Dは、一定である。
【0030】
また、変換領域R10Tは、平行領域R10Taと、テーパー領域R10Tbとにより構成されている。
【0031】
平行領域R10Taは、上述した変換領域R10T以外の領域と、テーパー領域R10Tbとを間に介在する領域である。平行領域R10Taにおいて、間隔Dは、一定であり、変換領域R10T以外の領域における間隔Dと等しい。
【0032】
テーパー領域R10Tbは、ショート壁14cによりy軸負方向側を塞がれた領域である。テーパー領域R10Tbにおいて、ショート壁14cにより塞がれた部分(y軸負方向側の端部)において間隔Dが最も狭く、且つ、ショート壁14cからy軸正方向側へ遠ざかるにしたがって間隔Dが広がるように、狭壁14a及び狭壁14bは、配置されている。
【0033】
変換領域R10Tに含まれる導体層12には、結合窓AP12が形成されている(
図1及び
図2参照)。変換構造1において、結合窓AP12は、ポスト壁導波路10の導波領域R10内における電磁波のモードと、導波管20の導波領域R20内における電磁波のモードとを結合させる。
【0034】
本実施形態において、結合窓AP12は、テーパー領域R10Tbと平行領域R10Taとにまたがって形成されており、且つ、ショート壁14c側(y軸負方向側)を頂点とする略V字型に形成されている(
図2の(a)参照)。
【0035】
なお、ポスト壁導波路10の導波領域R10は、導体層12と、導体層13と、ポスト壁14と、により5方を囲まれた基板11により構成されている。
図1及び
図2に示した変換構造1において、導波領域R10のy軸正方向側の端部は、開放されている。導波領域R10のこの開放された端部には、如何なる構造(例えば導波路や変換部など)を接続することもできる。
【0036】
(導波管20)
導波管20は、導体製(本実施形態においては銅製)であり、横断面が長方形状である導波管である。導波管20は、一方の端部(z軸負方向側の端部)である開放端20aが結合窓AP12と、導体層12の一部を取り囲むように、導体層12に対して直接突き当てられている。
図1に示した領域R12は、導波管20の開放端20aを導体層12に対して突き当てたときの導波管20の内壁の位置を示す。
【0037】
導体層12と、導波管20の開放端20aとは、導体層12と開放端20aとの間に隙間が生じないように接合されている。導体層12と開放端20aとを接合する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、溶接や、半田付けや、ロウ付けや、導電性接着剤を用いた接着などが挙げられる。
【0038】
(封止部材30)
封止部材30は、導体層12に結合窓AP12を設けることによって露出した基板11を塞ぐ誘電体層である。封止部材30を構成する第2の誘電体は、その誘電率が空気より大きい誘電体から選択される。ここで、空気の誘電率は、ε=1.0であり、石英ガラスの誘電率は、ε=3.8である。したがって、第2の誘電体は、誘電率が1.0より大きく3.8より小さい誘電体から選択される。本実施形態では、第2の誘電体としてポリイミド樹脂(ε=3.0)を採用している。
【0039】
本実施形態においては、硬化前のポリイミド樹脂を結合窓AP12の内部に充填し、そのポリイミド樹脂を硬化させることによって誘電体層である封止部材30を形成している。
図2の(b)に示すように、本実施形態では、封止部材30の厚さを導体層12の厚さと同一にしている。しかし、封止部材30の厚さは、結合窓AP12内の基板11の表面全体が覆われている限り、特に限定されるものではない。すなわち、封止部材30の厚さは、導体層12より薄くてもよいし、導体層12より厚くてもよい。
【0040】
(フィン40)
フィン40は、導体製の板状部材である。フィン40は、
図2の(b)に示すように、主面をx軸負方向側から平面視した場合に、2段の階段状になるように成型されている。フィン40は、導波管20の内壁に接合され、平面視で変換領域に含まれる導体層12の一部に対して起立するように配置されている。本実施形態において、フィン40のz軸負方向側の端辺は、導体層12に接合されている。
【0041】
〔結合窓AP12の形状〕
結合窓AP12の形状について、
図3の(a)を参照して説明する。また、結合窓AP12の第1の変形例及び第2の変形例の形状について、
図3の(b)及び(c)を参照して説明する。
図3の(a)は、結合窓AP12の拡大平面図であり、
図3の(b)及び(c)は、それぞれ、結合窓AP12の第1の変形例及び第2の変形例の拡大平面図である。
【0042】
図3の(a)に示すように、結合窓AP12は、ショート壁14c側(y軸負方向側)を頂点とするV字状に形成されている。換言すれば、V字状である結合窓AP12の両翼部の間には、導体層12の一部である台形部12aが存在している。また、結合窓AP12は、導体層12を平面視した場合に、両翼部の先端(y軸正方向側の端部)がとがっておらず所定の幅を有するように成形されている。ここで、両翼部の先端の所定の幅は、特に限定されるものではなく適宜定めることができる。
【0043】
図3の(a)に示すような結合窓AP12が形成されていることによって、変換領域R10Tのショート壁14cと逆側の端部(y軸正方向側の端部)において、変換領域R10Tに含まれる導体層12(すなわち台形部12a)の幅は、間隔Dよりも狭くなる。
【0044】
なお、フィン40は、台形部12aの中央に亘って、y軸方向に沿って配置されている。
図3の(a)の台形部12a及び結合窓AP12に付した2点鎖線は、フィン40が配置される領域を示している。
【0045】
(第1の変形例)
ポスト壁導波路10Aの導体層12Aに形成されている結合窓AP12Aは、結合窓AP12の第1の変形例である(
図3の(b)参照)。
【0046】
図3の(b)に記載の台形部12Aaは、
図3の(a)に記載の台形部12aに対応する。本変形例において、台形部12Aaのy軸負方向側の底辺の中央からは、y軸負方向に向かって長方形の帯部12Abが延伸されている。帯部12Abには、フィン40のy軸負方向側の部分が載置される。導体層12Aには、導体層12と比較して、このような帯部12bが形成されていてもよい。
【0047】
(第2の変形例)
ポスト壁導波路10Bの導体層12Bに形成されている結合窓AP12Bは、結合窓AP12の第2の変形例である(
図3の(c)参照)。
【0048】
結合窓AP12Bは、結合窓AP12と比較して、V字状の両翼部の先端(y軸正方向側の端部)をとがらせることによって得られる。換言すれば、結合窓AP12Bの両翼部先端の幅(x軸方向の長さ)は、ゼロである。
【0049】
〔変換構造の変形例〕
図1及び
図2に示した変換構造1の変形例である変換構造1Cについて、
図4を参照して説明する。
図4は、変換構造1Cの斜視図である。
【0050】
変換構造1Cは、変換構造1が備えていた導波管20を導波管20Cに置き換えることによって得られる。そこで、変換構造1Cを構成する部材のうち変換構造1と同一の部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。すなわち、本変形例では、ポスト壁導波路10、封止部材30、及びフィン40については、その説明を繰り返さず、導波管20Cについてのみ説明する。
【0051】
(導波管20C)
図1及び
図2に示した導波管20は、1本の導波管であり、その開放端20aの近傍にフィン40が接合されていた。一方、
図4に示している導波管20Cは、導波管本体201と、フランジ202とを接合することによって構成されている。
【0052】
導波管本体201は、
図1及び
図2に示した導波管20と同様に構成された導波管である。そのため、導波管本体201の説明は、省略する。
【0053】
フランジ202は、導波管と、導波管の内部に配置されたフィン202fとを一体成形した金属部材である。フランジ202の内壁は、導波管本体201の内壁と滑らかに連続するように構成されている。フィン202fは、
図1及び
図2に示したフィン40に対応する部材であり、導波管と一体成形されている点を除けば、フィン40と同様に構成されている。
【0054】
フランジ202は、例えば、導体製(例えば銅製やアルミニウム合金製)などのブロックを用いて削り出すことによって製造することができる。
【0055】
以上のように、本発明の一態様において、導波管は、導波管本体のみにより構成されていてもよいし、別個に製造された導波管本体とフランジと接合することにより構成されていてもよい。
【0056】
〔実施例及び比較例〕
本発明の第1の実施例及び第2の実施例として、
図1及び
図2に示した変換構造1であって、結合窓AP12の寸法を
図5の(a)に示すように構成した変換構造1を用いる。第1の実施例においては、封止部材30を構成するポリイミド樹脂の比誘電率として3を採用し、第2の実施例においては、上記比誘電率として4を採用した。また、本発明の第3の実施例として、第1の実施例のポスト壁導波路10を
図3の(c)に示したポスト壁導波路10Bに置換した変換構造1を用いる。第3の実施例が備えているポスト壁導波路10Bの結合窓AP12Bは、両翼部の先端がとがっている点を除けば、第1の実施例が備えているポスト壁導波路10の結合窓AP12と同様に構成されている。
【0057】
また、本発明の比較例として、
図5の(a)に示した変換構造1から封止部材30を省略した変換構造1を用いる(
図5の(b)参照)。
【0058】
これらの第1〜第3の実施例、及び比較例について、SパラメータS(1,1)の周波数依存性を65GHz以上90GHz以下の帯域でシミュレーションした。以下において、SパラメータS(1,1)の周波数依存性のことを反射特性とも呼ぶ。第1及び第2の実施例、及び比較例の反射特性を
図6の(a)に示す。また、第1及び第3の実施例、及び比較例の反射特性を
図6の(b)に示す。なお、
図6の(a)及び(b)に付した一点鎖線は、S(1,1)=−20dBを示している。
【0059】
図6の(a)及び(b)を参照すれば、封止部材30を備えていない比較例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域が68.5GHz以上76.1GHz以下であることが分かった。
【0060】
それにたいして、第1の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域が68.3GHz以上85.1GHz以下であることが分かった。また、第2の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域が68.4GHz以上85.5GHz以下であることが分かった。このように、比較例と比較して、第1の実施例及び第2の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域を広帯域化することができることが分かった。
【0061】
また、
図6の(b)を参照すれば、第3の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域が70.2GHz以上84.9GHz以下であることが分かった。すなわち、比較例と比較して、第3の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域を広帯域化することができることが分かった。
【0062】
また、第1の実施例と比較した場合、第3の実施例は、SパラメータS(1,1)が−20dB以下となる帯域が狭くなるものの、74.5GHz以上84GHz以下の帯域において、第1の実施例のSパラメータS(1,1)を下回ることが分かった。
【0063】
したがって、本発明の一態様においては、導体層12に形成された結合窓の形状を結合窓AP12および結合窓AP12Bから適宜選択することによって、変換構造1の基本構造を変更することなく、帯域幅の広帯域化を重視した態様(第1の実施例及び第2の実施例)と、比較例よりは広い帯域を確保しつつ、その帯域内の一部におけるSパラメータS(1,1)を重視した態様(第3の実施例)とを選択可能なことが分かった。
【0064】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。