特許第6902590号(P6902590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902590
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンの設計方法
(51)【国際特許分類】
   F02K 3/072 20060101AFI20210701BHJP
   F02K 3/06 20060101ALI20210701BHJP
   F02C 3/067 20060101ALI20210701BHJP
   F02C 3/107 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   F02K3/072
   F02K3/06
   F02C3/067
   F02C3/107
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-190092(P2019-190092)
(22)【出願日】2019年10月17日
(62)【分割の表示】特願2018-369(P2018-369)の分割
【原出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2020-73796(P2020-73796A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】13/363,154
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/604,653
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/410,776
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】レイセオン テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】スシウ,ガリエル エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,フレデリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ウィリアム ケー.
(72)【発明者】
【氏名】クプラティス,ダニエル バーナード
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−196489(JP,A)
【文献】 特開2006−342798(JP,A)
【文献】 特開2009−092064(JP,A)
【文献】 特開昭57−171032(JP,A)
【文献】 特開2005−264940(JP,A)
【文献】 特開平09−004465(JP,A)
【文献】 特開2008−032016(JP,A)
【文献】 特開2006−291955(JP,A)
【文献】 特開2007−113576(JP,A)
【文献】 特開平02−245454(JP,A)
【文献】 特開平02−238160(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0229242(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/089880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 3/00− 3/12
F02C 3/00− 3/36, 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの設計方法であって、このガスタービンエンジンは、
ファンと、
ファンと流体的に連通し、第1の圧縮機部と第2の圧縮機部を含む圧縮機部と、
圧縮機部と流体的に連通する燃焼器部と、
燃焼器部と流体的に連通するタービン部と、を備え、
タービン部は、第1のタービン部と第2のタービン部を含み、第1のタービン部第1の圧縮機部に接続され、第2のタービン部第2の圧縮機部に接続され
第1のタービン部は、第1の出口点において第1の出口面積を有し、かつ第1の速度で回転し、
第2のタービン部は、第2の出口点において第2の出口面積を有し、かつ第1の速度より速い第2の速度で回転し
前記方法は、
ファンが第1のタービン部より低速で回転するように、ファンと、第1のタービン部によって駆動される低速スプールと、の間にギア減速装置を設け、
第2の性能値に対する第1の性能値の比が、1.0〜1.5となるように設定することを含み、
第1の性能値、前記第1の速度の二乗と第1の出口面積との積として定められ、第2の性能値、前記第2の速度の二乗と第2の出口面積との積として定められることを特徴とするガスタービンエンジンの設計方法。
【請求項2】
前記ギア減速装置は、ファンを第1の圧縮機部とは反対の方向に回転させることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項3】
前記ギア減速装置は、ファンを第1の圧縮機部と同じ方向に回転させることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項4】
前記ギア減速装置は、遊星歯車減速装置であることを特徴とする請求項3記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項5】
前記ギア減速装置のギア比は、2.3より大きいことを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項6】
前記ギア比は、2.5より大きいことを特徴とする請求項5記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項7】
ファンは、空気の一部をバイパスダクトに送り、バイパス比が、バイパスダクトに送られる空気の量を第1の圧縮機部に送られる空気の量で割った値として定められ、該バイパス比は6.0より大きいことを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項8】
前記バイパス比は、10.0より大きいことを特徴とする請求項7記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項9】
ファンのブレード数が、26以下であることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項10】
第1のタービン部は、少なくとも3つの段を有することを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項11】
第1のタービン部は、6つまでの段を有することを特徴とする請求項10記載のガスタービンエンジンの設計方法
【請求項12】
第1のタービン部にわたる圧力比が、5:1より大きいことを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジンの設計方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、低圧タービンが、高圧タービン部の速度および遠心力に対して、従来技術のエンジンよりも高速かつ高い遠心応力で回転しているガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2012年2月29日出願の米国仮出願第61/604653号の優先権を主張するものであり、2012年1月31日出願の米国特許出願第13/363154号、名称「高速の低圧タービン部を備えるガスタービンエンジン」の一部継続出願である。
【0003】
ガスタービンエンジンは周知であり、典型的に低圧圧縮機部に空気を送るファンを備える。空気は、低圧圧縮機部で圧縮されて高圧圧縮機部に流入する。空気はさらに、高圧圧縮機部から燃焼器部に導かれ、ここで燃料と混合されて点火される。この燃焼の生成物は、高圧タービン部、そして低圧タービン部を通って下流に流れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、多くの従来技術のエンジンでは、低圧タービン部が低圧圧縮機部とファンの両方を直接駆動している。コアの直径に対してファンの直径が大きいと燃費が向上するため、ファンの直径を拡大することが産業界の動向となっている。しかし、ファンの直径が拡大されると、高いファンブレード先端速度によって圧縮率が影響を受けて効率が低下するおそれがある。よって、ファン速度、そして(いずれも従来より低速スプールを介してファンに連結されている)低圧圧縮機部および低圧タービン部の速度は、設計上の制約となっている。最近では、ファンが異なるより最適な速度で回転可能となるように、低速スプール(低圧圧縮機部および低圧タービン部)とファンとの間にギア減速装置を設けることが提案されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主な実施例では、ガスタービンエンジンは、ファンと、ファンと流体的に連通する圧縮機部と、を備える。圧縮機部は、第1の圧縮機部と第2の圧縮機部を含む。燃焼器部が、圧縮機部と流体的に連通する。タービン部が、燃焼器部と流体的に連通する。タービン部は、第1のタービン部と第2のタービン部を含む。第1のタービン部と第1の圧縮機部は、第1の方向に回転する。第2のタービン部と第2の圧縮機部は、反対の第2の方向に回転する。第1のタービン部は、第1の出口点において第1の出口面積を有し、第1の速度で回転する。第2のタービン部は、第2の出口点において第2の出口面積を有し、第1の速度より速い第2の速度で回転する。第1の性能値が、第1の速度の二乗と第1の面積との積として定められる。第2の性能値が、第2の速度の二乗と第2の面積との積として定められる。第1の性能値対第2の性能値の比が、約0.5〜約1.5である。ファンと第1のタービン部によって駆動される低速スプールとの間にギア減速装置が設けられており、ファンが第1のタービン部より低速で回転するようになっている。
【0006】
上述の実施例に基づく他の実施例では、上記の比は、約0.8以上である。
【0007】
上述の実施例に基づく他の実施例では、上記の比は、約1.0以上である。
【0008】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ギア減速装置は、ファンを反対の第2の方向に回転させる。
【0009】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ギア減速装置は、ファンを第1の方向に回転させる。
【0010】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ギア減速装置は、遊星歯車減速装置である。
【0011】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ギア比は、約2.3より大きい。
【0012】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ギア比は、約2.5より大きい。
【0013】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ファンは、空気の一部をバイパスダクトに送り、バイパス比は、バイパスダクトに送られる空気の量を第1の圧縮機部に送られる空気の量で割った値として定められ、バイパス比は、約6.0より大きい。
【0014】
上述の実施例に基づく他の実施例では、バイパス比は、約10.0より大きい。
【0015】
上述の実施例に基づく他の実施例では、ファンのブレード数は、26以下である。
【0016】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1のタービン部は、少なくとも3つの段を有する。
【0017】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1のタービン部は、6つまでの段を有する。
【0018】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1のタービン部にわたる圧力比は、約5:1より大きい。
【0019】
他の実施例では、ガスタービンエンジンのタービン部は、第1および第2のタービン部を備える。第1のタービン部は、第1の出口点において第1の出口面積を有し、第1の速度で回転する。第1のタービン部は、少なくとも3つの段を有する。第2のタービン部は、第2の出口点において第2の出口面積を有し、第1の速度より速い第2の速度で回転する。第2のタービン部は、2つ以下の段を有する。第1の性能値が、第1の速度の二乗と第1の面積との積として定められる。第2の性能値が、第2の速度の二乗と第2の面積との積として定められる。第1の性能値対第2の性能値の比が、約0.5〜約1.5である。
【0020】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1および第2のタービン部は、互いに対して反対方向に回転するように設計される。
【0021】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1のタービン部にわたる圧力比が、約5:1より大きい。
【0022】
上述の実施例に基づく他の実施例では、性能値の比は、約0.8以上である。
【0023】
上述の実施例に基づく他の実施例では、上記の比は、約1.0以上である。
【0024】
上述の実施例に基づく他の実施例では、第1のタービン部は、6つまでの段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ガスタービンエンジンの説明図である。
図2】低速および高速のスプールと共にファン駆動装置を示す概略説明図である。
図3】別の駆動機構を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ガスタービンエンジン20を概略的に示している。ここでは、ガスタービンエンジン20を、ファン部22、圧縮機部24、燃焼器部26およびタービン部28を一般に備える二軸ターボファンとして示している。他のエンジンは、他の装置または特徴部の中で特にオーグメンタ部(図示省略)を含みうる。ファン部22は、バイパス流路Bに沿って空気を送り、圧縮機部24は、コア流路Cに沿って空気を送り、空気は圧縮されて燃焼器部26に連通し、タービン部28を通って膨張する。開示した限定的でない実施例では、ターボファンガスタービンエンジンとして示したが、本明細書で説明する概念はターボファンでの使用に限定されるものではなく、三軸構造を含む他の型式のエンジンにも教示を適用することができる。
【0027】
エンジン20は、複数の軸受装置38を介してエンジンの長手方向中心軸Aを中心にエンジン静止構造体36に対して回転するように取り付けられた低速スプール30と高速スプール32とを一般に含む。種々の軸受装置38を種々の位置に代わりにあるいは追加で設けることもできる。
【0028】
低速スプール30は、一般に、ファン42、低圧(または第1の)圧縮機部44および低圧(または第1の)タービン部46を相互に接続する内側シャフト40を含む。内側シャフト40は、低速スプール30より低速でファン42を駆動するためにギア減速装置48を介してファン42に接続されている。高速スプール32は、高圧(または第2の)圧縮機部52と高圧(または第2の)タービン部54を相互に接続する外側シャフト50を含む。燃焼器56が、高圧圧縮機部52と高圧タービン部54との間に配置される。エンジン静止構造体36の中間タービンフレーム57が、概ね高圧タービン部54と低圧タービン部46との間に配置される。中間タービンフレーム57は、タービン部28において軸受装置38を支持する。本明細書では、高圧タービン部は、低圧タービン部より高圧となる。低圧タービン部は、ファン42に動力を供給する部分である。内側シャフト40と外側シャフト50は、同軸であり、軸受装置38を介してこれらのシャフトの長手方向軸と同一直線上にあるエンジンの長手方向中心軸Aを中心として回転する。高速および低速のスプールは、共回転式でも反転式でもよい。
【0029】
コア流路Cの空気流は、低圧圧縮機部44、次いで高圧圧縮機部52によって圧縮され、燃焼器56で燃料と混合されて燃焼された後、高圧タービン部54および低圧タービン部46にわたって膨張する。中間タービンフレーム57は、コア空気流路内にエアフォイル59を含む。タービン部46,54は、膨張に応じて対応する低速スプール30および高速スプール32を回転駆動する。
【0030】
エンジン20は、一例では高バイパスギア付き航空機エンジンである。バイパス比は、バイパス流路Bに送られる空気の量をコア流路Cに入る空気の量で割った値である。他の例では、エンジン20のバイパス比は約6より大きく、例示的な実施例では10より大きく、ギア減速装置48はギア減速比が約2.3より大きい遊星歯車装置などのエピサイクリック歯車列または他の歯車装置であり、低圧タービン部46は約5より大きい圧力比を有する。開示した一実施例では、エンジン20のバイパス比は約10(10:1)より大きく、ファンの直径は低圧圧縮機部44の直径よりかなり大きく、低圧タービン部46は約5:1より大きい圧力比を有する。いくつかの実施例では、高圧タービン部は、2つ以下の段を有しうる。これに対し、低圧タービン部46は、いくつかの実施例では3〜6の段を有する。さらに、低圧タービン部46の圧力比は、排気ノズルの前の低圧タービン部46の出口における全圧に関連して低圧タービン部46の入口の前で測定された全圧である。ギア減速装置48は、ギア減速比が約2.5:1より大きい遊星歯車装置などのエピサイクリック歯車列または他の歯車装置とすることができる。
【0031】
ファンが低圧タービン部と同じ方向に回転することが望ましい場合には、遊星歯車装置を使用することができる。反対に、ファンが低圧タービン部の回転方向とは反対の方向に回転することが望ましい場合には、星型ギア減速装置を使用することができる。当業者であれは、ガスタービンエンジンの設計者が利用可能なギア減速装置の種々の選択肢がわかるであろう。しかし、上述のパラメータは、ギア付き構造を有するエンジンの一実施例に関する例示的なものであり、本発明は直動式のターボファンを含む他のガスタービンエンジンにも適用可能である。
【0032】
高いバイパス比により、かなりの量の推力がバイパス流路Bの流れによって得られる。エンジン20のファン部22は、典型的に約0.8マッハおよび約35000フィートでの巡航である特定の飛行条件のために設計されている。0.8マッハおよび35000フィートの飛行条件におけるエンジンの最大の燃費は、“バケット巡航推力当たり燃料消費率(“TSFC”)”とも呼ばれている。TSFCは、1時間当たりの燃料のlbm消費率をその飛行条件でエンジンが発生する推力のlbfで割った業界標準パラメータである。“低ファン圧力比(low fan pressure ratio)”は、ファン出口ガイドベーンの前におけるファンブレードのみにわたる全圧力比である。本明細書で開示する限定的でない一実施例における低ファン圧力比は、約1.45より小さい。“低ファン先端補正速度(low corrected fan tip speed)”は、実際のファン先端速度(ft/秒)を業界標準温度補正値[(Ram Air Temperature deg R)/(518.7)^0.5]で割ったものである。本明細書で開示する限定的でない一実施例では、“低ファン先端補正速度”は約1150ft/秒より遅い。さらに、ファン42のブレード数は、26以下とすることができる。
【0033】
図1図2には、高圧タービン部54の出口位置における出口面積400が示されている。低圧タービン部の出口面積は、低圧タービン部の出口401において定められる。図2に示すように、タービンエンジン20は、反転式のものでもよい。これは、低圧タービン部46と低圧圧縮機部44が一方向に回転し、高圧タービン部54と高圧圧縮機部52とを含む高速スプール32が反対方向に回転することを意味する。図2に示すように、ギア減速装置48は、ファン42が高速スプール32と同じ方向に回転するように選択することができる。
【0034】
他の実施例が図3に示されている。図3では、ファンは、低速スプール30と同じ方向に回転する。この回転を達成するために、ギア減速装置48は、同じ方向でファン42を回転させる遊星歯車減速装置とすることができる。いずれの構成でも、また種々の値および動作範囲を含む上述した他の構造体でも、低速スプールに非常に高い速度を提供することができる。低圧タービン部と高圧タービン部の動作は、タービン部の出口面積に対して対応する速度の二乗を掛けた値である性能値によって評価される。この性能値(“Performance Quantity PQ”)は、以下のように定義される。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】
図1図2には、高圧タービン部54の出口位置における出口400の面積が示されている。低圧タービン部の出口面積は、低圧タービン部の出口401において定められる。図2に示すように、タービンエンジン20は、反転式のものでもよい。これは、低圧タービン部46と低圧圧縮機部44が一方向に回転し、高圧タービン部54と高圧圧縮機部52とを含む高速スプール32が反対方向に回転することを意味する。図2に示すように、ギア減速装置48は、ファン42が高速スプール32と同じ方向に回転するように選択することができる。
【0038】
よって、高圧タービン部の性能値に対する低圧タービン部の性能値の比は、以下のようになる。
【0039】
【数3】
【0040】
上述の設計に従って製造されたタービンの一実施例では、低圧タービン部および高圧タービン部の面積は、それぞれ557.9in2および90.67in2である。さらに、低圧タービン部および高圧タービン部の速度は、それぞれ10179rpmおよび24346rpmである。よって、上述の式1,2を使用すると、低圧タービン部および高圧タービン部の性能値は、以下のようになる。
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】
そして、上記の式3を用いると、高圧タービン部に対する低圧タービン部の比は、以下のようになる。
【0044】
【数6】
【0045】
他の実施例では、比は約0.5であり、また他の実施例では比は約1.5であった。PQltp/PQhptの比が0.5〜1.5の範囲にあれば、全体として非常に効率が高いガスタービンエンジンが得られる。より狭くは、PQltp/PQhpt比が1.0以上であればさらに効率が高い。このようなPQltp/PQhpt比によって、特にタービン部の直径および軸方向長さを従来技術よりかなり小さくすることができる。加えて、エンジン全体の効率が増加する。
【0046】
低圧圧縮機部もこの構成によって改善され、従来の低圧圧縮機部よりも高圧圧縮機部のように機能する。低圧圧縮機部は、従来技術のものよりも効率が高く、少ない段でより多くの仕事を提供することができる。低圧圧縮機部は、直径を比較的小さくかつ長さを比較的短くすることができる一方で、エンジンの総圧力比の設計目標を達成することにより大きく貢献する。さらに、ギア減速装置と関連して、低圧タービン部および低圧圧縮機部の効率が高くなることにより、最大の総合推進効率を提供するようにファンの速度を最適化することができる。
【0047】
一実施例を参照して本発明を開示したが、特定の変更も本発明の範囲内に含まれる。よって、本発明の真の範囲および内容を特定するためには、以下の請求項の検討が必要である。
図1
図2
図3