特許第6902612号(P6902612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902612リサーフェシングプロテーゼの位置決めのための装置およびその装置の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902612
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】リサーフェシングプロテーゼの位置決めのための装置およびその装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
   A61F2/46
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-546157(P2019-546157)
(86)(22)【出願日】2018年3月12日
(65)【公表番号】特表2020-508166(P2020-508166A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(86)【国際出願番号】IB2018051622
(87)【国際公開番号】WO2018167639
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】102017000028701
(32)【優先日】2017年3月15日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルドーニ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】アブデル ジェイバー,サミ
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−504340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置であって、
リサーフェシングプロテーゼの本体(2)のための把持および操作器具(3)と、
前記把持および操作器具(3)と前記リサーフェシングプロテーゼの前記本体との間に配置された、それらを接続するのに適した接続体(4)と、
前記接続体(4)を前記本体(2)に固定するのに適した結合手段(5)であって、前記接続体(4)に設けられた対応するそれぞれの貫通孔(7)に各々が取り外し不能に連結されるように構成され且つ前記本体(2)のリップ(8)から軸方向に突出する複数の連結ピン(6)を備える結合手段(5)と、
前記リサーフェシングプロテーゼの前記本体(2)と前記接続体(4)との間に配置された、前記接続体(4)を前記本体(2)から分離させるよう構成された剪断解放手段(11)と、を備え、
前記解放手段(11)は前記複数の連結ピン(6)に直接作用し、前記解放手段(11)は、前記複数の連結ピン(6)をそれぞれの基部(6e)で切断することによって、前記複数の連結ピン(6)を前記プロテーゼの前記本体(2)から分離し、これにより、切断後に、前記本体(2)は完全に滑らかで水平なリップ(8)を持つ、装置。
【請求項2】
前記解放手段(11)が、前記把持および操作器具(3)またはその一部が回転させた場合に作動される複数のブレード(12)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記解放手段(11)が、前記接続体(4)の対称軸に対して互いに直径方向に対向して配置された限られた数の連結ピン(6)に連続的かつ選択的に作用し、取り外しステップの間において前記本体(2)と前記接続体(4)との間の安定した連続的な支持を保証し、前記接続体(4)に加えられる必要なモーメントを減少させる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記解放手段(11)が、その数が前記連結ピン(6)の数と等しい複数のスロット(14)を備えた環状体(13)を備え、前記複数のスロット(14)のそれぞれがブレード(12)を備え、それぞれの前記スロット(14)は大きさにおいて異なるが、直径方向に対向する同じ大きさの対を有し、前記複数の連結ピン(6)の切断は同時ではなく、所定の順序に従って連続して行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の連結ピン(6)が、それらの軸方向長さに沿って直径において変化し、前記接続体(4)において前記対応するそれぞれの貫通孔(7)の縁部(10)に当接するのに適したアンダーカット(9)を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の連結ピン(6)が、円筒形シャンク(6a)と、その直径が前記円筒形シャンク(6a)の直径よりも大きいより大きい基部(6c)および結合を容易にするために前記対応するそれぞれの貫通孔(7)に挿入するステップの間にそれらの変形を可能にする軸方向スロット(6d)とを有する円錐形ヘッド(6b)を備える、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサーフェシングプロテーゼ(resurfacing prosthesis)を位置決めするための装置および関連する組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リサーフェシングプロテーゼまたはサーフェスプロテーゼ(surface prosthesis)は、実際には、リサーフェシングを提供し、摩耗した関節骨の置換を提供しないインプラントの種類を指す。
【0003】
この種類のプロテーゼは、最近ますます多くの若者がそれに頼るという理由でまさしく開発されてきた。このインプラントは、特に若年の場合、患者に大きな利点を提供する。それは、伝統的なプロテーゼと比較して、関節置換手術の際に、より活発な生活と患者の骨組織のより広い温存(損傷した表面のみが取り除かれる)を可能にするからである。
【0004】
関節プロテーゼ、例えば股関節プロテーゼまたは肩関節プロテーゼの文脈において、リサーフェシングプロテーゼは、関節がその自然な運動自由度を維持することを可能にし、同様にその後の手術のために大量の骨組織を温存することを可能にする解決策である。
【0005】
股関節形成術の場合には、リサーフェシングプロテーゼは、全体の股関節プロテーゼまたは肩関節プロテーゼの従来の大腿骨頭または上腕骨頭と比較してより大きい直径を特徴とする大腿骨−または肩関節形成術の場合には上腕骨−頭構成要素を有する。その結果、以下では便宜上、主要プロテーゼ構成要素と呼ばれ、手術部位内に配置されなければならないそれぞれの寛骨臼カップまたは関節窩は、制限された厚さを有する必要があり、必要なリーマ加工やボーリングを最小限に抑え、できるだけ多くの骨組織を温存する。したがって、高摩擦を考慮しながらプロテーゼ構成要素を動かし、そして最終的にそれをその場ではめ込み(impact)解放するために、手術部位内に構成要素を位置決めするための理想的なグリップを提供するプレートでプロテーゼ構成要素を掴むための解決策を生み出すことの困難さがある。
【0006】
より一般的には、寛骨臼カップ/関節窩とはめ込み(impaction)プレートとの間の結合のためのシステムは、寛骨臼または関節窩の処理および交換を必要とする関節形成手術においてまさに、特に関連する。はめ込みプレートとは、寛骨臼カップ/関節窩と外科医が位置決めおよびはめ込みのために使用する器具(はめ込みハンドル)との間で接続を行う器具を指す。寛骨臼カップ/関節窩とプレートとの間に一体型システムを確立することは不可欠であり、それは処理された寛骨臼/関節窩シート内での寛骨臼カップ/関節窩の位置決めを可能にするために十分な剛性を有し、寛骨臼カップ/関節窩の外面のような、粗さまたは表面形状の観点から非常に不規則な構造と接触している骨梁構造によって影響される可能性のある抵抗を考慮して向きを調節する。
【0007】
寛骨臼/関節窩構成要素を結合し位置決めするためのいくつかの種類のシステムが市場に存在する。現在、寛骨臼カップ/関節窩とプレートとの間のいくつかの結合システムが、リサーフェシングプロテーゼの分野で使用されている。これらのシステムのいくつかは、プロテーゼ構成要素上に配置された対応する要素を一時的に把持するのに適した、はめ込みハンドルによって作動させることができる歯を有する歯付きプレートである。これらの歯は、はめ込みハンドルの逆方向の動きの結果としてそれらがくっついている要素を解放する。他のシステムは、例えば、金属ケーブルを有する配線システムであり、これは、プレート内および構成要素内に形成された特別なキャビティを通過して2つの要素を互いに結合する。さらに、空気圧真空を提供することによって、圧力が逆転するまで2つの本体を接続したままにする吸引システムを提供することができる。
【0008】
既知のシステムの主な問題は、不安定な接続を持つ結合システムによるものであるか、または他方では、過度に堅いかまたは脆弱性を伴う結合システムによるものである。
【0009】
非常に多くの場合、2つの異なるプレートを使用する必要があり、一方は位置決め用であり、他方はシート内にプロテーゼ構成要素をはめ込むためのものである。
【0010】
リサーフェシング寛骨臼/関節窩構成要素用の結合システムの場合、さらに困難なことは、関連する厚さが小さいことである。
【0011】
プロテーゼの曲げ半径は、大腿骨頭または上腕骨頭を特殊な材料で被覆することによって関節の外観を変えないようにすることが求められるので、はるかに大きい。
【0012】
かなりの特徴的な大きさの半径を考えると、患者の関節に適切なシートを配置することはしばしば不可能である。このため、患者の骨構造におけるインプラントの侵襲性を可能な限り制限するために、プロテーゼの厚さを制限する傾向がある。
【0013】
歴史的には、金属− 金属結合(metal-to-metal coupling)は安定性と耐久性を保証してきたが、金属症のような、近年確立されたように、患者の健康にかなりの危険を伴う。上記の欠点を克服するために、現代の外科手術は、以前のように有害な金属− 金属相互作用を避けて、第1および第2の材料が互いに向き合う、いわゆる「メタルオンポリエチレン(metal-on-polyethylene)」プロテーゼを利用することを決定した。しかしながら、この新しい種類のプロテーゼは、プロテーゼにアンダーカットまたはハウジングを作り、それを通してプロテーゼをプレートに係合させ、次いで患者の寛骨臼にはめ込むことを困難にする幾何学的構造を必要とする。
【0014】
したがって、手術部位における正しい位置決めおよび配向を確実にするためにプレートとプロテーゼ構成要素との間の安定した接続を可能にする技術的解決策を見出すことが必要である。
【0015】
はめ込みの際の不整合または位置決めの問題を防ぐために、はめ込みプレートと主要プロテーゼ構成要素との間に安定した堅固な結合があることが不可欠である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の上述した欠点を克服する、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、はめ込みの際のはめ込みプレートと主要プロテーゼ構成要素との間の接続に対するより大きな安定性を保証し、プロテーゼの正しい取り付けおよび患者に対する危険を伴うことなくそれを容易に位置決めすることを可能にする、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、はめ込みプレートとプロテーゼ構成要素との間の迅速で簡単な係合解除を確実にし、それにより手術部位内でのプロテーゼ自体の不測の不整合を防止する、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置を提供することである。
【0019】
本発明の目的であるリサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置はまた、迅速な方法でそして一方の手を使用することにより、はめ込みプレートを主要プロテーゼ構成要素に結合できなければならない外科医による簡単で容易な使用も保証し、手術段階での外科医による手動の介入を最小限に抑える。
【0020】
したがって、最後に、本発明の目的は、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置の組立方法を提供することであり、これにより、はめ込みプレートとプロテーゼ構成要素との間の迅速で安定した結合と、同様に1つの要素の他の要素からの迅速な解放とを可能にする。
【0021】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載されているように、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置および前記装置の組立方法によって実質的に達成される。
【0022】
さらなる有利な特徴は従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、単に例として提供された添付の図面を参照して、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
図1】本発明による、プロテーゼの本体に固定されたはめ込みプロテーゼを位置決めするための装置の斜視図である。
図2図1に示されているものの部分的な分解斜視図である。
図3a】本発明の目的である装置の一部の第1の分解斜視図である。
図3b】本発明の目的である装置の一部の第2の分解斜視図である。
図4】リサーフェシングプロテーゼの本体に結合された、本発明の目的である位置決め装置の接続体の斜視図である。
図5】前記位置決め装置内に含まれ、解放手段の一部を形成している環状体の平面図である。
図6】結合手段および対応する解放手段の詳細の拡大図である。
図7】接続体に設けられた凹部の詳細図である。
図8】位置決め装置の接合要素の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面において、数字1は、本発明に従って、リサーフェシングプロテーゼを位置決めするための装置を示す。
【0025】
添付の図面は、単に非限定的な例として、股関節リサーフェシングプロテーゼを示す。
【0026】
例示的かつ非限定的な例として、以下の説明は、股関節用のリサーフェシングプロテーゼについて明示的に言及する。
【0027】
しかしながら、本発明の目的である装置はまた、肩関節リサーフェシングプロテーゼについても容易に達成可能である。
【0028】
これらのプロテーゼは実質的に、患者の本来の関節を模倣することができる2つの異なる相互作用要素を含む。前記プロテーゼシステムの第1の要素は、患者の腸骨構造に一体的に結合されるように適合された寛骨臼カップ(または本明細書の残りの部分で言及されるように、主要プロテーゼ本体)であり、大腿骨ステムとして指定される第2の要素は、大腿骨に一体的に結合されるように適合される。
【0029】
寛骨臼カップまたは本体2は、実質的に半球形の中空形状を有し、患者の骨構造と嵌合するように構成された外側部分2aを含む。この外側部分2aは、小柱(trabecular)金属、一般にチタン合金Ti−4Al−6Vでできている。最新技術において知られている前記小柱金属は、患者の骨構造における寛骨臼カップのオッセオインテグレーション(osseointegration)を最大にする能力を有する。プラスチック材料、通常ポリエチレンで作られたインサートと呼ばれる内側部分2bが前記外側部分の内側に見られる。前記内側部分2bは、高圧圧縮成形によって外側部分と一体化されている。前記成形プロセスのおかげで、ポリエチレンは外側部分の小柱構造に接着することを強いられ、外側小柱金属部分が内側ポリエチレン部分と一体に形成される。
【0030】
本発明の目的である位置決め装置1は、前述したように、リサーフェシングプロテーゼの本体2のための把持および操作器具3を含む。
【0031】
この把持および操作器具3は、例えば、外科医がしっかりと握ることを可能にするハンドルまたはハンドピースの形態であり得る。
【0032】
適切な結合手段によってプロテーゼの本体2と係合する接続体4が、把持および操作器具3とリサーフェシングプロテーゼの本体2との間に配置されている。
【0033】
把持および操作器具3は、次に、軸継手41または他の既知の種類の機構を介して接続体4に固着する。
【0034】
添付の図面においてプレートの形態で表されている接続体4は、前記軸継手41への接続部を貫通する中央円形シートを有する。
【0035】
把持および操作器具3の第1の端部3aには、グリップ機構の動きを可能にするトリガボタン31が設けられており、これにより、軸継手41に接続する。ボタン31に作用することによって、接続体4の対応する軸継手41を受容するように設計され、器具3の一端3aに配置されたシートが解放され、それによってそこへのアクセスが可能になる。ボタン31を解除することによって、特別なギロチンロック機構(図示せず)が、接続体4の軸41に設けられた対応するシートと係合し、把持および操作器具3と接続体4との間の軸方向の相対的並進を防止する。
【0036】
複数の突起42、好ましくは3つの突起42が軸41を受けるように設計されたシート内に収容されている。前記突起42の形状およびそれらの位置は、把持および操作器具3と接続体4との間の相対回転を防止するようなものである。
【0037】
本体2と接続体4との間の結合手段5は、接続体4に設けられたそれぞれの凹部7内に移動不能に連結されるように構成された複数の接合要素6を含む。
【0038】
本体2は、患者の腸骨構造の外側に面するプロテーゼの上部を画定する上縁部またはリップ8を有する。このリップ8は、いったん患者の体内に配置されると、滑らかで、平らで、突起がないようにしなければならない。
【0039】
しかしながら、プロテーゼ自体の実際の実装前の初期段階において、本体2は、軸方向に突出する複数の接合要素6を備えたリップ8を有する。
【0040】
これらの接合要素6は、本体2のリップ8から上方に延びる複数のピンを含むことが好ましい。それらは、本体2の内側部分と、したがってプラスチック材料、通常はポリエチレン製のインサートと共成形することができる。あるいは、前記複数のピンは、本体2の内側部分と一体に形成することができる。
【0041】
有利には、これらのピン6は、それらの軸方向長さに沿って直径が変化し、ピン6が結合する接続体4の対応するそれぞれの凹部7の縁部10に当接するように構成された少なくとも1つのアンダーカット9を有する。
【0042】
具体的には、図6または図8に示されるように、各ピン6は、円筒形シャンク6aと、円筒形シャンク6aの直径よりも大きい直径を有するより大きい基部6cと、軸方向スロット6dとを有する円錐形ヘッド6bとを有する。軸方向スロット6dは、円錐形ヘッド6cの先端から軸方向に円錐形ヘッドの内側に少なくとも部分的に貫通しており、ピン6が対応する凹部7内に挿入される間に変形することを可能にし、接続体4と本体2との結合を容易にする。
【0043】
各凹部7は、好ましくは環状縁部10によって囲まれた貫通孔を有し、この環状縁部にピン6のアンダーカット9が当接する。
【0044】
位置決め装置1は、接続体4を本体2から取り外すように構成された解放手段11をさらに備える。
【0045】
これらの解放手段11は、以下に記載されるように、把持および操作器具3またはその一部の回転によって操作され得る複数のブレード12を含む剪断解放手段であることが好ましい。
【0046】
解放手段11は、ピン6をそれらのそれぞれの基部6eで直接切断することによって、接合要素6に直接作用してそれらをプロテーゼの本体2から分離する。
【0047】
このきれいな切断は、反対に、絶対に有害であるであろう不必要な突起を持たないプロテーゼを得ることを可能にする。本体2のリップ8は、このように完全に滑らかである。
【0048】
有利には、解放手段11は、リサーフェシングプロテーゼの本体2と接続体4との間に配置されている。
【0049】
具体的には、図5および図6から分かるように、これらの解放手段11は複数のスロット14を備えた環状体13を含み、そのスロットの数は連結接合要素6の数に等しく、各スロット14は対応するそれぞれのブレード12を備える。スロット14の直径方向に対向する対は異なる幅を有するので、全ての接合要素6の切断は同時ではなく、所定の順序に従って連続して、好ましくは直径方向に対向するピンの対で行われる。この選択的で制御されかつ予め確立された相互作用は、位置決め装置1をプロテーゼから解放するステップを通して、リサーフェシングプロテーゼの本体2上の接続体4に対する安定した連続的な支持を保証し、把持および操作器具3に加えられる必要なモーメントを減少させ切断を達成する。
【0050】
接続体4を把持および操作器具3に接続する軸継手41は、器具3自体と係合する第1の端部41aと、解放手段11の環状体13に固定されるように構成された第2の反対側の端部41bとを有する。具体的には、この第2の端部41bは、環状体13の中央に形成された対応する多角形の貫通シート15との機械的干渉によって相互作用するのに適した多角形の輪郭を有する。
【0051】
有利には、環状体13は、上述の多角形シート15に中心において連結する半径を有する。
【0052】
把持および操作器具3は、第2の端部3bにおいて、把持および操作器具3と同軸で内部にあり、軸継手41に直接接続された軸(図示せず)を回転駆動するように構成されたノブ16を備える。
【0053】
したがって、ノブ16によって与えられる回転運動は、接続体4の円形貫通シート17に円形の輪郭41cを有する軸継手41を直接的かつ排他的に作動させ、接続体4に対していかなる回転運動も伝達しないようにし、一方で、解放手段11の環状体13のシート15に多角形の輪郭を有し、環状体13に、プロテーゼの本体2にしっかりと結合された接続体4に対して独立した回転運動を与える。したがって、ブレード12はピン6の基部6eを切断し、代わりにピン6は静止したままである。
【0054】
プロテーゼを埋め込むために必要な外科的処置を進めるために、外科医は、本発明の目的であるリサーフェシングプロテーゼを簡単かつ迅速に位置決めするための位置決め装置1を組み立てなければならない。
【0055】
第1のステップにおいて、外科医は、把持および操作器具3を接続体4に接続するために、把持および操作器具3に作用する。これを行うために、外科医はボタン31を押すことによってボタン31に作用する。このようにして、接続体4の対応する軸継手41を受けるように設計されたシートが解放され、それによってそこへのアクセスが可能になる。ボタン31を解除することによって、特別なギロチンロック機構(図示せず)が、接続体4の軸41に設けられた対応するシートと係合し、把持および操作器具3と接続体4との間の軸方向の相対的並進を防止する。
【0056】
すでに上述したように、把持および操作器具3と接続体4との間の相対回転は、接続体4の表面から上方に延びる複数、好ましくは3つの突起42によって防止され、軸41を受けるように設計されたシート内に収容される。
【0057】
その後、外科医は、把持および操作器具3と接続体4との間の形成されたばかりのアセンブリを、リサーフェシングプロテーゼの本体2と軸方向に位置合わせすることによって進行する。この位置合わせは、接合要素6が対応するそれぞれの凹部7と合わされるように行われる。上記の位置合わせが軸方向の並進によって達成されると、接合要素は対応するそれぞれの凹部と係合することを強いられる。この係合は、接合要素6を対応するそれぞれの凹部7内に進入させることによって行われる。前述のように、接合要素6の形状は、接合要素6が対応するそれぞれの凹部7から偶発的に解放されるのを防ぐようなものである。円錐形ヘッド6bを通過させることによってピン6が対応するそれぞれの凹部7に挿入されると、円錐形ヘッド6bは挿入中に変形し、凹部7の縁部10に対してアンダーカット9を当接することによってヘッド6b自体が凹部7から出てくると、ピンをそれらが入った側から外に出すことはもはや不可能である。
【0058】
この時点で、外科医は、迅速かつ簡単な方法で、本発明の位置決め装置1へのリサーフェシングプロテーゼの固定を得る。したがって、前記リサーフェシングプロテーゼをその場で位置決めするのに必要な操作を実行することが可能となる。
【0059】
リサーフェシングプロテーゼが完全に位置決めされると、外科医は次に、本発明の目的である位置決め装置1から前記リサーフェシングプロテーゼを解放することによって進む。
【0060】
これを行うために、外科医は、好ましくは把持および操作器具3の本体に沿って配置された特別なコマンドによって操作される解放手段11に作用する。好ましい実施形態では、前記動作は特別なコマンド、すなわちノブ16の回転を伴う。外科医によって容易に実行される前記回転運動は、それぞれの基部で各連結接合要素6を切断するように適合された、その上に複数のブレード12を有する環状体13を回転させる。したがって、このようにして行われた切断の有利な特徴のおかげで、解放作業の終わりにおいて、リサーフェシングプロテーゼの本体のリップは滑らかであり突起を有さない。
【0061】
上述の切断動作は、好ましくは、対の接合要素6に作用することによって行われる。実際、ブレードの配置は、外科医が解放手段11に作用する場合に、切断が対の接合要素6に順次行われるようになっている。このようにして、有利には、安定性は、本発明の目的の装置とリサーフェシングプロテーゼとの間の接続の切断中に維持される。
【0062】
したがって、次いで、リサーフェシングプロテーゼの本体2が接続体4から、したがって位置決め装置1から完全に外れるまで、接合要素6は対で切断されることになる。
【0063】
有利には、このように切断された接合要素6は、位置決め装置の内部、特に接続体4の内部に閉じ込められたままであり、それによって患者の体内への異物の拡散を防ぎ、患者の安全を守ることに留意されたい。
【0064】
上述した発明はかなりの利点を達成し、そして意図された目的の達成を可能にする。
【0065】
本発明の目的である装置は、位置決めと取り外しの両方の間に使用するのがかなり容易である。
【0066】
この装置は、はめ込み中のより大きな安定性を保証し、そして把持および操作器具とプロテーゼとの間の安定した固定を確実にする。
【0067】
連結の制約により、回転および軸方向の安定性も保証される。
【0068】
記載された装置は、埋込中のその場での位置決めのためのリサーフェシングプロテーゼの結合、ならびに以前に準備された手術部位内でのそのはめ込みを可能にする。外科医がはめ込みを実行する場合に力を均等に分配するために縁部と内側凹面の両方に続く適合面のおかげで、はめ込みは効果的かつ確実である。
【0069】
連結結合ピンの存在は、切断以外では取り外しできない安定した拘束を規定し、これにより、プロテーゼと位置決め装置との間の接続が確立されると、しっかりと安定した連結が保証され、軸方向の応力と曲げ応力の両方のもとでの2つの構成要素間の分離に対する抵抗を与え、これにより、回転中にシステム全体が統合される。外科医はその後、プロテーゼの操作を安全に進めて、好ましい向きに従ってそれを手術部位に配置することができる。
【0070】
連結ピンを介した結合は非常に迅速であり、外科医による手動の介入を制限し、外科医は簡単なジェスチャーでプロテーゼへの装置の接続を得る。
【0071】
位置決め装置をプロテーゼから離脱させることも迅速かつ安全である。把持および操作器具の一部分を単に回転させることにより切断機構を作動させ、すでに配置されているプロテーゼにさらに応力をかけることなく、手術部位内でそれらの位置がずれる危険性を回避しながら、切断機構は、簡単で較正された(calibrated)安全な態様でプロテーゼから装置を解放する。
【0072】
本発明の目的である装置はまた限られた数の構成要素を有し、それは確実にその使用を容易にする。
【0073】
実際、位置決め、はめ込み、および取り外しには、1つのプレートまたは接続体のみが使用される。さらに、一旦切断ピンが取り除かれると、接続体は他の手術のために再使用され得る。
【0074】
装置を組み立てる方法およびそれをプロテーゼ本体から取り外すための対応する方法は極めて迅速で簡単であり、手動の介入を制限する。
図1
図2
図3a
図3b
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図7
図8