特許第6902616号(P6902616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902616アルファオレフィンを製造するためのエチレンオリゴマー化の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902616
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】アルファオレフィンを製造するためのエチレンオリゴマー化の方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/08 20060101AFI20210701BHJP
   C07C 11/08 20060101ALI20210701BHJP
   B01J 31/38 20060101ALI20210701BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20210701BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210701BHJP
【FI】
   C07C2/08
   C07C11/08
   B01J31/38 Z
   C08F10/00
   !C07B61/00 300
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-550224(P2019-550224)
(86)(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公表番号】特表2020-514353(P2020-514353A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】US2018022328
(87)【国際公開番号】WO2018170054
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】62/471,266
(32)【優先日】2017年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シュ
(72)【発明者】
【氏名】シャイク,カリームッディン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ツォンリン
(72)【発明者】
【氏名】リヴェラ,ロドリゴ,サンドバル
(72)【発明者】
【氏名】シャイク,ソヘル
(72)【発明者】
【氏名】ヤミ,フセイン
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−239920(JP,A)
【文献】 特開平09−020693(JP,A)
【文献】 特開平09−020692(JP,A)
【文献】 米国特許第05382738(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02231583(GB,A)
【文献】 特表2004−504125(JP,A)
【文献】 特表2011−518034(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/133005(WO,A1)
【文献】 J.Am.Chem.Soc.,2013, Vol.135, No.11,p.4195-4198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/08
B01J 31/38
C07C 11/08
C08F 10/00
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状アルファオレフィンを製造する方法であって、
オリゴマー化条件下の反応器中で、触媒、助触媒および固体支持体を含有する不均一系触媒組成物とエチレンをオリゴマー化条件下の反応器中で、接触させて第1の生成物ストリームを製造すること;
直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、消費された触媒組成物フラクション、および使用可能な触媒組成物フラクションを含む前記第1の生成物ストリームを前記反応器から回収すること;
前記第1の生成物ストリームからの前記消費された触媒組成物フラクションを粒子サイズに基づく分離方法を使用して第1の生成物ストリームから分離し、第2の生成物ストリームおよび前記使用可能な触媒組成物フラクションを含むストリームを製造すること;
前記第2の生成物ストリームおよび前記使用可能な触媒組成物フラクションを含むストリームから前記使用可能な触媒組成物フラクションを分離して第3の生成物ストリームおよび残留物ストリームを含むストリームを製造すること;
前記第3の生成物ストリームを分別して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物を分離すること;ならびに
前記使用可能な触媒組成物フラクションを前記反応器に再循環させること
を含み、
前記消費された触媒組成物フラクションは、オリゴマー化のポリマー副産物を含み、前記消費された触媒組成物フラクションは30μm〜500μmのサイズ分布を有し、
前記使用可能な触媒組成物フラクションは30μm未満のサイズ分布を有し、
前記粒子サイズに基づく分離方法が濾過または遠心分離である、方法。
【請求項2】
前記触媒が、アルミニウム系触媒および遷移金属系触媒のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遷移金属が、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはクロムからなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、ニッケル(I)錯体のリン−酸素キレート、ジルコニウム−ハロゲン化アルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム化合物、チタン酸塩−アルキルアルミニウム化合物、クロム(III)錯体含有イミノ−フルフラール配位子、チタンブトキシド−トリエチルアルミニウム化合物、シクロペンタジエニル−アレーン錯体、および他のエチレンオリゴマー化触媒のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記助触媒がメチルアルミノキサンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が金属−有機フレームワーク系触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固体支持体が、シリカ、クレイ、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、および固体アルミノキサンからなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記固体支持体および前記助触媒がメチルアルミノキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記助触媒が、ホウ素系錯体および式RA(式中、Aはホウ素またはアルミニウムのいずれかであり、かつ、R、R、およびRは、ヘテロ原子置換を有するまたは有しないヒドロカルビル基である)により表される有機アルミニウム化合物からなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記助触媒が、B(C、PhC(B(C、および[PhMeNH][B(C]またはこれらの塩からなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
直鎖状アルファオレフィンを製造する方法であって、
固体支持体に連結された可溶性触媒および可溶性助触媒を含有する触媒組成物、およびエチレンをオリゴマー化条件下の反応器に供給して第1の生成物ストリームを製造すること;
直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、消費された触媒組成物フラクション、および使用可能な触媒組成物フラクションを含む前記第1の生成物ストリームを前記反応器から回収すること;
前記第1の生成物ストリームからの前記消費された触媒組成物フラクションを粒子サイズに基づく分離方法を使用して第1の生成物ストリームから分離し、第2の生成物ストリームおよび前記使用可能な触媒組成物フラクションを含むストリームを製造すること;
前記第2の生成物ストリームおよび前記使用可能な触媒組成物フラクションを含むストリームから前記使用可能な触媒組成物フラクションを分離して第3の生成物ストリームおよび残留物ストリームを含むストリームを製造すること;
前記第3の生成物ストリームを分別して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物を分離すること;ならびに
前記使用可能な触媒組成物フラクションを前記反応器に再循環させること
を含み、
前記消費された触媒組成物フラクションは、オリゴマー化のポリマー副産物を含み、前記消費された触媒組成物フラクションは30μm〜500μmのサイズ分布を有し、
前記使用可能な触媒組成物フラクションは30μm未満のサイズ分布を有し、
前記粒子サイズに基づく分離方法が濾過または遠心分離である、方法。
【請求項12】
前記固体支持体が、シリカ、クレイ、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、および固体アルミノキサンからなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒が、アルミニウム系触媒および遷移金属系触媒のうちの1つまたは複数である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記助触媒が、ホウ素系錯体および式RA(式中、Aはホウ素またはアルミニウムのいずれかであり、かつ、R、R、およびRは、ヘテロ原子置換を有するまたは有しないヒドロカルビル基である)により表される有機アルミニウム化合物からなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ホウ素系錯体が、B(C、PhC(B(C、および[PhMeNH][B(C]またはこれらの塩からなる群の少なくとも1つの構成要素である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不均一系触媒を使用してアルファオレフィンを製造するためのエチレンオリゴマー化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直鎖状アルファオレフィンは、一般に、様々な用途を有する重要な石油化学製造物である。これらの化学物質は、一般化学式C2xを有し、ポリエチレンなどの様々なポリマーを製造するためのコモノマーとしての主な用途を有する。一般に、直鎖状アルファオレフィンは、類似の化学式を有する他のモノオレフィンとは異なり、これらの差異としては、炭素鎖が直鎖状であることおよび炭素鎖のアルファ位における二重結合の位置が挙げられ、これは、分岐した炭素鎖およびベータ−ガンマ位に位置する二重結合またはより高次のモノオレフィンとは対照的である。
【0003】
エチレンオリゴマー化の方法などの様々な直鎖状アルファオレフィンを製造する多数の方法が存在する。一般に、エチレンオリゴマー化の既存の方法は溶液に基づく方法であり、可溶性触媒システムを使用して液相において機能し、固体触媒に依存しない。これらの方法の一部としては、Axens AlphaButol(登録商標)法、Axens AlphaHexol(商標)法、Sasolの1−オクテン法、およびShellの1−ブテン法などのオリゴマー化の方法を挙げることができる。直鎖状アルファオレフィンを製造するこれらおよび他の方法は、反応器のファウリングを引き起こす望ましくないポリマー材料の形成に伴う問題を有することがある。ファウリングは、洗浄のための反応器の停止を結果としてもたらすことがあり、製造の損失および製造コストの増加を結果としてもたらす。さらに、アルファオレフィンの製造のための様々な方法は、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどのある特定の反応生成物について高い選択性を達成するために高価な触媒を使用する。これらの高価な触媒は、多くの場合、回収不可能であり、連続的に廃棄され、製造の生成物回収段階の間に処分され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オリゴマー化反応混合物に固体形態の触媒を提供する具体的な方法などの、いずれも当該技術分野の短所に対処することを目的とする、直鎖状アルファオレフィンを製造するための触媒媒介性のエチレンオリゴマー化のための組成物、方法、およびシステムの実施形態が本明細書に開示される。反応生成物ストリームから消費されていない触媒を分離し、かつ反応混合物に消費されていない触媒を再循環させる方法もまた本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示および記載される実施形態は、不均一系触媒組成物を使用して直鎖状アルファオレフィンを製造する方法を含む。1つのそのような方法は、オリゴマー化条件下の反応器中でエチレンを不均一系触媒組成物と接触させて第1の生成物ストリームを製造するステップ;直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、消費された触媒組成物フラクション、および使用可能な触媒組成物フラクションを含む第1の生成物ストリームを反応器から回収するステップ;使用可能な触媒組成物フラクションを第1の生成物ストリームから分離して第2の生成物ストリームを製造するステップ;第2の生成物ストリームの分別を介して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物を回収するステップ;ならびに使用可能な触媒組成物フラクションを反応器に再循環させるステップを含む。ある特定の実施形態では、不均一系触媒組成物は、触媒および助触媒を含む。触媒は、アルミニウム系触媒および遷移金属系触媒のうちの1つまたは複数であり得る。遷移金属系触媒中の遷移金属は、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはクロムからなる群の少なくとも1つの構成要素である。触媒は、ニッケル(I)錯体のリン−酸素キレート、ジルコニウム−ハロゲン化アルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム化合物、チタン酸塩−アルキルアルミニウム化合物、クロム(III)錯体含有イミノ−フルフラール配位子、チタンブトキシド−トリエチルアルミニウム化合物、シクロペンタジエニル−アレーン錯体、および他のエチレンオリゴマー化触媒のうちの1つまたは複数であり得る。ある特定の実施形態では、助触媒は不溶性メチルアルミノキサンである。触媒は金属−有機フレームワーク系触媒であり得る。ある特定の実施形態では、助触媒は可溶性メチルアルミノキサンである。触媒組成物のある特定の実施形態は固体支持体を含む。例えば、固体支持体は、シリカ、クレイ、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、およびこれらの組合せであり得る。ある特定の実施形態では、固体支持体および助触媒はメチルアルミノキサンを含む。ある特定の実施形態では、助触媒は、ホウ素系錯体および式RA(式中、Aはホウ素またはアルミニウムのいずれかであり、かつ、R、R、およびRは、ヘテロ原子置換を有するまたは有しないヒドロカルビル基である)により表される有機アルミニウム化合物からなる群の少なくとも1つの構成要素である。助触媒は、B(C、PhC(B(C、もしくは[PhMeNH][B(C]またはこれらの塩であり得る。ある特定の実施形態では、使用可能な触媒組成物フラクションは、重力に基づく分離方法、例えば、遠心分離、または粒子サイズに基づく分離方法、例えば、濾過または遠心分離、または相に基づく分離方法を使用して第1の生成物ストリームから分離される。
【0006】
直鎖状アルファオレフィンを製造する方法の別の実施形態は、以下のステップを含む:固体支持体に連結された可溶性触媒および可溶性助触媒を含有する触媒組成物、およびエチレンをオリゴマー化条件下の反応器に供給して第1の生成物ストリームを製造するステップ;直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、消費された触媒組成物フラクション、および使用可能な触媒組成物フラクションを含む第1の生成物ストリームを反応器から回収するステップ;使用可能な触媒組成物フラクションを第1の生成物ストリームから分離して第2の生成物ストリームを製造するステップ;第2の生成物ストリームの分別を介して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物を回収するステップ;ならびに使用可能な触媒組成物フラクションを反応器に再循環させるステップ。使用可能な触媒組成物フラクションは、重力に基づく分離方法、例えば、遠心分離を使用して第1の生成物ストリームから分離され得る。使用可能な触媒組成物フラクションは、粒子サイズに基づく分離方法、例えば、濾過または遠心分離を使用して第1の生成物ストリームから分離され得る。使用可能な触媒組成物フラクションは、相に基づく分離方法を使用して第1の生成物ストリームから分離され得る。これらの方法において使用される固体支持体は、シリカ、クレイ、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、固体アルミノキサン、およびこれらの組合せであり得る。触媒は、アルミニウム系触媒および遷移金属系触媒のうちの1つまたは複数であり得る。ある特定の実施形態では、助触媒は、ホウ素系錯体または式RA(式中、Aはホウ素またはアルミニウムのいずれかであり、かつ、R、R、およびRは、ヘテロ原子置換を有するまたは有しないヒドロカルビル基である)により表される有機アルミニウム化合物であり得る。ホウ素系錯体は、B(C、PhC(B(C、および[PhMeNH][B(C]またはこれらの塩からなる群の少なくとも1つの構成要素である。
【0007】
本開示の多数の他の態様、特徴および利点が、図面と一緒に解釈される以下の詳細な説明から明らかとなり得る。システムは、所望の分析目標に応じて、より少ない成分、より多い成分、または異なる成分を含み得る。以上の概要および以下の詳細な説明の両方は、説明のための例を含有し、請求項の実施形態のさらなる説明を提供することを意図するものであることがさらに理解されるべきである。
【0008】
実施形態は、添付の図面と組み合わせた以下の詳細な説明により容易に理解されるであろう。この説明を容易にするために、同様の参照数字は同様の構造要素または方法における手順を表す。実施形態は、例として説明され、添付の図面中の図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造する方法を図式的に示す。
図2】様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造するためのシステムを図式的に示す。
図3】様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造するための代替的なシステムを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、アルファオレフィンを製造するためのエチレンオリゴマー化のための方法、デバイス、およびシステムに関する様々な実施形態を記載する。以下の記載では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために多数の詳細が記載される。他の場合には、様々な実施形態を不必要に曖昧にしないために、周知の方法、装置、およびシステムは特に詳細に記載されないことがある。さらに、様々な実施形態の説明は、様々な実施形態を曖昧にしないためにある特定の特徴または詳細を割愛することがある。
【0011】
以下の詳細な説明において、本開示の一部分を形成する添付の図面を参照する。同様の数字は、図面の全体にわたって同様の部品を表し得る。図面は、本開示の主題が実施され得る様々な実施形態の一部の説明を提供し得る。他の実施形態を利用することができ、また本開示の範囲から離れることなく論理的な変更がなされ得る。したがって、以下の詳細な説明を限定的な意味で解するべきではない。
【0012】
記載には、「様々な実施形態では」、「一実施形態では」または「ある特定の実施形態では」という語句が使用されることがあり、これらはそれぞれ、同じまたは異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指し得る。さらには、本開示の実施形態に関して使用される場合、「含む」(comprising)、「含む」(including)、「有する」(having)などの用語は同義である。
【0013】
「可溶性」という用語は、ヘキサンおよびトルエンなどの非水性溶媒中に溶解する所与の物質(触媒、助触媒、または支持体)の化学的特性を指す。0.1グラムより多くが25℃で100ミリリットル(mL)の非水性溶媒中に溶解できる場合、可溶性として物質を記載する一般的な閾値である。例えば、Ti(OBu)・nTHF(n=4〜6)などのチタンブトキシド化合物およびトリエチルアルミニウム(TEAL)のようなアルミニウム触媒はブテンおよび他の炭化水素溶媒中に可溶性であるが、シリカ、クレイ、およびアルミナなどの支持体成分はこれらの炭化水素溶媒中に不溶性である。ある特定の実施形態では、チタン触媒は有機溶媒中に可溶性であるが、固体メチルアルミノキサン(MAO)などの助触媒は不溶性である。触媒、助触媒、および支持体(任意選択)を含む触媒システムは非水性溶媒中に不溶性であり、反応混合物中のスラリーとして存在する。
【0014】
「固体触媒」という用語は、少なくとも2相の固体/液体反応混合物の固相中に存在する触媒組成物を指す。触媒組成物は、連結されて一緒になった以下の成分のうちの1つまたは複数を使用して構築される:(i)遷移金属系触媒、例えば、ニッケル、チタン、またはクロム系触媒、(ii)アルミニウム系助触媒、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、MAO、またはホウ素系助触媒、例えば、(CB、PhN[B(C]、および(iii)支持体、例えば、シリカ、アルミナ、クレイ、ポリマー、または固体MAO。固体MAOを用いるものなどのある特定の実施形態では、同じ成分が助触媒および固体支持体の両方として働き得る。一実施形態では、触媒組成物は反応混合物中に不溶性であり、スラリーとして存在する。
【0015】
触媒組成物は、反応混合物中の触媒の分布に基づいて不均一系または均一系として特徴付けることができる。触媒組成物は、反応混合物中に均一に分布している場合に均一系であり、組成物中で明瞭に不均一である場合に不均一系である。均一系触媒システムでは、触媒は、反応混合物中の残りの種から容易に分離できない。例えば、Alphabutol(登録商標)触媒システム(フランス、パリ、リュエイユ−マルメゾンを拠点とするAxensから入手可能)は、触媒[Ti(OBu)4]および助触媒(トリエチルアルミニウム)がその溶媒(1−ブテン)中に溶解して二量化の間に均一な溶液を形成し得るので均一系である。本明細書中に開示される触媒組成物は、触媒成分(触媒、助触媒、または支持体)のうちの少なくとも1つが反応混合物中にやや難溶性または不溶性であり、反応の間に均一な溶液を形成できないので不均一系である。本明細書に記載される不均一系触媒システムの使用は、触媒失活ステップの必要性を取り除く。均一系触媒システムが溶液中に存在する場合、反応を継続させる触媒の能力は、反応混合物が下流の装置に供給される前に停止させる必要がある。活性触媒を有する反応混合物は、下流の処理装置に対して安全上または作動上の危険を招き得る。触媒失活ステップは、再活性化などの追加の処理なしでは、触媒をもはや使用不可能とするか、または再循環のために利用不可能とする。さらに、均一系システムとして存在する触媒は、機械的な分離ステップにより回収することができない。
【0016】
本明細書に開示および記載される実施形態は、溶液系触媒システムとは対照的に固体系触媒システムを利用して1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および他の直鎖状アルファオレフィンを製造するための新規のエチレンオリゴマー化の方法に関する。実施形態は、シリカ、クレイ、アルミナ−シリカ、ゼオライト、および他の触媒の固体支持体などの、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒のための固体支持体を含み得る。実施形態は、固体支持体としてMAOを含むことができ、MAOはまた、エチレンオリゴマー化のための不均一系触媒システムにおける助触媒として機能する。様々な実施形態は、固体支持体の組合せを使用し得る。
【0017】
本明細書に記載および開示される実施形態は、消費されていない固体触媒を回収して反応器に再循環させることによるコストの節約および固体触媒システムへの取付けを介する処理中に形成されたポリマーの除去を提供することなど、溶液系システムに対していくつもの利点を有し得る。ポリマーを有する消費された触媒組成物フラクションは、処理中のポリマーの蓄積を防止するために処理から除去され得る。ポリマーのこの除去は、反応器表面へのポリマーの堆積を低減または防止して、反応器のファウリングを低減させることができる。固体支持体は、ポリマーを除去して反応器表面への堆積を防止することによりファウリング除去材として作用し得る。固体触媒システムは、固体支持体に取り付けられた可溶性触媒および可溶性助触媒から構築され得る。例えば、シリカ支持体は、最初に可溶性MAOと反応させた後、シリカ−MAOの組合せを可溶性チタン触媒の存在下で反応させる。このシリカ−MAO−チタン触媒システムは、エチレン含有反応混合物に送達され、それがエチレンオリゴマー化のより高い活性に繋がる。別の例は、可溶性触媒Ti(OBu).nTHF(n=4〜6)、可溶性助触媒TEALおよび不溶性支持体を含有する触媒組成物である。助触媒は、支持体表面上の微量のヒドロキシル基を介して支持体と反応し、表面に結合する。助触媒が触媒を活性化させると、触媒もまた表面に結合して固体支持体触媒組成物を形成する。別の実施形態では、可溶性触媒は、固体支持体に取り付けられた不溶性助触媒と相互作用する。別の実施形態では、可溶性触媒は、最初に不溶性助触媒と相互作用した後、連結された触媒−助触媒の統一体が固体支持体に取り付けられて触媒組成物を形成する。別の実施形態では、可溶性触媒および不溶性助触媒は触媒組成物を形成する。例えば、可溶性Ti触媒および不溶性固体MAOは触媒組成物を形成する。MAO成分は10〜100ミクロンの粒子から作られ、支持体および触媒の活性化剤の両方として機能する。
【0018】
様々な実施形態は、固体−液体分離のための一連の設備を使用して消費されたおよび部分的に消費された触媒組成物フラクションを回収することができる他に、使用可能な回収された触媒を再循環させることができる。消費された触媒組成物フラクションおよび未使用の触媒はこのシステムにおいてサイズが異なり、このサイズの差異は、反応混合物から2つを分離するために活用され得る。例えば、一実施形態では、活性触媒組成物および消費されていないまたは使用可能な触媒組成物は30マイクロメートル(μm)未満のサイズ分布を有するが、消費された触媒組成物は30μm〜500μmの範囲内のサイズ分布を有する。分離設備の例としては、濾過器、篩、濾し器、バッグフィルター、ナノ濾過デバイス、遠心分離器、およびこれらの装置の様々な組合せを挙げることができる。消費された触媒組成物は、様々な処理ストリームから除去され得る。様々な実施形態は、アルファオレフィン生成物、再循環のための未反応エチレン、および溶媒が様々な処理において使用される場合に再循環のための溶媒を回収するための様々な分離デバイスおよび技術を使用し得る。アルファオレフィン生成物ストリームのさらなる精製のために、タンク、蒸発装置、凝縮装置、および分別装置、例えば、パックカラムまたはトレイカラムなどの様々な分離デバイスおよび技術が使用され得る。
【0019】
図2および図3の処理ダイアグラムにおいて実行される図1の方法のより良好な理解のために図1図3を一緒に説明する。図1は、様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造する方法100を図式的に示す。
【0020】
図1の方法100のステップ102において、方法は、エチレンストリーム、触媒ストリーム、および再循環された触媒ストリームを反応器に供給することを含む。触媒ストリームおよび再循環された触媒ストリームは、固体支持体上のエチレンオリゴマー化触媒および助触媒を含み得る固体触媒組成物を含有する。様々な実施形態では、固体支持体はまた、助触媒として機能し得る。触媒および助触媒は、化学結合により、物理的吸着により、または化学結合および物理的吸着の両方により固体支持体に連結され得る。反応器中でのエチレンオリゴマー化反応ならびに、それに続く、さらなるエチレンオリゴマー化反応のための固体触媒の反応器への回収および再循環のためのその後の処理の間に、触媒および助触媒が連結されたままであることを可能とするように、連結は充分に強い。様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒を固体支持体に連結させるために周知の方法が使用され得る。様々な実施形態では、固体触媒へのエチレンオリゴマー化触媒および助触媒の連結のためにインシピエントウェットネス法が使用され得る。様々な実施形態では、触媒対助触媒のモル比は1〜500であり得る。様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化のための触媒および助触媒は、シリカ、アルミナ−ケイ酸塩、ゼオライト、金属酸化物、クレイ、およびポリマーなどの固体支持体に連結され得る。一実施形態では、MAOなどの固体支持体はまた、助触媒として機能し得る。別の実施形態では、固体支持体はポリスチレンであり得る。
【0021】
方法100は、固体触媒を使用して反応器中で、エチレンストリームからのエチレンのオリゴマー化を介して1つまたは複数の直鎖状アルファオレフィンを形成させるステップ104を含み得る。反応器は鉛直圧力容器であり得る。内部撹拌機が反応器中に含まれ得る。例えば、内部撹拌機は、モーターにより駆動される中心軸撹拌機であり得る。様々な実施形態では、反応器はプラグ流反応器であり得る。様々な実施形態では、反応器は振動流バッフル反応器であり得る。様々な実施形態では、反応器の内部冷却は、起こり得るメンテナンス上の問題に起因して存在しなくてもよい。例えば、ポリマー材料が内部冷却管上に堆積する場合、冷却の効率が有意に低減して製造上の問題を引き起こし得る。様々な実施形態では、作動中の反応器内の温度は、30℃〜200℃の範囲内であり得る。他の実施形態では、作動中の反応器内の温度は、30℃〜150℃の範囲内であり得る。他の実施形態では、作動中の反応器内の温度は、30℃〜100℃の範囲内であり得る。他の実施形態では、作動中の反応器内の温度は、30℃〜80℃の範囲内であり得る。様々な実施形態では、作動中の反応器内の圧力は、5〜90バールゲージの範囲内であり得る。他の実施形態では、作動中の反応器内の圧力は、20〜40バールゲージの範囲内であり得る。
【0022】
方法100は、直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、および固体触媒組成物を含む第1の生成物ストリームを反応器から回収するステップ106を含み得る。第1の生成物ストリームは、固相、液相、および気相を含む混合相ストリームであり得る。気体は液体中に溶解することができるか、または液体中に溶解した気体を含む固体および液体の混合相ストリームであり得る。気体は主にエチレンであり得る。
【0023】
方法100は、反応器からの第1の生成物ストリームのフラクションを反応器に再循環させるステップ108を含み得る。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリームのフラクションは冷却される。様々な実施形態では、第1の生成物ストリームのこのフラクションは、システムの近くのポンプを使用して反応器に循環され得る。システムの近くのポンプは、反応器中でのエチレンオリゴマー化反応の間に生成された反応熱を除去するために使用され得る。様々な実施形態では、システムの近くのポンプは、1つまたは複数のポンプ、および、反応器からの第1の生成物ストリームのフラクションを該ストリームを反応器に再循環させる前に冷却するための1つまたは複数の熱交換器を含み得る。様々な実施形態では、1つまたは複数の熱交換器は、反応熱を除去するために冷却水を使用し得る。様々な実施形態では、第1の生成物ストリームのフラクションは、反応器に供給される他のストリームとは別々に反応器に供給され得る。様々な実施形態では、第1の生成物ストリームのフラクションの流速は、反応器の反応滞留時間の必要条件により決定され得る。
【0024】
方法100は、第1の生成物ストリームの残余物を消費された触媒組成物ストリーム、使用可能な触媒組成物ストリーム、および第2の生成物ストリームに分離するステップ110を含み得る。消費された触媒組成物ストリームおよび使用可能な触媒組成物ストリームは、粒子のサイズに基づいて分離され得る。例えば、一実施形態では、活性触媒組成物および消費されていないまたは使用可能な触媒組成物は30μm未満のサイズ分布を有するが、消費された触媒組成物は約30μmおよび50μmのサイズ分布を有する。このサイズ分布は、粒子を分離し、第2の生成物ストリームを製造するために活用される。方法100は、第2の生成物ストリーム中の固体触媒を不活性化させるための触媒不活性化剤を第2の生成物ストリームに加えることにより、不活性化した固体触媒を製造する任意選択のステップ112を含み得る。様々な実施形態では、触媒不活性化剤は、アルコール、アミン、もしくは水または任意の他の好適な不活性化剤であり得る。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、およびグリコールを挙げることができる。例示的なアミンとしては、アンモニアおよびRNH(式中、Rはヒドロカルビルである)を挙げることができる。
【0025】
方法100は、第2の生成物ストリームを第3の生成物ストリームおよび残留物ストリームに分離するステップ114を含み得る。第3の生成物ストリームはエチレンおよび直鎖状アルファオレフィンを含み、残留物ストリームは不活性化した固体触媒を含む。方法100は、第3の生成物ストリームの分別を介して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物ストリームを回収するステップ116を含み得る。様々な実施形態では、追加の直鎖状アルファオレフィン生成物スチーム(steams)が回収され得る。様々な実施形態では、エチレンストリームが反応器への再循環のために回収され得る。
【0026】
図2は、様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造するためのシステム200を図式的に示す。システム200は、以下のインプット:エチレンストリーム204、触媒ストリーム205、および使用可能な触媒組成物ストリーム208を有する反応器202を含む。ある特定の実施形態では、触媒ストリーム205および助触媒ストリーム213は、反応器202内で合わさって不均一系触媒組成物を形成する2つの独立したストリームであり得る。他の実施形態では、反応器に入る助触媒ストリーム213はなく、かつ、触媒ストリーム205は、固体支持体に連結されたエチレンオリゴマー化触媒および助触媒を含む固体触媒組成物を含有し得る。ある特定の実施形態では、使用可能な触媒組成物ストリーム208は、固体支持体に連結されたエチレンオリゴマー化触媒および助触媒を含む固体触媒組成物を含有し、かつ、図2に示すように独立したストリーム208として反応器202に入ることができるか、または反応器202に入る前に触媒ストリーム205に加わることができる。様々な実施形態では、固体支持体はまた、助触媒として機能し得る。触媒および助触媒は、化学結合により、物理的吸着により、または化学結合および物理的吸着の両方により固体支持体に連結され得る。反応器202中でのエチレンオリゴマー化反応ならびに、それに続く、さらなるエチレンオリゴマー化反応のための固体触媒の反応器202への回収および再循環のためのその後の処理の間に、触媒および助触媒が連結されたままであることを可能とするように、連結は充分に強い。
【0027】
システム200の様々な実施形態では、反応器に入るエチレンストリームは、原料エチレンストリーム204および使用可能なエチレンストリーム210の両方を含み得る。他の実施形態では、原料エチレンストリーム204および再循環されたエチレンストリーム210は、2つの別々のストリームとして反応器に入り得る。再循環されたエチレンストリーム210は、(a)第1の生成物ストリームのさらなる分離からの第1の回収されたエチレンストリーム240または(b)第3の生成物ストリーム260のさらなる分別処理270からの第2の回収されたエチレンストリーム284のうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態では、エチレンストリーム204は、圧力レギュレータ(図示せず)により指し示される反応器202中で消費されたエチレンの量に基づいて反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、作動中の反応器202内の圧力は、5〜100バールゲージの範囲内であり得、かつ、エチレンストリーム204の供給速度は、圧力範囲内の圧力を維持するために調整され得る。様々な実施形態では、エチレンストリーム204、触媒ストリーム205、および使用可能な触媒組成物ストリーム208は、それぞれ別々に、または様々な組合せの合わさったストリームにおいて反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、触媒ストリーム205および助触媒ストリーム213は、別々に反応器202に供給され得るか、または単一のストリームとして一緒に反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、エチレンストリーム204は、他のストリームとは別々に反応器に供給され得るか、または再循環されたエチレンストリーム210と合わせられ得る。
【0028】
反応器202へのインプットは、溶媒ストリーム211をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、溶媒ストリームは、エチレンストリーム204、触媒ストリーム205、および再循環された触媒ストリーム208とは別々に反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、溶媒ストリーム211は、C〜C10の炭化水素のうちの1つまたは複数を含み得る。溶媒ストリーム211は、トルエンまたはシクロヘキサンを含み得る。溶媒ストリームは、トルエンまたはシクロヘキサンおよび合理的な処理の許容範囲内の量の不純物であり得る。ある特定の実施形態では、溶媒ストリーム211は、触媒ストリーム205または助触媒ストリーム213と共に反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、溶媒の量は、反応液の約0〜90重量%であり得る。
【0029】
エチレンオリゴマー化の方法が進行して1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および他の直鎖状アルファオレフィンのうちの1つまたは複数が製造された後に、第1の生成物ストリーム214は反応器202から回収され、それは、直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、および固体触媒を含有する。第1の生成物ストリーム214は、液体中に溶解した気体を含む、固体、液体、および気体を含む混合相ストリームであり得るか、または液体中に溶解した気体を含む、固体および液体の混合相ストリームであり得る。気体は主にエチレンであり得る。第1の生成物ストリーム214のフラクションは、ストリーム206を介して反応器に再循環される。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリーム214からのフラクションストリーム206は冷却される。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリーム214のフラクションストリーム206は、システムの近くのポンプを使用して反応器202に再循環され得る。システムの近くのポンプは、反応器202中でのエチレンオリゴマー化反応の間に生成された反応熱を除去し得る。システムの近くのポンプは、1つまたは複数のポンプ、および、第1の生成物ストリーム214のフラクションストリーム206を反応器202に再循環させる前に冷却するための1つまたは複数の熱交換器を含み得る。様々な実施形態では、第1の生成物ストリーム214からのフラクションストリーム206は、反応器に供給される他のストリームとは別々に反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、フラクションストリーム206の流速は、反応器202の反応滞留時間の必要条件により決定され得る。一部の実施形態では、反応器202に再循環されるフラクションストリーム206は、第1の生成物ストリーム214の95〜99重量%であり得、第1の生成物ストリームからの残余物の生成物ストリーム216は約1〜5%であり、かつエチレン、固体触媒、および直鎖状アルファオレフィンの回収のためにさらに下流において処理される。様々な実施形態では、反応器202に再循環されるフラクションストリーム206は、第1の生成物ストリーム214の約98重量%であり得、第1の生成物ストリームからの残余物ストリーム216は、エチレン、固体触媒、および直鎖状アルファオレフィンの回収のためにさらに下流において処理される。
【0030】
次いで、第1の生成物ストリーム214からの残余物ストリーム216は、1つまたは複数の固体/液体分離処理に供される。例えば、第1の生成物ストリーム214からの残余物ストリーム216は、フラッシュドラム232などの蒸気−液体分離器におけるフラッシングに供されて、第1の再循環されたエチレンストリーム240およびフラッシングされた第1の生成物ストリーム233が回収される。
【0031】
ある特定の実施形態では、フラッシュドラム(サージドラム)232は、通常の作動条件下でフラッシュドラム中にエチレンを保持するように作動し得る。他の実施形態では、フラッシュドラム232中の圧力は、エチレンをフラッシュドラム232から排出させて圧力がフラッシュドラム232中でさらに増加することを防止し得る予め決定されたレベルに達し得る。様々な実施形態では、排出されたエチレンは、回収されて反応器202に再循環され得る。次いで、フラッシングされた第1の生成物ストリーム233は、固体/液体分離装置234に供され、消費された触媒組成物ストリーム238および濾過された第1の生成物ストリーム235が分離される。様々な実施形態では、消費された触媒組成物ストリーム238は、第1の生成物ストリーム216中の触媒の約5〜100%を含み得る。第2の分離装置236は、濾過された第1の生成物ストリーム235を処理し、かつ第2の生成物ストリーム246および使用可能な触媒組成物ストリーム208を製造するために、固体/液体分離装置234の下流に配置される。
【0032】
様々な実施形態では、エチレンストリーム242は、第2の分離装置236から排出され得る。他の実施形態では、このエチレンストリーム242は、少なくとも部分的に回収および再循環されて、再循環されたエチレンの別の供給源を提供し得る。様々な実施形態では、第1の分離装置からの消費された触媒組成物ストリーム238は、サイズに基づいて分離される。例えば、消費された触媒組成物ストリーム238は、約30〜50μmの有効直径より大きい触媒粒子を含み得る。消費された触媒組成物粒子は球状でなくてもよいが、これらの粒子は、分離目的のために球と同等の有効直径を有してもよい。換言すれば、消費された触媒組成物粒子は、約30〜50μmより大きい直径を有する球状粒子と同様の分離装置中で分離してもよい。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリーム216からの触媒の大部分は、使用可能な触媒組成物ストリーム208中に存在し得る。例えば、濾し器またはバッグフィルターが分離装置234において使用され得、かつ、フラッシングされた第1の生成物ストリーム233を分離して、消費された触媒組成物ストリーム238および濾過された第1の生成物ストリーム235を提供するために使用され得る。ある特定の実施形態では、相分離器、遠心分離器、または浄化タンクが第2の分離装置236であり得、かつ、濾過された第1の生成物ストリーム235を分離して、第2の生成物ストリーム246および使用可能な触媒組成物ストリーム208を提供するために使用され得る。
【0033】
ある特定の実施形態では、第2の生成物ストリーム246は、分離システム250を使用して第3の生成物ストリーム260および残留物ストリーム258に分離される。一実施形態では、この分離システム250は、蒸発器252、凝縮器254、およびサージドラム256を含む。この実施形態では、第2の生成物ストリーム246は、蒸発器252における蒸発に供されて、エチレンおよび直鎖状アルファオレフィンを含む蒸気ストリームならびに残留物ストリーム258が製造される。次いで、蒸気ストリームを凝縮器254に通過させて、第3の生成物ストリーム260が提供される。第3の生成物ストリーム260は、サージドラム256において回収される。様々な実施形態では、蒸発器252は、不活性化触媒などの様々な不純物から第2の生成物ストリーム246中の価値のある液体および気体構成要素を分離するために使用され得る。分離された液体および気体構成要素は、エチレン、直鎖状アルファオレフィン、およびエチレンオリゴマー化の方法において使用される溶媒を回収するためにさらに処理され得る。様々な実施形態では、蒸発器252は、加熱ジャケットにより加熱され得る。エチレン、アルファオレフィン生成物、および溶媒は、気化されて蒸発器の上から抜け出し得る。不純物の濃縮溶液であり得る残留物ストリーム258は、蒸発器252の底から引かれ得る。供給対残留物比は、残留物ストリーム258への直鎖状アルファオレフィンおよび溶媒の損失を最小化するために制御され得る。
【0034】
ある特定の実施形態では、第2の生成物ストリーム246中のエチレンは、第3の生成物ストリーム260中に残存し、かつさらなる下流の処理270を介する分離に供される。ある特定の実施形態では、残留物ストリーム258は、不活性化触媒の濃縮溶液を含み得、かつ、このストリームは、蒸発器の底から連続的に排液され得る。様々な実施形態では、第2の生成物ストリームの処理の分離においていかなる追加の固体−液体分離装置も含まれなくてよい。
【0035】
ある特定の実施形態では、第3の生成物ストリーム260は、分別処理270に供されて、少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物ストリーム280が製造される。第1の分別装置272における第3の生成物ストリーム260の分別は、再循環されたエチレンストリーム284および第1の廃棄物ストリームの製造の後、第2の分別装置274における第1の廃棄物ストリームのその後の分別に繋がり、1−ブテンストリームおよび第2の廃棄物ストリームが回収される。第2の廃棄物ストリームは、第3の分別装置276において分別されて、1−ヘキセンストリームおよび第3の廃棄物ストリームが回収された後、第4の分別装置278において第3の廃棄物ストリームがその後に分別されて、溶媒再循環ストリーム282および第4の廃棄物ストリームが回収される。溶媒再循環ストリーム282中の溶媒は溶媒ストリーム211に送られ、溶媒ストリーム211は反応器202に供給され、かつ、第4の廃棄物ストリームは分別されて、1−オクテンおよび重質フラクションストリームが回収される。様々な実施形態では、分別は、蒸留トレインにおいて起こり得る。様々な実施形態では、蒸留トレインの第1のカラムは、エチレンを回収するために使用され得、かつ回収されたエチレンを反応器に再循環させるように構成され得る。様々な実施形態では、溶媒再循環ストリームは、反応器202に供給され得るか、または溶媒ストリーム211と合わせられて反応器202に供給され得る。様々な実施形態では、分別のための様々な分別器は、パックカラムもしくはトレイカラムまたはパックカラムとトレイカラムとの組合せであり得る。
【0036】
図3は、様々な実施形態による、直鎖状アルファオレフィンを製造するための代替的なシステム300を図式的に示す。この実施形態では、消費された触媒組成物および使用可能な触媒組成物は、システム200と比較してさらに下流において分離される。システム300は、以下のインプット:エチレンストリーム304、触媒ストリーム305、および使用可能な触媒組成物ストリーム308を有する反応器302を含む。ある特定の実施形態では、触媒ストリーム305および助触媒ストリーム313は、反応器302内で合わさって固体触媒組成物を形成する2つの独立したストリームであり得る。他の実施形態では、反応器に入る助触媒ストリーム313はなく、かつ、触媒ストリーム305は、固体支持体に連結されたエチレンオリゴマー化触媒および助触媒を含む固体触媒組成物を含有する。ある特定の実施形態では、使用可能な触媒組成物ストリーム308は、固体支持体に連結されたエチレンオリゴマー化触媒および助触媒を含む固体触媒組成物を含有し、かつ、図3に示すように独立したストリームとして反応器302に入ることができるか、または反応器302に入る前に触媒ストリーム305に加わることができる。
【0037】
システム300のある特定の実施形態では、反応器302に入るエチレンストリームは、原料エチレンストリーム304と再循環されたエチレンストリーム310との組合せを含み得る。再循環されたエチレンストリーム310は、(a)第1の生成物ストリームのさらなる分離からの第1の回収されたエチレンストリーム340または(b)第3の生成物ストリーム360のさらなる分別処理370からの第2の回収されたエチレンストリーム384のうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態では、エチレンストリーム304は、圧力レギュレーター(図示せず)により指し示される反応器302中で消費されたエチレンの量に基づいて反応器302に供給され得る。様々な実施形態では、作動中の反応器302内の圧力は、5〜100バールゲージの範囲内であり得、かつ、エチレンストリーム304の供給速度は、圧力範囲内の圧力を維持するために調整され得る。様々な実施形態では、エチレンストリーム304、触媒ストリーム305、および使用可能な触媒組成物ストリーム308は、それぞれ別々に、または様々な組合せの合わさったストリームにおいて反応器302に供給され得る。様々な実施形態では、エチレンストリーム304は、他のストリームとは別々に反応器に供給され得るか、または再循環されたエチレンストリーム310と合わせられ得る。
【0038】
反応器302へのインプットは、溶媒ストリーム311をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、溶媒ストリームは、エチレンストリーム304、触媒ストリーム305、および使用可能な触媒組成物ストリーム308とは別々に反応器302に供給され得る。様々な実施形態では、溶媒ストリーム311は、C〜C10の炭化水素のうちの1つまたは複数を含み得る。溶媒ストリーム311は、トルエンまたはシクロヘキサンを含み得る。溶媒ストリーム311は、トルエンまたはシクロヘキサンおよび合理的な処理の許容範囲内の量の不純物であり得る。ある特定の実施形態では、溶媒ストリーム311は、触媒ストリーム305または助触媒ストリーム313と共に反応器302に供給され得る。様々な実施形態では、溶媒の量は、反応液の約0〜90重量%であり得る。
【0039】
エチレンオリゴマー化の方法が進行して1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および他の直鎖状アルファオレフィンのうちの1つまたは複数が製造された後に、第1の生成物ストリーム314は反応器302から回収され、それは、直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、および固体触媒を含有する。第1の生成物ストリーム314は、液体中に溶解した気体を含む、固体、液体、および気体を含む混合相ストリームであり得るか、または液体中に溶解した気体を含む、固体および液体の混合相ストリームであり得る。気体は主にエチレンであり得る。第1の生成物ストリーム314のフラクションは、ストリーム306を介して反応器に再循環される。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリーム314からのフラクションストリーム306は冷却される。様々な実施形態では、第1の生成物ストリーム314からのフラクションストリーム306は、反応器に供給される他のストリームとは別々に反応器302に供給され得るか、またはインプットストリームのいずれかと合わせられ得る。様々な実施形態では、フラクションストリーム306の流速は、反応器302の反応滞留時間の必要条件により決定され得る。一部の実施形態では、反応器302に再循環されるフラクションストリーム306は、第1の生成物ストリーム314の95〜99重量%であり得、第1の生成物ストリームからの残余物ストリーム316は約1〜5%であり得、かつエチレン、固体触媒、および直鎖状アルファオレフィンの回収のためにさらに下流において処理される。様々な実施形態では、反応器302に再循環されるフラクションストリーム306は、第1の生成物ストリーム314の約98重量%であり得、第1の生成物ストリームからの残余物ストリーム316は、エチレン、固体触媒、および直鎖状アルファオレフィンの回収のためにさらに下流において処理される。
【0040】
次いで、第1の生成物ストリーム314からの残余物ストリーム316は、1つまたは複数の固体/液体分離処理に供される。例えば、第1の生成物ストリーム314からの残余物ストリーム316は、フラッシュドラム332などの蒸気−液体分離器におけるフラッシングに供されて、第1の再循環されたエチレンストリーム340およびフラッシングされた第1の生成物ストリーム333が回収される。
【0041】
第1の生成物ストリーム316を、消費された触媒組成物ストリーム338、使用可能な触媒組成物ストリーム308、および第2の生成物ストリーム346に分離する処理は、分離装置330により実行され、かつフラッシュドラム332において第1の生成物ストリーム316をフラッシングして第1の再循環されたエチレンストリーム340を回収することを含む。次いで、フラッシングされた第1の生成物ストリーム333は第1の分離装置336に供給されて、第2の生成物ストリーム346および排出触媒ストリーム307が製造される。排出触媒ストリーム307は第2の分離装置335に供給されて、消費された触媒組成物ストリーム338および使用可能な触媒組成物ストリーム308が製造される。様々な実施形態では、エチレンストリーム342は、第1の分離装置336から排出され得るか、または少なくとも部分的に回収および再循環されて、再循環されたエチレンの別の供給源を提供し得る。様々な実施形態では、消費された触媒組成物ストリーム338は、約10〜100μmの有効直径より大きい触媒粒子を含み得る。様々な実施形態では、消費された触媒組成物ストリーム338は、約30〜100μmの有効直径より大きい触媒粒子を含み得る。消費された触媒組成物粒子は球状でなくてもよいが、これらの粒子は、分離目的のために球と同等の有効直径を有してもよい。換言すれば、消費された触媒組成物粒子は、約30〜100μmより大きい直径を有する球状粒子と同様の分離装置中で分離してもよい。様々な実施形態では、第1の生成物ストリーム316からの触媒の大部分は、使用可能な触媒組成物ストリーム308中に存在し得る。様々な実施形態では、例えば、濾し器またはバッグフィルターは、第2の分離装置335であり得る。様々な実施形態では、相分離器、遠心分離器、または浄化タンクは、第1の分離装置336であり得る。様々な実施形態では、エチレンストリーム342は、第2の分離装置336から排出され得る。他の実施形態では、このエチレンストリーム342は、少なくとも部分的に回収および再循環されて、再循環されたエチレンの別の供給源を提供し得る。様々な実施形態では、消費された触媒組成物ストリーム338は、粒子サイズに基づいて使用可能な触媒組成物ストリームから分離される。例えば、消費された触媒組成物ストリーム338は、約30〜500μmの有効直径より大きい触媒粒子を含み得る。消費された触媒組成物粒子は球状でなくてもよいが、これらの粒子は、分離目的のために球と同等の有効直径を有してもよい。換言すれば、消費された触媒組成物粒子は、約30〜500μmより大きい直径を有する球状粒子と同様の分離装置中で分離してもよい。ある特定の実施形態では、第1の生成物ストリーム316からの触媒の大部分は、使用可能な触媒組成物ストリーム308中に存在し得る。例えば、濾し器またはバッグフィルターが分離装置335において使用され得、かつ、排出触媒ストリーム307を分離して、消費された触媒組成物ストリーム338および使用可能な触媒組成物ストリーム308を提供するために使用され得る。ある特定の実施形態では、相分離器、遠心分離器、または浄化タンクが第2の分離装置335であり得、かつ、排出触媒ストリーム307を分離して、消費された触媒組成物ストリーム338および使用可能な触媒組成物ストリーム308を提供するために使用され得る。
【0042】
ある特定の実施形態では、第2の生成物ストリーム346は、分離システム350を使用して第3の生成物ストリーム360および残留物ストリーム358に分離される。一実施形態では、この分離システム350は、蒸発器352、凝縮器354、およびサージドラム356を含む。この実施形態では、第2の生成物ストリーム346は、蒸発器352における蒸発に供されて、エチレンおよび直鎖状アルファオレフィンを含む蒸気ストリームならびに残留物ストリーム358が製造される。次いで、蒸気ストリームを凝縮器354に通過させて、第3の生成物ストリーム360が提供される。第3の生成物ストリーム360は、サージドラム356において回収される。様々な実施形態では、蒸発器352は、不活性化触媒などの様々な不純物から第2の生成物ストリーム346中の価値のある液体および気体構成要素を分離するために使用され得る。分離された液体および気体構成要素は、エチレン、直鎖状アルファオレフィン、およびエチレンオリゴマー化の方法において使用される溶媒を回収するためにさらに処理され得る。様々な実施形態では、蒸発器352は、加熱ジャケットにより加熱され得る。エチレン、アルファオレフィン生成物、および溶媒は、気化されて蒸発器の上から排出され得る。不純物の濃縮溶液であり得る残留物ストリーム358は、蒸発器352の底から引かれ得る。供給対残留物比は、残留物ストリーム358への直鎖状アルファオレフィンおよび溶媒の損失を最小化するために制御され得る。
【0043】
ある特定の実施形態では、第2の生成物ストリーム346中のエチレンは、第3の生成物ストリーム360中に残存し、かつさらなる下流の処理370を介する分離に供される。ある特定の実施形態では、残留物ストリーム358は、不活性化触媒の濃縮溶液を含み得、かつ、このストリームは、蒸発器の底から連続的に排出され得る。様々な実施形態では、第2の生成物ストリームの処理の分離においていかなる追加の固体−液体分離装置も含まれない。
【0044】
ある特定の実施形態では、第3の生成物ストリーム360は、分別処理370に供されて、少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物ストリーム380が製造される。第1の分別装置372における第3の生成物ストリーム360の分別は、再循環されたエチレンストリーム384および第1の廃棄物ストリームの製造の後、第2の分別装置374における第1の廃棄物ストリームのその後の分別に繋がり、1−ブテンストリームおよび第2の廃棄物ストリームが回収される。第2の廃棄物ストリームは、第3の分別装置376において分別されて、1−ヘキセンストリームおよび第3の廃棄物ストリームが回収された後、第4の分別装置378において第3の廃棄物ストリームがその後に分別されて、溶媒再循環ストリーム382および第4の廃棄物ストリームが回収される。溶媒再循環ストリーム382中の溶媒は溶媒ストリーム311に送られ、溶媒ストリーム311は反応器302に送られ、かつ、第4の廃棄物ストリームは分別されて、1−オクテンおよび重質フラクションストリームが回収される。様々な実施形態では、分別は、蒸留トレインにおいて起こり得る。様々な実施形態では、蒸留トレインの第1のカラムは、エチレンを回収するために使用され得、かつ回収されたエチレンを反応器に再循環させるように構成され得る。様々な実施形態では、溶媒再循環ストリームは、反応器302に再び供給され得るか、または溶媒ストリーム311と合わせられて反応器302に供給され得る。様々な実施形態では、分別のための様々な分別器は、パックカラムもしくはトレイカラムまたはパックカラムとトレイカラムとの組合せであり得る。
【0045】
ある特定の実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、特定の直鎖状アルファオレフィンについて選択的であり得る。様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、特定の直鎖状アルファオレフィンに関して非選択的であり得る。一般に、非選択的なエチレンオリゴマー化触媒は、シュルツ・フローリー分布および1つまたは複数の短鎖直鎖状アルファオレフィンに対する低い選択性を有する広範なアルファオリゴマー(C〜C30+)を製造し得る。
【0046】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、ニッケル(I)のリン−酸素キレートおよび水素化ホウ素還元剤などの非選択的な触媒であり得る。例えば、ニッケル(I)のリン−酸素キレートおよび水素化ホウ素還元剤は、シェル高級オレフィン法(SHOP)において使用される触媒システムであり得る。ニッケル(I)のリン−酸素キレートの例としては、式Iを挙げることができる。
【化1】
【0047】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Sabic−LindeのSablin法において使用されるジルコニウム−ハロゲン化アルキルアルミニウムなどの非選択的な触媒であり得る。
【0048】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Chevron−Phillips AlphaPlus法において使用されるトリアルキルアルミニウム(AlR)などの非選択的な触媒であり得る。様々な実施形態では、Rはエチルであり得る。
【0049】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Alphabutol法において使用されるチタン酸塩−アルキルアルミニウム触媒などの選択的な触媒であり得る。
【0050】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Chevron−Phillips法において使用される三量化触媒などの選択的な触媒であり得る。三量化触媒の例は、式II、III、およびIVにより示される。
【化2】
【化3】
【化4】
【0051】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、British Petroleum法において使用される三量化触媒などの選択的な触媒であり得る。この触媒の例は、クロムを有し、メチルアルモキサンを用いて活性化されたp−オルトメトキシアリールP^N^P配位子であり得る。式VおよびIVはこの触媒システムを示す。
【化5】
【化6】
【0052】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Axens AlphaHexol(商標)エチレン三量化法において使用される(BuO)Ti−トリエチルアルミニウム(TEAL)触媒システムなどの選択的な触媒であり得る。
【0053】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Sinopecのエチレン三量化法において使用される式VIIの触媒システムなどの選択的な触媒であり得る。
【化7】
【0054】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Mutsuiのエチレン三量化法において使用される式VIII〜XIIにより示される触媒システムなどの選択的な触媒であり得る。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0055】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Deckerの方法において使用されるシクロペンタジエニル−アレーン配位子システムなどの選択的な触媒であり得る。例示的な触媒は、式XIII〜XVIにより示される[Ind−(架橋)−Ar]TiClであり得る。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0056】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、Sumitomo法において使用される式XVIIの1−ヘキセン触媒などの選択的な触媒であり得る。
【化17】
【0057】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化触媒および助触媒は、式XVIII〜XXにより示され、Sasol法において使用されるエチレンオリゴマー化触媒システムなどの選択的な触媒であり得る。
【化18】
【化19】
【化20】
【0058】
様々な実施形態では、式XVIII〜XXにより示されるエチレンオリゴマー化触媒システムと共に助触媒が使用され得る。様々な実施形態では、助触媒は、RAl(式中、R、R、およびRは、同じまたは異なる炭化水素基であり得る)であり得る。様々な実施形態では、R、R、およびRは、C〜C100の炭素原子を有するヒドロカルビルであり得る。様々な実施形態では、R、R、およびRは、例えば、H、F、Cl、Br、O、もしくはNなどのヘテロ原子Xであり得るか、またはRO、RS、もしくはC−などの配位子を含有するヘテロ原子であり得る。様々な実施形態では、助触媒は、(−Al(R)−O−)(式中、Rは、ヘテロ原子Xを含み得るヒドロカルビル配位子であり得る)の一般式を有するアルミノキサンであり得る。ヘテロ原子は、F−またはROであり得る。様々な実施形態では、助触媒は固体であり得る。様々な実施形態では、助触媒は、B(C)またはB(C)の塩であり得る。様々な実施形態では、塩は、M[B(C](式中、Mは、PhN、RN、またはRPであり得る)であり得る。
【0059】
ある特定の実施形態では、不均一系触媒組成物は、不溶性触媒および可溶性助触媒を含む。これらの不均一系触媒組成物において使用される触媒は、金属−有機フレームワークであり得る。これらは、有機配位子により架橋された金属クラスターから形成された高度に多孔性の三次元構造である。そのような触媒組成物の例としては、可溶性MAOおよびニッケル置換MFU−4lなどの不溶性触媒が挙げられる。材料MFU−4lはZnCl(BTDD)(ここで、HBTDDは、bis(1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b],[4’,5’−i])ジベンゾ[1,4]ジオキシンである)である。直鎖状アルファオレフィンを製造する方法は、オリゴマー化条件下の反応器中でエチレンを不均一系触媒組成物と接触させて第1の生成物ストリームを製造するステップを含む。不均一系触媒組成物は、不溶性触媒および可溶性助触媒を含有する。例えば、1つのそのような組合せは、可溶性MAOおよびニッケル置換MFU−4lなどの不溶性触媒を含む。方法は、直鎖状アルファオレフィン、未反応エチレン、消費された触媒組成物フラクション、および使用可能な触媒組成物フラクションを含む第1の生成物ストリームを反応器から回収するステップ;使用可能な触媒組成物フラクションを第1の生成物ストリームから分離して第2の生成物ストリームを製造するステップ;第2の生成物ストリームの分別を介して少なくとも1つの直鎖状アルファオレフィン生成物を回収するステップ;ならびに使用可能な触媒組成物フラクションを反応器に再循環させるステップをさらに含む。使用可能な触媒組成物は、粒子サイズに基づく分離方法、例えば、濾過または遠心分離を使用して第1の生成物ストリームから分離される。
【0060】
様々な実施形態では、エチレンオリゴマー化のための触媒および助触媒は、シリカ、アルミナ−ケイ酸塩、ゼオライト、金属酸化物、クレイ、ポリマー、またはメチルアルミノキサン(MAO)などの固体支持体に連結され得る。様々な実施形態では、固体支持体はポリスチレンであり得る。様々な実施形態では、固体支持体はMAOであり得る。様々な実施形態では、MAOは、固体支持体であり得、かつ助触媒であり得る。
【実施例】
【0061】
固体触媒組成物の例ならびにそれらの二量化活性および反応器壁へのポリマー堆積の産生の解析が本明細書に提供される。テトラヒドロフラン(THF)をチタンテトラブトキシドと予備混合(THFを含む試料中)し、チャージングシリンダーに移した。この実施例において使用した固体支持体は、ナノ−クレイ(ベントナイト)、α−アルミナ(99.5%)、高純度グレードシリカゲル(Davisil Grade 636)、およびフュームドシリカであった。固体支持体を使用前に4時間600℃でか焼した。固体支持体をヘプタン(1モル(M))中の助触媒トリエチルアルミニウムと個々に混合し、チャージングシリンダーに移した。オリゴマー化反応をオートクレーブバッチ反応装置(1000mL容量)において実行した。典型的な反応の実行では、反応容器を超高純度の窒素を用いて真空パージして酸素および水分を除去した。次いで、バッチ反応器を無水ヘキサンで満たし、50℃に保った。次いで、ヘプタン(1M)中の固体支持体およびトリエチルアルミニウム溶液を含有する混合物を反応容器に導入した。次いで、チタンテトラブトキシドおよびTHFを含有する予備混合した溶液を反応器に導入した。触媒溶液は、1マイクロモルのチタンテトラブトキシドの濃度を有していた。触媒システムの成分の導入後、反応器をエチレンを用いて2.3メガパスカル(MPa)に加圧し、反応器の温度を300rpmの撹拌速度を用いて53℃に設定した。60分後に2mLのエタノールを注入することにより二量化反応を終了させた。その後に反応器を減圧させた。反応器壁および撹拌器に付着したポリマーを回収し、110℃のオーブン中で終夜乾燥させ、重さを量った。付着したポリマーの量は、反応容器中で起こるであろうファウリングを指し示す。
【0062】
表1は、試料触媒組成物のそれぞれを利用した反応についての二量化活性およびポリマー堆積の重量を示す。表1の反応データにより明らかなように、不均一系触媒はポリマー形成を大幅に低減させた。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、可溶性触媒および可溶性助触媒を触媒組成物中の支持体材料なしで反応に加えた時に、壁および撹拌器に付着した約94ミリグラム(mg)のポリマーが生成した。これと比較して、ナノ−クレイ、α−アルミナ、シリカゲル、またはフュームドシリカのような固体支持体の使用は、触媒組成物の活性を何ら損なうことなくほぼ回収不可能なレベルまでポリマーの生成を減少させた。この実施例は、反応容器および成分のファウリングの低減における不均一系固体触媒組成物の利点の1つを示し、固体触媒組成物は、ポリマーを除去して反応器表面上の堆積を防止することによりファウリング除去剤として作用する。
【0065】
開示された実施形態の以上の記載は、開示された方法およびシステムを任意の当業者が製造または使用することを可能とするように提供されたものである。これらの実施形態に対する様々な改変は当業者に容易に明らかとなり、本明細書に定義された包括的な原則は、本開示の精神または範囲から離れることなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に示した実施形態に限定されることを意図せず、以下の特許請求の範囲ならびに本明細書に開示された原則および新規の特徴に合致する最も広い範囲と一致する。

図1
図2
図3