(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902776
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】環境監視装置及び環境監視装置用容器
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20210701BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
G01D11/24 B
A01G7/00 603
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-38568(P2017-38568)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-146261(P2018-146261A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192889
【氏名又は名称】有限会社サンパックシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】矢藤 寛
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−116738(JP,A)
【文献】
特開2008−64591(JP,A)
【文献】
実開平3−123236(JP,U)
【文献】
実公昭49−13607(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
G08C 13/00 − 25/04
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境値測定用のセンサと、
前記センサを内壁面に接触しない状態で固定して収容可能な本体部であって、該本体部の側壁を貫通する第一通気口と、該第一通気口よりも下方位置に設けられ前記本体部の側壁を貫通する第二通気口とを有する本体部と、
前記本体部の上方に着脱可能に取り付けられ、前記側壁よりも外側に位置して前記第一通気口を覆うフード部と、
前記本体部の底面に、外部と連通する排水口と、該排水口に向けて形成されたテーパ部と、を備え、
前記センサは、前記本体部の内部において前記第二通気口の位置よりも上方位置に固定されたことを特徴とする環境監視装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第一通気口及び前記第二通気口をそれぞれ複数有し、
前記第一通気口の数は前記第二通気口の数よりも少なく、各々の前記第一通気口の開口面積は各々の前記第二通気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の環境監視装置。
【請求項3】
前記本体部の内部に、前記センサが測定した測定データを外部と通信可能な無線機器を収容したことを特徴とする請求項1又は2に記載の環境監視装置。
【請求項4】
前記センサは、温度及び湿度のうちの少なくとも一つを前記環境値として測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の環境監視装置。
【請求項5】
環境値測定用のセンサを内壁面に接触しない状態で固定して収容可能な筐体からなる環境監視装置用容器であって、
前記筐体の側壁を貫通する第一通気口と、該第一通気口よりも下方位置に設けられ前記筐体の側壁を貫通する第二通気口とを有する本体部と、
前記本体部の上方に着脱可能に取り付けられ、前記側壁よりも外側に位置して前記第一通気口を覆うフード部と、
前記本体部の底面に、外部と連通する排水口と、該排水口に向けて形成されたテーパ部と、を備え、
前記センサを前記本体部の内部において前記第二通気口の位置よりも上方位置で固定することを特徴とする環境監視装置用容器。
【請求項6】
前記本体部は、前記第一通気口及び前記第二通気口をそれぞれ複数有し、
前記第一通気口の数は前記第二通気口の数よりも少なく、各々の前記第一通気口の開口面積は各々の前記第二通気口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の環境監視装置用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境監視装置及び環境監視装置用容器に係り、特に、農作物の栽培地における温度や湿度等の環境を監視するための環境監視装置、及びその環境監視装置に用いられる環境監視装置用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物の十分な育成を図るためには温度や湿度等の環境管理を適正に行う必要がある。上記のような環境管理のために、農業従事者が通信技術を利用して遠隔地で栽培している農作物の栽培地を監視することは、従来から既に知られており、例えば、栽培地での気温、湿度、日射量等の環境値を遠隔監視する監視システムが存在する(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された監視システムは、個々のビニールハウスに設置されてビニールハウス内の温度や湿度等の環境値を測定するセンサを備えた監視端末と、その監視端末から送信される情報を受信するサーバと、そのサーバと通信可能なパソコンとを構成要素としている。これにより、農作物の栽培者は、自己が使用するビニールハウスの室内温度や湿度等の環境値を遠隔で、具体的には自宅に居ながらにしてパソコンで閲覧することによって、監視することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−296865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ビニールハウス等の農業ハウスや屋外農場等、農作物の栽培地では、農作物の育成のために散水を行なう必要があったり、雨水が降り込んできたりする場合もある。散水や雨等により、農作物の栽培地に設置されている温度や湿度等の環境値を測定するセンサの感知部に水がかかって濡れたりする(水滴が付着する)と、計測誤差が生じ、正確な温度や湿度等の環境値を測定することができない。このような誤差が生じると、上記のような監視システムによって、せっかく温度や湿度等の環境を監視しているにもかかわらず、農作物の生育に悪影響を及ぼすおそれが生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数が少なく簡易な構成で、散水や雨等の影響によって生じる計測誤差を防止し、農作物の栽培地における温度や湿度等の環境値を正確に計測することが可能な環境監視装置及び環境監視装置用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の環境監視装置によれば、環境値測定用のセンサと、前記センサを内壁面に接触しない状態で固定して収容可能な本体部であって、該本体部の側壁を貫通する第一通気口と、該第一通気口よりも下方位置に設けられ前記本体部の側壁を貫通する第二通気口とを有する本体部と、前記本体部の上方に着脱可能に取り付けられ、前記側壁よりも外側に位置して前記第一通気口を覆うフード部と、
前記本体部の底面に、外部と連通する排水口と、該排水口に向けて形成されたテーパ部と、を備え、前記センサは、前記本体部の内部において前記第二通気口の位置よりも上方位置に固定されたこと、により解決される。
【0008】
上記構成のように、高さの異なる位置に設けられた第一通気口と第二通気口とによって本体部内部の空気の流れを確保し、本体部内外の空気の温度差をなくしつつ、側壁よりも外側の位置にてフード部により上方の第一通気口を通気可能な状態を保持したまま覆うことにより、散水や雨等により環境監視装置に水がかかったとしても、上方の第一通気口はフード部により少なくとも上及び横方向からは水がかからないように覆われているので、その第一通気口から本体部内部への水の浸入を防ぐことができる。そのため、本体部内部に収容されているセンサの感知部の水濡れを好適に防止し、温度や湿度等の環境値を正確に計測することができる。
また、仮に、フード部により覆っていない下方の第二通気口から本体部内部に水が入り込んだとしても、センサは第二通気口よりも上方位置にて固定されているので、センサの感知部は水に濡れることなく、温度や湿度等の環境値を正確に計測することができる。
【0010】
上記構成のように、本体部の底面に排水口を設け、その排水口に向けてテーパ部を形成することにより、地面からの輻射熱を好適に防止しつつ、第二通気口から本体部内部に水が入り込んだ場合であってもその水を効率的に排水することができ、本体部内部に収容されているセンサの感知部の水濡れを好適に防止し、温度や湿度等の環境値をより正確に計測することができる。
【0011】
また、本発明の環境監視装置は、前記本体部は、前記第一通気口及び前記第二通気口をそれぞれ複数有し、前記第一通気口の数は前記第二通気口の数よりも少なく、各々の前記第一通気口の開口面積は各々の前記第二通気口の開口面積よりも大きいこと、が好適である。
【0012】
上記構成のように、第一通気口及び第二通気口を複数形成し、第一通気口の一個あたりの開口面積を第二通気口の一個あたりの開口面積よりも大きくすることにより、本体部内部での空気の流れがよりスムーズになるので、本体部内外の空気の温度差をさらに小さくすることができ、温度や湿度等の環境値をより正確に計測することができる。
【0013】
また、本発明の環境監視装置は、前記本体部の内部に、前記センサが測定した測定データを外部と通信可能な無線機器を収容したこと、が好適である。
【0014】
上記構成のように、本体部内部の水に濡れない位置に、センサが測定した測定データを外部と通信可能な無線機器を収容することにより、配線設備を用意しなくても、測定データを外部(サーバやその他の通信端末等)に送信することが可能となる。そのため、使い勝手が向上すると共に低コストで正確な温度や湿度等の環境値を遠隔で確認することができる。
【0015】
また、本発明の環境監視装置は、前記センサは、温度及び湿度のうちの少なくとも一つを前記環境値として測定すること、が好適である。
【0016】
上記構成のように、環境値として、具体的に温度及び湿度のうち少なくとも一つを測定することにより、農作物の十分な育成のための環境管理を適正に行うことができる。
【0017】
また、前記課題は、本発明の環境監視装置用容器によれば、環境値測定用のセンサを内壁面に接触しない状態で固定して収容可能な筐体からなる環境監視装置用容器であって、前記筐体の側壁を貫通する第一通気口と、該第一通気口よりも下方位置に設けられ前記筐体の側壁を貫通する第二通気口とを有する本体部と、前記本体部の上方に着脱可能に取り付けられ、前記側壁よりも外側に位置して前記第一通気口を覆うフード部と、
前記本体部の底面に、外部と連通する排水口と、該排水口に向けて形成されたテーパ部と、を備え、前記センサを前記本体部の内部において前記第二通気口の位置よりも上方位置で固定すること、により解決される。
【0018】
上記構成のように、環境測定用のセンサを収容する容器を、高さの異なる位置に設けられた第一通気口と第二通気口とによって本体部内部の空気の流れを確保し、本体部内外の空気の温度差をなくしつつ、側壁よりも外側の位置にてフード部により上方の第一通気口を通気可能な状態を保持したまま覆うことにより、散水や雨等により環境監視装置に水がかかったとしても、上方の第一通気口はフード部により少なくとも上及び横方向からは水がかからないように覆われているので、その第一通気口から本体部内部への水の浸入を防ぐことができる。そのため、本体部内部に収容されているセンサの感知部の水濡れを好適に防止し、温度や湿度等の環境値を正確に計測することができる。
また、仮に、フード部により覆っていない下方の第二通気口から本体部内部に水が入り込んだとしても、センサは第二通気口よりも上方位置にて固定されているので、センサの感知部は水に濡れることなく、温度や湿度等の環境値を正確に計測することができる。
【0020】
上記構成のように、本体部の底面に排水口を設け、その排水口に向けてテーパ部を形成することにより、地面からの輻射熱を好適に防止しつつ、第二通気口から本体部内部に水が入り込んだ場合であってもその水を効率的に排水することができ、本体部内部に収容されているセンサの感知部の水濡れを好適に防止し、温度や湿度等の環境値をより正確に計測することができる。
【0021】
また、本発明の環境監視装置用容器は、前記本体部は、前記第一通気口及び前記第二通気口をそれぞれ複数有し、前記第一通気口の数は前記第二通気口の数よりも少なく、各々の前記第一通気口の開口面積は各々の前記第二通気口の開口面積よりも大きいこと、が好適である。
【0022】
上記構成のように、第一通気口及び第二通気口を複数形成し、第一通気口の一個あたりの開口面積を第二通気口の一個あたりの開口面積よりも大きくすることにより、本体部内部での空気の流れがよりスムーズになるので、本体部内外の空気の温度差をさらに小さくすることができ、温度や湿度等の環境値をより正確に計測することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、部品点数が少なく簡易な構成で、散水や雨等の影響によって生じる計測誤差を防止し、農作物の栽培地における温度や湿度等の環境値を正確に計測することが可能な環境監視装置及び環境監視装置用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る環境監視装置の分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る環境監視装置の要部断面図である。
【
図4】本発明に係る環境監視装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について図面を参照しながら説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも本発明の理解を容易にするための一例にすぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0026】
まず、本実施形態に係る環境監視装置10の構成について説明する。
図1は、環境監視装置10を構成部材ごとに分けて示した分解斜視図である。
図2は、環境監視装置10の斜視図である。
図3及び
図4は、環境監視装置10の要部断面図である。
【0027】
図1に示すように、環境監視装置10は、主として、温度や湿度等の環境値を測定するセンサ11と、センサ11を内部に収容可能な筐体である本体部12と、本体部12の上方に取り付けられる傘状のフード部13と、本体部12の上方開口部を塞ぐと共にセンサ11の位置決めを行う蓋部14と、から構成されている。
なお、本実施形態においては、本体部12、フード部13及び蓋部14が、環境監視装置用容器に相当する。
【0028】
センサ11は、温度や湿度等の環境値を測定し、その測定結果をデジタルデータに変換して出力することにより、データ通信が可能な従来既知の温湿度トランスミッターである。センサ11は、主に、空気に触れて温度や湿度を検知する感知部15と、その感知部15に接続されたケーブル16と、ケーブル16の途中に配された硬質ポリ塩化ビニル管から成る継手17と、センサ11の位置を固定する筒状のガイド18と、から構成されている。
なお、環境値とは、空気に触れることにより測定することができる環境に関する指標値のことであり、温度や湿度の他、気圧や二酸化炭素濃度等を測定することとしてもよい。
また、本実施形態では、環境値測定用のセンサとして温度及び湿度の双方を測定することが可能なセンサ11を取り挙げたが、これに限定されるものではなく、温度測定用のセンサと湿度測定用のセンサとを別々に用いることとしてもよいし、いずれか一方のセンサであってもよい。また、温湿度を測定できるセンサと共に又はそれに代えて、気圧や二酸化炭素濃度等を測定できるセンサを用いることとしてもよい。
【0029】
本体部12は、その内部にセンサ11を収容することができる空間を有する円筒形状の筐体である。本体部12の材質や色は特に限定されないが、本体部12内外の空気の温度差や湿度差がなるべく少なくなるように、本実施形態では、熱伝導性の低い木材により制作され、放射熱をなるべく遮断できるよう外表面は白色に塗装されている。
なお、本実施形態では、本体部12の形状を円筒形状としたが、これに限定されるものではなく、内部にセンサ11を内壁に接触しない状態で収容できる形状であればよい。例えば、中空状の四角形等、多角形の角柱形状であってもよい。
【0030】
本体部12の側面には、本体部12の側壁を貫通して本体部12の内側と外側とを連通させる二種類の通気口(第一通気口19、第二通気口20)が、高さの異なる位置に形成されている。第一通気口19は、本体部12の上方部分に複数形成されており、第二通気口20は、その第一通気口19よりも相対的に下方位置に複数形成されている。また、第一通気口19及び第二通気口20は、開口の形状が円形の貫通穴により構成されており、各々の第一通気口19の開口面積は、各々の第二通気口20の開口面積よりも大きい。また、第一通気口19の数は、第二通気口20の数よりも少なく設定されている。
このように、上記構成の第一通気口19と第二通気口20とによって本体部12内部における空気の流れが確保されている。
なお、第一通気口19及び第二通気口20は、本体部12の側壁を貫通して本体部12の内側と外側とを連通させるものであれば、形状は問わず、例えば、スリット等であってもよい。また、第一通気口19と第二通気口20の開口の形状の異同は問わず、その大きさも同じであってもよいし、どちらか一方が大きくてもよい。
【0031】
本体部12は、上方向は開口しているが、下方向は閉鎖されている。ただし、底面の略中央部分には、外部と連通する排水口22が設けられている。また、その排水口22の周囲にはテーパ部21が形成されており、排水口22のある略中央部分が相対的に低い位置となっている。また、テーパ部21には水を排水口22に導く不図示の仕切り等を設けてもよい。
上記構成により、地面からの輻射熱を防止して本体部12内部の温度が上昇することを防ぐと共に、排水口22により本体部12内部に入り込んだ水を効率的に外部に排水することができる。
【0032】
フード部13は、本体部12の上方に着脱可能に取り付けられる裾広がりの傘状の部材である。このフード部13も本体部12と同様、熱伝導性の低い木材によって制作されている。フード部13の外形は、本体部12の外形よりもやや広く設定されており、具体的には、フード部13の直径は、本体部12の直径よりも大きく設定されている。フード部13の略中央部分には、センサ11を貫通させるための貫通穴23が上下方向に形成されている。
【0033】
蓋部14は、本体部12の上方に着脱可能に取り付けられ、本体部12の開口部を塞ぐ板状の部材である。蓋部14の外形は、本体部12の外周形状と合致しており、本実施形態では、円筒形状の本体部12に合せて、蓋部14は円形となっている。蓋部14の略中央部分には、センサ11を貫通させるための貫通穴24が上下方向に形成されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、環境監視装置10は、上記構成のセンサ11、本体部12、フード部13及び蓋部14を組み合わせることにより構成される。
具体的には、本体部12の上方開口部は、蓋部14により閉鎖され、さらにその上方には、フード部13が、蓋部14と本体部12の一部(第一通気口19が形成されている高さ位置まで)を覆うように取付けられている。フード部13と蓋部14には、それぞれの略中央部分に形成された貫通穴23,24を貫通させたセンサ11が位置決めされた状態でその貫通穴23,24よりも経大のガイド18によって固定されており、そのフード部13及び蓋部14を本体部12に取り付けることにより、センサ11の先端部分の感知部15は、本体部12内部に本体部12の内壁面に接触しない状態で収容される。
また、本体部12には、上述したように、高さの異なる位置に第一通気口19と第二通気口20が設けられているが、センサ11の感知部15は、第一通気口19よりも下方の位置であって、第二通気口20よりも上方の位置において、固定されている。
【0035】
本体部12にフード部13を取り付けることにより、本体部12に形成された第一通気口19は、そのフード部13によって、第一通気口19を密閉せず、且つ、第一通気口19とフード部13との間に適度な空隙を形成して通気可能な状態を保持した状態で、少なくとも上及び横方向から水が第一通気口19から本体部12内部に入らないように覆われている。
このように、高さの異なる位置に第一通気口19と第二通気口20の二種類の通気口を備え、第一通気口19と第二通気口20との間で空気の流れを生じさせることにより、本体部12内部に空気を取り入れ、且つ、空気を流動させることができるので、本体部12の内側と外側との空気の温度差は殆どない状態となる。また、第一通気口19は、フード部13により通気可能な状態で覆われているので、本体部12内部の空気の流れを確保したまま、少なくとも上及び横方向からの本体部12内部への水の浸入を防止することができる。
このとき、センサ11は、第一通気口19よりも下方位置であって第二通気口20よりも上方位置にて固定されているので、本体部12内部で流動する空気の温度を最適な位置で測定することができるうえ、センサ11の感知部15が水に濡れることがない。
【0036】
また、本体部12は、底面を閉鎖したことにより、地面等下方から熱が上昇してきて本体部12内部の温度が上昇することを防止しつつ、底面の略中央部分に設けた排水口22から、第二通気口20から本体部12内部に水が入り込んだ場合であってもその水を排水する。このとき、センサ11は、第二通気口20よりも上方位置にて固定されているので、センサ11の感知部15が水に濡れることはない。
【0037】
このように、本実施形態の環境監視装置10は、部品点数も少なく、コンパクト且つ簡易な構成でありながらも、本体部12内部の空気の流動性を確保して、本体部12内外の温度差をなくしつつ、本体部12内部に収容されたセンサ11の感知部15は水濡れしない構成であるので、散水や雨等の影響によって生じる計測誤差を防止することができる。
【0038】
また、
図4に示すように、上記の実施形態における環境監視装置10には、本体部12の下方に、環境監視装置10を支持する三脚や土台等の脚部25を一体に備えることもできる。本実施形態の環境監視装置10は、不図示のワイヤー等により上方から垂直又はやや斜めに吊り下げて設置するか、又は、地面等に置いて設置することにより使用するが、脚部25を備えることにより、環境監視装置10を地面等に置いて使用する場合であっても、安定して設置することができる。
【0039】
さらに、
図4に示すように、上記の実施形態における環境監視装置10には、本体部12内部の水に濡れない位置に、センサ11が測定した測定データを外部と通信可能な無線機器26を収容することもできる。これにより、配線設備を用意しなくても、測定データを外部(サーバやその他の通信端末等)に送信することが可能となる。そのため、使い勝手が向上すると共に、より低コストで正確な温度や湿度等の環境値を遠隔で確認することができる。
【0040】
ここで、環境監視装置10の具体的な使用態様について説明する。
上記構成の環境監視装置10は、不図示の環境監視システムに組み込まれて使用されるものであり、具体的には、本実施形態に係る環境監視装置10は、インターネットや3G回線等の通常回線、VPN(仮想プライベートネットワーク)、又はその他の専用回線等から構成される外部通信網を通じて、遠隔地にあるビニールハウス等の農作物の栽培地の環境値を監視する農作物の栽培者の通信端末と通信可能であり、それらの通信端末(又はサーバ等でもよい)に定期的又は所定のタイミングでセンサ11による測定結果を示すデータを送信するものである。
これにより、農作物の栽培者は、自己の通信端末を通じて、農作物の栽培地の温度や湿度等の環境値を離れた場所において、リアルタイムで容易に確認することが可能となる。しかも、本実施形態では、散水や雨等によって環境監視装置10に水がかかったとしても、センサ11の感知部15には水滴は付かず濡れないので計測誤差も生じず、農作物の栽培地における温度や湿度等の環境値を正確に計測することができる。そのため、遠隔地にいる農作物の栽培者は、環境値に関する正確な情報を入手することができ、適正な環境下において農作物の十分な育成を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 環境監視装置
11 センサ
12 本体部
13 フード部
14 蓋部
15 感知部
16 ケーブル
17 継手
18 ガイド
19 第一通気口
20 第二通気口
21 テーパ部
22 排水口
23 貫通穴
24 貫通穴
25 脚部
26 無線機器