【実施例】
【0050】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0051】
作製した実施例1〜12及び比較例1〜11の概要を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
(メカニカルアロイング法での金属ガラス生成確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程がメカニカルアロイング法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることを確認するため、以下の実験を行った。
【0054】
表1の実施例1に記載のとおり、Ca
45Mg
25Zn
30混合金属粉末を、メカニカルアロイング装置(株式会社レッチェ製、遊星型ボールPM100型)にて合金化処理を行った。容器の回転速度は250rpm、固相反応時間は15時間であった。
また、比較例1に記載の合金化を行わないCa
45Mg
25Zn
30混合金属粉末を、比較のために用いた。
【0055】
図5に、Ca
45Mg
25Zn
30混合金属粉末(比較例1)及びメカニカルアロイング法で作製したCa
45Mg
25Zn
30金属ガラス合金粉末(実施例1)のX線回折パターンを示した。X線回折装置は、株式会社リガク製UltimaIIIを使用した。メカニカルアロイング法で合金化処理を行ったCa
45Mg
25Zn
30混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
また、
図6に、実施例1に記載のメカニカルアロイング法で作製したCa
45Mg
25Zn
30金属ガラス合金粉末(実施例1)の走査型電子顕微鏡写真を示す。
図6より、該金属ガラス合金粉末は均質な形状を有することが確認された。
【0056】
(鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法での金属ガラス生成確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程が鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることを確認するため、以下の実験を行った。
【0057】
表1の実施例2に記載のとおり、Ca
45Mg
25Zn
30混合金属粉末を、まず銅鋳型鋳造法で合金化した。銅鋳型鋳造法では、高周波溶解炉及び高周波誘導加熱装置にて、BNるつぼを使用し、真空とArガス雰囲気下、20Aで溶解後、30Aで5分間加熱しCa
45Mg
25Zn
30混合金属粉末を高周波溶解後、直径15mmの銅鋳型に鋳造し、直径15mm/長さ30〜40mmのインゴットを作製した。
次に、メカニカルアロイング法で、作製した上記インゴットを刻んでボールミリングし、Ca
45Mg
25Zn
30金属ガラス合金粉末を作製した。ボールミル用ステンレスボールとインゴットの質量比は10:1とし、容器の回転速度は250rpm、固相反応時間は15時間であった。
また、表1の実施例11に記載のCa
55Mg
30Zn
15混合金属粉末も、実施例2と同様に、鋳造し、インゴットを作製し、メカニカルアロイング法でCa
55Mg
30Zn
15金属ガラス合金粉末を作製した。ただし、メカニカルアロイング法での固相反応時間は30時間であった。
さらに、表1の実施例12に記載のCa
55Mg
10Zn
35混合金属粉末も、実施例2と同様に、鋳造し、インゴットを作製し、メカニカルアロイング法でCa
55Mg
10Zn
35金属ガラス合金粉末を作製した。メカニカルアロイング法での固相反応時間は、実施例2と同じ15時間であった。
【0058】
図7Aに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa
45Mg
25Zn
30金属ガラス合金粉末(実施例2)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa
45Mg
25Zn
30混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
図7Bに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa
55Mg
30Zn
15金属ガラス合金粉末(実施例11)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa
55Mg
30Zn
15混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
図7Cに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa
55Mg
10Zn
35金属ガラス合金粉末(実施例12)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa
55Mg
10Zn
35混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
実施例2、11及び12より、金属組成の異なるカルシウム系混合金属粉末であっても、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となることが分かった。
【0059】
(鋳造法での金属ガラス生成有無の確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程が鋳造法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっているか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【0060】
表1の比較例2に記載のとおり、Ca
65Mg
15Zn
20混合金属粉末を、銅鋳型鋳造法で合金化した。銅鋳型鋳造法では、高周波溶解炉及び高周波誘導加熱装置にて、BNるつぼを使用し、真空とArガス雰囲気下、20Aで溶解後、30Aで5分間加熱しCa
65Mg
15Zn
20混合金属粉末を高周波溶解後、直径15mmの銅鋳型に鋳造し、直径15mm/長さ30〜40mmのインゴットを作製した。
【0061】
図8に、鋳造法で作製したCa
65Mg
15Zn
20合金(インゴット、比較例2)のX線回折パターン示す。鋳造法で合金化処理を行ったCa
65Mg
15Zn
20混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有さないことが確認できた。
【0062】
(焼結温度による金属ガラスの結晶化の確認)
本発明の合金化した混合金属粉末(金属ガラス合金粉末)を焼結する工程が放電プラズマ焼結法である場合に、焼結温度によって金属ガラス合金成形体が結晶化しているか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【0063】
表1の実施例3〜5及び比較例4〜5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体を作製した。ガスアトマイズ法は、ガスアトマイザー(株式会社真壁技研製、小型ガスアトマイズ装置型番VF−RQP200)を用い、温度約650K、Arガス噴射圧力約8MPaの条件に設定された。放電プラズマ焼結法は、放電プラズマ焼結装置(SPSシンテックス株式会社製SPS−3.20MK−IV)を用い、53μm以下のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度120〜160℃の条件に設定された。
【0064】
図9A〜Fに、焼結前のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末(比較例3)及び焼結温度ごとのCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体(実施例3〜5及び比較例4〜5)のX線回折パターンを示す。
焼結温度が140℃までは金属ガラスの性質を有したままであることが認められたが、焼結温度が150℃以上になると金属ガラスの結晶化を示すピークが確認された。よって、本発明のカルシウム系金属ガラス合金成形体製造における焼結温度は、140℃が最適であることが分かった。
【0065】
(Fe結晶粒子分散型Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体の作製試験−1−)
本発明の合金化する工程と、合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、Fe結晶粒子を分散させる工程を加えた場合に、カルシウム系金属ガラス合金成形体の金属ガラスとしての性質に影響を与えるか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【0066】
表1の実施例6〜9及び比較例6〜9に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、粒径が3〜5μmのFe結晶粒子を5〜20体積%分散させ、焼結前の試料(比較例6〜9)及び焼結温度140℃で焼結した試料(実施例6〜9)を作製した。
【0067】
図10A〜Hに、Fe結晶粒子5〜20体積%を分散させた、Fe結晶粒子分散型Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末の焼結前後のX線回折パターンを示す(A:比較例6、B:実施例6、C:比較例7、D:実施例7、E:比較例8、F:実施例8、G:比較例9、H:実施例9)。
Fe結晶粒子分散型Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末の焼結前後で、いずれの体積分率で分散したものであっても、カルシウム系金属ガラス合金成形体の金属ガラスとしての性質には変化がほとんどないことが分かった。
【0068】
(焼結温度による金属ガラス合金成形体の圧縮強度)
本発明の合金化した混合金属粉末(金属ガラス合金粉末)を焼結する工程が放電プラズマ焼結法である場合に、焼結温度による金属ガラス合金成形体の圧縮強度を測定するため、以下の実験を行った。
【0069】
表1の実施例3〜5及び比較例4〜5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度120〜160℃でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、53μm以下のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度120〜160℃の条件に設定された。
【0070】
比較試料として、表1の比較例2に記載のCa
65Mg
15Zn
20混合金属粉末を銅鋳型鋳造法で合金化した試料を用いた。
【0071】
比較のため、表1の比較例10に記載の、純チタン試料を用いた。
【0072】
実施例3〜5及び比較例2、4〜5の試料についての圧縮試験は、幅2mm、厚み2mm、高さ4mmの四角柱形状の測定片を作製し、汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用い、一軸加圧下で5×10
-4mm/sの初期歪み速度に対応する一定のクロスヘッド速度で、圧縮強度と歪みとの関係を測定することで行った。
比較例10の試料についての圧縮試験は、直径1.48mm、高さ3.78mmの試料サイズについて、上記汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用いて同様に行った。
【0073】
図11A〜E(実施例3〜5、比較例4〜5)、
図12(比較例2)、
図14(比較例10)に、圧縮試験結果を示す。
【0074】
圧縮試験結果に基づき、各試料の圧縮強度を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
表2の実施例3〜5が示すように、放電プラズマ焼結法における焼結温度を120〜140℃に設定して製造されたCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末の焼結試料は、320MPa以上の圧縮強度を有することが分かった。
一方、比較例4が示すように、放電プラズマ焼結法における焼結温度を150℃にして製造されたCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末の焼結試料は、300MPaより低い圧縮強度しか有さないことが分かった。
また、比較例2が示すように、合金化工程が鋳造法で製造されたCa
65Mg
15Zn
20合金粉末の焼結試料は、さらに低い圧縮強度(118MPa)しか有さないことが分かった。
なお、生体吸収医療材料の開発において、機械的強度のメルクマールとされるチタンは、比較例10が示すように、圧縮強度が436MPaであった。
【0077】
つまり、鋳造法で製造されるCa
65Mg
15Zn
20合金(比較例2)の圧縮強度が118MPaと医療用材料の機械的強度として極めて不十分であったのに対し、本発明で製造されるCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体(実施例3〜5)の圧縮強度は、チタンの機械的強度にかなり近づいたものであることを示している。
なお、現在生体材料として開発が進められているポリ乳酸の圧縮強度は、74MPa程度である(非特許文献3等参照)。
【0078】
(Fe結晶粒子分散型Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体の作製試験−2−)
本発明の合金化する工程と、合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、Fe結晶粒子を分散させる工程を加えた場合の圧縮強度を確認するため、以下の実験を行った。
【0079】
表1の実施例6〜9に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を5〜20体積%分散させ、焼結温度140℃で焼結した試料(実施例6〜9)を作製した。
【0080】
比較のため、表1の比較例10に記載の、純チタン試料を用いた。
【0081】
実施例6〜9の試料についての圧縮試験は、幅2mm、厚み2mm、高さ4mmの四角柱形状の測定片を作製し、汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用い、一軸加圧下で5×10
-4mm/sの初期歪み速度に対応する一定のクロスヘッド速度で、圧縮強度と歪みとの関係を測定することで行った。
比較例10の試料についての圧縮試験は、直径1.48mm、高さ3.78mmの試料サイズについて、上記汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用いて同様に行った。
【0082】
図13A〜D(実施例6〜9)、
図14(比較例10)に、圧縮試験結果を示す。
【0083】
圧縮試験結果に基づき、各試料の圧縮強度を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
表2の実施例5(Fe結晶粒子の分散がない試料)と比較し、表3の実施例6〜9が示すように、Fe結晶粒子を分散させることにより圧縮強度が上がり、機械的強度が向上していることが分かる。
また、本発明で製造されるFe結晶粒子分散型Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体(実施例6〜9)は、その圧縮強度から、本発明の製造方法で製造されるFe結晶粒子が分散されていない金属ガラス合金成形体に比べ、チタンの機械的強度にさらに近づいたものであることを示している。
【0086】
(ビッカース硬さ試験)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりビッカース硬さ試験を行った。
【0087】
表1の実施例3〜5、比較例4、5、2、10に記載の試料についての硬さ測定には、株式会社ミツトヨ製Micro WiZhard HM−211型微小硬さ試験機を用いた。
ビッカース硬さ試験の結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
表4で示されるように、本発明で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は、メルクマールのチタンに比べて、有意に硬いことが分かる。
【0090】
(SBF浸漬試験−1−)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりSBF浸漬試験を行った。
【0091】
表1の実施例10に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、粒径53〜150μmのCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度95℃の条件に設定された
【0092】
直径15mmの型で成形され、切削された実施例10のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体は、37℃の条件下、前述した組成のSBF(疑似体液)に浸漬され、該金属ガラス合金成形体の質量減少を測定することにより、分解率を算出する。
【0093】
図15及び表5に実施例10のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体の質量減少の経時変化を示す。
【0094】
【表5】
【0095】
図15及び表5に示すように、SBF浸漬試験において、浸漬開始時の質量に対し、浸漬3日目には90%以上の質量減少が見られた。
また、
図16に実施例9のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体のSBF浸漬前後の写真を示す。浸漬6日目には該金属ガラス合金成形体はほぼ全て溶けていることが分かった。
【0096】
(SBF浸漬試験−2−)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりSBF浸漬試験を行った。
【0097】
表1の実施例5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、53μm以下のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度140℃の条件に設定された
【0098】
比較試料として、表1の比較例11に記載のとおり、銅鋳型鋳造法でCa
65Mg
15Zn
20合金を作製した。
【0099】
実施例5及び比較例11の試料について、SBF浸漬試験を行った。直径15mmの型で成形され切断機で切削された試料を、37℃の条件下、SBF中に紐で吊るして浸漬し、該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量減少を一時間ごとに測定して分解率を割り出した。
【0100】
図17及び表6に実施例5のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体及び比較例11のCa
65Mg
15Zn
20鋳造合金について、SBF浸漬試験の質量減少率の経時変化を示す。
【0101】
【表6】
【0102】
Ca
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体(実施例5)は、浸漬後3時間における質量減少が浸漬開始時に対し24%、浸漬後6時間における質量減少が浸漬開始時に対し33%であった。一方、Ca
65Mg
15Zn
20鋳造合金(比較例11)は、浸漬後3時間における質量減少が浸漬開始時に対し51%、浸漬後6時間における質量減少が浸漬開始時に対し70%であった。
つまり、本発明の製造方法で製造される金属ガラス合金成形体は、鋳造合金に比べ、吸収が徐々に起こることが分かった。
【0103】
(金属ガラス合金成形体の厚みと合金化工程に関する検討)
同じ金属組成Ca
65Mg
15Zn
20であり、同じ試料直径15mm、同じ試料長さ40mmであるが、鋳造法で作製したCa
65Mg
15Zn
20合金(インゴット、比較例2)と、ガスアトマイズ法及び放電プラズマ焼結法で作製したCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体(実施例5)の結果を比較し、金属ガラス合金成形体の厚みに関して検討を行った。
比較例2のCa
65Mg
15Zn
20合金は、X線回折スペクトル(
図8)から金属ガラスの性質を有していないこと、圧縮試験結果(
図12)から300MPaより低い圧縮強度しか有さないこと、ビッカース硬さ試験の結果(表4)からビッカース硬さが120HV以上でないことが確認でき、本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体に適さないことが分かる。
一方、実施例5のCa
65Mg
15Zn
20金属ガラス合金成形体は、X線回折スペクトル(
図9D)から金属ガラスの性質を有すること、圧縮試験結果(
図11C)から300MPaより高い圧縮強度を有すること、ビッカース硬さ試験の結果(表4)からビッカース硬さが120HV以上であることが確認でき、本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体に適することが分かる。
すなわち、円柱状の金属ガラス合金成形体の直径が15mm以上、すなわち、成形体の内部に成形体の表面の全ての部分からの最短距離が7.5mm以上となる領域を含むような大きな塊であると、鋳造法では金属ガラス合金生体材料に適さないことが分かる。本検討結果は、非特許文献4〜6に記載の試料の厚みが10mmを超えると、鋳造法では金属ガラス合金生体材料として適さないことと整合するものである。