【文献】
Magical Marble Wax (Clear Move) (ID: 233906),Mintel GNPD [online],2003年10月,URL,https://www.gnpd.com
【文献】
Clay Wax (ID: 1536176),Mintel GNPD [online],2011年 5月,URL,https://www.gnpd.com
【文献】
Voluming Hard Wax (ID: 2724647),Mintel GNPD [online],2014年10月,URL,https://www.gnpd.com
【文献】
Multi Design (ID: 793701),Mintel GNPD [online],2007年10月,URL,https://www.gnpd.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記(A)〜(D)の成分が配合され、下記(B)として少なくとも水添ポリイソブテンが配合されており、チクソトロピー性を有する水中油滴型乳化物であることを特徴とする整髪剤。
(A)少なくとも下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)および(vii)から選ばれる1種または2種以上のアクリル系増粘剤、
(i)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸のエステルと、の共重合体、
(ii)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、アクリル酸アルキルとの共重合体の架橋体、
(iii)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、アルキルカルボン酸ビニルとの共重合体の架橋体、
(iv)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびイタコン酸のエステルと、の共重合体
(v)(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、または(アクリレーツ/メタクリル酸ステアリル)コポリマー
(vi)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸のエステルと、の共重合体の架橋体、
(vii)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキル(C1−C4)よりなる群から選択される2種以上のモノマーの共重合体、
(B)液状炭化水素
(C)マイクロクリスタリンワックス
(D)アルカリ
レオメーターを使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、定常フローカーブモードにおいて測定される粘度が、せん断速度dγ/dtが0.05s−1である場合に500Pa・s以上、せん断速度dγ/dtが20s−1である場合に50Pa・s以下である請求項1〜7のいずれかに記載の整髪剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許文献1の比較例13のように、アクリル系増粘剤(その中和物)と、液状炭化水素に該当する油分と、マイクロクリスタリンワックスとを組み合わせて構成した整髪剤は、一般に剤が硬くなり、整髪後の毛髪の柔軟性を保つことが困難であったり、例えば一旦整えたスタイルが崩れたときに櫛や手櫛で再整髪しようとしても、スタイル形成がし難かったりする。
【0011】
本発明の整髪剤では、(A)アクリル系増粘剤、(B)液状炭化水素、(C)マイクロクリスタリンワックス、および(D)アルカリを配合し、チクソトロピー性を有する水中油滴型乳化物とすることで、整髪後の毛髪の柔軟性を高め得るようにして、柔らかに動く整髪性を確保し、更に優れた再整髪性の確保も可能とした。
【0012】
本発明の整髪剤は、チクソトロピー性を有していることで、室温下において、静置時には流動性を有しないジェル状外観を有する一方で、毛髪へ塗布することなどで外部応力を付加すると流動性が高まってクリーム状となり、その外部応力がなくなると再び流動性を失う。
【0013】
そのため、毛髪への塗布によって本発明の整髪剤に応力を付加すると、流動性が高まることで毛髪表面で良好に延び、毛髪の表面全体にわたって高い均質性で整髪剤を付着させることができる。そして、整髪を終えると整髪剤への応力がなくなるため、毛髪に付着した整髪剤の流動性が失われて整えた髪のスタイルが良好に維持される。また、髪のスタイルが乱れるなどした場合に櫛や手櫛などで整髪をすると、毛髪表面の整髪剤に応力がかかって流動性が高まるために容易に整髪できるようになり、更に、整髪を終えて整髪剤への応力がなくなると、整髪剤の流動性が失われるために整えた髪のスタイルが良好に維持される。これにより、本発明の整髪剤であれば、優れた再整髪性を発揮できる。
【0014】
以下には、本発明の実施形態に基づき、本発明を説明する。
【0015】
本実施形態に係る整髪剤において、(A)アクリル系増粘剤は、その名の通り増粘剤として作用する成分であり、(D)アルカリと共に配合されることによって中和されて、優れた増粘効果を奏するようになる。そして、(A)成分の中和物の作用によって、チクソトロピー性を有する整髪剤とすることができ、これによって高い再整髪性を確保できる。
【0016】
また、(A)成分と(D)成分とで形成される中和物を配合した水中油滴型乳化物において、後記の(B)成分および(C)成分を加えることで、柔らかく動く整髪性も高めることができる。
【0017】
(A)成分であるアクリル系増粘剤の具体例としては、
(i)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸のエステルと、の共重合体〔なお、上記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を少なくとも含む意味である。以下、同じ。〕;
(ii)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、アクリル酸アルキルとの共重合体の架橋体;
(iii)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、アルキルカルボン酸ビニルとの共重合体の架橋体;
(iv)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびイタコン酸のエステルと、の共重合体;
(v)アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合体;
(vi)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルよりなる群から選択される1種以上のモノマーと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(メタ)アクリル酸のエステルと、の共重合体の架橋体;
(vii)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキル(C1−C4)よりなる群から選択される2種以上のモノマーの共重合体;
(viii)アクリル酸の重合体の架橋体;
などが挙げられる。
【0018】
なお、上記(i)〜(viii)において、「アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純ステル」における「単純エステル」は、例えば、アルキル鎖長の炭素数が1〜22であるエステルが挙げられる。「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」は、例えば、炭素数12〜22の直鎖状飽和高級アルコールと、平均付加モル数15〜30のポリエチレングリコールとのモノエーテルが挙げられる。「アクリル酸アルキル」および「メタクリル酸アルキル」は、例えば、アルキル鎖長の炭素数が10〜30であるエステルが挙げられる。
【0019】
上記(i)の具体例としては、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−30)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス−25)コポリマーなどが挙げられる。
【0020】
上記(ii)の具体例としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーなどが挙げられる。
【0021】
上記(iii)の具体例としては、(アクリレーツ/イソデカン酸ビニル)クロスポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーなどが挙げられる。
【0022】
上記(iv)の具体例としては、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマーなどが挙げられる。
【0023】
上記(v)の具体例としては、(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアリル)コポリマーなどが挙げられる。
【0024】
上記(vi)の具体例としては、(アクリレーツ/メタクリル酸セテアレス−20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−20)クロスポリマーなどが挙げられる。
【0025】
上記(vii)の具体例としては、アクリレーツコポリマーなどが挙げられる。
【0026】
上記(viii)の具体例としては、カルボマーなどが挙げられる。
【0027】
これらのアクリル系増粘剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの中でも、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス−25)コポリマーとカルボマーとを併用することがより好ましい。
【0028】
整髪剤におけるアクリル系増粘剤の配合量は、整髪性をより良好にしたり、整髪剤を好適な粘度に調整したりする観点から、0.2質量%以上であることが好ましい。ただし、アクリル系増粘剤の量が多すぎると、整髪剤が硬くなって再整髪性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、整髪剤におけるアクリル系増粘剤の配合量は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
(B)成分である液状炭化水素は、少なくとも20〜50℃の温度範囲において液状であるもの(20〜50℃の温度範囲で液状であればよく、50℃以上の温度や20℃未満の温度においても液状であるものであってもよい)であり、具体的には、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワランなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、水添ポリイソブテンが好適である。
【0030】
整髪剤における液状炭化水素の配合量は、整髪後の毛髪の柔軟性を高める効果をより良好にする観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましい。また、整髪剤の整髪性をより高める観点から、15質量%以下であることが好ましい。
【0031】
更に、整髪剤において、(B)成分である液状炭化水素の配合量と(C)成分であるマイクロクリスタリンワックスの配合量との比率(質量比)「(B):(C)」は、整髪後の毛髪の柔軟性と整髪性とをよりバランスよく両立させる観点から、1:0.5〜1.5であることが好ましい。
【0032】
なお、マイクロクリスタリンワックスの整髪剤における配合量は、整髪性を高める観点から、0.3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることが更に好ましい。また、マイクロクリスタリンワックスの配合量の上限は、例えば15質量%である。
【0033】
(D)成分であるアルカリの具体例としては、アミノエチルプロパノール、トリエタノールアミンなどの有機アルカリ;アルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)などの無機アルカリ;が挙げられる。これらのアルカリは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0034】
なお、整髪剤のpHは、通常、25℃において5.0〜7.0である。よって、整髪剤におけるアルカリの配合量は、整髪剤のpHが上記の範囲となる量とすればよい。
【0035】
本実施形態に係る整髪剤は水中油滴型乳化物であり、媒体として水が配合される。整髪剤における水の配合量は、通常、40〜80質量%である。
【0036】
また、整髪剤には、油成分の乳化安定性を高めるために、(E)ノニオン界面活性剤が配合されていることが好ましい。
【0037】
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸グリセリルなどのモノ脂肪酸グリセリル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;などが挙げられる。整髪剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、通常、5質量%以下である。
【0038】
本実施形態に係る整髪剤には、上記の(A)〜(E)の成分以外にも、例えば、通常の整髪剤などの毛髪化粧料に配合されている各種の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。このような配合成分としては、例えば、高級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、(B)成分および(C)成分以外の炭化水素、ロウ、シリコーン、(A)成分以外の高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などが挙げられる。
【0039】
多価アルコールは、整髪剤の乾きの抑制のために配合することができる。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。整髪剤における多価アルコールの配合量は、通常、1〜20質量%である。
【0040】
また、整髪剤には、(B)成分以外の液状油として、少なくとも20〜50℃の温度範囲において液状のエステル油を配合することができる。このようなエステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル;カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイルなどの直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2−オクチルドデシルなどの直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピルなどの分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル;エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシルなどの分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、カプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチレンヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスチルなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル;ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、ジメチルオクタン酸2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリルなどの分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;が挙げられる。
【0041】
ただし、(B)成分以外の液状油の量が多いと、(B)成分と(C)成分の配合による本発明の効果が小さくなる虞があることから、整髪剤においては、(B)成分の配合量と(C)成分の配合量との合計〔(B)+(C)〕と、(B)成分以外の液状油の配合量(X)との比率(質量比)「〔(B)+(C)〕:(X)」が、1:0〜0.5であることが好ましい。
【0042】
なお、本実施形態に係る整髪剤にアニオン界面活性剤を配合すると、著しく粘度が低下して、整髪剤の構築自体が困難となる虞がある。よって、整髪剤におけるアニオン界面活性剤の配合量は、0.5質量%以下であることが好ましく、配合しない(配合量が0質量%)ことがより好ましい。
【0043】
また、本実施形態に係る整髪剤にカチオン界面活性剤を配合すると、(A)成分とコンプレックスを形成してしまい、整髪剤の粘度が高くならない虞がある。よって、整髪剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、0.1質量%以下であることが好ましく、配合しない(配合量が0質量%)ことがより好ましい。
【0044】
本実施形態に係る整髪剤は、チクソトロピー性といった外力が加わると流動性が高まる性質を有しており、上記の通り、室温下において、静置時には流動性を有しないジェル状外観を有するとしても、毛髪への塗布時のように外部応力を付加すると流動性が高まってクリーム状となり、その外部応力がなくなると再び流動性を失う。
【0045】
そして、本実施形態に係る整髪剤は、そのチクソトロピー性に起因して、レオメーターを用いて求められる粘度が、せん断速度dγ/dtが0.05s
−1である場合に500Pa・s以上であると良く(整髪性を高める観点からは、700Pa・s以上が好ましく、800Pa・s以上がより好ましい。)、せん断速度dγ/dtを20s
−1である場合に50Pa・s以下であると良い(延ばしやすさの観点からは、5Pa・s以上40Pa・s以下が好ましく、10Pa・s以上25Pa・s以下がより好ましい。)。すなわち、粘度が上記範囲内にある場合には、整髪剤がチクソトロピー性を有しているといえる。
【0046】
なお、本明細書でいう整髪剤の粘度は、レオメーター〔例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、定常フローカーブモードにおいて、せん断速度dγ/dtを0.05s
−1で1分間維持した後に、せん断速度dγ/dtを20s
−1で1分間維持することを5回繰り返した場合に、その5回目に測定される値を採用する。なお、5回目に測定するのは、概ね5回目で測定値が安定するからである。
【0047】
本実施形態に係る整髪剤は、例えば、(A)成分および(D)成分を配合した水相に、油相〔(B)成分、(C)成分など〕を添加することで調製することができる。
【0048】
本実施形態に係る整髪剤は、例えば、手に取って、毛髪の根元側から毛先側まで延ばして塗布する方法で使用することができる。本実施形態に係る整髪剤は、チクソトロピー性に起因して、応力が付加される毛髪への塗布時に流動性が高まるために、毛髪表面での延びが良好であることから、このような方法で毛髪に塗布しても、頭皮近くの根元側から毛先側まで高い均質性で塗布することができ、良好に整髪することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0050】
実施例1a
(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス−25)コポリマー〔(A)成分〕、カルボマー〔(A)成分〕、水添ポリイソブテン〔(B)成分〕、マイクロクリスタリンワックス〔(C)成分〕、水酸カリウム〔(D)成分〕、ステアリン酸グリセリル、べへネス−20、セテス−20、1,3−プロパンジオール、グリセリン、EDTA−2Na、フェノキシエタノール、メチルパラベンおよび香料と、水とを配合して、水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。この整髪剤における各成分の配合量は、後記の表1に記載の通りである。
【0051】
実施例1b
水添ポリイソブテンに代えてミネラルオイルを(B)成分として配合した以外は、実施例1と同様にして水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。
【0052】
比較例1a
水添ポリイソブテンに代えてエチルヘキサン酸セチルを配合した以外は、実施例1と同様にして水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。
【0053】
比較例1b
マイクロクリスタリンワックスに代えてキャンデリラロウを配合した以外は、実施例1と同様にして水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。
【0054】
比較例1c
マイクロクリスタリンワックスに代えてキャンデリラロウを配合した以外は、比較例1aと同様にして水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。
【0055】
実施例1a、1bおよび比較例1a〜1cの整髪剤のそれぞれについて、適量を手に取り、毛髪の根元側から毛先側まで延ばして塗布した後に整髪し、柔らかく動く整髪性(整髪した毛髪の柔軟性)、べたつきのなさ(整髪後の毛髪に触れたときに感じるべたつきのなさ)、毛髪に塗布したときの延び(毛髪表面上での延びのよさ)、およびセット力(整髪した際の髪の動きを留める力)を評価すると共に、整髪したスタイルを一旦崩して再度整髪したときの再整髪性(再整髪のしやすさ)を評価した。
【0056】
評価は専門の評価者3名がそれぞれ行い、いずれの評価においても、比較例1cの場合を基準として、下記評価基準に従ってクラス分けを行った。
(評価基準)
〇:3人中2人以上が基準よりよいと評価。
―:3人中2人以上が基準と同等と評価。
×:3人中2人以上が基準の方がよいと評価。
【0057】
実施例1a、1bおよび比較例1a〜1cの各整髪剤について、水と配合した各成分の配合量、剤型、pH、および上記の各評価結果を表1に示す。なお、表1における「配合量」の欄の数値の単位は「質量%」である(後記の表2、3においても同様である)。
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示す通り、(A)〜(D)の全ての成分を配合した実施例1a、1bの整髪剤は、チクソトロピー性を有しており、静置時には流動性のないジェル状外観である一方で、毛髪への塗布時には、弾力がありかつ硬さのあるクリーム状となり、(B)成分および(C)成分を配合していない比較例1cの整髪剤に比べて、柔らかく動く整髪性、毛髪表面での延び、および再整髪性が良好で、整髪後の毛髪のべたつきも抑えられていた。
【0060】
これに対し、(B)成分を配合していない比較例1aの整髪剤は、柔らかく動く整髪性、および毛髪表面での延びが劣っていた。また、(C)成分を配合していない比較例1bの整髪剤は、再整髪性およびセット力が劣っていた。
【0061】
なお、実施例1aと実施例1bに関して、柔らかく動く整髪性を比較した結果、実施例1aの方が優れていた。
【0062】
実施例2a〜2c、3a〜3c
(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス−25)コポリマー〔(A)成分〕、カルボマー〔(A)成分〕、水添ポリイソブテン〔(B)成分〕、マイクロクリスタリンワックス〔(C)成分〕、水酸カリウム〔(D)成分〕、ステアリン酸グリセリル、べへネス−20、セテス−20、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ポリビニルアルコール、1,3−ブチレングリコール、EDTA−2Na、PEG−20、シクロメチコン、ジメチコン、フェノキシエタノール、メチルパラベンおよび香料と、水とを配合して、水中油滴型乳化物の整髪剤を調製した。この整髪剤における各成分の配合量は、後記の表2、3に記載の通りである。
【0063】
実施例2a〜2c、3a〜3cの整髪剤について、実施例1などと同様にして、柔らかく動く整髪性、整髪後の毛髪のべたつきのなさ、毛髪に塗布したときの延び、再整髪性およびセット力を評価した。評価は専門の評価者3名がそれぞれ行い、実施例2a〜2cの評価においては、実施例2bの場合を基準として、実施例1などと同じ評価基準に従ってクラス分けを行った。また、実施例3a〜3cの評価においては、実施例3aの場合を基準として、実施例1などと同じ評価基準に従ってクラス分けを行った。
【0064】
実施例2a〜2c、実施例3a〜3cの各整髪剤について、水と配合した各成分の配合量、剤型、pH、および上記の各評価結果を表2、3に示す。なお、表2、3には、実施例2a〜2c、実施例3a〜3cの整髪剤における(B)成分の配合量に対する(C)成分の配合量の比率〔(C)の配合量/(B)の配合量〕も示す。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
表2、3に示す通り、実施例2a〜2c、実施例3a〜3cの整髪剤もチクソトロピー性を有しており、静置時には流動性のないジェル状外観である一方で、毛髪への塗布時には、弾力がありかつ硬さのあるクリーム状となった。
【0068】
また、表2、3の「(C)の配合量/(B)の配合量」が0.5〜1.5の範囲に入るときの「柔らかく動く柔軟性」および「再整髪性」について、その比率が0.5(実施例3c)であると低評価になる傾向が認められた。このことは、「柔らかく動く柔軟性」および「再整髪性」の評価を高めるには、「(C)の配合量/(B)の配合量」が0.5未満よりも0.5〜1.5が適していることを示す。
【0069】
また、(B)成分である水添ポリイソブテンの配合量が異なる実施例2a〜2cの各整髪剤を比較すると、水添ポリイソブテンの配合量が少なくなるに従って、整髪後の毛髪のべたつきのなさや毛髪へ塗布したときの延びが低下する一方で、セット力が向上する傾向が認められた。
【0070】
他方、(C)成分であるマイクロクリスタリンワックスの配合量が異なる実施例3a〜3cの各整髪剤を比較すると、マイクロクリスタリンワックスの配合量が少なくなるに従って、整髪後の毛髪のべたつきのなさや毛髪へ塗布したときの延びが向上する一方で、再整髪性やセット力が低下する傾向が認められた。