(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る金属空気電池の構成を示す概略断面図である。
【0030】
実施形態1に係る金属空気電池1は、電極活物質となる金属を含む金属極(負極)12と、充電正極である充電極13と、放電正極である空気極14とで構成され、筐体(電池筐体)10内において、互いに密着して平行に配置された3極方式の金属空気二次電池である。
図1に示すように、実施形態1に係る金属空気電池1では、電解液による液層は存在せず、その代わり、電解液は、金属極12、充電極13及び空気極14に湿潤した状態で浸漬されている。因みに、図中の12aは金属極集電体、14aは空気極集電体である。
【0031】
すなわち、実施形態1に係る金属空気電池1は、金属極12、充電極13、空気極14が筐体10内で密着して配置されており、各極間に電解液による液層の無い構造となっている。これにより、充放電サイクルに伴う金属極12の膨張を抑える(すなわち、体積変化しにくい)構造を実現している。
【0032】
この金属空気電池1は、例えば、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池、マグネシウム空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池などである。
【0033】
実施形態1に係る金属空気電池1では、
図1に示すように、空気極14と金属極12との間に充電極13が配置されている。そして、放電時には、空気極14と金属極12との間での放電を充電極13が阻害することなく行い、充電時には、充電極13と金属極12との間で充電を行う構成となっている。
【0034】
なお、
図1では、金属極12の両面側にそれぞれ充電極13と空気極14とを設けているが、金属極12のいずれか片側の表面にのみ充電極13と空気極14とを設ける構成であってもよい。つまり、両面、片面を問わず、金属極12、充電極13、空気極14の順に配置されていればよい。
【0035】
次に、金属空気電池1を構成する各部材について具体的に説明する。
【0036】
(筐体10の説明)
筐体10は、その内部に電解液を湿潤した金属極12、充電極13、空気極14を収納する槽である。筐体10を構成する材料は、電解液に対して耐腐食性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などである。
【0037】
筐体10は、その側面に放電反応に必要な空気を取り込むための開口部10aを備えている。また、充電時に発生するガス(酸素)を排出するための開口部を備えていてもよい。開口部10aには、湿潤している電解液の漏液を抑制するため、撥水性の多孔質シートを配置してもよい。
【0038】
(空気極14の説明)
空気極14は、空気極触媒を有しかつ放電正極となる多孔性の電極である。また、空気極14は、多孔性のガス拡散層と、ガス拡散層上に設けられた多孔性の空気極触媒層とを有していてもよい。
【0039】
空気極14では、電解液としてアルカリ性水溶液を使用する場合、空気極触媒上において電解液などから供給される水と、大気から供給される酸素ガスと、電子とが反応し水酸化物イオン(OH−)を生成する放電反応が起こる。つまり、空気極14において、酸素(気相)、水(液相)、電子伝導体(固相)が共存する三相界面において放電反応が進行する。
【0040】
[化1]
O
2 + 2H
2O + 4e
- → 4OH
-
【0041】
また、空気極14は、大気に含まれる酸素ガスが拡散できるように設けられる。例えば、空気極14は、少なくとも空気極14の表面の一部が大気に曝されるように設けることができる。
図1に示した金属空気電池1では、筐体10に開口部10aを設けており、開口部10aを介して大気に含まれる酸素ガスが空気極14中に拡散できる。なお、この開口部10aを介して空気極14に水を供給してもよい。
【0042】
空気極触媒層は、例えば、導電性の多孔性担体と、多孔性担体に担持された空気極触媒とを含んでいてもよい。これにより、空気極触媒上において、酸素ガスと水と電子とが共存する三相界面を形成することが可能になり、放電反応を進行させることができる。また、空気極触媒層は、バインダーを含んでも良く、バインダーとして撥水樹脂を含有していてもよい。撥水樹脂をバインダーとして使用することで、空気極14を介した電解液の漏洩を抑制することができる。撥水樹脂は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0043】
また、空気極触媒層とガス拡散層とから構成される空気極14は、空気極触媒を担持した多孔性担体を撥水性の多孔性基材(ガス拡散層)に塗布、あるいは、積層することにより作製されていてもよい。また、ガス拡散層は、空気極集電体として機能してもよい。この場合、ガス拡散層は、例えば、撥水樹脂により表面処理されたカーボンペーパーやカーボンクロス、あるいは、カーボンブラックと撥水樹脂からなる多孔性シートである。撥水樹脂は、電解液の漏洩を防ぐために設けられ、気液分離機能を有する。すなわち、電解液が筐体10から漏洩するのを防ぎ、かつ空気極触媒層への酸素ガスの供給を妨げない。
【0044】
一方、空気極14は、空気極触媒層、ガス拡散層に加え、空気極集電体を更に備えていてもよい。この場合、ガス拡散層は、絶縁性の多孔性撥水樹脂シートを用いることができる。また、空気極集電体としては、多孔性でかつ電子伝導性を有する材料であることが望ましい。電解液としてアルカリ性水溶液を使用する場合、耐腐食性の観点から、ニッケル、あるいは、ステンレスなどの金属素材の表面に対してニッケルメッキを施した材料を使用することが望ましい。メッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属粒子や金属繊維の焼結体、発泡金属などを使用することで空気極集電体を多孔性とすることができる。
また、空気極14は、図示しない空気極端子と電気的に接続することができる。これにより、空気極触媒層で生じた電荷を図示しない外部回路へと取り出すことができる。
【0045】
(充電極13の説明)
充電極13は、充電正極として働く多孔性の電極である。充電極13では、電解液としてアルカリ性水溶液を使用する場合、水酸化物イオン(OH−)から酸素と水と電子とが生成される反応が起こる(充電反応)。つまり、充電極13において、酸素(気相)、水(液相)、電子伝導体(固相)が共存する三相界面において充電反応が進行する。
【0046】
[化2]
4OH
- → O
2 + 2H
2O + 4e
-
【0047】
また、充電極13は、充電反応の進行により生成する酸素ガスが拡散できるように設けられる。例えば、充電極13は、少なくとも充電極の一部が外気と連通するように設けることができる。
図1に示した金属空気電池1では、筐体10の上部が外気と連通しており、充電反応の進行により生成した酸素は、多孔性の充電極13の細孔中を拡散し、筐体10の上部より、外気に排出される。
【0048】
充電極13は、多孔性でかつ電子伝導性を有する材料であることが望ましい。電解液としてアルカリ性水溶液を使用する場合、耐腐食性、充電反応に対する触媒能の観点から、ニッケル、あるいは、ステンレスなどの金属素材の表面に対してニッケルメッキを施した材料を使用することが望ましい。充電極として、メッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属粒子や金属繊維の焼結体、発泡金属などを使用することで充電極13を多孔性とすることができる。また、充電極13は、表面に充電反応を促進する触媒粒子を更に備えていてもよい。
【0049】
一方、充電極13は、充電極集電体を更に備えていてもよい。充電極集電体としては、多孔性でかつ電子伝導性を有する材料であることが望ましい。
【0050】
また、充電極13は、図示しない充電極端子と電気的に接続することができる。これにより、充電反応に必要となる電荷を図示しない外部回路から充電極13へ供給することができる。
【0051】
(金属極12の説明)
金属極(以下、金属負極ともいう。)12は、金属元素を含む活物質からなる電極であり、放電時には活物質の酸化反応が、充電時には還元反応が起こる。金属元素としては、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄などが用いられる。金属元素が亜鉛である場合、放電時には、下記の金属亜鉛の還元反応が起こる。
【0052】
[化3]
Zn + 4OH
- → Zn(OH)4
2- + 2e
-
Zn + 2OH
- → ZnO + H
2O + 2e
-
Zn + 2OH
- → Zn(OH)
2 + 2e
-
【0053】
すなわち、亜鉛が酸化した結果、電解液中にジンケートイオンとして溶解する場合と、直接酸化亜鉛や水酸化亜鉛が生成する場合とがある。なお、ここで生成したジンケートイオンは下記の化学式により酸化亜鉛や水酸化亜鉛として電解液中で析出することがある。
【0054】
[化4]
Zn(OH)
42- → ZnO + 2OH
- + H
2O
Zn(OH)
42- → Zn(OH)
2 + 2OH
-
【0055】
一方、充電時には、下記の金属亜鉛への還元反応が起こる。
【0056】
[化5]
Zn(OH)
42- + 2e
- → Zn + 4OH
-
ZnO + H
2O + 2e
- → Zn + 2OH
-
Zn(OH)
2 + 2e
- → Zn + 2OH
-
【0057】
すなわち、電解液中に溶解しているジンケートイオンの還元により亜鉛が生成する場合と、酸化亜鉛や水酸化亜鉛が直接亜鉛へと還元する場合とがある。
【0058】
以上のように、放電反応、充電反応ともに活物質(亜鉛)に加え、水酸化物イオン(OH−)が関わる反応が起こるため、金属極12は活物質と水酸化物イオン(OH−)の伝導パスとして働く電解液が効率的に接する構造でなければならない。例えば、金属極12を活物質粒子からなる多孔性の電極とすることで、活物質粒子の粒子間の空隙に電解液が浸透するため、活物質粒子と電解液との接触界面を広げることができる。また、金属極12は更にバインダーを含んでいてもよい。バインダーを含むことで、活物質同士を結着させることが可能となる。
【0059】
また、活物質は、還元状態の金属であってもよいし、酸化状態の金属であってもよい。い金属元素が亜鉛である場合、還元状態では金属亜鉛、酸化状態では酸化亜鉛である。
【0060】
一方、金属極12は、金属負極集電体を更に備えていてもよい。金属負極集電体としては、多孔性でかつ電子伝導性を有する材料であることが望ましい。自己腐食抑制の観点から水素過電圧の高い材料、もしくは、ステンレスなどの金属素材の表面に対して水素過電圧の高い材料によるメッキを施した材料を使用することが望ましい。メッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属粒子や金属繊維の焼結体、発泡金属などを使用することで、金属負極集電体を多孔性とすることができる。
【0061】
また、金属極12は、図示しない金属負極端子と電気的に接続することができる。これにより、金属極12で消費/生成する電荷を図示しない外部回路へ授受できる。
【0062】
(電解液の説明)
電解液は、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する液体である。電解液の種類は、金属電極に含まれる電極活物質の種類によって異なるが、水溶媒を用いた電解液(電解質水溶液)であってもよい。
【0063】
例えば、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池の場合、電解液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を用いることができ、マグネシウム空気電池の場合、電解液には塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0064】
電解液には、電解質以外の有機添加物や無機添加物が添加されても良く、高分子添加物によりゲル化されていてもよい。
【0065】
以上で、筐体10、空気極14、充電極13、金属極12、及び電解液の説明を終了する。
【0066】
上記したように、実施形態1に係る金属空気電池1は、金属極12、充電極13、空気極14が筐体10内で密着して配置されており、各極間に電解液による液層の無い構造となっている。そのため、このままでは充電反応によって発生した酸素ガスを抜く経路が確保されないことになる。そこで、実施形態1では、発生した酸素ガスを抜く経路を確保するように、充電極13の構造を工夫している。
【0067】
(実施形態1に係る充電極13の構造の説明)
図2は、実施形態1に係る充電極13の部分(
図1中符号Dで示す部分)を拡大して示す概略断面図、
図3は、
図2のA−A線断面図である。ただし、
図2及び
図3では、特に、充電極13の領域について、多孔質で形成される孔の断面を模式的に示している。
【0068】
実施形態1では、充電極13は、金属極12との間で充電反応を促進する充電領域13aと、充電反応によって発生したガス(酸素)を排出する排出領域13bとを備えている。より具体的に説明すると、充電領域13aは、多数の微細な孔を有する第1部材によって形成され、排出領域13bは、多数の微細な孔を有する第2部材によって形成されている。すなわち、実施形態1では、充電極13は、充電領域(以下、第1部材という。)13aと排出領域(以下、第2部材という。)13bの2層構造となっている。そして、第2部材13bの孔の孔径(より詳細には孔の断面積)は、第1部材13aの孔の孔径(より詳細には孔の断面積)より大きくなるように構成している点が本発明のポイントである。
【0069】
すなわち、第1部材13aは、金属極12との間で充電反応を促進する領域であるため、電極面に対して均一に充電反応が行えるように緻密な孔とする必要がある。一方、第2部材13bは、充電反応によって発生した酸素ガスを排出する領域であるため、酸素ガスの気泡Bが孔内を通って上方に抜けて行くように、ある程度目の荒い孔とする必要がある。
【0070】
また、第1部材13aの孔は、充電反応を促進する領域であるため、第1部材13aが接触する金属極12の接触表面に対して少なくとも直交する方向(
図2では横方向)に開口(連通)し、第2部材13bの孔は、酸素ガスを搬出する領域であるため、金属極12の接触表面に対して直交する方向(
図2では横方向)及び平行な方向(
図2では上下方向及び紙面に対して前後方向)を含む三次元方向に開口(連通)するように形成する。具体的には、第1部材13a及び第2部材13bは、上記したように、多孔性でかつ電子伝導性を有する材料(例えば、発泡金属(多孔質金属)等)で形成することができる。
【0071】
ただし、第2部材13bについては、放電反応に寄与する必要はないので、金属材料でなくても、例えば絶縁体の多孔質の材料を使用することが可能である。
【0072】
また、第1部材13aについては、孔は横方向(一次元方向)に開口(連通)していればよいので、例えば、メッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属粒子や金属繊維の焼結体、発泡金属などを使用することが可能である。これらの材料によって、充電反応に適した均一で微細(緻密)な孔を形成することができる。
【0073】
(孔の大きさについての検証)
ここで、本発明者らは、第1部材13a及び第2部材13bのそれぞれの孔の大きさについて検証を行った。ここで、孔の大きさとは、孔の断面の面積のことであるが、この検証では孔の断面形状を円形状に近似し、そのときの円の径(直径)についての検証を行った。
【0074】
その結果、第1部材13aの孔の孔径Daは、50μm〜1mm、より好ましくは80μm〜500μmであることが好ましいことを確認した。同様に、第2部材13bの孔の孔径Dbは、800μm〜5mm、より好ましくは1mm〜2mmであることが好ましいことを確認した。その理由は以下の通りである。
【0075】
すなわち、第1部材13aの孔の孔径Daが1mmより大きい場合、充電時に、孔以外の領域に充電電流が集中するため電極面内の反応が不均一となってサイクル寿命が低下するといった問題や、第1部材13aの比表面積が小さくなる結果、充電反応に必要な反応面積を十分に確保できないため、充電効率が低下するといった問題がある。一方、第1部材13aの孔の孔径Daが50μmより小さい場合、充電反応で生成した酸素ガスの気泡Bが孔内にトラップされ、排出されず、充電/放電時のイオン伝導を阻害するといった問題がある。
【0076】
一方、第2部材13bの孔の孔径Dbが5mmより大きい場合、第2部材13b自体の力学的強度が不足し、充放電サイクルに伴い負極である金属極12が膨張することを抑制できず、サイクル寿命が低下するといった問題がある。一方、第2部材13bの孔の孔径Dbが800μmより小さい場合、充電反応で生成した酸素ガスの気泡Bが孔内でトラップされたまま、排出されず、ガス蓄積が生じ、充電効率が低下するといった問題がある。
【0077】
上記の結果より、第1部材13aの孔径Daは、第2部材13bの孔径Dbよりも小さいことが望ましく、第1部材13aの孔径Daに対する第2部材13bの孔径Dbの比率は、1より大きく100以下、より好ましくは、1.6〜12.5が望ましい。
【0078】
(第1部材13aと第2部材13bの厚みについての検証)
次に、本発明者らは、第1部材13aと第2部材13bの厚みについての検証を行った。
【0079】
その結果、第2部材13bの厚みTbは、第1部材13aの厚みTaより厚い構成とすることが好ましいことを確認した。具体的には、第1部材13aの厚みTaは、0.05mm〜1.0mm、より好ましくは0.1mm〜0.5mmであり、これに対する第2部材13bの厚みTbは、0.5mm〜5.0mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmであることが好ましいことを確認した。その理由は以下の通りである。
【0080】
すなわち、第1部材13aの領域では、充電反応により酸素が生成されるが、イオン伝導パスが相対的に短い充電極13近傍で酸素発生が起こる。そのため、充電極13の第1部材13aの領域の厚みTaが1.0mmより厚い場合、充電極近傍で発生した酸素が、第2部材13bの領域に到達するまでの拡散距離が長くなって、酸素ガスの蓄積が生じ、充電効率が低下するといった問題がある。一方、充電極13の第1部材13aの領域の厚みTaが0.05mmより薄い場合、充電反応に必要な反応面積を十分に確保できないため、充電効率が低下するといった問題がある。
【0081】
一方、第2部材13bの厚みTbが5.0mmより厚い場合、空気極14と金属極12との間の電極間距離が長くなるため、放電時の放電効率が落ちるといった問題や、金属空気電池1自体の厚みが大きくなるため、金属空気電池1の体積エネルギー密度が小さくなるといった問題がある。一方、第2部材13bの厚みTbが0.5mmより薄い場合、酸素ガスの排出経路の断面積が小さくなるため、酸素ガスの排出が困難となり、ガス蓄積が生じ、充電効率が低下するといった問題がある。
【0082】
上記の結果より、第1部材13aの厚みTaは、第2部材13bの厚みTbよりも小さいことが望ましく、第1部材13aの厚みTaに対する第2部材13bの厚みTbの比率は、1.0より大きく100以下、より好ましくは、2〜20が望ましい。
【0083】
<実施形態2>
実施形態1では、充電極13の第1部材13aと第2部材13bの孔径と厚みについては検証しているが、その他の構成要素については検討していない。すなわち、第1部材13a及び第2部材13bは、同じ矩形状の薄板体を2枚合せた構造として説明している。しかし、第2部材13bについては、放電反応に寄与する必要がなく、金属極12の膨張を抑制するのに十分な強度を有し、かつ、ガスの排出機能を有すればよい点に鑑みれば、孔径や厚みだけでなく、形状自体を工夫することで、ガス排出機能を高めることができる。
【0084】
そこで、実施形態2では、第2部材13bの形状に着目している。
【0085】
図4は、実施形態2に係る充電極13の斜視図、
図5は、第2部材13b側から見た平面図である。なお、
図5では、見易いように溝部に斜線を付している。
【0086】
実施形態2に係る第2部材13bは、充電反応によって発生した酸素ガスを排出する少なくとも上端部が開放された1または複数本の縦長の溝部21を有する構成としている。すなわち、第2部材13bを縦長の複数本の棒状部材13b1とし、これら棒状部材13b1を、第1部材13aの一方の面(空気極14と対向する面)に、横方向に所定の間隔を存して平行に配置した構成としている。これにより、隣接する棒状部材13b1間に溝部21を形成することで、第1部材13aを通過してきた酸素ガス及び第1部材13aから棒状の第2部材13bを通過してきた酸素ガスが、溝部21を通って上方に確実に排出される。
【0087】
ここで、棒状部材13b1の幅や溝部21の幅については特に限定されるものではないが、棒状部材13b1は、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその本数と幅とを決定すればよい。また、溝部21の幅については、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の幅に設定すればよい。また、棒状部材13b1の厚みについては、上記実施形態1と同様の厚みに設定すればよい。
【0088】
<実施形態3>
実施形態3は、第2部材13bの他の実施形態である。
【0089】
図6は、実施形態3に係る充電極13の斜視図、
図7は、第2部材13b側から見た平面図である。
【0090】
実施形態3に係る第2部材13bは、充電反応によって発生した酸素ガスを排出する少なくとも上端部が開放された1または複数本の縦長の溝部22を有し、各溝部22には、対向する辺に、酸素ガスBの排出方向(上方向)に向かって傾斜した複数本の突起部23,23,・・・がそれぞれ形成された構成としている。
【0091】
より具体的に説明すると、第2部材13bを縦長の複数本の棒状部材13b2とし、これら棒状部材13b2を、第1部材13aの一方の面(空気極14と対向する面)に、横方向に所定の間隔を存して平行に配置した構成としている。これにより、隣接する棒状部材13b2間に溝部22を形成することができる。この場合、この溝部22の幅は、実施形態2の溝部21の幅より幅広に形成されており、溝部22の対向辺から突出され複数本の突起部23,23,・・・は、排出方向(上方)に沿って交互に、すなわち互い違いとなるように形成されている。
【0092】
この構成によれば、第1部材13aを通過してきた酸素ガス及び第1部材13aから棒状の第2部材13bを通過してきた酸素ガスが、溝部22を通って上方に排出される。このとき、酸素ガスは、上方に傾斜している突起部23に案内されながら(すなわち、突起部23の下辺に沿って上方に滑るように案内されながら)上昇し、金属空気電池1の上部から確実に排出される。
【0093】
ここで、棒状部材13b2の幅や溝部22の幅については特に限定されるものではないが、棒状部材13b2は、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその本数と幅とを決定すればよい。また、溝部22の幅及び突起部23の傾斜角度と先端部間の間隔については、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の幅及び間隔に設定すればよい。また、棒状部材13b2の厚みについては、上記実施形態1と同様の厚みに設定すればよい。
【0094】
なお、上記実施形態2,3の棒状部材13b1,13b2の形状、及びこの棒状部材13b1,13b2によって形成される溝部21,22の形状は、代表的なものを例示しただけであり、本発明はこれらの形状等に限定されるものではない。すなわち、溝部21,22の形状は、発生した酸素ガスを効果的に上方に排出できる形状、構造、寸法等であればどのような形状、構造、寸法等であってもよい。
【0095】
<実施形態4>
実施形態4は、第2部材13bのさらに他の実施形態である。
【0096】
図8は、実施形態4に係る充電極13の斜視図、
図9は、第2部材13b側から見た平面図である。なお、
図9では、見易いように溝部に斜線を付している。
【0097】
実施形態4に係る第2部材13bは、充電反応によって発生した酸素ガスを排出する排出方向に対して斜めに傾斜して設けられた複数本の溝部23を有する構成としている。
【0098】
すなわち、第2部材13bを斜め方向に長い複数本の棒状部材13b3とし、これら棒状部材13b3を、第1部材13aの一方の面(空気極14と対向する面)に、横方向に所定の間隔を存して斜め方向に平行に配置した構成としている。これにより、隣接する棒状部材13b3間に溝部23を形成することで、第1部材13aを通過してきた酸素ガス及び第1部材13aから棒状の第2部材13bを通過してきた酸素ガスが、溝部23を通って斜め上方に確実に排出される。
【0099】
ここで、棒状部材13b3の幅や溝部23の幅については特に限定されるものではないが、棒状部材13b3は、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその本数と幅とを決定すればよい。また、溝部23の幅については、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の幅に設定すればよい。また、棒状部材13b3の厚みについては、上記実施形態1と同様の厚みに設定すればよい。
【0100】
<実施形態5>
実施形態5は、第2部材13bのさらに他の実施形態である。
【0101】
図10は、実施形態5に係る充電極13の斜視図、
図11は、第2部材13b側から見た平面図である。
【0102】
実施形態5に係る第2部材13bは、連続する凹凸形状(略三角形状)に屈曲形成された板状体13b4からなる。この板状体13b4は、充電反応によって発生したガスを排出する方向に開放された横断面が略三角形状の複数の溝部24を有する構造とされている。また、この板状体13b4には、ガスを排出する方向に直交する面方向(すなわち、溝部24に直交する面方向)に多数の貫通孔31が形成された構成としている。
【0103】
この構成によれば、第1部材13aを通過してきた酸素ガスが、第2部材13bの溝部24を通って上方に案内されて上昇し、金属空気電池1の上部から確実に排出される。
【0104】
ここで、板状体13b4の厚みや溝部24の幅及び高さについては特に限定されるものではないが、板状体13b4は、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその厚みを決定すればよい。また、溝部24の幅や高さについては、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の幅や高さに設定すればよい。さらに、貫通孔31についても、その形状は特に限定されるものではないが、例えば丸型が角型、三角型や楕円型等、種々の形状とすることができる。
【0105】
<実施形態6>
実施形態6は、第2部材13bのさらに他の実施形態である。
【0106】
図12は、実施形態6に係る充電極13の斜視図、
図13は、第2部材13b側から見た平面図である。
【0107】
実施形態6に係る第2部材13bは、連続する凹凸形状(略半円弧形状若しくは波型形状)に屈曲形成された板状体13b5からなる。この板状体13b5は、充電反応によって発生したガスを排出する方向に開放された横断面略半円弧形状若しくは波型形状の複数の溝部25を有する構造とされている。また、この板状体13b5には、ガスを排出する方向に直交する面方向(すなわち、溝部25に直交する面方向)に多数の貫通孔31が形成された構成としている。
【0108】
この構成によれば、第1部材13aを通過してきた酸素ガスが、第2部材13bの溝部25を通って上方に案内されて上昇し、金属空気電池1の上部から確実に排出される。
【0109】
ここで、板状体13b5の厚みや溝部25の幅及び高さについては特に限定されるものではないが、板状体13b5は、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその厚みを決定すればよい。また、溝部25の幅や高さについては、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の幅や高さに設定すればよい。さらに、貫通孔31についても、その形状は特に限定されるものではないが、例えば丸型が角型、三角型や楕円型等、種々の形状とすることができる。
【0110】
なお、第2部材13bを上記実施形態5若しくは実施形態6に示す形状とすることで、単一部材で複数の溝部25を構成することができるため、金属空気電池の組み立て作業が容易になる。
【0111】
<実施形態7>
実施形態7は、第2部材13bのさらに他の実施形態である。
【0112】
図14は、実施形態7に係る充電極13の斜視図、
図15は、第2部材13b側から見た平面図である。
【0113】
実施形態7に係る第2部材13bは、三次元格子構造の構造体に形成されたものであり、実施形態7では、この三次元格子構造は、四角格子形状を、厚み方向に2層に積層した形の多層三次元格子構造となっている。ただし、層構造は1層でもよく、また3層以上であってもよい。
【0114】
この構成によれば、第1部材13aを通過してきた酸素ガスが、第2部材13bの三次元格子の間を通って上方に案内されて上昇し、金属空気電池1の上部から確実に排出される。
【0115】
ここで、格子の直径や断面形状については特に限定されるものではないが、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその直径や断面形状等を決定すればよい。例えば、断面形状については、四角形状、円形状、楕円形状、多角形状等種々の形状とすることができる。また、四角の格子によって囲まれる面積の大きさについては、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の面積に設定すればよい。
【0116】
<実施形態8>
実施形態8は、第2部材13bのさらに他の実施形態である。
【0117】
図16は、実施形態8に係る充電極13の斜視図、
図17は、第2部材13b側から見た平面図である。
【0118】
実施形態8に係る第2部材13bは、三次元格子構造の構造体に形成されたものであり、実施形態8では、この三次元格子構造は、従来周知のハニカム格子構造としたものである。この例では、ハニカム格子構造を厚み方向に1層のみ形成しているが、実施形態7と同様、2層構造としたり、3層以上の構造としてもよい。
【0119】
この構成によれば、第1部材13aを通過してきた酸素ガスが、第2部材13bのハニカム格子の間を通って上方に案内されて上昇し、金属空気電池1の上部から確実に排出される。
【0120】
ここで、格子の直径や断面形状については特に限定されるものではないが、第2部材13bとして必要な強度を考慮してその直径や断面形状等を決定すればよい。例えば、断面形状については、四角形状、円形状、楕円形状、多角形状等種々の形状とすることができる。また、ハニカム格子によって囲まれる各部の面積の大きさについては、酸素ガスが通過中に結合等して径が大きくなった場合でも、確実に上方に抜ける程度の面積に設定すればよい。
【0121】
なお、三次元格子構造については、上記以外にも、図示は省略するが、三角格子構造やダイヤモンド格子構造等、従来周知の種々の格子構造とすることができる。第2部材13bを三次元格子構造とすることで、第2部材13bに占める格子の体積分率が低くても、高い強度を実現できるため、高い空孔率を有し酸素ガスの排出性に優れた第2部材13bを実現することができる。また、格子の体積分率が小さい場合、第2部材13bを軽くすることができるため、重量エネルギー密度の高い金属空気電池を実現することができる。
【0122】
<実施形態9>
図18は、本発明の実施形態9に係る金属空気電池1を示す概略断面図、
図19は、実施形態9に係る充電極13の部分(
図18中符号Eで示す部分)を拡大して示す概略断面図である。
【0123】
図18及び
図19に示す金属空気電池1と、
図1及び
図2に示す実施形態1に係る金属空気電池1との違いは、実施形態1では、金属空気電池1が金属極12と充電極13と空気極14の3層構造であるのに対し、実施形態4に係る金属空気電池1は、金属極12と充電極13との間、及び、充電極13と空気極14との間にそれぞれセパレータ(隔膜)16を介装した5層構造としたものである。
【0124】
セパレータ16以外の構成は、実施形態1の構成と同じである。
【0125】
セパレータ16は、電極間で電子伝導経路が形成され短絡することを防ぐもので、電子的に絶縁性の材料で形成される。例えば、充電時に金属極12で還元析出した金属デンドライトが、充電極13や空気極14に到達し、短絡することを抑制する。
【0126】
セパレータ16としては、多孔性樹脂シート、イオン交換膜などの固体電解質シートが利用される。各電極間にセパレータ16を配置した場合、セパレータ16によりイオン伝導が妨げられると電池の充電反応、および、放電反応を起こすことができないが、上記の材料を使用することで、各電極間に配置されたセパレータ16を介してイオン伝導が起こる。
【0127】
なお、上記実施形態1〜9では、充電極13を、金属極12との間で充電反応を促進する充電領域である第1部材13aと、充電反応によって発生したガス(酸素)を排出する排出領域である第2部材13bとの2層構造として説明しているが、境界線を介して明確に2層構造とする必要はない。例えば、充電領域を構成する第1の層と、充電及び排出の両方の領域(機能)を備えた第2の層と、排出領域を構成する第3の層との3層構造としてもよい。また、充電極13を、充電領域から排出領域まで徐々に変化するように(すなわち、それぞれの孔が密から疎に徐々に変化するように)形成してもよい。
【0128】
以上、実施形態1〜9について具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した4つの実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
ここで、本発明者らは、本発明の金属空気電池の効果を検証するための検証実験を行った。検証実験として、比較例1に係る金属空気電池、参考例1に係る金属空気電池、実施例1,2に係る金属空気電池を作製して充放電サイクル評価を行った。
【0130】
(比較例1)
比較例1では、キシダ化学株式会社製酸化亜鉛、シグマアルドリッチ製PTFE分散液、及び純水を二軸混練機で混合し、シート状に成型した後、乾燥して、厚み1.0mm、5cm角の亜鉛負極活物質シートを得た。そして、2枚の活物質シートの間に集電体であるニッケルメッシュを挟み込んで金属極を作製した。
【0131】
また、デンカ株式会社製デンカブラック、東ソー株式会社製電解二酸化マンガン、シグマアルドリッチ製PTFE分散液、及び純水を二軸混練機で混合し、シート状に成型した後、乾燥して、5cm角の空気極触媒層を得た。そして、集電体であるニッケルメッシュの上に空気極触媒層、住友電気工業株式会社製のPTFE多孔質フィルム(ポアフロン(登録商標)HP−010−30)を順に積層することで、空気極を作製した。
【0132】
次に、アクリル樹脂製の筐体の中心に上記金属極を配置し、金属極の表裏の両表面に住友電気工業株式会社製のPTFE多孔質フィルム(ポアフロン(登録商標)HWP−010−30)をセパレータとして積層した。一方、筐体の両側面内側には、それぞれ空気極を配置し、その表面に住友電気工業株式会社製のPTFE多孔質フィルム(ポアフロン(登録商標)HWP−010−30)をセパレータとして積層した。
【0133】
そして、金属極上のセパレータと両空気極上のセパレータとの間に、5cm角のニッケルメッシュ(線径0,05mm、200メッシュ/インチ)からなる充電極を配置するとともに、筐体内を7M 水酸化カリウム水溶液で満たすことで、
図20に示す構造の金属空気電池を作製した。ただし、比較例1では、金属極上のセパレータとニッケルメッシュ(充電極)との間、及び、空気極上のセパレータとニッケルメッシュ(充電極)との間は接触しておらず、それぞれ1mm離れており、その間は電解液で満たされた構成となっている。
【0134】
(参考例1)
参考例1では、充電極として、住友電気化学工業株式会社製の発泡ニッケル(セルメット(登録商標)品番#8、厚み1.4mm、5cm角)を使用し、金属極上のセパレータと発泡ニッケルとの間、及び、空気極上のセパレータと発泡ニッケルとの間は、密着する構成とする以外は、比較例1と同じ構成として、金属空気電池を作製した。なお、充電極として使用した発泡ニッケルの断面を光学顕微鏡により観察した結果、ニッケル骨格領域により囲まれる空隙の長径の最大サイズは約0.45mmであった。
【0135】
(実施例1)
実施例1では、充電極13の充電領域を構成する第1部材13aとして、住友電気化学工業株式会社製の発泡ニッケル(セルメット(登録商標)品番#8、厚み1.4mm、5cm角)を用い、充電極13の排出領域を構成する第2部材13bとして、住友電気化学工業株式会社製の発泡ニッケル(セルメット(登録商標)品番#4、厚み2.0mm、5cm角)を用い、第1部材13aを金属極12上のセパレータ16に密着させて積層し、第2部材13bを第1部材13a上に積層するとともに空気極14上のセパレータ16と密着する
図18に示す構成とする以外は、比較例1と同じ構成の金属空気電池を作製した。なお、第1部材13aとして使用した発泡ニッケル、及び第2部材13bとして使用した発泡ニッケルの断面を光学顕微鏡により観察し、ニッケル骨格領域により囲まれる空隙の長径の最大サイズを計測したところ、それぞれ、0.45mm、0.9mmであった。第1部材13aの厚みに対する第2部材13bの厚みの比率は1.43であり、第1部材13aの孔径に対する第2部材13bの孔径の比率は2であった。
【0136】
(実施例2)
実施例2では、充電極13の排出領域を構成する第2部材13bの棒状部材13b1として、1cm幅の短冊形状を有する住友電気工業株式会社製の発泡ニッケル(セルメット(登録商標)品番#4、厚み2.0mm)を1cmの間隔をあけて3本配置し、
図4に示す構造(ただし、
図4では、6本配置した構成を例示している。)の充電極13とする以外は、実施例1と同じ構成の金属空気電池を作製した。なお、第1部材13aとして使用した発泡ニッケル、及び第2部材13bとして使用した発泡ニッケルは、実施例1と同じ部材を使用した。
【0137】
上記のように作製(比較例1、参考例1、実施例1、実施例2)した4種類の金属空気電池について、菊水電子工業株式会社製充放電評価装置(PFX2000シリーズ)を用いて、充放電サイクル評価を行った。充電条件は10mA/cm
2での定電流充電とし、金属極に含まれる酸化亜鉛が全て充電された場合の容量の35%となる容量を上限容量とし、金属極と充電極との間の電圧が2.3Vを上回った段階で充電を停止した。放電条件は、10mA/cm
2での定電流放電とし、金属極に含まれる酸化亜鉛が全て充電された場合の容量の35%となる容量を上限容量とし、金属極と空気極との間の電圧が0.6Vを下回った段階で、放電を停止した。
【0138】
サイクルを50回繰り返した後の、充電容量に対する放電容量の比率である充放電効率は、表1の通りとなった。比較例1については、サイクル後の金属極が膨張している様子が確認された。
【0140】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。