特許第6902851号(P6902851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902851反応物質による流路の通過を制限するためのバイポーラプレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902851
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】反応物質による流路の通過を制限するためのバイポーラプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/026 20160101AFI20210701BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20210701BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20210701BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20210701BHJP
【FI】
   H01M8/026
   H01M8/0258
   H01M8/0267
   !H01M8/10 101
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-222370(P2016-222370)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2017-130436(P2017-130436A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】1561039
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ポワロ−クローヴェジエ ジャン−フィリップ
【審査官】 上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−540776(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104051771(CN,A)
【文献】 国際公開第2006/075786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/026
H01M 8/0258
H01M 8/0267
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の導電性シート(51、52)を備えているバイポーラプレート(5)であって、
冷媒の入口用マニホールド(593)及び出口用マニホールド(594)と、反応物質の入口用マニホールド(591)及び出口用マニホールド(596)が、第1及び第2の導電性シートを貫通して形成されており、
冷媒用流路は、導電性シート(51、52)の間に形成され、冷媒入口及び出口用マニホールドと接続しており、
前記第1の導電性シートの外面は、
反応物質の入口及び出口用マニホールドと接続している反応物質の流路(541)を画定する第1のリブ(542)と、
反応物質の流路(541)の側部に延在する第2のリブ(512)と、少なくとも一部が前記第2のリブ上に延在する密閉ガスケット(2)と、
前記第1のリブ及び前記第2のリブの間に延在する第3のリブ(531)と、を備え、
前記第3のリブと凹部(532)とが、前記第1のリブ及び前記第2のリブの間に延在する中間領域において交互に形成され、前記第1及び第2の導電性シート(51、52)は前記凹部に接触しており、各流路(533)は、前記第3のリブ(531)の下に設置され、前記冷媒用のマニホールドが冷媒用流路に接続するように、形成されており、前記第3のリブは、前記第1のリブ(542)より高い高さを有しており、前記第3のリブはそれぞれ頂部(556)と隣接する凹部(532)との間に接続部(551)を含む断面を中間部に備え、前記接続部は前記頂部と前記第1及び第2の導電性シートの間に位置する最寄りの接触部とを結んだ直線から相対的に凹状になっている、
バイポーラプレート(5)。
【請求項2】
各接続部(551)が少なくとも3つの変曲点を有する、請求項1に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項3】
前記接続部(551)がS字形状を含む、請求項2に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項4】
前記第3のリブの各断面の頂部(556)は、この第3のリブ(531)が両側に有する頂部(556)に最も近い接触点(558)の間の長さにより定義される前記第3のリブ(531)の幅の少なくとも25%以上に亘り平坦である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項5】
前記第3のリブ(531)の断面が対称軸を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項6】
前記第3のリブ(531)の前記中間部は、一定の押出形状又は引出形状をした断面形状を有する、請求項5に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項7】
前記第3のリブ(531)は、前記反応物質の入口用マニホールドと前記反応物質の出口用マニホールドとを接続する軸に対して垂直な方向に延在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項8】
前記第3のリブ(531)は、入口用マニホールド(591)と出口用マニホールド(596)とを結ぶ前記第1のリブ(542)の延伸方向に対して垂直に延在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項9】
前記第3のリブ(531)が、前記第1のリブの1つから前記第2のリブに延在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項10】
前記凹部(532)は、前記第1及び前記第2の導電性シートとの間の接触領域において前記第2の導電性シート(52)によって直接支持されていない、請求項1〜9のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項11】
前記第3のリブ(531)の高さは、前記第2リブ(512)の高さよりも高い、請求項1に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項12】
前記断面を有する前記第3のリブの前記中間部が、前記第3のリブの長さの少なくとも70%に亘って延在する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項13】
前記第2のリブ(512)は、前記反応物質の入口用マニホールドと前記出口用マニホールドとの間に延在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)。
【請求項14】
電気化学セル(1)であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(5)と、
前記第3のリブ(532)を少なくとも部分的に覆うプロトン交換膜(113)を含む膜電極接合体(110)と、を備える、電気化学セル(1)。
【請求項15】
前記膜電極接合体と前記バイポーラプレートとの間に挿入され、前記第3のリブと接触するガス拡散層をさらに備える、請求項14に記載の電気化学セル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低温の燃料電池又は電解層のような、膜電極接合体とバイポーラプレートを有する電気化学反応装置に関する。この発明は特に、そのような電気化学反応装置における液体の短絡を制限することに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、例えば、将来の量産車や、様々なアプリケーションに対する給電システムとして考えられている。燃料電池スタックは、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する電気化学デバイスである。水素分子又はメタノールのような燃料は、燃料電池スタックの燃料として使用される。
【0003】
水素分子の場合、スタックの一方の電極において水素分子が酸化そしてイオン化され、スタックのもう一方の電極において酸化剤が還元される。カソードにおいて、酸素が還元され、プロトンと反応し、そして水を生成するという化学反応が生じる。燃料電池スタックの優れた点は、発電の段階において大気汚染物質を放出しないことである。
【0004】
固体高分子膜(PEM=Proton exchange membrane)式の燃料電池スタックは、低温において運転することができ、そして特に小型化できる点において優れている。各セルはプロトンのみを通過させ、電子を通過させない電解質膜を備えている。この膜は、膜電極接合体を形成するために、第一の面においてアノードを備え、第2の面においてカソードを備える。
【0005】
アノードにおいて、電解質膜を通過させるプロトンを生成するために、水素分子はイオン化される。この反応によって生成される電子は、流れ板へ向かって移動し、次いで、セルの外側にある電気回路を通過して電流を発生させる。カソードにおいては、酸素が還元され、プロトンと反応して水が生成される。
【0006】
燃料電池スタックは、例えば、互いの表面において積層された、金属製のバイポーラプレートのような、いくつかのプレートを備えてもよい。この膜は、2枚のバイポーラプレートの間に配置されている。バイポーラプレートは、膜を行き来する反応物質と生成物質のやりとりをガイドし、冷媒をガイドし、様々な区画を分離するために、複数の流路と、複数の孔とを備える。又、アノードにおいて生成された電子のコレクタを形成することができるように、バイポーラプレートは導電性を有する。比較的一般的な設計によれば、バイポーラプレートは、2枚の金属板を溶接により組み立てて形成される。これにより、一般的には、2枚の金属板の間に冷媒用の流路が作られる。
【0007】
又、バイポーラプレートは、電気的接触の特性のために必要な、積層の際の保持力を伝達するという機械的な役割を有している。ガス拡散層は電極とバイポーラプレートとの間に挿入され、そして、バイポーラプレートに接触している。電子の伝達はバイポーラプレートを通じて行われ、イオンの伝達は膜を通じて行われる。
【0008】
バイポーラプレートは、電極の反応表面に対して、消費に伴って、継続的に反応物質を提供する。バイポーラプレートは、反応物質を反応領域に送出することを確保するための複数の流路ネットワークを備える。この流路ネットワークは、一般的にはスタックを通過する入口用マニホールドと出口用マニホールドとの間に接続されている。それぞれのマニホールドは、燃料電池内を流れる様々な流体が混合するのを防ぐため、ガスケットに囲まれている。注入領域は、反応物質が、適切な流路に向かって、これらのガスケットを横断することができるように画定されている。均質化領域は、通常、注入領域を流路に接続している。周辺のガスケットは一般的に、バイポーラプレートのそれぞれの面において、この流路と、注入領域と、均質化領域とを取り囲んでいる。このガスケットは、燃料電池スタック内部の、外部に対する密閉性を確保している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
入口用マニホールドから出口用マニホールドにかけての、反応領域の流路を通過する、反応物質の流れは、この流れの中において圧力低下を引き起こす。従って、反応領域の流路を短絡させるこれらのマニホールド間の流れの一部は、反応領域の流路の圧力降下よりも低い圧力降下を有し得るので、反応物質の実質的な寄生流を引き起こす。この寄生流は電気化学反応に関与しない。
【0010】
この点に関しては、反応領域と、周辺のガスケットとの間の任意の空間が、反応領域を短絡させる流れの源となる。例えばMEAを組み立てたり切断したりするような部品を製造するための、所定の工業プロセスの製造公差のために、周辺のガスケットと反応領域との間には、実質的に周辺空間を維持することが必要である。特に、膜電極接合体と、バイポーラプレートのシートとを位置合わせして、組み立てる際のばらつきを満足させるためには、2〜7ミリメートル幅の周辺空間が通常は必要となる。
【0011】
又、短絡流は、反応物質の流れのモードと、冷媒の流れのモード、特にそれぞれの流れの方向に、影響を受ける。反応物質のどちらかは、冷媒と同じ方向に流れる。そのとき、冷媒及び反応物質の短絡流を作り出す周辺空間は、バイポーラプレートの側面端部に位置している。あるいは、反応物質は、冷媒の流れに対して直角に流れる。そのとき、反応物質の流路の端部のいずれかの側において、冷媒流の周辺空間は、均質化領域の直下/直上、又は垂直方向に、配置される。一つの難点は、短絡流を制限するためにシートを何か変更することは、シートの他の面、すなわち、潜在的に、シートの他の面の機能性に影響を与えてしまうということである。
【0012】
様々なガスケットが、リブの頂部又はシートの凹部に配置されている。ガスケットの構成に応じて、周辺の流れの断面部は、より大きくもなり、あるいは、より小さくもなる。
【0013】
ガスケットがシートの凹部に配置されている場合は、反応物質の周辺空間における流れの領域は比較的制限されている。それに対して、シート間における冷媒の短絡流のために、周辺の流れる領域は増加する。
【0014】
ガスケットが凸部のトップに配置されていた場合は、周辺の流れの断面は比較的大きい。周辺空間における反応物質の寄生流を低減させるために、この流れにそって凸部と凹部を変更することが知られている。しかしながら、この解決策は、限られた方法で周辺空間における反応物質の寄生流を減少させるだけである。特許文献1(仏国特許出願公開2887686号明細書)には、周囲の流れの凹部の一部を充填するためにリブ上に成形されたガスケットを製造することが提案されている。このような成形されたガスケットを採用することは、製造工程を実質的により複雑にし、製造コストを実質的に増加させることで自動化を困難にする。さらに、このようなガスケットは冷媒の流れを大きく変えてしまう。
【0015】
又、燃料電池スタックにおいて良く知られているこれらの問題は、電気分解装置のような、膜電極接合体を有する他の電気化学反応装置においても直面している。
【0016】
特許文献2(WO2010/018656A1号公報)では、冷媒の流れの課題について取り上げて、第1及び第2の導電性シートを備えるバイポーラプレートについて述べている。これらのシートは、反応領域において、流れる方向とは反対の領域に配置されている成形されたボスを備えている。
【0017】
特許文献3(WO2004/102712A1号公報)は、第1及び第2の導電性シートの使用に基づいたバイポーラプレートを備えた構造の燃料電池スタックについて述べている。これらのうち一の導電性シートは、反応領域に続いて周辺リブを備えている。この周辺リブは、他の導電性シートと接触して冷媒の流れに対して密閉部を形成し、流路及び密閉ガスケットに平行に延在している。
【0018】
特許文献4(米特許出願第2007/298308号明細書)は、燃料電池スタックの構造について述べている。均質領域において、バイポーラプレートのシートに凹状及び凸状の複数のスタッド部が形成されている。中間領域の平面は流路とガスケットサポート部とにより形成されている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、これらの欠点の1つ以上を解決するものである。従って、本発明は、第1及び第2の導電性シートを備えているバイポーラプレートであって、
冷媒の入口用マニホールド及び出口用マニホールドと、反応物質の入口用マニホールド及び出口用マニホールドが、第1及び第2の導電性シートを貫通して形成されており、
冷媒用流路は、導電性シートの間に形成され、冷媒入口及び出口用マニホールドと接続しており、
前記第1の導電性シートの外面は、
反応物質の入口及び出口用マニホールドと接続している反応物質用流路を画定する第1のリブと、
反応物質用流路の側部に延在する第2のリブと、少なくとも一部が前記第2のリブ上に延在する密閉ガスケットと、
前記第1のリブ及び前記第2のリブのいずれかの間に延在する第3のリブと、を備え、
前記第3のリブと凹部とが、前記第1のリブ及び前記第2のリブの間に延在する中間領域において交互に形成され、前記第1及び第2のシートは前記凹部に接触しており、各流路は、前記第3のリブの下に設置され、前記冷媒用マニホールドが冷媒用流路に接続するように、形成されており、前記第3のリブは、前記第1のリブより高い高さを有しており、前記第3のリブはそれぞれ頂部と隣接する凹部との間に接続部を含む断面を中間部に備え、前記接続部は前記頂部と前記第1及び第2のシートの間に位置する最寄りの接触部とを結んだ直線から相対的に凹状になっている。
【0020】
本発明は、このオーバーラップ部の圧縮を制限しながら、第3のリブの上にガス拡散層又は膜のオーバーラップ部を形成することを可能にする。
【0021】
第3のリブが形成されている中間領域の幅は、種々の製造及び組立公差、例えば膜、又はガス拡散層を配置するための公差、又はシートのエンボス加工に関連する公差が考慮されている。
【0022】
膜の圧縮を制限すること、又は、ガス拡散層の圧縮を制限することにより、内部せん断応力が増加してこのオーバーラップ部が破断するリスクを避けることができる。又、局所的な電流密度の不均一性を生じさせる、オーバーラップ部におけるガス拡散層の導電率の大幅な増加は回避される。このような目的のために、第3のリブは可撓性を有しており、圧力を加えられた頂部は、2枚のシートの中間平面に近づく。
【0023】
又、本発明は、以下の変形例にも関連する。当業者であれば、以下の変形例の特徴の各々は、中間的一般化を構成することなく、上記の特徴と独立して組み合わせることができることを理解するであろう。
【0024】
一の変形例によれば、各接合部は、少なくとも3つの変曲点を有する。
【0025】
もう一つの変形例によれば、前記接合部はS字形状を含む。
【0026】
他の変形例によれば、前記第3のリブの各断面の頂部は、この第3のリブの幅の少なくとも25%に亘り平坦である。
【0027】
さらに別の変形によれば、第3のリブの断面が対称軸を有する。
【0028】
一の変形によれば、第3のリブの前記中間部は、一定の押出形状又は引出形状をした断面形状を有する。
【0029】
さらなる変形例によれば、前記第3のリブは、前記反応物質の入口用マニホールドと前記反応物質の出口用マニホールドとを接続する軸に対して垂直な方向に延在する。
【0030】
他の変形例によれば、前記凹部は、前記第1及び前記第2のシートとの間の接触領域において不安定な位置にある部分を含む。
【0031】
さらに別の変形によれば、第3のリブの高さは、第2のリブの高さよりも高い。
【0032】
一の変形例によれば、前記断面を有する前記第3のリブの前記中間部分は、前記第3のリブの長さの少なくとも70%に亘って延在する。
【0033】
他の変形例によれば、第2のリブは、前記反応物質の入口用マニホールドと前記出口用マニホールドとの間に延在する。
【0034】
1つの変形例によれば、前記第3のリブは、前記第1のリブ及び前記第2のリブに対して垂直に延在する。
【0035】
さらに別の変形によれば、前記第3のリブは、前記第1のリブの1つから前記第2のリブに延在する。
【0036】
又、本発明は、以下のものを備える電気化学セルであって、上述したバイポーラプレートと、前記第3のリブを少なくとも部分的に覆うプロトン交換膜を含む膜電極接合体と、を備える、電気化学セルである。
【0037】
又、一の変形例によれば、電気化学セルは、前記膜電極接合体と前記バイポーラプレートとの間に挿入され、前記第3のリブと接触するガス拡散層をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例証として、添付の図面を参照して以下に与えられる説明から、明らかになるであろう。
図1図1は、燃料電池スタックのための膜電極接合体及びバイポーラプレートのスタックの一例の分解斜視図である。
図2図2は、スタックを通る流体のマニホールドを形成するように積み重ねられる、バイポーラプレート及び膜電極接合体の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の第1の態様における一実施形態かかるバイポーラプレートの斜視図である。
図4図4は、第1の変形例にかかる図3に記載したプレートのリブの断面図である。
図5図5は、第2の変形例にかかる図3に記載したプレートのリブの静止状態の断面図である。
図6図6は、第2の変形例にかかる図3に記載したプレートのリブに力を受けた状態の断面図である。
図7図7は、第3の変形例にかかる図3に記載したプレートのリブの静止状態の断面図である。
図8図8は、静止状態の、第3の変形例にかかる図3のプレートの斜視図である。
図9図9は、力を受けた状態の、第3の変形例にかかる図3のプレートの斜視図である。
図10図10は、静止状態の、それぞれ第3の変形例による図3のプレートのリブの長手方向の断面図である。
図11図11は、力を受けた状態の、それぞれ第3の変形例による図3のプレートのリブの長手方向の断面図である。
図12】拡大した断面図である。
図13】拡大した断面図である。
図14】拡大した断面図である。
図15図15は、静止状態にある第4の変形例にかかる図3のプレートの斜視図である。
図16図16は、静止状態の第5の変形例による図3のプレートの斜視図である。
図17図17は、図3にかかるバイポーラプレートを使用する燃料電池スタックの構成の一例を示す上面図である。
図18図18は、休止している第6の変形例による図3のプレートの分解断面図である。
図19図19は、本発明の第2の態様にかかる電気化学セルの一実施形態の断面図である。
図20図20は、本発明の第2の態様の電気化学セルの別の変形例の分解斜視図である。
図21図21は、本発明の第3の態様によるリブの様々な組合せの概略上面図である。
図22図22は、燃料電池スタック構成の別の例の上面図である。
図23図23(1)は、本発明の第4の態様による電気化学セルのバイポーラプレートの第1の変形例の上面図である。図23(A)〜図23(F)は、図23(1)のバイポーラプレートの断面図である。
図24図24は、図23のバイポーラプレートの分解斜視図である。
図25図25は、膜電極接合体と組み合わせた図23(1)のバイポーラプレートの断面図である。
図26図26は、図23(1)のバイポーラプレートのシートの斜視図である。
図27図27は、本発明の第4の態様による電気化学セルのバイポーラプレートの第2の変形例の分解斜視図である。
図28図28は、図27のバイポーラプレートの平面図である。
図29図29は、図27のバイポーラプレートの破断した断面図である。
図30図30は、本発明の第4の態様による電気化学セルのバイポーラプレートの第3の変形例の分解斜視図である。
図31図31は、本発明の第5の態様によるバイポーラプレートの分解斜視図である。
図32図32は、図31のバイポーラプレートの上面図である。
図33図33は、図31のバイポーラプレートの底面図である。
図34図34は、図31のバイポーラプレートの分解側面図である。
図35図35は、分解断面図である。
図36図36は、分解断面図である。
図37図37は、図31のバイポーラプレートの中間領域の断面図である。
図38図38は、本発明の第5の態様によるバイポーラプレートの中間領域の変形例の断面図である。
図39図39は、本発明の第5の態様によるバイポーラプレートの中間領域の別の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、燃料電池スタック4のセル1のスタックの概略分解斜視図である。燃料電池スタック4は、いくつかの重なり合ったセル1を備えている。セル1は、プロトン交換膜又は高分子電解質膜タイプである。
【0040】
燃料電池スタック4は、燃料供給源40を備えている。ここで、燃料供給源40は、各セル1の入口に水素分子を供給する。又、燃料電池スタック4は、酸化剤42の供給源を備えている。酸化剤42の供給源は、ここでは各セル1の入口に空気を供給し、空気中の酸素は酸化剤として使用される。又、各セル1は、排出用流路を有している。又、1つ以上のセル1は、冷却用の回路を有している。
【0041】
各セル1は、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)110又を備えている。膜電極接合体110は、電解質113と、カソード(不図示)及びアノード111とを備えており、カソード及びアノードは、電解質の両面に配置され、この電解質113に固定されている。電解質113の層は、セル内に存在するガスに対して不透過性であると同時に、プロトンを導くことができる半透過性の膜を形成する(以降、電解質113を、膜113ともいう)。この電解質の層は、アノード111とカソードとの間の電子の通過についても妨げる。
【0042】
隣接するMEAの各対の間に、バイポーラプレート5が配置される。各バイポーラプレート5は、対向する外面にアノードの流路と、カソードの流路とを画定する。バイポーラプレート5は、有利には、2つの連続する膜電極接合体間に冷媒流路を画定する。バイポーラプレート5は、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、又はタンタル合金製のような導電性の金属シート2枚から、公知の方法でそれぞれを形成することができる。各シートは、それぞれ1つの外面を画定する。又、バイポーラプレート5は、任意の他のプロセス、例えば、カーボンポリマー複合材料を用いた成形や射出成形によっても得ることができる。従って、バイポーラプレート5は、1部品から形成されてもよい。その場合、バイポーラプレート5の外面は、このような1部品によって画定される。
【0043】
又、スタックはここには図示されていない周辺ガスケット及び膜補強材部材を備えていてもよい。各セル1は、アノードとバイポーラプレートとの間に配置されたガス拡散層(不図示)と、カソードと別のバイポーラプレートとの間に配置された別のガス拡散層をさらに含むことができる。
【0044】
公知の方法により、燃料電池スタック4の運転中は、空気がMEAとバイポーラプレートとの間を流れ、水素分子がこのMEAと別のバイポーラプレートとの間を流れる。アノードでは、MEAを通過するプロトンを生成するために水素分子がイオン化される。この反応によって生成された電子はバイポーラプレート5によって集められる。次に、生成された電子は、電流を作るために、燃料電池スタック4に接続された電気負荷に印加される。カソードでは、酸素が還元され、プロトンと反応して水を生成する。アノードとカソードにおける反応は以下の式で与えられる。
→2H+2e:アノード
4H+4e+O→2HO:カソード
その動作中、燃料電池スタックの1つのセルは、通常、アノードとカソードとの間に1V程度のDC電圧を発生させる。
【0045】
図2は、燃料電池スタック4のスタックに含まれる2つのバイポーラプレート5及び膜電極接合体の概略的な分解斜視図である。バイポーラプレート5及び膜電極接合体110のスタックは、複数の流路用マニホールドを形成することを目的としており、その配置はここでは概略的な方法でのみ示されている。この目的のために、それぞれの孔は、バイポーラプレート5を通り、そして膜電極接合体110を通って作られる。従って、バイポーラプレート5は、第1の端部に孔591、593、及び595と、第1の端部とは反対側の第2の端部に孔592、594、及び596を備える。孔591は、例えば燃料供給用マニホールドを形成するために使用され、孔596は、例えば燃焼残留物及び未使用燃料を排出するための排出用マニホールドを形成するために使用され、孔593は、例えば冷媒供給用マニホールドを形成するために使用され、孔594は、例えば冷媒排出用マニホールドを形成するために使用され、孔592は、例えば酸化剤供給用マニホールドを形成するために使用され、孔595は、例えば生成された水及び未使用の酸化剤を排出するための排出用マニホールドを形成するために使用される。
【0046】
バイポーラプレート5及び膜電極接合体110の孔は、様々な流れ用マニホールドを形成するために対向して配置される。孔12、14、及び16は、例えば膜電極接合体110内に形成され、孔592、594、及び596にそれぞれ対向して配置される。単純化をするために、孔596は、スタックから燃焼残留物を排出するための排出用マニホールドとして例えられる。
【0047】
図3は、本発明の第1の態様の一実施形態によるバイポーラプレート5の上面の詳細を示す斜視図である。バイポーラプレート5は、結合された導電性シート51と52とを備える。導電性シート51及び52は、一般的には、金属シート、例えば型押しされた金属シートで形成される。シート51及び52は、例えばステンレスで形成されている。シート51及び52は、例えば溶接により結合される。冷媒用の流路は、シート51と52との間に形成され、マニホールド593と594とを接続している。冷媒用の流路の密閉性は、シート51とシート52との間を溶接することによって得ることができる。
【0048】
シート51の外面は、例えば燃料のような反応物質の流路541を画定するリブ542を含む。ここで、流路541は、マニホールド591と596とを接続するように配置されている。流路541を含む領域は、電気化学セルの反応領域54に対応している。
【0049】
又、シート51の外面は、マニホールド591と596との間に延在するリブ512を有する。リブ512は、マニホールド591と596との間に延在するガスケット(ここでは図示せず)用の支持部として形成される。リブ512及びガスケットは、電気化学セルからの燃料漏れを防止するためのものである。
【0050】
又、シート51の外面は、リブ512と反応領域の周囲のリブ542との間に位置する中間領域53を含む。中間領域53は、膜113のオーバーラップ部又は反応領域を越えたガス拡散層のオーバーラップ部を受け入れるようになっている。中間領域53の幅は、例えば、膜113 又はガス拡散層を位置決めするための公差、又はシートのエンボス加工に関連する公差など、様々な製造及び組立公差が考慮されている。中間領域53は、リブ531と、凹部532とを交互に有している。リブ531は、リブ512と反応領域の周囲のリブ542との間に、より正確にはリブ512からリブ542まで延在している。リブ531は、マニホールド591と596とを結ぶ軸に対して垂直に延在している。この例では、リブ531は、リブ512に対して垂直であり、反応領域の周囲のリブ542に対して垂直である。シート51とシート52との間の接触部は、凹部532内に形成されている。
【0051】
シート51の外面は又、マニホールド593を取り囲むリブ511を備えている。このリブ511は、マニホールド593を取り囲むガスケットのための支持部を形成することを目的としている。リブ513により、マニホールド593からリブ511の下部へ冷媒が流れる。又、シート51の外面はリブ512とリブ513との間に延在するリブ514を備えている。リブ514により、リブ513の内面とリブ512の内面との間に冷媒が流れる。リブ531により、リブ512の内面から、反応領域の直下又は下方に位置する冷媒流路へ冷媒が流れる。
【0052】
中間領域53は、反応物質の短絡の対象となる領域である。リブ531は、領域53内のガス拡散層のオーバーラップ部又は膜のオーバーラップ部が減少しても、反応物質の潜在的な流動面積を減少させることができる。反応物質の流動面積をさらに制限するために、リブ531の高さはリブ542の高さよりも高くなっている。従って、この領域53内の短絡路が閉じることをアシストするように、領域53内のガス拡散層又は膜のオーバーラップ部が圧縮される。各リブの高さは、シート51及び52が接触している中間平面からこのリブの頂部まで測定された距離として定義される。
【0053】
この例では、図17に示されるように、(マニホールド591と596とを結ぶ直線によって定められる)反応物質の一般的な流れ方向は、(マニホールド593と594とを結ぶ直線によって定められる)冷媒の流れ方向に対して垂直である。ここでは、中間領域は、周辺ガスケットの図示がない場合、概略的に参照される。
【0054】
内部剪断応力の増加による膜の破裂という危険を避けるために、又は、オーバーラップ部において電流密度の局部的な不均一性を生じさせるガス拡散層の伝導率の大きな増加という危険を避けるために、ガス拡散層又は領域53内の膜113のオーバーラップ部の圧縮を制限することが望ましい。かかる目的のために、その頂部に加えられる圧力を、シート51と52との間の中間平面に近い頂部にもたらすように、リブ531は可撓性を有する。
【0055】
リブ531の様々な変形例が、図4図7の断面の中央部に示されている。リブ531のこれらの幾何学的形状は、図12〜14において、より詳細に示されている。これらの全てのリブは、頂部556を有する。各リブ531は、このリブ531の両側に隣接する凹部532との接続部551を有する。点558は、シート51とシート52との間の頂部556に最も近い接触点を示す。リブ531の屈曲を促進するために、各接続部551の少なくとも一部分は、頂部556と最も近い接触点558とを結んだ直線よりも、相対的に凹状に配置される。
【0056】
リブ531は、圧力が頂部に加えられたときの変形を促進するために、長さの少なくとも50%、好ましくは長さの少なくとも70%に亘って、この定義による断面を有することが有利である。
【0057】
図4に示す例は、リブ531の第1変形例に対応する。ここに示されるリブ531は、その頂部556に応力が存在せず静止している。この変形例では、各接続部551は、第1の曲線552と、第2の曲線553と、第3の曲線554と、第4の曲線555とを有する。曲線552〜555は、参照されない実質的に直線状の部分によって接続されている。各接続部551は、その連続する曲線間に屈曲点を有する。従って、この変形例に示すように、接続部551は、リブ531を曲げることによって、頂部556に圧力が加えられたときの押し下げを促進するために、好ましくは少なくとも3つの変曲点を有している。
【0058】
ここに示すリブ531は、平坦な頂部556を有する。有利には、この変形例に示すように、リブ531は、膜又はガス拡散層に良好な支持面を提供するために、その幅の少なくとも25%に亘って平坦な頂部556を有する。
【0059】
頂部556に圧力を加える間に、リブ531の一様な押し下げを促進するために、これらの断面は有利には、この変形例に示すように対称軸を有する。有利には、リブ531は、その中間部分、すなわち、一定の断面の細長い形状に亘り、押出形状を有する。
【0060】
図5に示す例は、ここでは静止状態として示されたリブ531の第2の変形例に対応している。この構成は、図8の斜視図及び図10の縦断面にも示されている。図6は、頂部556に圧力を与えている間の、同一のリブ531に相当する。この構成は、図9の斜視図及び図11の縦断面にも示されている。この変形例では、各接続部551は、第1の曲線552と、第2の曲線553と、第3の曲線554と、第4の曲線555とを有する。曲線552〜555は、参照されていない湾曲部分によって接続されている。従って、接続部551はそれぞれ少なくとも1つのS字形状を含んでいる。例えば図6及び図11に示す構成を採用することによって、このような形状は、圧力が加えられたときの、頂部556の撓みを促進する。
【0061】
リブ531は、リブ512に接続される端部557と、リブ542に接続される端部559とを有している。端部557及び559は、リブ512及び542のそれぞれの高さから、リブ531の中間部分の高さまで徐々に移行することを可能にする移行領域を形成し得る。端部559は、有利には、静止時におけるリブ531とリブ542との高さの差であるΔhの2〜10倍の長さに亘る、徐々に移行する領域を形成し得る。領域53内の流れを可能な限り制限するために、端部559は、端部557よりも短い長さの、徐々に移行する領域を形成し得る。端部557における、この徐々に移行する領域は、有利には、Δhの1〜5倍の長さを有し得る。
【0062】
リブ512との接続部では幅が大きすぎるリブ531は、このリブ512の機械的強度を損なう可能性がある。図8に示す変形例では、リブ531の接続部551は、リブ512に達する前に中断される。接続部551とリブ512との間には、例えば、Δhの1〜5倍の距離を作ることができる。
【0063】
図11は、特に、ガス拡散層121を含む膜電極接合体によるリブ531の部分的な撓みを示している。ガス拡散層121は、領域53の直上又は上方にオーバーラップ部を有する。このオーバーラップ部において、リブ531の中央部にガス拡散層121が圧縮することにより、リブ531の中間部分を押し下げ、膜113とガス拡散層121を保持することができる。この例では、リブ531の中央部は、特にリブ542よりも低くなるまで押し下げられている。オーバーラップ部を越えて、リブ531の端部557は、リブ512及び542よりも高く維持され、領域53の閉鎖を促進する。各接続部551は、その連続する曲線間に屈曲点を有する。
【0064】
この変形例では、曲線553は、有利には、リブ542と同じ高さを有する局所的な頂部を形成する。従って、曲線553も、領域53内の流体の流れを遮断するのをアシストする。
【0065】
図7に示す例は、ここでは静止状態として示されているリブ531の第3の変形例に対応する。この変形例では、各接続部551は、第1の曲線552及び第2の曲線553を有する。
【0066】
頂部556に圧力が加えられたときに頂部556の撓みを促進するために、第1の曲線552及び隣接する凹部532の一部は、接触点558に対して不安定な位置に配置される。この第1の曲線552及び凹部532のこの部分は、シート52によって直接支持されていない。これにより、このリブ531に圧力が加えられている間に、反対側に位置するシート52のリブ561へのリブ531の押し込みが可能になる。この目的のために、リブ561は、リブ531よりも大きい幅を有しており、よって、このリブ531の中間平面に対する鏡像になっていない。例えば、リブ561のより大きな剛性が、望まれてもよい。
【0067】
図15は、接続部551がリブ512まで延在する別の変形例の斜視図である。この変形例では、接続部551の端部は、リブ531から分離され、横方向に分岐する。従って、リブ531は、リブ512といくつかの独立した接合部を有し、このリブを補強することを可能にする。有利には、接続部551は、リブ531からΔhの2〜10倍の距離だけ離れている。
【0068】
図16は、リブ531の中間部分が異なる断面を有する別の変形例の斜視図である。各リブ531は、リブの中心と端部557との間、及びリブ531の中心と端部559との間にそれぞれ位置する2つのやや硬い部分を有する。リブ531の中央部には、低剛性を有するために、より低い惰性を有する断面が設けられている。従って、領域53の頂部のガス拡散層のオーバーラップ部の長さに依存して、端部559におけるリブ531の撓みは、必ずしも端部557におけるリブ531の撓みをもたらすとは限らない。従って、ガス拡散層のオーバーラップ部がリブ531の中心を超えない場合、このリブ531は、端部557で僅かに曲がるだけであり、領域53における流れの最適な閉鎖を保証することができる。
【0069】
上記の例では、シート51の幾何学的形状について詳細に説明した。このようなシートの形状は、粘度が非常に低く、特に短絡流の影響を受ける水素燃料の流路541に対して特に適していることを示している。詳細には記載されていないが、シート51に関して上述したように、中間領域において可撓性を有するリブと撓みとが交互に形成されている点において、シート52は、シート51と同様の形状を有することができる。図4図6に示す変形例では、シート52のリブは、バイポーラプレート5の中央平面に対するリブ531の鏡像である。
【0070】
有利には、リブ531は領域53内に均一に分布している。有利には、撓み532の幅は、少なくともリブ531の幅である。有利には、撓み532の幅は、多くてもリブ531の幅の2倍である。
【0071】
リブ531の幅は、有利には、1〜3mmの間であり得る。領域53の幅は、有利には、3〜7mmであり得る。
【0072】
Δhは、有利には、少なくともガス拡散層121の厚さEpGdlの半分に等しく、最大でEpGdlの3倍に等しい。有利には、Δhは0.9*EpGdlと1.1*EpGdlとの間にある。Δhは、リブ531の全長の平均値として表され、リブ531はその全長に亘って不均一な高さを有することが可能である。
【0073】
図4図14に示す例では、ガスケット2がリブ512に接触して配置されている。ガスケット2は、例えば、リブ512上の平坦なガスケット、又はリブ512上にスクリーン印刷されたガスケットであってもよい。ガスケット2は、例えば、図10及び図11に示すように、膜113と接触していてもよく、又は膜113の周囲に固定された図示しない補強材と接触していてもよい。
【0074】
図18は、(より明確にするために)本発明の第1の態様の別の変形例のリブ531において分解された断面図である。ここで、リブ531とシート52との接触点は、リブ531の内側に収容されている。従って、これらの接触点は、シート51及び52の中間平面に対して持ち上げられている。これらの接触点の位置及びリブ531の幾何形状は、各接続部の少なくとも一部が、一のリブ531の頂点と、シート52との最寄りの接触点とを結んだ直線に対して凹状になっているという点において、本発明の第1の態様を満たしている。これにより、リブ531の撓みが促進される。
【0075】
シート52は、中間領域53上に重ねられた中間領域を含む。シート52の中間領域は、リブ561と凹部562とを交互に有している。又、シート52は、図示されていないリブによって区切られた反応物質用の流路を有している。シート51とシート52との接触部は、凹部532内、又は凹部562内に形成される。凹部532には、第2のリブ535が配置されている。これら第2のリブ535は、撓みに対して所定の剛性を有している。又、第2のリブ535は、リブ531
の中央部の撓みを可能にする空間を形成している。凹部562には、第2のリブ565が配置されている。第2のリブ565は、撓みに対して所定の剛性を有している。又、第2のリブ565は、リブ531の中央部の撓みを可能にする空間を形成している。この変形例は、特に、ガスケット支持リブの剛性を高めることを可能にする。
【0076】
又、図19及び図20に示す本発明の第2の態様によれば、本発明は2つのバイポーラプレートの間で圧縮された膜電極接合体を含む電気化学セルに関する。
【0077】
本発明のこの第2の態様によれば、電気化学セルはバイポーラプレート5も含む。各バイポーラプレート5は、結合された導電性シート51及び52を備える。又、導電性シート51、52は、溶接により結合された、型押しされた金属シートから形成されてもよい。冷媒流路は、シート51と52との間に形成されており、上述のように、冷媒用の入口用マニホールド及び出口用マニホールドと接続している。
【0078】
本発明における、この第2の態様の第1の変形例が、リブ531を通る断面図において、図19に示されている。この例には、本発明における第1及び第2の態様が組み合わされている。上述した例のように、シート51の外面は、反応物質のための流路541を画定するリブ542を含んでいる。これらの流路541は、上述したように、反応物質の入口用マニホールドと出口用マニホールドとを接続するように配置されている。
【0079】
又、上述した例のように、シート51の外面は反応物質用マニホールドの間に延在するリブ512を備え、このリブは、ガスケット2のための支持部を形成し、これらの反応物質用マニホールドの間に延在することを目的としている。
【0080】
又、シート51の外面は、ガスケット支持リブ512と、反応領域の周囲のリブ542と、の間に位置する中間領域53を含む。中間領域53は、反応物質の短絡の対象となる領域である。又、ここでは、中間領域53は、膜113のオーバーラップ部、又は反応領域を越えたガス拡散層121又は122のオーバーラップ部を受け入れるようになっている。
【0081】
又、中間領域53の幅は、例えば、膜113又はガス拡散層を配置するための公差、又はシートの型押し加工に関連する公差など、様々な製造及び組立公差が考慮されている。中間領域53は、先の実施例と同様に、リブ531と凹部532とを交互に有している。リブ531は、リブ512と反応領域の周囲のリブ542との間に延在している。リブ531は、反応物質用マニホールドをつなぐ軸に対して垂直に延在している。この例では、リブ531は、リブ512に対して垂直であり、反応領域の周囲のリブ542に対して垂直である。シート51とシート52との間の接触部は、凹部532内に形成されている。リブ531は、領域53内のガス拡散層又は膜の重なりが減少しても、反応物質の潜在的な流動面積を減少させることを可能にしている。
【0082】
領域53におけるMEAのオーバーラップ部は、シート51及び52がリブ531及び561とそれぞれ交互に接触していることによるうねりを含んでいる。シート52は、ガスケット用の支持リブを含んでいる。シート52は、中間領域53上に重なっている(参照されていない)中間領域を含んでいる。シート52の中間領域は、リブ561と凹部562とを交互に有している。又、シート52は、リブによって区切られた反応物質用の流路を含んでいる。リブ561は、ガスケット支持リブと反応領域の周囲のリブ562との間に延在している。
【0083】
領域53内の膜113の起こり得る過圧縮を制限するために(あるいは適切な補強のために)、特に、ガス拡散層のオーバーラップ部がリブ512に近い場合おいて、本発明の第2の態様は、バイポーラプレート5のシート51の各リブ531を、別のバイポーラプレートのシート52内に形成されたより広い凹部562に対向して配置することを提案している。他のバイポーラプレート5のシート52のリブ561は、シート51の凹部532に対向している。このような構成は、領域53内の流れ面積を制限するために、領域53内のMEA110の重なりと、リブ531とリブ561の交互の接触を生成することを目的とする。このようなリブ531及び561は、MEA110のオーバーラップ部において、過剰な圧縮ではなく、うねりを発生させる。
【0084】
ここで、リブ531とシート562との接触点は、リブ531の内側に収容されている。従って、これらの接触点は、シート51及び52の中間平面に対して持ち上げられる。これらの接触点の位置及びリブ531の幾何形状は、各接続部の少なくとも一部が、一のリブ531の頂点と、最寄りの接触点とを結んだ直線に対して凹状になっているという点において、本発明の第1の態様を満たしている。これにより、リブ531の撓みが促進される。
MEAのオーバーラップ部のうねりを許容するために、各リブ531は、より大きな幅の凹部562に対向し、
各リブ561は、より大きな幅の凹部532に対向し、
リブ531の高さは、リブ542の高さよりも高く、
リブ561の高さは、シート52の流路を画定するリブの高さよりも高い。
有利には、MEAのオーバーラップ部に対する応力を制限するために、リブ531と凹部562との間の空間は、MEAのオーバーラップ部の厚さよりも厚く、
リブ561と凹部532との間の空間は、MEAのオーバーラップ部の厚さよりも厚い。
【0085】
図20は、本発明の第2の態様の別の変形例を(より明確にするために)分解した斜視底面図である。隣接する2つのバイポーラプレート5の、シート51とシート52との間における領域53に位置するMEAのオーバーラップ部は、区別することが可能な状態となっている。MEAは、それぞれシート51及び52のリブ531及び561とそれぞれ交互に接触していることによるうねりを含んでいる。シート52は、ガスケット用の支持リブを含んでいる。シート52は、中間領域53上に重なっている中間領域57を含んでいる。この中間領域は、リブ561と凹部562とを交互に含んでいる。シート52は又、リブ564によって区切られた反応物質の流路563を含んでいる。リブ561は、ガスケット支持リブと反応領域の周囲のリブ562との間に延在している。
MEAのオーバーラップ部のうねりを許容するために、各リブ531は、より大きな幅の凹部562に対向し、
各リブ561は、より大きな幅の凹部532に対向し、
リブ531の高さは、リブ542の高さよりも高く、
リブ561の高さは、リブ564の高さよりも高い。
有利には、MEAのオーバーラップ部に対する応力を制限するために、リブ531と凹部562との間の空間は、MEAのオーバーラップ部の厚さよりも厚く、
リブ561と凹部532との間の空間は、MEAのオーバーラップ部の厚さよりも大きい。
【0086】
シート51及び52のリブ531(実線)及び561(破線)の様々な構成を概略平面図に対応させた本発明の第3の態様を、図21に示す。本発明の第3の態様によれば、リブ531、561は、リブ542側の端部に重なっていない。従って、中間領域53にMEAのオーバーラップ部のうねりを作り出すことが可能である。一方、リブ531は、中間領域53における短絡流領域を制限するために、オーバーラップ部がこの重なりに達していない場合、リブ512の側に位置する端部で重なる。他方、リブの重なりに達するオーバーラップ部において起こり得る過剰な圧縮は、リブ512の近傍でのみ誘発される。リブ531及び/又はリブ561は、本発明の第1の態様の他の変形例を参照して詳細に説明した様々な特徴を採り得る。
【0087】
又、図23(1)〜図30に示す本発明の第4の態様によれば、本発明は、2つのバイポーラプレート間に圧縮された膜電極接合体を含む電気化学セルに関する。本発明の第4の態様によれば、冷媒の貯留部を反応領域の外側に保持するには、冷媒及び反応物質の短絡流を減少させることが望ましい。本発明の第4の態様によれば、反応領域の冷媒用流路と、反応領域外の冷媒貯留領域との間では、流れは遮断される。
【0088】
図22の上面図として示される構成では、冷媒の流れは、反応物質の流れと実質的に平行である。このシナリオにおいては、従来技術によれば、冷媒の短絡流は、反応物質の短絡流と同じように、中間領域53に対して垂直になる。
【0089】
本発明のこの第4の態様によれば、電気化学セルはバイポーラプレート5も含む。各バイポーラプレート5は、結合された導電性シート51及び52を備える。又、導電性シート51、52は、溶接により結合された、型押しされた金属シートから形成されてもよい。冷媒の流路は、シート51と52との間に形成され、詳細を上述したように、冷媒の入口用及び出口用マニホールドと接続している。本発明の第4の態様では、各バイポーラプレート5は、反応物質の流路を覆う電極と、反応物質の入口用マニホールドと出口用マニホールドとの間に延在しガスケットが配置されるリブとの間に中間領域を備えている。
この中間領域では、
シート51及び52は、第1の帯域に沿って、少なくとも1つの冷媒流路の全長に亘って互いに入れ子状の相補形状を有しており、
シート51は、第1の帯部とガスケット支持リブとの間に第2の帯域を形成し、膜電極接合体と接触するレリーフ部を備えている。この第2の帯域では、シート51とシート52との間に冷媒貯留部が形成されている。
【0090】
図22に示す構成に対応する、本発明の第4の態様の第1の変形例を図23図26に示す。ここでの冷媒の流れ方向は、反応物質の流れ方向と実質的に平行である。
【0091】
シート51の外面は、反応物質、例えば燃料用の流路541を画定するリブ542を含む。ここで、流路541は、マニホールド591と596とを接続するように配置されている。流路541を備える領域は、電気化学セルの反応領域54に対応する。
【0092】
又、シート51の外面は、マニホールド591と596との間に延在するリブ512及び515を備える。リブ512及び515は、マニホールド591及び596の間に延在するガスケット2のための支持部を形成することを目的としている。ここで、ガスケット2は、リブ512と515とを跨いでおり、リブ512と515との間に形成された溝も跨いでいる。
【0093】
又、シート51の外面は、リブ512と反応領域54の周囲のリブ542との間に位置する、中間領域53を含んでいる。
【0094】
中間領域53は、膜113のオーバーラップ部又は反応領域を越えたガス拡散層のオーバーラップ部を受け入れるようになっている。図25は、膜電極接合体110の一例と組み合わせたバイポーラプレート5を示す分解断面図である。膜電極接合体110は、電極111が公知の方法で固定された膜113を備える。電極111は、ガス拡散層121で覆われている。補強部131は、膜113の周囲に固定されている。補強部131は、ガスケット2と接触している。図25に示すように、ガス拡散層121は、中間領域53の直上又は上方にオーバーラップ部を有している。電極111は、反応領域54の流路541の直上又は上方に位置している。
【0095】
中間領域53の幅は、例えば、膜113又はガス拡散層121を位置決めするための公差、又はシートの型押し加工に関連する公差など、様々な製造及び組立公差が考慮されている。中間領域53は、リブ512から電極111まで延在している。冷媒の流路583は、反応領域54の直下又は下方にあるシート51及び52の間に作られている。冷媒の流路583は、マニホールド593及び594と接続している。中間領域53は、反応物質又は冷媒の短絡が生じ得る領域である。
【0096】
中間領域53の第1の帯域537において、シート51及び52は、図23(A)の断面図から明らかなように、冷媒の流路583の全長に亘って互いに入れ子状に相補的な形状を有している。第2の帯域538は、中間領域53において、第1の帯域537とリブ512との間に形成されている。第2の帯域538においては、シート51及び52が共に冷媒の貯留部536を形成している。第2の帯域538においては、シート51は、レリーフ部、例えば、リブ531の頂部又は平坦な領域581(平坦面581)を含む。これらのレリーフ部は、膜電極接合体110のガス拡散層121と接触している。
【0097】
従って、第2の帯域538において、第1の帯域537によって、流路583又はマニホールド593から生じる流れがブロックされ、この領域53の流れを制限する間、冷媒は、中間領域53における温度制御を行うために存在し得る。さらに、第2の帯域538において、レリーフ部は、領域53内の反応物質の流れを制限する妨げとなり、ガス拡散層121の支持部を形成する。ガス拡散層121が第2の帯域538を部分的に覆うとき、領域53内における反応物質の流れはさらに有利に制限される。
【0098】
図示の例では、シート51及び52はリブを備え、その形状は第1の帯域537において相補的である。これらのリブは、例えば冷媒又は反応物質の流れ方向に垂直な方向に沿って延在している。実際には、シート51及び52は、必ずしも帯域537内で互いに押し付けられるべきではないが、反応領域54から始まり貯留部536へ向かう冷媒の通過面に非常に大きな圧力降下を生じさせるのに十分なだけ近づいているべきである。
【0099】
有利には、各平坦面581の長さ及び幅は、ガス拡散層121に対する良好な支持を確実にするために、少なくとも反応物質の流路541の幅に等しい。有利には、第2の帯域538における流れの可能性を制限するために、シート51及び52は、図23(B)の断面図からより明らかなように、貯留部536と、シート51及び52が互いに押し付けられている領域とを交互に有している。短絡流は、他と比べて、1つの反応物質にとって、より有害であり得るので、平坦な表面の幅は、図23(B)に示されるように、アノード及びカソードにおいて異なることがある。
【0100】
有利には、図23(C)〜図23(F)の断面図からより明らかなように、中間領域53は、第1の帯域537と電極111との間に形成された第3の帯域539を有している。この第3の帯域539では、反応領域54の周囲で冷媒の流れを保証するために、シート51と52との間に、ボリューム部582が形成されている。
【0101】
図17に示す構成に対応する、本発明の第4の態様の第2の変形例を図27図29に示す。ここでの冷媒の流れ方向は、反応物質の流れ方向に対して実質的に垂直である。ここでは、一の反応物質の均質化領域は、反応領域54のいずれかの側で作られる。又、ここでは、反応物質の均質化領域は、シート52の外面上において形成される。
【0102】
この変形例によれば、反応領域54の冷媒の流路に対して、均質化領域50内における冷媒貯留領域を分離することが望ましい。反応領域54はここでは図示していない。
【0103】
均質化領域50では、均質化流路501がシート51の外面上に形成される。これらの流路501は、公知の方法でリブ502によって区切られている。流路501は、反応性領域における流路541がマニホールド591又は596と接続するよう配置されている。この均質化領域50の直下、又は下方に、均質化流路504が、シート52の外面上に作られる。流路504は、公知の方法でリブ505によって区切られている。流路505は、シート52の外面の流路が、マニホールド592又は595と接続するように配置されている。
【0104】
均質化流路501及び504は、ここでは異なる方向に沿って延在している。均質化流路501及び504は、ここでは同じ断面を有する。各均質化流路501は、シート51の内面にスタッド部を形成する凹部503を備える。ここで形成されたスタッド部は、リブ505の内側部分に収容されている。このスタッド部は、リブ505の内側部分と相補的な形状を有している。従って、リブ505の内側部分における冷媒の流れは、シート51のスタッド部によってブロックされる。各均質化流路504は、シート52の内面にスタッド部を形成する凹部506を含む。ここで形成されたスタッド部は、リブ502の内側部分に収容されている。このスタッド部は、リブ502の内側部分と相補的な形状を有する。従って、リブ502の内側部分における冷媒の流れは、シート52のスタッド部によって阻止される。従って、図29により良く示されているように、様々なスタッド部を通る破断断面図に対応して帯域537が形成され、ここでは、反応領域において少なくとも1つの冷媒の流路の全長に亘り、シート51と52は互いに入れ子状の相補形状をしている。従って、この帯域537は、冷媒貯留部を含む均質化領域50の一部分と、反応領域54の冷媒流路及び冷媒マニホールドと接続する別の領域とを分離する。図示された例では、反応領域の周辺部で冷媒の流れを保証するために、シート51と52との間にボリューム部582が作られている。
【0105】
図17に示す構成に対応する、本発明の第4の態様の第3の変形例を図30に示す。ここでの冷媒の流れ方向は、反応物質の流れ方向に対して実質的に垂直である。ここで、一の反応物質の均質化領域は、反応領域54のいずれかの側で作られる。又、反応物質の均質化領域は、シート52の外面上において形成される。この変形例によれば、反応領域54の冷媒流路に対して均質化領域50内の冷媒貯留領域を分離することも望ましい。反応領域54はここでは図示していない。
【0106】
均質化領域50では、シート51の外側に向かって、又はシート51の内側に向かって突出するスタッド部が形成される。この均質化領域50の直下、又は下方に、シート52の外側に向かって、又はシート52の内側に向かって突出するスタッド部も形成される。従って、シート51及び52は、公知の方法でこれらのスタッド部による反応物質の均質化を行う。
【0107】
シート51の内面から突出したスタッド部519は、シート52の内面から突出したスタッド部529に当接する。このようにして均質化領域50の直下又は下方にあるシート51及び52の間に冷媒のボリューム部が作られる。さらに、シート52は、内側に突出するスタッド部507と、外側に突出するスタッド部508とを交互に有する。シート51は、内向きに突出するスタッド部と、スタッド部507、508と相補的な形状を有する外向きに突出したスタッド部とを交互に含んでいる。スタッド部507及び508は、少なくとも反応領域の冷媒流路の長さに亘って、帯域537におけるシート51の対応するスタッド部に入れ子状態になっている。
【0108】
従って、この帯域537は、冷媒貯留部を備える均質化領域50の一部分と、反応領域54の冷媒流路及び冷媒マニホールドと接続する別の領域とを分離する。図示された例では、反応領域の周囲で冷媒の流れを保証するために、シート51と52との間にボリューム部582が形成されている。
【0109】
本発明の第5の態様は、図31図39に示すバイポーラプレートに関する。図31は、本発明のこの第5の態様の一実施形態によるバイポーラプレート5の一例の分解斜視図である。
【0110】
本発明のこの第5の態様によれば、各バイポーラプレート5は、結合された導電性シート51及び52を備える。又、導電性シート51、52は、溶接により結合された、型押しされた金属シートから形成されてもよい。冷媒流路583は、有利には、シート51と52との間に形成され、上述したように、冷媒の入口及び出口用マニホールドと接続している。
【0111】
先の実施例と同様に、シート51の外面は、反応物質、例えば燃料用の流路541を画定するリブ542を含む。ここで、流路541は、マニホールド591及び596に接続するように配置されている。流路541を含む領域は、電気化学セルの反応領域54に対応する。シート51の外面は又、マニホールド591と596との間に延在するリブ512を備える。リブ512は、マニホールド591と596の間に延在するガスケット2の支持部を形成することを目的としている。又、リブ515が、マニホールド591と596との間に延在している。ここで、ガスケット2は、リブ512、515を跨いでおり、リブ512、515間に形成された溝にも跨っている。
【0112】
又、シート51の外面はリブ512と反応領域の周囲のリブ542との間に位置する中間領域53を含む。中間領域53は、プロトン交換膜のオーバーラップ部又は反応領域を越えたガス拡散層のオーバーラップ部を受け入れるようになっている。中間領域53の幅は、様々な製造及び組立公差、例えば膜又はガス拡散層の位置決めの公差、又はシートの型押し加工に関連する公差が考慮されている。
【0113】
シート52の外面は、酸化剤用の流路563を画定するリブ564を含む。ここで、流路563は、マニホールド592及び595に接続するように配置されている。流路563を含む領域も、電気化学セルの反応領域に対応する。シート52の外面は又、マニホールド591と596との間に延在するリブ568を備える。リブ568は、ガスケット2の支持部を形成し、マニホールド592と595との間に延在するように意図されている。電気化学セルのスタックの圧縮が、様々なガスケットに対して適切に垂直に加えられるように、リブ568はリブ562の直下に配置されている。
【0114】
又、シート52の外面は、リブ568と反応領域の周囲のリブ564との間に位置する中間領域57を含んでいる。中間領域57は、プロトン交換膜のオーバーラップ部又は反応領域を越えたガス拡散層のオーバーラップ部を受け入れるようになっている。又、中間領域57の幅は、種々の製造及び組立公差、例えば膜又はガス拡散層の位置決めの公差、又はシートのエンボス加工に関連する公差が考慮されている。
【0115】
中間領域53は、リブ584又は517と凹部532とを交互に有している。これらのリブ584又は517は、リブ512と反応領域の周囲のリブ542との間に延在している。リブ584及び517は、マニホールド591及び596を結ぶ軸に対して垂直に延在している。この例では、リブ517及び584は、リブ512に対して垂直に延び、反応領域の周囲のリブ542に対して垂直である。
【0116】
中間領域57は、リブ561又は566と、凹部562とを交互に有している。これらのリブ561又は566は、リブ568と反応領域の周囲のリブ564との間に延在している。リブ561又は566は、マニホールド592及び595を結ぶ軸に対して垂直に延在している。この例では、リブ561又は566は、リブ568に対して垂直に延び、反応領域の周囲のリブ564に対して垂直である。
【0117】
中間領域53及び57は、反応物質の短絡の影響を受ける。リブ517及び584は、中間領域53における燃料の潜在的な流動面積を減少させ、リブ566及び561は、中間領域57における酸化剤の潜在的な流動面積を減少させる。
【0118】
本発明の第5の態様によれば、これらのリブの機械的強度に悪影響を及ぼすことなく、反応物質の短絡流を制限するために、中間領域53及び57の特定のリブの幅を増加させることが求められている。
【0119】
この目的のために、各リブ584は、このリブ584が接触する少なくとも2つの凹部562を収容するように構成されている。従って、このリブ584のたるみを避けるために、凹部562によって形成された、いくつかの支持部を用いて、中間領域53における燃料短絡流を制限するために比較的広いリブ584を製造することが可能である。各リブ584は、例えば、少なくともその長さの半分に等しいか、少なくともその長さに等しい幅を有することができる。
【0120】
各リブ566は、このリブ566が接触する少なくとも2つの凹部532を収容するように構成されている。従って、このリブ566のたるみを避けるために、凹部532によって形成された、いくつかの支持部を用いて、中間領域57における燃料短絡流を制限するために、比較的広いリブ566を製造することが可能である。各リブ566は、例えば、少なくともその長さの半分に等しい幅を有することができる。
【0121】
中間領域53、57の流れを最適に制限するために、凹部532とリブ517又は584の間(又は凹部562とリブ566又は561の間)の高さhnrは、反応領域54内の流路の全高さheの少なくとも75%である。heは、この領域内のバイポーラプレート5の厚さから全シート厚さを差し引いて得られる(heは、図37に例示されている)。
【0122】
図示の例では、シート51及び52は、反応領域レベルでバイポーラプレート5の中間平面500と接触している。凹部532及び562、並びにリブ517、584、561及び566は、この中間平面500のいずれかの側に延在している。シート51及び52は、勿論、反応領域において、バイポーラプレート5のこの中間平面500に対してオフセットして接触していてもよい。
【0123】
有利には、図31図35の例に示すように、いくつかの凹部562を収容するリブ584の幅は、いくつかの凹部532を収容するリブ566の幅よりも大きい。実際に、水素分子のような燃料は、空気又は酸素分子のような酸化剤よりも低い粘度を有しており、これは、領域57と比べると、帯域53における短絡流の制限が好ましい理由となっている。図31に示す例では、より多くの支持部を有するリブ584の幅を増加させるために、リブ584は、少なくとも3つの凹部562、この場合は4つの凹部を収容する。
【0124】
本発明の第1及び第5の態様を有利に組み合わせることができる。図39に示す変形例(中間領域53、57の断面図)において、リブ584は、リブ512又はリブ542の間に延在するリブ又は突起部599を備えている。突起部599は、リブ584の高さがリブ542の高さよりも高くなるように、リブ584の頂部556を画定する。突起部599は、リブ561の直上に位置する。2つの凹部562は、各突起部599の両側のリブ584と接触している。突起部599は、凹部562を有するリブ584の頂部556と接触点558との間の接続部551を含んでいる。これらの接続部551は、頂部556と最も近い接触点558とを結ぶ直線に対して凹状になった部分を有している。従って、本発明の第1の態様によれば、中間領域53におけるガス拡散層のオーバーラップ部による圧力の印加中に、突起部599が撓むことが好ましい。
【0125】
図38に示す例では、各対の凹部562の間に突起部599が形成されている。図39に示す例では、突起部599は、特定のリブ561の直上にのみ形成されている。
【0126】
同様に、リブ566は、有利には、リブ568とリブ564との間に延在するリブ又は突起部567を備えている。突起部567は、リブ566の頂部を画定し、リブ566は、リブ564の高さよりも高い。突起部567は、リブ517の直下に位置している。2つの凹部532は、各突起部567の両側のリブ566と接触している。突起部567は、その頂部と、凹部532とリブ566との間の最も近い接触部との間の接合部を含んでいる。従って、中間領域57内のガス拡散層のオーバーラップ部による圧力の印加中に、突起部567が撓むことも、好ましい。
図1
図2
図3
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