【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、意外にも簡単な方式で、独立請求項1、11及び12に記載の方法により、並びに更に請求項28に記載の板ガラスにより解決される。好ましい実施態様は、従属請求項に見られる。
【0013】
ガラスリボンの厚みを制御する本発明による方法は、少なくとも次の工程を含む:
a) 引き出し速度v
GB及び正味領域内での平均厚みDで、融液からの引き出し又はプリフォームのリドローにより、ガラスリボンを準備する工程。
b) この正味幅でガラスリボンの基準厚みを予め設定する工程。この場合、ガラスリボンの特性が、仕上がったガラスリボンの後の販売を行えるであろう詳細に記述された限界内にあるようなガラスリボンの幅が、ガラスリボンの正味幅といわれる。ガラスリボンの正味幅Bは、つまりガラスリボンの品質領域の幅Bである。
c) ガラスリボンの全体の正味幅にわたるガラスリボンの厚みを決定する工程。
d) 予め設定された基準厚みからのガラスリボンの少なくとも1つの厚みの偏差を決定する工程。
e) ガラスリボン上で厚み偏差の領域を確定する工程。
f) ガラスリボン上の少なくとも1つの厚み偏差の領域をレーザーにより加熱する工程。この場合、レーザーは、厚み偏差の領域に作用し、この領域を加熱する。この加熱により、この領域は予め設定された厚みになることが起こる。更に、この加熱は、レーザービームの出力、レーザービームの照射時間及び/又はレーザーの波長の少なくとも1つを、工程c)において決定された、ガラスリボンの品質領域中のガラスリボンの厚みに依存して、つまりガラスリボンの特性が予め詳細に記述された限界内にありかつそれにより後の使用、例えば販売を行うことができる領域中のガラスリボンの厚みに依存して制御することを含む。
【0014】
本発明による方法の場合に、レーザーは、ガラスリボンの全体の正味幅が走査可能であるようにスキャンヘッドを備えている。ガラスリボンの正味幅B、つまりガラスリボンの品質領域の幅B、ガラスリボンの引き出し速度v
GB、レーザービームのビーム直径D、並びにレーザーのスキャン速度v
Las、並びに補正係数kの間に、次の関係が存在する:
2・k・v
GB・B<D・v
Las
【0015】
本発明を用いて、生じる厚み偏差を、方法に従って、いくつかの操作量の補正係数kに還元し、かつこれに基づいて方法パラメーターの更なる変化を調節することが簡単に可能である。このk値は、この場合、この領域の各点に、少なくとも1回レーザーが当たるように選択される。
【0016】
したがって、補正係数kは少なくとも1に等しい。好ましくは、kは、1より大である。しかしながら、ビームプロフィールに応じて、kは、他の値をとることもでき、例えば好ましくは10より大、又は少なくとも10に等しくてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態の場合に、レーザービームは、ガラスリボン上の、冷却プロセスにおいてレーザービームの作用なしで10
4〜10
9dPas、好ましくは10
4〜10
8dPasの範囲の粘度を示す位置に作用する。この場合、大きすぎる厚みを示す領域には、適切な厚み又は小さすぎる厚みの領域よりも高いレーザー出力が加えられる。
【0018】
本発明の別の実施形態の場合に、ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光学的距離は、少なくとも1.8〜長くても5.0mの間にある。光学的距離とは、この場合、本発明の範囲内で、ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光路長であると解釈される。したがって、本発明の範囲内で、「光学的距離」と「光路長」との概念は同義に使用されている。スキャナミラーとガラスリボンとの間に、スキャナミラーの角度偏向を光学的に拡大する、例えばミラー及び/又はレンズの形の光学素子が取り付けられている場合に、この光路は、より短く仕上げられていてもよい。この距離の記述は、このような場合に、「光てこ」、つまり、1つ以上の光学部材なしでレーザービームの同じ偏向を達成するために必要となるであろう距離に関する。
【0019】
本発明によるまた別の実施形態の場合に、レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは高くても2000W、特に好ましくは高くても1500Wである。
【0020】
好ましくは、レーザービームは、ガラスリボンの変形区域に作用する。
【0021】
本発明の更に好ましい実施形態の場合に、ガラスリボンの自重の下でガラスリボンの引き出しが行われる。これは、引張を行わない、殊にガラスリボンの側方での引張を行わないことを意味する。
【0022】
本発明の一実施形態の場合に、レーザーは、CO
2レーザーとして形成されている。
【0023】
好ましくは、ガラスリボンの厚みの決定は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行われる。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態の場合に、レーザービームは、ガルバノメータースキャナ及び/又はポリゴンミラーホイールによって偏向される。
【0025】
本発明の別の態様の場合に、リボンの厚みを制御する本発明による方法は、5mm超の波長のうねりなしに、好ましくは1mm超の波長のうねりなしに、ガラス基板又はプラスチック基板の少なくとも1つの選択された領域の第1の表面と第2の表面との間の厚みを制御する方法も含み、この方法は、少なくとも次の工程を含む:
− 溶融したガラス又はプラスチックを準備する工程、
− 溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程、
− リボンの厚みを監視する工程、
− リボン中の少なくとも1つの厚み偏差を確認する工程、
− 粘性の状態の、基板の少なくとも1つの領域を選択する工程、この場合、少なくとも1つの領域は、確認された厚み偏差の領域に相当する、及び
− 粘性の状態の、リボンの少なくとも1つの選択された領域を、レーザービームを用いて加熱する工程、このレーザービームは、レーザービームが選択された領域に作用するように偏向されていて、ここで、この加熱により、リボンの少なくとも1つの選択された領域は予め設定された厚みになることが起こり、かつ、ここで、更に、この加熱は、監視された厚みに依存して、少なくとも、選択された領域に作用するレーザービームの出力、滞留時間又は波長を制御することを含む。
【0026】
本発明の別の態様の場合に、溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程は、リボンのエッジでの引張を行うことを含まず、その際、少なくとも1つの選択された領域の加熱は、粘性の状態で行われる。
【0027】
更に別の態様の場合に、成形する工程は、リボンのエッジでの引張を行うことを含み、その際、少なくとも1つの選択された領域の加熱は、液状の状態で行われ、その際、液状の状態とは、リボンの粘度が10
9dPas未満の値をとる状態が当てはまる。
【0028】
本発明の一実施形態の場合に、レーザーは、リボンの全体の正味幅が走査可能であるようにスキャンヘッドを備えている。更に、リボンの引き出し速度V
B、リボンの正味幅B、レーザービームのビーム直径D、レーザーのスキャン速度v
Las並びに補正係数kの間には、次の関係が存在する:
(1) 2・k・v
B・B<D・v
Las
【0029】
この場合、リボンの正味幅B及びビーム直径Dは、メートルで示されていて、スキャン速度v
Las及びリボンの速度v
Bは、それぞれメートル/秒で示されている。
【0030】
この場合、補正係数kは少なくとも1に等しい。好ましくは、kは、1より大である。しかしながら、ビームプロフィールに応じて、kは、他の値をとってもよく、例えば特に好ましくは10超、又は少なくとも10に等しくてもよい。
【0031】
本発明の別の実施形態の場合に、リボンとスキャナミラーとの間の光学的距離(又は光路長)は、少なくとも1.8m〜長くても5.0mの間にある。スキャナミラーとリボンとの間に、スキャナミラーの角度偏向を拡大する光学素子(例えばミラー又はレンズ)が取り付けられている場合に、この光路は、より短く仕上げられていてよい。この距離の記述は、「光てこ」、つまり光学部材なしでレーザービームの同じ偏向を達成するために必要となるであろう距離に関する。
【0032】
本発明の更に別の実施形態の場合に、スキャンヘッドは、ガルバノメーターアクチュエータ及び/又はポリゴンミラーホイールを用いる。
【0033】
好ましくは、レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは2000W未満、特に好ましくは1500W未満である。
【0034】
本発明の特に好ましい実施形態の場合に、リボンの自重の下でリボンの引張が行われる。これは、殊に、融液からリボンを引き出すために他の装置を必要とせず、むしろ外部の力なしに重力の影響下だけで行うことを意味する。
【0035】
本発明の更に別の実施形態の場合に、レーザーはCO
2レーザーとして形成されている。
【0036】
好ましくは、リボンの厚みの監視は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行われる。
【0037】
本発明の別の実施形態の場合に、加熱は、レーザービームを発生させる装置から反射する表面にレーザービームを偏向すること、及び反射する表面で少なくとも1つの選択された領域にレーザービームを反射させることを含む。
【0038】
本発明の更に別の実施形態の場合に、レーザービームは、リボンの多数の選択された領域に次々に偏向される。
【0039】
ここで、本発明の別の実施形態の場合に、この多数の選択された領域は、リボンの全体の正味幅にわたって延在していてよい。
【0040】
更に、この場合、選択された領域の各々について、少なくとも、レーザービームの出力、滞留時間及び/又は波長は適切に制御及び調節されてよい。
【0041】
本発明の別の実施形態の場合には、レーザービームは、少なくとも部分的にリボンに吸収され、したがって妨げられずにこのリボンを通り抜けない。
【0042】
少なくとも部分的に吸収されるとは、この場合、リボン中でのレーザービームの出力の少なくとも20%のレーザービームの吸収をいう。本発明の一実施形態の場合には、つまり、リボン中でレーザービームの出力の少なくとも20%でレーザービームの吸収が行われる。
【0043】
本発明の別の実施形態の場合に、溶融した材料、つまり、例えば溶融したガラス又は溶融したプラスチックは、引き続く付形を伴う溶融プロセスにおいて、又はガラス又はプラスチックからなるプリフォームの加熱下でのリドローによって提供される。
【0044】
この場合、熱付形は、フロートプロセス、引き出しプロセス、例えばダウンドロープロセス、又はオーバーフローフュージョンプロセスで行うことができる。
【0045】
本発明による方法を用いて、この場合、殊に、特に均一な厚み分布を示す板ガラスを得ることができる。
【0046】
材料からなるリボンの厚み分布に関して、この場合、次のパラメーターが特に重要である:
− 一方で、リボンの全体の正味幅にわたる厚みの変動が重要である。このリボンの正味幅にわたる厚みの変動は、厚み変動又は英語で「total thickness variation」(ttv)ともいわれる。
− 更に、例えばリボンの成形プロセスの間のブローノズルによる、僅かな振幅であるが、所定の周期性又は波長を示す厚み変動の出現も生じる。このいわゆるうねりは、微小うねり又は「waviness」ともいわれ、うねりが生じる波長又は周期性の記述によって正確に規定される。
【0047】
それに対して、本発明による方法を用いて、厚み変動もうねりも明らかに低減されている板ガラスを製造することが可能である。
【0048】
本発明による板ガラスは、300μm以下、好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下、更に特に好ましくは50μm以下の厚みを示し、並びに、100mm超の直径の範囲の、殊に100mm×100mm以上の横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、好ましくは200mm超の直径の範囲の、殊に200mm×200mm以上の横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、特に好ましくは400mm超の直径の範囲の、殊に400mm×400mm横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、25μm以下、好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下、更に特に好ましくは5μm以下の厚み変動を示し、並びに、更に5mm超の波長のうねり、好ましくは3mm超の波長のうねり、特に好ましくは1mm超の波長のうねりを示さない。
【0049】
この板ガラスは、更に好ましくは、アルカリ−ケイ酸塩ガラス、アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス、石灰−ソーダガラス、混合アルカリ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウ素−ケイ酸塩ガラス、リン酸塩−ケイ酸塩ガラス、ホウリン酸塩−ケイ酸塩ガラス、アルミニウム−ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミニウムケイ酸塩ガラス、アルカリ−アルカリ土類−アルミニウム−ケイ酸塩ガラス、ホウ素−アルミニウム−ケイ酸塩ガラス又はホウリン酸塩−アルミニウム−ケイ酸塩ガラスとして形成されている。
【0050】
本発明の一実施形態の場合に、ガラスは、質量%で示した次の組成を示すホウケイ酸塩ガラスである:
SiO
2 64.0
B
2O
3 8.3
Al
2O
3 4.0
Na
2O 6.5
K
2O 7.0
ZnO 5.5
TiO
2 4.0
Sb
2O
3 0.6
Cl
- 0.1
【0051】
この組成によって、次の特性が得られる:
α
(20-300) 7.2・10
-6/K
T
g 557℃
密度 2.5g/cm
3
【0052】
本発明の別の実施態様の場合に、ガラスは、質量%で表した次の組成を示すホウケイ酸塩ガラスである:
SiO
2 80±5
B
2O
3 13±5
Al
2O
3 2.5±2
Na
2O 3.5±2
K
2O 1±1
【0053】
この組成によって、次の特性が得られる:
α
(20-300) 3.25・10
-6/K
T
g 525℃
密度 2.2g/cm
3
【0054】
別の実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すリチウムアルミニウムケイ酸塩ガラスである:
【表1】
【0055】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0056】
本発明のリチウムアルミノケイ酸塩ガラスは、好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表2】
【0057】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0058】
本発明のリチウムアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表3】
【0059】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0060】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成を示す石灰ソーダガラスであり、次のものを有する(質量%で表す):
【表4】
【0061】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0062】
本発明の石灰ソーダガラスは、好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表5】
【0063】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0064】
本発明の石灰ソーダガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表6】
【0065】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0066】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すホウケイ酸塩ガラスである:
【表7】
【0067】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0068】
本発明のホウケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表8】
【0069】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0070】
本発明のホウケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表9】
【0071】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0072】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すアルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラスである:
【表10】
【0073】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0074】
本発明のアルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表11】
【0075】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0076】
本発明のアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表12】
【0077】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0078】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示す低アルカリ含有率を示すアルミノケイ酸塩ガラスである:
【表13】
【0079】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0080】
本発明の低アルカリ含有率のアルミノケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表14】
【0081】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0082】
本発明の低アルカリ含有率のアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表15】
【0083】
場合により、着色性酸化物、例えばNd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2、Cr
2O
3を添加してもよく、As
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SO
3、Cl、F及び/又はCeO
2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0084】
表1は、化学強化された、薄いアルカリ含有ガラスの複数の典型的な実施形態を示す。
【0085】
表1 アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスの実施形態
【表16】
【0086】
SiO
2、B
2O
3及びP
2O
5は、ガラスネットワーク形成剤として機能する。これらの含有率は、慣用の方法にとって、40%以上であるのが好ましく、そうでないとガラスプレート又はガラス層は形成されず、かつ壊れやすいか又は脆くなり、透明性を失う。比較的高いSiO
2含有率は、ガラス製造の間に比較的高い溶融温度及び加工温度を必要とし、したがって、この含有率は通常では90%未満であることが好ましい。B
2O
3及びP
2O
5をSiO
2に添加することは、ネットワーク特性を改質し、ガラスの溶融温度及び加工温度を低下させることができる。同様に、ガラスネットワーク形成剤は、ガラスのCTEに強く影響を及ぼす。
【0087】
更に、B
2O
3は、ガラスネットワーク中で、外部からの荷重により良好に適合させることができる2つの異なる多面体構造を形成することができる。B
2O
3の添加は、原則として、低い熱膨張率及び低いヤング率を生じさせ、このことは、また良好な温度変化耐久性及び比較的緩慢な化学強化を引き起こす。したがって、極薄ガラスへのB
2O
3の添加は、化学強化をより大規模に改善することができ、かつそれにより化学強化された薄板ガラスは、実際の適用のためにより大規模に使用することができる。
【0088】
Al
2O
3は、ガラスネットワーク形成剤としても、ガラスネットワーク改質剤としても機能する。ガラスネットワーク中では、Al
2O
3の量に依存して、[AlO
4]四面体及び[AlO
6]六面体が形成される。これらは、ガラスネットワーク内でのイオン交換のための空間のサイズが変わることにより、イオン交換速度を調節することができる。Al
2O
3の量が多すぎる場合、例えば40%より高い場合には、ガラスの溶融温度及び加工温度を極めて大幅に高め、これが結晶化する傾向を生じさせ、これにより、ガラスが透明性及び柔軟性を失うことになる。
【0089】
K
2O、Na
2O及びLi
2Oのようなアルカリ金属酸化物は、ガラス加工改質剤として機能し、かつこれらはガラスネットワークを、ガラスネットワークの内部での非架橋酸化物(非架橋酸素)の形成により破壊することができる。アルカリ金属添加は、ガラスの加工温度を低下させ、かつガラスのCTEを高めることができる。Na及びLiの存在は、化学強化をするために、極薄フレキシブルガラスにとって必要であり、Na
+/Li
+、Na
+/K
+及びLi
+/K
+のイオン交換は、強化のために必要な工程である。ガラスがアルカリ金属自体を含まない場合には、ガラスは強化されない。しかしながら、アルカリ金属の全体量は、30%以下であることが好ましく、そうでないとガラスネットワークは、ガラスの形成なしに、完全に破壊される。他の重要な要因は、薄板ガラスが低いCTEを示すことが好ましく、かつガラスは、この要件を満たすために過剰量のアルカリ金属を含まないことが好ましいことである。
【0090】
MgO、CaO、SrO及びBaOのようなアルカリ土類元素は、ネットワーク改質材として機能し、かつガラスの形成温度を低下させることができる。これらの元素は、ガラスのCTE及びヤング率を変更することができ、かつアルカリ土類元素は、特別な要件を満たすためにガラスの屈折率を変更するために、極めて重要な機能を示す。例えば、MgOは、ガラスの屈折率を低下させることができ、BaOは屈折率を向上させることができる。アルカリ土類元素の量は、ガラス製造の場合に40%以下であるのが好ましい。
【0091】
ZnO及びZrO
2のような、ガラス中のいくつかの遷移金属元素は、アルカリ土類元素の機能と類似する機能を示す。Nd
2O
3、Fe
2O
3、CoO、NiO、V
2O
5、MnO
2、TiO
2、CuO、CeO
2及びCr
2O
3のような他の遷移金属元素は、着色剤として機能し、それによりガラスは特別な光子を示すか又は光学機能を示し、例えばカラーフィルタ機能又は光変換を示す。
【0092】
実施例
次に、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0093】
実施例1
リドロー装置で、6.8mmの厚み並びに400mmの正味幅を示すホウケイ酸塩ガラスからなるプリフォームを引き出して、50μmの厚みを示す薄いガラスフィルムにする。この場合、貴金属からなる加熱区域を使用する。このヒーターの約30mm下に、走査するCO
2レーザービームの供給のために、炉内に水平のスリットが存在する。この位置で、リボンは、レーザーなしで4・10
6dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では16ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0094】
実施例2
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、レーザー加熱なしで、6・10
5dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では3ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0095】
実施例3
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、レーザー加熱なしで、10
7dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では37ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0096】
実施例4
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、全体の正味幅にわたり500ワットの連続的なレーザー加熱により6・10
5dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが小さすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、薄い位置では、リボンの残りの中よりも3ワット低い平均レーザー出力が置かれる。それにより、小さすぎる厚みを示す領域内で厚みを10μmだけ厚くすることができる。
【0097】
次に、本発明を図面によって例示的に説明する。この場合、同じ符号は同じ対象を示す。