特許第6902877号(P6902877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902877
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】基板の厚みを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20210701BHJP
   C03B 29/16 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C03B17/06
   C03B29/16
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-18227(P2017-18227)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-137237(P2017-137237A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2020年2月3日
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 007.9
(32)【優先日】2016年2月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク ビュレスフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク ハーゼルホアスト
【審査官】 有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−536895(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/136054(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/102175(WO,A1)
【文献】 特表2009−501452(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/010706(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0000345(US,A1)
【文献】 特表2004−528264(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/152342(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/06
C03B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の工程:
a) 引き出し速度vGB及び正味領域内での平均厚みDで、融液からの引き出し又はプリフォームのリドローにより、ガラスリボンを準備する工程、
b) 前記ガラスリボンの基準厚みを予め設定する工程、
c) 前記ガラスリボンの全体の正味幅にわたる前記ガラスリボンの厚みを決定する工程、
d) 前記予め設定された基準厚みからの前記ガラスリボンの、少なくとも1つの厚みの偏差を決定する工程、
e) 前記ガラスリボン上で前記厚み偏差の領域を確定する工程、
f) 前記ガラスリボン上の少なくとも1つの厚み偏差の領域をレーザーにより加熱する工程を含み、
レーザービームは、前記厚み偏差の領域に作用し、かつ前記領域を加熱し、前記加熱により、前記領域は、前記予め設定された厚みになることが起こり、かつ、更に、前記加熱は、少なくとも、前記レーザービームの出力、前記レーザービームの照射時間又は前記レーザーの波長を、前記ガラスリボンの、工程c)において決定された厚みに依存して制御することを含み、
前記レーザーは、前記ガラスリボンの全体の正味幅が走査可能であるように、スキャンヘッドを備え、かつ、前記ガラスリボンの正味幅B、前記ガラスリボンの引き出し速度vGB、前記レーザービームのビーム直径D、並びに前記レーザーのスキャン速度vLas、並びに補正係数kの間に、次の関係が存在し、
2・k・vGB・B<D・vLas
前記補正係数kは、少なくとも1に等しく、好ましくは1より大であり、特に好ましくは10より大であり、又は少なくとも10に等しい、
ガラスリボンの厚みを制御する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの厚み偏差の領域は、加熱前に、104〜109dPas、好ましくは104〜108dPasの範囲の粘度を示し、大きすぎる厚みを示す領域には、適切な厚み又は小さすぎる厚みを示す領域よりも高いレーザー出力が加えられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光てこ又は光路長は、少なくとも1.8m〜長くても5.0mである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは高くても2000W、特に好ましくは高くても1500Wである、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザービームは、前記ガラスリボンの変形区域に作用する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記引き出しを、前記ガラスリボンの自重の下で行う、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザーは、CO2レーザーとして形成されている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスリボンの厚みの決定は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行う、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザービームを、ガルバノメータースキャナ及び/又はポリゴンミラーホイールによって偏向する、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
5mm超の波長のうねりなしに、好ましくは1mm超の波長のうねりなしに、ガラス基板又はプラスチック基板の少なくとも1つの選択された領域の第1の表面と第2の表面との間の厚みを制御する方法において、
a) 溶融したガラス又はプラスチックを準備する工程、
b) 前記溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程、ここで、前記成形は、前記リボンのエッジでの引張を行うことを含まない、
c) 前記リボンの厚みを監視する工程、
d) 前記リボン中の少なくとも1つの厚み偏差を確認する工程、
e) 粘性の状態の、基板の少なくとも1つの領域を選択する工程、ここで、前記少なくとも1つの領域は、105dPasより大きい粘度を有し、前記確認された厚み偏差の領域に相当する、及び
f) 粘性の状態の、前記リボンの少なくとも1つの選択された領域を、レーザービームを用いて加熱する工程を含み、
前記レーザービームは、前記レーザービームが前記選択された領域に作用するように偏向されていて、前記加熱により、前記リボンの少なくとも1つの選択された領域は、予め設定された厚みになることが起こり、かつ、更に、前記加熱は、前記監視された厚みに依存して、少なくとも、前記選択された領域に作用する前記レーザービームの出力、滞留時間又は波長を制御することを含み、
前記レーザーは、前記リボンの全体の正味幅が走査可能であるように、スキャンヘッドを備え、かつ、更に前記リボンの引き出し速度vB、前記リボンの正味幅B、前記レーザービームのビーム直径D、前記レーザーのスキャン速度vLas、並びに補正係数kの間に、次の関係が存在し、
2・k・vB・B<D・vLas
前記補正係数kは、少なくとも1に等しく、好ましくは1より大であり、特に好ましくは10より大であり、又は少なくとも10に等しい、
厚みを制御する方法。
【請求項11】
5mm超の波長のうねりなしに、好ましくは1mm超の波長のうねりなしに、ガラス基板又はプラスチック基板の少なくとも1つの選択された領域の第1の表面と第2の表面との間の厚みを制御する方法において、
a) 溶融したガラス又はプラスチックを準備する工程、
b) 前記溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程、ここで前記成形は、前記リボンのエッジでの引張を行うことを含む、
c) 前記リボンの厚みを監視する工程、
d) 前記リボン中の少なくとも1つの厚み偏差を確認する工程、
e) 液状の状態の、基板の少なくとも1つの領域を選択する工程、ここで、液状の状態とは、109dPas未満の粘度を示し、かつ、ここで、更に前記少なくとも1つの領域は、前記確認された厚み偏差の領域に相当する、及び
f) 液状の状態の、前記リボンの少なくとも1つの選択された領域を、レーザービームを用いて加熱する工程を含み、
前記レーザービームは、前記レーザービームが前記選択された領域に作用するように偏向されていて、前記加熱により、前記リボンの少なくとも1つの選択された領域は予め設定された厚みになることが起こり、かつ、ここで、更に、前記加熱は、前記監視された厚みに依存して、少なくとも、前記選択された領域に作用するレーザービームの出力、滞留時間又は波長を制御することを含み、
前記レーザーは、前記リボンの全体の正味幅が走査可能であるように、スキャンヘッドを備え、かつ、更に前記リボンの引き出し速度vB、前記リボンの正味幅B、前記レーザービームのビーム直径D、前記レーザーのスキャン速度vLas、並びに補正係数kの間に、次の関係が存在し、
2・k・vB・B<D・vLas
前記補正係数kは、少なくとも1に等しく、好ましくは1より大であり、特に好ましくは10より大であり、又は少なくとも10に等しい、
方法。
【請求項12】
リボンとスキャナミラーとの間の光学的距離又は光路長は、少なくとも1.8m〜長くても5.0mである、
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記スキャヘッドは、ガルバノメーターアクチュエータ及び/又はポリゴンミラーホイールを用いる、
請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは高くても2000W、特に好ましくは高くても1500Wである、
請求項10から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記リボンの引き出しを、リボンの自重の下で行う、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザーは、CO2レーザーとして形成されている、
請求項10から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記リボンの厚みの監視は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行う、
請求項10から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱は、前記レーザービームを発生させる装置から反射する表面に、前記レーザービームを偏向すること、及び前記反射する表面で、前記少なくとも1つの選択された領域に、前記レーザービームを反射させることを含む、
請求項10から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザービームを、前記リボンの、多数の選択された領域に次々に偏向する、
請求項10から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記多数の選択された領域は、前記リボンの全体の正味幅にわたって延在している、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記選択された領域の各々について、少なくとも前記レーザービームの出力、滞留時間及び/又は波長を、適切に制御及び調節する、
請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記リボン中で、前記レーザービームの吸収が、前記レーザービームの出力の少なくとも20%で行われる、
請求項10から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記溶融したガラス又は前記溶融したプラスチックは、引き続く付形を伴う溶融プロセスにおいて提供されるか、又はガラス又はプラスチックからなるプリフォームの加熱下でのリドローにより提供される、
請求項10から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
記付形は、フロートプロセス、引き出しプロセス、例えばダウンドロープロセス、又はオーバーフローフュージョンプロセスで行われる、
請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、例えばガラス又はプラスチックからなる基板の厚みを制御する方法、並びにこの方法により製造された基板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板、例えばガラス又はプラスチックからなる基板の製造方法は、既に以前から公知である。例えば、独国特許発明第10128636号明細書(DE 101 28 636 C1)の文献は、板ガラスの厚みに選択的に影響を及ぼす方法、並びにこのような方法を実施するための装置を開示している。この場合、板ガラスは、付形直後に、ガラスリボンの全体の幅にわたる装置の前を通過し、この装置ではガラスの制御された冷却が行われ、かつガラスを更にガラスの全体の幅にわたり適切にかつ調節可能に加熱することができ、その際、熱供給はレーザービームを用いて局所的に行われる。このレーザービームは、高い周波数でガラスリボンの幅にわたり案内され、かつこの場合、レーザービームの出力は、相応して適切に調節されるため、相応する加熱出力は空間分解的に達成される。このようにして、板ガラスの幅にわたりできる限り一定の厚みを示す板ガラスが得られる。
【0003】
更に、独国特許出願公開第102008063554号明細書(DE 10 2008 063 554 A1)は、同様にガラスの幅にわたり厚みに適切に影響を及ぼすことができる板ガラスを製造する方法並びに装置を記載する。この場合、ガラスリボンは、スロットオリフィスを通して引き出され、引き続き、壁部が少なくとも部分的にガラスリボンの幅にわたり局所的に変化する放射線吸収性及び/又は熱伝導性を示すように仕上げられているドローイングチャンバ内に案内される。更に、厚み制御を支援するために、レーザービームがガラスリボンに局所的に影響を及ぼすことができる。更に、ガス流が、このリボンの厚みに局所的に適切に影響を及ぼすこともできる。このようにして、ガラスリボンの幅にわたり所望の厚みプロフィールを、例えばリボンの中央部がリボンのエッジに向かう部分よりも大きいガラスの厚みを示すように調節することができるガラスリボンが得られる。
【0004】
米国特許第8,904,822号明細書(US 8,904,822 B2)は、制御された厚みを示すガラス又はプラスチックからなる基板が得られる方法を開示する。この方法の場合に、リボンのエッジでの引張を行うことにより、ガラス又はプラスチックからなるリボンが引き出される。更に、リボンの厚みが決定されかつ制御される。厚みの偏差が確認された場合、この厚み偏差の領域が選択され、この場合、この領域は粘性の状態で存在する。引き続いて、レーザービームがこの領域に偏向されることにより、粘性の状態で存在するこの選択された領域の加熱が行われる。この加熱により、次いでこの領域は所与の厚みになる。この加熱は、レーザー出力の調整、選択された領域でのレーザーの滞留時間の調整及び/又はレーザーの波長の適合を含む。
【0005】
ただし、これらの全ての方法は、一連の欠点を示す。
【0006】
例えば、全ての場合に、引張を行うことにより、例えばリボンの縁部領域でいわゆる耳部ローラーがガラスに接触することにより材料は引き出される。このようにして、もちろん耳部ローラーと接触する位置でリボンの表面損傷が生じることにより、こうして、リボンの全体の幅を使用することができない。
【0007】
例えば、ノズルを介して、厚み制御のためにガス流をリボンに作用させる場合、更に、ノズルの幅、及びノズルによりガラスに対して冷却された面の距離により生じるリボンの正味幅にわたりうねりが起こる。例えば、このようなノズルの分解能が約30mmであるため、この方式では、30mm未満の周期性又は波長を示すリボン内の微細なうねりを取り除くことはできない。この場合、ガラスリボンの特性が所与の仕様内にあるガラスリボンの領域が、正味幅といわれる。したがって、ガラスリボンの正味幅は、ガラスリボンの品質領域の幅であり、原則として、耳部を取り除いた引き出されたガラスリボンから生じる。
【0008】
更に、リボンが粘性の状態にある領域で、ガラス又はプラスチックのリボンの厚みに影響を及ぼす処置がある。この粘性の状態は、この場合、例えば米国特許第8,904,822号明細書(US 8,904,822 B2)から推知することができるように、粘度が105dPasより大きい領域と定義される。ここでは、厚みに低減を達成するために、リボンの材料が十分に流動性であることを満たす、材料の加熱を保証するために、この方式では、極めて高い出力を調達しなければならない。それにより、この方法は、費用がかさむばかりでなく、むしろレーザービームの高いエネルギー若しくは高い出力により厚み制御が十分に正確には行うことができないことも起こるため、ガラス又はプラスチックからなるリボンの正味幅にわたり厚みの所定の変動が相変わらず存在する。
【0009】
したがって、先行技術の存在する弱点を最小化する、ガラス又はプラスチックからなるリボンの厚みの制御された調節のための方法の需要が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ガラス又はプラスチックからなるリボンの厚みの制御された調節のための改善された方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の態様は、極端に僅かな厚み変動を示す、殊に5mmより大きな波長又は周期性を示すうねりなしで、板ガラスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、意外にも簡単な方式で、独立請求項1、11及び12に記載の方法により、並びに更に請求項28に記載の板ガラスにより解決される。好ましい実施態様は、従属請求項に見られる。
【0013】
ガラスリボンの厚みを制御する本発明による方法は、少なくとも次の工程を含む:
a) 引き出し速度vGB及び正味領域内での平均厚みDで、融液からの引き出し又はプリフォームのリドローにより、ガラスリボンを準備する工程。
b) この正味幅でガラスリボンの基準厚みを予め設定する工程。この場合、ガラスリボンの特性が、仕上がったガラスリボンの後の販売を行えるであろう詳細に記述された限界内にあるようなガラスリボンの幅が、ガラスリボンの正味幅といわれる。ガラスリボンの正味幅Bは、つまりガラスリボンの品質領域の幅Bである。
c) ガラスリボンの全体の正味幅にわたるガラスリボンの厚みを決定する工程。
d) 予め設定された基準厚みからのガラスリボンの少なくとも1つの厚みの偏差を決定する工程。
e) ガラスリボン上で厚み偏差の領域を確定する工程。
f) ガラスリボン上の少なくとも1つの厚み偏差の領域をレーザーにより加熱する工程。この場合、レーザーは、厚み偏差の領域に作用し、この領域を加熱する。この加熱により、この領域は予め設定された厚みになることが起こる。更に、この加熱は、レーザービームの出力、レーザービームの照射時間及び/又はレーザーの波長の少なくとも1つを、工程c)において決定された、ガラスリボンの品質領域中のガラスリボンの厚みに依存して、つまりガラスリボンの特性が予め詳細に記述された限界内にありかつそれにより後の使用、例えば販売を行うことができる領域中のガラスリボンの厚みに依存して制御することを含む。
【0014】
本発明による方法の場合に、レーザーは、ガラスリボンの全体の正味幅が走査可能であるようにスキャンヘッドを備えている。ガラスリボンの正味幅B、つまりガラスリボンの品質領域の幅B、ガラスリボンの引き出し速度vGB、レーザービームのビーム直径D、並びにレーザーのスキャン速度vLas、並びに補正係数kの間に、次の関係が存在する:
2・k・vGB・B<D・vLas
【0015】
本発明を用いて、生じる厚み偏差を、方法に従って、いくつかの操作量の補正係数kに還元し、かつこれに基づいて方法パラメーターの更なる変化を調節することが簡単に可能である。このk値は、この場合、この領域の各点に、少なくとも1回レーザーが当たるように選択される。
【0016】
したがって、補正係数kは少なくとも1に等しい。好ましくは、kは、1より大である。しかしながら、ビームプロフィールに応じて、kは、他の値をとることもでき、例えば好ましくは10より大、又は少なくとも10に等しくてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態の場合に、レーザービームは、ガラスリボン上の、冷却プロセスにおいてレーザービームの作用なしで104〜109dPas、好ましくは104〜108dPasの範囲の粘度を示す位置に作用する。この場合、大きすぎる厚みを示す領域には、適切な厚み又は小さすぎる厚みの領域よりも高いレーザー出力が加えられる。
【0018】
本発明の別の実施形態の場合に、ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光学的距離は、少なくとも1.8〜長くても5.0mの間にある。光学的距離とは、この場合、本発明の範囲内で、ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光路長であると解釈される。したがって、本発明の範囲内で、「光学的距離」と「光路長」との概念は同義に使用されている。スキャナミラーとガラスリボンとの間に、スキャナミラーの角度偏向を光学的に拡大する、例えばミラー及び/又はレンズの形の光学素子が取り付けられている場合に、この光路は、より短く仕上げられていてもよい。この距離の記述は、このような場合に、「光てこ」、つまり、1つ以上の光学部材なしでレーザービームの同じ偏向を達成するために必要となるであろう距離に関する。
【0019】
本発明によるまた別の実施形態の場合に、レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは高くても2000W、特に好ましくは高くても1500Wである。
【0020】
好ましくは、レーザービームは、ガラスリボンの変形区域に作用する。
【0021】
本発明の更に好ましい実施形態の場合に、ガラスリボンの自重の下でガラスリボンの引き出しが行われる。これは、引張を行わない、殊にガラスリボンの側方での引張を行わないことを意味する。
【0022】
本発明の一実施形態の場合に、レーザーは、CO2レーザーとして形成されている。
【0023】
好ましくは、ガラスリボンの厚みの決定は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行われる。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態の場合に、レーザービームは、ガルバノメータースキャナ及び/又はポリゴンミラーホイールによって偏向される。
【0025】
本発明の別の態様の場合に、リボンの厚みを制御する本発明による方法は、5mm超の波長のうねりなしに、好ましくは1mm超の波長のうねりなしに、ガラス基板又はプラスチック基板の少なくとも1つの選択された領域の第1の表面と第2の表面との間の厚みを制御する方法も含み、この方法は、少なくとも次の工程を含む:
− 溶融したガラス又はプラスチックを準備する工程、
− 溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程、
− リボンの厚みを監視する工程、
− リボン中の少なくとも1つの厚み偏差を確認する工程、
− 粘性の状態の、基板の少なくとも1つの領域を選択する工程、この場合、少なくとも1つの領域は、確認された厚み偏差の領域に相当する、及び
− 粘性の状態の、リボンの少なくとも1つの選択された領域を、レーザービームを用いて加熱する工程、このレーザービームは、レーザービームが選択された領域に作用するように偏向されていて、ここで、この加熱により、リボンの少なくとも1つの選択された領域は予め設定された厚みになることが起こり、かつ、ここで、更に、この加熱は、監視された厚みに依存して、少なくとも、選択された領域に作用するレーザービームの出力、滞留時間又は波長を制御することを含む。
【0026】
本発明の別の態様の場合に、溶融したガラス又はプラスチックをリボンに成形する工程は、リボンのエッジでの引張を行うことを含まず、その際、少なくとも1つの選択された領域の加熱は、粘性の状態で行われる。
【0027】
更に別の態様の場合に、成形する工程は、リボンのエッジでの引張を行うことを含み、その際、少なくとも1つの選択された領域の加熱は、液状の状態で行われ、その際、液状の状態とは、リボンの粘度が109dPas未満の値をとる状態が当てはまる。
【0028】
本発明の一実施形態の場合に、レーザーは、リボンの全体の正味幅が走査可能であるようにスキャンヘッドを備えている。更に、リボンの引き出し速度VB、リボンの正味幅B、レーザービームのビーム直径D、レーザーのスキャン速度vLas並びに補正係数kの間には、次の関係が存在する:
(1) 2・k・vB・B<D・vLas
【0029】
この場合、リボンの正味幅B及びビーム直径Dは、メートルで示されていて、スキャン速度vLas及びリボンの速度vBは、それぞれメートル/秒で示されている。
【0030】
この場合、補正係数kは少なくとも1に等しい。好ましくは、kは、1より大である。しかしながら、ビームプロフィールに応じて、kは、他の値をとってもよく、例えば特に好ましくは10超、又は少なくとも10に等しくてもよい。
【0031】
本発明の別の実施形態の場合に、リボンとスキャナミラーとの間の光学的距離(又は光路長)は、少なくとも1.8m〜長くても5.0mの間にある。スキャナミラーとリボンとの間に、スキャナミラーの角度偏向を拡大する光学素子(例えばミラー又はレンズ)が取り付けられている場合に、この光路は、より短く仕上げられていてよい。この距離の記述は、「光てこ」、つまり光学部材なしでレーザービームの同じ偏向を達成するために必要となるであろう距離に関する。
【0032】
本発明の更に別の実施形態の場合に、スキャンヘッドは、ガルバノメーターアクチュエータ及び/又はポリゴンミラーホイールを用いる。
【0033】
好ましくは、レーザー出力は、高くても3000W、好ましくは2000W未満、特に好ましくは1500W未満である。
【0034】
本発明の特に好ましい実施形態の場合に、リボンの自重の下でリボンの引張が行われる。これは、殊に、融液からリボンを引き出すために他の装置を必要とせず、むしろ外部の力なしに重力の影響下だけで行うことを意味する。
【0035】
本発明の更に別の実施形態の場合に、レーザーはCO2レーザーとして形成されている。
【0036】
好ましくは、リボンの厚みの監視は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィー及び/又は白色光干渉分光により行われる。
【0037】
本発明の別の実施形態の場合に、加熱は、レーザービームを発生させる装置から反射する表面にレーザービームを偏向すること、及び反射する表面で少なくとも1つの選択された領域にレーザービームを反射させることを含む。
【0038】
本発明の更に別の実施形態の場合に、レーザービームは、リボンの多数の選択された領域に次々に偏向される。
【0039】
ここで、本発明の別の実施形態の場合に、この多数の選択された領域は、リボンの全体の正味幅にわたって延在していてよい。
【0040】
更に、この場合、選択された領域の各々について、少なくとも、レーザービームの出力、滞留時間及び/又は波長は適切に制御及び調節されてよい。
【0041】
本発明の別の実施形態の場合には、レーザービームは、少なくとも部分的にリボンに吸収され、したがって妨げられずにこのリボンを通り抜けない。
【0042】
少なくとも部分的に吸収されるとは、この場合、リボン中でのレーザービームの出力の少なくとも20%のレーザービームの吸収をいう。本発明の一実施形態の場合には、つまり、リボン中でレーザービームの出力の少なくとも20%でレーザービームの吸収が行われる。
【0043】
本発明の別の実施形態の場合に、溶融した材料、つまり、例えば溶融したガラス又は溶融したプラスチックは、引き続く付形を伴う溶融プロセスにおいて、又はガラス又はプラスチックからなるプリフォームの加熱下でのリドローによって提供される。
【0044】
この場合、熱付形は、フロートプロセス、引き出しプロセス、例えばダウンドロープロセス、又はオーバーフローフュージョンプロセスで行うことができる。
【0045】
本発明による方法を用いて、この場合、殊に、特に均一な厚み分布を示す板ガラスを得ることができる。
【0046】
材料からなるリボンの厚み分布に関して、この場合、次のパラメーターが特に重要である:
− 一方で、リボンの全体の正味幅にわたる厚みの変動が重要である。このリボンの正味幅にわたる厚みの変動は、厚み変動又は英語で「total thickness variation」(ttv)ともいわれる。
− 更に、例えばリボンの成形プロセスの間のブローノズルによる、僅かな振幅であるが、所定の周期性又は波長を示す厚み変動の出現も生じる。このいわゆるうねりは、微小うねり又は「waviness」ともいわれ、うねりが生じる波長又は周期性の記述によって正確に規定される。
【0047】
それに対して、本発明による方法を用いて、厚み変動もうねりも明らかに低減されている板ガラスを製造することが可能である。
【0048】
本発明による板ガラスは、300μm以下、好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下、更に特に好ましくは50μm以下の厚みを示し、並びに、100mm超の直径の範囲の、殊に100mm×100mm以上の横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、好ましくは200mm超の直径の範囲の、殊に200mm×200mm以上の横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、特に好ましくは400mm超の直径の範囲の、殊に400mm×400mm横方向寸法でのウェハサイズ又は基板サイズに対して、25μm以下、好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下、更に特に好ましくは5μm以下の厚み変動を示し、並びに、更に5mm超の波長のうねり、好ましくは3mm超の波長のうねり、特に好ましくは1mm超の波長のうねりを示さない。
【0049】
この板ガラスは、更に好ましくは、アルカリ−ケイ酸塩ガラス、アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス、石灰−ソーダガラス、混合アルカリ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウ素−ケイ酸塩ガラス、リン酸塩−ケイ酸塩ガラス、ホウリン酸塩−ケイ酸塩ガラス、アルミニウム−ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミニウムケイ酸塩ガラス、アルカリ−アルカリ土類−アルミニウム−ケイ酸塩ガラス、ホウ素−アルミニウム−ケイ酸塩ガラス又はホウリン酸塩−アルミニウム−ケイ酸塩ガラスとして形成されている。
【0050】
本発明の一実施形態の場合に、ガラスは、質量%で示した次の組成を示すホウケイ酸塩ガラスである:
SiO2 64.0
23 8.3
Al23 4.0
Na2O 6.5
2O 7.0
ZnO 5.5
TiO2 4.0
Sb23 0.6
Cl- 0.1
【0051】
この組成によって、次の特性が得られる:
α(20-300) 7.2・10-6/K
g 557℃
密度 2.5g/cm3
【0052】
本発明の別の実施態様の場合に、ガラスは、質量%で表した次の組成を示すホウケイ酸塩ガラスである:
SiO2 80±5
23 13±5
Al23 2.5±2
Na2O 3.5±2
2O 1±1
【0053】
この組成によって、次の特性が得られる:
α(20-300) 3.25・10-6/K
g 525℃
密度 2.2g/cm3
【0054】
別の実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すリチウムアルミニウムケイ酸塩ガラスである:
【表1】
【0055】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0056】
本発明のリチウムアルミノケイ酸塩ガラスは、好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表2】
【0057】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0058】
本発明のリチウムアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表3】
【0059】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0060】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成を示す石灰ソーダガラスであり、次のものを有する(質量%で表す):
【表4】
【0061】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0062】
本発明の石灰ソーダガラスは、好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表5】
【0063】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0064】
本発明の石灰ソーダガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表6】
【0065】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0066】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すホウケイ酸塩ガラスである:
【表7】
【0067】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0068】
本発明のホウケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表8】
【0069】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0070】
本発明のホウケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表9】
【0071】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0072】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示すアルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラスである:
【表10】
【0073】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0074】
本発明のアルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表11】
【0075】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0076】
本発明のアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表12】
【0077】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0078】
一実施形態の場合に、薄板ガラスは、次の組成(質量%で表す)を示す低アルカリ含有率を示すアルミノケイ酸塩ガラスである:
【表13】
【0079】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0080】
本発明の低アルカリ含有率のアルミノケイ酸塩ガラスは、より好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表14】
【0081】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0082】
本発明の低アルカリ含有率のアルミノケイ酸塩ガラスは、最も好ましくは次の組成(質量%で表す)を示す:
【表15】
【0083】
場合により、着色性酸化物、例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23を添加してもよく、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F及び/又はCeO2 0〜2質量%を清澄剤として添加してもよく、かつ同様に、磁性機能、光子機能又は光学機能をガラス層又はガラスプレートに導入するために、希土類金属酸化物0〜5質量%を添加してもよく、かつ全体の組成の全体量は100質量%である。
【0084】
表1は、化学強化された、薄いアルカリ含有ガラスの複数の典型的な実施形態を示す。
【0085】
表1 アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスの実施形態
【表16】
【0086】
SiO2、B23及びP25は、ガラスネットワーク形成剤として機能する。これらの含有率は、慣用の方法にとって、40%以上であるのが好ましく、そうでないとガラスプレート又はガラス層は形成されず、かつ壊れやすいか又は脆くなり、透明性を失う。比較的高いSiO2含有率は、ガラス製造の間に比較的高い溶融温度及び加工温度を必要とし、したがって、この含有率は通常では90%未満であることが好ましい。B23及びP25をSiO2に添加することは、ネットワーク特性を改質し、ガラスの溶融温度及び加工温度を低下させることができる。同様に、ガラスネットワーク形成剤は、ガラスのCTEに強く影響を及ぼす。
【0087】
更に、B23は、ガラスネットワーク中で、外部からの荷重により良好に適合させることができる2つの異なる多面体構造を形成することができる。B23の添加は、原則として、低い熱膨張率及び低いヤング率を生じさせ、このことは、また良好な温度変化耐久性及び比較的緩慢な化学強化を引き起こす。したがって、極薄ガラスへのB23の添加は、化学強化をより大規模に改善することができ、かつそれにより化学強化された薄板ガラスは、実際の適用のためにより大規模に使用することができる。
【0088】
Al23は、ガラスネットワーク形成剤としても、ガラスネットワーク改質剤としても機能する。ガラスネットワーク中では、Al23の量に依存して、[AlO4]四面体及び[AlO6]六面体が形成される。これらは、ガラスネットワーク内でのイオン交換のための空間のサイズが変わることにより、イオン交換速度を調節することができる。Al23の量が多すぎる場合、例えば40%より高い場合には、ガラスの溶融温度及び加工温度を極めて大幅に高め、これが結晶化する傾向を生じさせ、これにより、ガラスが透明性及び柔軟性を失うことになる。
【0089】
2O、Na2O及びLi2Oのようなアルカリ金属酸化物は、ガラス加工改質剤として機能し、かつこれらはガラスネットワークを、ガラスネットワークの内部での非架橋酸化物(非架橋酸素)の形成により破壊することができる。アルカリ金属添加は、ガラスの加工温度を低下させ、かつガラスのCTEを高めることができる。Na及びLiの存在は、化学強化をするために、極薄フレキシブルガラスにとって必要であり、Na+/Li+、Na+/K+及びLi+/K+のイオン交換は、強化のために必要な工程である。ガラスがアルカリ金属自体を含まない場合には、ガラスは強化されない。しかしながら、アルカリ金属の全体量は、30%以下であることが好ましく、そうでないとガラスネットワークは、ガラスの形成なしに、完全に破壊される。他の重要な要因は、薄板ガラスが低いCTEを示すことが好ましく、かつガラスは、この要件を満たすために過剰量のアルカリ金属を含まないことが好ましいことである。
【0090】
MgO、CaO、SrO及びBaOのようなアルカリ土類元素は、ネットワーク改質材として機能し、かつガラスの形成温度を低下させることができる。これらの元素は、ガラスのCTE及びヤング率を変更することができ、かつアルカリ土類元素は、特別な要件を満たすためにガラスの屈折率を変更するために、極めて重要な機能を示す。例えば、MgOは、ガラスの屈折率を低下させることができ、BaOは屈折率を向上させることができる。アルカリ土類元素の量は、ガラス製造の場合に40%以下であるのが好ましい。
【0091】
ZnO及びZrO2のような、ガラス中のいくつかの遷移金属元素は、アルカリ土類元素の機能と類似する機能を示す。Nd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2及びCr23のような他の遷移金属元素は、着色剤として機能し、それによりガラスは特別な光子を示すか又は光学機能を示し、例えばカラーフィルタ機能又は光変換を示す。
【0092】
実施例
次に、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0093】
実施例1
リドロー装置で、6.8mmの厚み並びに400mmの正味幅を示すホウケイ酸塩ガラスからなるプリフォームを引き出して、50μmの厚みを示す薄いガラスフィルムにする。この場合、貴金属からなる加熱区域を使用する。このヒーターの約30mm下に、走査するCO2レーザービームの供給のために、炉内に水平のスリットが存在する。この位置で、リボンは、レーザーなしで4・106dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では16ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0094】
実施例2
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、レーザー加熱なしで、6・105dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では3ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0095】
実施例3
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、レーザー加熱なしで、107dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが大きすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、厚い位置では37ワットの平均レーザー出力が置かれる。それにより、大きすぎる厚みを示す領域内で10μmだけ厚みを薄くすることができる。
【0096】
実施例4
ダウンドロー装置で、貴金属オリフィスを通して、0.3mmの厚みを示すガラスリボンを引き出す。スリットを通して、走査するレーザービームをガラスリボンに当てる。この位置で、ガラスは、全体の正味幅にわたり500ワットの連続的なレーザー加熱により6・105dPasの粘度を示す。このように作製されたリボンを、引き出し方向に対して横断する方向で色共焦点センサを用いて測定する。厚み分布から、どの横方向位置でガラスが小さすぎる厚みを示すかを突き止める。この情報を用いて、位置、レーザー出力及びビーム速度を含むスキャンプログラムを生成する。この場合、薄い位置では、リボンの残りの中よりも3ワット低い平均レーザー出力が置かれる。それにより、小さすぎる厚みを示す領域内で厚みを10μmだけ厚くすることができる。
【0097】
次に、本発明を図面によって例示的に説明する。この場合、同じ符号は同じ対象を示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】本発明による方法の一実施形態の場合のガラスリボン、スキャナ及びレーザーの原理的な配置を示す。
図2】本発明の別の実施形態による、光てこの拡大のために、スキャナとガラスリボンとの間に付加的光学系を備えた、ガラスリボン、スキャナ及びレーザーの原理的な配置を示す。
図3】本発明による方法により製造されたガラスリボンと、本発明による方法によらずに製造されたガラスリボンとについての厚みプロフィールの略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
図1は、略図において、本発明による方法の場合のレーザー及びガラスリボンの配置を示す。レーザービーム11を発生するための装置1、並びにここでは例示的にポリゴンミラーホイールが備えられたスキャナ2が図示されている。レーザー出力並びにスキャナ角度の調節は、制御部3によって行われる。更に、ガラスリボンのプリフォーム5が図示されている。ここでは、例示的に、プリフォーム5がモノリス状のガラスプリフォームとして形成されている。したがって、ここに例示された実施例の場合のガラスリボンを製造する方法は、いわゆるリドロー法である。ガラスリボン6の付形は、ここでは、ここに略示的に示された変形区域51内でのプリフォーム5の意図的な加熱により行われ、その際、ガラスリボンは、矢印7で示された方向に動かされる。この変形区域は、この場合、ガラスを変形することができる、つまり104〜109dPas、好ましくは104〜108dPasの粘度を示す区域として定義されている。生じるガラスリボンは、いわゆる品質領域8により特徴付けられていて、この品質領域8内では、生じるガラスリボン6の特性が、製品特性に対して予め設定された仕様内にある。この品質領域8は幅Bを示し、かつ品質領域8の縁部9により区切られる。品質領域8の外側では、例えば耳部ローラーがガラスリボンの表面と接触するため、この場合ではガラスの十分な表面品質がもはや提供されない。更に、ガラスリボンの縁部は、原則として、製造に基づき、例えば厚くなった耳部の形で更なる起伏を示す。同様に、レーザーとガラスリボンとの間の光学的距離4が示されている。光学的距離とは、この場合、本発明の範囲内で、ガラスリボンとスキャナミラーとの間の光路長であると解釈される。したがって、本発明の範囲内で、「光学的距離」と「光路長」との概念は同義に使用されている。スキャナミラーとガラスリボンとの間に、スキャナミラーの角度偏向を拡大する、例えばミラー及び/又はレンズの形の光学素子が取り付けられている場合に、この光路はより短く仕上げられていてもよい。この距離の記述は、このような場合に、「光てこ」、つまり、1つ以上の光学部材なしでレーザービームの同じ偏向を達成するために必要となるであろう距離に関する。
【0100】
レーザービーム11は、スキャナ2によって、ガラスリボン6上の区間10に沿って案内され、この場合、レーザーは、ガラスリボン6の品質領域8の正味幅Bを走査する。区間10に沿って、ガラスリボン6は、104〜109dPas、好ましくは104〜108dPasの粘度を示す。
【0101】
一般に、ここに示された実施例に限定されることなく、ガラスリボン6は、例えばいわゆるダウンドロー法又はオーバーフローフュージョン法の場合のように、融液から直接引き出すことによって製造することもできる。
【0102】
図2は、本発明による方法の別の実施形態の場合のレーザー及びガラスリボンの配置の別の略図を示す。図1に示した方法とは異なり、ここでは更に、ガラスリボンとスキャナミラーとの間で所与の距離41において光てこを拡大するために、スキャナ2とガラスリボン6との間の光路中に光学系12が挿入されている。
【0103】
図3は、左の部分に、本発明により得られたガラス板21についての厚みプロフィール213および本発明によらないガラス板20についての厚みプロフィール203の図を略示的に示す。x軸上には、ここでは、ガラス板上での測定点の位置がプロットされている。y軸上には、基準厚みからの偏差が任意単位で示されていて、この場合、基準厚みは値0である。本発明の方法による厚みの補正を用いずに製造されたガラス板20についての厚みプロフィール203は、本発明による方法により製造されたガラス板21についての厚みプロフィール213よりも、基準厚さからの明らかに強い偏差を示すことが明らかに認識できる。
【0104】
図3の右上の部分に、表面201,202を備えた本発明によらないガラス板20が略示的に示されている。更に、ここには、同様に、ガラス板20の厚みプロフィール203も図示されている。図3の右下部分に、表面211及び212を備えたガラス板21が略示的に示されていて、この場合、ガラス板21は、厚み補正のために本発明による方法を用いて得られた。更に、厚みプロフィール213が示されている。両方の厚みプロフィール203及び213の尺度は、この場合、両方の図について同じに選択されている。ここでも、本発明により得られたガラス板21の場合に、厚み補正を行わなかったガラス板20の場合よりも、基準厚みからの明らかに低い偏差を生じることが明らかに認識できる。
【符号の説明】
【0105】
1 レーザービームを発生するための装置
10 レーザーの走査区間
11 レーザービーム
12 光てこの拡大のための光学系
2 スキャナ
3 制御部
4 光学的距離/光路長
41 スキャナミラーとガラスリボンとの実際の距離
5 プリフォーム
51 変形区間
6 引き出されたガラスリボン
7 引き出し方向
8 品質領域
9 品質領域の境界
20 厚みの補正なしのガラス板
201,202 ガラス板20の表面
203 ガラス板20の厚みプロフィール
21 厚みの補正ありのガラス板
211,212 ガラス板21の表面
213 ガラス板21の厚みプロフィール
図1
図2
図3