特許第6902890号(P6902890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902890
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】コネクタおよびライトユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/57 20110101AFI20210701BHJP
   H01R 4/48 20060101ALI20210701BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20210701BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20210701BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20210701BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210701BHJP
【FI】
   H01R12/57
   H01R4/48 A
   F21S2/00 230
   F21V23/06
   F21Y103:10
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-62102(P2017-62102)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-166022(P2018-166022A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 章裕
(72)【発明者】
【氏名】奥田 典明
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−14237(JP,A)
【文献】 特開2016−225255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 − 12/91
H01R 4/48
F21V 23/00 − 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が実装されたモジュール基板に設けられるコネクタであって、
前記モジュール基板に設けられた貫通穴に対向して配置される矩形状パターンを有する基部と、
前記モジュール基板に設けられたパッドと電気的に接続され、前記矩形状パターンの1組の対向辺に設けられた一対の基板接続部と、
前記矩形状パターンの2つの面のうち、前記貫通穴に対向する面に設けられた貫通部と、
前記光源に電力を供給する電線が挿入される、前記貫通部に前記基部とは反対側に設けられた電線挿入部と、
を有し、
前記基部、前記一対の基板接続部、前記貫通部および前記電線挿入部が導体で構成され、
前記対向辺に平行な方向の長さである幅について、前記電線挿入部における幅が前記貫通穴の幅よりも短く、前記貫通部における幅が前記電線挿入部の幅よりも短い構成であり、
前記基部は、平面形状の吸着部と、前記吸着部の長手方向の両端に位置する対向辺から前記貫通部の方向に折れ曲がった一対の突出部とを有し、
前記一対の基板接続部のそれぞれは、前記一対の突出部のそれぞれの先端から前記吸着部と平行に前記吸着部から離れる方向に延びた形状である
コネクタ。
【請求項2】
前記電線挿入部は、前記基部に平行な面に対して斜め方向に前記電線の挿入口が設けられた構成である、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対の基板接続部が前記モジュール基板に設けられたパッドと接続された状態において、前記基部の最上部は前記光源の高さよりも低い位置である、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記基部を構成する導体が金属である、請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記矩形状パターンは長方形であり、
前記一対の基板接続部は、前記基部の長手方向の両端に設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記電線挿入部は、速結端子構造の電線保持部を有する構成である、請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一対の基板接続部は互いに異なる形状である、請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一対の基板接続部は単極に接続される構成である、請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
一対の、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記コネクタと、
前記一対のコネクタが実装される、長方形状の前記モジュール基板と、を有し、
前記一対のコネクタは、
前記光源の中心を通り、前記モジュール基板の長手方向に平行な軸に対して線対称の位置に配置されている、ライトユニット。
【請求項10】
前記モジュール基板に装着される放熱板をさらに有し、
前記放熱板は、前記モジュール基板に設けられた2つの前記貫通穴に対応する領域を含む開口部を有し、
前記モジュール基板の短辺に平行な方向の長さである幅について、該モジュール基板の幅が前記開口部の幅よりも長い構成である、請求項に記載のライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に用いられる、コネクタおよびライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)が実装されるプリント基板において、LEDが実装される実装面から非実装面に貫通する構造を有するコネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたコネクタは、実装面側と非実装面側を電気的に接続する導体と、導体を覆う樹脂とを有する構成である。導体が樹脂で覆われることで、サージ電圧等の過大電圧による絶縁破壊が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−123943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたコネクタのように、導体および樹脂で構成されるコネクタを作製する場合、導体パターンを作製する工程、導体パターンを金型に配置する工程、および金型に樹脂を流し込む工程などの工程が必要となり、コネクタの製造コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、絶縁性を確保しながら製造コストを抑制したコネクタおよびライトユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、光源が実装されたモジュール基板に設けられるコネクタであって、前記モジュール基板に設けられた貫通穴に対向して配置される矩形状パターンを有する基部と、前記モジュール基板に設けられたパッドと電気的に接続され、前記矩形状パターンの1組の対向辺に設けられた一対の基板接続部と、前記矩形状パターンの2つの面のうち、前記貫通穴に対向する面に設けられた貫通部と、前記光源に電力を供給する電線が挿入される、前記貫通部に前記基部とは反対側に設けられた電線挿入部と、を有し、前記基部、前記一対の基板接続部、前記貫通部および前記電線挿入部が導体で構成され、前記対向辺に平行な方向の長さである幅について、前記電線挿入部における幅が前記貫通穴の幅よりも短く、前記貫通部における幅が前記電線挿入部の幅よりも短い構成であり、前記基部は、平面形状の吸着部と、前記吸着部の長手方向の両端に位置する対向辺から前記貫通部の方向に折れ曲がった一対の突出部とを有し、前記一対の基板接続部のそれぞれは、前記一対の突出部のそれぞれの先端から前記吸着部と平行に前記吸着部から離れる方向に延びた形状である
【発明の効果】
【0007】
本発明は、コネクタが導体のみで構成されているため、製造コストを抑えることができるだけでなく、モジュール基板に近い側の貫通部の幅がモジュール基板よりも遠い側の電線挿入部の幅よりも短いため、モジュール基板に装着される導体からコネクタまでの絶縁距離が長くなり、絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1のコネクタを搭載した照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。
図2図1に示すライトユニットの一構成例を示す側面透視図である。
図3図2に示した放熱板の一構成例の要部を示す正面図である。
図4図2に示したモジュール基板の一構成例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1のコネクタの一構成例を示す外観斜視図である。
図6図5に示したコネクタの正面図および側面図である。
図7図5に示したコネクタを実装したモジュール基板に放熱板が装着された状態を示す図である。
図8図7に示した構成において、図7に示す線分AAで切った断面で矢印方向を見た場合の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本実施の形態1のコネクタを備えた照明装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1のコネクタを搭載した照明装置の一構成例を示す外観斜視図である。図2は、図1に示すライトユニットの一構成例を示す側面透視図である。図2は、図1に示すライトユニットの両端のうち、一方の端側の周辺を示す。図1に示す照明装置1は、施設の天井などに配設されるベースライト器具である。図1に示すように、照明装置1は、器具本体2と、ライトユニット3と、図に示さない電源装置とを有する構成である。器具本体2が施設の天井に取り付けられた場合、器具本体2の下側(Z軸矢印の反対方向)にライトユニット3が位置する。
【0010】
図1および図2に示すように、ライトユニット3は、外郭3aと、放熱板10と、モジュール基板20とを有する構成である。ライトユニット3の長手方向(X軸矢印方向)の長さは、器具本体2の長手方向の長さと同等である。外郭3aは、光を透過する材質で構成されている。モジュール基板20には、光源としてLED22が設けられている。LED22が発光すると、LED22から放射された光が外郭3aを透過して施設内を明るくする。本実施の形態1では、照明装置1が長尺のベースライト照明装置の場合で説明するが、ダウンライトなどの照明装置であってもよい。
【0011】
次に、図2に示した放熱板10の構成を説明する。図3は、図2に示した放熱板の一構成例の要部を示す正面図である。図3では、図2に示した放熱板の一部を示す。放熱板10は、モジュール基板20から発生する熱を放熱する。放熱板10は、例えば、金属製の板が板金などによって加工されたものである。図3では、放熱板10の一部を示し全体を示してないが、放熱板10の長手方向(X軸矢印方向)の長さはライトユニット3の外郭3aの長手方向の長さと同等である。放熱板10は、放熱板10を貫通する開口部11を有する。開口部11の位置は、モジュール基板20に放熱板10が装着された状態で、モジュール基板20に実装される後述のコネクタを含む領域に対応している。
【0012】
図3に示す開口部11において、放熱板10の長手方向に平行な長さをL1とする。また、放熱板10の長手方向に垂直な方向を短手方向(Y軸矢印方向)とすると、開口部11における短手方向の長さを開口幅W1とする。
【0013】
次に、図2に示したモジュール基板20の構成を説明する。図4は、図2に示したモジュール基板の一構成例を示す図である。以下では、モジュール基板の2つの面のうち、LED22が実装される面を実装面と称し、実装面とは反対側の面を底面と称する。図4(A)はモジュール基板の実装面を示す図であり、図4(B)はモジュール基板の側面図であり、図4(C)はモジュール基板の底面を示す図である。
【0014】
モジュール基板20は、基材21を有し、基材21の実装面21aに複数のLED22が実装された片面実装基板に相当する。LED22は、例えば、SMD(Surface Mount Device)型のLEDである。図4(A)に示すように、モジュール基板20の実装面21aに複数のLED22が一列に等間隔に配置されている。これら複数のLED22の中心を結ぶ線を軸25とする。
【0015】
本実施の形態1では、図4(A)および図4(C)に示すように、モジュール基板20の基材21には、実装面21aから底面21bに貫通する貫通穴23が設けられている。貫通穴23は、長方形状であり、貫通穴23の長手方向(X軸矢印方向)はモジュール基板20の長手方向と一致している。軸25に対して線対称となる位置に一対の貫通穴23が基材21に設けられている。
【0016】
図4(A)に示す実装面21aにおいて、貫通穴23の長手方向の両端外側には、図に示さないパッドが設けられている。パッドは図に示さないプリント配線を介してLED22と接続されている。一対の貫通穴23のうち、一方の貫通穴23の長手方向の両端外側に設けられたパッドは正極用端子の役目を果たし、他方の貫通穴23の長手方向の両端外側に設けられたパッドは負極用端子の役目を果たす。
【0017】
図4(A)に示すように、モジュール基板20の長手方向に垂直な方向である短手方向(Y軸矢印方向)の長さを基板幅W2とする。基板幅W2を小さくすることで、サイズの決まった1枚の板材から取り出せる基材21の数を増やすことができ、モジュール基板20をより安価に作製することができる。
【0018】
図4(C)に示す貫通穴23において、長手方向の長さをL2とし、短手方向の長さを幅W3とする。図4(C)に示す貫通穴23と図3に示した放熱板10の開口部11とを対比すると、モジュール基板20に放熱板10が装着されると、開口部11は、2つの貫通穴23に対応する位置に設けられ、2つの貫通穴23の領域を含む大きさである。つまり、開口部11の長さL1は、貫通穴23の長さL2以上の長さである。また、開口部11の開口幅W1は、貫通穴23の幅W3の2倍より大きい。
【0019】
次に、本実施の形態1のコネクタの構成を説明する。図5は、本発明の実施の形態1のコネクタの一構成例を示す外観斜視図である。図6は、図5に示したコネクタの正面図および側面図である。図6(A)が図5に示したコネクタの正面図であり、図6(B)が図5に示したコネクタの側面図である。
【0020】
コネクタ30は、導体で構成されている。コネクタ30の材料となる導体は、例えば、金属である。コネクタ30の材料に用いられる金属は、ベリリウム銅合金およびコルソン銅合金などである。コネクタ30は、全て金属の材料で構成されており、樹脂などの金属とは異なる材料で構成される外郭部分を有していない。そのため、材質の異なる複数種の部品でコネクタを組み立てる場合に比べて、安価に製造することができる。
【0021】
図5および図6に示すように、コネクタ30は、基部32と、一対の基板接続部31と、貫通部33と、電線挿入部34とを有する。基部32は、平面形状の吸着部32aと、吸着部32aの短辺の対向辺からZ軸矢印方向に折れ曲がった突出部37とを有する。吸着部32aの平面パターンは矩形状であればよいが、本実施の形態1では、平面パターンが長方形状の場合で説明する。吸着部32aは、コネクタ30がモジュール基板20に実装される際、マウンターのノズルがコネクタ30を吸着するための箇所である。吸着部32aが平面形状であるため、マウンターのノズルが吸着部32aと密着し、マウンターがコネクタ30を吸着し易くなるという利点がある。
【0022】
図5および図6(B)に示すように、吸着部32aの対向する短辺から垂直方向(Z軸矢印方向)に一対の突出部37が形成されている。基板接続部31は、突出部37の先端から吸着部32aと平行に基部32から離れる方向に延びた形状である。一対の基板接続部31および基部32は一体で構成されている。例えば、長方形状の金属板に対して長手方向の両端を2回折り曲げる加工を行うことで、図5に示すように、吸着部32aの両端に突出部37および基板接続部31が形成される。これらの構成が一体なので、一対の基板接続部31は一対の突出部37を介して吸着部32aと物理的および電気的に接続されている。
【0023】
また、基部32には、吸着部32aとは反対側の面に、垂直方向に貫通部33が設けられている。図5および図6に示す構成例では、貫通部33は、基部32の長辺側で金属が折り曲げられて形成されている。さらに、貫通部33に電線挿入部34が接続されている。吸着部32a、基板接続部31、貫通部33、突出部37および電線挿入部34は、金属で作製されている。
【0024】
図6(B)に示すように、吸着部32aの長辺を含む、一対の突出部37の間の長さをL3とすると、長さL3は図4に示した貫通穴23の長さL2と同等である。L2≒L3により、モジュール基板20にコネクタ30を実装する際、一対の基板接続部31の位置が、モジュール基板20の貫通穴23の長手方向の外側であって、実装面21aに設けられたパッドの位置と一致する。基板接続部31とモジュール基板20のパッドとがハンダにより電気的および物理的に接続される。1つのコネクタ30に設けられる一対の基板接続部31は、正極および負極のうち、いずれか一方の単極に接続される。
【0025】
図6(A)に示すように、基部32の短手方向(Y軸矢印方向)の幅をW4とすると、幅W4は図4に示した貫通穴23の幅W3と同等である。図6(A)に示すように、基部32の短手方向に平行な方向の長さについて、貫通部33の幅をW5とし、電線挿入部34の幅をW6とする。電線挿入部34の幅W6は貫通穴23の幅W3よりも短い。さらに、貫通部33の幅W5は電線挿入部34の幅W6よりも短い。つまり、W3>W6>W5の関係になっている。そのため、電線挿入部34はモジュール基板20の貫通穴23を自在に通過できる。例えば、図4(A)に示したモジュール基板20の実装面21aにおいて、貫通穴23にコネクタ30の電線挿入部34および貫通部33を通した後、基板接続部31が実装面21aのパッドに接触するように、コネクタ30をモジュール基板20に実装することができる。
【0026】
図5および図6(B)に示すように、電線挿入部34は、速結端子の構造である電線保持部35を有する。電線保持部35は、2枚の板の間隔が図5に示すX軸矢印方向に進むにつれて狭くなる構成であり、挿入される電線をクリップのように挟持する。図5に示すX軸矢印方向に、電線が電線挿入部34に挿入されると、電線は電線保持部35によって挟持される。コネクタ30は、電線が挿入される方向が基部32の長手方向となる形状である。
【0027】
図に示さない電源の出力部から伸びる電線が電線挿入部34に接続されることで、金属で構成されるコネクタ30と、モジュール基板20とを介して、電源がLED22に電力を供給し、LED22を発光させることができる。
【0028】
本実施の形態1では、電線挿入部34は、基部32の吸着部32aに対して斜めの方向に電線の挿入口が設けられた構成である。吸着部32aの面を基準に挿入口の角度をθ1とすると、コネクタ30がモジュール基板20に実装された状態では、電線挿入部34の挿入口がモジュール基板20の底面21bに対して角度θ1だけ傾いている。電線の挿入口がモジュール基板20の底面21bに対して傾いていると、電線を電線挿入部34に挿入し易くなるという利点がある。
【0029】
電線の挿入口を基部32に対して傾ける場合に限らず、貫通部33のZ軸矢印方向の長さである高さを大きくしても、電線を電線挿入部34に挿入し易くなる。しかし、角度θ1および貫通部33の高さを大きくすると、コネクタ30の高さが大きくなってしまう。コネクタ30の高さが大きいと、リール梱包時に収納できる、コネクタ30の数量が減り、梱包材の廃棄およびリール交換の負担が増えてしまう。そこで、貫通部33における、モジュール基板20の実装面21a側の突出高さをH1とすると、高さH1を基材21の厚みに1〜3mm加えた高さとし、角度θ1を3〜15°にすることが望ましい。この構成によれば、電線挿入のし易さと梱包材の増加抑制とを両立できる。図6(B)に高さH1を示すが、高さH1は突出部37の高さに相当する。
【0030】
なお、一対の基板接続部31は同じ形状でもよいが、互いに異なる形状であってもよい。例えば、電線が引っ張られた際に、一対の基板接続部31のうち、電線の挿入口に近い側の基板接続部31には他方の基板接続部31に比べて大きな応力がかかることが考えられる。そのため、電線の挿入口に近い側の基板接続部31の面積を、電線の挿入口から通り側の基板接続部31の面積よりも大きくしてもよい。
【0031】
また、作業者がモジュール基板20に実装されたコネクタ30を実装面21a側から見た場合、電線挿入部34の挿入口の向きを直接見て確認することが難しいことがある。この場合、突出部37、基板接続部31および吸着部32aなどの構成のうち、いずれかの構成に、電線挿入部34の挿入口の方向がわかるように目印となる特徴のある形状を設けてもよい。本実施の形態1では、図5に示すように、電線の挿入口とは反対側の基板接続部31と吸着部32aとのの間に切り欠け部36を設けている。
【0032】
さらに、電線挿入部34が吸着部32aの面を基準にして斜めの方向に挿入口を有する場合で説明したが、電線挿入部34は、電線が挿入される方向が図6に示したX軸矢印方向と平行なるように構成されてもよい。
【0033】
次に、本実施の形態1のコネクタ30を実装したモジュール基板20を放熱板10に組み立てた構成について説明する。図7は、図5に示したコネクタを実装したモジュール基板に放熱板が装着された状態を示す図である。図7(A)は側面図、図7(B)は下面図である。図8は、図7に示した構成において、図7に示す線分AAで切った断面で矢印方向を見た場合の構造を示す図である。
【0034】
図3図7を参照して、図2に示したライトユニット3の作製手順を簡単に説明する。図4(A)に示した実装面21aを上向きにして、モジュール基板20が配置される。そして、コネクタ30の電線挿入部34を下向きにして電線挿入部34および貫通部33が貫通穴23に通され、基板接続部31とモジュール基板20のパッドとがハンダ付けされる。このとき、図7に示すように、貫通穴23と基部32が対向しているが、貫通穴23の長さL2よりもコネクタ30の方が基板接続部31の分だけ長いため、貫通穴23からコネクタ30が下に落ちてしまうことを防げる。
【0035】
また、電線挿入部34の幅W6は貫通穴23の幅W3よりも短いため、作業者は電線挿入部34を貫通穴23に通し易い。さらに、貫通部33の幅W5は電線挿入部34の幅W6よりも短いため、作業者は、電線挿入部34に貫通穴23を通過させた後、貫通部33が貫通穴23の側壁にぶつからないように注意するが、幅W6よりも短い幅W5の貫通部33を貫通穴23に通せばよいので、電線挿入部34に貫通穴23を通過させるときほど気を遣わなくてすむ。
【0036】
ハンダ付け工程の後、モジュール基板20の底面21b側に放熱板10が装着される。その際、図7(B)に示すように、開口部11の領域に2つの貫通穴23が含まれるように、モジュール基板20に放熱板10が装着される。図7(B)は、2つのコネクタ30がモジュール基板20に接続された状態を示す。2つのコネクタ30のうち、一方のコネクタ30の一対の基板接続部31が正極用端子のパッドと接続され、他方のコネクタ30の一対の基板接続部31が負極用端子のパッドと接続される。このようにして、図7に示す構成が作製される。図7に示す構成のモジュール基板20側に図2に示した外郭3aを取り付ければ、ライトユニット3が作製されるが、その詳細な説明を省略する。以下では、図7および図8に示す構成をライトユニット3と称する。
【0037】
図8に示す断面図を参照すると、モジュール基板20の実装面21aからコネクタ30の吸着部32aまでの高さH1は、モジュール基板20の実装面21aからLED22の最上部までの高さH2よりも低い。基部32の最上部がLED22の高さよりも低い位置にあるため、コネクタ30がLED22の発光の妨げになることが抑制される。また、本実施の形態1では、基部32の材料が金属であるため、材料が樹脂の場合に比べてLED22から放射された光を反射しやすい利点がある。
【0038】
次に、図7および図8に示すライトユニット3を参照し、放熱板10とコネクタ30との絶縁性について説明する。以下では、開口部11の端からコネクタ30までの距離を絶縁距離と称する。この絶縁距離は、雷サージなどの過電圧が放熱板10に印加されても、コネクタ30および放熱板10間に絶縁破壊を生じさせない距離であることが必要である。開口部11のサイズを広くすることで絶縁破壊への耐力が増すが、サイズを広げ過ぎると、次のような2つの課題が生じるおそれがあり、適正な大きさにすることが必要である。2つの課題を(P1)、(P2)とする。
【0039】
(P1)放熱板10の開口部11が広くなると、放熱板10の強度が低下し、放熱板10がたわみ易くなる。そのため、放熱板10とモジュール基板20との密着性が弱くなり、放熱性が悪化する。その結果、LED22の寿命が短くなってしまう。
(P2)放熱板10の開口部11の開口幅W1よりもモジュール基板20の基板幅W2が短い場合、開口部11とモジュール基板20との間に隙間が生じ、隙間から埃および虫等の異物が照明装置1の内部に侵入し易くなる。この場合、不具合が発生してしまうおそれがある。
【0040】
また、放熱板10とコネクタ30の短手方向(Y軸矢印方向)の絶縁距離について、上記2つの課題以外に、次のような2つの事項を検討する必要がある。2つの検討事項を(C1)、(C2)とする。
【0041】
(C1)モジュール基板20の実装面21a側では、コネクタ30とモジュール基板20の端部までの最短距離とモジュール基板20の板厚を加えた距離である沿面距離L4が絶縁距離である。そのため、モジュール基板20の基板幅W2を短くすると、モジュール基板20の製造コストが安価になるが、絶縁距離が短くなり、絶縁破壊を起こしやすくなる。
【0042】
(C2)モジュール基板20の底面21b側では、放熱板10の開口部11の端部から大気を介してコネクタ30までの最短距離L5が絶縁距離である。大気が絶縁体として機能する。貫通部33の幅W5が電線挿入部34の幅W6と同等以上である場合、最短距離L5は、開口部11の端部から貫通部33までの距離となる。そのため、開口部11の開口幅W1を長くする必要がある。上記(P2)の課題解決のために、開口幅W1<基板幅W2の関係を維持すると、開口幅W1に合わせてモジュール基板20の基板幅W2も広げる必要がある。この場合、サイズの決まった1枚の基材から取り出せる基材21の数が少なくなるため、基板製作費用が高くなってしまう。
【0043】
上述したように、コネクタ30と放熱板10との絶縁距離を大きくしようとすると、上記2つの課題(P1)、(P2)を考慮する必要がある。これら2つの課題に対して、本実施の形態1のライトユニット3では、図8に示すように、開口幅W1<基板幅W2の関係である。そのため、開口部11とモジュール基板20との間に隙間が生じないので、埃および虫等の異物が照明装置1の内部に侵入することが抑制される。よって、本実施の形態1では、課題(P2)が解決される。
【0044】
また、放熱板10とコネクタ30の短手方向の絶縁距離について、上記2つの検討事項(C1)、(C2)を考慮する必要がある。これら2つの検討事項に対して、本実施の形態1のライトユニット3では、図6に示したように、貫通部33の幅W5と電線挿入部34の幅W6とは、幅W6>幅W5の関係である。そのため、図8に示すように、最短距離L5は、開口部11の端部から電線挿入部34までの距離となる。その結果、基板製作費用が高くなることを抑制できるだけでなく、放熱板10からのコネクタ30の絶縁性が向上する。本実施の形態1では、検討事項(C2)が満たされる。
【0045】
上述したように、本実施の形態1のコネクタ30およびライトユニット3では、課題(P2)を解決し、検討事項(C2)が満たされる。そのため、本実施の形態1のコネクタ30およびライトユニット3をベースにして、課題(P1)を解決するとともに、検討事項(C1)を満たすように、開口部11のサイズおよびモジュール基板20の基板幅W2等の適正値を決めればよい。
【0046】
本実施の形態1のコネクタ30は、モジュール基板20に設けられた貫通穴23に対向して配置される矩形状パターンを有する基部32と、矩形状パターンの1組の対向辺に設けられた一対の基板接続部31と、矩形状パターンの2つの面のうち、貫通穴23に対向する面に設けられた貫通部33と、貫通部33に基部32とは反対側に設けられた電線挿入部34とを有し、基部32、一対の基板接続部31、貫通部33および電線挿入部34が導体で構成され、電線挿入部34の幅W6が貫通穴23の幅W3よりも短く、貫通部33の幅W5が電線挿入部34の幅W6よりも短いものである。
【0047】
本実施の形態1によれば、基部32、基板接続部31、貫通部33および電線挿入部34が導体で構成されているため、樹脂と金属とから構成されるコネクタと比べて、安価に製造することができる。また、コネクタ30が金属のみで構成されているが、絶縁性確保のための樹脂の代わりに、モジュール基板20に近い側の貫通部33の幅をモジュール基板20よりも遠い側の電線挿入部34の幅よりも短くすることで、モジュール基板20に装着される放熱板10の端部からコネクタ30までの絶縁距離がより長くなり、放熱板10からの絶縁性を確保することができる。
【0048】
また、本実施の形態1によれば、貫通穴23に対向する基部32の幅W4よりも電線挿入部34の幅W6が短く、幅W6よりも貫通部33の幅W5が短い。そのため、電線挿入部34の幅W6に合わせて貫通穴23の幅W3を短くすれば、モジュール基板20に設けられる貫通穴23の短手方向のサイズを小さくできる。その結果、モジュール基板20の基板幅W2を短くすることができ、サイズの決まった1枚の基材から取り出せる基材21の数が多くなるため、モジュール基板20の製造コストを低減できる。さらに、モジュール基板20の基板幅W2に対応して、放熱板10の開口幅W1を短くすることで、放熱板10のサイズを小さくすることができ、放熱板10の製造コストを低減できる。
【0049】
本実施の形態1のコネクタ30では、基部32は矩形状パターンが平面形状である吸着部32aを有している。この場合、コネクタ30の製造過程において、マウンターがコネクタ30を吸着する際、ノズルが吸着部32aと密着し、マウンターがコネクタ30を吸着し易くなる。
【0050】
本実施の形態1のコネクタ30では、電線挿入部34は、基部32に平行な面に対して斜め方向に電線の挿入口が設けられた構成である。この場合、器具本体2から伸びる電線を電線挿入部34に挿入し易くなる。
【0051】
本実施の形態1のコネクタ30では、一対の基板接続部31がモジュール基板20に設けられたパッドと接続された状態において、基部32の最上部は光源の高さよりも低い位置である。この場合、コネクタ30が光源からの光の放射の妨げになることが抑制される。その結果、照明装置1は施設内をより明るくすることができる。
【0052】
本実施の形態1において、基部32、基板接続部31、貫通部33および電線挿入部34を構成する導体のうち、基部32を構成する導体が金属であってもよい。この場合、樹脂および金属で構成されるコネクタに比べて、光源から出力される光を効率よく反射することができる。
【0053】
本実施の形態1のコネクタ30では、吸着部32aの矩形状パターンは長方形であり、一対の基板接続部31は基部32の長手方向の両端に設けられている。一対の基板接続部31がコネクタ30の短手方向の両端に設けられた場合、モジュール基板20の幅が大きくなり、サイズの決まった一枚の基材から取り出せる基材21の数が減るため、モジュール基板20にかかるコストが高くなってしまう。基板接続部31がコネクタ30の長手方向の両端に配置されていることで、モジュール基板20にかかるコストが高くなることを抑制できる。
【0054】
本実施の形態1のコネクタ30では、電線挿入部34は速結端子構造の電線保持部35を有する構成である。電線挿入部34に電線を接続するための高価なハーネスを特別に設ける必要がない。
【0055】
本実施の形態1において、一対の基板接続部31は互いに異なる形状であってもよい。例えば、基部32側からコネクタ30を見たとき電線挿入部34の方向がわかるように、一対の基板接続部31のうち、一方の基板接続部31の形状に、他方の基板接続部31の形状と異なるように、目印となる形状をつけておく。この場合、作業者は、ライトユニット3を器具本体2に取り付ける際、ライトユニット3に外郭3aを取り付ける前に、モジュール基板20の実装面21aを見て、電線挿入部34への電線の挿入方向を認識できる。そのため、作業者は、器具本体2の電源装置から伸びる電線の位置が電線挿入部34の位置に対応するように、ライトユニット3の長手方向を正しい方向に合わせてから、外郭3aを取り付ければよい。このようにして、作業者の取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0056】
本実施の形態1のコネクタ30では、一対の基板接続部31は単極に接続される構成である。一対の基板接続部31は、正極および負極のうち、いずれか一方の単極に接続される。この場合、一対の基板接続部31のうち、いずれか一方の基板接続部31とモジュール基板20のパッドとの接触抵抗が大きくても、他方の基板接続部31を介して器具本体2からモジュール基板20に確実に電力が供給され、LED22を発光させることができる。
【0057】
本実施の形態1のライトユニット3では、モジュール基板20に装着される放熱板10をさらに有し、放熱板10は、モジュール基板20に設けられた2つの貫通穴23に対応する領域を含む開口部11を有し、モジュール基板20の基板幅W2が開口部11の開口幅W1よりも長い構成である。この場合、開口部11とモジュール基板20との間に隙間が生じないので、埃および虫等の異物が照明装置1の内部に侵入することが抑制される。
【符号の説明】
【0058】
1 照明装置、2 器具本体、3 ライトユニット、3a 外郭、10 放熱板、11 開口部、20 モジュール基板、21 基材、21a 実装面、21b 底面、22 LED、23 貫通穴、25 軸、30 コネクタ、31 基板接続部、32 基部、32a 吸着部、33 貫通部、34 電線挿入部、35 電線保持部、36 切り欠け部、37 突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8