(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにショ糖飽和脂肪酸モノエステルをゲル化剤として用いた場合、保形性が十分ではない。また、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感が劣る。本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、保形性および使用感に優れるゲル化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明のゲル化剤、化粧料および医薬品には、以下の構成が主に含まれる。
【0006】
(1)ショ糖脂肪酸エステル(A)を含有し、前記ショ糖脂肪酸エステル(A)が構成脂肪酸として炭素数12〜24である不飽和脂肪酸を含有する、ゲル化剤。
【0007】
このような構成によれば、本発明のゲル化剤は、油性成分に用いられることにより、保形性および使用感が優れる。また、本発明のゲル化剤は、油性成分と混合されることにより化粧料や医薬品等が調製される場合において、得られる化粧料や医薬品等の保形性および使用感を両立させ得る。
【0008】
(2)炭素数12〜24である不飽和脂肪酸の含有量が、ショ糖脂肪酸エステル(A)の
構成脂肪酸中に3〜60質量%である、(1)記載のゲル化剤。
【0009】
このような構成によれば、本発明のゲル化剤は、油性成分に用いられることにより、保形性および使用感がより優れる。また、本発明のゲル化剤は、油性成分と混合されることにより化粧料や医薬品等が調製される場合において、得られる化粧料や医薬品等の保形性および使用感がより優れる。
【0010】
(3)さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有する、(1)または(2)記載のゲル化剤。
【0011】
このような構成によれば、本発明のゲル化剤は、油性成分に用いられることにより、保形性がより優れる。
【0012】
(4)ショ糖脂肪酸エステル(A)100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を3〜150質量部含有する、(3)に記載のゲル化剤。
【0013】
このような構成によれば、本発明のゲル化剤は、油性成分に用いられることにより、保形性がより優れる。
【0014】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のゲル化剤と、油性成分とを含有する、化粧料。
【0015】
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載のゲル化剤と、油性成分とを含有する、医薬品。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対象物(たとえば化粧料や医薬品)に添加されることにより、対象物の保形性が優れ、かつ、使用感が優れるゲル化剤、化粧料および医薬品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<ゲル化剤>
本発明の一実施形態のゲル化剤は、ショ糖脂肪酸エステル(A)を含有する。前記ショ糖脂肪酸エステル(A)は、構成脂肪酸が炭素数12〜24である不飽和脂肪酸を含有するものである。
【0018】
前記炭素数12〜24である不飽和脂肪酸としては、例えば、ドデセン酸などの炭素数12の不飽和脂肪酸、トリデセン酸などの炭素数13の不飽和脂肪酸、テトラデセン酸などの炭素数14の不飽和脂肪酸、ペンタデセン酸などの炭素数15の不飽和脂肪酸、ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸など)などの炭素数16の不飽和脂肪酸、ヘプタデセン酸などの炭素数17の不飽和脂肪酸、オクタデセン酸(オレイン酸、バクセン酸など)、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、オクタデカトリエン酸((9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)−リノレン酸、エレオステアリン酸など)などの炭素数18の不飽和脂肪酸、ノナデセン酸などの炭素数19の不飽和脂肪酸、エイコサジエン酸(8,11−エイコサジエン酸など)、エイコサトリエン酸(5,8,11−エイコサトリエン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)などの炭素数20の不飽和脂肪酸、テトラコサン酸(ネルボン酸など)などの炭素数24の不飽和脂肪酸が挙げられる。これらのうち、油性成分の保形性がより優れ、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れることから、炭素数16〜20である不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16〜18である不飽和脂肪酸がより好ましく、炭素数18である不飽和脂肪酸がさらに好ましい。なお、不飽和脂肪酸における炭化水素基は、直鎖であってもよく、分岐鎖を有していてもよいが、油性成分の保形性がより優れることから、直鎖であることが好ましい。
【0019】
前記炭素数12〜24である不飽和脂肪酸の含有量は、ショ糖脂肪酸エステル(A)の構成脂肪酸中に3〜60質量%であることが好ましい。上記含有量とすることにより、油性成分の保形性がより優れ、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れたものとなる。上記含有量は、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。
【0020】
ショ糖脂肪酸エステル(A)は、構成脂肪酸として、さらに炭素数12〜24の飽和脂肪酸を含有することができる。炭素数12〜24の飽和脂肪酸としては、例えば、ドデカン酸(ラウリン酸)などの炭素数12の飽和脂肪酸、トリデカン酸などの炭素数13の飽和脂肪酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)などの炭素数14の飽和脂肪酸、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)などの炭素数15の不和脂肪酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)などの炭素数16の飽和脂肪酸、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)などの炭素数17の飽和脂肪酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)などの炭素数18の飽和脂肪酸、ノナデカン酸などの炭素数19の飽和脂肪酸、エイコサン酸(アラキジン酸)などの炭素数20の飽和脂肪酸、ドコサン酸(ベヘン酸)などの炭素数22の飽和脂肪酸、テトラコサン酸(リグノセリン酸)などの炭素数24の飽和脂肪酸などが挙げられる。これらのうち、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れることから、炭素数12〜20である飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16〜18である飽和脂肪酸がより好ましい。なお、飽和脂肪酸における炭化水素基は、直鎖であってもよく、分岐鎖を有していてもよいが、油性成分の保形性がより優れることから、直鎖であることが好ましい。
【0021】
ショ糖脂肪酸エステル(A)の構成脂肪酸は、前記炭素数12〜24である飽和脂肪酸を40〜95質量%含有することが好ましい。上記含有量とすることにより、油性成分の保形性がより優れ、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れたものとなる。上記含有量は、50〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
また、ショ糖脂肪酸エステル(A)の構成脂肪酸は、炭素数12〜16である飽和脂肪酸の含有量が0〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。上記含有量とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。
【0023】
本発明に用いるショ糖脂肪酸エステル(A)は、平均エステル化度が4〜8であることが好ましく、4.5〜7.5であることがより好ましく、5〜7であることがさらに好ましく、5.5〜7であることが特に好ましい。平均エステル化度を上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。
【0024】
なお、本実施形態において、ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度は、以下の方法により算出し得る。また、ショ糖脂肪酸エステルの水酸基価は、JIS K0070に準じて測定することができる。
【0025】
<平均エステル化度の算出方法>
平均エステル化度を「X」とする次式において、下記OHV、MwSug、MwFaを代入してXを算出する。
(ショ糖1分子中のOH基の数−X)
=(サンプル1g中のOH基のモル数)/(サンプル1g中のショ糖脂肪酸エステルのモル数)
=((OHV)/(1000×56.11))/{1/(MwSug+(MwFa−18)X)}
OHV:ショ糖脂肪酸エステルの水酸基価(mgKOH/g)
MwSug:ショ糖の分子量
MwFa:構成脂肪酸の平均分子量
【0026】
本発明に用いるショ糖脂肪酸エステル(A)は、ショ糖と全ての構成脂肪酸の混合物とのエステル化物であってもよく、ショ糖と一部の構成脂肪酸とのエステル化物とショ糖と残りの構成脂肪酸とのエステル化物との混合物であってもよい。これらのうち、油性成分の保形性がより優れることから、ショ糖と全ての構成脂肪酸の混合物とのエステル化物であることが好ましい。
【0027】
本発明のゲル化剤は、さらにポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有することにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。
【0028】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の原料として用いられるポリグリセリンの平均重合度は、2〜20であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性より優れたものとなる。上記ポリグリセリンの平均重合度は、3〜15であることがより好ましく、4〜12であることがさらに好ましく、8〜12であることが特に好ましい。
【0029】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の構成脂肪酸は、炭素数12〜24であることが好ましい。このような脂肪酸としては、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸としては、ドデカン酸(ラウリン酸)などの炭素数12の飽和脂肪酸、トリデカン酸などの炭素数13の飽和脂肪酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)などの炭素数14の飽和脂肪酸、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)などの炭素数15の不和脂肪酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)などの炭素数16の飽和脂肪酸、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)などの炭素数17の飽和脂肪酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)などの炭素数18の飽和脂肪酸、ノナデカン酸などの炭素数19の飽和脂肪酸、エイコサン酸(アラキジン酸)などの炭素数20の飽和脂肪酸、ドコサン酸(ベヘン酸)などの炭素数22の飽和脂肪酸、テトラコサン酸(リグノセリン酸)などの炭素数24の飽和脂肪酸などが挙げられる。また、不飽和脂肪酸としては、例えば、ドデセン酸などの炭素数12の不飽和脂肪酸、トリデセン酸などの炭素数13の不飽和脂肪酸、テトラデセン酸などの炭素数14の不飽和脂肪酸、ペンタデセン酸などの炭素数15の不飽和脂肪酸、ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸など)などの炭素数16の不飽和脂肪酸、ヘプタデセン酸などの炭素数17の不飽和脂肪酸、オクタデセン酸(オレイン酸、バクセン酸など)、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、オクタデカトリエン酸((9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)−リノレン酸、エレオステアリン酸など)などの炭素数18の不飽和脂肪酸、ノナデセン酸などの炭素数19の不飽和脂肪酸、エイコサジエン酸(8,11−エイコサジエン酸など)、エイコサトリエン酸(5,8,11−エイコサトリエン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)などの炭素数20の不飽和脂肪酸、テトラコサン酸(ネルボン酸など)などの炭素数24の不飽和脂肪酸などが挙げられる。これらのうち、油性成分の保形性がより優れ、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れることから、炭素数12〜20である脂肪酸がより好ましく、炭素数16〜18である脂肪酸がさらに好ましく、炭素数18である脂肪酸が特に好ましい。また、油性成分の保形性がより優れることから、上記構成脂肪酸は飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0030】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、エステル化率が40〜100%であることが好ましく、50〜90%であることがより好ましく、60〜85%であることがさらに好ましい。エステル化率を上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。
【0031】
ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率(%)は、下記式により算出し得る。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価およびエステル価は、JIS K0070に準じて測定することができる。
(エステル化率(%))=(エステル価)×100/[(エステル価)+(水酸基価)]
【0032】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、HLB値が13以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、4以下であることが特に好ましい。また、上記HLB値は、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましく、2以上であることが特に好ましい。HLB値を上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。
【0033】
本実施形態において、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、Griffinの式に基づいて以下の方法により算出し得る。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価および脂肪酸の酸価は、JIS K0070に準じて測定することができる。
【0034】
<HLB値の算出方法>
HLB=20×(1−SV/AV)
SV:ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価(mgKOH/g)
AV:脂肪酸の酸価(mgKOH/g)
【0035】
ショ糖脂肪酸エステル(A)の含有量は、ゲル化剤中に20〜100質量%であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。上記含有量は、30〜100質量%であることがより好ましく、40〜100質量%であることがさらに好ましく、50〜100質量%であることが特に好ましい。また、ゲル化剤がショ糖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有する場合、ショ糖脂肪酸エステル(A)の含有量は、ゲル化剤中に20〜97質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0036】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量は、ゲル化剤中に3〜80質量%であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れたものとなる。上記含有量は、5〜70質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、前記ショ糖脂肪酸エステル(A)100質量部に対して3〜150質量部であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、油性成分の保形性がより優れ、化粧料や医薬品などに使用した場合の使用感がより優れたものとなる。前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量は、ショ糖脂肪酸エステル(A)100質量部に対して5〜120質量部であることがより好ましく、7〜100質量部であることがさらに好ましく、10〜50質量部であることが特に好ましい。
【0038】
本発明のゲル化剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、粉体を混合する方法、各原料を溶融混合したものを冷却してフレーク化または粉砕する方法、各原料を含有するスラリーを噴霧乾燥する方法などにより得ることができる。
【0039】
本発明のゲル化剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ジアシルグリセロール、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、及びキャンデリラワックスなどのワックス類、12−ヒドロキシステアリン酸、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(A)以外のショ糖脂肪酸エステル、金属石鹸、無水ケイ酸、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、有機変性粘土鉱物、グアーガム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0040】
本発明の化粧料は、前記ゲル化剤および油性成分を含有するものである。また、本発明の医薬品は、前記ゲル化剤および油性成分を含有するものである。
【0041】
本発明に用いる油性成分は、特に限定されず、例えば、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油類等を使用することができる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレンの炭化水素類、オリーブ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、ヤシ油、ヒマシ油等の油脂類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ホホバ油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸2−エチルヘキシル等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、シクロメチコン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、油溶性美容成分等が挙げられる。
【0042】
本発明の化粧料および医薬品における油性成分の含有量は特に限定されないが、10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の化粧料および医薬品における前記ゲル化剤の含有量は特に限定されないが、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。ゲル化剤の含有量を上記範囲内とすることにより、保形性および使用感がより優れたものとなる。
【0044】
本発明の化粧料および医薬品は、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、粉体、界面活性剤、水性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤、キレート剤、油性成分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体およびそれらのシリコーン処理物やフッ素化合物処理物、繊維、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、褪色防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等などが挙げられる。
【0045】
粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪藻土、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、ステアリン酸亜鉛、セルロース粉末、デキストリン粉末、有機高分子樹脂粉体、顔料などが挙げられる。
【0046】
界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
水性化合物としては、例えば、水、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール、植物抽出液などが挙げられる。
【0048】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤などが挙げられる。具体的には、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなどが挙げられる。
【0049】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0050】
本実施形態の化粧料および医薬品の製造方法は特に限定されず、常法により製造し得る。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
なお、下記の実施例1〜3は、比較例である。
【0052】
本実施例では、ショ糖脂肪酸エステル(A)として、ショ糖と表1に記載の構成脂肪酸
とのエステル化物(a−1)〜(a−8)を用いた。また、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル(B)として、表1に記載の平均重合度を有するポリグリセリンと表2に記載の構成脂
肪酸とのエステル化物(b−1)〜(b−5)を用いた。なお、ショ糖脂肪酸エステル(
a−1)〜(a−8)のエステル化度、ポリグリセリン脂肪酸エステル(b−1)〜(b
−5)のエステル化率およびHLB値は表1および表2に記載のとおりである。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
また、その他の化合物として、下記のものを使用した。
(c−1)グリセリンモノベヘニン酸エステル
(d−1)スクワラン
(d−2)トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル
(d−3)パルミチン酸2−エチルヘキシル
(d−4)シクロペンタシロキサン
【0056】
(実施例1〜17、比較例1〜3)
表3に記載した割合で、油性成分以外の成分を混合し、ゲル化剤を得た。
80℃に調整した油性成分と上記で得られたゲル化剤とを表3に記載の割合となるように混合し、80℃で1時間混合した。これを、50mLスクリュー管(φ3cm)に20g投入し、スクリュー管を立てた状態で5℃環境下に2時間静置することにより試験サンプルとした。これを用いて、下記の方法で保形性および使用感を評価した。結果を表3に示す。
【0057】
<保形性>
スクリュー管を20℃環境下に取り出し、立てた状態から横に90度倒して静置して流動性の有無を確認した。その後、試験サンプルの流動性を5分毎に確認し、流動性が見られた最初の時間を測定した。なお、静置直後に流動性が見られたものは「0分」とした。
【0058】
<使用感>
下記の基準で試験サンプルの使用感を評価した。なお、評価結果は、パネラー10人による評価の平均値とした。
4:非常になめらかである
3:ややなめらかである
2:ややざらつきがある
1:かなりざらつきがある
【0059】
【表3】
【0060】
表3から明らかな通り、本発明のゲル化剤は、油性成分の保形性および使用感が優れることがわかる。特に、ショ糖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有するゲル化剤は、少量で優れた保形性を有することがわかる。一方、ショ糖脂肪酸エステル(A)を用いない場合は、保形性や使用感が劣ることがわかる。