特許第6902964号(P6902964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6902964外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイス、センサ装置及びマイクロメカニカルセンサデバイスの動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902964
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイス、センサ装置及びマイクロメカニカルセンサデバイスの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/038 20060101AFI20210701BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   G01R33/038
   B81B3/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-164324(P2017-164324)
(22)【出願日】2017年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-36265(P2018-36265A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2020年5月7日
(31)【優先権主張番号】10 2016 216 198.9
(32)【優先日】2016年8月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト マウル
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−511907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0127455(US,A1)
【文献】 特表2017−519995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/038
G01R 33/00
G01D 5/00
G01B 7/00
G01N 27/72
B81B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部磁界(B)を検出するマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)において、
基板(2)と、
磁石機構(4)を有する第1の担体機構(3)であって、前記外部磁界(B)と前記磁石機構(4)との相互作用によって、当該第1の担体機構(3)が前記基板()に対して相対的に第1の回動軸線(A1)を中心に回動可能であるように前記基板(2)に取り付けられた第1の担体機構(3)と、
前記基板(2)に取り付けられた第2の担体機構(5)であって、前記基板()に対して相対的に第2の回動軸線(A2)を中心に回動可能であり、前記第2の回動軸線(A2)は前記第1の回動軸線(A1)に対して平行である、第2の担体機構(5)と、
前記第1の回動軸線(A1)を中心とした前記第1の担体機構(3)の回動と、前記第2の回動軸線(A2)を中心とした前記第2の担体機構(5)の回動とが、反対の回動方向においては可能であり、同一の回動方向においては阻止されるように、前記第1の担体機構(3)と前記第2の担体機構(5)とを接続している結合機構(6)と、
を備えているマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項2】
前記結合機構(6)は、収縮不可能かつ延伸不可能な接続区間(6)を有しており、当該接続区間(6)は、前記第1の担体機構(3)及び前記第2の担体機構(5)と旋回可能に接続されている、請求項1に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項3】
前記収縮不可能かつ延伸不可能な接続区間(6)は、前記第1の担体機構(3)及び前記第2の担体機構(5)の変位させられていない静止位置において、前記第1の担体機構(3)の第1の回動中心(7a)と前記第2の担体機構(5)の第2の回動中心(7b)との間の接続線に対して垂直な面に位置している、請求項2に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項4】
前記第1の担体機構(3)及び/又は前記第2の担体機構(5)の回動角度を測定するように構成されている測定装置(9a,9b)を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項5】
前記測定装置(9a,9b)は、少なくとも部分的に、前記第1の担体機構(3)及び/又は前記第2の担体機構(5)に配置されている、請求項に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項6】
前記測定装置(9a,9b)は、前記基板に配置されている電極と、前記第1の担体機構(3)及び/又は前記第2の担体機構(5)に配置されている対向電極とを含んでいる、請求項4又は5に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項7】
前記磁石機構(4)のN極S極軸線は、前記基板(2)に対して平行に配向されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)。
【請求項8】
マイクロメカニカルセンサ装置(11)であって、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)を少なくとも3つ有しており、前記マイクロメカニカルセンサデバイスはそれぞれ、前記磁石機構(4)の配向及び/又は前記第1の回動軸線(A1)の配向において相違している、
マイクロメカニカルセンサ装置(11)。
【請求項9】
評価機構(15)を有しており、
当該評価機構(15)は、少なくとも3つの前記マイクロメカニカルセンサデバイスの前記第1の担体機構(3)及び/又は前記第2の担体機構(5)の各回動角度を測定し、測定された当該回動角度に基づいて、前記外部磁界(B)の強さ及び/又は配向を特定するように構成されている、請求項8に記載のマイクロメカニカルセンサ装置(11)。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の、外部磁界(B)を検出するマイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)の動作方法であって、
前記第1の担体機構(3)及び/又は前記第2の担体機構(5)の回動角度を測定し、測定された当該回動角度に基づいて、前記外部磁界の強さ及び/又は配向を特定する、
マイクロメカニカルセンサデバイス(1a;1b)の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイス、マイクロメカニカルセンサ装置及びマイクロメカニカルセンサデバイスの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
磁界の強さ又は三次元の配向を特定する種々の測定方法が公知である。例えば、独国特許出願公開第102010061780号明細書(DE102010061780A1)では、3つのセンサ素子を含んでいるマイクロメカニカル磁界センサが開示されている。これら3つのセンサ素子は、三次元の磁界の配向を特定することができるように配置されている。
【0003】
しばしば使用される磁気抵抗性センサ、特にホールセンサの製造コストは極めて低いが、感度のために不十分であることがしばしばある。これとは逆に、比較的感度の高いセンサはしばしば、外部からの衝撃又は振動の影響を受けやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010061780号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示
本発明は、請求項1の特徴部分に記載されている構成を有する、外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイスと、請求項8の特徴部分に記載されている構成を有するマイクロメカニカルセンサ装置と、請求項10の特徴部分に記載されている構成を有する、マイクロメカニカルセンサデバイスの動作方法とを開示する。
【0006】
従って、本発明は、第1の態様では、外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイスに関する。このマイクロメカニカルセンサデバイスは、基板と、第1の担体機構と、第2の担体機構と、結合機構とを有している。第1の担体機構は、磁石機構を含んでおり、かつ、外部磁界と磁石機構との相互作用によって、第1の担体機構が基板に対して相対的に第1の回動軸線を中心に回動可能であるように基板に取り付けられている。第2の担体機構も、基板に取り付けられており、かつ、基板に対して相対的に第2の回動軸線を中心に回動可能である。ここで、第2の回動軸線は、第1の回動軸線に対して平行である。結合機構は、第1の担体機構を第2の担体機構と次のように接続している。即ち、第1の回動軸線を中心とした第1の担体機構の回動と、第2の回動軸線を中心とした第2の担体機構の回動とが、反対の回動方向においては可能であり、同一の回動方向においては阻止されるように、接続している。
【0007】
従って、本発明は、別の態様では、マイクロメカニカルセンサ装置に関する。このマイクロメカニカルセンサ装置は、少なくとも3つのマイクロメカニカルセンサデバイスを有している。これらのマイクロメカニカルセンサデバイスはそれぞれ、各磁石機構の配向及び/又は各第1の回動軸線の配向において相違している。
【0008】
従って、本発明は、別の態様では、外部磁界を検出するマイクロメカニカルセンサデバイスの動作方法に関する。ここでは、第1の担体機構の回動角度及び/又は第2の担体機構の回動角度を測定し、測定されたこの回動角度に基づいて、外部磁界の強さ及び/又は配向を特定する。
【0009】
有利な実施形態は、各従属請求項の構成要件である。
【0010】
本発明の利点
外部からの衝撃又は振動は回転モーメントを生じさせ、この回転モーメントは、第1の担体機構と第2の担体機構とに同様に作用する。即ち、結合機構が無い場合、同一の回動方向における、第1の回動軸線又は第2の回動軸線を中心にした第1の担体機構の回動と第2の担体機構の回動が引き起こされるだろう。しかし、このような回動運動は、結合機構によって阻止される。このようにして、外部からの衝撃又は振動による、第1の担体機構若しくは第2の担体機構の回動は阻止され、又は、少なくとも抑制される。従って、外部からの衝撃又は振動が、外部磁界の作用として解釈されなくなり、また、誤った信号も生成しなくなる。
【0011】
これとは逆に、外部磁界によって第1の担体機構が変位することがある。この際に有利には、回動が、第2の担体機構に反対の回動方向において結合機構を介して伝達され又は仲介される。従って、外部磁界は、第1又は第2の担体機構の回動を生じさせ、この回動が測定され、これによって、外部磁界の大きさ又は配向を特定することができる。
【0012】
本発明は、これによって、外部からの振動又は衝撃の影響を抑制し、センサデバイスの正確さ及び頑強性を高めることを可能にする。
【0013】
マイクロメカニカルセンサデバイスの有利な発展形態では、結合機構は、収縮不可能かつ有利には延伸も不可能な接続区間を有している。この接続区間は、第1の担体機構及び第2の担体機構と旋回可能に接続されている。有利には、この接続区間は、第1の回動軸線に対して垂直に配向されている。接続区間は、収縮不可能又は延伸不可能なので、同一の回動方向における回動が阻止される。なぜなら、このような回動は、収縮不可能な接続区間を押しつぶしてしまう又は引き離してしまうであろうからである。これとは逆に、この旋回可能な懸架は、ある程度の変位は可能にするので、反対の回動方向における回動は可能である。
【0014】
マイクロメカニカルセンサデバイスの別の実施形態では、結合機構は、第1の回動軸線に対して平行に配向されている接続区間を有している。この接続区間は、捻れ可能であるが、逸れることはなく又は曲がることはない。
【0015】
有利には、結合機構は、次のように構成されている。即ち、外部磁界と磁石機構との相互作用による第1の担体機構の回動が、第2の担体機構に伝達されるように構成されている。ここで、第2の担体機構の回動方向は、第1の担体機構の回動方向と反対である。従って、第1又は第2の担体機構の回動角度を測定することによって、外部磁界の大きさ又は配向を特定することができる。
【0016】
マイクロメカニカルセンサデバイスの有利な発展形態では、第1の担体機構と第2の担体機構とが変位させられていない静止位置にある場合、収縮不可能かつ延伸不可能な接続区間は、第1の担体機構の第1の回動中心と第2の担体機構の第2の回動中心との間の接続線に対して垂直な面に位置している。このような配置構成に基づいて、同一の回動方向での回動運動時には、収縮力が接続区間に作用する。しかし、接続区間は収縮も延伸も可能ではないので、同一の回動方向での回動は阻止される。反対の回動方向での第1又は第2の担体機構の回動運動時には、結合機構は、静止位置に対して相対的に振り動かされるが、収縮又は延伸されないので、このような回動運動は可能に保たれる。
【0017】
有利な発展形態では、マイクロメカニカルセンサデバイスは測定装置を有している。この測定装置は、第1の担体機構及び/又は第2の担体機構の回動角度を測定するように構成されている。この測定装置は、有利には、測定されたこの回動角度に基づいて、外部磁界の大きさ及び/又は配向を特定するように構成されている。
【0018】
マイクロメカニカルセンサデバイスの有利な実施形態では、測定装置は、少なくとも部分的に、第1の担体機構及び/又は第2の担体機構に配置されている。
【0019】
マイクロメカニカルセンサデバイスの別の実施形態では、測定装置は、基板に配置されている電極と、第1の担体機構及び/又は第2の担体機構に配置されている対向電極とを含んでいる。電極と対向電極との間の電位差の変化を測定することによって、第1の担体機構又は第2の担体機構の回動角度又は外部磁界の大きさ又は配向を特定することができる。
【0020】
マイクロメカニカルセンサデバイスの有利な実施形態では、磁石機構のN極S極軸線は、基板に対して平行に配向されている。
【0021】
マイクロメカニカルセンサ装置の有利な実施形態では、マイクロメカニカルセンサ装置は、評価機構を有している。この評価機構は、少なくとも3つのマイクロメカニカルセンサデバイスの第1の担体機構及び/又は第2の担体機構の各回動角度を測定し、測定されたこの回動角度に基づいて、外部磁界の強さ及び/又は配向を特定するように構成されている。従って、本発明は、三次元の磁気センサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に即したマイクロメカニカルセンサデバイスの概略的な平面図。
図2図1に示されたマイクロメカニカルセンサデバイスの概略的な斜視図。
図3】外部磁界の影響を示す、図1に示されたマイクロメカニカルセンサデバイスの概略的な平面図。
図4】マイクロメカニカルセンサデバイスにおける衝撃の影響を示す、図1に示されたマイクロメカニカルセンサデバイスの概略的な平面図。
図5】別の実施形態に即したマイクロメカニカルセンサデバイスの概略的な平面図。
図6】本発明の実施形態に即したマイクロメカニカルセンサ装置の概略的な平面図。
【0023】
全ての図面では、同一の又は機能的に同等の素子及びデバイスには、同一の参照番号が付けられている。それが有利である限りでは、異なる実施形態が任意に相互に組み合わせ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施例の説明
本発明のある実施形態に即したマイクロメカニカルセンサデバイス1aが、図1においては概略的な平面図で、図2においては概略的な斜視図で示されている。マイクロメカニカルセンサデバイス1aは、有利にはケイ素から成る基板2を有しており、ここで、第1の担体機構3は、第1のスプリングビーム(Federbalken)8aを用いて、第1の柱状接続区間又は第1の基板アンカー7aに取り付けられており、さらに第1の基板アンカー7aを介して基板2に接続されており、基板2から間隔を空けて取り付けられている。
【0025】
さらに、第2の担体機構5が、第2のスプリングビーム8bを介して、第2の柱状接続区間又は第2の基板アンカー7bに固定されており、さらに第2の基板アンカー7bを介して基板2に接続されており、基板2から間隔を空けて配置されている。第1の担体機構3又は第2の担体機構5は、第1の基板アンカー7a又は第2の基板アンカー7bを通って延在する第1の回動軸線A1又は第2の回動軸線A2を中心に回動可能又は変位可能である。第1の回動軸線A1は、第2の回動軸線A2に対して平行に、z軸線に沿って延在し、かつ、x−y平面に延在する、基板2の基板表面に対して垂直に延在している。第1の基板アンカー7aは、第1の担体機構3の第1の回動中心7aを形成し、第2の基板アンカー7bは、第2の担体機構5の対応する第2の回動中心7bを形成する。
【0026】
第1の担体機構3は、磁石機構4を有している。この磁石機構4のN極S極軸線は、x軸線に沿って延在している。x軸線は、基板に対して平行に延在しており、変位させられていない静止位置においては、第2の担体機構5に対して平行に延在している。第1の基板アンカー7aと第2の基板アンカー7bとの間の接続線は、y軸線に対して平行に延在しており、かつ、x軸線に対して垂直に延在している。
【0027】
第1の担体機構3は、第1の突出部10aを有しており、第2の担体機構5は、第2の突出部10bを有している。これらの突出部は、第1の基板アンカー7aと第2の基板アンカー7bとの間の接続線に対して平行に突出している。収縮不可能かつ延伸不可能な接続区間の形態の結合機構6が、第1の突出部10a及び第2の突出部10bと接続されている。ここで、この結合機構6は、第1の突出部10a又は第2の突出部10bに対して相対的に旋回可能又は撓み可能である。結合機構6は、基板2の基板表面に対して平行に延在し、かつ、第1の基板アンカー7aと第2の基板アンカー7bとの間の接続線に対して垂直に延在している。従って、結合機構6は、第1の基板アンカー7aと第2の基板アンカー7bとの間の接続線に対して垂直に延在する面に位置する。
【0028】
マイクロメカニカルセンサデバイスはさらに、測定装置を含んでいる。この測定装置は、第2の担体機構5に配置されている第1の櫛の歯状構造体9aと第2の櫛の歯状構造体9bとを含んでいる。第2の回動軸線A2を中心とした第2の担体機構5の回動角度に関連して、第1の櫛の歯状構造体又は第2の櫛の歯状構造体の容量が変化する。この容量変化がこの測定装置によって測定され、この測定装置は、対応する測定信号を出力する。第2の回動軸線A2を中心とした第2の担体機構5の回動角度を、この測定信号に基づいて、測定装置によって特定することができる。
【0029】
別の実施形態では、基板2に電極が配置されている。また、第1の担体機構3及び/又は、第2の担体機構5に対向電極が配置されている。従って、第1の担体機構3又は第2の担体機構5の回動角度を、電極と対向電極との間の電位差を測定することによって特定することができる。
【0030】
マイクロメカニカルセンサデバイス1aの作用原理を以下で、図3及び図4を参照してより詳細に説明する。図3には、マイクロメカニカルセンサデバイス1aへの外部磁界Bの影響が示されている。y方向における外部磁界Bの成分は、磁石機構4との相互作用に基づいて、第1の回転モーメントMaを生成する。この第1の回転モーメントは、第1の回動軸線A1を中心とした第1の担体機構3の回動運動を生じさせる。結合機構6は、x方向において硬く、即ち、収縮不可能又は延伸不可能であるが、y方向においては、変形可能又は旋回可能であるので、第1の担体機構3の回動によって、第2の回転モーメントMbが生成される。この第2の回転モーメントは、第2の回動軸線A2を中心とした第2の担体機構5の回動運動を生じさせる。第1の担体機構3の回動方向又は回動角度は、第2の担体機構5の回動方向又は回動角度とは反対である。従って、結合機構6は、第1の担体機構3の回動運動を第2の担体機構5に伝達するように構成されており、第2の担体機構5の回動方向は、第1の担体機構3の回動方向と反対である。
【0031】
有利には、第1の担体機構3の質量及び第2の担体機構5の質量、及び/又は、第1の担体機構3の慣性モーメント及び第2の担体機構5の慣性モーメントは、実質的に同等の大きさであるので、回動角度は同等の大きさであるが、符号は反対である。回動角度の大きさは、外部磁界Bの強さ及び/又は配向に関連している。従って、測定装置は、この回動角度を測定することによって、外部磁界Bの強さ及び/又は配向を特定することができる。
【0032】
図4には、マイクロメカニカルセンサデバイス1aの衝撃又は振動の作用が示されている。第1の回転モーメントMaは第1の担体機構3に作用し、第2の回転モーメントMbは第2の担体機構5に作用する。第1の回転モーメントMa及び第2の回転モーメントMbは、第1の回動軸線又は第2の回動軸線に沿って、即ち、このケースでは、z軸線に沿って同一の方向を指し示している。第1の回転モーメントMaと第2の回転モーメントMbとはそれぞれ力を形成し、これらの力は、第1の突出部10a又は第2の突出部10bに、反対方向において作用する。第1の突出部10aは、第2の突出部10bと接続区間6を介して接続されているので、同一の回動方向における第1の担体機構3の回動運動及び第2の担体機構5の回動運動は阻止される。従って、マイクロメカニカルセンサデバイス1aの振動又は衝撃は、第1又は第2の担体機構3、5に回動運動を伝達しない。結合機構6は、同一の回動方向における第1の担体機構3又は第2の担体機構5の回動を阻止する。
【0033】
図1乃至図4に示されたマイクロメカニカルセンサデバイスが、y軸線に沿った外部磁界Bの成分の検出を可能にし、又は、マイクロメカニカルセンサデバイス1aを90°回転させることによってx軸線に沿った外部磁界Bの成分の検出も可能にし、即ち、基板2の基板面における磁界Bの成分の検出を可能にするのに対して、図5には、z軸線に沿った外部磁界Bの成分の検出を可能にするマイクロメカニカルセンサデバイス1bの概略的な平面図が示されている。磁石機構4のN極S極軸線は、ここではy軸線に沿って、即ち、第1の基板アンカー7aと第2の基板アンカー7bとの間の接続線に沿って配置されている。第1の担体機構3及び第2の担体機構5は、第1の回動軸線A1又は第2の回動軸線A2を中心に回動可能である。この回動軸線は、x軸線に沿って、即ち、基板2の基板面に対して平行に延在している。外部磁界Bのz成分は、回転モーメントを生成する。この回転モーメントは、第1の担体機構3を第1の回動軸線A1を中心に変位させる。ここで、第2の担体機構5は、結合機構6との結合によって反対の回動方向において変位させられる。従って、第1の突出部10a又は第2の突出部10bは、z軸線に沿って同一の方向において変位させられる。マイクロメカニカルセンサデバイスの振動又は衝撃は、同一の回転モーメントを第1の担体機構3及び第2の担体機構5上に生成するので、第1の突出部10a及び第2の突出部10bは異なる方向においてz軸線に沿って変位させられる。しかし、このような運動は、結合機構6によって阻止される。結合機構6は、このために、次のように構成されている。即ち、結合機構6は、x軸線に沿って捻れ可能であるが、z軸線に沿って、第1の突出部又は第2の突出部10a、10bに対して相対的に逸らされない又は変位させられないように構成されている。
【0034】
図6には、マイクロメカニカルセンサ装置11の概略的な平面図が示されている。これは、第1のマイクロメカニカルセンサデバイス12と、第2のマイクロメカニカルセンサデバイス13と、第3のマイクロメカニカルセンサデバイス14とを有している。第1のマイクロメカニカルセンサデバイス12と第2のマイクロメカニカルセンサデバイス13とは、90°だけ相互に回転して、共通の基板2上に配置されており、図1乃至図4に示された実施形態に対応しており、かつ、外部磁界Bのy又はx成分を測定するように設計されている。第3のマイクロメカニカルセンサデバイス14も、基板2上に配置されており、図5に示された実施形態に対応しており、かつ、外部磁界Bのz成分を測定するように構成されている。マイクロメカニカルセンサ装置11はさらに、評価機構15を含んでいる。評価機構15は、第1乃至第3のセンサデバイス12、13、14の第1の担体機構3及び/又は第2の担体機構5の各回動角度を測定し、測定された回動角度に基づいて、外部磁界Bの強さ及び/又は配向を特定するように構成されている。マイクロメカニカルセンサ装置11は、これによって、外部磁界Bの三次元の経過を検出することができる。
【0035】
さらに、本発明は、上述した実施形態のうちの1つに従った、マイクロメカニカルセンサデバイス1a、1bの動作方法又はマイクロメカニカルセンサ装置11に関する。ここでは、第1の担体機構3及び/又は第2の担体機構5の回動角度が測定され、測定された回動角度に基づいて、外部磁界の強さ及び/又は配向が特定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6