(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、免震装置として特許文献1に記載されたものを本出願人は提案済みである。同文献の
図3に示す免震装置は、上下の支持部材と、当該上下の支持部材の間に相対的に摺動自在に設けられた摺動部材とを備えている。この上支持部材の上面には、ラックなどの上部構造物が固定されており、その下面には、上方に凹んだ球面状の摺動面が形成されている。この摺動面の表面には、潤滑被膜が形成されており、この潤滑被膜は、エポキシ樹脂、硬化剤、エポキシ基を有する反応性シリコーンオイル及びトリアジンチオールを組成とするものである。
【0003】
また、下支持部材は、床などの下部構造物に載置した状態で固定されており、その上面には、下方に凹んだ球面状の摺動面が形成されている。この摺動面は、上支持部材の摺動面と同一の曲率で構成されており、この摺動面の表面にも、上支持部材の摺動面と同じ組成の潤滑被膜が形成されている。
【0004】
さらに、摺動部材は、基部と、この基部の上下面に面一に埋め込まれた上下一対の滑り材とを備えている。上下の滑り材は、各々の表面が上方に凸の球面形状に構成され、これらの表面を介して上下の支持部材の摺動面にそれぞれ当接しているとともに、これらの表面の曲率は上下の支持部材の摺動面と同一に設定されている。
【0005】
以上の構成により、この免震装置では、水平方向の振動が下部構造物に入力されたときに、摺動部材が面接触状態で上下の支持部材に対して相対的に往復摺動を繰り返す状態となり、それにより、水平方向の振動が下部構造物から上部構造物に伝達されるのを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の免震装置によれば、摺動部材を上下の支持部材に対して面接触させた状態で、両者を相対的に横方向に往復摺動させた場合、常温条件下では免震性能の低下が生じないものの、常温よりもかなり低い温度条件下(例えば、−25℃)では、動摩擦係数が上昇し、免震性能の低下が生じることが本出願人の実験により確認された(後述する表1参照)。この事象は、低温条件下では、摺動部材の往復摺動により、上下の支持部材の潤滑被膜におけるシリコーンオイルが、摺動部材と上下の支持部材との当接面から外側に掻き出されてしまうことによるものと推定される。以上の理由により、特許文献1の免震装置の場合、低温条件下では使用することができず、その商品性が低いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低温条件下でも良好な免震性能を確保することができ、商品性を向上させることができる免震装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、上部構造物と下部構造物との間に設けられる免震装置において、互いに対向するように設けられ、互いの対向面上に潤滑被膜が形成された上支持部材及び下支持部材と、上支持部材と下支持部材との間に面接触状態で設けられ、上支持部材及び下支持部材に対して相対的に摺動自在の摺動部材と、を備え、摺動部材は、基部と、基部の上端部に上支持部材と面接触した状態で設けられ、上支持部材との当接面に開口する多数の収容部を有するとともに、多数の収容部に潤滑材が充填された上滑り材と、基部の下端部に下支持部材と面接触した状態で設けられ、下支持部材との当接面に開口する多数の収容部を有するとともに、多数の収容部に潤滑材が充填された下滑り材と、を有
し、上滑り材及び下滑り材の少なくとも一方の当接面における多数の収容部は、一方の当接面の基準点に配置された1つの収容部と、基準点を中心とするn個(nは複数)の円環のそれぞれに沿って等間隔に離間して配置された複数の収容部により構成されるn組の収容部群とを有し、n組の収容部群のそれぞれから選択される少なくとも1つの収容部の集合が基準点を基準とする少なくとも1つの方位について非直線的に配置されることにより、収容部の集合が少なくとも1つの方位について直線的に配置された場合と比較して、基準点を基準とする各方位について、収容部を通過する距離の累計値の変化態様を表す曲線の最大値及び最小値の幅が小さくなるように構成されており、n組の収容部群のうちの一部の収容部群の基準となる基準収容部は、一方の当接面の基準点を通って径方向に延びる基準線上に直線的に配置され、n組の収容部群のうちの一部以外の収容部群の基準となる基準収容部は、基準線に対して互いに異なる複数の所定角度分、周方向にずれた状態で配置されており、複数の所定角度は、1つの収容部の集合が1つの方位について非直線的に配置されるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
この免震装置によれば、上支持部材及び下支持部材が、互いに対向するように設けられ、上支持部材及び下支持部材に対して相対的に摺動自在の摺動部材が上支持部材と下支持部材との間に面接触状態で設けられているので、水平方向の振動が下部構造物に入力されたときに、摺動部材が、上支持部材及び下支持部材に対して相対的に摺動することによって、水平方向の振動が下部構造物から上部構造物に伝達されるのを抑制することができる。その際、免震装置が低温条件下に配置されている場合には、前述したように、摺動部材の往復摺動の繰り返しにより、上支持部材及び下支持部材の潤滑被膜における潤滑剤が、摺動部材と上支持部材及び下支持部材との当接面から外側に掻き出されてしまう可能性がある。これに対して、この免震装置によれば、摺動部材の上滑り材及び下滑り材がそれぞれ、上支持部材及び下支持部材との当接面に開口する多数の収容部を有しているとともに、多数の収容部に潤滑材が充填されているので、潤滑被膜における潤滑剤が、摺動部材と上支持部材及び下支持部材との当接面から外側に掻き出された状態が発生したときでも、上滑り材及び下滑り材の多数の収容部に充填された潤滑材によって、上支持部材との当接面及び下支持部材との当接面において十分な潤滑作用をそれぞれ確保することができる。それにより、摩擦係数の上昇を抑制でき、良好な免震性能を確保することができる。
【0012】
この免震装置によれば、上滑り材及び下滑り材の少なくとも一方の当接面における多数の収容部が、一方の当接面の基準点に配置された1つの収容部と、基準点を中心とするn個(nは複数)の円環のそれぞれに沿って等間隔に離間して配置された複数の収容部により構成されるn組の収容部群とを有している。さらに、n組の収容部群のそれぞれから選択される少なくとも1つの収容部の集合が基準点を基準とする少なくとも1つの方位について非直線的に配置されることにより、収容部の集合が少なくとも1つの方位について直線的に配置された場合と比較して、基準点を基準とする各方位について、収容部を通過する距離の累計値の変化態様を表す曲線の最大値及び最小値の幅が小さくなるように構成されているので、摺動部材が各方位に摺動した際、収容部の集合が少なくとも1つの方位について直線的に配置されたときと比べて、収容部に充填された潤滑材を当接面上にむらなく行き渡るように作用させることができ、より良好な潤滑性能を確保することができる。
【0014】
この免震装置によれば、n組の収容部群のうちの一部の収容部群の基準となる基準収容部が、一方の当接面の基準点を通って径方向に延びる基準線上に直線的に配置され、一部以外の収容部群の基準となる基準収容部が、基準線に対して互いに異なる複数の所定角度分、周方向にずれた状態で配置され、これらの複数の所定角度が、1つの収容部の集合が1つの方位について非直線的に配置されるように設定されている。このように、基準収容部の一部を基準線上に直線的に配置し、それ以外の基準収容部を、基準線に対して互いに異なる複数の所定角度分、周方向にずれた状態で配置することによって、請求項2に係る発明の作用効果を奏する免震装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る免震装置について説明する。本実施形態の免震装置は、自動冷凍倉庫のラックに適用されたものであり、具体的には、
図1A〜1Cに示すように、ラック30(上部構造物)と床31(下部構造物)の間に配置されている。
【0017】
この免震装置1は、上下一対の球面板10,10(上支持部材及び下支持部材)と、これらの球面板10,10の間に配置された摺動体20(摺動部材)とを備えている。この免震装置1の場合、上下の球面板10,10は、同一に構成されているので、以下、下球面板10を例にとって説明する。
【0018】
下球面板10は、金属(例えば、ステンレス)とモルタルを組み合わせたものであり、
図2A,2Bに示すように、取付部11及び支持部12を備えている。この取付部11は、金属製で平面視矩形の板状のものであり、その四隅には、4つのボルト穴11aがそれぞれ設けられている。下球面板10は、床31に埋め込まれたアンカーボルト40をボルト穴11aに通し、ナット41をアンカーボルト40に螺合させ、締め込むことによって、床31に固定されている。
【0019】
また、支持部12は、取付部11と同心に設けられ、取付部11から上方に突出する円盤状の部材であり、金属製の中空の薄板部材の内部にモルタルを充填することによって構成されている。支持部12の外径は、取付部11の外寸よりも小さいサイズに設定されている。この支持部12の上面は、円環状の縁面12aと、この縁面12aから下方に凹んだ球面状の摺動面12bとで構成されている。この摺動面12bの表面には、潤滑被膜(図示せず)が形成されており、この潤滑被膜は、フッ素樹脂、シリコーンオイル及びトリアジンチオールを組成とするものである。
【0020】
一方、上球面板10は、取付部11の上面がラック30に接した状態で、ボルト42及びナット41を介してラック30に固定されている。
【0021】
また、摺動体20は、球面板10,10の間に摺動自在に設けられており、基部21及び上下一対の滑り材22,22を備えている。基部21は、金属(例えば、アルミニウム合金)製の円盤状のものであり、その上下端部には、丸穴21a,21aが形成されている(
図3A,3B参照)。これらの丸穴21a,21aは、基部21に対して同心でかつ互いに面対称に設けられている。
【0022】
これらの丸穴21a,21aには、上下の滑り材22,22がそれぞれ嵌め込まれている。上下の滑り材22,22は、互いに同一に構成されているので、以下、上滑り材22を例にとって説明する。この上滑り材22は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ガラス繊維及びポリイミド粉末を原料として、これらを圧縮成型した後に焼成した合成樹脂製のものである。
【0023】
図4A,4B,6に示すように、上滑り材22は、円盤状のものであり、下表面が平らで、その上表面は、上方に凸の球面状の摺動面22a(当接面)となっている。この摺動面22aの曲率は、球面板10の摺動面12bと同一に設定されている。また、上滑り材22の場合、その外径は、基部21の丸穴21aの径と同一に設定され、その縁部の高さは丸穴21aの深さよりも若干、高く設定されている。以上の構成により、上滑り材22は、摺動面22aが丸穴21aの縁部から若干、突出した状態で、基部21の丸穴21aに隙間なく嵌合している(
図1C,3B参照)。
【0024】
また、この摺動面22a上には、摺動面22aの中心点O(基準点)に同心に配置された1個の穴h0と、計6個の穴h1で構成された第1穴群と、計12個の穴h2で構成された第2穴群と、計18個の穴h3で構成された第3穴群と、計24個の穴h4で構成された第4穴群と、計30個の穴h5で構成された第5穴群と、計36個の穴h6で構成された第6穴群とが設けられている。これらの第1〜第6穴群は、中心点Oに対して、同心にかつ互いに径方向に等間隔の6つの円環上に配置されており、各穴群の穴は、周方向に互いに等間隔で並んでいる。
【0025】
さらに、以上の穴h0〜h6(収容部)は、摺動面22aに開口する、互いに同径の丸穴で構成されており、穴h0〜h6のいずれにも、固体潤滑材23(
図4A,5に1つのみ図示)が充填されている。これらの固体潤滑材23(潤滑材)は、その表面が摺動面22から若干、突出する状態(又は摺動面22aと面一の状態)で、かつ上球面板10の摺動面12bに接する状態で設けられている。
【0026】
この固体潤滑材23は、メラミンシアヌレート、PTFE、シリコーンワックス及びシリコーンオイルを原料として、これらを溶融混合し、プレス成型することによって、潤滑材シートを作製した後、この潤滑材シートから円形に切り出すことによって作製されている。
【0027】
また、
図6に示すように、第1〜第6穴群の各々の基準となる基準穴h1〜h6(太い縁取りで示す穴)は、基準線Hに対する基準角度θ1〜θ6が以下に述べるように設定されている。すなわち、基準角度θ1〜θ6は、基準線Hに対して時計回りの角度を正値と規定したときに、θ1=θ4=θ5=0、θ2<0<θ6<θ3(=π/2)が成立するような所定角度に設定されている。それにより、基準線Hの近傍における穴h1〜h6の集合は、基準線Hに沿う方位について非直線的に配置されている。これは以下の理由による。
【0028】
すなわち、
図7に示すように、上滑り材22の摺動面22aの中心点Oから径方向に延びる直線H’を規定し、この直線H’が穴h0〜h6の開口と交差する部分の長さ(以下「交差長さ」という)をL0〜L6と規定すると、これらの交差長さの累計値SumLは、SumL=L0+L1+L2+L3+L4+L5+L6となる。この直線H’を
図6の基準線Hの位置を0゜として、この位置から時計回りに180゜回転させると、この交差長さの累計値SumLの変化態様を表す曲線は、例えば、
図8に実線で示すものとなる。この場合、交差長さの累計値SumLは、中心点Oを基準とする各方位について、穴h0〜h6を通過する距離の長さの累計値に相当することになる。
【0029】
同図において、横軸のθ’は、直線H’の回転角度を表しており、S1〜S4は、S1<S2<S3<S4が成立する累計値SumLの所定値である。また、同図において、破線で示す曲線は、比較のために、基準穴h1〜h6を、各々の中心が基準線H上に来るように配置した場合、すなわち、基準穴h1〜h6をいずれも直線的に配置した場合における交差長さの累計値SumLの変化態様を表すものである。
【0030】
両者を比較すると明らかなように、本実施形態の免震装置1の場合、交差長さの累計値SumLの曲線における最大値S3及び最小値S2の幅(S3−S2)は、基準穴h1〜h6をいずれも基準線H上に同心に配置した場合の最大値S4及び最小値S1の幅(S4−S1)よりも小さくなることが判る。その結果、摺動体20が摺動した際、基準穴h1〜h6をいずれも基準線Hに沿う方位について直線的に配置したときと比べて、穴h0〜h6に充填された固体潤滑材23を当接面22a上においてむらなく行き渡るように作用させることができることになる。この効果を得るために、基準線Hの近傍における穴h1〜h6の集合は、基準線Hに沿う方位について非直線的に配置されている。
【0031】
以上のように構成された免震装置1によれば、地震などに起因して、水平方向の振動が床31に入力された場合、摺動体20及び上下の球面板10,10が相対的に摺動することによって、水平方向の振動が床31からラック30に伝達されるのを抑制することができる。
【0032】
その際、摺動体20の上下の滑り材22では、上下の球面板10との当接面である摺動面22aに多数の穴h0〜h6が形成されているとともに、多数の穴h0〜h6に固体潤滑材23が充填されているので、低温条件下において、上下の球面板10の潤滑被膜における潤滑剤が、摺動体20と上下の球面板10との当接面から外側に掻き出された状態が発生したときでも、上下の滑り材22の多数の穴h0〜h6に充填された固体潤滑材23によって、摺動体20と上下の球面板10との当接面において十分な潤滑作用をそれぞれ確保することができる。それにより、低温条件下においても、摩擦係数の上昇を抑制でき、良好な免震性能を確保することができる。
【0033】
また、上述した基準角度θ1〜θ6の設定により、基準線Hの近傍における穴h1〜h6の集合は、基準線Hに沿う方位について非直線的に配置されることで、交差長さの累計値SumLの曲線における最大値S3及び最小値S2の幅(S3−S2)は、基準穴h1〜h6をいずれも基準線H上に同心に配置した場合よりも小さくできる。それにより、摺動体20が摺動した際、基準穴h1〜h6をいずれも基準線Hに沿う方位について直線的に配置したときと比べて、穴h0〜h6に充填された固体潤滑材23を当接面22a上においてむらなく行き渡るように作用させることができ、より良好な潤滑性能を確保することができる。
【0034】
次に、以上の免震装置1における摺動特性の試験結果について説明する。この摺動特性試験は、以下のように実施した。すなわち、滑り材22の摺動面22aを球面形状から平面形状に変更した試験用の滑り材と、球面板10の摺動面12bを球面形状から平面形状に変更した試験用の摺動板と準備し、滑り材の摺動面を下に向けて摺動板の摺動面上に載置する。
【0035】
そして、常温条件下(例えば15℃)及び低温条件下(例えば−25℃)において、所定の荷重を滑り材に上方から作用させた状態で、滑り材を摺動板上で所定幅(例えば数十センチ)及び所定速度(秒速数十センチ)で往復摺動させる。その後、往復摺動の総距離が所定値(例えば数十メートル)に達した時点で、往復摺動を終了させるとともに、往復摺動の開始時と終了時の間における動摩擦係数の変動量(すなわち上昇分)を計測した。以下、この計測結果を「本発明結果」という。また、比較のために、特許文献1と同じ構成の比較試験用の滑り材及び摺動板を用いて、上記と同じ試験手法により動摩擦係数の変動量を計測した。以下、この計測結果を「従来結果」という。
【0036】
下表1は、以上の摺動特性の試験結果を示している。
【表1】
【0037】
この表1を参照すると、常温条件下では、本発明結果及び従来結果の双方において、動摩擦係数がほとんど変動していないことが判る。また、低温条件下では、本発明結果の場合、動摩擦係数の変動量が値0.004となっており、動摩擦係数がほとんど変動していないことが判る。これに対して、従来結果の場合、動摩擦係数の変動量が値0.052となっており、本発明結果と比べて、動摩擦係数の上昇度合いが大きいことが判る。すなわち、本実施形態の免震装置1によれば、低温条件下において、特許文献1の免震装置と比べて、高い免震性能を確保できることが判る。
【0038】
なお、実施形態は、上滑り材及び下滑り材として、平面視円形のものを用いた例であるが、本発明の上滑り材及び下滑り材の平面視形状はこれに限らず、円形以外の形状に設定してもよい。例えば、上滑り材及び下滑り材の平面視形状を、六角形などの多角形の形状に設定してもよい。
【0039】
また、実施形態は、収容部として丸穴を用いた例であるが、本発明の収容部はこれに限らず、潤滑材を内部に充填可能なものであればよい。例えば、収容部として、三角以上の多角穴や楕円穴を用いてもよく、穴に代えて孔を用いてもよく、穴と孔を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
さらに、実施形態は、1つの収容部である穴h0とn組の収容部群である6組の穴群を、上滑り材の当接面及び下滑り材の当接面の双方に設けた例であるが、上滑り材の当接面又は下滑り材の当接面に設けるように構成してもよい。その場合には、1つの収容部とn組の収容部群を設けていない方の当接面に、多数の収容部を不規則又は規則的に配置すればよい。
【0041】
一方、実施形態は、n組の収容部群として6組の穴群を用いた例であるが、本発明の収容部群の組数はこれに限らず、2〜5組又は7組以上の収容部群を用いてもよい。
【0042】
また、実施形態は、6組の収容部群のそれぞれから選択される1つの収容部の集合h1〜h6が中心点Oを基準とする1つの方位について非直線的に配置された例であるが、2つ以上の収容部の集合が1つの方位について非直線的に配置されていてもよく、2つ以上の収容部の集合がそれぞれ2つ以上の方位について非直線的に配置されていてもよい。
【0043】
実施形態は、6組の穴群がいずれも6回対称性を有するように構成した例であるが、これに代えて、6組の穴群がいずれも2〜5回又は7回以上の対称性を有するように構成したり、6組の穴群が互いに異なる回転対称性を有するように構成したり、6組の穴群の少なくとも1組の穴群が対称性を有していないように構成したりしてもよい。
【0044】
実施形態は、穴h0〜穴h6をいずれも同一のサイズに構成した例であるが、これに代えて、穴h0〜穴h6をいずれも異なるサイズに構成してもよく、穴h0〜穴h6の少なくとも一部を異なるサイズに構成してもよい。
【0045】
さらに、実施形態は、上下の滑り材の当接面における中央点を基準点とした例であるが、本発明の基準点はこれに限らず、上下の滑り材の当接面の中央点以外を基準点としてもよい。
【0046】
一方、実施形態は、本発明の免震装置を上部構造物としてのラックと下部構造物としての床との間に設けた例であるが、本発明の免震装置はこれらに限らず、様々な上部構造物と下部構造物との間に適用可能である。
【0047】
また、実施形態は、本発明の免震装置を自動冷凍倉庫のラックに適用した例であるが、本発明の免震装置はこれに限らず、他の産業機器にも適用可能である。