(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コア層およびそれを含有するシェル層からなるコアシェル構造を有する光触媒担持磁性体であって、前記コア層が磁性材料を含有し、前記シェル層がシロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含有するコーティング材料からなり、該シェル層が光触媒と金属粒子または金属化合物粒子の表面の一部が露出するように含有することを特徴とする光触媒担持磁性体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐摩耗性が高く、耐久性が高い塗膜を形成できるコーティング材料を提供することを課題とする。
他方、光触媒機能を有する粒子(アナターゼ型の酸化チタン等)は、ナノメーターオーダーの粒子径であるため、基材に固定化して使用する方法が考えられている。
【0008】
使用する環境が水中で、光触媒機能を使用して対象物質を分解させる用途で用いる場合は、以下の課題に対応しなければならない。
・光触媒が担持した基材が腐朽したり、錆びたりして含有成分が脱離・流出しないこと。
・光触媒機能を有する粒子の分離・回収が容易であること。
・光触媒機能を有する粒子が効率良く分解対象物質を分解できること。
・光触媒機能を有する粒子が耐摩耗性および耐衝撃性に優れ、耐久性が高く、光触媒が基材から脱離・流出しないこと。
【0009】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性および耐衝撃性に優れ、耐久性が高く、効率よく分解対象物質に接触することが可能で、該触媒を担持する基材から脱離・流出しにくく、分離・回収が容易な、光触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の目的を達成すべく種々検討した結果、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含有するコーティング材料を開発し、磁性材料含有コア層が、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含むシェル層により含有されており、光触媒と金属粒子または金属化合物粒子の表面の一部が露出するようにシェル層内に含有されていることを特徴とする光触媒担持磁性体を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出して本発明を完成した。
【0011】
かくして、本発明によれば、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含有することを特徴とするコーティング材料が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記シロキサン単位を有する成分が、少なくともオルガノポリシロキサンを含む前記のコーティング材料が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記金属粒子または金属化合物粒子が、銅、亜鉛または銀から選択される少なくとも1つを含む、前記のコーティング材料が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、前記コーティング材料が、光触媒調製用である前記のコーティング材料が提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、コア層およびそれを含有するシェル層からなるコアシェル構造を有する光触媒担持磁性体であって、前記コア層が磁性材料を含有し、前記シェル層がシロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含有する前記のコーティング材料からなり、該シェル層が光触媒と金属粒子または金属化合物粒子の表面の一部が露出するように含有することを特徴とする光触媒担持磁性体が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、前記磁性材料が、フェライトである前記の光触媒担持磁性体が提供される。
【0017】
その上さらに、本発明によれば、前記の光触媒担持磁性体を、水に分散させ、光を照射して光触媒を活性化して、当該水に存在する有機物を分解する浄化工程を含むことを特徴とする水の浄化方法が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、前記水が、生活または工場排水貯水池の水である前記の水の浄化方法が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、前記光触媒担持磁性体が、磁石を用いて移動または回収される工程を含む前記水の浄化方法が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、前記光触媒担持磁性体が、水洗および乾燥工程に付される前記の水の浄化方法が提供される。
【0021】
その上、本発明によれば、前記光触媒担持磁性体が、水洗および乾燥工程により再生され、前記の浄化工程において再利用される前記の水の浄化方法が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるコーティング材料は、耐摩耗性および耐衝撃性に優れ、耐久性が高い塗膜を形成できる。
また、本発明による、コアシェル構造をもった光触媒担持磁性体は、磁性材料含有コア層表面が、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含むシェル層により被覆されていることで、各種環境下でも、振とうや衝撃に対しても光触媒が光触媒担持磁性体から脱離・流出しにくく、長期にわたり使用でき、かつ分離・回収が容易である。
【0023】
また本発明によれば、光触媒が、酸化チタンまたは酸化タングステンあるいはこれらの両方であることで各種光源波長に合わせて効率良く光触媒が活性化し、標的物質や有機物の分解効果を発揮することが可能になる。
また、本発明によれば、前記金属または金属化合物が、銅、亜鉛または銀から選択される少なくとも1つを含むことで振とうや衝撃に対しても強く、且つ光触媒とともに標的物質や有機物の分解効果を発揮することが可能になる。
【0024】
また本発明によれば、光触媒担持磁性体を水に分散させ、光触媒を活性化する波長の光を照射して当該水に存在する有機物を分解する浄化工程を含むことで、光触媒担持磁性体が水中に分散して且つ、各光触媒担持磁性体粒子の表面で、当該水に存在する有機物の分解反応を進めることが可能になるため、特に水の浄化において光触媒による分解効果を発揮することができる。
【0025】
また本発明によれば、磁石を用いて水の浄化に使用した本発明による光触媒担持磁性体を、移動または回収工程により定量的に回収することで、使用環境への当該光触媒担持磁性体の漏洩が無くなり、かつ回収した光触媒担持磁性体を水洗し、乾燥して、水の浄化において半永久的に使用することが可能になる為維持コストの低減が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
コーティング材料
本発明のコーティング材料は、耐摩耗性および耐衝撃性に優れ、耐久性が高く、耐摩耗性が高く、耐久性が高い塗膜を形成できるコーティング材料を提供でき、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含有することを特徴とする。
【0028】
光触媒担持磁性体
本発明の光触媒担持磁性体は、コアシェル構造を有する光触媒担持磁性体であって、磁性材料含有コア層が、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含むシェル層により含有されており、光触媒と金属粒子または金属化合物粒子の表面の一部が露出するようにシェル層内に含有されている構造を有するものである。
【0029】
本発明の光触媒担持磁性体によると、シロキサン構造を有するシェル層は保護層の働きをしており、磁性体粒子の防錆と磁性体粒子表面への吸着を抑制し、水浄化用の用途で耐久性に優れる。また、光触媒機能を有する光触媒と外部または該触媒同士が接触した場合に衝撃を吸収する金属粒子または金属化合物粒子はシロキサン構造を有するシェル層内にその一部が露出されずに埋没しているとその機能を発揮できない。
本発明で用いられる、シェル層が光触媒と金属粒子または金属化合物粒子の表面の一部が露出するように含有する、とは、光触媒機能を有する光触媒粒子の一部分と外部または該触媒同士が接触した場合に衝撃を吸収する金属粒子または金属化合物粒子の一部分がシロキサン構造を有するシェル層の最表面にその一部が露出している状態を意味する。
【0030】
各種半導体の価電子帯と伝導帯間のエネルギーギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射するとその価電子帯の電子が伝導帯に励起して、価電子帯にホールが発生する。この電子とホールが半導体内部を移動して電子は酸素を還元してスーパーオキシドアニオン(・O
2−)を生成し、正孔は水を酸化してヒドロキシラジカル(・OH)を生成すると言われている。これらのラジカル基が元となって活性酸素種を生成すると言われている。この活性酸素種により有機物が分解や滅菌されることが知られている。
【0031】
このような特徴を有する光触媒担持磁性体としては、酸化チタンや酸化タングステン等を主組成とするものがよく知られている。
酸化チタンには特に制限はなく、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタン又はこれらの2種以上の混合結晶であってもよく、用途に応じて選択すればよい。
また、酸化タングステンも特に制限はなく、市販品を適宜使用することができる。酸化タングステンは、一部がV価に還元されている場合もあるため、高温で焼成する等してVI価に酸化してから使用するのが好ましい。酸化タングステンの結晶構造にも特に制限は無い。
【0032】
光触媒担持磁性体の構造
以下、コアシェル構造をもった光触媒担持磁性体について説明する。
図1に示すのは磁性材料含有コア層と、コア層表面にシロキサン単位を有する成分と光触媒と金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含むシェル層とを備えた構造の光触媒担持磁性体である。
【0033】
また、
図1には示していないが、シェル層はコア層表面をすべて覆っていなくても良く、またコア層とシェル層の間に他の組成からなる層が入っても、シェル層を2層以上に設計しても良い。
磁性材料含有コア層を用いることで、光触媒担持磁性体を、水中で使用する際に磁力による粒子の分散制御や回収制御が可能になる。
光触媒担持磁性体を回収することで光触媒担持磁性体のリサイクルが容易になり、半永久的な使用も可能になる。
【0034】
コア層
コア層は、磁性材料を含有する。磁性材料としては、特に限定されないが例えば、フェライト、マグネタイト、酸化鉄などの酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属、またはこれらの合金を用いることができ、主成分・副成分として他の元素を含んでいても良い。含有元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。
【0035】
コア層材料の粒子径としては、磁力による制御、回収ができる粒径であれば特に限定されないが平均5μm〜5mmの範囲であることが好ましい。コア層材料の粒子径がそのような範囲であることにより、水中での分散性、水中からの回収性などの取り扱いが容易であり、シェル層内への混入加工も容易である。
【0036】
コア層材料として用いることができる各種材料とその製造方法について説明する。
フェライト
フェライトは、原料として酸化鉄Fe
2O
3を主成分として他の2価金属の酸化物を混合してから加熱して結合させて製造するが、乾式法と湿式法のいずれを用いて製造しても良い。乾式法は、金属酸化物、または加熱で金属酸化物に分解する原料を混合し、加熱して結合させて製造する方法である。
【0037】
湿式法は、フェライト原料である金属の水溶性化合物を水中で混合し、この水溶液にアルカリを添加することで金属水酸化物を沈殿させて、これを脱水乾燥後に加熱して製造する方法である。
【0038】
主原料の酸化鉄は市販の酸化鉄成分を、副原料の亜鉛、ニッケル、銅、マンガン、マグネシウム、コバルトなどの遷移金属;ストロンチウム,バリウムなどのアルカリ土類金属;イットリウム、サマリウム、ガドリニウムなどの希土類は、市販の酸化物もしくは加熱により容易に酸化物に変化する、例えば、マンガンの場合では炭酸マンガン等の市販の原料を用いることができる。
【0039】
乾式法による製造例を以下に説明するが、以下の記載に限定されるものではない。
原料は、各々適量を秤量して市販の混合機、粉砕機で混合後粉砕する。次にこの混合物に水、分散剤等を加えて固形分濃度30〜90重量%のスラリー状態にする。次に造粒工程では、上記スラリーを噴霧乾燥機で熱風中に噴霧して乾燥させて造粒品を得る。
次に、上記造粒品を1000〜1300℃で加熱してフェライトにする。得られたフェライトを粉砕機、分級機で粒径を調整してフェライトコアとした。
【0040】
マグネタイト
マグネタイトは原料として四酸化三鉄Fe
3O
4を主成分とするものであって、一般に知られている湿式法、乾式法、粉砕法のいずれを用いて製造しても良い。
【0041】
湿式法とは、Fe
2++2Fe
3+の水溶液をアルカリ性にし、共沈させる方法である。
【0042】
乾式法とは、ヘマタイト(酸化鉄Fe
2O
3)を水素・一酸化炭素又は水蒸気中で加熱・還元する方法である。
【0043】
粉砕法とは、天然に産する磁鉄鉱を粉砕する方法である。マグネタイトは一般的に湿式法で製造されることが多く、方法としては水酸化鉄を含む溶液を60℃以上の温度で酸化することにより得られる。
この製造方法では、反応により生成したマグネタイト粒子が水に分散した状態で得られるため、マグネタイト粒子を分離した後、乾燥して粉体で得ることができる。
【0044】
水酸化鉄を生成させる時の原料としては、具体的には、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、臭化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄などを用いることができる。
【0045】
アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液などを用いることができる。水酸化鉄の酸化は、水酸化鉄コロイドを含む水溶液に、加熱しつつ酸素を含有させたガス(空気でも良い)を通気することにより行われる。
【0046】
光触媒
光触媒としては特に限定されることなく、酸化チタン(TiO
2)、酸化タングステン(WO
3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ビスマス(Bi
2O
3)、酸化鉄(Fe
2O
3)などを使用することができる。
【0047】
これら光触媒は1種類のみで使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
この中で酸化チタン、酸化タングステンを主組成とするものは安価であり、入手しやすいことから好ましい。
【0048】
また上記各種光触媒のエネルギーギャップを小さくして可視光領域での応答性を上げる助触媒としてその表面に金属または金属化合物が固定化されていても良い。その場合の金属または金属化合物の金属としては遷移金属を添加するのが好ましい。プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのような白金族金属を添加するのが好ましい。
【0049】
本発明で使用できる光触媒の50%体積累積径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。5nm以上であると、凝集が少なく、再分散が容易である。200nm以下であると、加工する工程で他の成分と均一に混合し易く、離脱することも少なく良好である。
粒子径測定は、レーザ回折式粒度分布計や動的光散乱式粒度分布計等によって測定することができる。
【0050】
金属粒子または金属化合物粒子
金属粒子または金属化合物粒子としては光触媒よりも一次粒子径の大きな材料であれば特に限定されず、光触媒担持磁性体が振とうや衝撃によって外部または自己と接触した場合に金属粒子または金属化合物粒子が優先して衝撃を吸収する役割をする。また金属粒子や金属化合物粒子は有機高分子からなる樹脂粒子とは異なり光触媒によって分解しないため耐久性がある。元素周期表に掲載された金属元素いずれも用いることができるが、抗菌性能を持つという点で周期表10族、11族、12族の金属元素を含むものが好ましく、銀、亜鉛及び銅からなる群から選ばれる1種以上の金属粒子や金属化合物粒子が特に好ましい。このような金属元素を用いた場合は、光触媒による標的物質や有機物の分解との相乗効果が可能になる。
【0051】
またその他に有機化合物からなる防藻効果がある材料も利用可能であり、例えば、有機窒素硫黄系化合物、ピリチオン系化合物、有機ヨウ素化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、ニトリル系化合物、チオカルバメート系化合物、チアゾール系化合物、ジスルフィド系化合物等が挙げられる。
【0052】
シロキサン単位を有する成分
コア層表面にシロキサン単位を有する成分を備えることで多種多様の成分が磁性材料に吸着して分解されないまま残存することを防止することができる。更には磁性材料を含有するコアでの錆びの発生やその進行を防止することができる。シロキサン単位を有する成分が光触媒よりも多種多様な材料に対して吸着性が低い為、分解したい標的有機物を、光触媒に優先して接触させることが可能になるため、光触媒による分解反応を効率よく進行させることが可能になる。さらにシロキサン単位を有する化合物は、光や熱に対しても強く、シロキサン単位を有する成分とともに存在する光触媒を安定して固定化させることができ、光触媒担持磁性体のリサイクル性も可能になる。
【0053】
このシロキサン単位を有する成分を含む成分としては、オルガノポリシロキサンやガラスが挙げられ何れも使用することができる。オルガノポリシロキサンについてはシリコーン樹脂の他に、室温でゴム弾性を有するシリコーンゴム、各種有機官能基を導入した変性シリコーン樹脂や変性シリコーンゴム、シランカップリング剤を使用しても良い。
【0054】
架橋型シリコーン樹脂としては、加熱硬化型シリコーン樹脂、常温硬化型シリコーン樹脂のいずれをも使用できる。加熱硬化型シリコーンを架橋させるには、該樹脂を200〜250℃程度に加熱する。また、常温硬化型シリコーンを硬化させるには、室温で可能であり、加熱を必要としないが硬化時間の短縮のために150〜280℃で加熱してもよい。
【0055】
架橋型シリコーン樹脂の中でも、Rで示される1価の有機基がメチル基であるものが好ましい。この架橋型シリコーンは架橋構造が緻密であり、これを用いて磁性材料含有コア層上にシェル層を形成すると、撥水性、耐湿性などの良好な光触媒担持磁性体が得られる。但し、架橋構造が緻密になり過ぎると、樹脂層が脆くなる傾向があるので、架橋型シリコーン硬化状態の検討が重要である。
【0056】
市販の架橋型シリコーン樹脂としては、例えば、東レダウコーニング株式会社製の製品名:BA2400、BA2410、BA2411、BA2510、BA2405、840RESIN、804RESIN、信越化学工業株式会社製の製品名:KR350、KR271、KR272、KR274、KR216、KR280、KR282、KR261、KR260、KR255、KR266、KR251、KR155、KR152、KR214、KR220、X−4040−171、KR201、KR5202、KR3093などが挙げられる。
なお、架橋型シリコーン樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいし、ガラスを併用してもよい。
【0057】
また、本発明に係るシロキサン単位を有する成分を含むシェル層は、他の樹脂を含んでいてもよい。そのような樹脂としては、シェル層の好ましい特性を損なわない限り限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アセタール樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン、これらの共重合体樹脂、および配合樹脂等が例示できる。 ガラスの場合は、ソーダガラス、クリスタルガラス、硼珪酸ガラス等を挙げることができる。
【0058】
シリコーンゴムは、付加型シリコーンゴム、シリコーンゴム皮膜形成型エマルジョンなどが挙げられる。
【0059】
付加型シリコーンゴムとしては、例えば、室温硬化型シリコーンゴム(RTVシリコーンゴム)、低温硬化型シリコーンゴム(LTVシリコーンゴム)などが挙げられる。室温硬化型シリコーンゴム(RTVシリコーンゴム)は、硬化前は液状あるいはペースト状をしており、室温で硬化反応が進行してゴム弾性体となるシリコーンゴムである。
【0060】
室温硬化型シリコーンゴム(RTVシリコーンゴム)としては、好ましくは、1液型RTVシリコーンゴム、2液型RTVシリコーンゴムが挙げられる。
1液型RTVシリコーンゴムとしては、例えば、信越化学工業(株)製の製品名:KE−3423、KE−347、KE−3475、KE−3495、KE−4895、KE−4896、KE−1830、KE−1884、KE−3479、KE−348、KE−4897、KE−4898、KE−1820、KE−1825、KE−1831、KE−1833、KE−1885、KE−1056、KE−1151、KE−1842、KE−1886、KE−3424G、KE−3494、KE−3490、KE−40RTV、KE−4890、KE−3497、KE−3498、KE−3493、KE−3466、KE−3467、KE−1862、KE−1867、KE−3491、KE−3492、KE−3417、KE−3418、KE−3427、KE−3428、KE−41、KE−42、KE−44、KE−45、KE−441、KE−445、KE−45Sなどが挙げられる。
【0061】
2液型RTVシリコーンゴムとしては、例えば、信越化学工業(株)製の製品名:KE−1800T−A/B、KE−66、KE−1031−A/B、KE−200、KE−118、KE−103、KE−108、KE−119、KE−109E−A/B、KE−1051J−A/B、KE−1012−A/B、KE−106、KE−1282−A/B、KE−1283−A/B、KE−1800−A/B/C、KE−1801−A/B/C、KE−1802−A/B/C、KE−1281−A/B、KE−1204−A/B、KE−1204−AL/BL、KE−1280−A/B、KE−513−A/B、KE−521−A/B、KE−1285−A/B、KE−1861−A/B、KE−12、KE−14、KE−17、KE−113、KE−24、KE−26、KE−1414、KE−1415、KE−1416、KE−1417、KE−1300T、KE−1310ST、KE−1314−2、KE−1316、KE−1600、KE−1603−A/B、KE−1606、KE−1222−A/B、KE−1241、KEG−2000−40A/B、KEG−2000−50A/B、KEG−2000−60A/B、KEG−2000−70A/B、KEG−2001−40A/B、KEG−2001−50A/B、KE−1950−10A/B、KE−1950−20A/B、KE−1950−30A/B、KE−1950−35A/B、KE−1950−40A/B、KE−1950−50A/B、KE−1950−60A/B、KE−1950−70A/B、KE−1935A/B、KE−1987A/B、KE−1988A/B、KE−2019−40A/B、KE−2019−50A/B、KE−2019−60A/B、KE−2017−30A/B、KE−2017−40A/B、KE−2017−50A/B、KE−2090−40A/B、KE−2090−50A/B、KE−2090−60A/B、KE−2090−70A/B、KE−2096−40A/B、KE−2096−50A/B、KE−2096−60A/Bなどが挙げられる。
【0062】
シリコーンゴム皮膜形成型エマルジョンとしては、例えば、信越化学工業(株)製の製品名:Polon MF−56、KM−2002L−1、KM−2002T、X−51−1318、X−52−1631、KM−9749、Polon MF−40などが挙げられる。
【0063】
シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合した官能基C
j H
2j-1O-(jは正の整数である)を有するものを言う。
例えば、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ポリエチレングリコール官能化アルコキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビニルトリエトキシシラン、1-アミノメチルトリエトキシシラン、1-アミノメチルトリメトキシシラン、1-メタクリロキシ-メチルトリメトキシシラン1-メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、1-メルカプトメチル-トリエトキシシラン、1-メルカプトメチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2-アミノエチル-3-アミノプロピル-メチルジメトキシシラン、2-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等やこれらシランカップリング剤を予め加水分解した加水分解物が挙げられる。
【0064】
光触媒担持磁性体の製造方法
シェル層に磁性材料含有コア層を混入する際のシェル層の形態としては、シェル層が、磁性材料含有コア層を含有できる限り限定されないが、例えば、
図1の粒子構造の場合、シェル層の構成成分である上記樹脂を溶媒に溶解させた溶液状、またはシェル層の構成成分である上記樹脂を加熱溶融させた溶融状のどちらであっても構わない。
このように、シェル層の構成成分が溶液状、溶融状であることにより、磁性材料含有コア層を容易に含有できるという効果を奏する。
【0065】
シェル層の構成成分である上記樹脂を溶媒に溶解させた溶液状の場合、水に分散されたエマルジョン、水に溶けた水溶液以外の材料では溶媒として、シェル層の樹脂を溶解可能なものであれば特に限定されない。
有機溶媒を使用する場合は、例えば、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類;または2-プロパノールやエタノール、メタノールなどのアルコール類を好適に用いることができる。なお、上記有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒であってもよい。
【0066】
実施の形態1
次に、本発明による光触媒担持磁性体の製造方法について述べる。
図2に示す工程に従って、磁性材料含有コア層の表面に、シロキサン単位を有する成分と光触媒と光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を少なくとも含むシェル材を塗布した後、加熱して溶剤を揮発除去、乾燥させてシェル層を形成する。
その後洗浄工程では磁性材料含有コア層に形成しなかったシェル材料などを洗浄して残存しないようにする。その後加熱乾燥または加熱硬化させた後、回収することによって光触媒担持磁性体を製造することができる。
【0067】
シェル層に磁性材料含有コア層を混入する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、シェル材に磁性材料含有コア層を浸漬させる浸漬法、磁性材料含有コア層にシェル材を噴霧するスプレー法または滴下する滴下法、磁性材料含有ア層を流動エアにより浮遊させた状態でシェル材を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で磁性材料含有コア層とシェル材とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法などが挙げられる。
【0068】
本発明による光触媒担持磁性体は、水に分散させ、光を照射して光触媒を活性化して、当該水に存在する有機物を分解する浄化工程を含む水の浄化に使用できるのも本発明の1つの特徴である。さらに、水の浄化に用いた本願発明による光触媒担持磁性体は、磁石を用いて、移動・回収され、次いで水洗および/または乾燥工程を経て、再生され、再度水の浄化に使用でき、本発明の特徴となっている。
前記水の浄化方法が対象とする浄化処理用の水としては、生活、農業または工場排水貯水池の水が挙げられる。
【0069】
なお、浄化処理用の水に存在する有機物としては、有機リン系の殺虫剤としてはジクロボス(DDVP)、ビニフェート、ランガード、O−エチル O−4−ニトロフェニルフェニルフォスホノチオエート(EPN)、ジプテレックス、スミチオン、ダイアジノン、エストックス、ダイシストン、マラソン、エカチン、スプラサイド、オルトランなど)、有機塩素系の除草剤や殺虫剤(クロロネブ、DDVP、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロシクロヘキサン(α−HCH、β−HCH)など)、カーバメイト系の除草剤(チオベンカルブ メフェナセットなど)、ジフェニルエーテル系の除草剤(クロロニトロフェンなど)、フェノール類(トリクロロフェノールなど)、アルキルフェノール類(4−t−ブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−ヘプチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、4−n−オクチルフェノール、ノニルフェノールなど)、プランクトンとして藻類が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0071】
実施例1
光触媒担持磁性体試料1−1の製造
磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)の製造
原料として酸化第二鉄Fe
2O
3(平均粒径:0.6μm)1.2kgと四酸化三マンガンMn
3O
4(平均粒径:0.9μm)0.47kgを1wt%ポリカルボン酸アンモニウム水溶液1.0kg中に添加して混合物を作製した。得られた混合物は、湿式ボールミル(メディア粒径2mm)を使用して混合・粉砕処理を行い、Fe
2O
3とMn
3O
4のスラリーを作製した。得られたスラリーは、スプレードライヤー(熱風温度120℃)を使用して乾燥させて乾燥粉を得た。得られた乾燥粉は、電気炉を使用して窒素雰囲気下1200℃で5時間焼成した。得られた焼成品は、粉砕処理後、振動篩で分級して、粒子径50μmの粉末を得た。得られたフェライト粒子を、500℃に保持されたロータリーキルンで1時間保持し、そのフェライト表面に酸化被膜処理を施し、フェライトマンガン粒子1.1kgを得た。このフェライトマンガン粒子は解砕し、振動篩で分級して、平均粒子径が35μmになるように粒度調整を行った。
【0072】
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと酸化チタン(日本アエロジル株式会社製P25 1次粒子径21nm)10gと亜酸化銅(古河ケミカルズ株式会社製FRC-05B 1次粒子径0.5μm)0.1gと2-プロパノール10gを、汎用超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、ULTRASONICGENERATOR)を用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに撹拌機(アズワン製、オートセルマスターCM−200)を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して試料1−1 110gを得た。
【0073】
実施例2
光触媒担持磁性体試料1−2の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと酸化チタン(日本アエロジル株式会社製P25 1次粒子径21nm)10gと金属銅(古河ケミカルズ株式会社製FMC-05C 1次粒子径 0.5μm)0.1gと2-プロパノール10gを、前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに前記の撹拌機を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して試料1−2 110gを得た。
【0074】
実施例3
光触媒担持磁性体試料1−3の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと酸化チタン(日本アエロジル株式会社製P25 1次粒子径21nm)10gと酸化亜鉛(Sigma Aldrich社製 1次粒子径0.1μm)0.1gと2-プロパノール10gを、前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに前記の撹拌機を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して試料1−3 110gを得た。
【0075】
実施例4
光触媒担持磁性体試料1−4の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと酸化チタン(日本アエロジル株式会社製P25 1次粒子径21nm)10gと金属銀(Sigma Aldrich社製 1次粒子径0.1μm)0.1gと2-プロパノール10gを、前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに前記の撹拌機を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して試料1−4 110gを得た。
【0076】
比較例1
比較試料1の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと酸化チタン(日本アエロジル株式会社製P25 1次粒子径21nm)10gと2-プロパノール10gを、前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに前記の撹拌機を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して比較試料1 110gを得た。
【0077】
比較例2
比較試料2の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと2-プロパノール10gを、前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに前記の撹拌機を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して比較試料2 101gを得た。
【0078】
比較例3
比較試料3の製造
シロキサン単位を有する成分:シリコーン(信越化学株式会社製、製品名:KR−220LP)2gと亜酸化銅(古河ケミカルズ株式会社製FRC-05B 1次粒子径0.5μm)0.1gと2-プロパノール10gを、汎用超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、ULTRASONICGENERATOR)を用いて、50μAで5分間分散して、シェル材液を調製した。得られたシェル材液を、平均粒子径35μmの磁性材料含有コア層(フェライトマンガン)100gに添加混合し、さらに撹拌機(アズワン製、オートセルマスターCM−200)を用いて、回転数10000rpmで10分間混合した。得られた粉体を40℃で24時間乾燥させて2-プロパノールを除去した後、キュア温度200℃、キュア時間1時間の硬化処理を経て、目開き150μmのふるいにかけた。その後純水を加えて前記の汎用超音波ホモジナイザーを用いて、50μAで5分間分散して洗浄を行い、市販の磁石で吸着される成分のみを回収し、40℃で乾燥して比較試料3 102gを得た。
【0079】
光触媒担持磁性体によるメチレンブルー分解試験
光触媒担持磁性体によるメチレンブルー分解率の測定は、ガラス製容器に実施例1〜4および比較例1〜3の光触媒担持磁性体試料1gと20μmol/Lのメチレンブルー三水和物水溶液50mLを入れて、365nmの紫外線ランプで放射照度2.5mW/cm
2を照射した。24時間経過後の試料から上澄み液を回収して、この上澄み液について分光光度計(島津製作所製、UV-2450)を用いて波長領域380−780nmについて透過率測定を行った。透過率測定後、上澄み液を除去してから新たに20μmol/Lのメチレンブルー三水和物水溶液50mLを追加して同じ試験を繰り返し、計5回行った。1回目と5回目試験後の上澄み液についてメチレンブルーの吸収ピーク663nmでの透過率を測定し光触媒による分解能を得た。
【0080】
光触媒担持磁性体によるメチレンブルー分解試験の評価は、以下の基準により評価して結果を表1に示した。1回目の結果と5回目の結果が
A:メチレンブルーの透過率が70%以上100%以下
B:メチレンブルーの透過率が20%以上70%未満
C:メチレンブルーの透過率が0%以上〜20%未満
【0081】
耐久性試験
耐久性の測定はPP製50mL容器に実施例1〜4および比較例1〜3の光触媒担持磁性体試料2gと水50mLを入れて、ロッキングミル(セイワ技研、RM−01)にて10分間ずつ振とうした結果、60分で比較例1の光触媒磁性体分散液上澄みが白濁したため終了した。光触媒担持磁性体試料のみを0.3テスラの磁石で吸着させ、純水で洗浄して光触媒担持磁性体を40℃で乾燥後回収した。
回収した実施例1〜4および比較例1〜3の光触媒担持磁性体試料のうち1gと20μmol/Lのメチレンブルー三水和物水溶液50mLをガラス製容器に入れて、365nmの紫外線ランプで放射照度2.5mW/cm
2を照射した。24時間経過後の試料から上澄み液を回収して、この上澄み液について分光光度計(島津製作所製、UV-2450)を用いて波長領域380−780nmについて透過率測定を行った。メチレンブルーの吸収ピーク663nmでの透過率を測定し光触媒による分解能を得た。
【0082】
光触媒担持磁性体によるメチレンブルー分解試験の評価は、以下の基準により評価して結果を表1に示した。
A:メチレンブルーの透過率が70%以上100%以下
B:メチレンブルーの透過率が20%以上70%未満
C:メチレンブルーの透過率が0%以上〜20%未満
【0083】
総合評価
上記の各評価項目を、以下の判断基準により総合的に評価した。
良好:上記の各評価結果が、それぞれ「A」であり、「B」や「C」が含まれていない。
不良:上記の各評価結果において、「B」または「C」が含まれている。
【0084】
製造した光触媒担持磁性体試料1−1(実施例1)、試料1−2(実施例2)、試料1−3(実施例3)、試料1−4(実施例4)、ならびに比較試料1(比較例1)、比較試料2(比較例2)、比較試料3(比較例3)について評価を行った。
上記の各評価結果を表1にまとめて示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示す評価結果から明らかなように、比較例1の光触媒担持磁性体は耐久性試験後の上澄みは白濁し、光触媒が離脱したためと観られる。そのため耐久性試験後のメチレンブルー分解試験では透過率が低下していた。
また、比較例2および比較例3では光触媒を含んでいないためメチレンブルー分解試験において変化が観られなかった。
【0087】
実施例1〜4の光触媒担持磁性体は、表面に光触媒よりも一次粒子径の大きな金属粒子または金属化合物粒子を含んでいるため、振とうした場合にこれが緩衝剤の働きをして光触媒の離脱を抑えているものと考えられる。そのため上澄みが透明であった。これによって耐久性試験後もメチレンブルーを分解させる効果が得られたものと考えられる。