特許第6903025号(P6903025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ピラー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6903025-流体デバイス 図000002
  • 特許6903025-流体デバイス 図000003
  • 特許6903025-流体デバイス 図000004
  • 特許6903025-流体デバイス 図000005
  • 特許6903025-流体デバイス 図000006
  • 特許6903025-流体デバイス 図000007
  • 特許6903025-流体デバイス 図000008
  • 特許6903025-流体デバイス 図000009
  • 特許6903025-流体デバイス 図000010
  • 特許6903025-流体デバイス 図000011
  • 特許6903025-流体デバイス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903025
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】流体デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16L 17/067 20060101AFI20210701BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   F16L17/067
   F16J15/10 L
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-54140(P2018-54140)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-167978(P2019-167978A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年9月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 智大
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 篤
(72)【発明者】
【氏名】飯田 俊英
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−103303(JP,A)
【文献】 特開2006−316806(JP,A)
【文献】 特開2008−240916(JP,A)
【文献】 特開2006−132662(JP,A)
【文献】 特開2008−019914(JP,A)
【文献】 特開平11−248060(JP,A)
【文献】 特開2017−172785(JP,A)
【文献】 特開2010−216507(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0176744(US,A1)
【文献】 特開2018−096457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 17/067
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のガスケットを挿入することによりシールされる流路を有する流体デバイスであって、
前記流路の一端を成すように開口した流通口と、
前記流通口の外周縁に沿って設けられ、前記ガスケットが挿入されるように開口した環状溝と、を備え、
前記環状溝は、
径方向における内径側の内壁部と、
前記内径側の内壁部に対し、前記環状溝の径方向に間隔を空けて向かい合う外径側の内壁部と、を有し、
前記内径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端を含んだ部位は、該環状溝の深さ方向に沿って前記開口端から底部側へ向かうに従って、前記環状溝の径方向外方へと向かって傾斜した第1テーパ部を成し、
前記外径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端から前記深さ方向に沿って所定区間に亘る部位は、前記ガスケットの外周面よりも大径のガイド部を成し、
前記ガイド部における前記環状溝の底部側の端部には、前記深さ方向に沿って、前記環状溝の径方向内方へと向かって傾斜した第2テーパ部が設けられている
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項2】
環状のガスケットを挿入することによりシールされる流路を有する流体デバイスであって、
前記流路の一端を成すように開口した流通口と、
前記流通口の外周縁に沿って設けられ、前記ガスケットが挿入されるように開口した環状溝と、を備え、
前記環状溝における内径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端を含んだ部位は、該開口端から前記環状溝の深さ方向に沿って、前記環状溝の径方向外方へと向かって傾斜した第1テーパ部を成し、
前記環状溝における外径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端から前記深さ方向に沿って所定区間に亘る部位は、前記ガスケットの外周面よりも大径のガイド部を成し、
前記外径側の内壁部は、
前記ガイド部と、
前記深さ方向に沿って前記環状溝の底部まで延び、かつ前記ガイド部よりも小径の部位と、を有し、
前記ガイド部における前記環状溝の底部側の端部には、前記深さ方向に沿って、前記環状溝の径方向内方へと向かって傾斜した第2テーパ部が設けられている
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項3】
環状のガスケットを挿入することによりシールされる流路を有する流体デバイスであって、
前記流路の一端を成すように開口した流通口と、
前記流通口の外周縁に沿って設けられ、前記ガスケットが挿入されるように開口した環状溝と、を備え、
前記環状溝は、
径方向における内径側の内壁部と、
前記内径側の内壁部に対し、前記環状溝の径方向に間隔を空けて向かい合う外径側の内壁部と、を有し、
前記内径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端を含んだ部位は、該環状溝の深さ方向に沿って前記開口端から底部側へ向かうに従って、前記環状溝の径方向外方へと向かって傾斜した第1テーパ部を成し、
前記外径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端から前記深さ方向に沿って所定区間に亘る部位は、前記ガスケットの外周面よりも大径のガイド部を成し、
前記外径側の内壁部は、
前記ガイド部と、
前記深さ方向に沿って前記環状溝の底部まで延び、かつ前記ガイド部よりも小径の部位と、を有し、
前記ガイド部における前記環状溝の底部側の端部には、前記深さ方向に沿って、前記環状溝の径方向内方へと向かって傾斜した第2テーパ部が設けられている
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された流体デバイスにおいて、
前記第1テーパ部は、前記深さ方向において、前記ガイド部よりも前記環状溝の底部に近接している
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された流体デバイスにおいて、
前記第2テーパ部は、前記第1テーパ部に対し、前記深さ方向において重なり合うように配置されている
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載された流体デバイスにおいて、
前記ガスケットは、熱可塑性樹脂を成形して成る
ことを特徴とする流体デバイス。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載された流体デバイスにおいて、
前記ガスケットは、
前記流通口に挿入される環状の第1シール部と、
前記第1シール部に対して径方向外側に設けられ、前記環状溝に挿入される環状の第2シール部と、を有し、
前記流通口は、前記ガスケットが挿入されたときに、前記第1シール部と前記第2シール部とによって挟持される
ことを特徴とする流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集積パネル、バルブ、ポンプ、アキュムレータ等の流体デバイスの一例として、リング状のガスケット(流体用ガスケット)によりシールされる配管系を成す集積パネルが開示されている。
【0003】
具体的に、前記特許文献1に係る集積パネルは、その端面に流通口(第1流体給排口部、第2流体給排口部)が開口しており、各流通口の周囲には、ガスケットを挿入するための環状溝(テーパ周面)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−308052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載されている集積パネルは、環状溝へと挿入したガスケットによって、流通口の周縁部を締め付けるように構成されている。しかしながら、そうした構成は、ガスケットをスムースに挿入する上では改善の余地があった。ガスケットをスムースに挿入できなくては、締め付け後にシール不良となる虞がある。
【0006】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスケットによってシールされる流路を有する流体デバイスにおいて、ガスケットをスムースに挿入し、ひいては、そのシール性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、環状のガスケットを挿入することによりシールされる流路を有する流体デバイスであって、前記流路の一端を成すように開口した流通口と、前記流通口の外周縁に沿って設けられ、前記ガスケットが挿入されるように開口した環状溝と、前記環状溝における内径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端を含んだ部位は、該開口端から前記環状溝の深さ方向に沿って、前記環状溝の径方向外方へと向かって傾斜した第1テーパ部を成し、前記環状溝における外径側の内壁部のうち、前記環状溝の開口端から前記深さ方向に沿って所定区間に亘る部位は、前記ガスケットの外周面よりも大径のガイド部を成す。
【0008】
この構成によれば、環状溝における内径側の内壁部においては、その開口端を含んだ部位がテーパ状に拡径している。これにより、環状溝に対するガスケットの挿入を案内することができる。対して、環状溝における外径側の内壁部は、その開口端から所定区間に亘って、ガスケットの外周面よりも大径とされている。この大径とされた部分が、前記ガイド部を成す。
【0009】
環状溝の横断面は、厳密には真円とならず、楕円となる。しかし、環状溝にガイド部を設けたことによって、環状溝を楕円とみなしたときに相対的に小径となる短軸付近の部位と、ガスケットの外面との干渉を抑制することができる。そのことで、ガスケットと環状溝との引っかかりや、環状溝に対するガスケットの傾きを抑制し、ひいては、ガスケットをスムースに挿入することが可能となる。これにより、ガスケットのシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、前記流体デバイスによれば、ガスケットをスムースに挿入し、ひいては、そのシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、流体システムの構成を例示する縦断面図である。
図2図2は、流体デバイスの構成を例示する3面図である。
図3図3は、流体デバイスのA−A断面図である。
図4図4は、流体デバイスのB−B断面図である。
図5図5は、ガスケットの構成を例示する縦断面図である。
図6図6は、流体デバイスへのガスケットの挿入手順を例示する説明図である。
図7図7は、流体デバイスへのガスケットの挿入手順を例示する説明図である。
図8図8は、第1テーパ部のみを設けた構成を例示する図6対応図である。
図9図9は、第1テーパ部のみを設けた構成の平面図である。
図10図10は、第1テーパ部のみを設けた構成に係る問題の説明図である。
図11図11は、第1テーパ部のみを設けた構成に係る問題の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0013】
すなわち、本明細書では、流体デバイスの一例として集積ブロックについて説明するが、ここに開示する技術は、これに限らず、流体を流通可能なデバイス一般に適用することができる。
【0014】
具体的に、本開示における「流体デバイス」は、集積ブロック、集積パネル、バルブ、ポンプ、アキュムレータ、流体貯留容器、熱交換器、レギュレータ、圧力計、流量計、ヒータ、フランジ配管等のうち、環状のガスケットを挿入することによってシールされる流路を有するものを指す。
【0015】
〈全体構成〉
図1は、流体システムSの構成を例示する縦断面図である。図1に示す流体システムSは、2つの集積ブロック1と、集積ブロック1同士の接続部をシールするガスケット2とを備えており、その内部には一体的な流路Pが形成されている。
【0016】
2つの集積ブロック1は、双方とも、環状のガスケット2が挿入されるように構成されている。一方の集積ブロック1にガスケット2を挿入した状態で、そのガスケット2に対して他方の集積ブロック1を挿入することで、図1に示すように、各集積ブロック1の流路P同士を接続しつつ、その接続部をシールすることができる。
【0017】
以下、集積ブロック1と、ガスケット2の構成について順番に説明する。
【0018】
〈集積ブロック〉
図2は、流体デバイスの構成を例示する3面図である。ここで、図2(a)は集積ブロック1の平面図であり、図2(b)は集積ブロック1の正面図であり、図2(c)は集積ブロック1の側面図である。また、図3は、集積ブロック1のA−A断面図であり、図4は、集積ブロック1のB−B断面図である。
【0019】
図2の各図に示すように、集積ブロック1は、主たる構成要素として、ブロック本体10と、管路部12と、ブロック本体10の上面に開口した流通口13と、流通口13を取り囲む環状溝14と、を備えている。
【0020】
また、図2(c)に示すように、集積ブロック1の内部には、管路部12の前端から流通口13にかけて、流路Pが貫通形成されている。つまり、流通口13は、流路Pの一端を成すように開口している。
【0021】
以下、集積ブロック1の構成要素について、順番に説明をする。
【0022】
ブロック本体10は、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂から成り、直方状の外形を有している。ブロック本体10の上面には、集積ブロック1同士を締結するための左右一対のボルト孔10aが設けられている。
【0023】
流通口13は、ブロック本体10の上面中央部に配置されており、円形の横断面を有する開口部として設けられている。図3に拡大して示すように、流通口13における開口端(上端)付近の内壁部13aは、上方に向かってテーパ状に拡径している。
【0024】
環状溝14は、流通口13の外周縁に沿って設けられている。環状溝14の内径は、ガスケット2の内径よりも若干大きくなっているとともに、その外径は、ガスケット2の外径と実質的に同径とされている(図6〜7参照)。後述のように、この環状溝14には、ガスケット2を挿入することができる。
【0025】
また、環状溝14における外径側の内壁部14aは、その内径側の内壁部14bよりも、反深さ方向に突出している。ここで、「深さ方向」とは、環状溝14の開口端から環状溝14の底部(以下、「溝底」という)14cへと向かう方向(図中の下方向)を指し、「反深さ方向」とは、その反対方向(図中の上方向)を指す。
【0026】
また、環状溝14における内径側の内壁部14bには、環状溝14の開口端をテーパ状に拡径させて成る第1テーパ部17が設けられている。具体的に、第1テーパ部17は、環状溝14の開口端から深さ方向に沿って離間するにつれて、環状溝14の径方向外方へと向かって傾斜している。ここで、「径方向外方」とは、環状溝14の内側から外方へと向かう方向を指す。「径方向内方」とは、その反対方向を指す。
【0027】
一方、環状溝14における外径側の内壁部14aには、その開口端付近の部位を略一定に拡径させて成るガイド部18が設けられている。具体的に、このガイド部18は、環状溝14の開口端から深さ方向に沿って所定区間Dに亘って延び、かつガスケット2の外周面22aよりも大径とされている(図5を参照)。つまり、このガイド部18は、環状溝14を幅広にするような形状とされている。
【0028】
なお、ガイド部18の深さ方向における寸法Dは、同方向における第1テーパ部17の寸法よりも長い。しかし、前述のように、環状溝14における外径側の内壁部14aは、その内径側の内壁部14bよりも反深さ方向に突出している。そのため、深さ方向において、ガイド部18における溝底14c側の端部は、第1テーパ部17の溝底14c側の端部と比較して、溝底14cから離間している。換言すれば、第1テーパ部17は、深さ方向において、ガイド部18よりも溝底14cに近接している。
【0029】
ここで、ガイド部18における溝底14c側の端部には、内径側の第1テーパ部17とは逆方向に傾斜した第2テーパ部19が設けられている。具体的に、第2テーパ部19は、ガイド部18における前記端部から深さ方向に沿って離間するにつれて、径方向内方へと向かって傾斜している。第2テーパ部19は、第1テーパ部17よりも急峻に傾斜している。
【0030】
図3図4に示すように、第2テーパ部19は、第1テーパ部17に対し、深さ方向において重なり合うように配置されている。第2テーパ部19の深さ方向における寸法は、同方向における第1テーパ部17の寸法よりも短い。深さ方向において、第2テーパ部19における溝底14c側の端部は、第1テーパ部17の溝底14c側の端部と比較して、溝底14cから離間している。
【0031】
〈ガスケット〉
図5は、ガスケット2の構成を例示する縦断面図である。
【0032】
ガスケット2は、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を成形して成り、略筒状の外形を有している。具体的に、このガスケット2は、集積ブロック1の流通口13に挿入される第1シール部21と、第1シール部21に対して一体的に形成され、かつ集積ブロック1の環状溝14に挿入される第2シール部22と、を有している。
【0033】
さらに詳しくは、第1シール部21は、円筒状に形成されており、その外周面21aは、中心軸方向(図5の破線Cを参照)の中央部から同方向に沿って離間するにつれて、径方向の内側に向かって傾斜している。このような傾斜を設けることで、第1シール部21を流通口13に挿入すると、第1シール部21の外周面21aと、集積ブロック1の流通口13の内壁部13aとが、相互に密着するようになる。また、第1シール部21の外周面21aは、その中心軸方向の中央部において、第2シール部22の内周面22bに対して一体的に接続されている。
【0034】
また、第1シール部21の内周面21bは、流通口13と実質的に同径である。ガスケット2を集積ブロック1に挿入すると、この内周面21bは、集積ブロック1に形成された流路Pとともに、一体的な流路を成す。
【0035】
第2シール部22は、第1シール部21に対して径方向外側に設けられており、この第1シール部21よりも大径の円筒状に形成されている。第2シール部22は、径方向において、環状溝14よりも厚く形成されている(図6図7を参照)。
【0036】
詳しくは、第2シール部22の外周面22aは、環状溝14における外径側の内壁部14a(ガイド部18を除いた部位)と実質的に同径である。また、第2シール部22の内周面22bは、環状溝14における内径側の内壁部14b(第1テーパ部17を除いた部位)よりも若干小径である。
【0037】
〈集積ブロックへのガスケットの挿入について〉
図8は、環状溝114に第1テーパ部117のみを設けた構成を例示する図6対応図であり、図9は、その平面図である。
【0038】
図8に示す集積ブロック101には、流通口113の外周縁に沿って環状溝114が設けられており、この環状溝114には、本実施形態と同様に形成された第1テーパ部117が設けられている。こうした第1テーパ部117によって、ガスケット2の挿入を案内すること(具体的には、ガスケット2の位置決めと締付)ができる。
【0039】
しかし、図9に拡大して示すように、一般に、環状溝114は、製造公差等の事情から、厳密には真円とならず、楕円となる(図9の斜線部を参照)。
【0040】
そうすると、第1テーパ部117によってガスケット2を案内しようとしてもなお、スムースな挿入を実現するのは困難となる。この場合、環状溝114を楕円とみなしたときの短軸付近の部位は、同楕円における長軸付近の部位に対して小径となる。そのため、図10図11に示すように、ガスケット2を挿入しようとしたときに、この短軸付近の部位と、ガスケット2の外面とが干渉してしまい、ガスケット2が環状溝114に対して引っかかったり、ガスケット2が傾いた状態で挿入されたりする可能性がある。
【0041】
一方、本実施形態に係る集積ブロック1は、内径側の内壁部14bに第1テーパ部17を設けたばかりでなく、外径側の内壁部14aにもガイド部18が設けられている。このガイド部18は、環状溝14の開口端から所定区間Dに亘って、ガスケット2の第2シール部22の外周面22aよりも大径とされている。よって、仮に、環状溝14が楕円となったとしても、環状溝14とガスケット2との干渉を抑制し、ひいては、ガスケット2と環状溝14との引っかかりや、環状溝14に対するガスケット2の傾きを抑制することができる。そのことで、ガスケット2をスムースに挿入することが可能となる。
【0042】
以下、このような作用効果、及び、それに付随する作用効果について、図6図7を用いて詳細に説明をする。ここで、図6図7は、集積ブロック1(流体デバイス)へのガスケット2の挿入手順を例示する説明図である。
【0043】
図6に示すように、集積ブロック1の流通口13に対して上方からガスケット2を載置すると、第2シール部22における内径側の部位が、第1テーパ部17に接触する。このことは、前述のように、第2シール部22の内周面22bが、環状溝14における内径側の内壁部14bのうち、第1テーパ部17を除いた部位よりも若干小径であること(つまり、ガスケット2の肉厚が、環状溝14の幅よりも若干大きいこと)を反映している。
【0044】
一方、第2シール部22における外径側の部位は、環状溝14の内部へと挿入されて、第2テーパ部19へと接触する。このことは、環状溝14の外径側にガイド部18を設けたことを反映している。つまり、環状溝114が楕円となった結果、その短軸付近の部位にガスケット2が干渉する虞があったところ、図6に示すように、ガスケット2の外周面22aよりも大径のガイド部18を設けたことで、そうした干渉を抑制することができる。
【0045】
また、単にガイド部18を設けるばかりでなく、第2テーパ部19を併せて設けることで、ガスケット2を径方向の内方へと導くことができる。対して、第1テーパ部17は、第2テーパ部19とは傾斜方向が反対であるため、ガスケット2を径方向の外方へと導くことになる。よって、第1テーパ部17と第2テーパ部19とを組み合わせた構成とすることで、径方向において、ガスケット2を適切に位置決めすることができる。
【0046】
特に、第1テーパ部17と、第2テーパ部19とは、図3図4にも示すように、環状溝14の深さ方向において、略同じ位置に配置されている(重なり合うように配置されている)。こうした配置を採ることで、第1テーパ部17による位置決めと、第2テーパ部19による位置決めとを、同時に行わせることができる。このことは、ガスケット2を適切に位置決めする上で有効である。
【0047】
また、ガスケット2に対して上方から別の集積ブロックを載置した後に、ボルト孔10aを介してボルト締めすると、図7に示すように、ガスケット2が環状溝14の溝底14cへと導かれると同時に、ガスケット2の第2シール部22は、第1テーパ部17によって径方向(幅方向)の外方へと向かって圧縮される。
【0048】
よって、ガスケット2を環状溝14に挿入すると、第2シール部22は、その圧縮量に応じて、径方向の内方へと向かって復元力(図7の矢印Fを参照)を及ぼす。この復元力によって、第2シール部22の内周面22bは、環状溝14における内径側の内壁部14bに対して密着し、流体を封止するためのシール面(いわゆる2次シール面)を成す。
【0049】
一方、ガスケット2を環状溝14に挿入すると、第1シール部21の内周面21aは、流通口13の内壁部13aに対して密着し、第2シール部22よりも内径側に位置する別のシール面(いわゆる1次シール面)を成す。
【0050】
図7から見て取れるように、集積ブロック1の流通口13は、ガスケット2が挿入されたときに、第1シール部21と第2シール部22とによって挟持されて、締め付けられるようになっている。一方、ガスケット2の第2シール部22は、集積ブロック1の環状溝14によって締め付けられるようになっている。このように、集積ブロック1とガスケット2とが互いに締め付け合うことによって、良好なシール性を確保することができる。
【0051】
前記のように、ガイド部18は、環状溝14の内径側ではなく、外径側に設けられるようになっている。そのため、内径側に設けた構成と比較すると、流通口13をガスケット2によって挟持したときに、そのシール性を確保する上で邪魔にならない。よって、前記の構成は、ガスケット2のシール性と、スムースな挿入とを両立する上で有効である。
【0052】
また、前記のように、ガスケット2は、熱可塑性樹脂を成形して成る。図示は省略するが、ガスケット2を樹脂成形する際に金型へと樹脂を注入するためのゲートについては、第1シール部21ではなく、第2シール部22の外周面22aに設けることが、以下の理由により好ましい。
【0053】
すなわち、樹脂成形によってガスケット2を形成した場合、成形後のガスケット2の表面には、ゲートやランナーの痕跡が凸部となって存在することになる。ここで、ガスケット2の第1シール部21は、集積ブロック1に形成された流路Pとともに一体的な流路を構成したり、流通口13の内壁部13aに密着させたりするため、流路抵抗の低減、及び、シール性の確保という観点からは、ゲートを設けることは望ましくない。
【0054】
対して、ガスケット2の第2シール部22の内周面22bは、前述のように、第1シール部21の外周面21aとともに流通口13を挟持してシールすることになるため、シール性の確保という観点からは、ゲートを設けることは望ましくない。
【0055】
そこで、第2シール部22の外周面22aにゲートを設けることが考えられるものの、ゲートの配置次第では、ガスケット2を環状溝14へと挿入しようとしたときに、ゲート等の痕跡と、環状溝14の開口端(特に、外径側の開口端)とが干渉してしまう虞がある。
【0056】
しかし、図6に示すように、環状溝14の外径側にガイド部18を設けたことによって、ゲート等の痕跡は、ガイド部18によって構成されるスペースに挿入されることになる。そのことで、ゲート等の痕跡と、環状溝14との干渉を抑制することができる。
【0057】
《他の実施形態》
前記実施形態では、環状溝14における外径側の内壁部14aは、その内径側の内壁部14bよりも、反深さ方向に突出していたが、そうした構成には限定されない。外径側の内壁部14aと内径側の内壁部14bの一方を突出させずに、面一としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 集積ブロック(流体デバイス)
13 流通口
14 環状溝
14a 内壁部(外径側の内壁部)
14b 内壁部(内径側の内壁部)
14c 溝底
17 第1テーパ部
18 ガイド部
19 第2テーパ部
2 ガスケット
21 第1シール部
22 第2シール部
22a 外周面(ガスケットの外周面)
P 流路
D 区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11