(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0014】
本明細書において、「増粘抑制効果」とは、ソルダペーストを調製した際に、調製したソルダペーストの経時的な粘度上昇を抑制できる効果をいう。
【0015】
なお、本明細書において、各元素の含有量は、例えば、JIS Z 3910 に準拠にしてICP−AESで分析することにより測定することができる。
【0016】
[フラックス]
本実施形態のフラックスは、金属不活性化剤を含有する。金属不活性化剤は、ヒドラジド系窒素化合物を含有する。金属不活性化剤がヒドラジド系窒素化合物を含有することにより、フラックスは、増粘抑制効果を向上できる。このため、フラックスは、例えば、はんだ付け用フラックスとして好適に用いられる。
【0017】
(金属不活性化剤)
金属不活性化剤は、ヒドラジド系窒素化合物を含有する。ヒドラジド系窒素化合物としては、ヒドラジド骨格を有する窒素化合物であればよく、ドデカン二酸ビス[N2−(2ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N−サリチリデン−N’−サリチルヒドラジド、m−ニトロベンズヒドラジド、3−アミノフタルヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、オキザロビス(2−ヒドロキシ−5−オクチルベンジリデンヒドラジド)、N’−ベンゾイルピロリドンカルボン酸ヒドラジド、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン等が挙げられる。これらのヒドラジド系窒素化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、増粘抑制効果に優れる観点から、ドデカン二酸ビス[N2−(2ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]であることがより好ましい。
【0018】
ヒドラジド系窒素化合物の含有量は、フラックス全体に対して、0を超え、10質量%以下であることが好ましい。含有量は、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが更に好ましく、0.10質量%以上であることが特に好ましく、含有量は、7.5質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることが更に好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。上記含有量が、0.01質量%以上であることにより、フラックスは、増粘抑制効果及びチキソ比の変動抑制効果に優れる。このため、フラックスを含有するソルダペーストを用いて印刷する際、スクリーン又はフィルムの開口部への充填性に優れ、上記開口部が微小開口であっても充填可能である。一方、上記含有量が、10質量%以下であることにより、フラックスは、増粘抑制効果及びはんだ付けにおける温度サイクル試験時のCuとの反応抑制効果に優れる。
【0019】
金属不活性化剤は、ヒドラジド系窒素化合物以外のその他の化合物を含有してもよい。その他の化合物としては、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物、メラミン系窒素化合物、ヒンダートフェノール系化合物等が挙げられる。
【0020】
アミド系窒素化合物としては、アミド骨格を有する窒素化合物であればよく、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド等が挙げられる。
【0021】
トリアゾール系窒素化合物としては、トリアゾール骨格を有する窒素化合物であればよく、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミド、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
【0022】
メラミン系窒素化合物としては、メラミン骨格を有する窒素化合物であればよく、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。
【0023】
ヒンダートフェノール系化合物としては、ヒンダートフェノール骨格を有する化合物であればよく、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、N,N’−ヘキサ
メチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’−メチレンビス[6−
(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−メチレンビス(6−
tert−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブ
チル−4−エチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
【0024】
金属不活性化剤中のヒドラジド系窒素化合物の含有量は、例えば、80質量%以上であってもよく、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0025】
フラックスは、樹脂を含有してもよい。樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、ビニルエーテル系樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等)、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂(例えば、水添テルペンフェノール樹脂等)、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂(例えば、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン樹脂等)、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂(例えば、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等)等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、樹脂は、ロジン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。なお、ここでいう「(メタ)アクリル系樹脂」とは、メタクリル系樹脂及びアクリル系樹脂を包含する概念をいう。
【0026】
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン、原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びにα,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物、不均化物等が挙げられる。これらのロジン系樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
ロジン系樹脂の含有量は、フラックス全体に対して、例えば、30〜60質量%であってもよい。
【0028】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体、2種類以上のアクリル系モノマーの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0029】
樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂を含有することにより、温度サイクル信頼性を向上できる。高温と低温の繰り返しのサーマルストレスを実装部又は接合部に与えた際に、ロジンのような結晶性の高い材料は割れて、その亀裂から吸湿する虞がある。これに対し、樹脂に軟らかい(メタ)アクリル系樹脂を含めることにより、上記亀裂を抑制し、その結果、温度サイクル信頼性を向上できる。(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜40質量%であり、温度サイクル信頼性に優れる観点から、20〜30質量%であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、樹脂全体に対して、例えば、0〜80質量%であり、温度サイクル信頼性に優れる観点から、30〜80質量%であることが好ましい。
【0030】
樹脂の含有量は、フラックス全体に対して、30〜60質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることが更に好ましい。
【0031】
フラックスは、はんだ付け性を向上させるために有機酸系活性剤(有機酸)を含有してもよい。有機酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)、グリシン、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2−キノリンカルボン酸、3−ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、p−アニス酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸、水添トリマー酸等が挙げられる。
【0032】
有機酸の含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜10質量%であってもよい。
【0033】
フラックスは、はんだ付け性を向上させるためにアミン系活性剤(アミン)を含有してもよい。アミンとしては、例えば、アミン脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノアルコール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、アミノ酸、グアニジン、ヒドラジド等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、エチルアミン、1−アミノプロパン、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、N−イソプロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン等が挙げられる。アミノアルコールとしては、例えば、2−アミノエタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等が挙げられる。イミダゾールとしては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'―メチルイミダゾリル−(1')]―エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'―ウンデシルイミダゾリル−(1')]―エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'―エチル−4'―メチルイミダゾリル−(1')]―エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'―メチルイミダゾリル−(1')]―エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、エポキシ―イミダゾールアダクト、2−メチルベンゾイミダゾール、2−オクチルベンゾイミダゾール、2−ペンチルベンゾイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2−ノニルベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。ベンゾトリアゾールとしては、例えば、2−(2'―ヒドロキシ−5'―メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'―ヒドロキシ−3'―tert−ブチル−5'―メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'―ヒドロキシ−3',5'―ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'―ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’―メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6'−tert−ブチル−4'−メチル−2,2'−メチレンビスフェノール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’―[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1,2,3−ベンゾトリアゾールナトリウム塩水溶液、1−(1',2'―ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[(2−エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6−ビス[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]−4−メチルフェノール、5−メチルベンゾトリアゾール等が挙げられる。アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン塩酸塩、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン一塩酸塩、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、δ-アミノ吉草酸、ε-アミノヘキサン酸、ε-カプロラクタム、7−アミノヘプタン酸等が挙げられる。グアニジンとしては、例えば、ジシアンジアミド、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン等が挙げられる。
【0034】
アミンの含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜20質量%であってもよい。
【0035】
フラックスは、はんだ付け性を向上させるために、共有結合性ハロゲン活性剤(共有結合性ハロゲン)を含有してもよい。共有結合性ハロゲンとしては、例えば、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1,1,2,2−テトラブロモエタン、2,2,2−トリブロモエタノール、ペンタブロモエタン、四臭化炭素、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、meso−2,3−ジブロモこはく酸、クロロアルカン、塩素化脂肪酸エステル、臭化n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、トリアリルイソシアヌレート6臭化物、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、2−クロロメチルオキシラン、ヘット酸、ヘット酸無水物、臭化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0036】
共有結合性ハロゲンの含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜5質量%であってもよい。
【0037】
フラックスは、はんだ付け性を向上させるためにアミンハロゲン化水素酸塩活性剤(アミンハロゲン化水素酸塩)を含有してもよい。アミンハロゲン化水素酸塩としては、アミンとして例示したアミンのハロゲン化水素酸塩が挙げられる。アミンハロゲン化水素酸塩としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩、ジエチルアニリン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、2−エチルヘキシルアミン臭化水素酸塩、ピリジン臭化水素酸塩、イソプロピルアミン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン臭化水素酸塩、モノエチルアミン臭化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、ジメチルアミン臭化水素酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、ロジンアミン臭化水素酸塩、2−エチルヘキシルアミン塩酸塩、イソプロピルアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩、2−ピペコリン臭化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン塩酸塩、ジメチルベンジルアミン塩酸塩、ヒドラジンヒドラート臭化水素酸塩、ジメチルシクロヘキシルアミン塩酸塩、トリノニルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアニリン臭化水素酸塩、2−ジエチルアミノエタノール臭化水素酸塩、2−ジエチルアミノエタノール塩酸塩、塩化アンモニウム、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン臭化水素酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン臭化水素酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、ヒドラジン一塩酸塩、ヒドラジン二塩酸塩、ヒドラジン一臭化水素酸塩、ヒドラジン二臭化水素酸塩、ピリジン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩、ブチルアミン塩酸塩、へキシルアミン塩酸塩、n−オクチルアミン塩酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、ジメチルシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、エチレンジアミン二臭化水素酸塩、ロジンアミン臭化水素酸塩、2−フェニルイミダゾール臭化水素酸塩、4−ベンジルピリジン臭化水素酸塩、L−グルタミン酸塩酸塩、N−メチルモルホリン塩酸塩、ベタイン塩酸塩、2−ピペコリンヨウ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンヨウ化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジンフッ化水素酸塩、ジエチルアミンフッ化水素酸塩、2−エチルヘキシルアミンフッ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンフッ化水素酸塩、エチルアミンフッ化水素酸塩、ロジンアミンフッ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩、ジシクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩等が挙げられる。
【0038】
アミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜2質量%であってもよい。
【0039】
フラックスは、溶剤を含有してもよい。溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2′−オキシビス(メチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシルジグリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0040】
溶剤の含有量は、例えば、フラックス全体に対して、0〜80質量%であってもよく、20〜60質量%であることが好ましい。
【0041】
フラックスは、チキソ剤を含有してもよい。チキソ剤としては、例えば、ワックス系チキソ剤、アマイド系チキソ剤等が挙げられる。ワックス系チキソ剤としては、例えば、ヒマシ硬化油等が挙げられる。アマイド系チキソ剤としては、例えば、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイド、p−トルエンメタンアマイド、芳香族アマイド、置換アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、メチロールアマイド、脂肪酸エステルアマイド等が挙げられる。アマイド系チキソ剤は、ビスアマイド系チキソ剤及び/又はポリアマイド系チキソ剤であってもよく、ビスアマイド系チキソ剤としては、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、芳香族ビスアマイド等が挙げられ、ポリアマイド系チキソ剤としては、飽和脂肪酸ポリアマイド、不飽和脂肪酸ポリアマイド、芳香族ポリアマイド等が挙げられる。
【0042】
チキソ剤の含有量は、フラックス全体に対して、例えば、0〜15質量%であってもよい。
【0043】
[ソルダペースト]
本実施形態のソルダペーストは、はんだ材料と、本実施形態のフラックスとからなる。ソルダペーストは、本実施形態のフラックスを含有することにより、増粘抑制効果を向上できる。なお、ここでいう「フラックス」とは、ソルダペーストにおけるはんだ材料以外の成分全体をいう。
【0044】
(はんだ材料)
はんだ材料は、Sn又はSn系合金を含有することが好ましい。Sn又はSn系合金は、不可避不純物を含んでもよい。
【0045】
Snは、例えば、99.9%以上の純度を有するSn(3N材)であってもよく、99.99%以上の純度を有するSn(4N材)であってもよく、99.999%の純度を有するSn(5N材)であってもよい。
【0046】
Sn系合金としては、例えば、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金、Sn−In合金、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Pb合金等の組成を有する合金、上記組成を有する合金にAs、Bi、Sb、Pb、Ag、Cu、In、Ni、Co、Ge、P、Fe、Zn、Al、Ga等を添加した合金が挙げられる。Sn系合金中のSnの含有量は、特に限定されず、例えば、40質量%超とすることができる。
【0047】
Sn及びSn系合金は、液相線温度(T
L)と固相線温度(T
S)との差(ΔT=T
L−T
S)を小さくできる観点から、Sn、Sn−Cu合金、又はSn−Ag−Cu合金であることが好ましい。ΔTを小さくすると、例えば、上記はんだ材料を含有するソルダペーストを電子機器の基板に塗布し、凝固させても、ソルダペーストは、はんだ材料の組織の均一性を保つことができる。その結果、ソルダペーストは、サイクル特性等の信頼性に優れる。Sn−Cu合金は、同様の観点から、0を超え、1.0質量%以下(好ましくは0.5〜1.0質量%)のCuを含有し、残部がSnであることが好ましい。Sn−Ag−Cu合金は、同様の観点から、0を超え、3.5質量%以下(好ましくは1.0〜3.5質量%)のAgを含有し、0を超え、1.0質量%以下(好ましくは0.1〜1.0質量%)のCuを含有し、残部がSnであることが好ましい。
【0048】
Agの含有量は、ΔTを小さくすることにより、信頼性に優れる観点から、はんだ材料全体に対して0.05〜3.5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることが更に好ましい。また、Cuの含有量は、ΔTを小さくすることにより、信頼性に優れる観点から、はんだ材料全体に対して0.01〜0.9質量%であることが好ましく、0.05〜0.75質量%であることがより好ましく、0.1〜0.7質量%であることが更に好ましい。なお、上記のAg及びCuの含有量の好ましい数値範囲は各々独立したものであって、Ag及びCuの含有量は各々独立して決定することができる。
【0049】
Snの含有量は、はんだ材料全体に対して、例えば、40質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。一方、はんだ材料がPbを含有する場合、Pbのはんだ材料全体に対する含有量が90質量%以上であってもよく、Snのはんだ材料全体に対する含有量が5質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。
【0050】
はんだ材料は、例えば、20〜300質量ppmのAsを含有してもよい。Asの含有量が20質量ppm以上であることにより、粘度上昇が抑制され、増粘抑制効果に優れる。Asの含有量が300質量ppm以下であることにより、濡れ性が劣化することを一層抑制できる。このため、Asの含有量が20〜300質量ppmであることにより、本実施形態のソルダペーストは、増粘抑制効果及び信頼性をバランスよく両立できる。同様の観点から、Asの含有量は、はんだ材料全体に対して、30〜250質量ppmであることが好ましく、50〜200質量ppmであることがより好ましい。Asは、Sn又はSn系合金と共に(例えば、金属間化合物や固溶体等)を構成していてもよいし、Sn系合金とは別に、例えばAs単体や酸化物として、存在していてもよい。
【0051】
はんだ材料は、50質量ppm(0.0050質量%)〜3.0質量%のBiを含有することが好ましい。Biの含有量が50質量ppm以上であることにより、粘度上昇が抑制され、増粘抑制効果に優れる。Biの含有量が3.0質量%以下であることにより、液相線温度(T
L)と固相線温度(T
S)との差(ΔT=T
L−T
S)を小さくでき、サイクル特性等の信頼性に優れる。このため、Biの含有量が50質量ppm〜3.0質量%であることにより、本実施形態のソルダペーストは、増粘抑制効果及び信頼性をバランスよく両立できる。同様の観点から、Biの含有量は、はんだ材料全体に対して、50質量ppm(0.0050質量%)〜1.0質量%であることが好ましく、100質量ppm(0.010質量%)〜1.0質量%であることがより好ましい。
【0052】
はんだ材料は、20質量ppm(0.0020質量%)〜0.5質量%のSbを含有することが好ましい。Sbの含有量が20質量ppm以上であることにより、粘度上昇が抑制され、増粘抑制効果に優れる。Sbの含有量が0.5質量%以下であることにより、濡れ性、及びサイクル特性等の信頼性に優れる。このため、Sbの含有量が20質量ppm〜0.5質量%であることにより、本実施形態のソルダペーストは、増粘抑制効果及び信頼性をバランスよく両立できる。同様の観点から、Sbの含有量は、はんだ材料全体に対して、50質量ppm(0.0050質量%)〜0.3質量%であることが好ましく、100質量ppm(0.010質量%)〜0.1質量%であることがより好ましい。
【0053】
はんだ材料は、20質量ppm(0.0020質量%)〜0.7質量%のPbを含有することが好ましい。Pbの含有量が20質量ppm以上であることにより、粘度上昇が抑制され、増粘抑制効果に優れる。Pbの含有量が0.7質量%以下であることにより、液相線温度(T
L)と固相線温度(T
S)との差(ΔT=T
L−T
S)を小さくでき、サイクル特性等の信頼性に優れる。このため、Pbの含有量が20質量ppm〜0.7質量%であることにより、本実施形態のソルダペーストは、増粘抑制効果及び信頼性をバランスよく両立できる。同様の観点から、Pbの含有量は、はんだ材料全体に対して、50質量ppm(0.0050質量%)〜0.5質量%であることが好ましく、100質量ppm(0.010質量%)〜0.3質量%であることがより好ましい。
【0054】
Biは、Sn又はSn系合金と共に合金(例えば、金属間化合物、固溶体等)の形態で存在していてもよく、Sn及びSn系合金とは別に存在していてもよい。
【0055】
本実施形態のはんだ材料の製造方法としては、特に限定されず、例えば、原料金属を溶融混合することにより製造する方法が挙げられる。
【0056】
本実施形態において、はんだ材料の形態は、特に限定されず、例えば、ワイヤ状の形態であってもよく、ボール状の形態(はんだボール)、粉末状の形態(はんだ粉末)等の粒子状の形態であってもよい。はんだ材料の形態は、流動性に優れる観点から、粒子状の形態であることが好ましく、粉末状の形態であることがより好ましい。
【0057】
粒子状のはんだ材料の製造方法としては、例えば、溶融させたはんだ材料を滴下して粒子を得る滴下法や遠心噴霧する噴霧法、バルクのはんだ材料を粉砕する方法等が挙げられる。滴下法や噴霧法において、滴下や噴霧は、粒子状とするために不活性雰囲気や溶媒中で行うことが好ましい。
【0058】
また、はんだ材料が粒子状である場合、はんだ材料は、JIS Z 3284−1:20
14における粉末サイズの分類(表2)において記号1〜8に該当するサイズ(粒度分布)を有していることが好ましく、記号4〜8に該当するサイズ(粒度分布)を有していることがより好ましく、記号5〜8に該当するサイズ(粒度分布)を有していることが更に好ましい。これにより、微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
【0059】
本実施形態において、粒子状であるはんだ材料のサイズ(粒度分布)は、JIS Z 3284−2:2014の4.2.3に記載されたレーザ回折式粒度分布測定試験に準拠して行うことができる。
【0060】
本実施形態において、はんだ材料の含有量と、フラックスの含有量との質量比(はんだ材料:フラックス)は、例えば、はんだ材料95質量%:フラックス5質量%〜はんだ材料5質量%:フラックス95質量%であってもよく、好ましくははんだ材料95質量%:フラックス5質量%〜はんだ材料85質量%:フラックス15質量%であってもよい。
【0061】
本実施形態において、ソルダペーストは、酸化ジルコニウム粉末をさらに含むことができる。ソルダペースト全体の質量に対する酸化ジルコニウム粉末の含有量は、0.05〜20.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が最も好ましい。酸化ジルコニウム粉末の含有量が上記範囲内であれば、フラックスに含まれる活性剤が酸化ジルコニウム粉末と優先的に反応し、はんだ粉末表面のSnやSn酸化物との反応が起こりにくくなることで経時変化による粘度上昇を更に抑制する効果が発揮される。
【0062】
ソルダペーストに添加する酸化ジルコニウム粉末の粒径の上限に限定はないが、5μm以下であることが好ましい。粒径が5μm以下であるとペーストの印刷性を維持することができる。また、下限も特に限定されることはないが、0.5μm以上であることが好ましい。上記粒径は、酸化ジルコニウム粉末のSEM写真を撮影し、視野内に存在する各粒子について画像解析により投影円相当径を求めたときの、投影円相当径が0.1μm以上であるものの投影円相当径の平均値とする。酸化ジルコニウム粒子の形状は特に限定されないが、異形状であればフラックスとの接触面積が大きく増粘抑制効果がある。球形であると良好な流動性が得られるためにペーストとしての優れた印刷性が得られる。所望の特性に応じて適宜形状を選択すればよい。
【0063】
本実施形態において、ソルダペーストは、本実施形態のはんだ材料(はんだ粉末)とフラックスとを公知の方法により混練することにより製造することができる。
【0064】
本実施形態のソルダペーストは、例えば、電子機器における微細構造の回路基板に用いられ、具体的には、メタルマスクを用いた印刷法、ディスペンサを用いた吐出法、又は転写ピンによる転写法等により、はんだ付け部に塗布し、リフローを行うことができる。
【0065】
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
(フラックスの調製)
表1及び表2に示す各材料を、表1及び表2に示す組成となるように加熱撹拌した後、冷却することによりフラックスを調製した。各表中の数値は、フラックスの合計が100質量%としたときの各材料の含有量(質量%)を表し、「Bal」は、残部を表す。以下に表中に示す各材料の試薬名及びCAS番号を示す。
【0067】
・「金属不活性化剤」 試薬名:ドデカン二酸ビス[N2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]
CAS No.63245−38−5
・試薬名:2−エチル−4−メチルイミダゾール
CAS No.931−36−2
・試薬名:2−ウンデシルイミダゾール
CAS No.16731−68−3
・試薬名:トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール
CAS No.3234−02−4
・試薬名:トリアリルイソシアヌレート6臭化物
CAS No.52434−90−9
・試薬名:ヘキシルジグリコール
CAS No.112−59−4
・試薬名:テトラエチレングリコールジメチルエーテル
CAS No.143−24−8
・試薬名:ヒマシ硬化油
CAS No.8001−78−3
【0068】
(ソルダペーストの調製)
Sn−3Ag−0.5Cu(各数値は質量%)の組成を有するはんだ粉末(「SAC305」)と、各実施例及び比較例のフラックスとを質量比(はんだ粉末:フラックス)が89:11となるように混練し、ソルダペーストを調製した。はんだ粉末の平均粒子径をJIS Z3284−1:20
14に準じて測定し、測定値からJIS Z3284−1:20
14の粉末サイズ分類の表2に従って分類した。JIS Z3284−1:20
14の表2における粉末サイズの記号は5であった。
【0069】
各実施例及び比較例のソルダペーストについて(1)増粘抑制評価、(2)チキソ比変動性評価、(3)温度サイクル試験時のCuとの反応抑制評価を行った。各評価方法を以下に示し、評価結果を表1及び表2に示す。
【0070】
(1)増粘抑制評価
得られたソルダペーストを40℃にて2週間保管した後に、下記式で表される増粘増加率を算出した。
粘度増加率=2週間保管後のペースト粘度/初期のペースト粘度×100
【0071】
各ペースト粘度は、JIS Z 3284−3の「4.2 粘度特性試験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU−205、株式会社マルコム製)を用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃の条件にて測定した。以下の基準に基づいて増粘抑制効果の評価を行った。
○:粘度増加率が120%以下であった
×:粘度増加率が120%を超えた
【0072】
(2)チキソ比変動性評価
得られたソルダペーストを40℃にて2週間保管した後に、下記式で表されるチキソ比変動率を算出した。
チキソ比変動率=2週間保管後のソルダペーストのチキソ比/初期のペーストのチキソ比×100
【0073】
各チキソ比は、回転粘度計(PCU−205、株式会社マルコム製)を用い、測定温度:25℃の条件にて下記式に従って算出した。
チキソ比=LOG(回転数が3rpmである粘度/回転数が30rpmである粘度)
【0074】
得られたチキソ比変動率から、以下の基準に基づいてチキソ比変動性評価を行った。
○:チキソ比変動率が120%以下であった
×:チキソ比変動率が120%を超えた
【0075】
(3)温度サイクル試験時のCuとの反応抑制評価
得られたソルダペーストをCu−OSP基板上に5.0mmの開口径及び0.15mmtの厚さを有するメタルマスクを用いて印刷した。次に、窒素雰囲気下にて、昇温速度1.2℃/秒にて25℃から250℃まで昇温しながらリフロー処理を行った。次に、Cu−OSP基板を30分間125℃、5分間25℃、30分−40℃、5分間25℃を1サイクルとして、50サイクル経過した時のCu−OSP基板上のフラックス残渣部分のCuとの反応性(緑色化)を観察し、以下の基準に基づいてCuとの反応抑制評価を行った。
○○:N=10パンプ全てにおいて、残渣部分の緑色化は見られなかった
○:N=10パンプ全てにおいて、緑色化は見られるものの残渣部分全体の緑色化はみられなかった
×:N=10パンプいずれかにおいて、残渣部分全てが緑色化されているものがあった
【0076】
また、各実施例で用いたはんだ材料に、As、Bi、Sb及びPbをそれぞれ所定量添加することにより、優れたチキソ比変動性を維持しつつ、更に優れた増粘抑制効果が得られた。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】