特許第6903047号(P6903047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6903047改質充填剤粒子およびそれを含むシリコーン組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903047
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】改質充填剤粒子およびそれを含むシリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20210701BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20210701BHJP
   C08J 3/215 20060101ALI20210701BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08K3/22
   C08J3/215CFH
   C08J5/18
【請求項の数】29
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2018-502664(P2018-502664)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-522122(P2018-522122A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2016001267
(87)【国際公開番号】WO2017012715
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】62/194,545
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512135078
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】フェルダー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッヒス,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ホフミューラー,グナー
(72)【発明者】
【氏名】スリカンス,アビラミ
(72)【発明者】
【氏名】デュークス,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ディンカー,スミ
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ロランド
(72)【発明者】
【氏名】スタクラ,カール,ハインツ
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−062198(JP,A)
【文献】 特開2010−007057(JP,A)
【文献】 特開2009−173871(JP,A)
【文献】 特開2010−144135(JP,A)
【文献】 特開2010−037457(JP,A)
【文献】 米国特許第07834083(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L83/00−83/16
C08K3/00−13/08
C08J3/215
C08J5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物または金属水酸化物粒子(A)、式(1)
【化1】

の単位を有する1以上の置換ポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1以上のポリオルガノシロキサン(B)、
または、ポリオルガノシロキサン(B)は、実験式(II)の構造を有し、
[M (II)
ここで
a=0−6、
b=0−2000、
c=0−50、
d=0または1
e=0−6
f=1−200、d=1またはQが存在する場合、
ここでa+c+d>0、
ここでRは、R、R、R、R、Lからなる群から選択され、そして
は、任意にてClまたはFで置換されていてもよい、1価のC1−C22−アルキルからなる群から選択され、そして
は、C2−C22−アルケニルから選択される1価の非置換または置換アルケニルからなる群から選択され、そしてC6−C22−シクロアルケニル、C7−C22−ビシクロアルケニル、C6−C22−アルケニルアリールアルキルから選択されるR22を含み、任意にてRで置換されてもよく、炭化水素基の炭素原子を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、O、N原子によって中断されてもよく、そして
は、式(I)のMR3を形成する基−L−Rであり、ここで
は、R、R、R22、水素および1価の置換または非置換C4−C30−炭化水素単位であって、任意にて−NR−、O、−S−またはP原子によって中断され、R、OH、Cl、F、CN、−OR、で置換されてもよいものからなる群、
C1−C22−アルキル、ポリ(C2−C4)−アルキレンオキシドOH、OR、OC(O)RまたはR末端、(RX)3−xSi−、x=1−3、X=C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノからなる群、および、
カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えばR−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、ここでR=水素、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、MeSi−、
および、アミン、ホスフィンの酸性塩、または好ましくは第4級−Nまたは−P基を有する塩、
および、R22、C6−C22−シクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C7−C22−ビシクロアルキル、C6−C22−アリール、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、C8−C22−多環式アリール、C7−C22−アルキルアリール、C7−C22−アリールアルキル、C8−C22−アリールアルキレン−アリールアルキル、基R、R22のエポキシドからなる群から選択されるR42を含み、および、
3−xSi−、ここでx=1−3、
=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、エポキシC3−C12−エポキシアルキル、C6−C12−シクロアルキル、エポキシC7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−チオシクロアルキル、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、
から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、ここで
Lは、単結合またはC1−C12−アルキレン基からなる群から選択される2価の基であって、−O−、−または−NR −C(O)−、および/または−NR−、ウレタン−OC(O)NR−、ウレア−NR(O)NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
2より多い不飽和基を有するケイ素を含まない不飽和C6−C30−炭化水素、エポキシ基を有するC6−C30−炭化水素、または、ポリオルガノシロキサン(B)からなる(B)の群から選択され、ここでRは、R、R、R、R、LおよびRの基から選ばれ、ここでRは水素である、任意選択の1以上の架橋剤(C)
ラジカル開始剤、ヒドロシリル化触媒、縮合触媒、光活性化カチオン重合用触媒の群から選択される、任意選択の1以上の硬化触媒(D)、
を含む組成物であって、
少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換され、そして25℃で1.43を超える屈折率n20を有するシロキシ単位を5モル%より多く含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
単位M、D、TおよびQを含むポリオルガノシロキサン(B)は、実験式(II)の構造を有し、
して25℃での粘度は、D=10sec−1でのせん断速度で200000mPa.s未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)または(II)のポリオルガノシロキサン(B)は、式(IIIa)から(IIIe)の対称および非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)からなるポリオルガノシロキサン(B)の群から選択され、
M−DR1−DR2−DR3−M (IIIa)
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4* (IIIb)
m=1−7
p=1−9、
ここで
u=0−500
v=0−50
w=0−500
[M0.4−4Q]1−200 (IIIc)
[M0.4−41−10Q]1−200 (IIId)
2−100−5001−10 (IIIe)
ここでMおよびMは、MR1、MR2、MR3の群から選択され、
R1=SiO1/2
R2=R3−xSiO1/2
R3=R3−xSiO1/2
x=0−2、
Tは、TR1、TR2、TR3から選択され、
R1=RSiO3/2
R2=RSiO3/2
R3=RSiO3/2
Dは、DR1、DR2、DR3から選択され、
R1=RSiO
R2=R2−ySiO
R3=R2−ySiO
y=0−1、
少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を5モル%より多く含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つは、式MR2−DR1−DR2−DR3−MR2の群から選択され、
[M0.4−4Q]1−200
[M0.4−41−10Q]1−200
2−100−5001−10、および
2−100−5001−10、ここで
MおよびM単位は、MR1、MR2、MR3からなる群から選択され、
D単位は、DR1、DR2、DR3から選択され、
T単位は、TR1、TR2、TR3から選択され、前記定義通りであり、
ここでR=メチル、3,3,3−トリフルオロプロピル
u=0−200
v=0−20
w=1−200、そして
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4*
は、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、R22から選択され、R22は、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニル、ノルボルネンエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピルから選択され、
=−L−R、ここで
Lは単結合、2価のC1−C8−アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、R、R、R22、水素からなる群、
(RX)3−xSi−、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えば、R−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、ここでR=水素、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、meSi−、
および、アミン、ホスフィンの酸性塩、または好ましくは第4級−Nまたは−P基を有する塩、および、R42から選択されるR
シクロヘキシル、ノルボルニル、フェニル、フェニルプロピル、フェニルエチル、置換ヒドロキシフェニル、オイゲノール、クミルフェノールエーテル、ビスフェノールエーテル、ナフチル、C5−C12−チオフェン、C8−C12−インドール、C12−C22−カルバゾール、C4−C12−ジオキソラン、C5−C12−チオフェン、C3−C12−1,3−ジチオラン、C3−C12−1,3,5−トリチアン、C4−C2−1,3−ジチアン、C5−C12−テトラヒドロ−2H−チオピラン、C6−C12−エポキシアルキル、C6−C22−エポキシシクロアルキルであって、任意にて−NR−、O、−S−またはP原子で中断され、R、OH、Cl、F、−OR)で置換されてもよく、
および、
3−xSi−、ここでx=1−3、
=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、エポキシC3−C12−エポキシアルキル、C6−C12−シクロアルキル、エポキシC7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−チオシクロアルキル、C5−C12−ヘテロN,O,S−アリール、
から選択され、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、ここで少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つは、式MR3−DR1−DR2−DR3−MR3の群から選択され、
ここでR=メチル、3,3,3−トリフルオロプロピル
u=0−100
v=0−10
w=1−100、そして
は、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、R22から選択され、R22は、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピルから選択され、
=−L−R
そしてLは前記定義通りであり、
は、(RX)3−xSi−の群、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えば、R−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、第4級−N
および、
42=シクロヘキシルエチル、ノルボルニル、ノルボルニルエチル、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、1,3−ジチオラン、1,3,5−トリチアン、1,3−ジチアン、チオフェニル、テトラヒドロ−2H−チオピラニル、カルバゾール、インドール、トリスフェニルシリル、および、
meSi−、ここでR=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリールであって、任意にてR、OH、Cl、およびシリルエーテル基RSi−O−で置換されてもよく、
および、非置換または置換オキシフェニル部分、ここで基
【化2】

はR10からR14で置換され、
ここでR10、R14は、水素またはRであり、および、
11、R12、R13は、−O−Rから選択され、
ここで基R11からR13の少なくとも1つは、OH基である、
から選択され、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、
ここで、少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、式(IIIa)、(IIIb)および(IVa)の群から選択される構造を有し、
M−DR1−DR2−DR3−M (IIIa)
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4* (IIIb)
【化3】

R、Rは異なることができ、前記定義のR、R、R22、R、R、R42からなる群から選択され、
ここで、末端基RおよびR4*は、前記定義のRおよびR42から選択されるが、互いに異なり、
p=0または4または9
=メチル、
=−L−R
ここでLはL1およびL2から選択され、2価のC1−C8アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、ビニル、ヘキセニル、オクテニル、R22からなる群から選択され、R22=リモニル、シクロヘキセニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピル、
は、(RX)3−xSi−、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、
22、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、ノルボルニル、グリシジルプロピル
エーテル、シクロヘキセンオキシドエチル、リモニルオキシド、ノルボルニルオキシド、1,3−ジチアンジメチルシリル、トリスフェニルシリルからなる基R42から選択され、
meSi−、ここでR=フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、および、
非置換または置換オキシフェニル部分、ここで基
【化4】

はR10からR14で置換され、
ここでR10、R14は、水素またはRであり、および、
11、R12、R13は、−ORから選択され、
ここで基R11からR13の少なくとも2つはOH基である、
から選択され、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、ここで少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオルガノシロキサン(B)は、式MR3−DR1−DR3−MR3*から選択され、
ここでR、R3*は、−L−Rまたは−L−R4*であり、そしてRおよびR42から選択される基RおよびR4*は互いに異なり、そしてここでポリオルガノシロキサン(B)は、下記構造式の群から選択され、
【化5】

=メチル、
およびR4*は請求項6で定義された通りであり、
およびLは、前記定義通りの基Lから選択され、
ここでLおよびLは、2価のC1−C8−アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
(B)は、R22およびR42から選択される基で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
式(Va)から(Vd)による少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、式(VIa)から(VIe)の構造のポリオルガノシロキサンから選択され、
ここでRおよびRは、RおよびRから選択され、そしてRおよびRは、異なることができ、
【化6】

R、R=メチル、3,3,3−フルオオロプロピル、R、R42
p=1または4または9
n=0−6
は、ビニル、ヘキセニル、R22からなる群から選択され、R22=リモニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピル
=−L−R
ここでLはL1およびL2から選択され、2価のC1−C8アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、(RX)3−xSi−、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、および、
フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテルからなる基R42、ノルボルニル、グリシジルプロピルエーテル、シクロヘキセンオキシドエチル、リモニルオキシド、ノルボルニルオキシド、1,3−ジチアンジメチルシリル、トリスフェニルシリルからなるR22から選択され、
meSi−、ここでR=フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
非置換または置換オキシフェニル部分、ここで基
【化7】

はR10からR14で置換され、
ここでR10、R14は、水素またはRであり、および
11、R12、R13は、−ORから選択され、
ここで基R11からR13の少なくとも2つは、OH基である、
であり、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合しており、ここで少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物は少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(B)を含み、ここで1つは、請求項5に記載のポリオルガノシロキサン(B)の末端シロキシ単位で2つの異なる基RおよびR3*、それぞれ−L−Rおよび−L−R4*を含む、非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つは、式(IIIb)
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4*
L、Rは請求項1から9にて前に定義した通りであり、
Rは、RおよびRから選択され、
p=1または4
m=1−7
の群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物は、成分(B)の反応性基に対する反応性基を有するシランおよびシロキサンからなる群から選択される架橋剤(C)をさらに含み、ここで架橋剤成分(C)のこれら反応性置換基は、SiH、アルケニル、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、エポキシおよびチオール基からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物は、Rがさらに基Rから選ばれる第3のポリオルガノシロキサンを少なくとも含み、ここでRはSiH基における水素である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、光学密度基R22またはR42で置換されたシロキシ基を20モル%より多く含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリオルガノシロキサン(B)は、25℃、せん断速度D=10s−1で10−200000mPa.sの範囲の粘度を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物は、ケイ素原子を有さない炭化水素の群から選択される架橋剤(C)をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
触媒(D)は、無機または有機過酸化物、アゾ化合物、有機金属化合物を含むヒドロシリル化触媒、ここで金属はPt、Ru、Rh、Co、Ni、Feから選択されるもの、および、有機金属または金属を含まない縮合触媒、ここで金属は、Sn、Ti、Zr、Zn、Bi、Ce、Mn、Mo、V、Y、Ybから選択されるもの、および、アミン、ホスフェート、ホスホネートから選択される非金属触媒、および、カチオン重合用触媒、例えば、光活性化可能なヨードニウム、スルホニウム塩、ここでアニオンは、V族元素、例えば、ペンタフルオロホスフェート、ペンタフルオロアルセネート、およびペンタフルオロアンチモネートから選択されるものから選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
金属酸化物または金属水酸化物成分(A)における金属は、Ti、Zr、Hf、Sn、Ce、Al、As、In、Zn、Ge、Sb、Cr、Cd、W、MoおよびNbからなる群から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
金属酸化物または金属水酸化物成分(A)は、XRD反射を示す結晶構造、および200nm未満の範囲の長さの粒子を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
成分(A)から(D)を含む組成物は、25℃、せん断速度D=10sec−1で、100−50000000mPa.sの範囲の粘度を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物から得られる結晶性成分の製造のためのプロセスであって、
a)任意にて溶媒における、非晶質金属酸化物または金属水酸化物粒子の分散体を提供すること、
b)分散体をポリオルガノシロキサン(B)と混合すること、
c)混合物を450℃まで加熱すること、
d)任意にて必要であれば溶媒(E)を蒸発させること、および
e)任意にてそれをさらなるシロキサンポリマー(B)と混合すること
のステップを含むプロセス。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物から得られる硬化性組成物の製造のためのプロセスであって、
i)溶媒中の成分(A)の結晶性金属酸化物または金属水酸化物粒子の分散体を提供すること、
ii)(A)をポリオルガノシロキサン(B)と混合すること、
iii)任意にて混合物を加熱すること、
iv)任意にてそれをさらにシロキサンポリマー(C)および触媒(D)と混合した後に、必要であれば溶剤(E)を蒸発させること、
のステップを含むプロセス。
【請求項22】
成分(B)に関して、約0.001−95重量%の量の金属酸化物または金属水酸化物粒子(A)を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物または金属水酸化物の成分(A)350重量部、
エポキシ基を含む対称または非対称に置換された成分(B)から選択されるエポキシ官能化ポリジメチルシロキサンの成分(B)100重量部、
(D)成分としてのペンタフルオロホスフェートのオニウム塩1−5重量部、
増感剤0.5−1重量部
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物または金属水酸化物の成分(A)1−350重量部、
10モル%より多いジフェニルシロキシ(pheSiO)単位を有するビニル末端ポリジフェニルジメチルシロキサンの成分(B)100重量部、
基RおよびR4*を含む非対称に置換された成分(B)0−20重量部、ここで、末端基RおよびR4*は、前記定義のRおよびR42から選択されるが、互いに異なり、
10モル%より多くのpheSiO単位を有するSiHポリジメチルシロキサン1−5重量部、
成分(A)から(C)に関して1−500ppmのPtを提供する成分(D)としての有機金属Pt−化合物、
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物または金属水酸化物の成分(A)1−350重量部、
22および−L−R42からなる群から選択される光学密度基Rを含む非対称に置換された成分(B)100重量部、
ここで5モル%より多いシロキシ単位は置換基R22および−L−R42を有し、
SiHポリジメチルシロキサン1−5重量部、
成分(A)から(C)に関して1−500ppmのPtを提供する成分(D)としての有機金属Pt−化合物、
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1から19または22から25のいずれか一項に記載のシリコーン組成物を硬化するためのプロセスであって、ここで請求項1の成分は、熱または光活性化可能なラジカル開始剤または増感剤、熱または光活性化可能なヒドロシリル化触媒、縮合触媒からなる群から選択される少なくとも1つの触媒とさらに混合され、そして光、電磁波照射、熱、酸素または湿気が与えられる硬化プロセスに付される、プロセス。
【請求項27】
請求項1から19または22から25のいずれか一項に記載の組成物から製造される硬化組成物であって、ここでポリオルガノシロキサン(B)の反応性基および成分(C)は、反応性基R、R22、R、R42またはRの熱もしくは光活性化または水もしくは酸素の拡散によって架橋され、ここでこれらの反応性基は、アルケニル、水素、アルコキシ、OH、アミノ、カルボキシ、エポキシおよびチオール基からなる群から選択される、硬化組成物。
【請求項28】
約1.43以上の屈折率n20を有するポリオルガノシロキサン(B)を少なくとも1つ含む請求項1から19または22から25のいずれか一項に記載の組成物からなる、流体、フィルム、キャストまたはディスペンスされたコート、押出または成形プロセスにより形成されてなる成形品。
【請求項29】
2mmの厚さで約85%を超える300−2000nmの間の波長の光透過率を有する、キャスト、ディスペンスされたコート、フィルム、押出しまたは成形プロセスによる成形品としての、請求項27に記載の硬化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2015年7月20日に出願された米国仮特許出願第62/194,545号「改質充填剤粒子およびそれを含むシリコーン組成物」の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本主題は、ポリオルガノシロキサンナノ結晶金属酸化物または水酸化物の組成物、およびこれらの粒子を分散または結晶化させる方法を提供する。分散され、任意にて表面改質されてもよい粒子を有する硬化性組成物は、良好な光透過率で高い屈折率を示す。この組成物は、光学デバイスまたは光ガイドなどの様々な用途での使用に適している。本発明につながる研究は、「助成契約」第263382号の下、EU第7次フレームワーク計画(FP7-NMP-2010-LARGE-4)からの資金提供を受けている。
【背景技術】
【0003】
背景
高屈折率を有するポリオルガノシロキサンポリマーまたはコポリマーは、例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズ、LEDレンズなどを含む様々な光学用途にますます使用されている。このようなポリマーはまた、限定されるものではないが、半導体照明(発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザーダイオード)、導波路(平面と「ファイバー」の幾何学的形状の両方)、光コンピューティング、光記憶媒体、反射防止コーティング、コンフォーマルコーティング、光学レンズ、マイクロレンズ、自動車のトップコート、塗料配合物、ヘアケア製品、勾配屈折率光学部品、動的勾配屈折率成分などの、高い透過率および高い屈折率を必要とする他の光学用途への道を見出している。
【0004】
適用により、ポリマーおよびそれらの硬化組成物、例えば成形品は、十分な構造的一体性、強度、弾性および伸び、優れた屈折率などを含む広範な特性を示す必要があり得る。通常のポリジメチルシロキサンの屈折率は特定の置換基によって増加させることができるが、達成可能なレベルは限定されている。したがって、高屈折率酸化物のより高い屈折率を利用するために、このようなポリマーに高屈折率酸化物を分散させることが提案されている。しかしながら、このようなコンセプトは、所望の光透過性を提供し、同時に屈折率を増加させるポリオルガノシロキサン組成物を与えることができなかった。所望の高濃度の高屈折率の充填剤などの添加剤、例えば酸化物のナノ粒子と、フィルムまたは成形品の製造のための公知のコーティングまたは射出プロセスに適用可能な組成物となりえる能力との間には常に対立がある。これらの組成物の多くは、サイズが大きすぎる粒径に悩まされるか、経時的に少なくとも貯蔵下で凝集するか、または光学的欠陥となる傾向がある。屈折率が所望の光透過率に調整できないか、凝集が問題であるか、または沈降が失敗の理由であるかについての明確な結論はなかった。理論に縛られるものではないが、これらの理由のいずれかと関係があると考えられている。
【0005】
加えて、高屈折率酸化物を含む組成物は、フィルム、コーティング、押出または成形プロセスによって製造された成形品の製造のための通常のプロセスにおいて便利でなければならない。これらのプロセス要件は、粘度などの流動特性をさらに設計する必要がある。いくつかの適用において、ポリマーは、薄膜に形成されたときにこれらの特性を示さなければならない。例えば眼内レンズにおいて、このレンズは、眼内レンズ適用における小さな切開部を通して挿入するため薄くて柔軟でなければならず、通常の使用条件下でそのような形状を保持するのに十分な構造的一体性および強度を有しなければならない。6ヶ月以上にわたって2mmの厚さで300−1800nmの波長を有する光に対して90%以上の透過率を有することが望ましい。組成物の屈折率は、n20として測定して1.55よりも大きくなければならず、これより組成物の粘度は、25℃、D=10sec−1のせん断速度で50,000,000mPa.sを超えてはならない。
【0006】
バインダーポリマーの屈折率を高めるための1つの方法は、例えば、アクリレート組成物における結晶性ナノ金属酸化物の使用であり、WO2012/058271A2に開示されている。これらの例は、厚い層での組成物の透明性については言及していない。これらの材料のいくつかには透明性の改善がまだ必要であることが示されている。
【0007】
置換基がポリオルガノシロキサンの屈折率を高めるのに適しうるという多くの提案が、先行技術にある。可能な置換基のいくつかは、WO2014−152686およびWO2013−172921(Dukes等)に示されている。
【0008】
非常によく知られている方法は、屈折率の高いポリマーとしてフェニル置換シロキサンを使用することである。例えば、芳香族基の導入により、ジメチルシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマーまたはジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマーが得られ、それらは高められた屈折率を有するポリマーの好適な候補である。屈折率に肯定的な効果があるにもかかわらず、ポリオルガノシロキサン中にフェニル基のような屈折率改質基を導入することはいくつかの重要な欠点をもたらすことが知られている。しかしながら、高い屈折率を達成するためには高濃度のフェニル基が必要である。5モル%を超えるフェニルシロキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、結晶化し、室温で固体である傾向がある。さらに、ポリオルガノシロキサン中のフェニル含有量を増加させることは、特に、充填剤を含む組成物に使用される場合、そのようなポリマーの粘度が著しく増加し、その加工性が制限される。
【0009】
それにもかかわらず、屈折率の増加は、例えばジフェニルシロキサンのジフェニルシロキシ単位のそれぞれについて100モル%で、約1.6のn20に制限され、加えてそのようなポリマーは、25℃で固体であるか、または少なくとも高粘度を有することがありえ、これよりシリカのような通常の充填剤は、組成物中のこれらのポリマーの屈折率を25℃で約1.54のn20に制限し、別の時に粘度を増加させる可能性がある。良好な加工性は、25℃である程度の低粘度が提供される場合にのみ達成することができる。射出成形プロセスまたは押出プロセスは、キャスティングまたはフィルムコーティングプロセスより高い粘度を許容し得る。
【0010】
加えて、補強充填剤または類似の補強樹脂を含まない純粋なフェニル基を含有するポリオルガノシロキサンは、あるレベルの機械的強度が望まれる物品の製造に適していない。
【0011】
本発明者らは、充填剤が安定化された分散体として提供され、光透過率が所望に応じて調整される高屈折透明組成物により、既知のシステムの弱点を克服する方法を見出した。
【発明の概要】
【0012】
概要
本主題は、ナノ結晶性金属酸化物または水酸化物(A)およびポリオルガノシロキサン(B)の組成物、これらの粒子を分散または結晶化させるプロセスを提供する。本発明は、広範囲の波長において高い屈折率および良好な光透過性を示す、表面改質されてもよい分散したナノ結晶質の粒子を有する硬化性組成物を開示する。組成物を硬化させうるプロセスもまた開示されている。組成物は、光学デバイス、レンズまたは光ガイドのような様々な用途の製造に有用である。一態様では、本発明の組成物は、バインダーとして、および充填剤の分散を安定化させ、光の透過率を調整することができる分散助剤として非対称に置換されたポリオルガノシロキサンを使用する。
【0013】
一実施形態では、非対称に置換されたポリオルガノシロキサンは、式R−{−L[SiRO]−SiR−L−R4*を有し、ここでポリオルガノシロキサンは2つの異なる末端基を有する。
【0014】
本発明者らは、高屈折率を有するバインダーポリマーとして有用であり、当該技術水準で公知のポリオルガノシロキサンよりもこの分散を分散させて安定化させることができるポリオルガノシロキサンを見出した。
【0015】
本発明者らは、金属酸化物とポリオルガノシロキサンとの間の差異の閾値を見出し、増加した屈折率および十分な光透過率に必要な高価な基の量を最小限に抑えることができた。加えて、非対称に置換された短鎖ポリオルガノシロキサンの使用は、バインダーポリマー中に高屈折率酸化物を少なくとも分散させ、安定化させることができることが見出された。大量の高屈折率酸化物の混入を可能にし、互いに硬化反応を起こすことができる反応性基を備えさせることができることから、非対称に置換された短鎖ポリオルガノシロキサンをバインダーポリマー自体として使用することさえ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は、本発明は、金属酸化物/水酸化物粒子(A)、1以上のポリオルガノシロキサン(B)、(B1)および(B2)は、式(I)
【化1】

の単位を有する1以上の置換ポリオルガノシロキサンからなる群から選択され、
ここでRは、R、および、R、R、R、Lからなる群から選択され、そして
は、任意にてClまたはFで置換されてもよい1価のC1−C22−アルキルからなる群から選択され、そして
は、C2−C22−アルケニルから選択される1価の非置換または置換のアルケニル基からなる群から選択され、そしてC6−C22−シクロアルケニル、C7−C22−ビシクロアルケニル、C6−C22−アルケニルアリールアルキルから選択されるR22を含み、任意にてRにより置換されてもよく、炭化水素基の炭素原子を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、O原子、N原子によって中断されることがありえ、そして
は、式(I)のMR3を形成する−L−R基であり、ここで
は、R、R、R22、水素、および1価の置換または非置換のC4−C30−炭化水素単位であって、任意にてNR−、O、SまたはP原子で中断され、R、OH、Cl、F、OR−で置換されてもよく、C1−C22−アルキル、ポリ(F)−アルキレンオキシドR末端からなり、
(RX)3−xSi−、x=1−3、X=C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、および、
カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えばR−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、ここでR=水素、C1−C8アルキル、C2−C8−アルケニル、meSi−
および、アミン、ホスフィンの酸性塩、または好ましくは、第4級の−Nまたは−P基を有する塩、
および、R22、C6−C22−シクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C7−C22−ビシクロアルキル、C6−C22−アリール、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、C8−C22−多環式アリール、C7−C22−アルキルアリール、C7−C22−アリールアルキル、C8−C22−アリールアルキレン−アリールアルキル、基R、R22のエポキシドからなる群から選択されるR42を含み、および、
3−xSi−、ここで、x=1−3、
=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、エポキシC3−C12−エポキシアルキル、C6−C12−シクロアルキル、エポキシC7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−チオシクロアルキル、C5−C12ヘテロ−N,−O,−S−アリール、
からなる群から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、ここで
Lは、単結合、2価または3価の基であり、C1−C12−アルキレン基からなる群から選択され、O、−または−NR−C(O)−、および/または−NR−、ウレタン−OC(O)NR−、ウレア−NRHC(O)NR−、部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
2個を超える不飽和基を有するケイ素を含まない不飽和C6−C30−炭化水素、RがSi(SiH)に結合した水素であるさらなる基Rを有するポリオルガノシロキサン(B2)からなる(B)の群から選択されるC6−C30−エポキシ基を有する炭化水素の群からさらに選択される任意選択の1以上の架橋剤(C)、
ラジカル開始剤、ヒドロシリル化触媒、縮合触媒、光活性化カチオン重合用触媒の群から選択される任意選択の硬化触媒(D)を含む組成物であって、
少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換され、1.43を超える屈折率n20を有するシロキシ単位を5モル%より多く含むことを特徴とする組成物を開示する。
【0017】
本発明者らは、金属酸化物/水酸化物粒子およびバインダーまたはマトリックスポリマーとしてのポリオルガノシロキサンを含む組成物の欠点を除去できることを見出した。本発明は、妥当な加工性を有し、分散された金属酸化物/水酸化物ナノ粒子の光学特性が安定化され得るポリオルガノシロキサン組成物を提供する。そのような組成物のこれまでの問題は、選択された構造および置換基を有する特定のポリオルガノシロキサンの使用によって解決される。
【0018】
適切な基は、ポリマーを硬化させるのに有用な置換基およびそれぞれ高い屈折率を有する十分な光学密度を提供する基から選択される。本発明のいくつかの実施形態では、両方の特徴を1つの置換基で実現することができる。本発明における金属酸化物/水酸化物粒子という用語は、可視光の波長より下の粒径を有するナノサイズの酸化物を意味する。利用可能な粒子のいくつかは、溶媒中の分散として商業的に提供されており、既に任意の添加した分散助剤を有している。このようなナノ金属酸化物の粒径は所望の範囲にあるが、それらを含むポリオルガノシロキサンを用いた当該分野の技術水準の組成物は、広範囲の波長にわたって、そしてより長い期間にわたって、それぞれ完全な透明性を示さない。
【0019】
凝集および沈降に対して高屈折ナノ金属酸化物粒子を安定化させ、以前の組成物に存在するこの問題を克服することができるポリシロキサンを含む組成物を、本発明者等は見出した。
【0020】
本発明の新規なポリオルガノシロキサンは、金属酸化物粒子の凝集、沈降に対して適切な安定性を提供し、広範囲の波長および厚い部分にわたる光透過のような良好な光学特性を示す組成物の製造および使用を可能にしている。組成物は、実験式(II)の構造を有する単位M、D、TおよびQを含むポリオルガノシロキサン(B)を含み、
[M (II)
ここで
a=0−6、
b=0−2000、
c=0−50、
d=0−1、
e=0−6、
f=1−200、d=1またはQが存在する場合、
ここでa+c+d>0、そしてせん断速度D=10sec−1で、25℃の粘度が200,000mPa.sより下である。
【0021】
実験式は、ポリオルガノシロキサンの選択された構造が特に本発明の組成物に適していることを示しうる。これらのタイプのポリマーは、比較的低分子量の直鎖状および分岐状の構造を含む。コスト面および高価な基R、R、RおよびRの量の観点から、特にいわゆる光学密度(optical dense)基R22およびR42は全体の屈折率に大きな影響を与えることから、全体のコストに関して最高の効率性の観点から選択されるべきである。屈折率n20の閾値は、屈折率がその値よりも高い高屈折率粒子の組み込み下で、全組成物の1.6−1.7のより高い屈折率を達成するために、1.43を超えるべきであることが見出された。ポリオルガノシロキサン(B)のこの最低限の屈折率レベルは、例えば、適切な光学密度の基R、Rで置換された6モル%シロキシ単位と好適に合致しうる。硬化反応後のネットワークの形成に寄与し得るRおよびRのような反応性基の量は、硬化した物品またはコートの所望の機械的性質によって決定される程度に選択される;すなわち、ゴム様の挙動は、デュロメリックな外観を有する樹脂様の物品よりも少ない反応性基を必要とする。ゴム状外観の場合、反応性基Rまたはその中のRは、すべてのシロキシ基の20モル%を超えてはならない。
【0022】
式(I)または(II)のポリオルガノシロキサン(B)、(B1)および(B2)は、式(IIIa)から(IIIe)の対称および非対称の置換ポリオルガノシロキサン(B)を含むポリオルガノシロキサン(B)の群から選択され、
M−DR1−DR2−DR3−M (IIIa)
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4* (IIIb)
m=1−7、
p=1−9、
ここで
u=0−500、
v=0−50、好ましくは0−20、
w=0−500、好ましくは1−100
[M0.4−4Q]1−200 (IIIc)
[M0.4−41−10Q]1−200 (IIId)
2−100−5001−10 (IIIe)
ここでMおよびMは、MR1、MR2、MR3からなる群から選択され、
R1=RSiO1/2
R2=R3−xSiO1/2
R3=R3−xSiO1/2
x=0−2
Tは、TR1、TR2、TR3から選択され、
R1=RSiO3/2
R2=RSiO3/2
R3=RSiO3/2
Dは、DR1、DR2、DR3から選択され
R1=RSiO
R2=R2−ySiO
R3=R2−ySiO
y=0−1、
少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を5モル%より多く含むことを特徴とする。
【0023】
置換基RからRが本発明のポリオルガノシロキサン(B)のケイ素原子の多くの異なる位置に配置できることをこれらの構造は表すことができるが、工業用シリコン化学の塩基性シランで容易に入手できるいくつかの特に望ましい構造要素がある。
【0024】
そのような構造要素は、例えば
【化2】

R=R、R、R、R
【化3】

Ph=フェニル;
から出発する前駆体を使用しており、
−L−Rの例としては下記式によって示されることができ、
【化4】

は、R10からR14の群から選択され、例えば、
10、R14は水素またはRであり、R11、R12、R13は、−OR、形成基から選択され、
meSi−、ここでR=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、任意にてR、OH、Cl、およびシリルエーテル基RSi−O−で置換されてもよく、
および、非置換または置換のオキシフェニル部分からなり、ここで基
【化5】

はR10からR14で置換されており、
ここで基R11からR13の少なくとも1つは、OH基であり、Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合している。
【0025】
別の前駆体は、メチルジクロロハイドロジェンシランから出発することができる。
【化6】
【0026】
次のヒドロシリル化ステップでは、1個または2個の不飽和基を有する化合物を加えることができる。
【0027】
全てのSiH基がヒドロシリル化反応において反応しない場合、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(B2)で定義される分子であり、不飽和基を提供するポリマー(B1)のための架橋剤として役立ち得る。
【化7】

y=u、v、w、
R7=R3−xSiO1/2 meSiO1/2、HmeSiO1/2
x=2または3
指数u、v、wは、上で定義した通りであり、
t=0−100
R=R、R、およびRであり、
M−DR1−DR3−DR2−DR7−M
R7=HMeSiO
は−L−Rである。
【0028】
1つの特に適切なR基は、xが3である構造(RO)3−xSi−のアルコキシシリル置換基である。
【0029】
ポリオルガノシロキサン(B)は、単位Lをさらに含む。
【0030】
上述の基Lに加えて、さらに適切なLは、L1およびL2から選択され、これらの両方は、単結合、−CHCH−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CH(CH)CHO、−CH=CHCHO−、−CH=CHC(O)−および−C(CHO−)=CHCHO−からなる群から独立して選択される。
【0031】
基Rの他の例は、−CH=CH、−CHCH=CH、−(CHCH=CH、−C(O)(CHCH=CH、−CHC≡CH、−C(O)C≡CH、−(CHCHO)−(CHCH(CH))−(CHCHCH(CH))−OCH=CH、−(CHCHO)−(CHCH(CH))−(CHCHCH(CH))−OCHCH=CH、−[Si(CHOSi(CH]CH=CH、であり、ここでa、b、およびcは、独立して0から20であり、一実施形態では、0および1から20であり、そしてa+b+cは、0から20であり、一実施形態では0、および別の実施形態では1から20である。
【0032】
アルキレン基Rがより高い光学密度、すなわちより高い屈折率を提供する、基R22の他の例は、
【化8】

であり、ここでa、b、cは、独立して0から20であり、一実施形態では0であり、別の実施形態では1から20であり、そしてa+b+cは、0から20であり、一実施形態では0であり、別の実施形態では1から20であり、またはR62は、
【化9】

である。
【0033】
22の好適な前駆体はまた、
【化10】

から選択されることができ、そしてZは以下の基から選択される:
【化11】

は基−L−Rであり、
ここでRは、基R42、すなわちより高い光学密度を有する基Rを含み、これは、基R22、C6−C22−シクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C7−C22−ビシクロアルキル、C6−C22−アリール、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、C8−C22−多環式アリール、C7−C22−アルキルアリール、C7−C22−アリールアルキル、C8−C22−アリールアルキレン−アリールアルキル、基R、R22のエポキシド、および
3−xSi−、ここでx=1−3、
=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、エポキシC3−C12−エポキシアルキル、C6−C12−シクロアルキル、エポキシC7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−チオシクロアルキル、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、
からなる群から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合される。
【0034】
好ましい適切な基R42は、クミルフェノール、ビスフェノールエーテル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ベンズヒドリル、シンナミル、フェネチル、スチリル、トリチル、アントリル、フェナントリル、クリシル(chrysyl)、アリール置換チオフェン、チアジアゾール、チアントレン、カルバゾール、9−アリルカルバゾール、インドール、ホスファゼン、ホスホネート、およびそれらの誘導体;
およびR22のエポキシド、例えば、C6−C22−エポキシアルキル、C6−C22−エポキシシクロアルキル、C4−C12−ジオキソラン、C5−C12−チオフェン、C3−C12−1,3−−ジチオラン、C3−C12−1,3,5−トリチアン、C4−C2−1,3−ジチアン、C5−C12−テトラヒドロ−2H−チオピランであり、
基−L−Rまたは−L−Rの他の例は、
【化12】

である。
【0035】
例えば、好ましい基R42は、Lで、
【化13】

1,3−ジチアン、1,3−ジチオラン、1,3,5−トリチアン、またはクミルフェノールエーテル、ビスフェノールエーテル誘導体である。
【0036】
42の前駆体は、H−Siph、アルケニル−Siph、アルケニル−Sime、N−ビニル−カルバゾール、
【化14】

である。
【0037】
付加後のR42の基の例としては、トリスオルガノシリル、トリスフェニルシリル、トリスメチルシリル、フェニルプロピルジメチルシリル、スチリルジメチルシリル、ビニルジメチルシリル、トリスアルケニルシリル、トリスビニルシリル、ビニルジメチルシリル、
【化15】

である。
【0038】
一実施形態では、実施例の1つで使用されるポリオルガノシロキサン(B1)は、下記構造を有する。
M−DR1−DR3−DR2−M
R1=meSiO
R2=ビニルmeSiO
R3=w1=PhSiO ph=フェニル、および
w2: (ph−Si−C)meSiO
【0039】
ポリオルガノシロキサン(B1)の好適な構造には、限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【化16】

u=2
w=w1+w2、すなわち、w1=2、w2=3.6
v=4.2
=Ph=フェニル、またはR=−(CH−SiPh、SiPh
【0040】
この構造の分子は、以下の特性;n20=1.555、25℃で粘度100Pa.sを有する。
【0041】
一実施形態では、実施例の1つで使用されるポリオルガノシロキサン(B2)は構造M−DR1−DR3−DR7−Mを有し、例えば以下のものである。
【化17】

t=5.5
u=2
w=w1+w2 w1=2、w2=3.5
Ph=フェニル
=−C−Siph
【0042】
(B2)の別の分子は、以下の特性:n20=1.5504、25℃で粘度18Pa.sを有する。
【化18】

u=2
w=w1+w2 w1=2、w2=4
Ph=フェニル
=クミルフェノール
【0043】
この具体的な分子は、以下の特性:n20=1.5448、25℃で粘度4.74Pa.s、400nmで92.5%の透過率を有する。
【0044】
本発明の組成物に使用されるポリオルガノシロキサン(B)の別の実施形態では、ポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つは、下記式の群から選択され、
R2−DR1−DR2−DR3−MR2
[M0.4−4Q]1−200
[M0.4−41−10Q]1−200
2−100−5001−10、および
2−100−5001−10、ここで
MおよびM単位は、MR1、MR2、MR3からなる群から選択され、
D単位は、DR1、DR2、DR3から選択され、
T単位は、TR1、TR2、TR3から選択され、
ここでR=メチル、3,3,3−トリフルオロプロピル
u=0−200
v=0−20
w=1−200、そして
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4*
は、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、R22から選択され、R22は、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニル、ノルボルネンエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピルから選択され、
=−L−R、ここで
Lは単結合、2価のC1−C8−アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、以下の群から選択され、R、R、R22、水素、
(RX)3−xSi−、x=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えば、R−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、ここでRは、水素、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、meSi−であり、
および、アミン、ホスフィンの酸性塩、または好ましくは第4級−Nまたは−P基を有する塩、およびR42から選択されるR44
シクロヘキシル、ノルボルニル、フェニル、フェニルプロピル、フェニルエチル、置換ヒドロキシフェニル、オイゲノール、クミルフェノールエーテル、ビスフェノールエーテル、ナフチル、C5−C12−チオフェン、C8−C12−インドール、C12−C22−カルバゾール、C4−C12−ジオキソラン、C5−C12−チオフェン、C3−C12−1,3−ジチオラン、C3−C12−1,3,5−トリチアン、C4−C2−1,3−ジチアン、C5−C12−テトラヒドロ−2H−チオピラン、C6−C12−エポキシアルキル、C6−C22−エポキシシクロアルキルであって、任意にて、R、OH、Cl、F、−NR−、−O− −S−原子で置換または中断され、−ORで置換されてもよく、
および、
3−xSi−、ここでx=1−3、
=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、エポキシC3−C12−エポキシアルキル、C6−C12−シクロアルキル、エポキシC7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−チオシクロアルキル、C5−C12−ヘテロN,O,S−アリール、Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む。
【0045】
基RまたはR4*は、イオン性基から選択することもできる。これらのイオン性基Rは、異なる経路で合成することができる。
【0046】
例示的なイオン基の1つはアルキル化反応に由来し、すなわち、アルキルハロゲニドまたはハロゲンアルキレン基はアミンまたはホスフィンと反応させて、水素付加酸塩または好ましくは第4級−Nまたは−P基のいずれかのアンモニウム基を生じる。
【0047】
別の合成経路は、アミン、ホスフィン、カルボン酸もしくは無機酸またはPもしくはS系酸の半エステルと反応するエポキシ基で開始することができる。
【0048】
その実施形態では、オキシラニル基がアルキル化剤として使用され、第1級、第2級または第3級アミンと反応して、基Rとして開環ヒドロキシルアミンまたはアンモニウム単位を形成する。
【化19】
【0049】
別の例では、オキシラニル基は、カルボン酸または任意の他の酸、例えば、メタクリル酸、リン酸などと反応させて、新たなR基、好ましくは不飽和基Rを挿入するエステル基を形成する。
【0050】
このような反応は、R基の特性をR基に変えることを可能にする。
【化20】
【0051】
例示的な一実施形態では、本発明の組成物は、式MR3−DR1−DR2−DR3−MR3の群から選択されるポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つを含み、ここで
=メチル、3,3,3−トリフルオロプロピル
u=0−100
v=0−10
w=1−100、そして
は、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、R22から選択され、R22は、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピルから選択され、
=−L−R
そしてLは上記定義通りであり、
は、以下の群から選択され、(RX)3−xSi−、ここで、x=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えば、R−C(O)−O−、(R−O)−P(O)−O−、(R−O)−P(O)−、(R−O)−P−O−、−NHR−CH−COOH、−NHR−CH−O−S(O)(OH)、−S−S(O)(OH)、第4級−N
および、
42=シクロヘキシルエチル、ノルボルニル、ノルボルニルエチル、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、1,3−ジチオラン、1,3,5−トリチアン、1,3−ジチアン、チオフェニルテトラヒドロ−2H−チオピラニル、カルバゾール、インドール、トリスフェニルシリル、および、
meSi−、ここでR=C6−C10−アリール、C7−C12−アリールアルキル、C6−C12−シクロアルキル、C7−C16−ビシクロアルキル、C6−C12−シクロチオアルキル、C5−C12−ヘテロ−N,−O,−S−アリール、任意にて、R、OH、Cl、およびシリルエーテル基RSi−O−で置換されてもよく、
および、非置換または置換オキシフェニル部分、ここで基
【化21】

はR10からR14で置換され、
ここでR10、R14は、水素またはRであり、および
11、R12、R13は、−ORから選択され、
ここで基R11からR13の少なくとも1つは、OH基であり、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合しており、
ここで少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む。
【0052】
本発明の組成物は、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)を含み、これは、成分(A)金属酸化物/水酸化物の安定化において最良の性能を提供するポリオルガノシロキサン(B)の非常に特異的な構造を有する。このポリオルガノシロキサン(B)は、式(IIIa)、(IIIb)および(IVa)の群から選択される構造を有する。
M−DR1−DR2−DR3−M (IIIa)
−{−L[SiRO]−SiR−L−R4* (IIIb)
【化22】

R、Rは異なることができ、そして上記で定義したR、R、R22、R、R、R42からなる群から選択され、
ここで、末端基RおよびR4*は、上で定義されたRおよびR42から選択されるが、互いに異なり、
p=1または4または9
=メチル、
=−L−R
ここでLはL1およびL2から選択され、2価のC1−C8アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、ビニル、ヘキセニル、オクテニル、R22からなる群から選択され、R22=リモニル、シクロヘキセニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピル、
は、(RX)3−xSi−、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、
および、
基R42から選択され、これは以下からなり、R22、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、ノルボルニル、グリシジルプロピルエーテル、シクロヘキセンオキシドエチル、リモニルオキシド、ノルボルニルオキシド、1,3−ジチアンジメチルシリル、トリスフェニルシリル、RmeSi−、ここでR=フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、および非置換または置換オキシフェニル部分であり、ここで基
【化23】

は、R10からR14で置換され、
10、R14は、水素またはRであり、そしてR11、R12、R13は−ORから選択され、
ここでR11からR13の少なくとも2つは、OH基であり、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、ここで、少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む。
【0053】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)は、2つの異なる末端基を含む。2つの異なる末端置換基を有するこのようなポリオルガノシロキサン(B)は、少なくとも2ステップのプロセスによって段階的に合成される。
【0054】
両方の反応ステップは、好ましくはヒドロシリル化反応を含み、これにより不飽和化合物またはSiH基を含む化合物のいずれかは、基RまたはR42を提供し、これらは、α,ω官能性のオルガノジ−、オルガノペンタ−またはオルガノデカシロキサンと反応し、ヒドロシリル化付加反応のための相補的な基を提供する。
【0055】
一実施形態では、前駆体としてペンタオルガノシロキサンを使用することが望ましい。85重量%を超える量の正に5つのシロキシ単位を有するオルガノペンタシロキサンは、ヘキサオルガノトリシロキサンの非平衡開環反応の反応生成物である(JP11−158188A)。これらの前駆体は、非常に高純度で合成することができる。したがって、これらのポリオルガノシロキサンは、その鎖長の均一な狭い分布により単峰性ポリオルガノシロキサンと呼ばれている。
【0056】
多分散性の小さな指数を有する、すなわち、数平均分子量Mw/Mnに対する重量平均分子量が1から1.2の範囲である、前駆体としてのこれらの特定の均一なポリオルガノシロキサンに基づいて、本発明の目的に適した新規な非対称ポリオルガノシロキサンを合成した。オルガノジ−およびオルガノペンタ−またはデシルシロキサン前駆体は、例えば、90重量%を超える含量まで蒸留することによって製造することができる。
【0057】
本発明者らは、異なる末端基を段階的に挿入する方法を見出し、これにより、各反応ステップ後に精製ステップを適用することができ、これは第1の末端基の付加、次いで第2の異なる末端基の付加を完全に制御することを可能にする。
【0058】
これらの前駆体は、直ちに基Rを提供する化合物との付加反応に付すか、または鎖延長反応に付すことができる。鎖延長は別の選択肢であり、ここで85重量%を超える1つのみの鎖長を示す1以上のポリオルガノシロキサンは、基Lによって互いに連結される。これにより、反応性基で対称的に置換された単峰性のオルガノジシロキサン、オルガノペンタシロキサンまたはオルガノデカシロキサンは、ブロックポリマーを異なる明確に区別された単峰性のポリシロキサンブロックで合成するために、2つの他の単峰性シロキサンブロックと反応し、そして精製後に次の2つのブロックと反応する。
【0059】
例えば、反応ステップを適用し、
a1)第1の化合物Z−L−[SiRO]−SiR−L−Z
式Z**−L−[SiRO]−SiR−L−Z**の2モルのα,ω−末端ポリオルガノシランとの反応
は、SiH−シランまたはシロキサン、アルケニル、C1−アルキルまたはBr−アルキル、エポキシ、アミン、−NCOから選択され、
**は、任意にて触媒の存在下で互いに相補的に反応し得るZから選択され、ここでp=1または4または9、R、L=L1、L2またはLで、上記定義通りであり
ここで、ステップa1)のZおよびZ**は、単位−L−を形成し、
**−L[SiRO]−SiR−L−[SiRO]p−SiR−L−[SiRO]−SiRL−Z**
ここでZ**は、R、R22、R、R4*、R42、R42*である。
【0060】
第1のステップにて、基ZおよびZ**=RまたはR4*を有する前駆体は、中間体の基Zにて、末端基Z**=R、R42またはR4*、R42*において非対称的に置換された最終的なポリオルガノシロキサン(B)を完成させるために別のL基を形成する。
【0061】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)の好ましい前駆体は、アルファ,オメガジハイドロジェン、またはアルファ,オメガジ−アルケニル置換基のいずれかを有する、オルガノジ−、オルガノペンタシロキサンおよびオルガノデカシロキサンである。
【0062】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)の合成の第1の実施形態において、反応後にRを形成するアルケニル化合物は、式(IVb)の出発前駆体に加えられ、
【化24】

ここで、基RまたはR42を提供する第1の不飽和化合物、および基R4*またはR42*を提供する異なる第2の不飽和化合物は、アルファ,オメガ−ジハイドロジェンジシロキサン、−ペンタシロキサンまたは−デカシロキサンに加えられる。
【0063】
例えば、網羅的ではないが、本発明の非対称に置換されたポリオルガノシロキサンの前駆体として以下のペンタシロキサンを使用することが好ましい。
【化25】

=メチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル
Rは、R=メチル、R=フェニル、スチリル、フェニルプロピルなどから選択され、
p=1または4または9。
【0064】
例えば、そのような第1の付加反応において、アルケニル前駆体は、x=1−3で式(RO)3−xSi−CH=CHのアルコキシシランであって、基Rを形成することができ、(RO)3−xSi−CHCH−SiR−O−[D]p−1−SiR−Hを形成することができる。
【0065】
この反応は、通常のヒドロシリル化触媒、例えばPt-Karstedt触媒または他の適切なPt触媒などで触媒される。
【0066】
第1の付加反応後の中間生成物は、第2の付加反応の後に2つの異なる基RまたはR4*を有するオルガノジシロキサン、オルガノペンタシロキサンまたはオルガノデカシロキサンを得るために適切な方法で精製しなければならない。
【0067】
より詳細に説明には、モル過剰のSiH官能化オルガノジ−またはペンタシロキサンを、例えば構造(RO)3−xSi−CH=CHを有する不飽和シランと、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる方法により、反応を実施する。典型的には、過剰の式(IVc)のSiH前駆体は、蒸留によって除去することができる。
【0068】
第2のヒドロシリル化工程において、式
(RO)3−xSi−CHCH−SiR−O−[D]p−1−SiR−H
の所望の第1の反応性基R、すなわちアルコキシシリル基を有する第2の化合物を、少なくとも1つの不飽和基を含む第2の化合物と反応させて、所望の最終的な非対称ポリオルガノシロキサンを得る。第2の付加反応に適した基の例としては、この列挙に限定されるものではないが、ビス−オレフィン化合物、1,5−ヘキサジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、リモネン、エキソ−ジシクロペンタジエン、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジビニル−テトラメチルジシロキサン、ジビニルベンゼン、ジアリルフェニルエーテル、トリスフェニルビニルシラン、N−ビニルカルバゾールなど; アセチレン−オレフィン、例えば、プロパルギルアルコール−ウンデシレン酸エステル、アセチレン−ビス−オレフィンなど;1,4−ブチンジオール−ビス(ウンデシレン酸)エステル、ビス−アセチレン系、例えばビス−プロパルギルエーテルが挙げられる。
【0069】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)の合成の第2の実施形態では、相補的な合成経路は、α,ω−ジアルケニルジ−、ペンタシロキサンまたはデカシロキサンで開始される。
【化26】

=メチル、フェニル、
Rは、R=メチル、R=フェニル、スチリル、フェニルプロピルなどから選択される
p=1または4または9、
ここで、SiH基を有する基Rを提供する第1および第2の化合物が、そのα,ω−ジアルケニル ジ−、ペンタシロキサンまたはデカシロキサンに段階的に加えられ、2つの異なる末端基R、R42をそれぞれ有するジ− オルガノペンタシロキサンまたはオルガノデカシロキサンを得る。
【0070】
例えば、アルコキシシリル基およびオレフィン基をポリオルガノシロキサン化合物に組み込むための好適な経路は、構造(RO)3−xSi−Hのアルコキシシランを加えて基Rを形成することであり、ここでxは1−3であり、ヒドロシリル化触媒の存在下で、式(IVc)のジアルキルペンタシロキサンを1モル/1モル未満の量で、下記構造の目的誘導体をもたらす。
(RO)3−xSi−CHCH−SiR−O−[D]p−1−SiR−L−CH=CH
【0071】
典型的には、ジアルケニルジ−またはペンタオルガノシロキサンの過剰量は、蒸留によって除去することができる。本発明の成分(B)の第2の想定が満たされれば、この生成物は、既に非対称ポリオルガノシロキサン(B)のように使用することができ、すなわち、基Rのいくつかは、1.43を超える屈折率n20を得るために、光学密度置換基R22またはR42およびこれらの置換基の十分な濃度から選択されなければならない。
【0072】
更なる反応ステップにおいて、異なる基Rを提供するSiH基を加えることができる。
このような前駆物質部分は、シロキサンブロックの数を増やすために、もう1つのジまたはオルガノペンタシロキサンであってもよい。
【0073】
例えば、式
(RO)3−xSi−CHCH−SiR−O−[D]p−1−SiR−L−CH=CH
の前駆体は、例えば、ヒドロシリル化触媒の存在下で、さらに付加的に1つのSiH基および第2の反応性基R、例えばエポキシ基を有するL−Rを含むシランまたはシロキサン化合物と反応され、R42、例えば式(IVe)とされうる。
【化27】
【0074】
−L−Rを含む化合物の添加ステップの順序を変えることは、本発明の範囲内である。例えば、最初にジビニル−ジ−または−ペンタオルガノシロキサン化合物をSiH−エポキシシロキサン型の化合物と反応させ、その後構造式(RO)3−xSi−H(xは1−3)のシランで反応させることが可能である。
【0075】
ポリオルガノシロキサン(B)の特に適切な構造は、異なる末端基RまたはR42およびR4*またはR42*であってRから選択されるもので置換された直鎖状ポリオルガノシロキサンである。
シロキサンブロックは、2個、5個または10個のいずれかのシロキシ単位を有する。ペンタシロキサン単位を有するポリオルガノシロキサンは、本発明の組成物に特に適している。
【0076】
本発明の組成物に使用されるこのようなポリオルガノシロキサン(B)は、以下のように定義される。
【0077】
ポリオルガノシロキサン(B)は、式MR3−DR1−DR3−MR3*から選択され、
ここでR、R3*は、−L−Rまたは−L−R4*であり、そして基RおよびR4*は、RおよびR42から選択され、互いに異なり、そしてこれによりポリオルガノシロキサン(B)は、下記構造式の群から選択される。
【化28】

=メチル、
およびR4*は上記定義通りであり、
p=1、4または9、好ましくは4
およびLは、上記定義通りの基Lから選択され
ここでLおよびLは、2価のC1−C8−アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
(B)は、R22およびR42から選択される基で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含むことを特徴とする。
【0078】
一実施形態では、Rは(RX)3−xSi−であり、そしてR4*は−(CO)1−6(CO)1−6−Rまたは;−(CO)1−20(CO)1−6−OH;−(CO)1−20(CO)1−6−O−C1−C4アルキル;−(CO)1−20(CO)1−6−O−C(O)−C1−C4アルキルから選択される。
【0079】
例示的な実施形態において、非対称シロキサンは、5または10よりも少なくおよび多いシロキサン単位を有する微量のシロキサンのみを示す、言い換えればMw/Mn<1.1の単分子鎖分布を含む、95重量%を超えるペンタシロキサンまたはデカシロキサンブロックを含む。別の例示的な実施形態では、より多くのペンタシロキサン単位は、2または5または5+2+5シロキサン単位を有するL3単位によって連結された一連の小さなシロキサンブロック単位を介して一緒に連結され、これにより全てのシロキサン単位は鎖長分布のない離散分子である。
【0080】
組成物の1つの例示的な実施形態では、本発明による安定な組成物を製造するのに適した例示的なポリオルガノシロキサン(B)の少なくとも1つを含有する。このポリオルガノシロキサン(B)は、式(VIa)から(VIf)の構造のポリオルガノシロキサンから選択され、
ここでRおよびRはRおよびRから選択され、それによりRおよびRは異なることができ、
【化29】

R、R=メチル、3,3,3−フルオオロプロピル、R、R42
p=1または4または9
n=0−6
は、ビニル、ヘキセニル、R22からなる群から選択され、R22=リモニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、C2−C8−アルケニルフェニルエーテル、C2−C8−アルケニルビフェニルエーテル、アリルオキシフェニルオキシプロピル
=−L−R
ここでLはL1およびL2から選択され、2価のC1−C8−アルキレン基であって、1以上のO、−またはN、−C(O)−および/または−NR−部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえ、
は、(RX)3−xSi−、ここでx=1−3、X=C1−C8アルコキシ、C1−C8−アルキルカルボキシ、C1−C8−アルキルアミノ、および、
基R42、これは以下からなり、フェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、R22、これは以下からなり、ノルボルニル、グリシジルプロピルエーテル、シクロヘキセンオキシドエチル、リモニルオキシド、ノルボルニルオキシド、1,3−ジチアンジメチルシリル、トリスフェニルシリル、から選択され、
meSi−、ここでR=フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル(epoxyliomonyl)、グリシジルプロピルエーテル エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
非置換または置換オキシフェニル部分であり、基
【化30】

は、R10からR14で置換され、
10、R14は、水素またはRであり、そして
11、R12、R13は−O−Rから選択され、
ここでR11からR13の少なくとも2つはOH基である、であり、
Lを介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、ここで、少なくとも1つの成分(B)は、R22およびR42で置換されたシロキシ単位を10モル%より多く含む。
【0081】
これらの短鎖ポリオルガノシロキサンは、特に、金属酸化物/水酸化物粒子を安定化する能力を提供し、これらのポリオルガノシロキサンは、金属酸化物/水酸化物粒子の充填剤表面と相互作用する傾向があり、充填剤の表面にポリオルガノシロキサン(B)を付着させる傾向のある少なくとも1つの官能性末端基を有するからである。
【0082】
第2の末端基は、充填剤表面に対して多かれ少なかれ不活性であるか、または充填剤表面とのより弱い相互作用を有し、粒子を互いに遮蔽および分離することを支持し、凝集を阻止することができる。この第2の置換基Rは、反応性基Rから選択することができ、これはさらに必要に応じて他の反応性基R、RまたはRとの架橋反応を受けることができる。基Rは、基R42からも選択することができる。基R42は、さらに高い光学濃度を提供し、すなわち、前駆体としてだけでなくシロキサンに結合したときにもより高い屈折率を示し、したがって高屈折ポリオルガノシロキサン、特に本発明による高屈折ポリオルガノシロキサンを製造するのに有用である。
【0083】
本発明の一実施形態では、組成物は少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(B)を含み、ここで1つは末端基RおよびR3*、それぞれ、−L−Rおよび−L−R4*、によって非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)であり、これによって末端の2つの置換基RおよびR3*が異なる。
【0084】
本発明の1つの例示的な実施形態において、組成物は、さらなる基Rを有する第3のポリオルガノシロキサン(B2)を少なくともさらに含み、ここでRはSiH基中の水素であり、架橋剤成分(C)としての役割を果たすことができる。
【0085】
例示的な実施形態では、非対称シロキサンは、少なくとも金属酸化物/水酸化物充填剤(A)のためのバインダーまたはマトリックスポリマーとして使用される追加のポリマー部分に対して硬化反応を起こすことができる1つの基、および金属酸化物/水酸化物成分(A)と相互作用または反応することができる第2の基を少なくとも提供する。
【0086】
本発明の一態様では、本主題は、
(a)バインダーマトリックスおよび/または分散ポリマーとして使用される末端シロキシ基で非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)を含む少なくとも1つの硬化性または非硬化性ポリオルガノシロキサン(B)、ならびに
(b)本発明の金属酸化物粒子(A)
含むシリコーン組成物を提供する。
【0087】
好ましい非対称ポリオルガノシロキサン(B)は、分子量の狭い分布を有する少なくとも1つのシロキサンブロックを有するシロキサン、例えば個々のオルガノジ−、オルガノペンタシロキサンまたはオルガノデカシロキサンを95重量%より多く含む1つのシロキサンブロックから選択される。
【0088】
本発明の一態様では、本主題は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を形成する方法であって、金属酸化物/水酸化物粒子(A)および架橋剤成分(C)および場合により触媒成分(D)の存在下で、ヒドロシリル化触媒によって開始され、さらに熱または光、重縮合、または関連触媒または開始剤によるラジカル重合またはカチオン重合のいずれかによって補助される、硬化反応によりポリオルガノシロキサン(B)を反応させることを含む方法を提供する。
【0089】
架橋剤成分(C)は、成分(B1)または(B2)の反応性基に対する反応性基を有するシランおよびシロキサンからなる群から選択することができ、これより架橋剤成分(C)のこれらの反応性置換基は、SiH、アルケニル、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、エポキシおよびチオール基からなる群から選択される。ヒドロシリル化反応において架橋剤として好適なポリオルガノシロキサン(B2)は、好ましくは少なくとも2つのSiH単位を含む。架橋剤成分(C)の使用量は、ポリオルガノシロキサン(B1)中の不飽和基RまたはR22の濃度および(B2)中のSiH濃度による。SiH:ポリオルガノシロキサン(B1)中のRまたはR22のモル比の範囲は、約0.1から7:1の範囲であり得る。
【0090】
全てのシロキシ単位に関連するRまたはR22の10モル%までの不飽和基RまたはR22のより小さい濃度については、0.5から4:1の範囲が好ましく、R/R22のより高い濃度、すなわち>10モル%の不飽和基については、SiH:アルケニルR/R22比は、好ましくは0.1から1:1である。
【0091】
架橋剤として好適なポリオルガノシロキサン(B2)の典型的な構造は、二官能性または多官能性のSiHシロキサンである:
【化31】

z=u、v、またはw
【0092】
実施例で使用される1つの具体例は、M−D−DPh2−Mでありえ、
【化32】

u=0−100、好ましくは0−10
w=0−100、好ましくは2−10
t=0−60、好ましくは1−10、式(VIIb)では少なくとも2つのSiH
=L−Rであって上記定義通り、Rは、好ましくは、フェニル、フェニルプロピル、オイゲノール、スチリル(フェニルエチル)、トリスフェニルシリルエチル、リモニル、ノルボルニルエチル、エポキシリモニル、グリシジルオキシプロピル、エポキシシクロヘキシルエチルである。
【0093】
本発明は、光学密度基R22またはR=−L−R42で置換されたシロキシ基を5モル%含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)を含む組成物を含み、
【化33】

実施例で使用される1つの具体例は、M−D−DPhViMでありえ、
【化34】

u=0−500、好ましくは0−200
w=0−400、好ましくは2−150
v=0−20、好ましくは1−5、
ここでRは上記定義通りであり、好ましくは、フェニル、フェニルプロピル、オイゲノール、スチリル(フェニルエチル)、トリスフェニルシリルエチル、リモニル、ノルボルニルエチル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキシルエチルである。
【0094】
本発明の1つの例示的な組成物において、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)は、20モル%を超える光学密度基R22またはR42で置換されたシロキシ基である。
【化35】

R=RまたはR
p=1、4または9
L2=単結合、またはC1−C22−アルキル、C7−C12−アルキルアリーレン、C7−C12−アルキルアリールアリレン
は上記定義通りである。
【0095】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、式(IIIb)R−{−L[SiRO]−SiR−L−R4*の群から選択される少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(B)を含み、
L、Rは上記定義通りであり、RおよびR4*は、Rから選択され、そして異なり、
Rは、RおよびRから選択され、
p=1または4または9
m=1−7。
【0096】
この類型のポリオルガノシロキサン(B1)は、ポリオルガノシロキサン(B1)のための非対称置換前駆体に基づき、これより非対称の最終ポリオルガノシロキサン(B1)を生成する置換基の最終的な添加は、異なるジ−またはオルガノペンタシロキサンまたはオルガノデカシロキサンブロックからなる対称的に置換されたアルファ,オメガSiH−またはアルケニル末端シロキサンと、異なる単峰性のジ−またはオルガノペンタシロキサンまたはデカシロキサンブロックを有する末端単位で非対称に置換されたシロキサンとの間のヒドロシリル化反応であることが好ましい。
【0097】
本発明の組成物中のポリオルガノシロキサン(B)は、25℃、せん断速度D=10s−1で、10から20,000mPa.sの範囲の粘度を有する。
【0098】
本発明の組成物は、成分(B1)または(B2)の反応性基に対する反応性基を有するシランおよびシロキサンの群から選択される架橋剤(C)をさらに含み、これより(C)のこれらの反応性置換基は、SiH、アルケニル、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、エポキシおよびチオール基からなる群から選択される。
【0099】
ポリオルガノシロキサン(B2)は、先に定義した通りである。架橋剤成分(C)は、ケイ素原子を有さない炭化水素の群から選択することもできる。
【0100】
一般的にそのような架橋剤は、
a)二官能性または多官能性シラン(RX)3−xSi−R、または基(RX)3−xSi−を有するシロキサン、ここでX、R、Rは上記定義通りであり、
b)ケイ素原子を有するまたは有さない二官能性または多官能性エポキシド、
c)ケイ素原子を有するまたは有さない二官能性または多官能性アミン、
d)ケイ素原子を有するまたは有しない二官能性または多官能性カルボン酸、および
e)任意にて、ケイ素原子を有するまたは有しない2以上の不飽和基を有するアルケンまたはアルキン、例えば、トリビニルシクロヘキサン、2価または多価不飽和置換基を有するエステルまたはエーテル、
からなる群から選択される。
【0101】
組成物の一実施形態では、(C)の架橋剤は、類型(RX)3−xSi−Rの二官能性または多官能性シランまたはそのような反応性R1−X基を有するシロキサンからなる群から選択される。これらの架橋剤は、典型的にはいわゆる室温加硫1部(RTV−1K)または2部組成物(RTV−2K)ゴムで使用される。そのような組成物は、硬化機構によって特徴付けられ、ここで縮合反応は有機金属触媒の存在下で行われる。好適な架橋剤は、
15Si(OR4−b 例えば、アルキルアルコキシシラン
15Si(OCOR4−b 例えば、アルキルアセトキシシラン
15Si(NR4−b 例えば、アルキル−アルキルアミノシラン
15Si(ON=R4−b 例えば、アルキル−アルキルオキシモシラン
15Si(NHCOR4−b 例えば、アルキル−アルキルアミド、またはアルキル−アリールアミドシラン
b=0−2、好ましくは0または1、
からなる群から選択され、
15基は、C1−C10アルキル、アルコキシアルキル、C2−C8アルケニルまたはフェニルである。
【0102】
個々の化合物は、例えば、テトラエトキシシラン、ポリシリカエステル、ビニルトリアルコキシシラン、メトキシエチル−トリアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、メチル−トリスベンズアミドシラン、メチル−トリスアセトキシシラン、メチル−トリス(トリアルキルアミノ)シラン メチル−トリス(トリアルキルアミノオキシ)−シラン、メチル−トリス(ブトキシモ)シランからなる群から選択される。
【0103】
類型(RX)3−xSi−の反応性シリル基を含むこれらのポリオルガノシロキサン(B)は、このような機構によって硬化させることができる。
【0104】
エポキシ置換ポリオルガノシロキサン(B)を硬化/架橋するのに適した架橋剤(C)は、ケイ素またはSiHシランまたはシロキサン化合物を含むおよび含まない任意の種類のエポキシ化合物である。架橋剤成分(C)がケイ素を含まない化合物から選択される場合、小さな分子が好ましい。関連する硬化は、室温で実施される場合、熱、光、酸素または湿度によって活性化され、特に湿度により完全な硬化反応を得るのは、より長い時間が必要である。
【0105】
成分(D)−触媒
本発明の組成物は、任意にて触媒(D)を含む。
【0106】
触媒(D)は、無機または有機過酸化物、アゾ化合物、有機金属化合物を含むヒドロシリル化触媒、ここで金属は、Pt、Ru、Rh、Co、Ni、Feから選択され、有機金属または金属を含まない縮合触媒、ここで金属は、Sn、Ti、Zr、Zn、Bi、Ce、Mn、Mo、V、Y、Ybから選択されるもの、アミン、ホスフェート、ホスホネートから選択される非金属触媒、カチオン重合用触媒、例えば、光活性化可能なヨードニウム、スルホニウム塩、ここでアニオンは、V族元素、例えば、ペンタフルオロホスフェート、ペンタフルオロアルセネート、ペンタフルオロアンチモネートから選択されるもの、から選択される。
【0107】
前記縮合反応のための関連する触媒(D)は、種々の有機金属化合物、好ましくは有機スズ、チタン、亜鉛、鉄、ビスマス、カルシウム化合物の群から選択されるが、ルイスまたはブレンステッド酸または塩基を使用することもできる。
【0108】
好ましい種類の有機金属化合物としては、塩、例えば、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズオキシドとテトラアルコキシシランとの反応生成物、ジブチルスズジラウレート、第一スズオクトエート、ジブチルスズジオクトエート、亜鉛オクトエート、C−C10カルボン酸残基のテトラアルコキシチタネートまたはアルコキシチタンキレートなどが挙げられる。そのような触媒の具体例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,527,659号の第3欄第19−54行に記載され、開示されている。本発明における(RX)3−xSi− x=1−3の基を有するポリオルガノシロキサン(B)のための特に有用な硬化触媒は、ベンジルトリメチルアンモニウム化合物などの第4級アンモニウム塩、例えば、アセテート、テトラアルキルアンモニウムアセテート、または米国特許第3,819,745号に参照される他のものである。
【0109】
例えばスズ触媒の量は、ポリオルガノシロキサン(B)あたりの関連する有機金属化合物中において約0.2重量%から最大2重量%までのSnの範囲である。
【0110】
硬化反応の好ましい実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)中に存在するエポキシ基は、触媒(D)として使用される特定の塩の光活性化によりそれぞれ架橋されてカチオン重合を開始する。このような触媒は、光触媒(D)として使用されるオニウム塩であり、それらは以前に文献、例えば米国特許第4,977,198号および米国特許第4,576,999号に記載されている。これらの光触媒(D)は、以下の一般式の「オニウム」塩である:
16MX、R16MX、R16SeMX、R16MX、R16MX、ここで、R16で表される異なるラジカルは、任意にて置換されていてもよい炭素数2−20の芳香族炭素環式ラジカルを含むC1−C30脂肪族炭化水素から選択される同一または異なる有機ラジカルでありえる。
【0111】
錯体オニウムアニオンは、群MXから選択され、ここでMXは、BF、PF、AsF、SbF、SbCl、HSO、ClO、などの非塩基性、非求核性アニオンである。その例を示す米国特許第4,421,904号は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0112】
他のオニウム触媒は、ホウ酸塩タイプの欧州特許第703236号またはB(Cのような米国特許第5,866,261号のように、当該技術分野において公知であり、これらはまた参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
光触媒または開始剤は、一置換または多置換のモノ、ビスまたはトリスアリール塩であってもよい。
【0114】
錯化されたオニウムカチオンは、VII、VIおよびV族の元素から選択される。
【0115】
典型的な化合物は、ビス−ジアリールヨードニウム塩であり、例えば、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、およびビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および(4−オクチルオキシフェニル)(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートであり、触媒としてMX型の中で特に好ましく、米国特許第4,421,904号も参照されたい。これらの塩は、エポキシシロキサンの光誘発硬化の実施において最も好ましい。
【0116】
そのような系において、イソプロピルチオキサントン増感剤のような増感剤は、米国特許第4,279,717号に開示されているヨードニウム塩の15モル%までの濃度で存在することもできる。
【0117】
触媒(D)の第2の群としては、フリーラジカル光開始剤、ベンゾフェノンおよびその誘導体、ベンゾインエーテル、α−アシルオキシムエステル、アセトフェノンおよびカンファキノン、誘導体、ベンジルケタール、ケトンアミン誘導体の群から選択される化合物が挙げられる。これらの光開始剤の好ましい例としては、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ジメトキシフェニルアセトフェノンおよびジエトキシアセトフェノンが挙げられる。
【0118】
エポキシ、特にアクリル官能性シリコーン化合物を含むUV硬化性組成物は、組成物中に含まれるアクリル基の架橋を効果的に開始することになる触媒量のフリーラジカル型光開始剤とともに、アクリル官能性シリコーンを(VIe)のような不飽和エステル基と組み合わせることによっても製造することができる。
【0119】
そのような開始剤の商品名は、例えば、Darocure RTM.1173(E. M. Chemicals)、Irgacure 651光開始剤、Ciba-Geigyから入手可能なベンゾインエーテル型フリーラジカル開始剤である。光開始剤は、一般に、コーティング組成物(A)から(D)の総重量に関連して、約0.1重量%−約5重量%の濃度で使用される。
【0120】
触媒(D)の第3の群には、熱活性または光活性化可能なラジカル開始ペルオキシまたはアゾ基含有化合物の群から選択されるものが含まれる。好ましい光開始剤は、参照により本明細書に組み込まれる、Edwardsの米国特許第3,211,795号、Hatanakaの米国特許第4,451,634号およびEckbergの米国特許第4,558,147号に開示されている。簡潔には、Eckbergは、一般式R18 _O−O−CO−C−R19を有する特定の過安息香酸エステルを開示しており、ここでR18は1価のアルキルまたはアリール基であり、R19は水素、アルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノまたはアミドである。好ましい過安息香酸エステルには、t−ブチルペルベンゾエートおよびそのパラ置換誘導体、t−ブチルペル−p−ニトロベンゾエート、t−ブチルペル−p−メトキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−p−メチルベンゾエートおよびt−ブチルペルオキシ−p−クロロベンゾエートが含まれる。加えて、光開始剤としてのt−ブチルペルベンゾエートおよびその誘導体もまた、適切であり得る。
【0121】
過酸化物は熱活性化することもでき、過酸化物の種類に応じて酸素は何らかの形で硬化する組成物から排除されなければならない。
【0122】
使用される光開始剤の量は非常に重要というものではなく、少なくとも0.5重量部であり、そしてポリオルガノシロキサン(B)100重量部に対して約0.5から約10重量部の範囲のいずれかであり得る。
【0123】
米国特許第4,882,201号に開示されているように、エポキシシリコーンフィルムの放射線開始硬化は、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、高輝度ハロゲンタングステンアークランプ、マイクロ波駆動型アークランプ、およびレーザーのようなUVランプの使用によって達成することができる。フィルムまたはコーティングされた基材は、例えば約200ワット/インチ(7.87kg/s)の紫外線ランプに暴露される。1秒未満で硬化させることにより、透明で光沢のある層を得ることができる。
【0124】
ヒドロシリル化反応を利用するSiH型架橋剤ポリオルガノシロキサン(B2)の架橋剤のため、関連するヒドロシリル化触媒(D)は、有機金属化合物、塩または金属の群から選択され、米国特許第3,159,601号;米国特許第3,159,662号;米国特許第3,419,593号;米国特許第3,715,334号;米国特許第3,775,452号および米国特許第3,814,730号に教示されているように、ここで金属は、Ni、Ir、Rh、Ru、Os、PdおよびPt化合物の群から選択される。
【0125】
金属化合物の好ましい群は白金化合物である。
【0126】
触媒(D)は、好ましくは、σ−およびπ−結合炭素配位子ならびにS−、NまたはP−原子を有する配位子を有する錯体、金属コロイドまたは前記金属の塩を含む。
【0127】
好ましい錯体は、Pt−(0)−アルケニル錯体であり、例えば、アルケニル、シクロアルケニル、ビニルシロキサンのようなアルケニルシロキサンであり、ポリオルガノシロキサン組成物中でのその容易な分散性のためである。
【0128】
白金錯体の特に有用な形態は、脂肪族不飽和有機ケイ素化合物とのPt(0)錯体、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(Vinyl-M2またはKarstedt触媒)であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,419,593号に開示されているように、シクロヘキセン−Pt、シクロオクタジエン−Ptおよびテトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサン(Vinyl-D4)が特に好ましい。
【0129】
適用される金属としての白金の量は、ポリオルガノシロキサン成分(B)の重量に対して、白金の好ましくは1−500ppm、好ましくは2−100ppm、特に好ましくは2−60ppm、最も好ましくは2−15ppmである。
【0130】
ヒドロシリル化触媒は、好ましくは、光活性化可能な触媒の群から選択される。
【0131】
これらの光活性化触媒は、好ましくは、Pt、Pd、Rh、Co、Ni、IrまたはRuからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。光活性化可能な触媒は、好ましくは白金化合物を含む。
【0132】
光活性化可能な触媒は、トリアルキルシリル基のようなトリオルガノシリルアルキル基、シグマ結合シリル基などのシグマ結合アルキルまたはアリール基から選択される配位子を有する有機金属化合物から選択することが好ましい。最も好ましい光活性化可能な触媒には、シグマ結合配位子、好ましくはシグマ結合アルキル配位子を有するη−(任意置換)−シクロペンタジエニル白金錯体化合物、さらにはジケトナートが含まれる。
【0133】
さらなる光活性化可能な触媒には、(η−ジオレフィン)−(シグマ−アリール)−白金錯体が含まれる(例えば、米国特許第4,530,879号参照)。
【0134】
光活性化可能な触媒の他の例は、米国特許第4,530,879号、欧州特許第122008号、欧州特許第146307号(米国特許第4,510,094号または米国出願公報第2003/0199603号、および米国特許第4,640,939号に対応する)に開示されているような、η−ジオレフィン−σ−アリール−白金錯体が含まれる。
【0135】
本発明の方法において使用される最も好ましい光活性化可能な触媒は、(η−シクロペンタジエニル)−トリメチル−白金、(η−シクロペンタジエニル)−トリフェニル−白金錯体、特に(η−メチルシクロペンタジエニル)−トリメチル−白金である。
【0136】
これらの触媒のヒドロシリル化反応のための関連する架橋剤は、成分(B2)において上記に定義されている。
【0137】
この硬化プロセスは、>1−50mmの厚い部分であっても高い硬化速度を提供し、硬化温度を50℃未満の温度に保つことができるので、好ましい。
【0138】
このような硬化温度は、本発明の組成物から製造された光学材料を温度感受性の他の電子材料または光学材料と組み合わせる場合に特に必要である。
【0139】
本発明の組成物は、加工性の調整のための補助成分(E)をさらに含むことができる。成分(E)は、有機および無機溶媒の群から選択されることが好ましく、例えば1033mbarでの沸点が250℃未満の溶媒などのレベリング剤である。そのような添加剤または溶媒の例は、特に、2から6個のシロキシ基、例えば、(meSi)O、(meSiO)3−6、meSiO−(meSiO)1−4−Sime3、を有するポリオルガノシロキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、C1−C8アルキルアルコール、コーティング業界で通常使用される溶剤である。
【0140】
本発明の組成物の主成分の1つは、金属酸化物/水酸化物成分(A)中の金属であり、これは、Ti、Zr、Hf、Sn、Ce、Al、As、In、Zn、Ge、Sb、Cr、Cd、W、MoおよびNbからなる群から選択される。
【0141】
このような金属酸化物/水酸化物ナノ粒子は、例えば、WO2012/058271A2およびWO2011/133228A2に開示されている。高い透明性および屈折率を有する組成物における光学用途に適したナノ粒子は、可視光の波長よりも小さい粒子を提供しなければならない。したがって、粒径は、直径の最長寸法に対して200nm未満であることが好ましい。さらに、種のいずれかの可能性のある屈折率の最大値は、少なくともある程度の結晶性区分を含む粒子を使用する必要がある。
【0142】
成分(A)は、1より多い金属酸化物/水酸化物、すなわち、同一の粒子中に2以上の金属元素の組み合わせを含む混合金属酸化物、または2以上の酸化物粒子の混合物を含むことができる。金属酸化物粒子は、約100nm以下、約50nm以下、約25nm以下、約10nm以下、さらに約5nm以下の粒径を有することができる。一実施形態では、金属酸化物粒子は、約0.5nmから約100nm、約1nmから約75nm、約2nmから約50nm、約5nmから約25nm、さらには約7.5nmから約10nmの粒径を有する。
【0143】
本発明の金属酸化物/水酸化物成分(A)は、2から7nmの非常に狭く分布した粒径からなる。このような粒径は、平均粒径D50を測定することによって決定することができ、特に、特に、マルバーンゼータサイザー(Malvern Zetasizer)によるレーザーの動的光散乱(DynamicLight Scattering)、ISO13320−1に準拠した光子相関分光法または準弾性光散乱法としても知られている方法により測定することができる(関連参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Dynamic light_scattering)。この方法は、特に硬化していない組成物における、測定決定方法であるが、ある場合には、電子顕微鏡(TEM)によって平均粒径D50を決定することでも十分である。
【0144】
したがって、本発明の組成物は、XRD反射を示す結晶構造を有し、および200nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは20nm未満の範囲の大きさの粒子を有する形態の金属酸化物/水酸化物成分(A)を含む。XRD反射という用語は、例えばWO2011/133228A2に示されるように、X線反射を離散的に散乱することを意味する。結晶構造の少なくともいくつかの領域の存在は、所望のより高い屈折率となるものと考えられる。ポリシロキサン中のナノ金属酸化物の凝集または沈降を阻止するための既知の開示された表面処理のいずれかも十分ではないが、本発明のポリオルガノシロキサン(B)にて克服されうることが判明した。
【0145】
本発明の組成物は、より高い濃度の高屈折率金属酸化物/水酸化物成分(A)を含有する。そのようなナノ充填剤は良好な加工性に抗うレベルまで粘度を増加させる傾向があるので、成分(A)から(E)を含む組成物は、25℃、せん断速度D=10sec−1で、100−50,000,000mPa.sの範囲の粘度を有することが好ましい。
【0146】
実施形態において、組成物(A)および(B)の粘度は、25℃で100−1000mPa.sの粘度範囲およびD=10s−1のせん断速度を有する。
【0147】
このレベルの粘度は、フィルムがコーターまたはブレードによって形成されなければならない用途または本発明の組成物が低圧で小さなチャネル/ノズル、例えばシリンジの針を通過しなければならない用途の製造方法において十分な加工性のために必要となる。
【0148】
本発明の一実施形態では、高濃度の成分(A)を含む組成物を溶媒で希釈して、示されるような妥当な加工性のための粘度レベルを達成する。溶媒とは、1033mbarで250℃未満の沸点を有する蒸発性の有機または無機液体を意味する。したがって、本発明の組成物中の成分(A)の粘度範囲は、せん断速度D=10s−1、25℃で10−200,000mPa.s、より好ましくは50−50,000mPa.sであることが望ましく、最も好ましくは25℃で50−5000mPa.s、最も好ましくは25℃で100−1000mPa.s、せん断速度D=10s−1であることが望ましい。このような相対的に低い粘度を達成するためには、一方で低粘性ポリオルガノシロキサン(B)、特に成分(A)によって誘発される粘度の上昇に対して作用することができる(B)の実施態様を使用することが必要である。これは、(B)が充填剤表面との相互作用のための1つの末端基と、粒子の互いの分離のための第2のより不活性な末端基を有するポリオルガノシロキサン(B)を使用する理由の1つである。
【0149】
したがって、非対称末端置換ポリオルガノシロキサン(B)は、金属酸化物/水酸化物粒子の合成方法の加工助剤としても役立つことができ、ここで金属アルコキシド前駆体を加水分解および縮合プロセスに付し、アルコールの脱離基を、エステル化、抽出、蒸発などの公知の技術によって除去する。そのような縮合プロセスでは、金属アルコキシドの加水分解の過程で酸化物/水酸化物の粒径を制御することが必須である。結晶性ナノサイズの金属酸化物/水酸化物粒子の製造における別の重要なステップは、非晶質改質から結晶改質への変換である。非対称末端置換ポリオルガノシロキサン(B)は、このプロセスステップに必要な高温度状態に短時間にて耐えることができる。
【0150】
従って、本発明の範囲は、
a)任意にて溶媒における、非晶質金属酸化物/水酸化物粒子の分散体を提供すること、
b)分散体をポリオルガノシロキサン(B)と混合すること、
c)混合物を450℃まで加熱すること、
d)任意にて必要であれば溶媒(E)を蒸発させること、および
e)任意にてそれをさらなるシロキサンポリマー(B)と混合すること
のステップを含む本発明による結晶性成分(A)の製造のプロセスを含む。
【0151】
このプロセスの後、結晶質金属酸化物/水酸化物粒子を分散体またはスラリーとして分離し、透明なフィルム、コーティングまたは物品を製造するため本発明の組成物に使用するために提供することができる。
【0152】
本発明による硬化性透明組成物の製造のためのプロセスは、
i)溶媒中の成分(A)の結晶性金属酸化物/水酸化物粒子の分散体を提供すること、
ii)(A)をポリオルガノシロキサン(B)と混合すること、
iii)任意にて混合物を加熱すること、
iv)任意にてそれをさらなるシロキサンポリマー(C)および触媒(D)と混合した後に、必要であれば溶剤(E)を蒸発させること、
のステップを含む。
【0153】
本発明の実施形態による組成物は、金属酸化物/水酸化物粒子(A)を、ポリオルガノシロキサン(B)100重量部当たり約0.01−350重量部の量で含む。
【0154】
典型的な組成物は、金属酸化物/水酸化物粒子(A)を、成分(B)に関連して約0.001−95重量%(wt.%)、より好ましくは1−90重量%、より好ましい組成物では約25−85重量%、より好ましい組成物は35−75重量%である。
【0155】
一実施形態において、本発明の組成物は、結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物/水酸化物の成分(A)350重量部、
エポキシ基RまたはRを含む対称または非対称に置換された成分(B)から選択されるエポキシ官能化ポリジメチルシロキサンの成分(B)100重量部、
(D)成分としてのペンタフルオロホスフェートのオニウム塩1−5重量部、
増感剤0.5−1重量部
を含む。
【0156】
実施形態において、組成物は、対称および非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)を含み、そして組成物が非対称ポリオルガノシロキサン(B)のみを含むことがより適切であり、ここでこの成分(B)が1.43を超える屈折率n20を有する。
【0157】
別の実施態様において、本発明の組成物は、
結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物/水酸化物の成分(A)1−350重量部、
10モル%より多いpheSiO単位を有するビニル末端ポリジフェニルジメチルシロキサンの成分(B)100重量部、
基RおよびR4*を含む非対称に置換された成分(B)0−20重量部
10モル%より多くのpheSiO単位を有するSiHポリジメチルシロキサン(B2)1から5重量部、
成分(A)から(C)に関して2−500ppmのPtを提供する成分(D)としての有機金属Pt−化合物、を含む。
【0158】
第3の好ましい実施態様において、本発明の組成物は
結晶構造を含む200nm未満の粒径の金属酸化物/水酸化物の成分(A)1−350重量部、
22および−L−R42からなる群から選択される光学密度基Rを含む非対称に置換された成分(B)100重量部、
ここで5モル%を超えるシロキシ単位が置換基R22および−L−R42を有し、
SiHポリジメチルシロキサン(B2)1−5重量部、
成分(A)から(C)に関して2−500ppmのPtを提供する成分(D)としての有機金属Pt−化合物、を含む。
【0159】
この組成物は、対称および非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)を含むことが望ましく、そしてこの組成物は、(B)が1.43より大きい屈折率n20を有する非対称ポリオルガノシロキサン(B)のみを含むことがより望ましい。
【0160】
1.43より大きい屈折率n20を有する非対称ポリオルガノシロキサン(B)は、酸化物/水酸化物(A)の表面と相互作用することができる1つの基と、上記で定義したような架橋反応を受けることができる反応性基からなることがさらにより好ましい。
【0161】
本発明はまた、本発明のシリコーン組成物を硬化させるプロセスであって、ここで成分(A)、(B)および(C)は、熱または光活性化可能なラジカル開始剤または増感剤、熱または光活性化可能なヒドロシリル化触媒、縮合触媒からなる群から選択される少なくとも1つの触媒(D)とともにさらに混合され、ここで好ましくは100℃未満、より好ましくは80℃未満の温度で、光、電磁放射線、熱、酸素または湿気が与えられる硬化プロセスに付される。
【0162】
本発明の組成物は、種々の反応性基の反応によって硬化させることができる。
【0163】
ポリオルガノシロキサン(B)および成分(C)上の反応性基は、反応性基R、R22、R、R42またはRの熱もしくは光活性化または水もしくは酸素の拡散によって架橋され、ここでこれらの反応性基は、アルケニル、SiH、アルコキシ、SiOH、アミノ、カルボキシ、エポキシおよびチオール基からなる群から選択される。
【0164】
物品の製造のために選択されたプロセスに応じて、適切なプロセスが選択される。組成物の硬化が必要でない場合、例えば屈折性組成物が、封じ込められ、透明な封じ込めまたはそれの任意の種類で使用される場合には、本発明の組成物の適用がありえる。
【0165】
大部分の用途では、硬化ステップが好ましく、例えば光ガイドまたは光学コーティングまたは他の成形品が製造される場合、本発明の組成物は硬化される。熱の適用が許容できる(<110℃数秒)場合、ラジカル開始剤によるラジカル開始硬化プロセスは、例えば0.1−2%の有機過酸化物およびアルケニルシロキサン(B)を使用して、好適となりえるが、過酸化物の副産物を避けることができるので、熱支援ヒドロシリル化を使用することがはるかにより好ましい。これらの場合、本発明の組成物は、好ましくはSiHとアルケニル基との間のヒドロシリル化反応を通常のヒドロシリル化触媒を用いて硬化されうるが、アルキノールのような反応抑制剤またはビシナルビニル基を有するビニルシロキサンが付与される。適用される硬化温度に対してより強い制限がある場合、架橋ステップは、好ましくは、上述のような白金化合物などの光活性化可能な金属触媒の使用によって達成することができる。最後の反応は、厚い部分を硬化させなければならない場合に特に好ましく、従って増感剤は避けなければならない。
【0166】
光誘起硬化反応の他の実施形態は、ラジカル開始架橋反応、例えば(B)に結合したアクリル、メタクリル、アルケニル、チオール基に適した架橋反応を利用する。第3の好ましい実施形態では、オニウム触媒によるエポキシ基の光誘導カチオン重合が使用される。この硬化反応は、薄いコーティングまたは光ガイド、光ガイドのクラッド材に特に有用である。
【0167】
特に、エポキシ、アルケニルまたはチオール置換基から選択される基を有するポリオルガノシロキサン(B)を含む光硬化性組成物の硬化プロセスは、250−600nmの範囲の光で達成することができる。通常の好ましい光源は、光硬化性ポリオルガノシロキサンについて当業界で知られているUVランプである。
【0168】
本発明の組成物は、原則的に約0℃から約180℃までの範囲の温度で、解放オーブンチャンバーまたはモールドの壁、必要により、硬化反応が光活性化される組成物のための透明モールドまたは少なくとも透明窓に適用されて、硬化され、形成される。
【0169】
物品は、任意のコーター、任意のブレード、ロールで塗布されたフィルムとして、押出機のダイを通過し、または任意にて加圧下のモールドに入り、そして熱を付与することにより、または任意形状へと自己レベリングすることにより、または光の適用により、または空気中の湿気または酸素との接触により硬化プロセスを活性化して成形された形態を固定することにより、所望の形状に形成することもできる。
【0170】
硬化した組成物は、光学デバイスとして、またはより高い屈折率が必要な他の用途での使用が意図される。ナノ金属酸化物/水酸化物(A)およびポリオルガノシロキサン(B)を含む透明な組成物を達成するために、両材料間の屈折率の差は、ある閾値を超えてはならない。
【0171】
したがって、本発明は、25℃以上で約1.43の屈折率n20を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(B)を含む組成物からなる流体、フィルム、硬化被膜または押出成形または成形プロセスによって形成された成形品を提供する。
【0172】
光学密度置換基R、R22、R、R、R42の少なくとも5モル%以上がこの濃度を超える点で、屈折率n20が約1.43以上のポリオルガノシロキサン(B)は、本発明により構成される。好ましくは、より高い屈折率の特性は、含む全てのシロキシ単位に関連して、光学密度基R22およびR42の10モル%を超える、より好ましくは20モル%を超える濃度の光学密度置換基R22およびR42の挿入によって達成される。
【0173】
光学密度置換基について増加した濃度の選択された範囲は、1つの考えである。
【0174】
他の考えは、ポリオルガノシロキサン(B)中の全ての置換基、特にR22およびR42は、350−2000nmの間の可視光の範囲で光顕著な吸収または光散乱を有さず(2mmで透過率>80%)、400−1500nmの間で許容され、そして少なくとも25℃で400−1000nmの透過率(2mmでの透過率>80%)、すなわち吸収が低いものである。
【0175】
金属酸化物粒子(A)およびポリオルガノシロキサン(B)を含む本発明の組成物は、溶媒を除去した後、約1.50−1.80、好ましくは約1.50−1.70、さらにより好ましくは約1.50−1.65の範囲の屈折率n20である。
【0176】
従って、本発明に従って製造された好ましい物品は、コートとして、押出または成形プロセスによって製造された成形品として、適用される本発明による硬化組成物から製造され、2mmの厚さで300−2000nmの間の波長で85%よりも高い光透過率を有するものである。好ましい組成物は、UV光度計のキュベット内で、400nmの波長および25℃で2mmの厚さで測定した場合、約90%以上、好ましくは約95%以上、さらにより好ましくは約97%以上の光透過率を示す。
【0177】
光吸収は、400nmでの具体例についての光の透過として測定される、または300−2000nmの範囲内の任意の別個の目的の波長での場合に応じて測定される。
【0178】
一実施形態では、硬化物品は、約50cm/m2*24hatm以上、約100cm/m2*24hatm以上、200cm/m2*24hatm以上、さらに約500cm/m2*24hatm以上の厚さ1mmシートのガス透過性を有する。一実施形態では、硬化した物品は、約ショアA10°から約ショアD50°、約ショアA20°からで約ショアD50°のショア硬度を有することができる。
【0179】
表面改質金属酸化物/水酸化物粒子(A)を含むポリオルガノシロキサン(B)は、種々の用途のための種々の製品を製造するために使用することができる。シロキサンポリマーは、他の材料の表面上に適用することができるか、または所望の形状の生産物を形成するために使用することができるコーティングまたはフィルムを形成するために使用することができる。それから形成された硬化ポリオルガノシロキサン組成物は、比較的高い屈折率および優れた機械的特性を示すことができ、また、通常のポリオルガノシロキサンならびに高密度および高屈折率を有する粒子を含むポリマーに関する他の問題を回避することができる。本発明の組成物に意図される用途には、コンタクトレンズ、眼内レンズ、固体発光封入剤(発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザーダイオード)、導波路(平面および「繊維」の幾何学的形状の両方)、光コンピューティング、光記憶媒体、反射防止コーティング、コンフォーマルコーティング、光学レンズ、マイクロレンズ、自動車のトップコート、塗料配合物およびトップコート、ヘアケア製品、勾配屈折率光学部品、動的勾配屈折率成分などが含まれるが、これらに限定されない。
【0180】
本主題の態様は、以下の実施例を参照して理解することができる。これらの実施例は、本主題の可能な実施形態を例示するために提供され、開示される主題を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0181】
実施例
本発明の組成物にて試験されたナノサイズの金属酸化物/水酸化物粒子は、WO2012/058271によるアルコキシジルコン酸塩の水熱反応で合成されたPixelligent Inc.によって供給されるSH−6と呼ばれるジルコニウム酸化物/水酸化物分散体であった。SH−6酸化物は、長さが7−10nmのジルコニア粒子の50重量%固形分をトルエン中に分散させて含み、それにより、固体は>85重量%の酸化ジルコニウムを含む。
【0182】
実施例1 非対称に置換されたポリオルガノシロキサンn−C−Sime−O−[meSiO]−Sime−C−Si(Ome)の合成
この非対称ポリオルガノシロキサン(B)は、ジルコニウム酸化物/水酸化物を有する組成物の次の実施例に適用される分散助剤または表面改質剤としての使用のために合成された。1つの反応性末端基を有する非対称ポリオルガノシロキサンが調製され、これはここではトリメトキシシリル基である。非対称シロキサン分子の前駆体は、n−C−Sime−O−[meSiO]−Sime−H(Gelest Inc.のMCR-H07)であった。それは、Karstedt触媒により供給された10ppmのPtの存在下、80℃、N2 atmでビニルトリメトキシシランと反応させた。得られた生成物の生成は、Hおよび29Si−NMRによって確認され、定量的収率で形成されることが明らかとなる。生成物は珪藻土層(セライト)で濾過され、さらなる実験のためにそのまま使用される。
【0183】
比較例2−本発明の非対称ポリオルガノシロキサン(B)を含まない未改質の市販ジルコニアSH−6(2g)の分散体を、91gのビニル末端ポリジメチルシロキサンおよびMDviQ樹脂へと混合した。成分(B)としてのビニル末端ポリジメチルシロキサン’P1’は、1.406の屈折率および平均で約420のジメチルシロキシ単位の鎖長を有する。
【0184】
このポリオルガノシロキサン(B)とジルコニウム酸化物/水酸化物分散体との混合物は、不透明な非透過性混合物を生じる。
【0185】
比較例3
ポリオルガノシロキサン(B)を、25℃で200mPa.sの粘度、屈折率n20=1.39を有する通常の市販のビニル末端ポリジメチルシロキサンで置き換えた比較例2を繰り返す。この組成物は、不透明の非透過性混合物であり、溶媒の除去後に相分離を示し始めた。
【0186】
比較例4 非対称ポリオルガノシロキサン(B)を含まないM−DPh−DVi−M (’Phe2’) n20=1.499の評価
比較例2のビニル末端ポリジメチルジフェニルシロキサン(B)’Phe1’を、n20=1.499のビニル末端ポリジメチルジフェニルシロキサン(B)M−D−DPh−DVi−M(’Phe2’)で置き換えた、比較例2による別の混合物を調整した。この混合物において、ジルコニア分散体SH−6の濃度を、ジルコニアの固形分について計算して50および60重量%まで増加させた。この混合物は、光度計キュベット(10mm)内で均質な透明な外観を示している。それにもかかわらず、まだ青みがかったわずかな程度の曇りがある。屈折率は、ジルコニウム酸化物/水酸化物固体について60重量%でn20=1.569、50重量%でn20=1.588であると測定された。この実施例は、ジルコニウム酸化物/水酸化物固体を分散させて透明な組成物を得ることができることを示しており、ここで全組成物の屈折率は、光学密度基を含むポリオルガノシロキサン(B)25mol%のフェニルシロキシ単位(=2/8)の屈折率を上回っている。
【0187】
比較例5−技術水準による加工助剤
低屈折率のポリオルガノシロキサンおよびSH−6のジルコニア粒子の組成物中の技術水準による加工助剤の例としての3つの追加のアルコキシシランの評価を、本例および表1に示す。比較例4のポリオルガノシロキサン(B)を、低屈折率1.39の1つのポリオルガノシロキサンで置き換え、比較例4のジルコニア粒子SH−6の分散体をそれに添加した組成物を調製した。さらに、可能な分散助剤として作用する能力を評価するために、3つの異なるアルコキシシランが使用されている。
【0188】
撹拌条件は40℃で30分間であり、そして溶剤トルエンおよびアルコキシシランのメタノールも真空下での蒸発により除去された。
【表1】
【0189】
この試験で使用されたアルコキシシランのような通常の分散助剤は、非発明のポリオルガノシロキサンおよびジルコニウム酸化物/水酸化物粒子を含む組成物の透明性を改善しないし、金属酸化物粒子の分散性を改善しないことを、本例は示している。
【0190】
比較例6
ポリオルガノシロキサン(B)M−DPh−DVi−Mを25℃で200mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサンジオールに置き換えた比較例4を繰り返した。
【0191】
攪拌プロセスの間、100,000mPa.sを超える強い粘度上昇が観察され、よって加工性は要件を満たしていない。さらに、この組成物は極端に不透明であった。
【0192】
実施例7−ZrO粒子SH−6および本発明の非対称に置換されたポリオルガノシロキサン(B)を含む組成物
第1の混合物において、実施例1の非対称ポリオルガノシロキサン(B)0.65gを13.02gのジルコニア分散体SH−6(トルエン中50重量%=6.5g固体)に添加し、(B)のトリアルコキシシリル基とジルコニア酸化物/水酸化物粒子の表面への反応性基との可能な反応に影響を及ぼすために60−70℃まで1時間加熱する。得られた分散体は透明な外観を有する。
【0193】
第2段階で、2.85gの第2のビニル末端ポリジメチルジフェニルシロキサン(B)M−DPh−DVi−M(’Phe2’)n20=1.499(比較例3)を添加した。
【0194】
第2の部分/混合物において、実施例1の非対称ポリオルガノシロキサン(B)0.4gを、ジルコニア分散体SH−6(トルエン中50重量%=固形分3g)6gおよびポリジメチルジフェニルメチルハイドロジェンシロキサンM−D−DPh−D−M(B2)1.6gに加えた。組成物を60℃で15分間撹拌した後、トルエンを真空下で除去した。蒸発後、青色がかった曇りがほとんどまたは全くない高い透明性を示す透明な組成物が得られた。全組成物の屈折率は、ポリオルガノシロキサン(B)の屈折率を上回り、透明である。
【表2】
【0195】
実施例8−金属酸化物(A)およびポリオルガノシロキサン(B)を含む硬化性組成物
8.1
第1部(K1)組成物は、式M−DPh−DVi−M(Phe2)の対称ポリオルガノシロキサン(B)および実施例1の非対称ポリオルガノシロキサン(B)で改質されたジルコニア粒子SH−6(A)から形成される。
【0196】
第2部(K2)は、部(K2)としてポリジメチルジフェニルメチルヒドロジェンシロキサン(B2)M−D−DPh−D−Mおよびの実施例1のポリオルガノシロキサン(B)で改質されたジルコニア成分(A)から形成される。表2は部K1およびK2の混合物の屈折率を示している。
【表3】

(K3)部は、M−DPh−DVi−M中に0.04重量%のPtを含み、配合物中に10ppmのPt濃度で付与されたPt Karstedt Mvi錯体。
【0197】
ビニル成分(B)+成分(A)並びに架橋剤成分(C)又は(B2)および成分(A)を有する硬化性組成物が高い屈折率を示すことを、本例は示している。部K1および部K2の単一のパッケージと両方の混合物は非常に低い曇りで透明である。組成物(A)+(B)の屈折率は、対称および非対称ポリオルガノシロキサン(B)の屈折率を上回る。
22を有する光学密度シロキシ基の濃度は25モル%(=2/8)である。
【0198】
実施例8.2
別のセットの反応性組成物(部K1として)および(K2)は、粘度を測定するため、実施例8.1にしたがって混合された。
【0199】
部(K1)は、52重量%のZrO2 SH−6成分(A)、8.1重量%の非対称ポリオルガノシロキサン(B1)(meO)−Sime−O−D−SimeBu、39.9重量%の対称ポリオルガノシロキサン(B1)ポリジメチルジフェニルシロキサンビニル末端M−D−DPh−DVi−Mからなり、21℃で8.39Pa.sの粘度およびせん断速度D=10rads/secを得た。
【0200】
部(K2)は、64重量%のn−ZrO2成分(A)SH−6、10重量%の非対称ポリオルガノシロキサン(B1)(meO)−Sime−O−D−SimeBu、26重量%の対称、架橋剤(C)ポリジメトルジフェニルメチルハイドロジェンシロキサン(B2)M−DPh−D−Mトリメチルシリル末端からなり、21℃で4.01Pa.sの粘度およびせん断速度D=10rads/secを得た。
【0201】
組成物の混合物を100℃で6時間かけて硬化させ、(K3)組成物により10ppmの白金が提供され、黄変指数によって表される変色が測定され、評価される試験に供した。方法:Gretag MacbethのMacbeth Color Eye 7000。
【表4】
【0202】
これらの硬化組成物は、LED−レンズ、光ガイドおよび他のディスプレイ用途のような光学デバイスにおける用途に適しているので、例えば光ガイドとしての機能のための、透明性および無色の挙動を維持することが要求される。いかなる変色も不利とみなされることになる。時間の経過のフィルムの色特性を評価するために、フィルムは、乾熱または湿熱のような加速風化条件に長期間さらされる。ジルコニア(A)およびポリオルガノシロキサン(B)の硬化組成物の実施例8のポリジメチル−ジフェニルシロキサン系フィルムを85℃および85%相対湿度に168時間暴露して、エージングをシミュレートした。いわゆるLa−値および黄色度指数によって示される変色の点で硬化組成物の著しい劣化は見られなかった。表5は、上記条件下での、ジルコニアSH−6成分(A)を含むおよび成分(A)を含まないポリジメチルジフェニルシロキサン(B)を用いた組成物の硬化膜の試験結果を示す。
【表5】

85℃および85%相対湿度に168時間
【0203】
La値および黄色度指数の値は、金属酸化物(A)を含む組成物および含まない組成物の両方でエージング後に黄変指数が減少することを示している。
【0204】
実施例9−ZrO粒子成分(A)および非対称エポキシ−トリメトキシ末端ポリオルガノシロキサン(B)(meSiO)−Sime−O−[D]−Sime−(CH−O−COを有する組成物
9.1
トルエン中の50重量%SH−6分散体として50gのZrO固形分を含む分散体を、不活性ガス雰囲気下で、5gの非対称に置換された式(meSiO)−Sime−O−[D]−Sime−(CH−O−COのエポキシ−およびトリメトキシシリル末端ポリオルガノシロキサン(B)と混合して、55−60℃で2時間撹拌した。顕著な曇りのない透明な組成物が得られた。
【0205】
9.2
実施例9.1で得られた分散体を、式OCO−(CHSime−O−[D]−Sime−(CH−O−COの末端エポキシ置換基を有する5gの対称的に置換されたポリオルガノシロキサン(B)とさらに混合した。
顕著な曇りがない透明な組成物を得ることができた。
【0206】
9.3
次いで実施例9.1および9.2の組成物の各々を、UV光硬化性エポキシ組成物を調製するため、10gの触媒成分(D)ビス(ドデシルフェニル)イドニウムヘキサフルオロアンチモネート(47重量%)の溶液、増感剤C12−C14−アルキルグリシジルエーテル中の2−イソプロピルチオキサントン(2.4%)および4−イソプロピルチオキサントン(0.6%)と混合した。
【0207】
スピンコーターを用いて基板上の無溶媒材料膜を作製した。重合プロセスの開始に必要なUV光を平坦フィルムに露光すると、本発明の組成物の透明性の高い高屈折率の層が得られた。
【表6】

** 633nmでのn20
829nmでのn20溶液をガラス板上で1500rpm、30秒間スピンコーティングして、ガラス板上に5×5×0.7cm(長さ×幅×厚さ)のフィルムを作製した。
屈折率測定は、633nmおよび829nmでMetriconモデル2010/Mを用いたエリプソメトリーによって行った。より詳細な情報:
1521078511925_41

実施例8.2に定義の非対称成分(B)
実施例8.2に定義の対称成分(B)
実施例8.3に定義の成分(D)
【0208】
光学測定はTNO(NederlandseOrganisatie voor Toegepast-Natuurwetenschappelijk Onderzoek)アイントホーフェン(オランダ)によって実施されている。私たちは、TNOの継続的な援助と支援に感謝の意を表する。
【0209】
実施例9.1のポリオルガノシロキサンは、20モル%(=1/5)、実施例9.2の対称的に置換されたポリオルガノシロキサン(B)は、25モル%(=2/8)の光学密度基R、R42をそれぞれ含む。
【0210】
成分(A)の金属酸化物粒子および本発明の非対称ポリオルガノシロキサンを含むポリオルガノシロキサン(B)が分散されて、表5に示す屈折率を有する透明な組成物を得ることができたことを、表6の結果は示している。
【0211】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン成分(B)のみが使用される場合には、金属酸化物成分(A)は既に高濃度で分散され、硬化性組成物を提供することができることを、本実施例はさらに示している。
【0212】
本発明の実施形態を上記の通り説明したが、本明細書を読み理解すると他に修正や変更を加えることができる。以下の特許請求の範囲は、特許請求の範囲またはその均等内に入る限り、すべての改変および変更を含むことが意図されている。