特許第6903051号(P6903051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6903051-二面冷却式回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903051
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】二面冷却式回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20210701BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01L23/36 C
   C04B37/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-517862(P2018-517862)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公表番号】特表2018-531516(P2018-531516A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】EP2016073643
(87)【国際公開番号】WO2017060224
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月2日
(31)【優先権主張番号】102015219347.0
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511004645
【氏名又は名称】セラムテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】CeramTec GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ディルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト クレス
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/064232(WO,A1)
【文献】 特開2013−214783(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133098(WO,A1)
【文献】 特表2009−531844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
C04B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(1b)および下面(1a)を有する第一のセラミック基板(1)からなる部品(9)であって、上面(1b)にはメタライゼーション(2)が施与されており、メタライゼーション(2)には接合材(3)を介してSi回路(4)がその下面側で取り付けられており、Si回路(4)の上面には接合材(5)が施与されており、接合材(5)にはセラミック平面基板(6)がその下面側で施与されており、平面基板(6)にはメタライゼーション(7)を介して第二のセラミック基板(8)が配置されており、ここでセラミック平面基板(6)は、金属が充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)(11)を有する部品(9)において、金属が充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)(11)はCuで充填されており、セラミック平面基板(6)は窒化アルミニウムであることを特徴とする部品(9)。
【請求項2】
Si回路(4)が、シリコン回路、チップまたはトランジスタであることを特徴とする、請求項1記載の部品
【請求項3】
全てのメタライゼーション(2、7)が、DCB−Cu、厚膜−Cu、AgまたはW−Ni−Auからなり、かつ/またはセラミック基板(1、8)と一緒に焼結されたメタライゼーションであることを特徴とする、請求項1または2記載の部品
【請求項4】
接合材(3、5)が、ろう材、焼結された銀または銀接着剤であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の部品
【請求項5】
第一のセラミック基板(1)の下面(1a)に冷却要素が配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の部品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面および下面を有する第一のセラミック基板からなる部品であって、その上面にメタライゼーションが施与されており、このメタライゼーションに接合材を介して電子部材がその下面側で取り付けられている部品に関する。
【0002】
AlまたはAlNからなるセラミック基板が、少なくとも片面のメタライゼーション(DCB−Cu、厚膜−Cu、Ag、W−Ni−Au)を担持しており、またこのメタライゼーションにおいて、Si回路が、圧力、ろう材、焼結された銀、銀接着剤などにより固定されて取り付けられていることが知られている。
【0003】
基板の第二の面には、さらなるメタライゼーション面が存在していてよく、このメタライゼーション面には、例えばアルミニウムなどからなる冷却体が接着またはろう付けされている。つまりSi回路は、多くても片面で電気絶縁ヒートシンクと接合されている。何もないSi回路の上面は気体冷却すれば十分である。一般的にSi回路とは、チップまたはトランジスタとも理解される。
【0004】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の部品を、Si回路が、両面において、つまりその下面と上面のどちらにおいても冷却されるように改善するという課題に基づいている。高い伝熱性および同時に高い導電性を有する要素によりSi回路を両面冷却することで、アセンブリの効率を上げるものとする。
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有する部品により解決される。
【0006】
Si回路の上面に接合材が施与されており、この接合材にセラミック平面基板がその下面側で施与されており、かつこの平面基板にメタライゼーションを介して第二のセラミック基板が配置されており、ここでこのセラミック平面基板が、金属が充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)および/または冷却材を通すための冷却チャネルを有していることで、Si回路は、両面において、つまりその下面と上面のどちらにおいても冷却される。高い伝熱性および同時に高い導電性を有する要素によりSi回路を両面冷却することで、Si回路のアセンブリの効率を上げるものとする。ここで、セラミック平面基板のビア内の金属は、第二の基板のメタライゼーションとSi回路上に存在する接合材のどちらにも接している。
【0007】
Si回路は、チップまたはトランジスタであることが好ましい。
【0008】
メタライゼーションは、DCB−Cu、厚膜−Cu、AgまたはW−Ni−Auからなることが好ましく、かつ/またはセラミック基板と一緒に焼結されたメタライゼーションである。焼結されたメタライゼーションは、セラミックと密接に接合されており、それにより、Si回路からセラミックへの優れた熱輸送を有する。
【0009】
接合材は、ろう材、焼結された銀または銀接着剤であることが好ましい。
【0010】
本発明の実施形態において、貫通型接触部はCuまたはAgからなり、基板は窒化アルミニウムからなる。窒化アルミニウムは高い伝熱性を有する。
【0011】
一実施形態において、第一のセラミック基板の下面には、冷却要素、例えばフィンなどが配置されている。
【0012】
何もないSi回路の上面に接合材を介して接触する、金属が充填されたビアを有するセラミック平面基板を用いることで、より良好に二面での熱排出を行うことができる。この平面基板は、金属が充填された、例えばCuまたはAgが充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)を有する。窒化アルミニウムを基板原料として選択する場合、その膨張係数は約4.7ppm/Kであり、約4.2ppm/Kを有するチップのケイ素に近い。
【0013】
このビアセラミック(平面基板)は、Si回路の面とメタライゼーションされたセラミック基板のもう一方の面のどちらにおいても、ろう材、銀ペーストまたは銀焼結層を介して第二のセラミック基板に対して結合されてもよく、または銅ペーストを焼き付ける際に、メタライゼーションされた上部基板の銅層と直接接合されてもよい。
【0014】
放熱量をさらに上げるために、セラミック平面基板の代わりに、液体貫流式セラミック冷却器またはセラミックフィンを有する液体貫流式セラミック冷却器を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術による部品を示す。
図2】本発明による部品を示す。
【0016】
図1は、従来技術による部品9を示す。この部品は、上面1bおよび下面1aを有する第一のセラミック基板1からなり、上面1bにはメタライゼーション2が施与されており、このメタライゼーション2には、接合材3を介してSi回路4がその下面側で取り付けられている。本発明によると、Si回路4またはその上面には接合材5を介してセラミック平面基板6がその下面側で施与されており、平面基板6にはメタライゼーション7を介して第二のセラミック基板8が配置されており、ここでセラミック平面基板6は、金属が充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)11および/または冷却材を通すための冷却チャネルを有する。
【0017】
セラミック基板1、8は、プレート型に形成されていることが好ましく、非常に高い伝熱性を有する窒化アルミニウムからなることが好ましい。
【0018】
メタライゼーションは、DCB−Cu、厚膜−Cu、AgまたはW−Ni−Auからなることが好ましく、かつ/またはセラミック基板1、8と一緒に焼結されている。
【0019】
SI回路4は、チップまたはトランジスタの実施形態であるシリコン回路である。
【0020】
接合材3、5は、ろう材、焼結された銀または銀接着剤であることが好ましい。
【0021】
貫通型接触部11は、例えばCuまたはAgからなる。
【0022】
第一のセラミック基板1の下面1aに冷却要素が配置されていることが好ましい(図2には図示せず)。この冷却要素は、空気を冷却するためのフィンであってよい。しかしながら、液体を通す冷却容器であってもよい。
【0023】
セラミック平面基板6は、SI回路4の排熱をセラミック基板8に伝えるのに役立ち、また他方では、SI回路4をメタライゼーション7に電気的に接続するために利用することもできる。また、平面基板6は窒化アルミニウムからなることが好ましい。その金属が充填された熱/電気の貫通型接触部(ビア)11を通して、排熱が輸送され、電気的な接続が生み出される。貫通型接触部(ビア)11は、平面基板6の表面に対して垂直に延びることが好ましい。
【0024】
どちらの図においても、符号10は、電気的に接続するためのボンドワイヤを表す。
図1
図2