(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903060
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】バッテリ・システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20210701BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210701BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-536320(P2018-536320)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-537947(P2018-537947A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】AU2016050917
(87)【国際公開番号】WO2017054049
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月27日
(31)【優先権主張番号】2015903990
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518110567
【氏名又は名称】リレクトリファイ・ホールディングス・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミュンゼル,ジャン・ヴァレンティン
(72)【発明者】
【氏名】クロウリー,ダニエル
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/012794(WO,A1)
【文献】
特開2000−354304(JP,A)
【文献】
特開2000−014023(JP,A)
【文献】
特開平02−015580(JP,A)
【文献】
特開2010−220280(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0146617(US,A1)
【文献】
特開2014−023361(JP,A)
【文献】
特開2001−292532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H01M10/42−10/48
H02M 7/42− 7/98
H03K17/74−17/98
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリ・セル・ユニットを結合するための回路モジュールであって、
第1バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第1端子集合体と、
第2バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第2端子集合体と、
第3バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第3端子集合体と、
第4バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第4端子集合体と、
を含み、
前記第1端子集合体の正端子が、直接または1つ以上の受動素子を介して、前記第2端子集合体の負端子に結合され、
前記第3端子集合体の正端子が、直接または1つ以上の受動素子を介して、前記第4端子集合体の負端子に結合され、
前記第1端子集合体の負端子、前記第2端子集合体の正端子、前記第3端子集合体の少なくとも1つの端子、および前記第4端子集合体の少なくとも1つの端子が各々、スイッチング・アセンブリに結合され、
前記スイッチング・アセンブリが、前記バッテリ・セル・ユニットの各1つを選択的に接続するまたは切断するように動作的に構成され、各スイッチング・アセンブリは、1又は複数のスイッチング・デバイスを含み、各スイッチング・デバイスは、導電状態および非導電状態で動作可能であり、
前記スイッチング・アセンブリは、いずれかの2つ以上のバッテリ・セル・ユニットが直列に接続された複数の状態で動作することを選択的に可能にするように動作的に構成され、各状態は、直列に接続された前記バッテリ・セル・ユニットの充電サイクルと放電サイクルを含み、前記複数の状態は、
前記第1バッテリ・セル・ユニットおよび前記第2バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第3バッテリ・セル・ユニットが切断される第1状態と、
前記第1バッテリ・セル・ユニットおよび前記第3バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第2バッテリ・セル・ユニットが切断される第2状態と、
前記第2バッテリ・セル・ユニットおよび前記第3バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第1バッテリ・セル・ユニットが切断される第3状態と、
前記第1バッテリ・セル・ユニット、前記第2バッテリ・セル・ユニット、および前記第4バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第3バッテリ・セル・ユニットが切断される第4状態と、
前記第1バッテリ・セル・ユニット、前記第2バッテリ・セル・ユニット、前記第3バッテリ・セル・ユニット、および前記第4バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続される第5状態と、
を含み、
前記第1バッテリ・セル・ユニット、前記第2バッテリ・セル・ユニット、前記第3バッテリ・セル・ユニット、および前記第4バッテリ・セル・ユニットは、前記回路モジュール内の導電状態にある最小数のスイッチング・デバイスを有する接続経路によって前記第5状態が達成されるように、互いに隣接して配置され、
前記第2バッテリ・セル・ユニットと前記第3バッテリ・セル・ユニットが直列に接続される場合、前記第2バッテリ・セル・ユニットと前記第3バッテリ・セル・ユニット間の直列接続経路は、導電状態で動作する最大2つのスイッチング・デバイスを含む、
回路モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の回路モジュールにおいて、前記回路モジュールが、バッテリ・セル・ユニットを隣接するバッテリ・セル・ユニットに、これらの間にある電流路において多くとも1つの導電状態にあるスイッチング・デバイスを介して、接続することを可能にする、回路モジュール。
【請求項3】
請求項1または2記載の回路モジュールにおいて、前記回路モジュールが、バッテリ・セル・ユニットを隣接しないバッテリ・セル・ユニットに、これらの間にある電流路において多くとも1つの導電状態にあるスイッチング・デバイスを介して、接続することを可能にする、回路モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の回路モジュールにおいて、前記スイッチング・アセンブリの任意のスイッチング状態において、導電状態にあるスイッチング・デバイスのバッテリ・セル・ユニットに対する比率が、前記回路モジュールの動作中は1未満である、回路モジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の回路モジュールにおいて、各スイッチング・アセンブリが、関連するバッテリ・セル・ユニットを接続する第1スイッチング・デバイスと、前記関連するバッテリ・セル・ユニットを切断する第2スイッチング・デバイスとを含む、回路モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の回路モジュールにおいて、前記スイッチング・アセンブリが、1つ以上の電気機械式リレーを含む、回路モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の回路モジュールにおいて、前記スイッチング・アセンブリが、1つ以上のトランジスタを含む、回路モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の回路モジュールにおいて、前記スイッチング・アセンブリが、任意の1つ以上のバッテリ・セル・ユニットを前記回路モジュールに、前記接続されたバッテリ・セル・ユニットの極性を変更することなく、選択的に接続するように動作的に構成することができる、回路モジュール。
【請求項9】
バッテリ・システムであって、
請求項1から8のいずれか1項記載の回路モジュールと、
前記回路モジュールに結合された複数のバッテリ・セル・ユニットと、
を含む、バッテリ・システム。
【請求項10】
請求項9記載のバッテリ・システムにおいて、前記バッテリ・セル・ユニットが、使用済みバッテリ・セル・ユニットである、バッテリ・システム。
【請求項11】
請求項9または10記載のバッテリ・システムにおいて、前記バッテリ・セル・ユニットが、使用済み車両用バッテリである、バッテリ・システム。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか1項記載のバッテリ・システムであって、更に、前記回路モジュールに結合するために1つ以上のバッテリ・セル・ユニットを装着させるように構成されたバッテリ・マウントを含み、前記回路モジュールの全てのスイッチング・アセンブリが、前記バッテリ・マウントの一方側に配置される、バッテリ・システム。
【請求項13】
請求項12記載のバッテリ・システムにおいて、前記バッテリ・マウントが、前記1つ以上のバッテリ・セル・ユニットを、その動作寿命における任意の時点において、前記バッテリ・システムに合わせて改造することを可能にするように構成される、バッテリ・システム。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載のバッテリ・システムであって、更に、前記回路モジュールの前記スイッチング・アセンブリを制御するコントローラを含む、バッテリ・システム。
【請求項15】
請求項14記載のバッテリ・システムにおいて、前記コントローラが、前記バッテリ・セル・ユニットの充電および放電挙動に基づいて、前記スイッチング・アセンブリを制御する、バッテリ・システム。
【請求項16】
請求項15記載のバッテリ・システムにおいて、前記コントローラが、充電および/または放電中における前記バッテリ・セル・ユニットの電圧、電流、および/または温度に基づいて、各バッテリ・セル・ユニットの充電および放電挙動を決定する、バッテリ・システム。
【請求項17】
請求項16記載のバッテリ・システムにおいて、前記コントローラが、
前記バッテリ・セル・ユニットの測定電圧、電流、および/または温度を、所定の電圧、電流、および/または温度範囲と比較し、
前記バッテリ・セル・ユニットを接続および/または切断することを決定し、
各バッテリ・セル・ユニットを接続または切断するように前記スイッチング・アセンブリを制御する、バッテリ・システム。
【請求項18】
請求項17記載のバッテリ・システムにおいて、前記スイッチング・アセンブリが、前記複数のバッテリ・セル・ユニットから出力される総電圧を変化させるように、前記バッテリ・セル・ユニットの内任意の1つ以上を選択的に接続または切断するように動作的に構成することができる、バッテリ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する発明は、一般的には、バッテリ・システムのようなエネルギ貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
全電気自動車(full electric vehicle)、ハイブリッド電気自動車、およびグリッド接続またはオフ・グリッド(off grid)用途における静止エネルギ貯蔵というような用途のためのエネルギ貯蔵システムは、複数のエネルギ貯蔵セル・ユニットの構成を含むことが多い。各セル・ユニットは、その充電状態および動作条件によって異なる特定の範囲内において出力電圧を供給するように、その機能的メカニズムおよび設計によって制限される。また、各セル・ユニットは、動作条件に応じて一定の最大充電貯蔵能力を提供するように、その機能的メカニズムおよび設計によって制限される。セル・ユニットを電気的に直列に接続すると、最大達成可能出力電圧が上昇し、したがって所与の電力出力を供給するために必要な電流の大きさが減少する。オーム損は電流の大きさと共に増大するので、これによってシステム効率が高くなる。セル・ユニットを電気的に並列に接続すると、所与のセル・ユニットの容量および貯蔵システムの出力電圧レベルに対する最大達成可能貯蔵容量が増大する。
【0003】
個々のセル・ユニットが、充電貯蔵容量、内部抵抗、およびその他の性能関連因子に関して何らかの差違を呈することは不可避である。セル・ユニットは、それらの動作寿命に入る前であっても、最も進んだ技術的現状の製造プロセスでさえも、製造中におけるセル・ユニットにおける一定のばらつきを許容する製造許容度によって生ずる差違を有することが不可避である。更に、動作寿命全体にわたるセル・ユニットの性能劣化条件またはプロファイルのばらつきが、これらの差違の一因になる。使用されたセル・ユニットが再利用(re-use)のために再生利用される(recycle)用途では、セル・ユニットは、特にセル・ユニットが異なる使用プロファイルに露出された場合には、顕著な性能差を伴う可能性がある。異なる仕様のセル・ユニットを利用することも、セル・ユニットの差違の一因になる可能性がある。
【0004】
複数のエネルギ貯蔵ユニットを含むエネルギ貯蔵システムでは、セル・ユニット間におけるこのような差違が、全体的なエネルギ貯蔵システムをどのように管理するか、そしてこのエネルギ貯蔵システムがどのように動作するかということに影響を及ぼす可能性がある。電気的に並列に接続されたセル・ユニットでは、性能が低いセル・ユニット程、放電または充電プロセス中において、それぞれ、寄与する電流が減少するかまたは受け入れる電流が減少する。この結果、性能が高いセル・ユニット程、放電または充電プロセス中において、それぞれ、寄与する電流が増大するまたは受け入れる電流が増大することになる。このような電流量(rate)の増大は、システム効率を低下させ、セル・ユニットの劣化を増大させ、そして潜在的に安全上の危険を生ずる(present)可能性がある。したがって、システム全体の電力入力または出力レベルが低くなるように制限することが必要となる場合が多い。電気的に直列に接続されたセル・ユニットでは、充電容量が小さいセル・ユニット程、放電または充電プロセス中において、それぞれ、寄与する電荷が減少するかまたは受け入れる電荷が減少する可能性がある。直列配列に起因して、充電容量が大きい方のセル・ユニットは、充電容量が最も小さいセル・ユニットと等しい電荷量だけしか寄与しない(contribute)ように抑えられる。これが意味するのは、充電容量が最も小さいセル・ユニットが、エネルギ貯蔵システム全体の電荷貯蔵容量を抑えてしまうということである。
【0005】
従来のバッテリ管理システムは、通例、多く充電された方のセル・ユニットから余分なエネルギを消散させるためにスイッチド抵抗器(switched resistor)を使用するか、あるいは多く充電されたセル・ユニットから少なく充電されたセル・ユニットにエネルギを伝達するためにスイッチド・キャパシタまたはスイッチド・インダクタを使用する。これらのシステムの主な役割は、充電放電サイクルにおける特定の時点において、例えば、充電の終了時において、直列に接続されているセル・ユニットの充電差の状態を等化することである。サイクルにおける1つの特定時点において充電の状態を等化することにより、直列配列において容量が最も小さいセル・ユニットを最大限使用できることを確保する。しかしながら、このために、容量が大きいセル・ユニット程、出力により多くのエネルギを負担させる(contribute)ことができなくなる。
【0006】
例えば、直列配列に接続され、完全に充電された2つのセル・ユニットが、それぞれ、1Ahおよび10Ahの容量を有すると仮定する。このシステムが1Aのレートで放電する場合、放電中の等化を仮定しないと、システム全体は、1時間の放電時間の間、容量が小さい方のセル・ユニットからの1Ah、および容量が大きい方のセル・ユニットからの1Ahから成る2Ahを供給することになる。
【0007】
直列に接続された複数のセル・ユニットを含むエネルギ貯蔵システムにおいて、容量が最も小さいセル・ユニットに起因する欠点を克服するためには、更に進んだ手法が必要となる。スイッチド・キャパシタまたはスイッチド・インダクタの分散システム(balancing system)は、エネルギを連続的に伝達するように、例えば、充電容量が大きい方のセル・ユニットから充電容量が小さい方のセル・ユニットに、放電プロセスの一部または全部にわたってエネルギを伝達するように動作させることができる。しかしながら、セル・ユニットを等化するために使用される電気経路および素子は、通例、その定格に定められる(rated)エネルギ・スループットが、エネルギ貯蔵システム全体の定格のごく一部(fraction)に過ぎない。したがって、これらのシステムは、通例、セル・ユニット間の差違のごく一部しか考慮することができない。
【0008】
例えば、直列配列に接続され完全に充電された2つのバッテリ・セル・ユニットが、それぞれ、1Ahおよび10Ahの容量を有すると仮定する。このシステムが1Aのレートで放電し、加えて充電量が少ない方のセル・ユニットから充電量が多い方のセル・ユニットに0.1Aのレートでエネルギを伝達する場合、1時間後、このシステムは2Ahの容量を供給したことになる。この時点において、エネルギ伝達のため、充電容量が小さい方のセル・ユニットはなおも0.1Ahを保持し、充電量が多い方のセル・ユニットはなおも8.9Ahを保持するので、約0.1時間だけ長く放電を継続させることができ、この結果エネルギ貯蔵システム全体の容量は、等化システムを全く使用しない場合よりも、約0.2Ah多くなる。充電量が多い方のセル・ユニットによって維持することができる余分な放電時間およびエネルギは、等化システムのエネルギ定格と共に増大し、このため、因子の中でもとりわけ、コストおよび空間要件を増大させる可能性がある。このため、このようなバッテリ管理手法が有用となるのは主に、同じ仕様で以前から使用されているセル・ユニットに基づかないエネルギ貯蔵システムのような、比較的差違が小さなエネルギ貯蔵システムだけになる。更に、スイッチド・キャパシタまたはスイッチド・インダクタを使用するには、それぞれ、キャパシタまたはインダクタのような仲介貯蔵デバイスを介してエネルギを伝達する必要があり、これには、エネルギ貯蔵システム全体の効率に悪影響を及ぼす損失が伴う可能性がある。
【0009】
直列に接続されたセル・ユニット間の差違によって生ずる欠点に取り組む他の方法は、電圧変換器を使用することである。通例、各セル・ユニットは1つの電圧変換器に接続され、電圧変換器は並列に接続され、直流側の結合部(coupling)に至る。次いで、これは直接または更に他の電圧変換器を介して、インバータに接続することができる。他の選択肢は、各セル・ユニットを1つの電圧変換器に接続し、各電圧変換器をインバータに接続し、セル・ユニットからのエネルギが交流側で接続されるように、インバータを並列に接続することである。更に他の選択肢は、出力が直列に接続された電圧変換器(voltage converter)を使用することである。電圧変換器を使用することの欠点には、変換器の部品コストがかなり高いこと、コントローラの種類およびレイアウトによってはセルの充電および放電の制御性になんらかの限界が予期されること、そしてインダクタおよび/またはキャパシタのような、電圧変換に使用される格納部品(storage element)におけるエネルギ損失に部分的に起因して、電圧変換器の効率が低いことが含まれる。
【0010】
また、セル・ユニットを接続
、迂回(即ち、切断)するためにスイッチを使用することもできる。性能が低い方のセル・ユニットを
切断することによって、他のセル・ユニットからの追加の充電および放電容量を解放する(unlock)ことができる。この手法を使用する現行のシステムの欠点として、直列に接続されたセル・ユニット毎に追加のスイッチをいずれの所与の電流路にも配置することが、オン抵抗およびエネルギ損失が付随して生じる一因になることがあげられる。
【0011】
本発明の目的は、以上で説明した欠点または問題の1つ以上を克服するまたは改めるバッテリ・システム、または少なくとも消費者に有用な選択肢を提供するバッテリ・システムを提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様によれば、複数のバッテリ・セル・ユニットを結合するための回路モジュールを提供する。このモジュールは、
第1バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第1端子集合体と、
第2バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第2端子集合体と、
第3バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第3端子集合体と、
を含み、
第1端子集合体の正端子が、直接または1つ以上の受動素子を介して、第2端子集合体の負端子に結合され、
第1端子集合体の負端子、および第2端子集合体の正端子が各々、スイッチング・アセンブリに結合され、
スイッチング・アセンブリが、バッテリ・セル・ユニットの各1つを選択的に接続するまたは
切断するように動作的に構成され、
スイッチング・アセンブリが、
第1バッテリ・セル・ユニットおよび第2バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、第3バッテリ・セル・ユニットが切断される第1状態における動作と、
第1バッテリ・セル・ユニットおよび第3バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、第2バッテリ・セル・ユニットが切断される第2状態における動作と、
第2バッテリ・セル・ユニットおよび第3バッテリ・セル・ユニットが電気的直列に接続され、第1バッテリ・セル・ユニットが切断される第3状態における動作と、
を可能にするように動作的に構成される。
【0013】
したがって、第1端子集合体の正端子は、第2端子集合体の負端子に直接結合することができ、または第1端子集合体の正端子は、導体、ヒューズ、抵抗器、インダクタ、または任意の他の同様の素子のような1つ以上の受動素子を介して、第2端子集合体の負端子に結合することもできる。本明細書では、受動素子とは、導体、ヒューズ、抵抗器、インダクタ、または切り替えを行わないで動作する任意の他の同様のものというような、任意の回路素子を指す。
【0014】
実際には、第1端子集合体の正端子を第2端子集合体の負端子に直接結合するか、または受動素子(1つまたは複数)を介して結合するように回路を構成すると、回路モジュールの一方側に、スイッチング・アセンブリの全てを配置させることができ、これによって回路モジュールの構成を大幅に簡素化できるという利点がある。このような回路モジュールを組み込んだバッテリ・システムでは、これは、全ての回路素子(例えば、スイッチング・アセンブリを載置するPCB回路ボード等)を、端子集合体の一方側に(例えば、一旦回路モジュールに結合されたバッテリ・セル・ユニットの一方側)に配置することが可能になる。このように、回路素子の総数を最小限に抑えることができ、回路素子の配列または構成を簡素化することができ、このためバッテリ・システム全体におけるインピーダンスおよび損失を低減し、更に製造時間を短縮し製造コストを削減する。更にまた、バッテリ・システムの全体的な重量およびサイズも最小限に抑えることができる。これは、特に、空間および重量の制約が適用される用途において、有利になることができる。
【0015】
一実施形態では、スイッチング・アセンブリの任意のスイッチング状態において、回路モジュールの動作中隣接するバッテリ・セル・ユニット間にある電流路において、多くとも1つのスイッチを閉じる。
【0016】
一実施形態では、バッテリ・セル・ユニットの全てが回路モジュールに接続されているとき、隣接するバッテリ・セル・ユニット間にある電流路において、多くとも1つのスイッチを閉じる。
【0017】
一実施形態において、スイッチング・アセンブリの任意のスイッチング状態において、 閉じているスイッチのバッテリ・セル・ユニットに対する比率が、回路モジュールの動作中は1未満である。
【0018】
一実施形態において、バッテリ・セル・ユニットの全てが回路モジュールに接続されているとき、閉じているスイッチのバッテリ・セル・ユニットに対する比率が1未満である。
【0019】
アクティブなバッテリ・セル・ユニット間にある電流路において閉じているスイッチの数を減らすと、スイッチング抵抗による損失を低減し、これによってバッテリ・システムの全体的な性能を高めるという利点がある。
【0020】
各スイッチング・アセンブリは、関連するバッテリ・セル・ユニットを接続する第1スイッチと、関連するバッテリ・セル・ユニットを
切断する第2スイッチとを含むことができる。
【0021】
第1実施形態では、第1端子集合体に対して、関連するスイッチング・アセンブリの第1スイッチが第1端子集合体の負端子に一方側において結合され、第2スイッチに第2側において結合される。関連するスイッチング・アセンブリの第2スイッチは、第1スイッチに一方側において結合され、第1端子集合体の正端子に第2側において結合される。この実施形態では、第2端子集合体に対して、関連するスイッチング・アセンブリの第1スイッチは、第2端子集合体の正端子に一方側において結合され、第2スイッチに第2側において結合される。関連するスイッチング・アセンブリの第2スイッチは、第1スイッチに一方側において結合され、第2端子集合体の負端子に第2側において結合される。
【0022】
第1および第2端子集合体は、それらの関連するスイッチング・アセンブリと共に、回路モジュールの1ユニットを形成することができる。この回路モジュールは、互いに結合された複数のユニットを含むことができる。
【0023】
任意の適したスイッチング・デバイスを使用することができる。ある実施形態では、スイッチング・アセンブリは1つ以上の電気機械式リレーを含むこともできる。スイッチング・アセンブリは1つ以上のトランジスタを含むこともできる。
【0024】
本発明の他の態様によれば、バッテリ・システムを提供する。このバッテリ・システムは、
以上で説明したような回路モジュールと、
回路モジュールに結合された複数のバッテリ・セル・ユニットと、
を含む。
【0025】
一実施形態では、バッテリ・セル・ユニットは、使用済みバッテリ・セル・ユニットである。具体的には、バッテリ・セル・ユニットは、ハイブリッド電気車両または純粋な電気車両のバッテリとして使用されてもよい。
【0026】
一用途では、回路モジュールは、使用済み車両電池を再利用するために使用することができる。具体的には、使用済み自動車用バッテリを、回路モジュールに直列に結合し、電気エネルギ貯蔵のためのバッテリ・システムを提供することができる。このバッテリ・システムは、住宅用または商業用の電気エネルギ貯蔵に対応することができる。
【0027】
更に、このバッテリ・システムは、1つ以上のバッテリ・セル・ユニットを、回路モジュールに結合するために装着することを可能にするように構成されたバッテリ・マウントも含むことができ、回路モジュールの全てのスイッチング・アセンブリがバッテリ・マウントの一方側に配置される。
【0028】
バッテリ・マウントは、1つ以上のバッテリ・セル・ユニットを、その動作寿命における任意の時点において、バッテリ・システムに合わせて改造することを可能にするように構成することができる。これは、バッテリ・セル・ユニットを都合に合わせて追加、削除、および/または交換することを可能にするという利点がある。
【0029】
更に、バッテリ・システムは、回路モジュールのスイッチング・アセンブリを制御するコントローラを含むことができる。このコントローラは、バッテリ・セル・ユニットの充電および放電挙動に基づいて、スイッチング・アセンブリを制御することができる。更に具体的には、コントローラは、充電および/または放電中におけるバッテリ・セル・ユニットの電圧、電流、および/または温度に基づいて、各バッテリ・セル・ユニットの充電および放電挙動を決定することができる。
【0030】
一実施形態では、コントローラは、
バッテリ・セル・ユニットの測定電圧、電流、および/または温度を所定の電圧、電流、および/または温度範囲、および/または第2バッテリ・セル・ユニットの測定電圧、電流、および/または温度と比較し、
バッテリ・セル・ユニットを接続および/または
切断することを決定し、
各バッテリ・セル・ユニットを接続または
切断するようにスイッチング・アセンブリを制御することができる。
【0031】
更に、コントローラはスイッチング・アセンブリを高周波で動作させることもできる。
【0032】
ある実施形態では、複数のバッテリ・セル・ユニットは、個々のバッテリ・セル・ユニットの複合体(combination)、および並列接続セルのブロックを構成する(comprise)ことができる。本明細書では、「バッテリ・セル・ユニット」または「セル・ユニット」という用語は、個々のバッテリ・セルまたは並列に接続されたセルのブロックを指すことができ、同様の論法(reasoning)は、複数のような、これらの用語の変形にも該当する。また、これは並列に接続されたセルのブロックも指すことができ、ヒューズ、抵抗器、またはインダクタのような1つ以上の回路素子が、個々のセルと直列におよび/または並列に接続される。
【0033】
バッテリ・セル・ユニットは、例えば、スーパーキャパシタ等を含む、任意の適したエネルギ貯蔵部品とすることができる。
本発明の他の態様によれば、複数のバッテリ・セル・ユニットを結合するための回路モジュールであって、この回路モジュールは第1サブモジュールと第2サブモジュールとを含む。各サブモジュールは、
第1バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第1端子集合体と、
第2バッテリ・セル・ユニットに結合するための正端子および負端子を有する第2端子集合体と、
を含み、
前記第1端子集合体の正端子が、直接または1つ以上の受動素子を介して、前記第2端子集合体の負端子に結合され、
前記第1端子集合体の負端子、および前記第2端子集合体の正端子が各々、スイッチング・アセンブリに結合され、
前記スイッチング・アセンブリが、前記バッテリ・セル・ユニットの各1つを選択的に接続するまたは切断するように動作的に構成され、
前記スイッチング・アセンブリが、
前記第1バッテリ・セル・ユニットおよび前記第2バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第3バッテリ・セル・ユニットが切断される第1状態における動作と、
前記第1バッテリ・セル・ユニットおよび前記第3バッテリ・セル・ユニットが電気的に直列に接続され、前記第2バッテリ・セル・ユニットが切断される第2状態における動作と、
前記第2バッテリ・セル・ユニットおよび前記第3バッテリ・セル・ユニットが電気的直列に接続され、前記第1バッテリ・セル・ユニットが切断される第3状態における動作と、
を可能にするように動作的に構成される。
スイッチング・アセンブリは、前記複数のバッテリ・セル・ユニットから出力される総電圧を変化させるように、前記バッテリ・セル・ユニットの内任意の1つ以上を選択的に接続または切断するように動作的に構成することができる。
【0034】
本明細書では、「スイッチ」という用語は、電流の流路を変更するように制御することができる1つまたは複数の回路部品を指す。ある実施形態では、スイッチは、1つまたは複数の電気機械式リレーを含む。ある実施形態では、スイッチは1つまたは複数のトランジスタを含む。
【0035】
本発明を一層容易に理解し実施できるようにするために、これより、1つ以上の好ましい実施形態について、一例としてのみ、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリ・システムの回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の他の実施形態によるバッテリ・システムの回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の更に他の実施形態によるバッテリ・システムの回路図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態によるバッテリ・システムの筐体の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態によるバッテリ・システムのバッテリ・パックの斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態によるバッテリ・システムのスイッチ・アセンブリを制御する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態によるバッテリ・システム100を
図1に示す。バッテリ・システム100は、複数のバッテリ・セル・ユニット104に結合するための回路モジュール102を含む。例示の目的に限り、バッテリ・システム100は6つのバッテリ・セル・ユニット104a、104b、104c、104d、104e、104e、104fを含む。しかしながら、バッテリ・システム100では、任意の適した数のバッテリ・セル・ユニット104を含むことができる。バッテリ・システム100は、電気エネルギを外部負荷に供給するため、または外部電源(図示せず)から電気エネルギを受けるためのバッテリ・パック端子101および103を含む。
【0038】
回路モジュール102は、バッテリ・セル・ユニット104と結合するために6つの端子集合体(sets of terminals)106〜116を含み、各端子集合体は、正端子106a、108a、110a、112 a、114a、116aと、対応する負端子106b、108b、110b、112b、114b、116bとを含む。各端子集合体106〜116は、バッテリ・セル・ユニット104に結合するように構成されている(ここでは、関連バッテリ・セル・ユニット104と呼ぶ)。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、バッテリ・システム100または本明細書において説明するバッテリ・システムではいずれも、任意の数の端子およびバッテリ・セル・ユニットを使用できることは、当業者には理解されよう。
【0039】
バッテリ・システム100において、回路モジュール102の素子は、1つの端子集合体の正端子106a、110a、114aが、隣接する端子集合体の負端子108b、118b、116bに直接導体118a〜118cによって結合されるように配置されている。
【0040】
第1端子集合体106の負端子106bはスイッチング・アセンブリ120aに結合されている。スイッチング・アセンブリ120aは、閉じているときバッテリ・セル・ユニット104aを回路モジュール102に接続する第1スイッチ122と、閉じているときバッテリ・セル・ユニット104aを
切断する第2スイッチ124とを含む。更に具体的には、バッテリ・セル・ユニット104aは、第1スイッチ122が閉じており第2スイッチ124が開いているときにアクティブになる、即ち、回路モジュール102に接続される。バッテリ・セル・ユニット104aは、第1スイッチ122が開いており第2スイッチ124が閉じているとき、インアクティブになる、即ち、回路モジュール102から
切断される。
【0041】
同様に、第2端子集合体108の正端子108aは、第2スイッチング・アセンブリ120bに結合されている。スイッチング・アセンブリ120bは、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット104bを回路モジュール102に接続する第1スイッチ126と、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット104bを
切断する第2スイッチ128とを含む。更に具体的には、バッテリ・セル・ユニット104bは、第1スイッチ126が閉じており第2スイッチ128が開いているときに、回路モジュール102に接続され、バッテリ・セル・ユニット104bは、第1スイッチ126が開いており第2スイッチ128が閉じているときに、回路モジュール102から
切断される。
【0042】
したがって、バッテリ・セル・ユニット104aを流れる電流はスイッチ122、124によって制御される。スイッチ122が閉じておりスイッチ124が開いている場合、パック端子101、103間を流れる電流はいずれも、スイッチ122およびバッテリ・セル・ユニット104aを流れる。スイッチ122が開いておりスイッチ124が閉じている場合、パック端子101、103間を流れる電流はいずれもスイッチ124を通過するが、バッテリ・セル・ユニット104aを通過しない。他のバッテリ・セル・ユニット104b〜104fも、それらの関連するスイッチ・アセンブリによって、同様に制御される。
【0043】
2つの端子集合体106、108と、関連するスイッチング・アセンブリ120a、120bとを含む回路レイアウトは、それぞれ、バッテリ・システム100の1つの回路ユニット・ブロック131aを形成する。バッテリ・システム100は、更に2つの回路ユニット・ブロック131b、131cを含み、これらはユニット・ブロック131aと同様に構成されている。3つの回路ユニット131a、131b、131cは、一緒に結合されて全体的なシステム100を形成する。しかしながら、システム100は、想定される(at hand)特定の用途のエネルギ貯蔵要件を満たすために、任意の適した数のユニット・ブロック131を含むことができることは理解されよう。
【0044】
説明したように、バッテリ・セル・ユニット104aの正端子106aは、バッテリ・セル・ユニット104bの負端子108bに直接接続されている。このように回路を構成することによって、バッテリ・セル・ユニット104とスイッチ122、124、126、128間の電流路の長さを延長する必要なく、スイッチ122、124、126、128を、バッテリ・セル・ユニット104a、104bの一方側に、物理的に近接して配置させることができる。有利なことに、この結果製造コストが削減され、空間要件が緩和され、余分な抵抗を回避し、したがって、電流路の長さ延長によって生ずるエネルギ損失を回避する。
【0045】
しかしながら、バッテリ・システム100において、バッテリ・セル・ユニット104aの正端子106aを104dの負端子112bに、バッテリ・セル・ユニット104bおよび104cを介して接続するためには、電流が2つのスイッチ126、130を通過する。この実施形態では、6つのバッテリ・セル・ユニット104a〜104fの全てが電流を搬送するとした場合、電流はスイッチ122、126、130、134、138、および142も通過しなければならない。これは、電流がセル・ユニット毎に1つのスイッチを通過することに対応し、各スイッチにはオン抵抗、および付随するエネルギ損失が生ずる。
【0046】
図2に示すバッテリ・システム200は、全てのバッテリ・セル・ユニット204が回路モジュール202に接続されているときに、このスイッチング状態における電流路において閉じているスイッチの総数を減らすことによって、更に、バッテリ・システムのオン抵抗および付随するエネルギ損失を低減する。これについて、以下で更に説明する。
【0047】
バッテリ・システム200は、結合されている6つのバッテリ・セル・ユニット204a〜204fを受けるように構成された回路モジュール202を含む。しかしながら、バッテリ・システム200では、任意の適した数のバッテリ・セル・ユニット204を使用することができる。バッテリ・システム100は、電気エネルギを外部負荷に供給する、または外部電源(図示せず)から電気エネルギを受けるためにバッテリ・パック端子201および203を含む。
【0048】
回路モジュール202は、バッテリ・セル・ユニット204と結合するための6つの端子集合体206〜216を含む、各端子集合体は、正端子206a、208a、210a、212a、214a、216aと、対応する負端子206b、208b、210b、212b、214b、216bとを有する。各端子集合体は206〜216は、バッテリ・セル・ユニット204に結合するように構成されている。
【0049】
バッテリ・システム200においても、回路モジュール202の素子は、1つの端子集合体の正端子206a、210a、214aが、隣接する端子集合体の負端子208b、212b、216bに直接導体218a〜218cによって接続されるように配置されている。
【0050】
第1端子集合体206の負端子206bは、スイッチング・アセンブリ220aに結合されている。スイッチング・アセンブリ220aは、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット204aを回路モジュール202に接続する第1スイッチ222と、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット204aを
切断する第2スイッチ224とを含む。更に具体的には、バッテリ・セル・ユニット204aは、第1スイッチ222が閉じており第2スイッチ224が開いているときに回路モジュール202に接続され、バッテリ・セル・ユニット204aは、第1スイッチ222が開いており第2スイッチ224が閉じているとき、回路モジュール202から
切断される。これらの端子集合体206a、206bおよびスイッチング・アセンブリ220aを含む回路レイアウトは、第1端部回路ユニット・ブロック231aを形成する。
【0051】
同様に、回路モジュール202の逆側の端部では、端子集合体216の正端子216aがスイッチング・アセンブリ220bに結合されている。スイッチング・アセンブリ220aと同様に、スイッチング・アセンブリ220bは、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット204fを回路モジュール202に接続する第1スイッチ242と、閉じているときにバッテリ・セル・ユニット204fを
切断する第2スイッチ244とを含む。これらの端子集合体216a、216bとスイッチング・アセンブリ220bとを含む回路レイアウトは、第2端部回路ユニット・ブロック231dを形成する。
【0052】
2つの更に他の回路ユニット・ブロック231b、231cが、端部ユニット・ブロック231a、231dの間に結合されている。ユニット・ブロック231bでは、バッテリ・セル・ユニット204bの正端子208aおよびバッテリ・セル・ユニット204cの負端子210bが、スイッチ226、228、230、232を含むスイッチング・アセンブリに結合されている。具体的には、セル・ユニット204bの正端子208aはスイッチ226および228の一方側に接続され、負端子208bはスイッチ230および232の一方側に接続され、セル204cの負端子210bはスイッチ226および230の他方側に接続され、正端子210aはスイッチ228および232の他方側に接続されている。以下の表に示すように、スイッチ226〜232のスイッチング状態にしたがって、バッテリ・セル・ユニット204bおよび204cの各々を接続および/または
切断することができる。
【0054】
バッテリ・セル・ユニット204bおよび204cは、双方共、スイッチ226が閉じておりスイッチ228、230、および232が開いているとき、回路モジュール202に接続される。スイッチ228が閉じておりスイッチ226、230、および232が開いているとき、セル・ユニット204bは回路モジュール202に接続され、セル・ユニット204cは回路モジュール202から
切断される。スイッチ230が閉じておりスイッチ226、228、および232が開いているとき、セル・ユニット204bは回路モジュール202から
切断され、セル・ユニット204cは回路モジュール202に接続される。スイッチ232が閉じておりスイッチ226、228、および230が開いているとき、セル・ユニット204bおよび204cは双方共回路モジュール202から
切断される。回路ユニット・ブロック231cは、回路ユニット・ブロック231bと同様に動作する。
【0055】
バッテリ・システム200におけるセル・ユニット204の総数を減らすために、中間回路ユニット・ブロック231b、231cを、端部ユニット・ブロック231a、231bの間にある回路から除去する、またはこの回路に追加することができる。
【0056】
バッテリ・システム200では、スイッチ222〜244は、少なくとも1つのスイッチング状態の間、バッテリ・セル・ユニット204を隣接するバッテリ・セル・ユニット204に、2つの隣接するバッテリ・セル・ユニット204を接続する電流路においてせいぜい1つのスイッチを閉じることによって結合することができるように配置されている。加えて、システム200は、電流路においてせいぜい1つのスイッチを閉じることによって、バッテリ・セル・ユニットを隣接するまたは隣接しないセル・ユニット204に結合することを可能にする。例えば、バッテリ・セル・ユニット204aは、導体218aによって、そしてスイッチを用いずに、隣接するバッテリ・セル・ユニット204bに結合することができる。バッテリ・セル・ユニット204aは、導体および1つの閉じているスイッチ230を介して、隣接しないバッテリ・セル・ユニット204cに直接結合することができる。バッテリ・セル・ユニット204aは、導体および1つの閉じているスイッチ232を介して、隣接しないバッテリ・セル・ユニット204dに直接結合することができる。この回路素子の構成は、動作中における電流路内のスイッチの総数を削減し、これによって、スイッチのオン抵抗によるオーム・エネルギ損失を低減し、バッテリ・システム200全体のエネルギ効率を高めるという利点がある。
【0057】
したがって、バッテリ・セル・ユニット204aの正端子206aをバッテリ・セル・ユニット204dの負端子212bに接続しつつ、中間バッテリ・セル・ユニット204bおよび204cを接続するには、電流は1つのスイッチ226だけを通過すればよい。このバッテリ・システム200において、6つのバッテリ・セル・ユニット204a〜204fの全てが電流を搬送しようとするとき、4つのスイッチ222、226、234、および242のみが閉じられ、他の全てのスイッチは開いたままである。このスイッチング状態では、電流は4つのスイッチ222、226、234、および242だけを通過するので、スイッチのアクティブなバッテリ・セル・ユニットに対する比率が1未満になる。したがって、バッテリ・システム200は、スイッチに伴うエネルギ損失を低減する。
【0058】
図1と同様、
図2のシステム200も、複数のスイッチを互いに近接して、そしてバッテリ・セル・ユニット204の一方側に配置することができ、実用上、製造コストを削減し空間の制約を緩和することができる。
【0059】
バッテリ・システム300を
図3に示すが、その部分を繰り返して、更に大きなバッテリ・システム(図示せず)を形成することができる。バッテリ・システム300は、結合された4つのバッテリ・セル・ユニット304a〜304dを受けるように構成された回路モジュール302を含む。
【0060】
回路モジュール302は、バッテリ・セル・ユニット304と結合する4つの端子集合体306〜312を含み、各端子集合体は、正端子306a、308a、310a、312aと、対応する負端子306b、308b、310b、312bとを有する。各端子集合体306〜312は、バッテリ・セル・ユニット304に結合するように構成されている。
【0061】
バッテリ・システム300においても、回路モジュール302の素子は、1つの集合体の正端子308a、312aが、隣接する集合体の端子の負端子306b、310bに、導体318a、318bによって直接結合されるように配置されている。
【0062】
第1端子集合体306の正端子306aは、スイッチ322、326を含むスイッチング・アセンブリに結合されている。バッテリ・セル・ユニット304aは、スイッチ322が閉じておりスイッチ324が開いているとき、回路モジュール302に接続され、バッテリ・セル・ユニット304aは、スイッチ322が開いており第2スイッチ324が閉じているとき、回路モジュール302から
切断される。
【0063】
同様に、第2端子集合体308の負端子308bは、スイッチ328、330を含む第2スイッチング・アセンブリに結合されている。バッテリ・セル・ユニット304bは、スイッチ330が閉じておりスイッチ328が開いているときは、回路モジュール302に接続され、バッテリ・セル・ユニット304bは、スイッチ330が開いており第2スイッチ328が閉じているときは、回路モジュール302から
切断される。端子310および312に関連するスイッチング・アセンブリは、同様に動作する。
【0064】
したがって、バッテリ・システム300は、
図1のバッテリ・システム100と同様に動作する。スイッチ324、328の双方を閉じなければならないスイッチング・シーケンスにおいて、追加のスイッチ326を閉じる。2つのスイッチ324、328の代わりに1つのスイッチ326を使用することによって、スイッチ抵抗によって生ずる損失を低減する。スイッチ321、333、338は、スイッチ326と同様の機能を果たす(serve)。
【0065】
システム300において、全てのセル・ユニット304a〜304dが電流路に接続されているとき、電流は2つのスイッチ321、333だけに流れる。このスイッチング状態では、電流が通過するスイッチは、アクティブなバッテリ・セル・ユニット304当たり1つ未満であり、これによって、スイッチのアクティブなバッテリ・セル・ユニットに対する比率も1未満になる。
【0066】
バッテリ・システムのバッテリ・パック筐体400を
図4に示す。筐体400は、回路モジュール102、202、302に結合するために個々のバッテリ・セル・ユニット104、204、304を取り付けるおよび取り外すバッテリ・マウント302を備えている。具体的には、バッテリ・マウント402は複数のエンクロージャ404を含み、各エンクロージャは、バッテリ・セル・ユニット104、204、304を内部に受け入れるように構成されている。バッテリ・マウント402によって、バッテリ・セル・ユニット104、204、304を容易に着脱可能および交換可能にすることができる。
【0067】
筐体400は、バッテリ・セル・ユニット104、204、304を回路モジュール102、202、302に結合する導体を含む扉406を含む。例えば、保守のために扉406を開くと、筐体400内部にあるバッテリ・セル・ユニット104、204、304は切断される。複数のバッテリ・パックを含み、各バッテリ・パックが筐体400を含むバッテリ・システムでは、筐体400の内任意の1つにおけるバッテリ・セル・ユニット104、204、304を保守する(maintain)には、各々別個の筐体400を有する隣接するバッテリ・パックの動作に影響を及ぼすことなく、扉406を通じて行うことができる。
【0068】
更に、小型化(compactness)を求め、導体の抵抗による損失および製造コストを低減するために、スイッチング・アセンブリを内蔵する集積回路をバッテリ・パック筐体400の一方側408に配置する。
【0069】
バッテリ・システムの代わりのバッテリ・パック500を
図5に示す。バッテリ・パック500は、
図4に示したのと同様のバッテリ・マウント502を有する。しかしながら、バッテリ・パック500の筐体は、各バッテリ・セル・ユニットに、それ自体の個々の接続インターフェース504を設けているので、バッテリ・パック500において接続されている他のバッテリ・セル・ユニット104、204、304の動作を途絶させることなく、各個々のバッテリ・セル・ユニット104、204、304を除去/交換/保守することができる。
【0070】
以上で説明したスイッチング・アセンブリの適切なスイッチング・シーケンスを決定するために、駆動回路を含むコントローラを設ける。ある実施形態では、このコントローラは全てのスイッチング・アセンブリを集中制御する集中コントローラである。他の実施形態では、コントローラは、1つ以上の分散コントローラ(decentralised controller)を含むことができ、各分散コントローラがスイッチング・アセンブリの部分集合を制御する。
【0071】
これより
図6に移り、スイッチング・アセンブリを制御する方法600について説明する。
【0072】
ステップ602において、バッテリ電圧および/またはバッテリ電流の測定値、電圧および/または電流についての閾値、および/または履歴バッテリ測定データに基づいて、各バッテリ・セル・ユニット104、204、304の充電および放電容量を判定する。
【0073】
ステップ604において、コントローラは、各バッテリ・セル・ユニット104、204、304の容量を、最大から最小までまたはその逆に順位付けし、容量が最も大きいセル・ユニットの容量と、容量が最も小さいセル・ユニットの容量との和を二分することによって、閾値容量を決定する。
【0074】
問い合わせステップ606において、コントローラは、所与のバッテリ・セル・ユニット104、204、304の充電および放電容量が、ステップ604において決定した閾値よりも大きいかまたは小さいか判定する。特定のバッテリ・セル・ユニット104、204、304の容量が閾値よりも大きい場合、方法600はステップ608に進み、大きくない場合、方法600はステップ610に進む。
【0075】
ステップ608において、関連するスイッチング・アセンブリにおいて該当するスイッチを開くまたは閉じることによって、特定のバッテリ・セル・ユニットをアクティブにする、即ち、回路モジュールに接続する。
【0076】
ステップ610において、関連するスイッチング・アセンブリにおいて該当するスイッチを開くまたは閉じることによって、特定のバッテリ・セル・ユニットをインアクティブにする、即ち、回路モジュールから切断する。
【0077】
方法100は、それぞれの回路モジュール100、200、300に接続されているバッテリ・セル・ユニット104、204、304が完全に充電または放電されるまで、繰り返す。
【0078】
ある実施形態では、2つ以上の閾値容量を決定し、用途の要件に基づいて使用することができる。例えば、コントローラは、下位閾値(容量が最も大きいセル・ユニットの容量と容量が最も小さいセル・ユニットの容量との和に1/3を乗算することによって計算する)、および上位閾値(容量が最も大きいセル・ユニットの容量と容量が最も小さいセル・ユニットの容量との和に2/3を乗算することによって計算する)を決定し、下位閾値よりも小さい容量を有するバッテリ・セル・ユニットを1/3の時間だけ有効化し、下位閾値よりも大きく上位閾値よりは小さい容量を有するバッテリ・セル・ユニットを2/3の時間だけ有効化し、更に上位閾値よりも大きい容量を有するバッテリ・セル・ユニットを全時間有効化する。この方法は、例えば、もっと多いバッテリ・セル・ユニットを有するバッテリ・パックのために、同様に、3つ以上の閾値を有するように変更することができる。
【0079】
ある実施形態では、コントローラは、バッテリ・システムの性能を最適化するための保守要件に基づいて、各バッテリ・セル・ユニット104、204、304を監視することもできる。この最適化は、バッテリ・セル・ユニットの挙動に関する入力を考慮に入れる。バッテリ・セル・ユニットの挙動には、1つ以上の電圧、電流、および/または温度の現在および/または過去の測定値、セル・ユニットの充電状態および/または健全性状態の現在および/または過去の計算を含むことができる。また、これは、バッテリ保守要件に関する入力も考慮に入れることができ、保守要件には、バッテリ保守に伴う財務コスト、次のバッテリ保守が、運用上実施可能または有利なのはいつかというスケジュールを含むことができる。
【0080】
次の保守の好機がいくらか離れているという1つのシナリオでは、この最適化は、性能が低いバッテリ・セル・ユニットの利用を減らし、したがって経年変化を低減し、次の保守の好機までそれらの寿命を引き延ばすこともできる。
【0081】
次の保守が差し迫っているという別のシナリオでは、この最適化は、弱くなったバッテリ・セル・ユニットの利用を増やして、保守の一部としてそれらが交換される前に、それらの利用度を最大化することができる。
【0082】
他の実施形態では、コントローラはバッテリ・セル・ユニットの特性の自動識別を実行する。性能にばらつきがあるバッテリ・セル・ユニットを使用するとき、バッテリ・セル・ユニットの使用最適化のための入力を供給するためには、特性を識別することに価値があることが多い。既存の技術的現状の方法では、バッテリ・データの手作業による入力を必要とし、バッテリ・セル・ユニットにラベルが付けられる。これは、時間がかかり、および/または誤りが起こりやすい作業となる可能性がある。一実施形態では、電圧、電流、および/または温度の測定値を含むがこれらには限定されない、1つ以上のバッテリ・セル・ユニットの充電および放電挙動を監視することによって、自動識別を行うことができる。次いで、システムは、観察した挙動を、セル・ユニットの種類および/または化学的性質(chemistries)についての情報のデータベースと比較することができる。このデータベースは、バッテリの化学的性質を含むことができるがこれに限定されない特性を示すのでもよく、これらの特性は、上限および/または下限電圧、電流限界値、温度限界値、および/または特定の利用率(specific utilisation factor)に対する経年変化の影響に結び付けることができる。
【0083】
解釈
特許請求の範囲を含む本明細書は、以下のように解釈されることを意図している。
【0084】
本明細書において説明した実施形態または例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示することを意図している。本発明は、当業者には容易に想起される種々の変更および追加を加えて実施することができる。したがって、本発明の範囲は、説明または例示した構造および動作そのものに限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることは理解されよう。
【0085】
本明細書における方法ステップまたは製品要素の単なる開示(mere disclosure)は、明示的に述べられている場合または請求項において明示的に記載されている場合を除いて、特許請求する発明にとって必須であると解釈してはならない。
【0086】
請求項における用語は、基準日(relevant date)の時点において当業者によって与えられた最も広い範囲の意味を有するものとする。
【0087】
「a」および「an」という用語は、別段明示的に指定されないならば、「1つ以上」を意味する。
【0088】
本願の名称も要約書も、特許請求する発明の範囲を限定するように解釈しては決してならない。
【0089】
請求項の前提部が、特許請求する発明の目的、利点、または可能な用法を記載する場合、それは、特許請求する発明を、その目的、利点、または可能な用法のみを有することに限定するのではない。
【0090】
本明細書では、請求項も含み、「備える」(comprise)という用語、および「備える」 (comprises)または「備えている」(comprising)というようなこの用語の変形は、別段明示的に指定されていなければ、あるいはコンテキストまたは用法においてこの用語の排他的な解釈が必要でないならば、「含むが限定されない」ことを意味するために使用されるものとする。
【0091】
本明細書において引用した文書はいずれも、その開示内容が、引用によって本特許明細書に本開示の一部として含まれるものとするが、明細書を記載することおよび実施を可能にすることだけを目的とするのであって、本願のいずれの用語も限定、定義、またはそれ以外で解釈するために使用されては決してならない。本願は、このような引用による編入(incorporation by reference)がなくても、解明可能な意味を明示し(provide)損なうことはない。引用による編入それ自体は、いずれも、含まれる文書のいずれに収容されるいずれの言明、意見、または論点(argument)の承認も批准も全く意味しない。
【0092】
本明細書において背景技術または先行技術を参照する場合はいずれも、そのような背景技術や先行技術が、関連分野における共通の一般知識を示すことの承認ではなく、また特許請求の範囲の有効性に関して適格な先行技術であることの承認でもない。