(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多孔質シャンクが、約80〜約150ミクロンの平均孔サイズを有し、前記多孔質ナブは、約30〜約60ミクロンの平均孔サイズを有し、前記多孔質ヘッドは、約10〜約30ミクロンの平均孔サイズを有する、請求項1に記載のニブ。
前記多孔質シャンクが30%〜50%の多孔度を有し、前記多孔質ナブが30%〜50%の多孔度を有し、前記多孔質ヘッドが30%〜70%の多孔度を有する、請求項1に記載のニブ。
前記エラストマー粒子が、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、水素化SEBSおよびアクリロニトリル−1,3−ブタジエン(NBRまたはニトリルゴム)からなる群から選択される、請求項12に記載のニブ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される複数要素の多孔質ニブ10は、一般的に3つの主要セクション:シャンク12、ナブ14およびヘッド16を有する。いくつかの実施形態では、複数要素の多孔質ニブは、2つの主要セクション:シャンクおよびヘッドを有する。
図1〜
図3に示すように、シャンク12は、ニブ10および20の第1の端部にあり、インクリザーバ38(
図3)内に延びている。
図1のナブ14および
図2のナブ24は、それぞれニブ10または20の中央にある。ナブは、
図3のアプリケータハウジング58の内壁との機械的結合を提供する。ニブ10のヘッドチップ17および
図2のニブ20のヘッドチップ56は、ニブの第2の端部に位置し、液体の塗布のために表面と直接接触する。シャンク、ナブおよびヘッドを含むニブ10およびニブ20の本体は、共焼結プロセスによってポリマー性粒子から同時に形成される。ニブ10およびニブ20は、区別可能な孔サイズの要素を有する単一ピースの多孔質の媒体である。ニブは単一熱焼結工程で形成され、シャンク、ナブおよびヘッドを含むニブの孔が関連する。
【0017】
ニブ10は、以下の特性および構造を有する。最大孔サイズを有する第1の要素は、多孔質シャンク12である。多孔質シャンク12は、液体リザーバ内の高固形分含量の液体と直接接触するニブ10のシャンク端部に位置する。この要素は、最も高い液体流量および最も低い毛細管力を有する。第1の要素は、液体リザーバから液体を引き出すように設計されている。中程度の孔サイズを有する第2の要素は、ナブ14と呼ばれる。ナブ14は、ニブ10の中央に位置する。第2の要素は、第1の要素よりも低い液体流量およびより高い毛細管力を有する。第2の要素は、第1の要素から液体を引き出し、ニブから液体が滴り落ちるのを防止するように設計される。最も小さい孔サイズを有するヘッド16と呼ばれる第3の要素は、ニブのシャンク端部の反対側の端部にある。この第3の要素は、最も低い液体流量を有するが、最も高い毛細管力を有する。第3の要素は、第2の要素から液体を引き出すように設計されており、快適な筆記体験および良好な筆記効果を提供する。この三要素ニブ設計は、ターゲット表面上への一貫した液体塗布速度および/または優れた筆記効果を提供する。
【0018】
一実施形態では、複数要素ニブの多孔質シャンク12、ナブ14およびヘッド16は、プラスチック粒子を焼結することによって作製される。別の実施形態では、複数要素ニブのヘッド16は、エラストマー粒子と組み合わせてプラスチック粒子を焼結することによって作製される。
【0019】
焼結多孔質の複数要素ニブの異なる要素は、区別可能な孔サイズ、毛細管力および液体流量を有する。より小さい孔サイズを有するニブ要素は、より低い流体流量およびより高い毛細管力を有する。より大きな孔サイズを有するニブ要素は、より高い流体流量およびより低い毛細管力を有する。
【0020】
本発明はまた、焼結多孔質の複数要素ニブを含むアプリケータ機器を用いて、高固形分含量の液体をターゲット表面上に送達する方法を提供する。
【0021】
本発明は、アプリケータハウジング内に焼結多孔質の複数要素ニブを含む液体塗布機器を提供する。複数要素ニブのナブは、液体の漏れを防止する様式でハウジング内に構成されている。
【0022】
本願では、複数要素という用語は、最低3つの要素を意味する。現在市販されている製品は、1つまたは2つの要素を有する。
【0023】
本発明の要素は、比較的均一な孔サイズおよび多孔度を有する同じポリマーを含む区別可能な物理的構造を意味する。同じポリマーは、ポリマーが同じ化学組成を有することを意味する。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンを含むすべてのポリエチレンは、同じポリマーである。ポリエチレンとポリプロピレンは異なる化学構造を有するため、異なるポリマーである。
【0024】
本発明の複数要素ニブは、一般に、シャンク12、ナブ14、およびヘッド16の3つの区別可能なセクションを含む(ヘッドは本明細書では「チップ」とも称される場合があり、チップセクションは数字17と称される)。これらの3つのセクションはそれぞれ独自の機能を有する。シャンク12は、液体リザーバ38から液体を引き出すためのものである。ナブ14は、
図3に示すように、アプリケータをアプリケータハウジング31の内壁58に取り付けるためのものである。ナブ14は、流体が分配されるにつれて空気がアプリケータ30内に流れることを可能にするために、ハウジングの内壁と接触しない小さな領域(1つ以上の領域であってもよい)を有していてもよい。これらの領域の例は、
図4A〜Cに示されている(41、45、49参照)。これらの領域はベントとして機能する。ヘッド16は、ターゲット表面に液体を塗布するためのものである。ターゲット表面には、プラスチック、金属、紙、キャンバス、皮膚、毛髪、組織または創傷が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の要素はシャンクに関連し、第2の要素はナブに関連し、他の要素はヘッドに関連する。
【0026】
焼結多孔質ポリマー性の複数要素ニブをハウジングし得る高固形分液体塗布機器の例には、粘性医療用接着剤アプリケータ、ドライイレースマーカー、化粧用アプリケータ、例えばアイライナーペン、アイブロウペン、マニキュアペンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の複数要素アプリケータの要素は、異なる毛細管引き出し力を有する。異なる実施形態において、シャンクは、約80〜約150ミクロン、約90〜約140ミクロン、または約100〜約130ミクロンの孔サイズを有する。様々な実施形態において、ナブは、約30〜約60ミクロン、約40〜約60ミクロン、または約50〜約60ミクロンの孔サイズを有する。異なる実施形態では、ヘッドは、少なくとも10ミクロン、約10〜約30ミクロン、または約15〜約30ミクロンの孔サイズを有する。いくつかの実施形態では、ナブ内の孔サイズは、シャンク付近でより大きく、ヘッド付近でより低くてもよい。シャンクの孔サイズは、ナブおよびヘッドの孔サイズより大きい。シャンクの孔サイズは、液体配合物および液体リザーバ毛細管力に依存する。シャンクの毛細管力は、一定の速度で液体リザーバから液体を引き出すのに十分強くなければならず、液体溶液中の化学および固体成分にも影響を与えてはならない。シャンクの直径は、通常、ナブまたはヘッドの直径よりも小さく、シャンク中の流れは、ナブまたはヘッド中の流れ以上でなければならない。本発明において筆記用具として使用されるアプリケータの場合、アプリケータに適切な引き出し力および十分な液体流量を提供するために、シャンクの孔サイズは80ミクロンより大きくすべきである。シャンクの孔サイズが80ミクロンよりも小さい場合は、シャンクの毛細管力がより高い場合であっても、アプリケータのための十分な液体の流れが得られない。
【0028】
ナブの孔サイズは、シャンクの孔サイズよりも小さいが、ヘッドの孔サイズよりも大きい。ナブの孔サイズは、複数の機能を提供するように最適化される。ナブは、シャンクよりも高い毛細管力を有し、シャンクから液体を引き出し、液体をヘッドに送る。ナブは、アプリケータハウジングへの挿入および固定のための良好な機械的強度を提供する。ナブはまた、重力および負の環境圧力のために液体がそこを通って滴り落ちるのを防ぐのに十分な毛細管力を有する。
【0029】
ヘッドの孔サイズは、シャンクおよびナブの孔サイズより小さい。孔サイズが小さすぎて液体流れを減少させ、液体中の固体成分を濾過できないことはあり得ないが、ヘッドの孔サイズは強い毛細管力を提供してナブから液体を引き出す。ヘッドのより小さい孔サイズはまた、ヘッドの自由端部、チップをターゲット表面に適用する場合にユーザに柔らかい感触を提供し、ターゲット表面への液体のより正確な塗布を提供する。
【0030】
本発明の複数要素ニブの設計は、高固形分含量液体送達の最適化された性能を提供し、異なる塗布および保存条件下での液体漏れを防止する。ニブは、液体リザーバからシャンクへ、シャンクからナブへ、およびナブからヘッドへの毛細管引き出し力および流れ抵抗を制御している。
【0031】
これら3つの要素に加えて、より多くの要素を焼結多孔質ポリマー性の複数要素アプリケータニブに添加して、所望の液体送達および塗布特性を提供することができる。1つの例を
図2に示す。例えば、ニブのヘッド26は、チップ56および本体54のような2つの異なる要素を含んでいてもよい。チップエリア56は表面と接触し、軟質多孔質材料を含んでいてもよい。本体54は、比較的剛性の材料を含んでいてもよい。別の実施形態では、ナブは、異なる孔サイズおよび多孔度を有する2つの区別可能な要素を含んでいてもよい。本発明の異なる実施形態において、焼結多孔質ポリマー性の複数要素アプリケータは、4、5、6、7、8またはそれ以上の要素を含んでいてもよい。
【0032】
ナブは、任意に、液体塗布プロセス中の空気抜きのための少なくとも1つの浅いエリアを含む。ベントの直径および深さは、バレル内への十分な空気流を可能にするとともに、ナブとアプリケータバレルの内壁との間の液体漏れを防止するように設計される。3つのナブの例を
図4の断面図に示す。
図4Aにおいて、ナブ40はベント41を有する。この例では、ベント41は、そうでなければ円筒形状の断面ナブ上に略平坦な表面として設けられる。
図4Bでは、ノッチ付ベント45を有する代替ナブ44が示されている。
図4Cには、2つのノッチ付ベント49を有するさらなるナブ48が示されている。ノッチ付きベントは、そうでなければ円筒形状の断面ナブから概ねV字形状に示されているが、切欠きの代替形状が可能であることは理解されるべきである。例えば、ベントは、湾曲した、正方形または長方形の形状であってもよく、または他のいずれかの形状を有していてもよい。ベントは、任意でヘッド内に延ばすことができる。
【0033】
一実施形態では、複数要素ニブは2つのセクションであるシャンクセクションとヘッドセクションとを有する。一例を
図6に示す。このニブ60は、シャンクセクション12およびヘッドセクション66を有する。ニブのヘッドセクション66は、ヘッドチップ64とヘッド本体63との2つの要素を含んでいてもよく、ヘッドチップ要素64は、ヘッド本体要素63よりも小さな孔サイズを有する。ヘッドチップ64は表面と接触し、軟質多孔質材料を含んでいてもよい。ヘッド本体63は、比較的剛性の材料を含んでいてもよい。シャンク12は、2つの区別可能な要素;シャンクヘッド接続要素62およびシャンクリザーバ接続要素61を含んでいてもよい。シャンクリザーバ接続要素61は、アプリケータのリザーバ内に延び、液体に接触し、シャンクリザーバ接続要素61を通って、ヘッド本体63に接触するシャンクヘッド接続要素62に液体を送り、流体がヘッド本体63を通ってヘッドチップ64の中に流れることを可能にする。ヘッドチップ64を表面に接触させると、流体はヘッドチップ64から表面上に流れる。シャンクリザーバ接続要素61は、シャンクヘッド接続要素62よりも高い孔サイズを有する。特定の実施形態では、ヘッド本体要素63およびシャンクヘッド接続要素62は、同じ孔サイズおよび多孔度を有する。この実施形態では、シャンクは、アプリケータの内壁と接触し、アプリケータ内に摩擦嵌合する。
【0035】
高固形分を含むインクは、1%を超えて10%までの懸濁顔料粒子(体積%)または少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%の懸濁顔料粒子を含む。いくつかの実施形態では、高固形分を含むインクは、1%を超えて5%までの懸濁顔料粒子(体積%)を含む。
【0036】
ドライイレースマーカー用の一般的なインク組成物は、米国特許出願公開第20040182281号明細書、米国特許第6031023号明細書、および米国特許第20100008711号明細書に開示されている。
【0037】
高固形分含量液体化粧品のためのインク配合物は、国際公開第2008145258号および欧州特許出願公開第1462084A1号明細書に開示されている。
【0038】
高固形分を含む化粧品は、1%を超えて10%までの懸濁固体粒子(体積%)または少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の懸濁固体粒子を含む。いくつかの実施形態では、高固形分を含む化粧品は、1%を超えて5%まで、1%を超えて4.5%まで、1%を超えて4%までの懸濁固体粒子(体積%)を含む。
【0039】
医療用接着剤組成物は、米国特許第7094250号明細書に開示されている。本発明の複数要素ニブを含むアプリケータを用いて塗布されてもよい他の流体には、防腐剤、抗菌剤、抗生物質、接着剤、および高固形分含量の他の液体治療剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
1つの特定の実施形態では、焼結多孔質ポリマー性の複数要素アプリケータニブは、焼結多孔質プラスチックで作製される。さらに別の実施形態では、多孔質複数要素アプリケータニブのヘッドは、エラストマー材料と組み合わせた焼結多孔質プラスチックで作製される。エラストマー材料を含めると、一般にニブヘッドの圧縮性が向上する。
【0041】
焼結多孔質プラスチック材料は、一般に、剛性で自己支持性である。いくつかの用途では、可撓性で伸縮性のある多孔質材料がその柔軟性および弾性のために好ましい。この場合、1つ以上のエラストマー材料は、ニブのヘッドの焼結プラスチック粒子と組み合わせて使用される。プラスチック粒子で焼結して焼結多孔質エラストマー媒体にできるエラストマー材料がここで提供される。一実施形態では、ニブヘッドの焼結多孔質材料は、様々な硬度、可撓性および耐久性を有する多孔質ニブのヘッドを提供するために、プラスチックとエラストマー材料との混合物で作製される。例えば、ニブのヘッドは、所望の剛性および柔軟性の組み合わせを有する焼結多孔質材料を製造し、ニブの使用およびヘッドチップの表面への適用中に、手の感触が適切であることを確実にするために、プラスチック材料およびエラストマー材料の混合物から作製されてもよい。ニブのヘッドのプラスチック材料およびエラストマー材料の潜在的な比は、9.9〜0.1、9.5:0.5〜0.5:9.5、9:1〜1:9、8:2〜2:8、7.5〜2.5または7.0〜3.0で変化し得る。
【0042】
多くの要因が、焼結多孔性ポリマー性材料の孔サイズに影響を及ぼし得る。これらの要因には、ポリマーの粒径、ポリマーの特性、焼結温度および期間、焼結圧力などが含まれる。一般に、より大きいポリマー粒子は、より大きな孔サイズを生成する。
【0043】
複数要素多孔質ニブの作製に使用できる熱可塑性材料
【0044】
一部の実施形態において、本発明の複数要素多孔質ニブに使用するのに適したプラスチックは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、硬質ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルフォン、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンまたはポリスルホン、ならびにこれらの組み合わせおよびコポリマーが挙げられる。本発明の複数要素多孔質ニブには、1つ以上のプラスチックを使用してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/またはそれらのコポリマーを含む。一実施形態では、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。本明細書で使用される場合、高密度ポリエチレンは、約0.93g/cm
3〜約0.97g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンを指す。一実施形態では、ポリエチレンは、中密度のポリエチレンを含む。本明細書で使用される場合、中密度ポリエチレン(MDPE)は、約0.92g/cm
3〜約0.93g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンを指す。一実施形態では、ポリエチレンは、低密度ポリエチレンを含む。本明細書で使用される場合、低密度ポリエチレン(LDPE)は、約0.91g/cm
3〜約0.92g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンを指す。一実施形態では、ポリエチレンは、線状低密度ポリエチレンを含む。本明細書で使用される場合、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、約0.91g/cm
3〜約0.92g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンを指す。一実施形態では、ポリエチレンは、超低密度ポリエチレンを含む。本明細書で使用される場合、超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、約0.89g/cm
3〜約0.91g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンを指す。別の実施形態において、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。本明細書で使用される場合、超高分子量ポリエチレンは、1,000,000を超える分子量を有するポリエチレンを指す。別の実施形態では、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(VHMWPE)を含む。本明細書で使用される場合、超高分子量ポリエチレンは、300,000より大きく、1,000,000未満の分子量を有するポリエチレンを指す。別の実施形態では、本発明のポリエチレンは、架橋ポリエチレンであることができる。
【0046】
任意に複数要素多孔質ニブのヘッドにプラスチックと共に使用されるエラストマー材料
【0047】
いくつかの実施形態によれば、本発明の複数要素多孔質ニブのヘッドにおけるプラスチック粒子と組み合わせて使用するのに適したエラストマーは、熱可塑性エラストマー(TPE)を含む。熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。熱可塑性ポリウレタンは、いくつかの実施形態では、ポリウレタンとポリエステルまたはポリエーテルとを含むマルチブロックコポリマーを含む。
【0048】
他の実施形態では、本発明の複数要素多孔質ニブのヘッドにおけるプラスチック粒子と組み合わせて使用するのに適したエラストマーは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブチルゴム、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、エラストマーは、EPMと呼ばれるエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマーおよびエチレン−ヘキセンコポリマーなどのエチレンと他のモノマーとのコポリマーを含む。別の実施形態では、エラストマーは、EPMと呼ばれるエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマーおよびポリエチレン−ヘキセンコポリマーなどのプロピレンと他のモノマーとのコポリマーを含む。さらなる実施形態では、エラストマーは、塩素化ポリエチレンまたはクロロスルホン化ポリエチレンを含む。さらなる実施形態では、エラストマーはエチレンビニルアセテート(EVA)を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の複数要素多孔質ニブのヘッドにおけるプラスチック粒子と組み合わせて使用するのに適したエラストマーは、1,3−ジエンおよびその誘導体を含む。1,3−ジエンとしては、スチレン−1,3−ブタジエン(SBR)、不飽和カルボン酸とのスチレン−1,3−ブタジエンターポリマー(カルボキシル化SBR)、アクリロニトリル−1,3−ブタジエン(NBRまたはニトリルゴム)、イソブチレン−イソプレン、シス−1,4−ポリイソプレン、1,4−ポリ(1,3−ブタジエン)、ポリクロロプレン、ならびにイソプレンまたは1,3−ブタジエンとスチレンとのブロックコポリマー、例えばスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)または水素化SEBSが挙げられる。他の実施形態では、エラストマーは、ポリアルキレンオキシドポリマー、アクリル、またはポリシロキサン(シリコーン)またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
さらなる実施形態において、本発明の複数要素多孔質ニブのヘッドにおけるプラスチック粒子と組み合わせて使用するのに適したエラストマーは、いくつかの実施形態において、Forprene(登録商標)、Laprene(登録商標)、Skypel(登録商標)、Skythane(登録商標)、Synprene(登録商標)、Rimflex(登録商標)、Elexar(登録商標)、Flexalloy(登録商標)、Tekron(登録商標)、Dexflex(登録商標)、Typlax(登録商標)、Uceflex(登録商標)、Dexflex(登録商標)、Engage(登録商標)、Hercuprene(登録商標)、Hi−fax(登録商標)、Innopol(登録商標)、Novalene(登録商標)、Kraton(登録商標)、Muti−Flex(登録商標)、Evoprene(登録商標)、Hytrel(登録商標)、Nordel(登録商標)、Versify(登録商標)、Vistamaxx(登録商標)、Viton(登録商標)、Vector(登録商標)、Silastic(登録商標)、Santoprene(登録商標)、Elasmax(登録商標)、Affinity(登録商標)、Attane(登録商標)、Septon(登録商標)およびSarlink(登録商標)を含む。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態による、ニブのヘッドにおける焼結ポリマー性エラストマー材料およびプラスチック材料は、多孔質である。一実施形態では、例えば、焼結ポリマー性エラストマーおよびプラスチック材料は、約10%〜約90%の範囲の多孔度を有する。別の実施形態において、焼結ポリマー性エラストマーおよびプラスチック材料は、約20%〜約80%または約30%〜約70%の範囲の多孔度を有する。さらなる実施形態では、ニブヘッドの焼結ポリマー性エラストマーおよびプラスチック材料は、約40%〜約60%の範囲の多孔度を有する。シャンクの多孔度範囲は約30%〜約50%である。ナブの多孔度の範囲は、約30%〜約50%である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態による焼結多孔質ポリマー性の複数要素ニブのヘッドは、約0重量パーセント(重量%)〜約30重量%、約5重量%〜約30重量%、または約10重量%〜約30重量%の範囲の量で少なくとも1つのエラストマーを含む。他の実施形態では、ヘッドは、約2重量%〜約20重量%の範囲の量で少なくとも1つのエラストマーを含む。別の実施形態では、ヘッドは、約5重量%〜約20重量%の範囲の量で少なくとも1つのエラストマーを含む。これらの実施形態では、プラスチックは、焼結されたポリマー性材料の残部または残部の大部分を構成する。いくつかの実施形態では、2つ以上のプラスチックをヘッドのエラストマーと組み合わせてもよい。
【0054】
本発明の複数要素多孔質ニブの要素は、異なる範囲の孔サイズを有する。シャンク、ナブおよびヘッドの孔サイズは、一般に約80ミクロン〜約150ミクロンである。シャンクは、約80〜約150ミクロン、約90〜約140ミクロン、または約100〜約130ミクロンの孔サイズを有する。ナブは、約30〜約60ミクロン、約40〜約60ミクロン、または約50〜約60ミクロンの孔サイズを有する。ヘッドは、少なくとも10ミクロン、約10〜約30ミクロン、または約15〜約30ミクロンの孔サイズを有する。いくつかの実施形態では、ナブの孔サイズは、シャンクの近くでより大きく、ヘッドの近くで低くてもよい。
【0056】
一実施形態では、焼結多孔質複数要素ニブを提供することは、複数のポリマー性粒子をモールドキャビティに提供し、ポリマー性粒子を焼結することを含む。
【0057】
本発明のポリマー性粒子は、ニブのヘッドで使用するためのプラスチック粒子、エラストマー粒子およびプラスチック粒子とエラストマー粒子との組み合わせを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子は、約1μm〜約1mmの範囲の平均サイズを有する。別の実施形態において、ポリマー性粒子は、約10μm〜約900μm、約50μm〜約500μm、または約100μm〜約400μmの範囲の平均サイズを有する。さらなる実施形態において、ポリマー性粒子は、約200μm〜約300μmの範囲の平均サイズを有する。いくつかの実施形態において、ポリマー性粒子は、約1μm未満または約1mmを超える平均サイズを有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子は、約94℃〜約370℃の範囲の温度で焼結される。いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子は、約150℃〜約260℃の範囲の温度で焼結される。いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子は、約165℃〜約205℃の範囲の温度で焼結される。本発明の実施形態によれば、焼結温度は、ポリマー粒子の性質に依存し、およびポリマー性粒子の性質に応じて選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子は、約30秒〜約30分の範囲の時間にわたって焼結される。他の実施形態では、ポリマー性粒子は、約1分〜約15分または約5分〜約10分の範囲の時間にわたって焼結される。いくつかの実施形態では、焼結プロセスは、加熱、浸漬、および/または加熱処理(cooking)サイクルを含む。さらに、いくつかの実施形態では、ポリマー性粒子の焼結は、周囲圧力(1気圧)下で行われる。他の実施形態では、ポリマー性粒子の焼結は、周囲圧力よりも高い圧力下で行われる。
【0061】
当業者にとって、物体のサイズおよび材料に依存して、焼結温度および時間を変えることは既知である。
【0062】
本発明の三要素ニブは、三要素ニブの形状のキャビティを有する金属モールドを作製し、キャビティのヘッドセクションを、30ミクロン〜約150ミクロンの平均粒径を有するプラスチック粒子で充填し;キャビティのナブセクションを、150ミクロン〜約250ミクロンの平均粒径を有するプラスチック粒子で充填し;キャビティのシャンク部品を250ミクロン〜約500ミクロンの平均粒径を有するプラスチック粒子で充填し;所望の温度および時間でモールドキャビティ内側のプラスチック粒子を焼結して3つの区別可能な孔サイズ要素を有する三要素ニブを形成することによって作製した。温度は、ポリマー粒子組成に依存し、ポリエチレンの場合、140℃〜190℃は、当業者に既知のように一般的に使用される温度である。焼結時間は部品サイズに依存し、大きな部品はより長い焼結時間を必要とする。焼結時間は2分〜15分の範囲であることができる。
【0063】
特定の実施形態では、プラスチック粒子は、HDPE、VHMWPEおよびUHMWPEを含むポリエチレンである。
【0064】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、同時に、その限定を構成するものではない。それどころか、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書の説明を読んだ後に、当業者に示唆される様々な実施形態、改変および等価物が与えられ得ることが明確に理解されるべきである。
【実施例1】
【0065】
三要素ニブ
【0066】
本発明のいくつかの複数要素ニブは、シャンクセクション、ナブセクションおよびヘッドセクションの3つのセクションを有する。この例では、複数要素ニブの3つの要素は、各セクション内に1つの孔サイズ要素しかないので、ニブの3つのセクションと同じである。シャンクセクションは大きな孔サイズ要素であり、ナブセクションは中程度の孔サイズ要素であり、ヘッドセクションは小さい孔サイズ要素である。
【0067】
図1の三要素筆記用具ニブ10は、シャンクセクション12と、ナブセクション14と、ヘッドセクション16とを有する。シャンクセクション12は、一般に、細長いロッドの形態であってもよい。シャンクセクションは、一般に、円形の断面を有することが想定されているが、他の断面形状も可能であり、本開示の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。シャンクセクション12の長さは、ナブセクションと同様であっても、長くてもよい。一例では、シャンクセクションの長さは、5mm〜50mm、10mm〜40mm、または15mm〜30mmである。
図1に示すように、シャンク12の直径は、ナブ14の直径よりも小さくてもよい。一例では、シャンクの直径は、2mm〜10mm、3mm〜9mm、または4mm〜8mmである。シャンクセクション12は、第1の要素であり、約80ミクロンを超える平均孔サイズを有する。
【0068】
シャンクセクション12には、ナブセクション14が接触している。ナブセクション14は、一般に、シャンク直径よりも大きな直径を有するように提供される。その結果、シャンク12とナブ14との間に、レッジ状の特徴を形成するショルダーセクション18が生じる。このレッジ状の特徴は、リザーバへのシャンクの挿入およびアプリケータ機器の正しい位置にニブを固定するためのものである。特定の例では、ナブの長さは、2mm〜20mmまで変化し得る。ナブの直径は、3mm〜20mmまで変化し得る。ナブ14は、第2の要素であり、約40ミクロン〜約80ミクロンの平均孔サイズを有する。
【0069】
ナブセクション14には、ヘッドセクション16が隣接している。ヘッドセクションは、一般に、先細または円錐形の端部またはヘッドチップ17を有するものとして提供される。そのナブ接触端部15におけるヘッド断面は、一般に、そのチップ端部17におけるチップ断面よりも大きい。ヘッドセクション16は、第3の要素であり、約10ミクロン〜約30ミクロンの平均孔サイズを有する。
【0070】
使用時には、
図3に示す配置と同様に、ニブ10をアプリケータ30のハウジング31内に配置する。ナブは、アプリケータをアプリケータハウジング31の狭められた内壁58に取り付けるためのものである。シャンク12は、アプリケータの管腔のリザーバ38内に位置する流体に曝される。流体は、シャンク12を通って、ナブ14を通って、ヘッド16に流れることができる。個人は、(アプリケータハウジング31の外側に延びる)ヘッド16のチップ17を、流体が塗布されるべき筆記面または他の表面に適用する。特定の例において、ニブ10は、ドライイレースマーカーに関連して使用されてもよい。他の例では、ニブは、永久または洗浄可能なマーカー、アイライナーアプリケータ、薬液アプリケータ、または本明細書に記載されたいずれかの他の例に関連して使用されてもよい。
【0071】
三要素ニブ10は、三要素ニブ10の形状に似たキャビティを有する金属モールドを作製し;キャビティのヘッドセクションを120ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのナブセクションを、50%HDPEおよび50%UHMWPE粒子(重量%)(約200ミクロンの平均粒径を有する)の混合物で充填し;モールドキャビティのシャンクセクションを、約500ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製した。形成された三要素ニブ10は、シャンク要素において約100ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度、ナブ要素において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度、およびヘッド要素において約30ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【実施例2】
【0072】
2部品のナブおよび/または2部品のヘッドを有する複数要素ニブ
【0073】
この例では、複数要素ニブの3つのセクションは、3つの孔サイズ要素と同じではない。シャンク12セクションおよびナブセクション50の一部は、(80ミクロンより大きい)大きな孔サイズの要素であり;ナブセクション52の一部およびヘッドセクション54の一部は、中程度の孔サイズの要素(40ミクロン〜80ミクロン)である。ヘッドセクション56のチップのみが小さな孔サイズ要素(10ミクロン〜30ミクロン)である。
【0074】
複数要素ニブ20の別の実施形態を
図2に示す。このニブ20は、シャンクセクション12と、ナブセクション24と、ヘッドセクション26とを有する。ナブセクション24およびヘッドセクション26は、2つ以上の要素から形成される。ナブセクション24およびヘッドセクション26は、同じニブ20上に一緒に示されているが、どちらのセクションも、実施例1で上述したナブ14および/またはヘッド16と交換し得ることが理解されるべきである。
【0075】
この例では、ナブセクション24は、2つの要素:シャンク接続要素50およびヘッド接続要素52を含む。ヘッド要素26はまた、本体54とチップ56との2つの要素を含む。
【0076】
シャンク要素12およびナブのシャンク接続要素50は、第1の要素を形成し、約80ミクロンを超える平均孔サイズを有する。ナブのヘッド接続要素52およびヘッド本体54は第2の要素を形成し、第2の要素は約40ミクロン〜約80ミクロンの平均孔サイズを有する。ヘッド要素26のチップ56は、第3の要素の一部であり、約10ミクロン〜約30ミクロンの平均孔サイズを有する。
【0077】
三要素ニブ20は、三要素ニブ20の形状に似たキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション56を80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション54およびナブヘッド接続セクション52を、50%HDPEおよび50%UHMWPE粒子(重量%)(約200ミクロンの平均粒径を有する)の混合物で充填し;モールドキャビティのナブセクション50およびシャンクセクション12を、約450ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製した。形成されたニブ20は、シャンク要素12およびナブのシャンク接続要素50に関しては約90ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度;ナブのヘッド接続要素52およびヘッド本体54に関しては約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度;ヘッドチップ要素56に関しては約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【0078】
使用時には、ニブ20をアプリケータ30内に配置する。
図3には、その中に配置されたニブを有するアプリケータハウジング31が断面図で示されている。シャンク12は、アプリケータの管腔38内に位置する流体に曝される。ナブは、アプリケータを、摩擦嵌めを通してアプリケータハウジング30の狭められた内壁58に取り付けるためのものである。流体は、シャンク12、ナブおよびヘッドを通って流れることができる。個人は、(アプリケータハウジング30の外側に延びる)ヘッドのチップを、流体が塗布されるべき筆記面または他の表面に適用する。特定の例において、ニブ20は、ドライイレースマーカーに関連して使用されてもよい。他の例では、ニブは、永久または洗浄可能なマーカー、アイライナーアプリケータ、薬液アプリケータ、または本明細書に記載されたいずれかの他の例に関連して使用されてもよい。キャップ39は、ヘッドのチップに任意に配置され得、ハウジング31と摩擦接触する。
【実施例3】
【0079】
医療用接着剤アプリケータ機器用の三要素ニブ
【0080】
上記の例で説明したニブ10または20のいずれかが医療用接着剤アプリケータ機器に関連して使用されてもよいことが理解されるべきである。
図2に示す三要素ニブは、シャンクセクション12と、成形されたナブセクション24と、円錐形のヘッドセクション26とを有する。
図3に示すように、ニブがハウジング31内に配置されてもよい。アプリケータ30の管腔38に提供される流体は、医療用接着剤であってもよい。使用時には、シャンクは、アプリケータの管腔38に位置する医療用接着剤に曝される。医療用接着剤は、シャンク、ナブおよびヘッドを通って流れることができる。医療従事者は、ハウジングの外側のヘッド56のチップを患者の皮膚創傷に適用して、医療用接着剤を付着させ、創傷の閉鎖を容易にする。
【実施例4】
【0081】
化粧用アプリケータ機器用の三要素ニブ
【0082】
上記の例で説明したニブ10または20のいずれかが化粧用アプリケータ機器に関連して使用されてもよいことが理解されるべきである。
図3に示すように、ニブがハウジング31内に配置されてもよい。アプリケータ30の管腔38内に提供される流体は、化粧用流体であってもよい。使用時には、シャンクは、アプリケータの管腔に位置する顔料または他の化学物質を含む液体に曝される。化粧用流体は、シャンク、ナブおよびヘッドを通って流れることができる。個人は、ハウジングの外側にあるヘッドのチップをまぶたまたは他の場所に適用して、化粧目的のために液体を付着させる。化粧用液体は、液体アイライナー、液体リップライナー、液体マニキュア液除去剤、または本明細書に記載の送達に適した他の適切な化粧用液体であってもよい。
【実施例5】
【0083】
二要素および三要素ニブの漏れ試験。
【0084】
筆記用具は、使用していないときにインクが漏れてはならない。筆記用具はまた、負の環境圧力の下でインクが漏れてはならない。本発明の三要素ニブと従来の二要素ニブの漏れ特性を比較した。
【0085】
試験マーカーは、市販のEXPO(登録商標)ドライイレーザーマーカー(Newell Office Brands,Atlanta,Georgia,USA)およびCrayolaブラックドライイレースマーカー(Crayola LLC,Easton PA,USA)のニブを三要素ニブまたは二要素ニブで置き換えることによって作製した。新しいニブを備えた新たに組み立てられた試験マーカーをキャップで覆い、試験前に少なくとも24時間室温で保存した。
【0086】
三要素ニブを含むマーカー:
図2に示すように構成された三要素ニブ(ここで、要素12および50は、90ミクロンの平均孔サイズおよび約40%の多孔度を有するHDPEであり;要素52および54は、50ミクロンの平均孔サイズおよび約40%の多孔度を有するHDPEおよびUHMWPEの混合物である;要素56は、20ミクロンの平均孔サイズおよび約60%の多孔度を有するUHMWPEである)は、赤インクリザーバを有するEXPO(登録商標)ドライイレーザーマーカーおよび黒インクリザーバを有するCrayolaドライイレースマーカーに組み立てた。
【0087】
二要素ニブを含むマーカー:
図2に示すように構成された二要素ニブ(ここでセクション12、50、52および54の第1の要素は、約90ミクロンの平均孔サイズおよび約40%の多孔度を有するHDPEであり;セクション56の第2の要素は、約20ミクロンの平均孔サイズおよび約60%の多孔度を有するUHMWPEである)は、赤色インクリザーバを有するEXPO(登録商標)ドライイレーザーマーカーまたは黒色インクリザーバを有するCrayolaドライイレースマーカーに組み立てた。
【0088】
三要素ニブまたは二要素ニブを含むマーカーを、ニブヘッドを下に向けて垂直に真空オーブンに入れた。真空オーブンを−0.5barにポンプ排出し、この−0.5barの真空圧に保った。観察者は、インクが30秒以内に真空オーブンフロアに落下するのを観察する。漏れは、ニブから真空オーブンフロアに漏れたインク滴を観察することによって定義した。二要素ニブを含むマーカーはニブからのインク漏れを示し、三要素ニブを含むマーカーはニブからのインク漏れを示さなかった。
【実施例6】
【0089】
繊維ニブ、二要素ニブまたは三要素ニブを含むドライイレーザーマーカーの書き出し試験。
【0090】
ドライイレーザーマーカーを含む筆記用具は、インクを迅速かつ一貫して送達しなければならない。本発明の三要素ニブと従来の二要素ニブの書き出し特性を比較した。
【0091】
試験マーカーは、本発明の実施例2の三要素ニブおよび従来の二要素ニブ(以下に記載する)で市販のEXPO(登録商標)ドライイレーザーマーカー(Newell Office Brands,Atlanta,Georgia,USA)のニブを置き換えることによって作製した。新しいニブを備えた新たに組み立てられた試験マーカーをキャップで覆い、試験前に少なくとも24時間室温で保存した。
【0092】
実施例2の複数要素二ブを試験に使用した:
【0093】
図2の構成を有する二要素ニブ(第1の要素が、50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有する50%HDPEおよび50%UHMWPEのセクション12、50、52および54を含み;第2の要素56は、20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有するUHMWPEである)。これは従来の二要素ニブである。
【0094】
従来の繊維ニブは、市販のEXPO(登録商標)製品であり、変更することなく使用した。それはポリエステル繊維から作製され、約30ミクロンの孔サイズを有していた。繊維ニブは整列した繊維を有し、直管またはストローを通した移動に類似して、孔を通って直線状に流体が流れることを可能にする。
【0095】
三要素ニブ、二要素ニブおよび繊維ニブを含む試験マーカーを、Hutt HST10書き出し試験機(Essem International Co.,Ltd.Bangkok,Thailand)に入れた。書き出し試験は、約100gmの力、約4m/分の速度、および約5mmの線幅で行った。紙はホワイトボード条件をシミュレートするためのポリプロピレンフィルムコーティングされた紙であった。マーカーは、書き出し試験の前に、書き込みの間に約25メートルごとに計量された。マーカー重量を記録し、書かれた線の均一性を観察した。
【0096】
図5は、繊維ニブを用いた市販のexpoドライイレーザーマーカー(黒ダイヤ印)、三要素ニブを含むドライイレーザーマーカー(黒三角印)、二要素ニブを含むドライイレーザーマーカー(黒丸印)についての書き出し試験の結果を示す。この結果は、三要素ニブを含むドライイレーザーマーカーが、250メートル試験中に、より高い初期インク供給量および全体的に迅速なインク送達性能を提供したことを示している。図中のインクレイダウン(1メートルあたりのミリグラム(mg/m))は、1mm幅の書込み線の1m長さに対する平均インク(mg)に関するものである。各ニブは異なるサイズおよび形状を有するので、データは平均1mm線幅に正規化される。
【実施例7】
【0097】
一要素のシャンク、一要素のナブおよび二要素プラスチックヘッドを有する複数要素ニブ
【0098】
複数要素ニブ20の別の実施形態を
図2に示す。このニブ20は、シャンクセクション12と、ナブセクション24と、ヘッドセクション26とを有し、シャンクセクション12およびナブセクション24は、単一要素であり、ヘッドセクションは、本体54およびチップ56の2つの要素を含む。
【0099】
この例の複数要素ニブは、ニブ20の形状のキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション56を30ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション54を、80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのナブセクション52およびナブセクション50を、HDPEおよびUHMWPE粒子(約200ミクロンの平均粒径を有する)で充填し;モールドキャビティのシャンクセクション12を、約450ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;170℃で5分間モールドキャビティ内でポリマー粒子を焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製される。形成されたニブ20は、シャンク要素12において約90ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ナブ要素52および50において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ヘッド本体要素54において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有し、ヘッドチップ要素56において約10ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有する。
【実施例8】
【0100】
二要素ナブと二要素プラスチックヘッドとを有するニブ
複数要素ニブ20の別の実施形態を
図2に示す。このニブ20は、シャンクセクション12と、ナブセクション24と、ヘッドセクション26とを有する。ナブセクション24およびヘッドセクション26は、2つ以上の要素から形成される。
この例では、ナブセクション24は、2つの要素:シャンク接続要素50およびヘッド接続要素52を含む。ヘッドセクション26はまた、本体54とチップ56との2つの要素を含む。
【0101】
図2の構成を有するこの例の複数要素ニブは、ニブ20の形状のキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション56を30ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション54を80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのナブセクション52を、HDPEおよびUHMWPE粒子(約200ミクロンの平均粒径を有する)で充填し;モールドキャビティのナブセクション50およびシャンクセクション12を、約450ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;170℃で5分間モールドキャビティ内でポリマー粒子を焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製される。形成されたニブ20は、シャンク12およびナブシャンク接続要素50において約90ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ナブヘッド接続要素52において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ヘッド本体要素54において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有し、およびヘッドチップ要素56において約10ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有する。
【実施例9】
【0102】
エラストマーヘッドを備えた三要素ニブ
【0103】
三要素ニブ10は、三要素ニブ10の形状のキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドセクション16を80ミクロンの平均粒径を有する95%のUHMWPE粒子および約80ミクロンの平均粒径を有する5%の粉砕Kraton(登録商標)粒子(重量%)の混合物で充填し;モールドキャビティのナブセクション14を、50%HDPEおよび50%UHMWPE粒子(重量%)(約200ミクロンの平均粒径を有する)で充填し;モールドキャビティのシャンクセクション12を、約500ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製される。形成されたニブ10は、シャンク要素12において約100ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度、ナブ要素14において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度、およびヘッド要素16において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【実施例10】
【0104】
プラスチック製ヘッド本体とエラストマー製ヘッドチップとを備えた複数要素ニブ
【0105】
複数要素ニブ10は、三要素ニブ10の形状のキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション17を80ミクロンの平均粒径を有する95%のUHMWPE粒子および約80ミクロンの平均粒径を有する5%の粉砕Kraton(登録商標)粒子(重量%)で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション15を、120ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのナブセクション14を、50%HDPEおよび50%UHMWPE(重量%)粒子(約200ミクロンの平均粒径を有する)で充填し;モールドキャビティのシャンクセクション12を、約500ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製される。形成されたニブ10は、シャンク要素12において約100ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ナブ要素14において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ヘッド本体要素15において約30ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し、ヘッドチップ要素17において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【実施例11】
【0106】
二要素ナブおよび/または二要素ヘッドおよびエラストマー材料を含むヘッドチップを有するニブ。
【0107】
複数要素ニブ20の別の実施形態を
図2に示す。このニブ20は、シャンクセクション12と、ナブセクション24と、ヘッドセクション26とを有する。ナブセクション24およびヘッドセクション26は、2つ以上の要素から形成される。
【0108】
この例では、ナブセクション24は、2つの要素:シャンク接続要素50およびヘッド接続要素52を含む。ヘッドセクション26はまた、本体54とチップ56との2つの要素を含む。チップ56はエラストマー材料を含む。
【0109】
複数要素ニブ20は、ニブ20の形状のキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション56を、80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子および100ミクロンの平均粒径を有する5%の粉砕Kraton(登録商標)エラストマー粒子(重量%)で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション54を、80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのナブセクション52を、HDPEおよびUHMWPE粒子(約200ミクロンの平均粒径を有する)で充填し;モールドキャビティのナブシャンク接続セクション50およびシャンク12を、約450ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製される。形成されたニブ20は、シャンク要素12およびナブシャンク接続要素50において約90ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ナブヘッド接続要素52において約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度を有し;ヘッド本体接続要素54において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有し、およびヘッドチップ要素56において約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【実施例12】
【0110】
二要素シャンクと二要素ヘッドとを有する複数要素ニブ
【0111】
この例では、複数要素ニブ60はナブセクションを有さないが、シャンクセクション12およびヘッドセクション66(
図6)を有する。シャンクセクション12およびヘッドセクション66は、2つ以上の要素から形成される。シャンク12セクションは、リザーバ内の流体と接触するシャンク要素61と、ヘッドセクションと接触するシャンク要素62との2つの要素を有する。ヘッドセクション66はまた、本体63とチップ64との2つの要素を含む。
【0112】
シャンクセクション61は、(80ミクロンより大きい)大きな孔サイズ要素を有する。シャンクセクション62の一部およびヘッドセクション63の一部は、中程度の孔サイズ要素(40ミクロン〜80ミクロン)を有する。ヘッドセクションのチップ64のみが小さな孔サイズ要素(10ミクロン〜30ミクロン)を有する。
【0113】
シャンクリザーバ要素61は、第1の要素を形成し、約80ミクロンを超える平均孔サイズを有する。シャンクヘッド接続要素62およびヘッド本体要素63は第2の要素を形成し、第2の要素は約40ミクロン〜約80ミクロンの平均孔サイズを有する。ヘッドセクション66のチップ64は、第3の要素の一部であり、約10ミクロン〜約30ミクロンの平均孔サイズを有する。
【0114】
アプリケータのリザーバ内の液体は、シャンクリザーバ要素61を通ってシャンクヘッド接続要素62内に移動し、次いでヘッド本体63およびヘッドチップ64内に移動する。液体は、ヘッドチップ64の表面への適用時に、ヘッドチップ64から表面上に流れる。この実施形態では、シャンクは、アプリケータの内壁と接触し、アプリケータ内に摩擦嵌合する。
【0115】
三要素ニブ60は、三要素ニブ60の形状に似たキャビティを有する金属モールドを作製し;モールドキャビティのヘッドチップセクション64を80ミクロンの平均粒径を有するUHMWPE粒子で充填し;モールドキャビティのヘッド本体セクション63およびシャンクヘッド接続セクション62を、50%HDPEおよび50%UHMWPE粒子(重量%)(約200ミクロンの平均粒径を有する)の混合物で充填し;モールドキャビティのシャンクリザーバセクション61を、約450ミクロンの平均粒径を有するHDPE粒子で充填し;モールドキャビティ内のポリマー粒子を170℃で5分間焼結し、モールドを室温に冷却することによって作製した。形成されたニブ60は、シャンクリザーバ要素61に関しては約90ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度;シャンクヘッド接続要素62およびヘッド本体要素63に関しては約50ミクロンの平均孔サイズおよび40%の多孔度;ヘッドチップ要素64に関しては約20ミクロンの平均孔サイズおよび60%の多孔度を有する。
【0116】
この例に記載されたニブ60は、医薬品、化粧品、インクまたは他の高固形分含量液体または高顔料含量液体を塗布するための上述のアプリケータのいずれかに使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0117】
上記で引用したすべての特許、刊行物および要約は、その全体が参考により本明細書に組み込まれる。前述は、本発明の好ましい実施形態のみに関連し、次の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の修正または変更がここでなされ得ることが理解されるべきである。