特許第6903063号(P6903063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903063多数の対象の対象固有の場所間の輸送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903063
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】多数の対象の対象固有の場所間の輸送方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20210701BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20210701BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   G06Q10/04
   G06Q50/30
   G08G1/127 A
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-539074(P2018-539074)
(86)(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公表番号】特表2019-511765(P2019-511765A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2017052529
(87)【国際公開番号】WO2017134299
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2019年8月28日
(31)【優先権主張番号】16154441.6
(32)【優先日】2016年2月5日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518071349
【氏名又は名称】マックス−プランク−ゲゼルシャフト ツア フェルデルング デア ヴィッセンシャフテン イー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Forderung der Wissenschaften e.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘルミングハウス,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ティメ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ゾルゲ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントラント,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】カッセル,ヨハネス
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/002267(WO,A1)
【文献】 特開2003−006784(JP,A)
【文献】 特開2004−362271(JP,A)
【文献】 特開2014−203192(JP,A)
【文献】 特開2004−265031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0172194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G08G 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データサーバを用いて複数の対象を複数の輸送車両で輸送するための方法であって、
−各対象についての出発地および目的地、並びに出発時刻および/または目標時刻、各輸送車両についての現在地、がデータサーバ(16)のインターフェース(19)で受信され
−各輸送車両の考え得る輸送路からなる輸送路網が、前記輸送路上の各輸送車両の平均速度とともに定義され、
各輸送車両の輸送能力及び平均速度と共に前記輸送路網が前記データサーバ(16)のデータベース(18)に保存され
−各対象のためにその出発地および目的地、並びに該当する出発時刻および/または目標時刻が対象座標値として前記データサーバ(16)の時空座標に書き留められ、
−前記輸送路網に基づき、各対象とその対象座標値との間の考え得る全ての輸送路のうちの各対象に適合する輸送路が検出されて前記時空座標に書き留められ、
−前記時空座標において、各輸送車両の輸送能力および現在地が考慮されて、各対象に適合する輸送路が共通する区間では、各輸送車両の運行経路は前記データサーバ(16)により寄せ集めることにより束状に纏められて表示され、
−前記運行経路が各対象の出発地、出発時刻、目的地および目標時刻とともに関係する輸送車両に前記データサーバ(16)の1つ又は更なる1つのインターフェース(19)を介して伝達され、
−伝達された前記運行経路が関係する前記輸送車両によって走行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記輸送車両の現在地が考慮されて、前記輸送車両の座標値として前記時空座標に書き留められ、前記輸送路網に基づき前記輸送車両の出発地と該当する出発時刻とから、各対象の座標値と隣接する対象座標値の間の考え得る全ての輸送路のうちの各対象に適合した輸送路が検出され、前記時空座標に書き留められ束状に纏められて表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−各対象の輸送車両への受け入れおよび各対象の輸送車両からの取り出しに必要な時間が前記時空座標に書き留められ、及び各対象に適合する輸送路が前記時空座標に書き留められることにより表示され、および/または
−各対象の出発時刻および/または目標時刻は、時間窓として、任意に個別幅の時間窓として前記時空座標に書き留められることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの対象の出発時刻と目標時刻の間の時間内にある既存の定期路線の交通手段の出発地および目的地、並びに出発時刻および目標時刻が前記時空座標に補足的に書き留められ、前記少なくとも1つの対象に適合した輸送路の検出の際、前記時空座標上に前記少なくとも1つの対象の部分区間が前記定期路線の交通手段によって輸送されるような輸送路が表示されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各輸送車両の前記輸送能力が、各対象の特定数という形で前記時空座標に書き留められ、任意に各輸送車両について同じ輸送能力が前記時空座標に書き留められることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
−前記輸送路網内で2つの接続点を接続する主要路が定義され、考え得る全ての輸送路のうちの各対象に適合した輸送路が前記輸送路網上で検出される際に、前記適合した輸送路が、
−各対象の出発地から前記出発地の最寄りの接続点の1つへ、
−各対象の目的地へ前記目的地の最寄りの接続点の1つから、および
−前記2つの接続点の間の前記主要路上に延びる輸送路、
に限定され、
−任意に前記輸送路網内で前記2つの接続点を接続する主要区間が定義され、考え得る全ての輸送路のうちの各対象に適合した輸送路が前記輸送路網上で検出される際に、前記適合した輸送路が、
−各対象の出発地の最寄りの接続点の1つからこの接続点の最寄りの接続拠点の1つへ、
−各対象の目的地の最寄りの接続点の1つへ、この接続点の最寄りの接続拠点の1つから、および
−前記2つの接続拠点の間の前記主要区間上に延びる輸送路、
に限定されることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
束状に纏められて表示される際、各対象に適合する輸送路からそれぞれの輸送車両の考え得る運行経路の様々な組み合わせが編成され互いに比較されることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
束状に纏められて表示される際、少なくとも以下の基準の1つに基づいた最適化が行われることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の方法:
−少なくとも特定の対象の出発時刻および/または目標時刻の遵守、
−前記少なくとも特定の対象の出発時刻および/または目標時刻の最小化された偏差、
−使用される前記輸送車両の輸送能力の最大化された平均使用率、
−使用される前記輸送車両の最小化された走行区間、
−使用される前記輸送車両の最小化された稼働時間、
−使用される前記輸送車両の最小化された運用コスト。
【請求項9】
輸送されるべき対象が追加された場合、その出発地および目的地並びに出発時刻および/または目標時刻並びに適応する輸送路が追加され、前記輸送経路の束状の纏め表示が、前記輸送車両の現在地、前記輸送されるべき対象の積載およびその目的地と目標時刻を考慮して改めて行われることにより、新しく生じた運行経路が前記関係する輸送車両に伝達されることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各対象が乗客であることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記輸送車両によって実施された各対象の輸送が検出され、実施された前記輸送に予め設定された運賃表に従ってコスト値が割り当てられ、前記コスト値が任意に少なくとも1つの輸送料金決済ユニットに伝達されることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
−複数の対象の出発地および目的地、並びに出発時刻および/または目標時刻の受信、および複数の輸送車両の現在地の受信のためのインターフェース(19)および、
−前記輸送車両の輸送能力および前記輸送車両の考え得る輸送路からなる輸送路網を、前記輸送車両の輸送路上での平均速度とともに保存するためのデータバンク(18)を有し、
−運行経路を関係する輸送車両に発信するための少なくとも1つのまたはもう1つのインターフェース(19)を備え、
−データサーバ(16)が請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の方法を実施するようにプログラミングされているデータサーバ(16)。
【請求項13】
データ通信のための前記少なくとも1つのおよび/またはもう1つのインターフェース(19)がモバイル端末とともに形成されており、前記モバイル端末(21、22)が、任意にタブレット、携帯電話、スマートフォン、またはPDAであり、前記少なくとも1つのおよび/またはもう1つのインターフェース(19)が、任意にデータ通信のために前記モバイル端末(21、22)とともに前記モバイル端末上に、プログラミングされたアプリケーションプログラムを介して形成されることを特徴とする請求項12に記載のデータサーバ(16)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのおよび/またはもう1つのインターフェース(19)が、実施された輸送のコスト値を少なくとも1つの輸送料金決済ユニット(23)に伝達するために設けられ、前記輸送料金決済ユニットは、任意に前記それぞれのモバイル端末(21)の利用者の携帯電話事業者であることを特徴とする請求項13に記載のデータサーバ(16)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのまたはもう1つの、またはさらにもう1つのインターフェース(19)が、各対象についての対象データを各対象の輸送を実施する前記輸送車両の内側または外側にある表示機器に伝達するために設けられることを特徴とする請求項13または14に記載のデータサーバ(16)。
【請求項16】
−前記データサーバ(16)のインターフェース(19)で、各対象についてその出発地および目的地並びに出発時刻および/または目標時刻が受信され、
−前記データサーバ(16)のインターフェース(19)で、各輸送車両についてその輸送能力および現在地が受信され、
−前記輸送車両の考え得る輸送路の輸送能力および輸送路網が前記輸送路上での前記輸送車両の平均速度とともに前記データサーバ(16)のデータバンク(18)に保存され、
−前記データバンク(18)により各対象のためにその出発地および目的地、並びに該当する出発時刻および/または目標時刻が対象座標値として前記時空座標に書き留められ、
−前記データサーバ(16)により前記データバンクに保存された輸送路網を基にして、各対象と対象座標値との間の考え得る全ての輸送路のうちの各対象に適合する輸送路が検出されて前記時空座標に書き留められ、
−前記データサーバ(16)により前記輸送車両の輸送能力および現在地が考慮されて、前記時空座標に各対象に適合する輸送路が各輸送車両の運行経路として束状に纏められて表示され、
−前記データサーバ(16)の1つまたはもう1つのインターフェース(19)を介して、前記運行経路が該当する対象の出発地、出発時刻、目的地および目標時刻とともに関係する輸送車両に伝達されることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の複数の対象を複数の輸送車両で輸送するための方法における、請求項12〜15のうちいずれか一項に記載のデータサーバ(16)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の対象を複数の輸送車両によって輸送するための方法に関し、そこでは各対象について1つの出発地および目的地、並びに出発時間および/または目標時間が書き留められ、並びにこの方法は独立請求項1の前文のさらなる特徴を有する。さらに本発明はそのような方法およびその使用の実施のためのデータサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツの全住民は1日に平均2度交通手段を使った移動を行う。合計するとこれらは1日に1億6千万回の移動であり、これらの大半には僅かな人々のみが所有する自家用車が使われる。最寄りの停留所まで歩き、いくばくかの時間を定期路線の交通手段の中で費やし、降車後もう一度停留所からその本来の目的地まで歩くとができる人のみが公共の乗客用近距離交通を利用する。自家用車を持たず、またはそれを使用したくなく、出発地から目的地まで一貫して乗り物に乗りたい人はタクシーを呼ぶこともできる。しかしここでは公共の乗客用近距離交通よりもずっと高額な運賃が発生する。
【0003】
固定経路に縛られず、各人を次々とその出発地で乗せ、その目的地に運ぶフレキシブルな小型バスを使ってタクシーに似たサービスを提供するが、その運賃は複数の同時に運搬される人々の間でコスト分担されることによりタクシーのそれを明確に下回り、それぞれの移動のための自家用車の付加的な維持費の領域にある、というアイディアは長い間知られている。このようなコンセプトはデマンドバスまたはオンデマンドバスとも呼ばれる。しかし各乗客に割り当てられる運賃を低額に抑えるために、デマンドバスが一方で充分に活用され、もう一方で輸送時間を全ての輸送されるべき人員のために自家用車使用の際と同様に短く抑えるように固定するようなデマンドバスの運行経路を標準化または自動化することさえこれまでにまだ成功していない。そのため従来のデマンドバスは需要が少なく、そのために採算が取れる運営ができない。
【0004】
S.Herminghaus, “Mean-field theory of demand-driven public transportation”, Complex Fluids Internal Notes, Issue 45 (2015年2月)(非特許文献1)は、デマンドバスのコンセプトで採算の合う運営ができる条件を議論している。それは独立請求項1の前文の特徴を有する参加する車両の運行経路の最適化のための基本的なコンセプトをも説明する。しかし説明されるコンセプトによる運行経路の具体的な最適化は相変わらず非常に複雑である。
【0005】
ウェブサイトwww.bridj.com(非特許文献2)では、出発地と目的地の間のバス路線の提供が乗客の需要に適合されるバス輸送システムが説明される。この需要は携帯のGPSデータ、ソーシャルメディアのポストなどを使用して検出される。
【0006】
欧州特許出願公開第1076326号明細書(特許文献1)は多数の移動ステーションから目的地への制御のための方法およびコミュニケーションシステムを説明する。そのため各移動ステーションでの現在位置が位置決め装置を使って検出され、位置データが作成される。移動ステーションの位置データは少なくとも1つの連携ステーションに伝達される。伝達された移動ステーションの位置データは評価され、連携ステーションでは移動ステーションからそれぞれの目的地への移動の最適化のためのコマンドデータが作成される。コマンドデータは連携ステーションから移動ステーションに伝達される。
【0007】
欧州特許出願公開第1156462号明細書(特許文献2)から輸送サービスシステムが公知である。そこでは少なくとも1台のタクシーがその現在地をGPSで検出し、現在地および顧客が決めた目的地の情報を中心処理装置に送る。中心処理装置は最適経路および経路料金を現在地および目的地についての情報に従って検出する。その後中心処理装置は最適経路および料金をタクシーに伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1076326号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1156462号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S.Herminghaus, “Mean-field theory of demand-driven public transportation”, Complex Fluids Internal Notes, Issue 45 (2015年2月)
【非特許文献2】www.bridj.com
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、多数の対象を複数の輸送車両で対象に特有の場所間を輸送し、制御可能な労力で、輸送車両が一方で充分に活用され、もう一方で輸送されるべき対象の設定された出発および/または目標時間が良好に遵守されるように、輸送車両の運行経路を最適化する方法を示すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は独立請求項1の特徴を有する方法によって解決される。従属請求項2〜11は本発明の方法の好ましい実施形態に関する。請求項12は本発明の方法の実施のためのデータサーバに向けられる。従属請求項13〜15はデータサーバの好ましい実施形態に関する。請求項16は本発明の方法の実施のための本発明のデータサーバの使用に関する。
【0012】
本発明の方法は多数の対象を複数の輸送車両で輸送するための方法であり、各対象について出発地および目的地並びに出発時間および/または目標時間が書き留められる。さらに各輸送車両について輸送許容量および現在地が書き留められ、輸送車両の可能な輸送路の輸送路網が輸送路上での輸送車両の平均速度とともに定義される。さらには輸送車両の実際に可能な輸送路およびこの輸送路上での輸送車両の該当する平均速度が検出される。本発明により各対象のためにその出発地および目的地並びにそれぞれ該当する出発時間および/または目標時間が対象座標値として時空の中に、すなわち特別なデータスペース中の特別なデータフォーマットの中に書き留められる。その後、各対象のために輸送路網を基にしてその対象座標値の間の全ての可能な輸送路のうちの適合するものが検出され、時空の中に書き留められる。適合する輸送路は、それらの上で対象座標値の中に含まれる時間的要件が輸送路上での輸送車両の平均速度で実現できる輸送路である。時空の中で異なる対象に適合した輸送路はそれぞれの輸送車両の運行経路に収束され、そのとき輸送車両の輸送能力および現在地が留意される。運行経路は該当する対象の出発地、出発時間、目的地および目標時間とともに、その後これらの運行経路を走行する参加輸送車両に伝達される。
【0013】
本発明の方法の核心は時空中のそれぞれの輸送車両が走行する運行経路の最適化に取り組むことである。出発地および目的地並びにその間に延びる適合した輸送路の空間的座標値の他に、時間も座標値として考慮するこの時空の中には、全く可能で特別な、場合によって有意義な運行経路のみを異なる対象の輸送路の束として簡単に発見できる。特に時空の中で運行経路の異なる束が制御可能な労力で、全ての参加する輸送車両のための運行経路を最適化するために比較可能である。具体的には異なる対象のための可能な輸送路がそれらの間隔が潜在的な収束のために時空中で適合する輸送路として集合され、または逆に時空中のそれらの間隔を基にして直接そのような収束から排除されることができる。輸送路網はしばしば、地表面に沿った二次元的な輸送路網であるか、または少なくとも二次元的輸送路網上の映写において見られることができるため、本発明の方法で使用されるべき時空は三次元空間のみである。そのように対象座標値および輸送路の書き留め並びに輸送路の比較は時空で管理可能に留まる。その上、輸送路の経過およびそれらの本発明による収束はこの三次元の時空の中で非常にわかりやすく表されるため、本発明の方法は全自動であるだけではなく、少なくとも部分的に手動で、例えば異なる対象のための適合した輸送路の収束の規模内で、実施されることができる。
【0014】
対象座標値のような座標値の書き留め、および時空における輸送路の書き留めおよび収束は、これらのデータの特別なデータフォーマットの中での保存並びに特別なデータスペース、時空の中でのその取り扱いおよび加工を意味する。
【0015】
対象の出発地および目的地並びに該当する出発時間および/または目標時間が対象座標値として時空に書き留められるのと同様に、輸送車両の現在地も現在時間とともに輸送車両座標値として時空に書き留められることができる。その後輸送車両の現在地は、輸送路網を基にして、車両座標値と隣接する出発地と該当する出発時間の間の全ての可能な輸送路のうちの適合したものが時空中で検出され、時空に書き留められ、収束の際に時空に関連付けられることによって留意される。輸送車両の現在地および現在時間はそれによって基本的に、輸送されるべき対象の対象座標値と同様に時空中で考慮される。
【0016】
時空中での書き留めは、対象の輸送車両への受け入れのため、および対象の輸送車両からの取り出しのために必要な時間を、それらが時空中に書き留められ、時空中の対象に適合した輸送路の書き留めの際に考慮されることにより、簡単な方法で配慮することを可能にする。指定された時間も輸送される対象の種類に関連することは自明である。そのため乗客、つまり人間は自ら輸送車両に乗車し、それから降車し、並びに道路脇にあるそれらの停留所を探し出し、そこから彼らの本来の目的地に達することができる。輸送されるべき貨物、例えば小包にはこうした全てが該当しない。
【0017】
好ましくは対象の出発時間および/または目標時間が時空中で時間窓として、つまり時点としてではなく書き留められる。そのとき時間窓は時点および交差領域によって定義されることができ、交差領域は時点の両側または時点の片側上のみにも延在できる。すると後者は例えば時点から時点までプラス公差領域の出発時間または目標時間を意味する。時間窓は個別の幅で書き留められることができる。そのようにして特別な対象のために非常に狭い時間窓が書き留められることができる。なぜならそれは例えば特定の時点で輸送車両内に受け取られ、または輸送車両から取り出されるべきであり、それに対して他の対象には非常に幅広い時間窓が割り当てられており、その実際の受け取り、取り出しの時点は比較的重要ではないためである。
【0018】
搬送されるべき対象のためにその出発地およびその目的地の他に1つの出発時間または1つの目標時間のみが書き留められるとき、他の出発または目標時間が出発地と目的地の間の可能な輸送路および輸送路上の輸送車両の該当する平均速度から生じる。出発時間も目標時間も書き留められているとき、これは目標時間と出発時間の間の時間差の中で進むことのできる可能な輸送路に限定される。
【0019】
本発明の方法は定期路線の交通手段も輸送に組み入れることができる。これは特に輸送されるべき対象としての乗客のために有効である。組み入れのために出発地および目的地並びに出発時間および目標時間が互いに輸送すべき対象の出発時間および目標時間の間の時間内に存在する定期路線の交通手段を、付加的に時空に書き留め、適合する輸送路の検出に、定期路線の交通手段がそれぞれの輸送路の部分区間を引き受けるという形で組み込まれることができる。
【0020】
輸送車両については輸送能力が好ましくは最大限輸送可能な対象の一定数という形で書き留められる。この対象の数は全ての輸送車両のために同じ値で書き留められることができ、それによって運行経路の最適化が簡略化される。しかし基本的に輸送能力は対象の数としての他の単位でも各輸送車両のために個別に書き留められることができる。
【0021】
最適化の課題の複雑さを輸送路網およびそれから結果的に生じる適合した輸送路という観点で低減するために、輸送路網の中に接続点を繋げる主要路が定義されることができる。すると可能な輸送路は、各対象のための全ての可能な輸送路のうちの適合するものの検出の際、対象の出発地から最寄りの接続点の1つへ、最寄りの接続点の1つから対象の目的地へ、およびこれらの接続点の間の主要路上のみに延びるものに限定される。この主要路の優先は適合した輸送路の互いに比較されるべき数を全く著しく削減する。しかし本発明のこの実施形態の場合にも近く隣り合う出発地および目的地のためにも主要路または接続点さえ経由せずに延びる適合した輸送路も検出されることは自明である。
【0022】
上記で述べられた輸送路の序列は本発明の方法の場合少なくとももう1つの面で拡張されることができる。そこでは輸送路網内で接続拠点を接続する主要区間が定義されることができ、輸送路網を基にして全ての可能な輸送路のうちの各対象に適合したものの検出の際、可能な主要路が、出発地の最寄りの接続点の1つからこの接続点の最寄りの接続拠点の1つへ、目的地の最寄りの接続点の1つへこの接続点の最寄りの接続拠点の1つから、および接続拠点間の主要区間上のみに延びるものに限定される。この主要区間として例えば定期路線の交通手段の走行区間が考慮されることができる。しかしここでも本発明のこの実施形態の場合、さらに近くにある出発地および目的地のためにも、主要区間または接続拠点さえも経由せず延びる適合した輸送路も検出されることは自明である。
【0023】
特定の輸送路の優先により削減された互いに比較可能な適合した輸送路の数は、異なる対象の適合した輸送路を収束する際にそれぞれの輸送車両の可能な運行経路の様々な組み合わせが編成され互いに比較されるときに決定的である。そのときに生じる比較数は適合した輸送路の限定により著しく削減され、それによって場合により実際に初めて管理可能になる。
【0024】
それによって異なる目的物のための適合する輸送路を運行経路に収束する際に最適化が行われる基準は、特に下記を含むことができる:
− 少なくとも特定の対象の出発時間および/または目標時間の遵守、
− 全ての対象の出発時間および/または目標時間の最小化された偏差、
− 使用される輸送車両の輸送能力の最大化された平均使用率、
− 使用される輸送車両の最小化された走行区間、
− 使用される輸送車両の最小化された稼働時間、
− 使用される輸送車両の最小化された運用コスト。
【0025】
これらの基準は単一でまたは組み合わされて利用されることができる。これらが組み合わされて利用されるときには、これらは重み付け係数で互いに対する重要度が判定されることができる。このような重み付けは個々の対象または輸送車両のためにも行われることができる。このように例えば特定の輸送車両が主に活用され、および/または特定の対象が出発時間および/または目標時間の優先された遵守の元で輸送されることができる。なぜならここでは他の対象の場合よりも高額な運賃が支払われるからである。使用される輸送車両の最小化された運用コストの場合、しばしば輸送車両の運転手の人件費も考慮される。
【0026】
複数の基準という観点での最適化を同時に行う他の可能性は、いわゆるパレート最適の捜索である。これはそこで全ての基準が、他の基準の達成度を低下させることなく1つの基準の達成をさらに最適化する可能性がないという意味で同時に最適に達成される一点である。
【0027】
本発明の方法は新たに追加された輸送されるべき対象をも考慮することができる。実際に本発明の方法は運行経路を走る間、輸送されるべき対象が新たに加わらずに実施されることは滅多にない。具体的には追加された輸送されるべき対象の場合、その出発地、目的地、出発時間および/または目標時間並びに適合した輸送路が補完され、輸送経路への収束は輸送車両の現在地、その目下の対象の積載、およびその目的地および/または目標時間を考慮して改めて実施される。それによって生じた新たな運行経路は参加する輸送車両に伝達される。追加で輸送されるべき対象を取り入れ、再び取り出すために、この方法で輸送車両の運行経路の変更もできる。
【0028】
異なる対象の可能な輸送路のうちの適合したものの収束の新たな実施は、輸送路の元来の収束と同様に、1つまたは複数の対象が1つの輸送車両からもう1つの輸送車両に乗り換えることを許可する。しかしこのような乗り換えは合目的的に回避することも、または少なくともその数を少なく抑える、すなわち例えば最大1、2、または3回の乗り換えに限定することができる。それによって2つの輸送車両を時空中にまとめることに関わる付加的な要件を可能な限り避け、対象の輸送車両間の各乗り換えに関わる労力および面倒を避けることができる。これは特に輸送されるべき対象が乗客であるときであり、彼らには可能な限りタクシーに似た代替物が公共交通機関に提供されるべきである。輸送車両を何度も乗り換えがあるのではこれには適応しない。
【0029】
本発明の方法の場合、乗客かまたは貨物のどちらが対象として輸送されるかに関わらず、輸送車両によって遂行される対象の輸送は好ましくは検出され、運賃表に従って設定されたコスト値と結び付けられる。このコスト値はその後、乗客が支払うべき運賃を決定することができる。例えば乗客は運賃を直接輸送車両の運転手に支払うことができる。任意にコスト値は少なくとも1つの輸送料金決算ユニットに伝達されることができ、それはその後例えば乗客の運賃または貨物の輸送料をキャッシュレスに回収する。
【0030】
本発明の方法の実施のためのデータサーバは多数の対象の出発地、目的地、出発時間および/または目標時間および複数の輸送車両の現在地を受信するための少なくとも1つのインターフェースを有する。さらにデータサーバは輸送車両の可能な輸送路の輸送路網を輸送路上での輸送車両の平均速度とともに保存するためのデータバンクを含む。これによって運行経路を参加する輸送車両に発信するための少なくとも1つのまたはもう1つのインターフェースが設けられる。そのとき本発明の方法を実施するためのサーバがプログラミングされる。使用可能な輸送車両を輸送されるべき対象の輸送に関して調整するために、本発明のデータサーバは本発明の方法を中心的な場所で実施する。本発明のデータサーバの各インターフェースはデータの提示される受信あるいは発信を可能にするどのような公知の通信インターフェースでも実現可能である。このインターフェースは特別に本発明のデータサーバに割り当てられる必要はなく、その上に本発明の方法を実施するプログラムが作動するデータサーバの部分に接続されているだけでよい。運行経路の発信のためのさらなるインターフェースは実際に対象の出発地および目的地並びに出発時間および/または目標時間の受信、および輸送車両の現在地の受信用と同じ少なくとも1つのインターフェースであることができ、このインターフェースはインターネットアクセスによって実現されることができる。
【0031】
具体的には本発明のデータサーバの場合、データ通信の受信あるいは発信のための各インターフェースがモバイル端末とともに形成されることができる。このモバイル端末はタブレット、携帯電話、スマートフォンおよび/またはPDA(Personal Digital Assistant)を含む。このようにして乗客は輸送されるべき対象としてその対象データをその携帯電話を介してデータサーバに伝達する。同じ携帯電話を介して乗客はその対象データの確認を受け取る。それに対して輸送車両の運転手の携帯電話は、継続的に輸送車両の現在地をデータサーバに伝達し、それに対してそれぞれの輸送車両の運行経路を受け取る。輸送車両の運転手をその上に出発地および目的地がある運行経路に沿って導くために、この運行経路は直接ナビゲーション表示として発信されることができる。
【0032】
特に本発明のデータ通信用データサーバの各インターフェースは、それぞれモバイル端末によってそれぞれのモバイル端末上でプログラミングされたアプリケーションプログラムを介して形成されることができる。そのようなアプリケーションプログラムはそれぞれの利用者、つまり乗客または輸送車両の運転手とのデータ通信を簡略化する。そのようなアプリケーションプログラムはアプリとも呼ばれる。
【0033】
本発明のデータサーバはさらに少なくとも1つの輸送料金決算ユニットに実施された輸送のコスト値を伝達するためのインターフェースを具備することができる。インターフェースは別途にも使用されるか、またはデータサーバの付加的なインターフェースでもありうる。輸送料金決算ユニットはそれぞれのモバイル端末事業者のモバイル通信事業者でありうる。そのため特に乗客が支払うべき運賃はその携帯電話料金請求書で請求されることができる。
【0034】
本発明の実際の使用のためには、各輸送車両がそれによって輸送されるべき対象の1つの出発地に接近するとき、この対象、特に乗客のために外から視覚的に認識可能であることが有意義でありうる。これは少なくとも、同じ領域で同じ時間に複数のそのような輸送車両が運行され、乗客および輸送車両の運転手にとっても正しい割り当てが難しいときに有効である。この問題に対処する1つの可能性は、次に受け入れる乗客の名前を外に向かって大きなディスプレイで提示することである。プライバシー保護のためにそのとき各乗客が−任意に毎日更新される−ニックネームを選ぶことが企図されうる。このコンセプトを使用するために対象データから対象への伝達のためのインターフェースは表示機器に設けられることができ、それはそれぞれの対象の輸送を実施する輸送車両の中または外側に存在する。
【0035】
本発明のデータサーバを多数の対象を複数の輸送車両で輸送するための本発明の方法で使用する際、データサーバのインターフェースで各対象についてその出発地および目的地並びに出発時間および/または目標時間およびさらに各輸送車両についてその輸送能力および現在地が受信される。輸送路上での輸送車両の平均速度による輸送車両の可能な輸送路の輸送能力および輸送路網はデータサーバのデータバンクに保存される。データサーバから各対象のためにその出発時間および目的地並びにそれぞれに該当する出発時間および/または目標時間が対象座標値として時空に書き留められ、つまりそれによって設定されるデータフォーマットの中に保存される。さらにデータサーバにより各対象のためにそのデータバンクに保存された輸送路網に基づいてその対象座標値間の全ての可能な輸送路のうちの適合したものが検出され、時空に書き留められる。その後データサーバにより時空中に異なる対象のための適合する輸送路が個々に輸送車両の運行経路に収束され、そのときデータサーバにより輸送車両の輸送能力および現在地が留意される。それを介してデータサーバが入力データを受信したデータサーバのインターフェースを介して、またはデータサーバのもう1つのインターフェースを介して、運行経路が該当する対象の出発地、出発時間、目的地、目標時間が輸送車両に伝達される。
【0036】
本発明の有利な発展形態は、特許請求の範囲、明細書および図面から明らかになる。明細書中に挙げられた特徴、および複数の特徴の組合せの利点は単に例示的なものであり、代替的または累積的に効果を表してもよく、その際、これらの利点が本発明による実施形態によって必ずしも達成される必要はない。これによって、添付の請求項の主題が変更されることなく、出願時の出願書類および特許の開示内容に関しては次のとおりである:さらなる特徴は、図面から読み取れる。本発明の異なる実施形態の特徴、または異なる請求項の特徴の組合せが同様に請求項の選択された引用との逸脱も可能であり、当該組合せによって示唆される。このことは、別個の図面に示されているか、またはこれらの図面の説明に挙げられた特徴にも関する。これらの特徴は、異なる請求項の特徴と組み合わせることもできる。同様に、特許請求の範囲に記載された本発明の他の実施形態に係る特徴が省略されてもよい。
【0037】
請求項および明細書に挙げられた特徴は、その数に関して、まさにその数または挙げられた数よりも大きい数が存在することと解されるべきである。その際に「少なくとも」という副詞の明示的な使用は必要でない。すなわち、例えば部材が問題である場合、これは正確に1つの部材、2つの部材、またはそれ以上の部材が存在しうると解されるべきである。これらの特徴に別の特徴が補足されてもよいし、それぞれの成果物をなす特徴だけであってもよい。
【0038】
請求項に含まれる参照符号は、請求項により保護される対象の範囲を限定するものではない。これらの参照符号は、請求項を容易に理解する目的で用いられるにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下に本発明が図示された好ましい実施形態例を基にさらに説明され記述される。
図1図1は対象座標値を該当する輸送経路に収束された輸送路とともに示す。
図2図2は輸送路網の接続点を接続する輸送路の定義を概略的に図解する。
図3図3はデマンドバスの場合の価格と需要の力学を図解する。
図4図4は本発明の方法の行程グラフを示し;
図5図5は本発明のデータサーバのブロックグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は輸送されるべき対象についての対象座標値の時空中の書き込みを図示し、そのときxおよびyの方向にそれぞれの出発地の空間座標が白いシンボルで表示されるのに対し、同様の黒いシンボルは目的地を標示する。該当する出発時間および目標時間は第3の空間方向に時間軸に沿って書き留められる。出発地と目的地の間の可能な輸送路はここでは示されない輸送路網によって設定される。この輸送路網はこの輸送路の延び方をxおよびyの方向で説明するだけではなく、輸送路上での輸送車両の平均速度も示し、それによって時空中で時間的に可能な輸送路も限定する。異なる対象についての時空中の全ての可能な輸送路のうちの適合するものがそれぞれの輸送車両の運行経路に収束され、そのとき輸送車両の輸送能力および現在地が留意される。図1にはここでは運行経路とも呼ばれる輸送車両の2つのそのような束が、2台の異なる輸送車両用に示されている。そのうちの1台の輸送車両用のそのうちの1つの輸送経路は白い円で始まり、黒い円で終わるのに対して、もう1台の輸送車両用のもう1つの輸送経路は白い四芒星で始まり、黒い太陽で終わる。これらの輸送経路に沿って異なる対象座標値が常に正しい順序で出発地と該当する出発時間が目的地と該当する目標時間の前に存在する。
【0041】
それぞれの輸送車両の運行経路に異なる対象の適合する輸送路を収束するとき最適化が行われる。この最適化の際、特に異なる適合した輸送路の異なる収束のための評価が互いに比較される。そのとき適合する輸送路の数を限定するため、適合する輸送路の検出のために輸送路網が使用され、図2に示されるようにその中で主要路2が定義され、接続点3が互いに接続される。図2に示された輸送路網に基づき全ての可能な輸送路のうちの各対象に適合するものを検出する際、可能な輸送路は、それぞれの対象の出発地4から最寄りの接続点3の1つへ、およびそこから主要路2を経由してそれぞれの対象の目的地5の最寄りの接続点3の1つまで導くものに限定される。そのときそれぞれの出発地4または目的地5のためのそれぞれ実際の最寄りの接続点3のみも考慮されることができ、または出発地4あるいは目的地5は代替的に複数の接続点に割り当てられ、しかしそれによって適合する輸送路の数が指数関数的に増加する。
【0042】
図3では、自家用車のコストとの関係で提示されたデマンドバスの採算の合う運営のための運賃の場合に必要であろう相対的需要が実線で示される。破線の曲線は予測される料金と需要の関係を示す。運賃が点線で示される自家用車のコストに、右側から接近し、需要が強く増加する;破線曲線が実線曲線の上にある領域でデマンドバスの採算の合う運営が期待できる。需要の対数標示は、2つの曲線の3つの交差点が得られることを明示するために、予測される料金と需要の関係が非常に正確である必要はないことを示す。しかしそのとき不安定な操作点のための平均交点がある。これに運賃が、つまり図3で右方向に上昇するとき、需要は速やかに低下し、システムは短期間後に右の交差点に延びる。これは安定した操作点ではある。しかしこれは自家用車の維持費の4〜5倍に相当する運賃を有する隙間市場にすぎない。これに対して興味深いのは、料金の値下げにより中央の交差点から左の交差点に至り、そこで移動の需要の大半で需要に応じた公共乗客近距離交通が使用され、これに採算性があることである。本発明の方法によって達成されるそれぞれの輸送車両の運行経路の最適化がこれを可能にする。
【0043】
図4の本発明の方法の行程グラフはその中で使用可能な輸送車両のための輸送路網が定義されるステップ11で始まる。輸送路網は主要路によって接続される接続点によって定義される。図2参照。ステップ12では対象座標値、つまり輸送されるべき対象の出発地および該当する出発時間並びに目的地および該当する目標時間が時空に書き留められる。ステップ13ではその後、各対象の対象座標値間の輸送路網により可能な輸送路のうちの適合したものが検出され時空に書き留められる。ステップ14では適合した輸送路がそれぞれの輸送車両のための運行経路に収束される。そのとき使用可能な輸送車両の輸送能力および現在地が留意される。さらにステップ14では、全ての基準の最大に可能な実現を達成する収束を選択するために、輸送路の異なる収束の比較が設定された基準により行われる。ステップ15では運行経路がそれぞれの輸送されるべき対象の輸送に参加する輸送車両に、それぞれの車両によって輸送されるべき対象の出発地および出発時間並びに目的地および目標時間とともに伝達される。方法の進行する運営中に、ステップ12から15に亘り閉じたループが巡り、追加の対象も考慮されることができる。するとステップ12の各繰り返しの際に、すでに輸送車両に受け入れられた対象の現在地および該当する出発時間並びにそれぞれの輸送車両の現在地および現在時間が使用されることができる。
【0044】

図5でブロックグラフとして表示されたデータサーバ16は本発明の方法の実施のためにプログラミングされたコントローラ17、輸送車両の輸送能力および輸送車両の可能な輸送路の輸送路網を輸送路上の輸送車両の平均速度とともに保存するためのデータバンク18およびインターフェース19を含む。インターフェース19を介してデータサーバ16は例えばインターネット20および/または携帯電話網を介して末端機器21および22と交信する。末端機器21は、対象としてデマンドバスで輸送されようとする乗客のものでありうるのに対し、末端22は輸送車両として使用されるデマンドバスの中にあるものである。末端機器21および22には、末端機器21および22の利用者のデータサーバ16との交信を単純化する特別なアプリケーションプログラムがプログラミングされている。そのため潜在的乗客はまず、どの輸送可能性がどのような状態で彼に提供されるべきか、彼が輸送を具体的に要望する前に、データサーバ16に問い合わせる。末端機器22には個々の輸送車両によって走行される運行経路の他に例えばそれぞれの乗客から要求される運賃も、それが直接それぞれの輸送車両の運転手によって徴収されるように示されることができる。しかし、輸送料金決済ユニット23に実施された輸送のコスト値が伝達され、それによってそこから運賃のキャッシュレス決算が行われるように、データサーバ16はインターフェース19を介して輸送料金決済ユニット23とも交信することができる。
図1
図2
図3
図4
図5