(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903065
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】温度変動を伴うLED連続一定放射照度
(51)【国際特許分類】
H05B 45/18 20200101AFI20210701BHJP
H05B 45/30 20200101ALI20210701BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20210701BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20210701BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20210701BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20210701BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20210701BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20210701BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20210701BHJP
【FI】
H05B45/18
H05B45/30
F21V23/00 117
F21V29/503
F21V29/70
G01N21/01 D
G01J3/02 C
G01J3/46 A
F21Y115:10
【請求項の数】17
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-540428(P2018-540428)
(86)(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公表番号】特表2019-507474(P2019-507474A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】US2017014500
(87)【国際公開番号】WO2017142680
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/296,776
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/277,710
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チョバヌ,カリン
(72)【発明者】
【氏名】ロミバオ,ジェフリー
【審査官】
野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/116675(WO,A1)
【文献】
特開昭59−027568(JP,A)
【文献】
特開昭57−207851(JP,A)
【文献】
特開平08−335747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
H01L 33/00
G01N 21/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式化学分析装置用の温度安定化したLED照射システムであって、
LEDと、
前記LED内に配置され、前記LEDに近接した温度を検知するように配置される温度センサと、
温度センサに連結され、および前記LED内に配置される回路と、を含み、前記回路が、前記検知された温度に基づいて調節する電力を計算し、前記計算された調節する電力は、前記LEDに固有であり、前記回路がさらに、前記計算された調節する電力に基づいて、前記LEDへの電力を、前記LEDの放射照度が実質的に一定に維持されるように調節する、ように構成され、
前記温度センサは、ヒートシンクを使用した前記LEDのダイ/基板に結合される、
前記温度安定化したLED照射システム。
【請求項2】
前記LEDが、比色分析装置の照明源である、請求項1記載の温度安定化したLED照射システム。
【請求項3】
前記LEDの放射照度が、前記LEDの電力を連続的に制御することによって一定に保たれる、請求項1記載の温度安定化したLED照射システム。
【請求項4】
前記電力が、前記LEDへの電流を制御することによって調節される、請求項1記載の温度安定化したLED照射システム。
【請求項5】
前記回路が、デジタル回路構成要素およびアナログ回路構成要素を含む、請求項1記載の温度安定化したLED照射システム。
【請求項6】
湿式化学分析装置用の発光ダイオード(LED)であって、
前記LED内に配置され、前記LED内の温度を検知するように構成される温度センサであって、固有のLEDの前記温度のみを実質的に検知するように構成される温度センサと、
前記LED内に配置され、前記温度センサおよび電源に連結されるフィードバック回路であって、前記回路が、検知された温度に基づいて、前記LEDの放射照度を維持するために要求される、調節する電力を計算するフィードバック回路と、
前記LED内に配置され、前記計算された調節する電力に基づいて、前記LEDに提供される電力を調節するように構成されるドライバ回路であって、前記固有のLEDのみに電力を実質的に提供するように構成されるドライバ回路と、
を含み、
前記温度センサは、ヒートシンクを使用した前記LEDのダイ/基板に結合される、
前記LED。
【請求項7】
前記温度センサが、熱電対を含む、請求項6記載のLED。
【請求項8】
前記温度センサが、測温抵抗体を含む、請求項6記載のLED。
【請求項9】
前記フィードバック回路が、デジタル回路構成要素およびアナログ回路構成要素を含む、請求項6記載のLED。
【請求項10】
前記LEDの放射照度が、前記LEDに提供される電力を連続的に調節することによって一定に保たれる、請求項6記載のLED。
【請求項11】
前記LEDが、湿式化学分析装置において照明を提供するために構成される、請求項6記載のLED。
【請求項12】
湿式化学分析装置用のLEDを操作する方法であって、
前記LED内の温度を検知するように配置される温度センサの温度信号を監視する工程であって、温度センサ及び前記LEDが動作対をなし、前記温度信号が前記LEDに固有である、工程と、
前記温度信号に基づいて前記LEDに対する調節する電力を計算する工程と、
前記計算された調節する電力に基づいて、前記LEDに供給される電力を調節する工程と、
前記温度信号を監視する工程と、前記調節する電力を計算する工程と、前記供給される電力を調節する工程とが、前記LEDから放出される放射照度のレベルを維持する回数で、繰り返される工程と、
を含み、
前記温度センサは、ヒートシンクを使用した前記LEDのダイ/基板に結合される、
前記方法。
【請求項13】
前記調節する工程が、前記LEDに提供される電流を調節することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記温度センサが、前記LED内である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記計算する工程が、前記LEDに固有の温度−放射照度定数を示す入力を含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記計算する工程および前記調節する工程が、コントローラ回路によって完了される、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記計算する工程が、前記検知された温度で所与の放射照度を維持するために目標電力を決定することを含む、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
オンライン湿式化学分析装置は、プロセス試料中の分析対象の連続表示を提供するために、様々な産業で使用される。この連続表示は、化学的プロセスの制御および/または監視を提供するために、分析装置によってローカルでおよび/または一つまたは複数の好適な装置に遠隔で提供されることができる。
【0002】
オンライン湿式化学分析装置の一つの具体的なタイプは、オンラインシリカ分析装置である。これらの装置は、定量される試料中のシリカの表示を可能にするプロセス試料中の反応を発生させるように構成される。そのような分析装置は、ボイラ水、ボイラ給水、脱塩水および蒸気復水中のシリカ含有量を定量する際に有効である。そのような分析装置が様々な産業で有効である一方で、それらは、発電所ボイラにおいてとりわけ有用である。そのようなシステムでは、シリカは、タービンおよび水−蒸気タービンサイクルで使用される他の発電機器を損傷し得るケイ酸塩の析出を形成することができる。それゆえに、高圧タービンを備えた発電所は、一般的に、効果的な検出および除去/浄化を確実にするために、シリカを注意深く監視する。オンラインシリカ分析装置の一つの具体的な例は、Model CFA3030 Silica Analyzerの商標で、Emerson Automation Solutions社傘下のRosemount Analyticalから販売されている。
【0003】
オンラインシリカ分析装置は、一般的に、公知の反応を採用して、プロセス試料中のシリカを容易に検出可能にする。そのような反応の一つの例は、モリデンブルー法として公知である。モリデンブルー法では、モリブデン酸(通常、モリブデン酸カリウムの形態)は、比色検出に好適な化合物を発生させるために、プロセス試料/溶液中のシリカと反応するように使用される。モリデンブルー法に従って、水中のシリカ含有量は、湿式化学プロセスを通じて形成されるケイモリブデン酸の色に基づいて測定される。
【発明の概要】
【0004】
温度安定化したLED照射システムが提供される。システムは、LEDを包含する。温度センサは、LEDに近接した温度を検知するために配置される。温度センサおよびLEDに連結される回路は、検知された温度に基づいてLEDへの電力を調節するように構成される。
【0005】
請求項に係る実施形態を特徴付けるこれらのおよび多様な他の特徴および効果は、以下の発明を実施するための形態を読み、対応図面を検討すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に従う、比色分析装置の一部を例示する。
【
図2A】本発明の実施形態に従う、放射照度対温度を例示するグラフである。
【
図2B】本発明の実施形態に従う、放射照度対電流を例示するグラフである。
【
図3A】本発明の実施形態に従う、LED回路を例示する。
【
図3B】本発明の実施形態に従う、LED回路を例示する。
【
図4】本発明の実施形態に従う、LED制御のための方法のフロー図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、温度変動中に一定の放射照度を維持する発光ダイオード(LED)に関する。様々な比色湿式化学分析装置は、比色測定のために必要である光を発生させるためにLEDを採用する。LEDは、pn接合を渡る電子流を利用して光を発生させる。一定の電流で駆動されるとき、LEDの放射照度は、LEDの環境の温度、すなわちLED基板(
ダイ)の温度の関数である。これは、LEDが赤外光(IR)スペクトルにより近い光を放出するため、特にそうである。多くの状況で、これらの温度に基づいた放射照度の変動は、LEDの使用者にとって許容可能であり得る。しかし、一部の適用、例えば比色分析装置では、そのような変動は測定誤差を引き起こし得る。
【0008】
LEDが比色分析装置のための光源として使用されるとき、光源の光度は、分析装置が設置される環境の温度とともに変化する。光吸収度Aは、以下の式1で表される:
A=−log10(I/I
0) 式1
【0009】
ここで、Iは、反応後に発色したときに測定された光度であり、I
0は、発色前に測定された光度である。湿式化学分析装置の操作中、光度のこれら二つの測定は、異なる時間に起きる。周囲温度がプロセス中に変化する場合やLEDが一定の電流で駆動される場合、測定された(I/I
0)の計算は、温度に依存する放射照度によって引き起こされる誤差を包含する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に従う比色分析装置の一部を例示する。比色計分析装置100は、液体108に照明104を通すことによって、測光セル106に位置する液体108を分析するために有効であることができる。LED102は、液体108を通り、光センサ110によって検出される照明104を発生させる。光センサ110は、比色計、分光放射計、分光光度計または濃度計を非限定的に包含する、光の特性を検出する任意のセンサであることができる。
【0011】
比色計分析装置100によって取得される複数の測定を比較するために、照明104は、一貫していなければならない。測定間で照明104の変動がある場合、変動は調節されなければならず、さもなければ、測定間の比較は正確ではない。LEDの問題は、
図2Aに例示される。グラフ200は、温度を示すX軸202および放射照度を示すY軸204を有する。傾向線206は、LEDの温度が増加するにつれ、LEDの放射照度がどのように減少するかを例示する。
【0012】
この問題に対する一つの解決策は、温度が変化する場合、測光セル106から液体108を排出し、対照値として、妨害されない照明104を測定することである。次に、温度を維持しつつ、測光セル106を液体108で再び満たし、液体108に照明104を投射し、実験値を測定することである。実験値は、次に、対照値によって調節されることができる。これは、実行可能な解決策であるが、排水−再充填のコストおよび多岐にわたる照明104の値に基づいて測定された値を調節する間の誤差の可能性の増加も伴う。
【0013】
よりよい解決策は、温度が変化するにつれ、LED102によって発生された照明104が変わらないことを確実にすることである。LEDの放射照度は、単に温度によってのみ決定されるのではない。
図2Bは、本発明の実施形様に従う、放射照度対電流を例示するグラフである。グラフ250は、電流を示すX軸252および放射照度を示すY軸254を有する。傾向線256は、LEDに供給される電流が増加するにつれ、LEDの放射照度がどのように増加するかを例示する。LEDが多岐にわたる温度環境で一定の放射照度を維持するために、LEDに供給される電流を変えることが可能である。例として、温度が増加するにつれ、一定の放射照度を維持するために、電流も増加する必要がある。
【0014】
図3Aは、本発明の実施形態に従う、LED回路を例示する。LED回路300は、LED302、LEDドライバ回路304、フィードバック回路308および温度センサ306を含む。温度センサ306は、LED302に近接した温度を検知するために配置される。温度センサ306は、温度とともに変わる電気特性を有する任意の好適な構造であることができる。例えば、測温抵抗体(RTD)、熱電対、サーミスタなどを包含する。温度センサ306は、一つの実施形態では、ヒートシンク
を使用したLED302
のダイ/基板
に結合することができる。
【0015】
温度センサ306は、信号をLEDドライバ回路304に提供するフィードバック回路308に連結される。フィードバック回路308および/またはドライバ回路304は、デジタルまたはアナログ回路の任意の組み合わせに具体化されることができる。例として、フィードバック回路308は、温度センサ306からの信号を受け取って温度のデジタル表示を提供するアナログ−デジタルコンバータを有するマイクロコントローラを使用して具体化されることができる。このデジタル表示は、次に、LED302に提供される電力を算出および調整し、それにより測定された温度に基づいて放射照度を制御するために、LEDドライバ回路304によって使用されることができる。一つの実施形態では、LEDドライバ回路304およびフィードバック回路308は、単一の回路の構成要素である。
【0016】
図3Aに示す実施形態がLED302から離れた温度センサ306を例示する一方で、温度センサがLED302の一部分である、またはLEDパッケージ内に配置される実施形態が実施され得ることが明白に考えられる。
図3Bは、LEDドライバ回路304、フィードバック回路308および温度センサ306がLED302内に配置される実施形態を例示する。しかしながら、これらの構成要素のいずれかは、LED302から離れていることができる。
【0017】
図4は、本発明の実施形態に従う、LED制御のための方法のフロー図を例示する。放射照度安定化400は、三つの工程を含む。ブロック402において、温度は、LEDに近接して測定される。一つの実施形態では、温度測定はLED内で取得される。
【0018】
ブロック404において、電力調節が計算される。電力調節の計算は、ブロック402で測定された温度を入力として使用する。計算は、一つの実施形態では、製造者からの温度対放射照度データを包含する。もう一つの実施形態では、計算は、測定された温度を乗じた温度−放射輝度定数を含む。
【0019】
ブロック406において、LEDへの電力は、ブロック404からの計算を利用して調節される。調節は、デジタルおよび/またはアナログ回路の任意の組み合わせに具体化された回路によってなされることができる。LEDに供給される電力が調節された後、このサイクルは繰り返されることができ、供給される電力は、温度のいかなる変化も相殺するために、定常的に調節される。