(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903072
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】輸送コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
B65D88/12 B
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-545529(P2018-545529)
(86)(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公表番号】特表2018-538213(P2018-538213A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】AT2016060075
(87)【国際公開番号】WO2017083895
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】A50984/2015
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】518176404
【氏名又は名称】シュトラッサー,ヨハン,セン.
【氏名又は名称原語表記】STRASSER,Johann,Sen.
(73)【特許権者】
【識別番号】518176415
【氏名又は名称】カルクホッファー,ヴォルフガング
【氏名又は名称原語表記】KALKHOFER,Wolfgang
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュトラッサー,ヨハン,セン.
(72)【発明者】
【氏名】カルクホッファー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュトラッサー,ヨハン,ユン.
(72)【発明者】
【氏名】シュトラッサー,ヴォルフガング
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02810898(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0127876(US,A1)
【文献】
特開2000−309224(JP,A)
【文献】
実開昭61−037021(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00−90/66
B60J 5/00− 5/14
B62D 31/00−39/00
B60J 7/00− 9/04
B60J 11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送スペースを囲むフレーム構造(2)を有し、前記フレーム構造(2)に接続され、側壁(4)を有する壁ユニット(3)を有し、且つ、前記壁ユニットが前記フレーム構造(2)に当接し、前記フレーム構造(2)の横方向積載開口部(10)が前記側壁(4)によって閉じられる閉位置と、前記壁ユニットが前記横方向積載開口部(10)を開放する開位置との間で前記壁ユニット(3)を移送するための開放装置(9)を有する輸送コンテナ(1)、特に、車体又は貨物コンテナにおいて、前記開放装置(9)は前記壁ユニット(3)にヒンジ接続方式で接続される吊り上げアーム(11)を有し、前記吊り上げアーム(11)は2つの枢動アーム(14)を介して前記フレーム構造(2)に接続され、ヒンジ(15)が前記枢動アーム(14)と前記吊り上げアーム(11)との間に設けられ、且つ、ヒンジ(16)が前記枢動アーム(14)と前記フレーム構造(2)との間に設けられ、前記枢動アーム(14)と前記吊り上げアーム(11)との間の前記ヒンジ(15)及び前記枢動アーム(14)と前記フレーム構造(2)との間の前記ヒンジ(16)はいずれの場合にも互いから離間され、
前記枢動アーム(14)と前記フレーム構造(2)との間の前記ヒンジ(16)はそれらのヒンジピンと垂直な水平方向において実質的に互いから離間され、前記枢動アーム(14)と前記フレーム構造(2)との間の前記ヒンジ(16)は前記同一水平面において実質的に配置されていることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送コンテナ(1)において、前記枢動アームと前記フレーム構造との間の前記ヒンジ(16)は前記フレーム構造(2)の屋根領域(17)に配置されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の輸送コンテナ(1)において、前記枢動アーム(14)と前記吊り上げアーム(11)との間の前記ヒンジ(15)及び前記枢動アーム(14)と前記フレーム構造(2)との間の前記ヒンジ(16)は、前記壁ユニット(3)が前記閉位置から前記開位置に移送されている場合に、前記枢動アーム(14)同士が部分的に交差するように配置されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記壁ユニット(3)の前記閉位置と前記開位置との間で、前記吊り上げアーム(11)は225°を超える角度に枢動できることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記吊り上げアーム(11)は互いに関して鋭角に2つの吊り上げアームリム(18、19)を有することを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の輸送コンテナ(1)において、前記一方の吊り上げアームリム(18)は前記枢動アーム(14)に接続され、前記他方の吊り上げアームリム(19)は前記壁ユニット(3)に、特に、前記側壁(4)の側面周囲に接続され、前記壁ユニット(3)に接続される前記吊り上げアームリム(19)は前記枢動アーム(14)に接続される前記吊り上げアームリム(18)よりも大きい長手方向範囲を有することを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の輸送コンテナ(1)において、前記一方の枢動アーム(14)は前記一方の吊り上げアームリム(18)の自由端で連結され、前記他方の枢動アーム(14)は前記吊り上げアーム(11)の頂点(20)の前記範囲において連結され、前記頂点は前記吊り上げアームリム(18、19)を互いに接続することを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記側壁の前記閉位置において、前記一方の吊り上げアームリム(18)は前記側壁(4)の主に広がる平面に対して実質的に垂直に配置され、前記他方の吊り上げアームリム(19)は前記側壁(4)の前記主に広がる平面に対して実質的に平行に配置されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記開放装置(9)はトルクを前記吊り上げアーム(11)に伝達するための駆動部(12)、特に線形駆動部を有することを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の輸送コンテナ(1)において、前記駆動部(12)は、前記枢動アーム(14)と前記吊り上げアーム(11)との間の前記接合部(15)のうちの1つを中心とする一端において、且つ、前記フレーム構造(2)上の接合部(16)を中心とする他端において、前記フレーム構造(2)上に取り付けられることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、バネ要素(25)は、前記壁ユニット(3)の前記閉位置において及び/又は前記開位置において、前記バネ要素(25)が応力を受けている状態であるように、いずれの場合にも前記フレーム構造(2)及び前記壁ユニット(3)に接続されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記側壁(4)は少なくとも1つの上部側壁部分(5)及び1つの下部側壁部分(6)を有し、前記上部側壁部分(5)は枢動ピン(7)を介して前記下部側壁部分(6)に接続されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の輸送コンテナ(1)において、前記側壁は、それが固定位置ヒンジピンを中心として枢動できるように、前記フレーム構造(2)の前記屋根領域(17)に取り付けられることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記壁ユニット(3)は前記側壁(4)にヒンジ接続方式で接続され、前記壁ユニット(3)の前記閉位置において、前記フレーム構造(2)の屋根開口部(22)を覆い、且つ、前記壁ユニット(3)の前記開位置において、前記屋根開口部(22)を開放する屋根要素(21)を有することを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項15】
請求項14に記載の輸送コンテナ(1)において、前記壁ユニット(3)の前記開位置において、前記上部側壁部分(5)及び下部側壁部分(6)は、前記横方向積載開口部(10)から離れる方向に向かう前記フレーム構造(2)のその長手方向側面上で共に揺動される位置に配置されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の輸送コンテナ(1)において、前記壁ユニット(3)の前記開位置において、前記側壁(4)は、前記横方向積載開口部(10)から離れる方向に向かう前記フレーム構造(2)のその長手方向側面上で前記屋根領域(17)より低く、前記側壁(4)の高さの半分を超えるまで、ある程度に少なくとも配置されることを特徴とする輸送コンテナ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送スペースを囲むフレーム構造を有し、フレーム構造に接続され、側壁を有する壁ユニットを有し、且つ、壁ユニットがフレーム構造に当接し、フレーム構造の横方向積載開口部が側壁によって閉じられる閉位置と、壁ユニットが横方向積載開口部を開放する開位置との間で壁ユニットを移送するための開放装置を有する輸送コンテナ、特に、車体又は貨物コンテナに関し、ここで開放装置は壁ユニットにヒンジ接続方式で接続される吊り上げアームを有する。
【0002】
かかる輸送コンテナは、特に、オーストリア国特許第509550B1号明細書から公知である。この輸送コンテナは輸送コンテナの側壁を閉位置から開位置へ案内するためにL字形リンク又は吊り上げアームを有している。L字形リンクの長いリムは枢動自在な方法で側壁に取り付けられるのに対して、L字形リンクの短いリムは輸送コンテナのフレームに連結されている。線形駆動部が開放操作を補助するために設けられており、この線形駆動部はL字形リンクの頂点領域において作動する。この運動機構は原理的に極めて成功していると証明されている。しかし、開位置への移送中、リンクは実質上180°の角度しか克服できないという欠点がある。
【0003】
欧州特許出願公開第2810898A1号明細書は、フレーム構造を中心として側壁を枢動させるために枢動装置が設けられる問題となっている種類の輸送コンテナを開示している。枢動装置は吊り上げアーム要素及び駆動ユニットを有している。フレーム構造及び吊り上げアーム要素はそれらの間に、一端においてヒンジ接続方式で吊り上げアーム要素に、そして、他端においてヒンジ接続方式でフレーム構造に接続される連結要素を備えている。駆動ユニットは、力伝達要素を介してトルクを吊り上げアーム要素に伝達する線形駆動部を有している。このために、力伝達要素の一端は吊り上げアーム要素に接続され、力伝達要素の他端は線形駆動部に接続されている。
【0004】
米国特許出願公開第2003/0127876A1号明細書は、開位置に上方へ枢動させることができる2部分の側壁を有する車体を開示している。線形駆動部がこのために設けられ、一端において側壁に接続される湾曲した枢動アーム上で作動する。湾曲した枢動アームの他端において、接続アームが設けられており、後者は車体に連結されている。
【発明の概要】
【0005】
従って、従来技術の欠点を解消すること又は軽減することを発明の目的とする。発明は、従って、特に、導入部分において記載した種類の輸送コンテナを、開位置への移送中、側壁が直線構造のものを用いることによって比較的大きな枢動角度に枢動できる範囲に更に発展させる目的を有している。
【0006】
発明によれば、吊り上げアームは2つの枢動アームを介してフレーム構造に接続され、ここでヒンジが枢動アームと吊り上げアームとの間に設けられ、且つ、ヒンジが枢動アームとフレーム構造との間に設けられ、枢動アームと吊り上げアームとの間のヒンジ及び枢動アームとフレーム構造との間のヒンジはいずれの場合にも互いから離間される。
【0007】
従って、吊り上げアーム又はリンクは輸送コンテナのフレーム構造上に直接ではないが、一対の枢動アームを介して連結されている。設けられる吊り上げアームは、特に、剛体の、好ましくは固定長要素であり、開放操作中にトルクを側壁に伝達する。枢動アームの一端がヒンジを介してフレーム構造に接続され、枢動アームの他端がヒンジを介して吊り上げアームに接続される場合が好ましい。フレーム構造近傍の枢動アームのヒンジは、開閉操作中、固定位置に配置されるのが好ましい。吊り上げアーム近傍の枢動アームのヒンジは吊り上げアームの枢動運動に伴って移動する。吊り上げアームは側壁、特に側壁の側面周囲にヒンジ接続方式で接続される。2つの枢動アームによって取り付けられる吊り上げアームによって、吊り上げアームは開位置の方向に正確な方法で2つの開口部曲線に沿って枢動される。正確に2つの枢動アームが吊り上げアームとフレーム構造との間に設けられるのが好ましい。枢動アームを介した吊り上げアームの取付により、吊り上げアームが180°を超えて枢動する際にフレーム構造と衝突することを確実に防ぐため、開閉位置の間の吊り上げアームが従来技術の場合よりも大きな180°を超える大きい枢動角度に枢動されることが有利に可能である。従って、枢動アームは、吊り上げアームが180°を超えて枢動することを可能にするよう意図されている。これは、開位置における側壁の特に省スペースの配置を提供する。発明による開放装置は、加えて、必要とされる部品数を削減する、特に簡単でメンテナンスが少ない構成によって区別される。
【0008】
枢動アームとフレーム構造との間のヒンジのヒンジピン、枢動アームと吊り上げアームとの間のヒンジピン、及び吊り上げアームと側壁との間のヒンジピンは、輸送コンテナの長手方向に延在するのが好ましく、車体の場合の長手方向は、車両が直進して移動している場合の進行方向を通る。
【0009】
各枢動アームは、吊り上げアームの対向する長手方向側面にヒンジ接続方式で接続される2つの同一の平行な枢動アーム部品によって形成される場合が好ましい。
【0010】
この開示のため、「横方向」、「前」、「後」、「下」、「上(上方)」、「水平(な)」、及び「垂直(な)」等の位置/場所及び方向に関する情報は、輸送コンテナの意図する使用状態に関係する。
【0011】
特に好ましい変形例によれば、枢動アームとフレーム構造との間のヒンジはそれらのヒンジピンと垂直な水平方向において実質的に互いから離間され、枢動アームとフレーム構造との間のヒンジは同一水平面において実質的に配置されるのが好ましい。この実施形態の場合、フレーム構造近傍の枢動アームの接合部は、フレーム構造の実質的に横方向に、すなわち、長手方向と垂直な方向に互いに離間される。従って、これは、壁ユニットが閉位置から開位置に移送されている間に、吊り上げアーム近傍の枢動アームのための接合部が2つの異なる曲線経路、特に円軌道に沿って枢動される場合である。フレーム構造近傍の吊り上げアームの端部領域は、ここで、枢動アームによって屋根領域から部分的に吊り上げられる。結果として、閉位置から開始して、吊り上げアームは180°を超える角度を通って壁ユニットの開位置に枢動できる。
【0012】
吊り上げアームを連結するために、枢動アームとフレーム構造との間の接合部がフレーム構造の屋根領域に配置されれば有利である。従って、枢動アームはフレーム構造上でその上部領域に連結される。
【0013】
閉位置と開位置との間で吊り上げアームの信頼性のある案内を確実にするために、枢動アームと吊り上げアームとの間の接合部及び枢動アームとフレーム構造との間の接合部は、壁ユニットが閉位置から開位置に移送されている場合に、枢動アーム同士が部分的に交差するように配置されれば有利である。この実施形態の場合、枢動アーム同士は壁ユニットの開閉操作の一部の間に少なくとも交差する。
【0014】
枢動アーム同士はその長さが大きいか又は小さいものであってもよい。ここでの長さは、それぞれの場合において、各枢動アームのフレーム構造上のヒンジと吊り上げアーム上のヒンジとの間の距離に関係している。加えて、一方での枢動アームと吊り上げアームとの間のヒンジと、他方での枢動アームとフレーム構造との間のヒンジは、その距離よりも大きいか又は小さく互いから離間されることが可能である。
【0015】
側壁の比較的大きい開口角度を達成するため、壁ユニットの閉位置と開位置との間で、吊り上げアームは225°を超える角度に枢動できれば有利である。
【0016】
トルクを吊り上げアームに、そしてそれに接続される側壁に伝達させるために、吊り上げアームが互いに関してある角度で、好ましくは鋭角に配置される2つの吊り上げアームリムを有していれば有利である。この変形例の場合、吊り上げアームは実質的にL字形設計のものである。吊り上げアームリム同士は、好ましくは動かせない方法で互いに接続され、従って、閉位置から開位置へ移送する間、吊り上げアームリム間の角度は一定である。吊り上げアームを2つの吊り上げアームリムと共に設計することは、それらの他端がヒンジ接続方式でフレーム構造に取り付けられる枢動アームの一端を介する吊り上げアームの安定した連結を提供する。
【0017】
側壁が枢動される場合に有利なレバー比を達成するために、一方の吊り上げアームリムは枢動アームに接続され、他方の吊り上げアームリムは壁ユニットに、特に、側壁の側面周囲に接続され、壁ユニットに接続される吊り上げアームリムは枢動アームに接続される吊り上げアームリムよりも好ましくは大きい長手方向範囲を有していれば有利である。
【0018】
吊り上げアームを閉位置と開位置との間で案内するために、一方の枢動アームは一方の吊り上げアームリムの自由端で連結され、他方の枢動アームは吊り上げアームの頂点の範囲において連結されるのが好ましく、頂点は吊り上げアームリムを互いに接続する。この実施形態の場合、一方の吊り上げアームリムの自由端は一方の枢動アームによって第1の曲線経路、特に円軌道に沿って案内される。他方の枢動アームは吊り上げアームリム間の頂点で実質的に作動し、従って、吊り上げアームの頂点は第2の曲線経路、特に円軌道に沿って案内される。
【0019】
壁ユニットへの力の伝達は、側壁の閉位置において、一方の吊り上げアームリムが側壁の主に広がる平面に対して実質的に平行に配置され、他方の吊り上げアームリムが側壁の主に広がる平面に対して実質的に垂直に配置されるという点で向上させることができる。
【0020】
輸送コンテナを自動的に開閉させるために、開放装置がトルクを吊り上げアームに伝達させるための駆動部、特に線形駆動部、好ましくはシリンダ/ピストン駆動部を有していれば有利である。
【0021】
吊り上げアームへの力の伝達に関して、駆動部は、枢動アームと吊り上げアームとの間のヒンジのうちの1つを中心とする一端において、且つ、フレーム構造上のヒンジを中心とする他端において取り付けられれば有利である。フレーム構造上のヒンジは所定位置に固定されるのが好ましい。駆動部は吊り上げアームの頂点の領域内で作動する場合があるのが好ましい。
【0022】
特に好ましい実施形態によれば、バネ要素は、壁ユニットの閉位置において及び/又は開位置において、バネ要素が応力を受けている状態であるように、いずれの場合にもフレーム構造及び壁ユニットに接続される。バネ要素の一端がヒンジを介してフレーム構造に接続され、バネ要素の他端が更なるヒンジを介して壁ユニット、特に側壁に接続されることが可能である。バネ要素の配置により、閉位置において及び開位置において、バネエネルギーがバネ要素に蓄積される応力を受けている状態にバネ要素があるように、壁ユニットの重量を利用することが可能となる。開放操作の開始時及び閉操作の開始時、バネ要素は荷重から解放され、従って、開閉操作を補助するために、バネエネルギーを利用することができる。バネ要素が閉位置及び開位置の両方において応力を受けている状態に配置されるのが特に好ましい。この実施形態の場合、閉位置から開始して、バネ要素は、壁ユニットの中間位置において、バネ要素が完全に荷重から解放された状態になるまで、増加する範囲に荷重から解放される。その後、バネ要素は再度荷重を受け、従って、側壁の開位置において、バネ要素は再び応力を受けている状態になる。閉位置から開位置への、またその逆の移送中、バネ要素は、荷重が最高である段階の間、バネエネルギーを提供する。バネ要素は圧縮荷重を受ける圧縮バネの形で設計されるのが好ましい。例えば、圧縮バネは圧縮コイルバネであってもよい。応力を受けている状態において、圧縮コイルバネは圧縮されている。
【0023】
輸送コンテナが2つの長手方向側面、上部側面、裏面及び対向端部側面を有する直方体設計のものである場合、バネ要素は、好ましい実施形態において、輸送コンテナの一方の端部側面上に配置され、上で説明した開放装置は輸送コンテナの他方の端部側面上に配置されることが可能となる。車体の場合、バネ要素は、進行方向で見られるようなフレーム構造の前側に配置されるのが好ましい。
【0024】
スペースの理由で、そして、開閉操作中に生じる負荷のため、側壁が少なくとも1つの上部側壁部分及び1つの下部側壁部分を有していれば有利であり、ここで上部側壁部分は枢動ピンを介して下部側壁部分に接続される。上部及び下部側壁部分の間の枢動ピンは輸送コンテナの長手方向に通るのが好ましい。
【0025】
第1の好ましい変形例によれば、側壁は、それが固定位置ヒンジピンを中心として枢動できるように、フレーム構造の屋根領域に取り付けられる。この実施形態の場合、枢動アームによって案内されている吊り上げアームの先に説明した操作は、開位置において、側壁部分がフレーム構造の屋根領域より上に、それに対して鋭角に配置することができるという利点を有している。側壁の2部分設計の場合、開位置において、側壁部分はフレーム構造の屋根領域より上に共に揺動される状態で配置される。
【0026】
この開示のため、「固定位置」の枢動ピン又はヒンジピンは、それらの支承機能とは別に、開閉操作中、動かせない方法で配置されるピンであるものとして理解すべきである。
【0027】
代替の好ましい変形例によれば、壁ユニットは側壁にヒンジ接続方式で接続され、壁ユニットの閉位置において、フレーム構造の屋根開口部を覆い、且つ、壁ユニットの開位置において、屋根開口部を開放する屋根要素を有する。この実施形態の場合、横方向積載開口部を任意に開放するための側壁のみを有するのではなく、壁ユニットは、従って、屋根側積載開口部を任意に開放するための屋根要素を追加で有している。横方向積載開口部及び屋根側積載開口部はフレーム構造のフレーム要素間の大きい表面積にわたって延在する。屋根要素は、それがヒンジを介して枢動できるように側壁に接続される。屋根要素と側壁との間のヒンジピンはフレーム構造の長手方向に延在するのが好ましい。屋根要素と側壁との間のヒンジ接続とは、屋根要素が側壁と共に閉位置から開位置に移動されることを意味する。開位置において、輸送コンテナは屋根開口部及び横方向積載開口部を介して積載することができる。屋根要素は単一部分設計のものであってもよい。代替として、屋根要素は第1の屋根部分及び第2の屋根部分を有することができる。
【0028】
壁ユニットの開位置において、上部側壁部分及び下部側壁部分は、横方向積載開口部から離れる方向に向かうフレーム構造のその長手方向側面上で共に揺動される位置に配置されれば、特に好ましい。開位置において、側壁部分はフレーム構造と並行して、すなわち、屋根開口部と重なる配置で配置されるのが好ましい。従って、大きい表面積の屋根開口部を開放し、側壁が輸送コンテナの積載を妨げないことが有利に可能である。
【0029】
壁ユニットの開位置において、側壁が、横方向積載開口部から離れる方向に向かうフレーム構造のその長手方向側面上で屋根領域より低く、側壁の高さの半分を超えるまでが好ましい、ある程度に少なくとも配置される場合、開位置における輸送コンテナの全高を著しく低減させることが可能である。これは、例えば、輸送高さが制限されたとしても、壁ユニットの開位置において、輸送コンテナをより直進して移動させることができるという利点を有する。加えて、開放装置が開位置において受ける負荷を低減させることが可能である。開位置におけるその状態に関して見られるように、側壁はその高さの半分を超えて配置され、垂直方向における範囲として画成され、フレーム構造の上部側よりも低いのが好ましい。設計により、開位置において、側壁又は側壁部分が実質的に垂直に、又は、垂直に対してある角度で配置されることが可能である。
【0030】
発明を、どのような方法でも発明を制限せず、以下の図面において示す例示の実施形態に関して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、閉位置における壁ユニットを有する輸送コンテナの発明による第1の変形例の図を示す。
【
図2】
図2は、閉位置における壁ユニットを有する輸送コンテナの発明による第1の変形例の図を示す。
【
図3】
図3は、閉位置における
図1及び2による輸送コンテナの上側角部領域の詳細を示す。
【
図4】
図4は、壁ユニットが閉位置から開位置に移送されている際の第1の中間位置における
図1〜3による輸送コンテナの図を示す。
【
図5】
図5は、壁ユニットが閉位置から開位置に移送されている際の第1の中間位置における
図1〜3による輸送コンテナの図を示す。
【
図6】
図6は、開放操作中、第1の中間位置に続く第2の中間位置における
図1〜5による輸送コンテナの図を示す。
【
図7】
図7は、開放操作中、第2の中間位置に続く第3の中間位置における
図1〜5による輸送コンテナの図を示す。
【
図8】
図8は、開放操作中、第3の中間位置に続く第4の中間位置における
図1〜5による輸送コンテナの図を示す。
【
図9】
図9は、開位置における
図1〜8による輸送コンテナの図を示す。
【
図12】
図12は、閉位置における輸送コンテナの発明による第2の変形例の図を示す。
【
図17】
図17は、閉位置と開位置との間の中間位置における輸送コンテナの発明による更なる実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1〜10は、特に、トラック(図示せず)用の車体の形で設計される実質的に立方体の輸送コンテナ1を略図的に示している。輸送コンテナ1は水平及び垂直に配置されるフレーム部分によるフレーム構造2(図面において単に略図的に示す)を有する。輸送コンテナ1のフレーム構造2は輸送するための品物を格納するための輸送スペースを囲む。フレーム構造2は側壁4を有する壁ユニット又は壁構造3に接続される。側壁4は上部側壁部分5及び下部側壁部分6を備え、ここで上部側壁部分9は実質的に水平な枢動ピン7(動作位置と関連して見られるような)を介して下部側壁部分6に接続されている。下部側壁部分6の下端部は配向装置(図示せず)を介してフレーム構造に接続されていてもよい。上部側壁部分5及び下部側壁部分6はそれぞれ全表面積パネルの形で設計されている。更に、上部側壁部分5は、それが固定位置枢動ピン8を中心として枢動できるようにフレーム構造2に取り付けられている。固定位置枢動ピン8は輸送コンテナ1の長手軸方向に水平面内で延在している。
【0033】
また、
図1及び2から見て取れるように、開放装置9は、壁ユニットがフレーム構造2に対して平坦に当接し、フレーム構造2の横方向積載開口部10が側壁4によって閉じられる閉位置(
図1及び2を参照)と、壁ユニットが横方向積載開口部10を開放する開位置(
図9及び10を参照)との間で壁ユニット3を移送する目的のために追加で設けられる。開放装置9は側壁4の側面周囲にヒンジ接続方式で取り付けられる吊り上げアーム11を有する。更に、開放装置9はトルクを壁構造3に伝達するための駆動部12を有する。駆動部10は線形駆動部の形で設計され、油圧又は空気圧シリンダ/ピストン駆動部を形成している。一端において、駆動部12は、それが固定位置枢動ピン13を中心として枢動できるようにフレーム構造2に取り付けられている。他端において、駆動部12は吊り上げアーム11上で作動する。
【0034】
図1〜10から見て取れるように、吊り上げアーム11は一対の枢動アーム14によってフレーム構造2に接続されており、それによって、壁ユニット3の開閉運動中に、吊り上げアーム11、及び従って、側壁4が180°を超えて枢動できるように、吊り上げアーム11が案内される。図示の実施形態において、壁ユニット3の閉位置と開位置との間で、吊り上げアーム11は245°を超える角度に枢動できる。このため、吊り上げアーム11はヒンジ15を介してヒンジ接続方式で枢動アーム14の一端に接続され、前記枢動アームの他端は固定位置ヒンジ16を介してヒンジ接続方式でフレーム構造2に接続されている。
【0035】
また、
図1〜10から見て取れるように、一方での枢動アーム14と吊り上げアーム11との間のヒンジ15と、他方での枢動アーム14とフレーム構造2との間のヒンジ16は、それぞれの場合において互いから離間されている。枢動アーム14とフレーム構造2との間のヒンジ16は、輸送コンテナ1の長手方向と垂直の方向において実質的に同じ水平面内で互いから離間されている。図示の実施形態において、フレーム構造2近傍の枢動アーム14の固定位置ヒンジ16はフレーム構造2の屋根領域17上に位置している。
【0036】
また、
図1〜10から見て取れるように、枢動アーム14同士は共にリンク機構を形成し、それによって、開閉動作中に、吊り上げアーム11が2つの円軌道に沿って案内され、従って、フレーム構造2の屋根領域17との衝突が回避される。フレーム構造2上の枢動アーム14のヒンジ16は、壁ユニット3の閉位置と開位置との間の中間位置において、枢動アーム14同士が交差するように互いから離間される。
【0037】
また、
図1〜10から見て取れるように、吊り上げアーム11は互いに対して鋭角で配置される2つの吊り上げアームリム18、19を有しており、従って、L字形吊り上げアーム11が形成されている。吊り上げアームリム18は枢動アーム14に連結される。吊り上げアームリム19は側壁4の側面周囲にヒンジ接続方式で接続される。図示の実施形態において、壁ユニット3に接続される吊り上げアームリム19は枢動アーム14に接続される吊り上げアームリム18より何倍も長い。側壁4の閉位置において、吊り上げアームリム19は側壁4の主に広がる平面に対して実質的に平行に、すなわち、実質的に垂直に配置され、吊り上げアームリム18は側壁4の主に広がる平面に対して実質的に垂直に、すなわち、実質的に平行に配置される。
【0038】
また、
図1〜10から見て取れるように、枢動アーム14のうちの1つは吊り上げアームリム18の自由端において連結されている。更なる枢動アーム14は吊り上げアーム11の頂点20の領域において連結され、前記頂点は吊り上げアームリム18同士を互いに接続している。図示の実施形態において、駆動部12は、一端において、それが吊り上げアーム11の頂点20上のヒンジ15を中心として枢動できるように、そして、他端において、それがフレーム構造2上のヒンジ13を中心として枢動できるように、取り付けられる。
【0039】
図12〜16は輸送コンテナ1の代替構成を示しており、以下の文章では、単に
図1〜11の実施形態に関連する相違を検討している。
【0040】
図12〜16の輸送コンテナ1の場合、壁ユニット3はヒンジ接続方式で側壁4に接続される屋根要素21を有している。図示の実施形態において、屋根要素21は単体部品設計のものである。しかし、屋根要素21は、ヒンジ接続方式で互いに接続される(図示せず)第1の屋根部分と第2の屋根部分とを有することができる。
図12による壁ユニット3の閉位置において、屋根要素21は実質的に水平に配置され、ここでフレーム構造2の上側屋根開口部22は、前記屋根開口部が水平面に延在して、覆われている。壁ユニット3の開位置(
図15及び16を参照)において、屋根開口部22は露呈し、従って、輸送コンテナ1は、一方で横方向積載開口部10を介して、そして、他方で屋根開口部22を介して荷物を積載することができる。
【0041】
図示の実施形態において、枢動アーム14のうちの1つは、吊り上げアーム11から離れる方に向かうフレーム構造2上のヒンジ16のその側面に、ヒンジ24を介して駆動部12に接続される連結部分23を有している。これは、駆動部12が連結部分23と共に枢動アーム14を介してトルクを側壁4に連結される吊り上げアーム11に伝達することを意味する。この実施形態の場合、従って、駆動部12から連結部分23と共に枢動アーム14を介して吊り上げアーム11へと生じる力の間接的な伝達がある。
【0042】
図18及び19から見て取れるように、壁ユニットの開位置において、上部側壁部分5及び下部側壁部分6は共に揺動される位置、すなわち、横方向積載開口部10から離れる方向に向かうフレーム構造2のその長手方向側面上でそれらが平坦に重なって静止する位置に配置される。壁ユニット3の開位置において、側壁4は、特に、横方向積載開口部10から離れる方向に向かうフレーム構造2のその長手方向側面上で屋根領域17より低く、その高さの半分を超えるまで、ある程度に位置する。
【0043】
図17及び18は輸送コンテナ1の更なる実施形態を示しており、以下の文章は、単に
図1〜11の実施形態に関連する相違を説明するために用いられる。
図16及び17の実施形態の場合、バネ要素25がフレーム構造2と壁ユニット3との間にヒンジ接続方式で配置されている。バネ要素25は閉位置が達成される場合に応力を受け、従って、蓄積されたエネルギーが開放操作を開始する目的のために利用可能である。従って、バネ要素25は開位置が達成される場合(
図18を参照)に応力を受け、従って、蓄積されたエネルギーが閉操作を開始する目的のために利用可能である。図示の実施形態において、設けられるバネ要素25はコイルバネによって形成される圧縮バネである。バネ要素25は輸送コンテナ1の前端側に配置される。開放装置は輸送コンテナ1の後端側に配置される。