(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903080
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】一体的に形成された把持領域を備える延伸ブロー成形されたプラスチック容器、およびプラスチック容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20210701BHJP
B29C 37/04 20060101ALI20210701BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20210701BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20210701BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20210701BHJP
B65D 23/10 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
B29C49/42ZBP
B29C37/04
B65D1/02 221
B29C49/48
B65D1/00 120
B65D23/10 A
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-563682(P2018-563682)
(86)(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公表番号】特表2019-523721(P2019-523721A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(86)【国際出願番号】EP2017061602
(87)【国際公開番号】WO2017211540
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2020年5月12日
(31)【優先権主張番号】00721/16
(32)【優先日】2016年6月6日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】517275128
【氏名又は名称】アルプラ ヴェアケ アルヴィン レーナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Alpla Werke Alwin Lehner GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アデム デミール
【審査官】
▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−526579(JP,A)
【文献】
特開平08−323845(JP,A)
【文献】
特表2008−528342(JP,A)
【文献】
特開昭62−142092(JP,A)
【文献】
特開2005−267861(JP,A)
【文献】
特開2004−058124(JP,A)
【文献】
特開2016−040078(JP,A)
【文献】
特開2000−296549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の充填容積を取り囲む容器ボディ(12)と、一体的に形成された把持領域(18)とを備える延伸ブロー成形されたプラスチック容器であって、前記容器ボディ(12)が、容器底部(19)と、該容器ボディ(12)の、前記容器底部(19)とは反対の側に位置する端部に接続する、容器開口を備えた容器ネック(11)とを備えており、前記把持領域(18)が、中空に形成されていて、かつ前記容器ボディ(12)により取り囲まれた前記充填容積に接続しており、前記把持領域(18)と前記容器ボディ(12)との間で貫通把持開口(17)が切り抜かれており、前記容器ボディ(12)が、単層または多層に形成されており、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、それらのコポリマーおよび挙げられたプラスチックの混合物の群を有するプラスチック主成分から成る、少なくとも80%の材料割合を有しており、該貫通把持開口(17)が、その全周にわたって、前記容器ボディおよび前記把持領域(18)の、互いに溶接された壁部分(13,14)によって縁取られており、
互いに溶接された前記壁部分(13,14)が、レーザ溶接法によって材料結合式に互いに結合されている、ことを特徴とする、延伸ブロー成形されたプラスチック容器。
【請求項2】
互いに溶接された前記壁部分(13,14)が、100μm〜5mmの幅を有する溶接シーム(16)を形成している、請求項1記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記レーザ溶接法は、クリア−クリア溶接法である、請求項1または2記載のプラスチック容器。
【請求項4】
前記容器ボディ(12)が、0.5リットル〜20リットルの充填容積を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記容器ボディ(12)が、少なくとも部分的に透明に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記貫通把持開口を画定する縁部が、バリのない丸め加工された隆起部として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のプラスチック容器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のプラスチック容器を製造する方法であって、
単層または多層に形成されており、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、それらのコポリマーおよび挙げられたプラスチックの混合物の群を有するプラスチック主成分から成る、少なくとも80%の材料割合を有するパイプ状に形成されたプリフォーム(20)を、延伸ブロー成形法で、ブロー型(1)内で軸方向かつ半径方向に延伸してプラスチック容器(20)を形成し、前記延伸中に、前記容器ボディ(12)の、互いに反対の側に位置する2つの壁領域(13,14)を、前記ブロー型(1)から進出可能な押圧ロッド(7)によって、一体的な把持領域(18)を準備するために互いに接近させ、その後に延伸ブロー成形された前記プラスチック容器(10)を離型し、溶接ステーションに搬送し、該溶接ステーションにおいて、互いに接近した前記壁領域(13,14)を、溶接シーム(16)を形成しながら互いに溶接させ、前記溶接シーム(16)によって取り囲まれた壁区分(15)を、貫通把持開口(17)を形成しながら前記容器ボディ(12)から分離し、かつ除去し、
互いに接近した前記壁領域(13,14)を、レーザ溶接法によって材料結合式に互いに結合させることを特徴とする、プラスチック容器を製造する方法。
【請求項8】
互いに接近した前記壁領域(13,14)を、前記ブロー型(1)内で面状に互いに接触させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
互いに接近した前記壁領域(13,14)を、クリア−クリア溶接法によって材料結合式に互いに結合させる、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
互いに接近させられた前記壁領域(13,14)を、前記溶接ステーションにおいて、互いに反対の側に位置する2つのスタンプ(31,32)によって押し合わせ、前記両スタンプ(31,32)のうちの少なくとも一方のスタンプが、前記レーザ溶接に使用されるレーザ光線(L)に対して透過性である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも使用される前記レーザ光線(L)に対して透過性であるスタンプが、ガラス、石英ガラスまたはアクリルガラスから成っている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
互いに接近させられた前記壁領域(13,14)を、前記容器ボディ(12)内に形成された負圧によって、互いに対して面状に接触させて保持する、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
互いに接近させられた前記壁領域(13,14)を、互いに反対に位置する側からレーザ溶接によって材料結合式に互いに結合させる、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記貫通把持開口(17)をその全周にわたって縁取る前記溶接シーム(16)をバリ取りし、かつ/または丸め加工する、請求項7から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記溶接シーム(16)のバリ取りおよび/または丸め加工を、前記溶接シーム(16)によって取り囲まれた前記壁区分(15)の除去と同時に、または除去に続いて行う、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、一体的に形成された把持領域を備える延伸ブロー成形されたプラスチック容器、例えば好適には透明なプラスチックボトルに関する。本発明は、方法に関する独立請求項の前提部に記載の、このようなプラスチック容器を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ブリキ板またはカラー金属薄板、ガラスまたはセラミックから成る従来は通常であった容器は、プラスチックから成る容器によってますます取って代わられている。特に、家庭、農業、産業および工業等で使用するための流体状の内容物の包装には、主にプラスチック容器が使用される。小さな重量と比較的廉価なコストが、この代替において確実に重要な役割を果たしている。リサイクル可能なプラスチック材料の使用と、その製造時の全体的に有利な総エネルギ収支も、消費者におけるプラスチック容器の受入れを促進するのに寄与している。
【0003】
プラスチック容器、特にプラスチックボトルを製造するため、様々な方法が知られている。これらの方法の使用は、なんといっても使用されるプラスチックにも依存する。大抵の場合、プラスチック容器はブロー成形法で製造される。ブロー成形法では、容器、例えばプラスチックボトルが、過圧によりブロー型内でその最終形状へと膨らまされる。ブロー成形では、様々な方法技術が区別されている。これらの技術のうち、特に押出ブロー成形法、インジェクションブロー成形およびインジェクション延伸ブロー成形法が挙げられる。押出ブロー成形法では、単層または多層のプラスチックチューブが高温で押し出され、ブロー型内に挿入されて、型キャビティ内に進入させたブローピンを介してプラスチック容器へと膨らまされる。インジェクションブロー成形は、射出成形とブロー成形との組み合わせである。この場合、まず、射出成形法にて射出成形型内でプリフォームが製造される。このプリフォームは、射出成形型から離型され、場合によってはコンディショニングされて、ブロー型の型キャビティ内に挿入される。このブロー型内でプリフォームは最終的に過圧によって型キャビティにより規定された形状にしたがって膨らまされる。インジェクション延伸ブロー成形法では、型キャビティ内に挿入されたプリフォームがブロープロセス時にさらに延伸ロッドによって延伸される。プリフォームへの吹込みは、射出成形法によるその製造に直接に続いて行うことができる。代替的な製造方法では、プリフォームのさらなる加工が空間的かつ/または時間的にプリフォーム製造から分離して行われてもよい。最後に、プリフォームは、押出成形法(Fliesspressverfahren)または押出ブロー成形法によって製造できることも言及しておく。
【0004】
一体的な把持領域を備える第1のプラスチック容器は、押出ブロー成形法ではポリエチレン(PE)から製造される。ポリエチレンは、全体的に良好に加工可能であり、変形および溶接によって一体的な把持領域の製造を可能にする。しかし、PEから成るプラスチック容器は、透明ではないという欠点を有している。したがって、PEは、すぐに出発材料としてのポリ塩化ビニル(PVC)により代替された。ポリ塩化ビニルは、一体的な把持領域を備える透明なプラスチック容器の製造を可能にする。PVCは、良好な溶接性を有していたが、様々なブロー成形法で加工することが比較的困難である。生態学的な理由からも、透明なプラスチック容器の原材料としてのPVCの過大な使用は反対される。所望の透明性を有する代替的な多くのプラスチックは、コスト上の理由、その比較的困難な加工性、および例えば落下テストにおける小さすぎる機械的強度のために、一体的な把持領域を備えるプラスチック容器の材料としては排除される。
【0005】
透明なプラスチック容器の延伸ブロー成形法での製造のために最も頻繁に使用される原料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。PETは、延伸ブロー成形法で達成可能である高い延伸の結果、極めて良好な機械的強度値を有している。例えば、PETの延伸ブロー成形法では、最大20の総延伸係数が達成される。これに対して、例えば、通常は押出ブロー成形法で加工されるポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンでは、総延伸係数は大抵5よりも小さい。延伸ブロー成形されたプラスチック容器、特にPETから成るプラスチック容器は、押出ブロー成形されたプラスチック容器に対して高い総延伸係数のために、著しく大きな機械的強度値を有している。このことと、特にPETおよび比較可能なプラスチック、例えばPEFを用いた廉価な方法の実施は、延伸ブロー成形法を、特に一体的な把持領域を備えるプラスチック容器の製造のために特に魅力的なものにする。
【0006】
特開昭61−043535号から、延伸ブロー成形法が知られている。この延伸ブロー成形法では、把持領域がブロー型内での変形により形成される。このとき、容器ボディにおいて、互いに反対の側に位置する壁領域が、容器ボディがその最終形状に延伸ブロー成形された後に、ブロー型内に進出可能な押圧ロッドによって押し合わされる。このように形成された把持領域が、プラスチック容器の両側で把持凹部を形成する。しかし、把持凹部として形成された把持領域を備えるこのようなボトルの確実な取扱いは、常に可能ではない。したがって、把持凹部を備える、PETから製造されるボトルは市場に浸透することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、先行技術によるプラスチック容器の欠点および困難性を除去することにある。一体的な把持領域によって確実に把持および搬送が可能である、一体的に形成された把持領域を備えるプラスチック容器、例えばプラスチックボトルを提供することが望ましい。この場合、プラスチック容器は、十分に標準化された延伸ブロー成形法により製造可能であることが望ましい。方法の実施の手間のかかる変更を回避できることが望ましい。製造法は、短いサイクル時間を可能にし、廉価に実施可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題および別の課題は、請求項1に記載された特徴を有する、一体的に形成された把持領域を備える、延伸ブロー成形されたプラスチック容器において解決される。本発明に係るプラスチック容器の属する製造法は、方法に関する独立請求項に記載された特徴を有している。本発明の別の形態および/または有利な実施形態は、それぞれ従属する装置に関する請求項または方法に関する請求項の対象である。
【0009】
本発明は、延伸ブロー成形されたプラスチック容器であって、容器底部を備える、所定の充填容積を取り囲む容器ボディと、容器ボディの、容器底部とは反対の側に位置する長手方向端部に接続する容器開口を備える容器ネックと、一体的に形成された把持領域とを有するプラスチック容器を提案する。把持領域は、中空に形成されていて、容器ボディにより取り囲まれた充填容積に接続している。把持領域と容器ボディとの間で、貫通把持開口が切り抜かれている。この貫通把持開口は、その全周にわたって、容器ボディおよび把持領域の、互いに溶接された壁部分によって縁取られている。
【0010】
プラスチック容器の把持領域は、中空に形成されており、充填容積に接続している。これにより、充填された内容物が把持領域にも拡がることができる。したがって、中空の把持領域は、充填容積に寄与する。この場合、把持領域の内壁により画定された面積を有するその寸法設計が、把持領域の約5mm
2〜約400mm
2の最も狭い箇所において、把持領域に十分な強度を与える。この場合、把持領域は、それぞれ任意の幾何学形状を有していてよい。少なくとも貫通把持部の領域において丸み付けされている、例えば円形、楕円形または長円形に形成されている幾何学成形部が、ユーザにとって持ち心地が良いことが判った。切り抜かれた貫通把持開口は、プラスチック容器の把持および保持を容易にする。これにより、約0.5リットル〜約20リットル以上の容量を有するプラスチック容器も良好に把持し、確実に保持し、かつ操作することができる。プラスチック容器は、広く使われている延伸ブロー成形法では、通常は予め射出成形法で製造されるパイプ状のプリフォームから製造される。プラスチック容器を延伸ブロー成形法でコンディショニングされたプリフォームから製造することで、使用されたプラスチック材料の高い延伸が得られ、例えば圧縮強度および落下耐性に関して極めて良好な機械的強度値を保証することができる。プリフォームからの延伸ブロー成形法における製造法は、最後までブロー成形されたプラスチック容器において確認可能である。例えば、プリフォームの湯口は容器底部において確認可能である。容器開口を備える容器ネックは、通常、比較的大きな壁厚を有しており、延伸されていなくてよい。なぜならば、容器ネックは、延伸ブロー成形法の際にブロー型キャビティの外側に位置しているからである。
【0011】
プラスチック容器の別の実施形態では、貫通把持開口を縁取る、互いに溶接された壁部分が、100μm〜5mmの幅を有する溶接シームを形成していてよい。
【0012】
プラスチック容器の別の実施形態では、互いに溶接された壁部分が、レーザ透過溶接法で互いに結合されていることを規定することができる。この場合、このような従来のレーザ溶接法では、通常、3mm〜5mmの幅の溶接シームを実現可能である。
【0013】
プラスチック容器の代替的な実施形態では、貫通把持開口を縁取る壁部分の溶接のためのレーザ溶接法として、クリア−クリア溶接法(Klar-Klar Schweissverfahren)を使用することができる。この場合、壁部分は、3よりも大きな総延伸係数を有している。完成したプラスチック容器において、このことは、100μm〜3mmの極めて細い溶接シーム幅に基づき確認可能である。この場合、溶接シームは、単に10μmまでの極めて小さな変動幅を有していてよい。クリア−クリアレーザ溶接は、使用されるレーザ光線に対して透過性のプラスチック材料の極めて正確な溶接を、添加剤の添加なしに可能にする。したがって、貫通把持開口を縁取る壁領域を互いに溶接することができる。従来のレーザ溶接時には上側の接合パートナが透過され、熱はその下に位置する下側の接合パートナにおいて初めて形成されるのに対して、クリア−クリア溶接では、透過されるボディ全体に熱が導入される。溶接面に入射されるレーザ光の正確な焦点合わせにより、両接合パートナの材料が溶融する。この際、熱の導入は、プラスチック中の水分子の励振によって行うことができる。したがって、入射するエネルギを熱に変換するための添加剤を省略することができる。これにより、レーザ溶接プロセスを簡略化しかつ加速することができる。
【0014】
本発明に係るプラスチック容器の別の実施形態では、容器ボディが、0.5リットル〜20リットル、好適には0.7リットル〜10リットル、特に好適には0.9リットル〜3リットルの充填容積を有していてよい。このような容積を有するプラスチック容器は、食料品分野、例えば食用油用に需要があり、同様に家庭用洗浄材、介護用薬剤、洗剤または鉱物油等の貯蔵のためにも需要がある。
【0015】
プラスチック容器の別の実施形態は、容器ボディが単層または多層に形成されており、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンフラノエート、ポリプロピレンフラノエート、それらのコポリマーおよび挙げられたプラスチックの混合物の群から成るプラスチック主成分から成る、少なくとも80%の材料割合を有していることを規定していてよい。文献において、ポリプロピレンフラノエートは、むしろポリトリメチレンフラノエートとも呼ばれる。挙げられたプラスチックのガラス転移温度は、150℃よりも低く、54℃よりも高い。挙げられたプラスチックは、加工性に関して大幅に類似している。これらのプラスチックは高い延伸度を可能にし、高い強度値を有する透明なプラスチック容器へと加工することができる。通常、プラスチックは、150℃を超える温度への加熱時に20%以上収縮するように延伸される。このことは、溶接すべき輪郭から10mmの幅の引張ロッドを用意し、この引張ロッドを20秒間にわたって150℃を超えて加熱することにより測定可能である。さらに、挙げられたプラスチックは、挙げられたレーザ溶接法によって確実に結合可能であり、これにより、貫通把持開口を備える一体的な把持領域を製造することができる。
【0016】
別の実施形態では、プラスチック容器の容器ボディは、少なくとも部分的に透明に形成されていてよい。容器ボディの透明な構成は、充填状態の直接的なコントロールを可能にする。
【0017】
本発明の別の実施例によれば、貫通把持開口を画定している縁部は、バリのない丸め加工された隆起部として形成されている。壁部の溶接後に、溶接シームにより画定された、実質的に互いに接触する壁区分が、貫通把持開口を形成するために除去される。これは、CO
2レーザによって行うことができる。CO
2レーザは、1つの作業ステップにおいて、不要な壁区分を熱によって分離し、切断エッジにバリのない丸め加工された隆起部を形成することができる。これは、その手を貫通把持開口を通して把持するユーザに心地良く感じられる。壁部分は、形成される貫通把持開口内に少なくとも1つの突起が縁部に形成されるような形状で分離されてもよい。この突起は、貫通把持開口内に挿入部分を収容するために設けられている。この挿入部分は、例えば、容器の内容物を調量して取出し可能である調量容器として形成されていてよい。
【0018】
本発明の実施形態によるプラスチック容器を製造する方法では、パイプ状に形成されたプリフォームが、延伸ブロー成形法においてブロー型内で軸方向および半径方向に延伸されてプラスチック容器を形成する。延伸中に、容器ボディの、互いに反対の側に位置する2つの壁領域を、ブロー型から進出可能な押圧ロッドによって、一体的な把持領域を準備するために互いに対して接近させる。その後に、延伸ブロー成形されたプラスチック容器が離型され、溶接ステーションへと搬送される。この溶接ステーションにおいて、互いに接近した壁領域が溶接シームを形成しながら互いに溶接される。次いで、溶接シームにより取り囲まれた壁区分は、貫通把持開口を形成しながら容器ボディから分離されかつ除去される。
【0019】
本発明に係る方法では、容器ボディの、互いに反対の側に位置する壁領域を、使用されるプリフォームの延伸中に、互いに接近させる。この際、延伸ブロー成形法の初期段階で形成される予備ブロー成形体が変形し得る。これにより、プラスチック材料が所望の程度で延伸されることを保証することができる。その後に、予備ブロー成形体を、進出させた押圧ロッドの分だけ小さくなったブロー型キャビティに沿って最後まで膨らませることができる。これにより、極めて均一な材料分布が生じ得るので、最後まで膨らまされたプラスチック容器は、互いに反対の側に位置する壁領域が互いに接近している領域においても、比較的に均一な壁厚分布を有している。必要に応じて、メインのブロー成形プロセス中にも、スタンプを互いに接近させてよく、これにより、容器ボディの外側輪郭をさらに変更することができる。互いに接近した、互いに反対の側に位置する壁領域は、最後までブロー成形されたプラスチック容器内で把持凹部を形成している。この把持凹部は、一体的な把持領域の前段階を形成する。プラスチック容器の離型後に、プラスチック容器は溶接ステーションへと搬送される。この溶接ステーションで、ブロー型内で互いに接近させた壁領域を互いに面状に接触させ、把持凹部を縁取る閉じたラインに沿って互いに溶接する。次いで、これにより形成された溶接シームによって取り囲まれた壁区分を、貫通把持開口を形成しながら分離しかつ除去することができる。ある実施形態では、互いに接近した壁領域を、溶接シームによって縁取られた壁区分を除去することなしに、環状に互いに溶接することができる。これにより、容器ボディ内に、容器内容物によって充填されていない領域を形成することができる。これは、特に容器内容物が着色されている場合に、視覚的な効果を形成することができる。
【0020】
必ずしも必要ではないが、方法の別の形態では、互いに接近した壁領域が既にブロー型内で互いに対して面状に接触していることが規定されていてもよい。これにより、容器ボディの、把持凹部を形成する領域において、最大の延伸を達成することができる。互いに接近した壁領域が、既に互いに対して幾らかの付着を有していてもよい。これは、続く溶接プロセスを容易にすることができる。
【0021】
方法の別の形態では、互いに接近した壁領域を、プラスチック容器の離型後にレーザ溶接法によって互いに材料結合式に結合させることができる。レーザ溶接は、延伸ブロー成形法とは時間的にかつ/または場所的に分離して行うことができる。つまり、互いに接近した壁領域を、離型の直後に溶接ステーションにおいて互いに溶接する必要がない。製造されたプラスチック容器が、まず保管されて、その後に溶接ステーションにさらに搬送されることが規定されてもよい。
【0022】
方法の別の形態では、互いに接近した壁領域をクリア−クリア溶接法によって材料結合式に互いに結合することができる。クリア−クリア溶接は、使用されるレーザ光線に対して透過性のプラスチック材料の極めて正確な溶接を、添加剤の添加なしに可能にする。従来のレーザ溶接では、上側の接合パートナが透過され、熱はその下に位置する下側の接合パートナにおいて形成されるのに対して、クリア−クリア溶接では、透過されるボディ全体に熱が導入される。溶接面に入射されるレーザ光の正確な焦点合わせにより、両接合パートナの材料が溶融する。この際、熱の入力は、プラスチック中の水分子の励振によって行うことができる。したがって、入射されたエネルギを熱に変換するための添加剤が省略されるので、使用されるレーザ光に対して吸収される添加剤の、プラスチックへの混合を阻止することができる。これにより、レーザ溶接プロセスを簡略化しかつ加速することができる。
【0023】
レーザ溶接の別の方法の形態は、互いに接近した壁領域が、互いに反対側に位置する2つのスタンプによって押し合わせられることを規定してよい。この場合、両スタンプのうちの少なくとも1つのスタンプが、レーザ溶接に使用されるレーザ光線に対して透過性である。互いに接近した両方の壁領域が既に延伸ブロー成形法の後に接触しているか、または既に多かれ少なかれ互いに付着している場合でも、壁部分の押し合わせは、壁部分の互いに対して規定された位置のために役立つ。つまり、両方のスタンプは、両壁領域を位置固定し、さらに溶接すべき領域が特に溶接プロセス中に収縮しかつ変形するのを阻止することができる。さらに、スタンプは、溶接すべき領域を、溶接プロセス中にまたは溶接プロセス後に溶接シームが安定的となるように、したがって収縮または破断しないように冷却する。これにより、溶接シームを正確にかつ容器毎に再現可能に形成することができる。この場合、予め規定されていた溶接ラインに対して10μmの公差の範囲内に位置する溶接シームを実現可能である。
【0024】
別の方法の形態では、互いに溶接すべき壁領域の押し合わせのために使用されるスタンプは、使用されるレーザ光線に対して透過性の材料、例えばガラス、石英ガラスまたはアクリルガラスから成る少なくとも1つのスタンプを含む。したがって、レーザエネルギは、スタンプを通って接合パートナへ入射される。クリア−クリア溶接法の使用時には、両方のスタンプが、使用されるレーザ光に対して透過性である材料から成っていてよい。
【0025】
互いに溶接すべき壁領域の押し合わせのために代替的または付加的に使用され得る方法の別の形態では、互いに接近した壁領域を、容器ボディ内に形成された負圧によって互いに対して面状に接触させて保持することができる。負圧は、容器開口にサクションヘッドを被せ嵌めることによって、容器開口を介して形成することができる。
【0026】
互いに接近した壁領域の溶接は、従来のレーザ溶接法でもクリア−クリア溶接でも、互いに反対に位置する側から行われてよい。溶接ステーションにおける壁領域の押し合わせのためのスタンプの使用時に、両方のスタンプは、導入されるレーザ光線に対して透過性であり、ガラス、石英ガラスまたはアクリルガラスから成っていてよい。
【0027】
方法の別の形態は、貫通把持開口をその全周にわたって縁取っている溶接シームがバリ取りされ、かつ/または丸み加工されることを規定してよい。
【0028】
バリ取りまたは丸み加工は、プラスチック容器のユーザの保持快適性を高めるために要求されることがある。
【0029】
バリ取りおよび/または丸み付けは、溶接シームにより取り囲まれた壁区分の除去と同時に、または除去に続いて行われてよい。例えば、このために、CO
2レーザを使用することができる。このCO
2レーザは、壁区分を分離し、これに並行して貫通把持開口を画定する縁部にバリのない丸み加工された溶接シームを形成する。
【0030】
別の利点および特徴は、正しい縮尺ではない概略的な図面に関連する本発明の実施形態の以下の説明から判る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】挿入されたプリフォームを備えるブロー型キャビティを示す図である。
【
図2】
図1に示すII−II線によるブロー型キャビティの横断面を示す図である。
【
図3】プリフォームから延伸ブロー成形された予備ブロー成形体を有するブロー型キャビティの横断面を示す図である。
【
図4】ブロー型キャビティと、変形した側壁を有する予備ブロー成形体との横断面を示す図である。
【
図5】ブロー型キャビティと完全に膨らまされたプラスチック容器との横断面を示す図である。
【
図6】溶接ステーションにおけるプラスチック容器の横断面を示す図である。
【
図7】レーザ溶接中のプラスチック容器の横断面を示す図である。
【
図8】切り出された壁部分を有するプラスチック容器の横断面を示す図である。
【
図9】貫通把持開口を画定する縁部を通る拡大横断面である。
【
図10】本発明による方法により延伸ブロー成形されたプラスチック容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
概略的な図面において、同一の構成部材またはエレメントは、それぞれ同一の参照符号を有している。
【0033】
図1は、ブロー型1のブロー型キャビティ2内に挿入されたプリフォーム20の軸方向断面を示している。切断面は、ブロー型1の2つのブロー型半部の分離平面に沿って延びている。開口を有するプリフォームネック21と、プリフォーム底部23を閉鎖するプリフォームボディ22とを有するパイプ状のプリフォーム20は、熱可塑性プラスチックから成っている。例えば、少なくともプリフォームボディ22は、単層または多層に形成されており、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、ポリプロピレンフラノエート、それらのコポリマーおよび挙げられたプラスチックの混合物の群から成るプラスチック主成分から成る少なくとも80%の材料割合を有している。プリフォーム20は、通常、射出成形法で製造される。しかし、プリフォーム20は、押出成形法または押出ブロー成形法で製造されてもよい。ブロー型1は、延伸ブロー装置の構成部材であり、このブロー型1内で、プリフォーム20が型キャビティ2によりプラスチック容器にまで膨らまされる。プリフォームネック21は、型キャビティ2の外部に位置しており、延伸ブロー成形時に通常はもはや変更されない。
【0034】
プリフォーム20は、ブロー型キャビティ2の開口5で支持されており、ブロー型キャビティ2の底部6の方向に軸方向に延びている。ブロー型キャビティ2は、ブロー型壁部3と、ブロー型底部6とにより画定されている。ブロー型壁部3の縁部近傍の区分では、壁区分4がブロー型キャビティ2の内部に突入している。ブロー型キャビティ2の内側輪郭は、実質的に、延伸ブロー成形法で製造すべきプラスチック容器の後の形状を設定する。この場合、プリフォームボディ22は、プリフォームネック21の開口を通じて進入させた延伸ブローピンによる吹込みと軸方向の延伸とにより、プラスチック容器の容器ボディへと変形される。プリフォームネック21は、延伸ブロー成形法では実際に不変であり、プラスチック容器の容器ネックを形成する。
【0035】
図2に示した横断面図は、ブロー型1のブロー型キャビティ2内の、例えば回転対称に形成されたプリフォーム20を、ブロー工程および延伸工程の開始前の時点で示している。ブロー型キャビティ2は、例えば、互いに反対の側に位置する2つの壁区分4を有している。これらの壁区分4は、ブロー型壁部3に対して突出している。両方の壁区分4は、それぞれ1つの中心領域を有している。この中心領域は、移動可能な押圧ロッド7として形成されている。ブロー型キャビティ2内への押圧ロッド7の進入により、ブロー型キャビティの内側輪郭が変更可能である。突出している壁区分4は、ブロー型キャビティ2の軸方向の中心領域から移動されており、中心のほぼ円筒状の区分を延伸ブローピンのために空けている。
【0036】
図3は、プリフォーム20、特にプリフォームボディ21からいわゆる予備ブロープロセスで形成された予備ブロー成形体Bを示している。この予備ブロー成形体Bは、出発位置にある押圧ロッド7を有するブロー型キャビティ2の内側輪郭に十分に沿っている。
【0037】
図4は、予備ブロー成形プロセスの終了時のブロー型1のブロー型キャビティ2を示している。互いに反対の側に位置する壁領域4の中心領域にある押圧ロッド7は、所望の程度でブロー型キャビティ2の内部に進入している。このとき、予備ブロー成形体Bが変形され、かつプラスチック材料が延伸される。予備ブロー成形体Bの側壁の変形部は、一体的な把持領域が形成されるべき領域に配置されている。
【0038】
図5は、ブロー型キャビティ2と、最後まで延伸ブロー成形されたプラスチック容器との離型前の横断面を示している。特に、図面は、互いに接近した壁領域13,14を有する容器ボディ12の横断面を示している。壁領域13,14は、予備ブロー成形体(
図4)の側壁の変形部に一致し、容器ボディ12の縁部近傍の領域に配置されており、把持凹部を形成している。把持凹部を形成する壁領域13,14は、ブロー型壁部3に対して突出している区分4の輪郭と、ブロー型キャビティ2内に進入した押圧ロッド7の輪郭とに沿っている。押圧ロッド7の調節運動は、例えば、互いに接近した壁領域13,14が互いに対してまだ間隔を有しているように制限されていてよい。代替的な方法の実施では、ブロー型1の型キャビティ2内に進入した押圧ロッド7は、壁領域13,14が押圧ロッド7の間に挟まれ、互いに対して面状に接触するまで、互いに対して調節されてもよい。この場合、場合によっては、壁部分13,14は、予備ブロー成形体がまだ熱い状態で、互いに対する接触箇所において少なくとも部分的に接着してよい。
【0039】
図6は、ブロー型から離型された、延伸ブロー成形されたプラスチック容器の容器ボディ12の概略的な横断面を示している。溶接ステーションでは、延伸ブロー成形法で互いに接近させた壁領域13,14を、互いに対して調節可能である、互いに反対の側に位置する2つのスタンプ31,32によって押し合わされる。
図6は、押し合わされる壁領域13,14が互いに対して面状に接触する直前の状態を示している。これに対して、代替的または補足的に、互いに接近した壁領域13,14の面状の互いに対する接触は、溶接ステーションにおいて、容器ボディ12内に負圧を形成することによって実施されてもよい。例えば、このために、容器ネックに設けられた開口にサクションヘッドを被せ嵌めることができる。壁領域13,14が延伸ブロー成形法の間に既に互いに対して面状に接触しているプラスチック容器でも、溶接ステーションにおいて、スタンプ31,32によって壁領域の押し合わせが行われる。これにより、面状の接触が保証され、壁領域を、あらゆる場合に互いに関連して規定された再現可能な位置にもたらすことができる。
【0040】
図7は、スタンプ31,32を介して押し合わされた壁領域13,14を有する容器ボディ12を示している。スタンプ31,32によって壁領域13,14を互いに接触するように押圧することで、溶接すべき壁領域13,14が、溶接中に安定的なままとなり、歪んだり変形したりしないようにする。さらに、スタンプ31,32が冷却され、溶接すべき壁領域13,14が歪まないようにプロセスを支援する。壁領域13,14は、この壁領域13,14が、150℃よりも高く20秒間にわたって加熱される場合に20%よりも多く収縮するように、延伸される。次いで、互いに対して面状に接触する壁領域13,14は、その接触面の縁部に沿って互いに対して溶接される。このとき、閉じた溶接シーム16が形成される。この溶接シーム16は、両方の壁領域13,14により形成された壁区分15を取り囲んでいる。次いで、別の加工ステップで、貫通把持開口17を形成するために、溶接シーム16によって取り囲まれた壁区分15が分離され、かつ除去される。
【0041】
互いに接触する壁領域13,14の溶接は、従来のレーザ透過溶接によって行うことができる。この際に形成される溶接シーム16は、3mm〜5mmの幅を有していてよい。方法の別の形態では、押し合わされた壁領域13,14を、クリア−クリア溶接法によって互いに対して形状結合式に結合することができる。レーザ溶接のこの形態では、導入された熱が、正確に溶接面に焦点を合わせられて、互いに対して接合すべきパートナを意図的に溶接面で溶融させることができる。この際、熱の導入は、プラスチック中の水分子を励振させることによって行うことができる。入射されたエネルギを熱に変換するための添加剤は、この溶接法では省略することができる。
【0042】
壁領域13,14を押し合わせる両方のスタンプ31,32のうちの少なくとも1つのスタンプは、レーザ溶接に使用されるレーザ光線Lに対して透過性であり、したがって、レーザ光線Lは、このスタンプを通って溶接面に焦点を合わせることができる。代替的な方法の実施では、押し合わされた壁領域13,14の両側からレーザ溶接が行われてもよい。この場合、両方のスタンプ31,32が、導入されるレーザ光線に対して透過性の材料から成っていることは自明である。例えば、少なくとも1つまたは両方のスタンプ31,32は、ガラス、石英ガラスまたはアクリルガラスから成っている。
【0043】
図8では、溶接シーム16により取り囲まれた壁区分15の分離および除去が概略的に示唆されている。この壁区分15の分離および除去により、貫通把持開口17が形成されている。貫通把持開口17をその全周にわたって縁取る溶接シーム16は、さらにバリ取りされ、かつ/または丸め加工されてよい。バリ取りおよび/または丸め加工は、溶接シーム16により取り囲まれた壁区分15の除去と同時に、または除去に続いて行うことができる。例えば、このために把持領域の半径に適合された赤外線照射器を使用することができる。
【0044】
図9は、貫通把持開口17を画定する縁部を通った拡大横断面を示している。壁区分15は、この実施例では、CO
2レーザによって熱的に分離されている。壁区分15の分離は、熱的な分離による溶接シーム16への熱負荷をできるだけ小さく維持するために、溶接シーム16に対して間隔を空けて行われる。分離に並行して、バリのない隆起部24の形成が縁部において行われる。隆起部24の形成時に、材料の一部が、各壁領域13,14を超えて押し退けられ、部分領域25を形成する。各部分領域25は、その縁部に約0.25mmの半径Rを形成する。部分領域25の丸みに関連して、両方の壁領域13,14の材料厚さよりも幅広であるバリのない隆起部24によって、貫通把持開口17を通って掴んでいるユーザの手には、取扱い時に心地よい感覚が与えられる。
【0045】
図10は、最終的に一体的な把持領域18を備える、本発明に係る方法によって延伸ブロー成形されたプラスチック容器10の概略図を示している。プラスチック容器10は、容器開口を備えた容器ネック11を有している。この容器ネック11は、プラスチック容器10へと延伸ブロー成形されるプリフォームのプリフォームネックに実質的に一致する。容器ネック11には、容器底部19によって閉じられた一体的な把持領域18を備える容器ボディ12が接続している。把持領域18は、貫通把持開口17を取り囲んでいる。この貫通把持開口17は、その全周にわたって溶接シーム16により取り囲まれており、壁区分15(
図7および
図8)の除去により形成されている。
【0046】
プラスチック容器10の把持領域18は、中空に形成されており、容器ボディ12により取り囲まれた残りの充填容積に接続している。これにより、充填された内容物が、把持領域18内にも拡がることができる。したがって、中空の把持領域18は、充填容積に寄与する。このとき、把持領域の内壁によって画定された、約5mm
2〜約400mm
2の面積を有するその寸法設計が、把持領域に十分な強度を与える。把持領域は、その最も狭い箇所で、約60mm
2の面積を取り囲んでいる。切り抜かれた貫通把持開口17は、プラスチック容器10の把持および保持を容易にする。これにより、2リットル〜10リットル以上の比較的大きな容量を有するプラスチック容器を、良好に把持し、確実に保持し、かつ取り扱うことができる。プラスチック容器10は、好適には透明に形成されている。このことは、充填状態の直接的なコントロールを可能にする。プラスチック容器10は、広く使われている延伸ブロー成形法により、パイプ状のプリフォームから製造される。このプリフォームは、通常は予め射出成形法によって製造されている。射出成形法での製造は、使用されるプラスチック材料の高い延伸をもたらし、例えば圧縮強度および落下耐性に関して極めて良好な機械的強度値を有するプラスチック容器10の製造を可能にする。