【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、一態様において、本発明はオキシントモジュリン誘導体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝疾患、もしくは動脈硬化症の予防または治療のための組成物を提供する。
【0016】
本発明における用語「オキシントモジュリン」とは、グルカゴンの前駆体であるプレグルカゴンから作製されるペプチドを意味する。本発明において、オキシントモジュリンは天然型オキシントモジュリンとその前駆物質、アナログ(誘導体)、断片および変異体を含む。好ましくは、オキシントモジュリンは配列番号1(HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA)のアミノ酸配列を有する。
【0017】
本発明における用語「オキシントモジュリン変異体」とは、天然型オキシントモジュリンとアミノ酸配列が1つ以上の異なるアミノ酸残基を有するペプチドであり、GLP-1とグルカゴン受容体の活性化機能を有するペプチドを意味する。前記オキシントモジュリン変異体は、天然型オキシントモジュリンの一部のアミノ酸の置換、付加、欠失および修飾のうちいずれかの方法またはそれらの方法の組み合わせにより製造できる。
【0018】
本発明における用語「オキシントモジュリン誘導体」とは、天然型オキシントモジュリンの一部のアミノ酸を付加、欠失または置換によって製造し、天然型オキシントモジュリンによって活性化されたレベルに比べ、GLP-1受容体とグルカゴン受容体をいずれも高レベルに活性化させることのできるペプチド、ペプチド誘導体またはペプチド模倣体を意味する。
【0019】
本発明における用語「オキシントモジュリン断片」とは、オキシントモジュリンのアミノ末端またはカルボキシ末端に1つまたはそれ以上のアミノ酸が付加または欠失した断片を意味し、付加されたアミノ酸は天然に存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)であってもよい。このようなアミノ酸は体内で血糖調節機能を持つ。
【0020】
オキシントモジュリン変異体、誘導体、および断片を製造するための方法は、独立して用いられるか、または組み合わせて用いられる。例えば、本発明には、天然型ペプチドとアミノ酸配列が1つ以上異なり、N末端アミノ酸残基に脱アミノ化されたGLP-1受容体とグルカゴン受容体のいずれに対しても活性化機能を持つペプチドが含まれる。
【0021】
本明細書におけるアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法にしたがって次のように略語で記載した。
アラニン A;アルギニン R;
アスパラギン N;アスパラギン酸 D;
システイン C;グルタミン酸 E;
グルタミン Q;グリシン G;
ヒスチジン H;イソロイシン I;
ロイシン L;リシン K;
メチオニン M;フェニルアラニン F;
プロリン P;セリン S;
トレオニン T;トリプトファン W;
チロシン Y;バリン V
【0022】
本発明において、オキシントモジュリン誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列でアミノ酸の置換、付加、欠失または翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、分子内共有結合)され、グルカゴンとGLP-1受容体をいずれも活性化させることのできる任意のペプチドを含む。前記アミノ酸の置換または付加時には、通常ヒトタンパク質において観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定型的または非自然発生アミノ酸を用いることができる。非定型的アミノ酸の商業的出所には、Sigma-Aldrich、ChemPepおよびGenzyme Pharmaceuticalsが含まれる。これらのアミノ酸が含まれるペプチドと非定型的なペプチド配列は商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican Peptide CompanyまたはBachemまたは韓国のAnygenにおいて合成および購入することができる。
【0023】
具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、下記式(1)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-X1-X2-GTFTSD-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-
X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-
X21-X22-X23- X24-R2 (式1)
【0024】
前記式で、
R1はヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxyimidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、β-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxyimidazopropionyl)またはチロシンであり、
X1はAib(アミノイソ酪酸)、d-アラニン、グリシン、Sar(N-メチルグリシン)、セリンまたはd-セリンであり、
X2はグルタミン酸またはグルタミンであり、
X3はロイシンまたはチロシンであり、
X4はセリンまたはアラニンであり、
X5はリジンまたはアルギニンであり、
X6はグルタミンまたはチロシンであり
X7はロイシンまたはメチオニンであり、
X8はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
X9はグルタミン酸、セリン、α-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、 X10はグルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニンまたはセリン、または欠失した配列であり、
X11はアラニン、アルギニンまたはバリンまたは欠失した配列であり、
X12はアラニン、アルギニン、セリンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X13はリジン、グルタミン、アルギニンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X14はアスパラギン酸、グルタミン酸またはロイシン、または欠失した配列であり、 X15はフェニルアラニンまたは欠失した配列であり、
X16はイソロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X18はトリプトファンまたは欠失した配列であり、
X19はアラニン、イソロイシン、ロイシン、セリンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X20はアラニン、リジン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニン、または欠失した配列であり、
X21はアスパラギンまたは欠失した配列であり、
X22はアラニン、グリシンまたはトレオニン、または欠失した配列であり、
X23はシステインまたはリジン、または欠失した配列であり、
X24はアラニン、グリシンおよびセリンの組み合わせからなる2〜10個のアミノ酸を有するペプチドまたは欠失した配列であり
R2は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、
HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、
HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、
HGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)または欠失した配列である(ただし、式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同じである場合は除く)。
【0025】
野生型のオキシントモジュリンのグルカゴン受容体およびGLP-1受容体に対する活性を高めるために、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、配列番号1で表されるアミノ酸配列において1番目のアミノ酸であるヒスチジンのαカーボンを欠失させた4-イミダゾアセチル、N末端アミノ基を欠失させたデスアミノ-ヒスチジル、N末端アミノ基を2つのメチル基で修飾したジメチル-ヒスチジル(N-ジメチル-ヒスチジル) 、N末端アミノ基をヒドロキシル基に置換したβ-ヒドロキシイミダゾプロピオニルまたはN末端アミノ基をカルボキシル基に置換したβ-カルボキシイミダゾプロピオニルに置換することができる。また、GLP-1受容体と結合する部位を疎水性結合とイオン結合を強化させるアミノ酸に置換したりまたはこれらを組み合わせることができる。また、オキシントモジュリン配列の一部配列をGLP-1のアミノ酸配列またはエキセンデイン-4のアミノ酸配列に置換してGLP-1受容体の活性を高めることができる。
【0026】
さらに、オキシントモジュリン配列の一部配列をαへリックスを強化する配列に置換することができる。好ましくは、式(1)のアミノ酸配列の10番目、14番目、16番目、20番目、24 番目、および28番目のアミノ酸がαへリックスを安定させることで知られているTyr(4-Me)、Phe、Phe(4-Me)、Phe(4-Cl)、Phe(4-CN)、Phe(4-NO
2)、Phe(4-NH
2)、Phg、Pal、Nal、Ala(2-チエニル)またはAla(ベンゾチエニル)からなるアミノ酸もしくはアミノ酸誘導体に置換されてもよく、挿入されうるαへリックスを安定させるアミノ酸もしくはアミノ酸誘導体の種類および数は限定されない。
【0027】
好ましくは、アミノ酸配列が10番と14番、12番と16番、16番と20番、20番と24番および24番と28番の位置のアミノ酸は、それぞれグルタミン酸またはリジンに置換することによって環を形成することができ、挿入される環の数も限定されるものではない。最も好ましくは、前記オキシントモジュリン誘導体は、下記式(1)〜(6)から選択されるアミノ酸配列を有することができる。
【0028】
具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列にエクセンディンもしくはGLP-1の配列に置換した下記式(2)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-A-R3 (式2)
【0029】
他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列の一部とエクセンディンまたはGLP-1の配列の一部を適当なアミノ酸リンカーを介して連結した下記式(3)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-B-C-R4 (式3)
【0030】
さらに、他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列の一部をGLP-1受容体との結合力を高めるアミノ酸に置換、例えば26番目のLeuをGLP-1受容体と疎水性結合をするため、疎水性を増加させるアミノ酸であるIleもしくはValに置換された下記式(4)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-SQGTFTSDYSKYLD-D1-D2-D3-D4-D5-LFVQW-
D6-D7-N-D8-R3 (式4)
【0031】
さらに、他の具体的な一実施態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、天然のオキシントモジュリンのGLP-1受容体とグルカゴン受容体の活性を高めるためにアミノ酸配列の一部を欠失させたり、挿入したり、他のアミノ酸に置換した下記式(5)のアミノ酸配列を含む新規なペプチドである。
R1-E1-QGTFTSDYSKYLD-E2-E3-RA-E4-E5-FV-E6-
WLMNT-E7-R5 (式5)
【0032】
式(2)〜(5)において、R1は、式(1)で前述したとおりである。
Aは、
SQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、
SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、
SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、
GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、
GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)、および
SQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47)からなる群から選択され、
Bは、
SQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、
SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、
SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、
GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、
GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)、
SQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47) 、
GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEW(配列番号48)、および
SQGTFTSDYSRYLD(配列番号49)
からなる群から選択され、
Cは、アラニン、グリシンおよびセリンの組み合わせからなる2〜10個のアミノ酸を有するペプチドであり、
D1はセリン、グルタミン酸またはアルギニンであり、
D2はアルギニン、グルタミン酸またはセリンであり、
D3はアルギニン、アラニンまたはバリンであり、
D4はアルギニン、バリンまたはセリンであり、
D5はグルタミン、アルギニンまたはリジンであり、
D6はイソロイシン、バリンまたはセリンであり、
D7はメチオニン、アルギニンまたはグルタミンであり、
D8はトレオニン、グリシンまたはアラニンであり、
E1はセリン、Aib、Sar、d-アラニンまたはd-セリンであり、
E2は、セリンまたはグルタミン酸であり、
E3は、アルギニンまたはリジンであり、
E4は、グルタミンまたはリジンであり、
E5は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
E6はグルタミン、システインまたはリジンであり、
E7はシステインまたはリジン、または欠失した配列であり、
R3は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)またはGPSSGAPPPSK(配列番号37)であり、
R4は、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)またはHGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)であり、および
R5は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)または欠失した配列である(ただし、式(2)〜(5)のアミノ酸配列が、配列番号1と同じである場合は除く)。
【0033】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、下記式(6)の新規なペプチドであることが好ましい。
R1-X1-X2-GTFTSD-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-
X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-
X21-X22-X23- X24-R2 (式6)
【0034】
R1はヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル、4-イミダゾアセチルまたはチロシンであり、
X1はAib(aminosiobutyric acid)、グリシン、セリンまたはd-セリンであり、
X2はグルタミン酸またはグルタミンであり、
X3はロイシンまたはチロシンであり、
X4はセリンまたはアラニンであり、
X5はリジンまたはアルギニンであり、
X6はグルタミンまたはチロシンであり、
X7はロイシンまたはメチオニンであり、
X8はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
X9はグルタミン酸またはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X10はグルタミン、グルタミン酸、リジンまたはアルギニン、または欠失した配列であり、
X11はアラニンまたはアルギニン、または欠失した配列であり、
X12はアラニンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X13はリジン、グルタミン、アルギニンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X14はアスパラギン酸、グルタミン酸またはロイシン、または欠失した配列であり、 X15は、フェニルアラニンまたは欠失した配列であり、
X16はイソロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、グルタミンまたはα-メチルグルタミン酸、または欠失した配列であり、
X18は、トリプトファンまたは欠失した配列であり、
X19はアラニン、イソロイシン、ロイシンまたはバリン、または欠失した配列であり、
X20はアラニン、リジン、メチオニンまたはアルギニン、または欠失した配列であり、
X21は、アスパラギンまたは欠失した配列であり、
X22は、トレオニンまたは欠失した配列であり、
X23は、システイン、リジンまたは欠失した配列であり、
X24は、グリシンからなる2〜10個のアミノ酸を有するペプチドまたは欠失した配列であり、
R2は、KRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)または欠失した配列である(ただし、前記式(6)のアミノ酸配列が、配列番号1と同じである場合は除く)。
【0035】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、配列番号2〜34のペプチドからなる群から選択されたものであることがより好ましく、実施例2-1の表1に記載されたオキシントモジュリン誘導体であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の一実施例では、それぞれ配列番号2〜34のアミノ酸配列を有するオキシントモジュリン誘導体を製造し、前記オキシントモジュリン誘導体が天然型オキシントモジュリンに比べて優れたGLP-1受容体と、グルカゴン受容体活性を示すことを確認した(実施例2)。すなわち、前記の結果から本発明のオキシントモジュリン誘導体は、GLP-1受容体およびグルカゴン受容体を活性化させることによって、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療効果を示すことが分かる。
【0037】
前記本発明のオキシントモジュリン誘導体は、治療学的効能と生体内半減期を向上させるために、様々な重合体を含む結合体の形態で存在する。
【0038】
本発明の前記結合体は、天然型オキシントモジュリンに比べて効果の持続性が増加しており、前記持続型結合体は天然型オキシントモジュリンのアミノ酸が修飾、置換、付加または欠失することによって製造されたオキシントモジュリンを含み、ポリエチレングリコール(PEG)のような生分解性重合体が結合したオキシントモジュリン、もしくはアルブミン、抗体 、エラスチン、フィブロネクチンまたはキチンなどのポリサッカライド、免疫グロブリン断片のような持続性に優れたタンパク質が結合したオキシントモジュリン、生体内アルブミンとの結合力を有する脂肪酸が結合したオキシントモジュリン、または生分解性ナノ粒子に封入された形態のオキシントモジュリンを含むことができ、本発明で用いられる持続型結合体の種類は限定されない。
【0039】
好ましくは、前記結合体は、配列番号2〜34からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するオキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域が、非ペプチド性重合体を介して連結されたものである。
【0040】
免疫グロブリンFc領域は、生体内で代謝される生分解性ポリペプチドであるため、薬物のキャリアとしての使用において安全である。免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリン全体分子に比べて相対的に分子量が少ないため、結合体の製造、精製、および収率の面において有利である。また、抗体間のアミノ酸配列が異なるのでFab部分が高い非均質性を示し、それにより物質の同質性が大幅に増加し、血中抗原性の誘発可能性を低くすることができる。
【0041】
本発明における用語「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、免疫グロブリンの重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除く免疫グロブリンの重鎖不変領域2(CH2)および重鎖不変領域3 (CH3)を意味し、重鎖不変領域にヒンジ部分を含んでもよい。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等あるいは向上した効果を持つ限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除き、重鎖不変領域1(CH1)および/または軽鎖不変領域1(CL1)の一部または全体を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、免疫グロブリンFc領域は、CH2および/またはCH3に該当する相対的に長い一部のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。特に、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインおよびCH4ドメイン、2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、5)1つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体であってもよい。
【0042】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列、およびその配列誘導体(変異体)を含む。本発明における用語「アミノ酸配列誘導体」とは、天然アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的置換、もしくはこれらの組み合わせによって異なる配列を有するものを意味する。例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られている214〜238、297〜299、318〜322または327〜331番のアミノ酸残基を修飾するための適当な部位として使用することができる。
【0043】
また、ジスルフィド結合の形成可能な部位が除去されたり、または天然型FcからN末端のいくつかのアミノ酸残基が除去されたり、あるいは天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されるなど、様々な種類の誘導体が可能である。さらに、エフェクター機能を無くすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位およびADCC(抗体依存性細胞障害)部位が除去されることもある。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、特許文献1、特許文献2などに開示されている。
【0044】
活性を全体的に変更させないタンパク質およびペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野に公知となっている(非特許文献3)。最も一般的に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/ Val、Ala/GluおよびAsp/ Gly間の交換である。また、場合によっては、Fc領域はリン酸化、硫化、アクリル化、糖化、メチル化 、ファルネシル化 、アセチル化およびアミド化などにより修飾されうる。
【0045】
前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同一の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどの構造的安定性を増大させた誘導体である。
【0046】
また、このようなFc領域は、ヒトおよびウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラットまたはモルモットなどを含む動物から分離した天然型から得てもよく、形質転換された動物細胞または微生物から得た組み換え型またはその誘導体であってもよい。ここで、Fe領域は、免疫グロブリン全体をヒトまたは動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理することによって天然型免疫グロブリンから得ることができる。免疫グロブリン全体にパパインを処理する場合はFabおよびFc領域に切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c、およびF(ab)
2断片に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィーなどを用いて、FcまたはpF’cを分離することができる。好ましくは、ヒト由来のFc領域は微生物から得た組み換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0047】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖、または脱グリコシル化した形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減または除去は、化学的方法、酵素学的方法および微生物を用いた遺伝工学的方法などの通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去されたることによって得られたFc領域は、最初の補体(C1q)との結合親和性が著しく低下し、抗体依存性細胞障害または補体依存性細胞障害が減少または除去されるので、生体内での不要な免疫反応を誘発しない。このような点において、薬物のキャリアとしての本発明の目的により適した形態は、脱グリコシル化された免疫グロブリンFc領域 、または非グリコシル化された形態の免疫グロブリンFc領域である。
【0048】
本発明における用語「脱グリコシル化 」とは、酵素で糖部を除去したFc領域を意味し、用語「非グリコシル化」とは、原核生物、好ましくは大腸菌において生産されたグリコシル化されていないFc領域を意味する。
【0049】
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒトまたはウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラットおよびモルモットなどの動物由来てあってもよいが、ヒト由来であることが好ましい。
【0050】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組み合わせ、もしくはこれらの混成によるFc領域であってもよい。好ましくは、ヒト血液に最も豊富に存在するタンパク質であるIgGまたはIgM由来であり、最も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となっているIgG由来である。
【0051】
本発明における用語「組み合わせ」とは、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコード化するポリペプチドが異なる起源の単鎖ポリペプチドと連結して、二量体または多量体を形成することを意味する。具体的には、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD FcおよびIgEのFc断片からなる群れから選択される2つ以上の断片から二量体または多量体を形成することができる。
【0052】
本発明における用語「ハイブリッド」とは、単鎖の免疫グロブリンFc領域内に2つ以上の異なる起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する。本発明では、様々な形態のハイブリッドが可能である。すなわち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE FcおよびIgD FcのCH1、CH2、CH3、およびCH4からなる群から選択される1つ〜4つのドメインからなるハイブリッドが可能であり、ヒンジを含むことができる。
【0053】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4のサブクラスに分けられるが、本発明ではこれらのサブクラスの組み合わせまたはハイブリッドも可能である。好ましくは、IgGはIgG2およびIgG4サブクラスであり、最も好ましくは、補体依存性細胞障害(CDC)などのエフェクター機能がほとんど無いIgG4のFc領域である。
【0054】
すなわち、本発明で薬物キャリアとして使用される最も好ましい免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来のFc領域である。ヒト由来のFc領域は、人体で抗原として作用し、その抗原に対する新しい抗体を生成するなどの好ましくない免疫反応を引き起こしうる非ヒト由来のFc領域より好ましい。
【0055】
本発明における用語「非ペプチド性重合体」とは、2つ以上の反復単位がペプチド結合の代わりに任意の共有結合によって互いに連結した生体適合性重合体を意味する。本発明では、前記非ペプチド性重合体は非ペプチド性リンカーとほとんど同じ意味で使用される。
【0056】
本発明に使用可能な非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(PLA)およびポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)などの生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくは、ポリエチレングリコールである。また、当該分野で既に公知となっている誘導体および当該技術分野で公知の方法により容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0057】
従来のインフレームフュージョン法(inframe fusion method)によって得られる融合タンパク質において使用されるペプチド性リンカーの欠点は、生体内でタンパク質分解酵素によって容易に切断され、キャリアによる活性薬物の血中半減期の増加効果を期待した程十分に得られないことである。しかし、本発明では、タンパク質分解酵素に抵抗性を持つ重合体を用いて、キャリアと類似したペプチドの血中半減期を維持することができる。したがって、本発明で使用できる非ペプチド性重合体は前述の機能、すなわち生体内タンパク質分解酵素に抵抗性を持つ重合体であれば制限なく使用できる。非ペプチド性重合体の分子量の範囲 は1〜100kDaであり、好ましくは1〜20 kDaである。また、前記免疫グロブリンFc領域に連結される本発明の非ペプチド性重合体は、一種類の重合体、もしくは異なる種類の重合体の組み合わせであってもよい。
【0058】
本発明に使用される非ペプチド性重合体は、免疫グロブリンFc領域およびタンパク質薬物と結合できる反応基を有することができる。前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は、反応アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基およびスクシンイミド誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0059】
前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルプロピオン酸塩、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、またはスクシンイミジル炭酸塩であってもよい。特に、前記非ペプチド性重合体が両末端にアルデヒド反応基を有する場合、非特異的反応を最小化することができ、生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンが非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ効果的に結合することができる。アルデヒド結合による還元性アルキル化によって生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりもはるかに安定している。アルデヒド反応基は、低pHでN末端に選択的に結合し、pH9.0のような高pHにおいてリジン残基と共有結合を形成されうる。
【0060】
前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は互いに同一、または異なってもよい。例えば、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にマレイミド基を、もう一方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を有してもよい。両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合には、公知の化学反応によって前記ヒドロキシ基を前記の様々な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な改変した反応基を有するポリエチレングリコールを用いて、本発明の持続型結合体を製造することができる。
【0061】
本発明の結合体は、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキシントモジュリン誘導体のアミン基またはチオール基に結合するものであってもよい。
【0062】
本発明の前記非ペプチド性重合体は、両末端に免疫グロブリンFc領域またはタンパク質薬物のいずれかに連結できる反応基を有する。前記反応基は、特にこれらに限定されないが、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基、スクシンイミド誘導体(スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシまたはスクシンイミジル炭酸塩)などであってもよい。
【0063】
前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は、互いに同一または異なってもよい。例えば、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にマレイミド基を有し、もう一方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基などを有してもよい。例えば、前記の非ペプチド性重合体が一方の末端にアルデヒド基の反応基を有し、他方の末端にマレイミド基の反応基を有する場合、非特異的反応を最小化することができ、非ペプチド性重合体の両末端に生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンが効果的に結合される。本発明の一実施態様によれば、プロピオンアルデヒドを単独で含むかまたはマレイミド基とアルデヒド基を共に含む非ペプチド性重合体のPEGを用いて、オキシントモジュリンまたはその誘導体を免疫グロブリンFc領域に共有結合によって連結することによって、結合体を合成した。
【0064】
本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療に使用することができる。
【0065】
本発明の用語「予防」とは、標的疾患の発症を抑制したり、遅延させる全ての行為を意味する。本発明における「予防」とは、本発明のオキシントモジュリン誘導体を投与することによって、血中総コレステロールおよび低密度コレステロール値が増加し、高密度コレステロール値が減少する高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の発症を抑制したり、遅延することを意味する。
【0066】
本発明の用語「治療」とは、発生した病気の症状を軽減、改善または緩和させる全ての行為を意味する。本発明における用語「治療」とは、本発明のオキシントモジュリン誘導体を投与することによって、血中総コレステロール値および低密度コレステロールが増加し、高密度コレステロール値が減少して高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の軽減、改善または緩和されることを意味する。
【0067】
本発明の用語「高脂血症」とは、血液内の遊離コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質、中性脂肪などの脂肪が異常に増加した状態を意味する。高脂血症は、一般的に、それ自体が特定の症状を示すものではないが、血液内の過剰な脂質が血管壁に付着して血管のサイズを狭め、炎症反応によるアテローム性動脈硬化を引き起こす。これにより、冠状動脈性心臓病、脳血管疾患、末梢血管の閉鎖などが発症することがある。
【0068】
したがって、本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症だけではなく、冠状動脈性心臓病、脳血管疾患または末梢血管の閉塞などの治療にも使用できる。
【0069】
前記「脂肪肝疾患」とは、肝重量における脂肪の占める割合が5%以上である状態を意味する。本発明において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、栄養性脂肪肝疾患、飢餓性脂肪肝疾患、肥満性脂肪肝疾患、糖尿病性脂肪肝疾患または脂肪肝炎をすべて含む。前記非アルコール性脂肪肝疾患は、原発性と続発性による非アルコール性脂肪肝疾患の両方を含むが、原発性高脂血症、糖尿病または肥満から引き起こされる非アルコール性脂肪肝疾患であることが好ましい。
【0070】
また、本発明における非アルコール性脂肪肝疾患は、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、およびこれらの疾患の進行によって生じる肝繊維症と肝硬変を含む。
【0071】
前記動脈硬化症は、主に血管の最も内側を覆っている内膜にコレステロールが沈着して内皮細胞の増殖が起こることから、アテローム(atheroma)が形成される血管疾患をいう。
【0072】
本発明の一実施例では、ポリエチレングリコールを用いて本発明によるオキシントモジュリン誘導体と免疫グロブリンFc領域が共有結合的に連結した持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体を製造した後、これを高脂肪の飼料の摂取よって高脂血症が誘導されたハムスター動物モデルに投与した。その結果、本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体を投与した群において、高脂血症が誘導された動物モデルに比べて血中中性脂肪値が大幅に減少し(
図1)、血中総コレステロール値が大幅に減少し(
図2)、血中低密度コレステロール値(LDLコレステロール)が顕著に減少することを確認した。さらに、本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体を投与した群では、高脂血症が誘導された動物モデルに比べて血中の高密度コレステロール値(HDLコレステロール)が大幅に増加し(
図4)、血中HDLコレステロール/LDLコレステロールの割合が有意に増加することが確認できた(
図5)。
【0073】
さらに、本発明による持続型オキシントモジュリン誘導体結合体は、市販の持続型GLP-1アナログであるVICTOZA(登録商標)に比べて血中総コレステロール値がさらに減少し(
図6)、血中LDLコレステロール値と中性脂肪の値が減少することが確認できた(
図7)。さらに、本発明の持続型オキシントモジュリン誘導体の結合体の投与時の血中HDLコレステロール値およびHDL/LDLコレステロールの割合がVICTOZA(登録商標)より増加することが確認できた(
図8および
図9)。特に、配列番号25とFcとの持続型結合体は、VICTOZA(登録商標)に比べ血中HDL値およびHDL/LDLコレステロールの割合が顕著に増加した。
【0074】
すなわち、本発明によるオキシントモジュリン誘導体は血中脂質の値を減少させるので、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬として使用することができる 。また、本発明の結合体は、天然型オキシントモジュリンに比べてGLP-1受容体とグルカゴン受容体を活性する優れた能力を持ち、体内で血中半減期を増加させて長時間生体内で活性を維持することができる。
【0075】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、脂肪分解に関与する酵素の活性を調節する因子(プロテインキナーゼC-ζ、PKC-ζ)の活性を増加させることができ、脂肪分解に関与する因子(Glut2)の発現を増加させて、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を予防または治療することができるが、本発明の範囲が前記作用機序に限定されるわけではない。
【0076】
本発明の医薬組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症に対して予防または治療効果を示す薬剤をさらに含んでもよい。特に、本発明の医薬組成物は、本発明の誘導体と組み合わせて投与するために、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の治療薬として公知となっている薬剤をさらに含むことができる。
【0077】
したがって、本発明の組成物は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を予防または治療するために単独投与、あるいは他の薬剤と併用して投与してもよい。
【0078】
本発明における用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味する。本発明の誘導体は、薬物が標的組織に到達できるものであれば、いなかる一般的経路を通じて投与されてもよい。具体的には、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与または直腸内投与などが挙げられるが、これに限定されるものではない。しかし、経口投与時にペプチドが消化されるため、経口用組成物は活性成分をコーティングしたり、胃の中での分解から保護されるように製剤化することが好ましい。本発明の医薬組成物は注射剤の形で投与することが好ましく、さらに、活性成分を標的細胞に移動させ得る任意の装置によって投与できる。
【0079】
本発明のオキシントモジュリン誘導体を含む医薬組成物は、薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。薬剤学的に許容される担体は、経口投与には、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁剤、着色剤、香味剤などを用いることができる。注射剤の場合は、薬剤学的に許容される担体は、緩衝剤、保存剤、鎮痛剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、前述したような薬剤学的に許容される担体を用いて様々な剤形に製造することができる。例えば、経口投与には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態に製造することができる。注射剤の場合、単位投与量アンプルあるいは多回投与容器の形態に製造することができる。また、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0081】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などが挙げられる。また、本発明の医薬組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0082】
本発明の医薬組成物の投与量は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別および体重、疾患の重症度などの様々な要因と共に、活性成分の種類によって決定される。
【0083】
本発明の医薬組成物は、生体内持続性および力価に優れるので、その投与回数および頻度を著しく減らすことができる。
【0084】
他の実施態様では、本発明はオキシントモジュリン誘導体を個体に投与するステップを含む、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症を予防または治療する方法を提供する。
【0085】
前記オキシントモジュリン誘導体、高脂血症、脂肪肝疾患および動脈硬化症は、前述した通りである。
【0086】
本発明における用語「個体」とは、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の疑いのある個体である。具体的には、前記疾患が発症しているか、あるいは発症リスクのあるヒト、ラットおよび家畜を含む哺乳動物を意味する。また、本発明のオキシントモジュリン誘導体で治療可能ないかなる個体であってもよい。
【0087】
本発明の治療方法は、結合体を含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含むことができる。前記組成物の1日総投与量は医師による適切な医学的判断によって決定され、1回または数回投与できる。しかし、本発明の目的に鑑みて、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、他の製剤と共に使用されているか否かによる具体的な組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別および食餌、投与時間および経路、組成物の分泌率、治療期間、他の薬剤と組み合わせたり、または他の薬剤と同時に使用されているかなど、医薬分野によく知られている様々な要素によって異なってもよい。
【0088】
さらに、他の態様において、本発明はオキシントモジュリン誘導体の結合体の製造方法を提供する。
【0089】
前記製造方法は、
(1) アルデヒド、マレイミドまたはスクシンイミド反応基を有する非ペプチド性重合体をオキシントモジュリン誘導体ペプチドのアミン基またはチオール基に共有結合で連結するステップ、
(2)ステップ(1)の反応混合物からアミノ末端以外の位置に非ペプチド性重合体が共有結合されたオキシントモジュリン誘導体ペプチドを分離するステップ、および
(3) 連結された非ペプチド性重合体のもう一方の末端に免疫グロブリンFc領域を共有結合で連結して、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキシントモジュリン誘導体ペプチドと結合したペプチド結合体を生成するステップを含むことができる。
【0090】
より具体的には、前記製造方法は、
(1)各末端にアルデヒド反応基とマレイミド反応基を有する非ペプチド性重合体をそれぞれオキシントモジュリン誘導体のシステイン残基に共有結合で連結するステップ、
(2)ステップ(1)の反応混合物からシステイン残基に非ペプチド性重合体が共有結合されたオキシントモジュリン誘導体を含む結合体を分離するステップ、および
(3) 非ペプチド性重合体のもう一方の末端に免疫グロブリンFc領域を共有結合で連結して、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域およびオキシントモジュリン誘導体ペプチドと連結されたペプチド結合体を生成するステップを含むことができる。
【0091】
さらに、他の態様では、本発明は、高脂血症、脂肪肝疾患または動脈硬化症の予防または治療のための薬物の製造におけるオキシントモジュリン誘導体の用途を提供する。