【実施例】
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1
ポリオレフィンコーティングを有する犠牲的マイクロスフェア
[0054]犠牲的マイクロスフェアを、ポリオレフィンで中空マイクロスフェアをコーティングすることによって調製した。中空マイクロスフェアをシラン1で処理し、次いでポリオレフィン分散液でコーティングした。次いでコーティングされた中空マイクロスフェアをDow Corning(商標)32−441添加剤に曝露し、圧力鍋中100℃で24時間後硬化して、犠牲的マイクロスフェアを生産した。
【0045】
実施例2
アクリル酸熱硬化性コーティングを有する犠牲的マイクロスフェア
[0055]犠牲的マイクロスフェアを、アクリル酸熱硬化性ポリマーで中空マイクロスフェアをコーティングすることによって調製した。中空マイクロスフェアをシラン1で処理し、次いで1%開始剤を含有するMMAおよびEGDMAの10:1混合物でコーティングした。次いでコーティングされた中空マイクロスフェアを高強度の紫外光(365nmのピーク波長を有するUV LED)に曝露して、犠牲的マイクロスフェアを生産した。
【0046】
実施例3
熱可塑性ポリウレタンコーティングを有する犠牲的マイクロスフェア
[0056]犠牲的マイクロスフェアを、熱可塑性ウレタンで中空マイクロスフェアをコーティングすることによって調製した。第1の1クォート(約0.95リットル)の透明ガラスジャーに、400gのテトラヒドロフラン中のTPUの10wt%溶液および2g(TPUに対して5wt%)の界面活性剤を添加した。得られた溶液を回転させて、界面活性剤を溶解させた。次いでこの溶液に、53〜106μmの平均直径を有する中空マイクロスフェア60gを添加した。次いでジャーをキャップし、ローラーミル上に少なくとも10分置いて、材料を混合した。第2の1クォート(約0.95リットル)の透明ガラスジャーに、140gのこの混合物、150mLの酢酸エチル、および100mLのエタノールを添加した。次いで150mLのエタノールを、少なくとも5分間にわたり一滴ずつ添加した。得られた犠牲的マイクロスフェア混合物を圧縮空気ペイントスプレーヤー中に流し込み、スプレーブースに噴霧乾燥した。残留溶媒を約15分間蒸発させた後、犠牲的マイクロスフェアを収集した。
【0047】
実施例4〜5
熱可塑性エラストマーコーティングを有する犠牲的マイクロスフェア
[0057]犠牲的マイクロスフェアを、熱可塑性エラストマーコーティングで中空マイクロスフェアをコーティングすることによって調製した。
図1に、その実施例を示す。実施例4において、およそ100mLの1:1のTPEおよび中空マイクロスフェアのトルエン中15wt%溶液と、約100mLの蒸留水とを8オンス(226.79616g)の透明ガラスジャーに添加した。混合物を力強く振盪して混合を促進し、TPEでコーティングされたマイクロスフェアの緩い分散液を得た。次いで混合物を、約400mLの蒸留水と共に1クォート(約0.95リットル)の空気で作動するペイントスプレーヤー中に流し込んだ。得られた混合物をポリエチレンシート上に噴霧した。乾燥させた後、犠牲的マイクロスフェアを収集した。
【0048】
[0058]実施例5を実施例4と類似の方式で調製した。しかしながら、TPEでコーティングされた中空マイクロスフェアを噴霧乾燥する代わりに、混合物をガラストレイ中に流し込んで、溶媒を蒸発させた。蒸発により、厚さおよそ4mmのスポンジ様材料を得た。
図2A〜2Bで示されるように、スポンジ様材料の断面図を圧縮前および圧縮後のSEMによって分析した。
図2Aは、スポンジ様材料20におけるキャスティングされたTPEでコーティングされた中空マイクロスフェア22AのSEM画像を示す。次いでスポンジ様材料の一部を、圧縮成形機における2枚のKapton(商標)フィルム間に入れ、およそ10,000psi(およそ68,900kPA)で圧縮した。圧縮を解放して、スポンジ様材料を一部回収した。
図2Bは、スポンジ様材料20における圧縮されたTPEでコーティングされた中空マイクロスフェア22BのSEM画像を示す。表2は、TPEベース樹脂、キャスティングされた犠牲的マイクロスフェアスポンジ、および圧縮された犠牲的マイクロスフェアスポンジの比重およびデュロメーター値を包含する。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例6〜7および比較例1
ナイロンコーティングおよびそれから製造された複合材料を有する犠牲的マイクロスフェア
[0059]実施例6において、犠牲的マイクロスフェアを、ナイロンで中空マイクロスフェアをコーティングすることによって調製した。15gのナイロン塩および15gの中空マイクロスフェア(Sil−Cell(商標)42bcマイクロセルラーフィラー(直径75〜106μm))を、コイルばね式のかき混ぜ機を備えた500mLの丸底フラスコに添加した。フラスコをロータリーエバポレーター(モデルR200、ビュッヒ(Buchi)製)上に置き、約60RPMで回転させた。10torr(およそ1333Pa)未満で真空を適用した。フラスコおよびその内容物を205〜210℃に加熱したところ、混合物が濡れた砂のようになり始めた。混合物をこの温度で30分維持した。次いで混合物を室温に冷却し、その後真空を開放した。材料のサンプルを取り出し、窒素中でのDSC/TGAによって30℃から230℃まで10℃/分の速度で分析したところ(モデルSTA449F3、ネッチグループ(Netzsch Group)、ドイツ、ゼルプ)、質量損失または追加の重合がないことが解明された。
【0051】
[0060]実施例7において、実施例6の犠牲的マイクロスフェアをオレフィンエラストマーで処理した。ポリオレフィンエラストマーとナイロンでコーティングされた犠牲的マイクロスフェアとの90:10混合物をプラスチックバッグ中で乾式混合し、11mmのツインスクリュー押出機(プロセス11、サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)から市販、40:1のL:D)に重量測定によりフィードした。150rpmのスクリュー速度および14g/分の出力で200℃のダイ温度を有するゾーン1〜8については、205℃の温度プロファイルで混合を実行した。表3で示されるように、得られた鎖の比重をアルキメデス法を使用して評価した。押出されたフィラメントの一部も液体窒素中で冷却し、破砕して、内部表面の断面を解明し、
図3で示されるようにSEM下で分析した。
図3は、ポリオレフィンエラストマーマトリックス30にナイロン6,6コーティング34を有する犠牲的マイクロスフェア32を示す800倍のSEM画像である。
【0052】
[0061]比較例1(CE1)において、10wt%のコーティングされていない中空マイクロスフェアを、実施例7と同じ工程を使用して、オレフィンエラストマーで処理した。これらの鎖の比重も、表3で示されるようにASTM規格D792に従って評価した。表3で示されるように、実施例7の犠牲的マイクロスフェア複合材料は、ベース樹脂および比較例1より低い比重を示した。
【0053】
【表3】
【0054】
実施例10〜14および調製例(1)および比較例(2〜4)
三官能性ナイロン塩架橋剤の合成
[0062]調製例1において、三官能性ナイロン塩架橋剤を調製した。75mLの無水テトラヒドロフラン中の5.17g(29.3mmol)の1,2,3−プロパントリカルボン酸を、250mLのシングルネック丸底フラスコに添加した。次いで75mLの無水テトラヒドロフラン中の5.139g(44.2mmol)の1,6−ジアミノヘキサンを、約1時間かけて力強く撹拌しながら一滴ずつフラスコに添加した。次いでフラスコをロータリーエバポレーター上に置いて、テトラヒドロフランを除去した。得られたナイロン塩をフラスコから掻き取り、熱風オーブン中、75℃で乾燥させて、10.1gの三官能性ナイロン塩架橋剤を得た。
【0055】
導電性の犠牲的マイクロスフェア
[0063]実施例8において、調製例1の三官能性塩架橋剤を使用して、導電性の犠牲的マイクロスフェアを生産した。14.25gのナイロン塩、0.75gの三官能性ナイロン塩架橋剤、および1.13gのカーボンブラックのブレンドした混合物を、コイルばね式のかき混ぜ機を備えた500mLの丸底フラスコに添加した。次いで15gのSil−Cell(42bcマイクロセルラーフィラー(直径75〜106μm))をフラスコに添加した。フラスコをロータリーエバポレーター上に置き、約60RPMで回転させた。10torr未満で真空適用した。フラスコおよびその内容物を205〜210℃に加熱したところ、混合物が濡れた砂のようになり始めた。混合物をこの温度で30分維持した。次いで混合物を室温に冷却し、その後真空を開放した。材料のサンプルを取り出し、窒素中でのDSC/TGAによって30℃から230℃まで10℃/分の速度で分析したところ(モデルSTA449F3、ネッチグループ、ドイツ、ゼルプ)、質量損失または追加の重合がないことが解明された。SEM分析も実行した。
図4は、カーボンブラックを含有するナイロンコーティング44を有する導電性マイクロスフェア42を示す1000倍のSEM画像を示す。カーボンブラックの代わりに0.375gのカーボンナノチューブをコーティングに使用したことを除き、実施例9を実施例8と類似の方式で調製した。
【0056】
導電性の犠牲的マイクロスフェア複合材料
[0064]ここで実施例10〜14および比較例2〜4を参照して、表4に記載の配合に従い複合材料を生産し、抵抗率試験に供した。実施例10〜12に関して、実施例8の導電性の犠牲的マイクロスフェアを包含する複合材料を生産した。実施例13〜14に関して、実施例9の導電性の犠牲的マイクロスフェアを包含する複合材料を生産した。比較例2はポリオレフィンエラストマーのみを包含していたが、比較例3〜4はポリオレフィンエラストマー中にカーボンブラックを取り込ませた。
【0057】
【表4】
【0058】
[0065]実施例10〜14および比較例3〜4に関して、導電性の犠牲的マイクロスフェアまたはカーボンブラックを、ポリオレフィンエラストマーと共にプラスチックバッグ中で乾式混合した。実施例10〜14および比較例2〜4を、11mmのツインスクリュー押出機(プロセス11、サーモ・サイエンティフィックから市販、40:1のL:D)に重量測定によりフィードした。150rpmのスクリュー速度および14g/分の出力で200℃のダイ温度を有するゾーン1〜8については、205℃の温度プロファイルで混合を実行した。押出されたフィラメントの一部を、
図5で示されるようにSEM下で分析した。
図5は、ポリオレフィンマトリックス50中の導電性の犠牲的マイクロスフェア42を示す500倍のSEM画像である。実施例10〜14および比較例2〜4の別の押出されたフィラメントの一部をそれぞれペレット化し、次いで熱板プレスを使用してプラーク状にプレスした。サンプルを、KAPTON(商標)ポリイミドフィルム(デュポンから商業的に入手可能)間に、約200psi(約1378kPa)で、150℃で数分プレスした。得られた材料を、ASTM規格D257−07に従って表面および体積抵抗に関して試験した。以下の表5に、抵抗の結果を示す。
【0059】
【表5】
【0060】
[0066]好ましい実施態様を説明する目的で具体的な実施態様を本明細書で例示し説明したが、示され説明された具体的な実施態様は、開示の範囲から逸脱することなく、同じ目的が達成されるように計算された様々な代替のまたは等価な実施態様で代用され得ることが当業者には理解されるものとする。本出願は、このような開示された実施態様のあらゆる改変または変更が網羅されるように意図される。
[1] 外部表面を有する中空マイクロスフェア;および、該中空マイクロスフェアの該外部表面の少なくとも一部上の弾性の高分子コーティング;を含む犠牲的マイクロスフェア。
[2] 前記高分子コーティングが、熱可塑性ポリマーである、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[3] 前記高分子コーティングが、架橋された熱可塑性ポリマーである、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[4] 前記高分子コーティングが、エラストマーである、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[5] 前記高分子コーティングが、熱硬化性ポリマーである、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[6] 前記高分子コーティングが、フィラーを包含する、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[7] 前記フィラーが、熱伝導性フィラーを包含する、[6]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[8] 前記フィラーが、導電性フィラーを包含する、[6]に記載の犠牲的マイクロスフェア。
[9] 軽量物品を生産するための方法であって、
(a)外部表面を有する中空マイクロスフェアを提供すること、
(b)該中空マイクロスフェアの該外部表面の少なくとも一部を、重合性または高分子コーティングでコーティングすること、
(c)該外部表面上の該重合性または高分子コーティングを凝固または硬化させて、弾性の高分子コーティングを形成すること、
を含む、上記方法。
[10] 前記外部表面上の前記重合性または高分子コーティングを凝固または硬化させて、弾性の高分子コーティングを形成することが、化学線の熱放射を包含する、[9]に記載の方法。
[11] 犠牲的マイクロスフェアを生産するための方法であって、
(a)外部表面を有する中空マイクロスフェアを表面処理すること、
(b)該中空マイクロスフェア上に高分子コーティングを適用して、該中空マイクロスフェア上に弾性のコーティングを形成すること、および、任意選択で、
(c)その後、該高分子コーティングを硬化または架橋すること
を含む、上記方法。
[12] 複数の中空マイクロスフェアが分散されたポリマーマトリックスを含む組成物であって、該複数の中空マイクロスフェアは、弾性の高分子コーティングを有する、上記組成物。
[13] ポリマー性複合材料を含む物品であって、該ポリマー性複合材料の少なくとも一部中に、[1]に記載の犠牲的マイクロスフェアが分散されている、上記物品。
[14] 犠牲的中空マイクロスフェアを溶融加工するための方法であって、
溶融加工デバイスに、弾性の高分子コーティングを有する複数の犠牲的中空マイクロスフェアを提供すること、
該溶融加工デバイスに、ポリマー性材料を提供すること;および
該複数の犠牲的中空マイクロスフェアと該ポリマー性材料とを該溶融加工デバイスで溶融加工して、組成物を生産すること、
を含み、該弾性の高分子コーティングは、該犠牲的中空マイクロスフェアの少なくとも一部を、該組成物中で破砕されることなく溶融加工に耐えられるようにする、上記方法。
[15] 前記弾性の高分子コーティングが、複数の犠牲的前記中空マイクロスフェアの少なくとも90重量パーセントを、前記組成物中で破砕されることなく溶融加工に耐えられるようにする、[14]に記載の方法。
[16] 前記弾性の高分子コーティングが、複数の犠牲的前記マイクロスフェアの少なくとも95重量パーセントを、前記組成物中で破砕されることなく溶融加工に耐えられるようにする、[14]に記載の方法。
[17] 前記弾性の高分子コーティングが、複数の犠牲的前記マイクロスフェアの少なくとも98重量パーセントを、前記組成物中で破砕されることなく溶融加工に耐えられるようにする、[14]に記載の方法。