(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記錘は、錘本体と引っ掛け部を備え、前記引っ掛け部は、前記第2錘係合部が上部からは進入可能であるが、下部からは抜け出すことができない機構を有する、請求項1又は2に記載の動力装置。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の1つの要因とされる温室効果ガスを排出しない、再生可能エネルギーの利用・促進がますます求められている。
再生可能エネルギーによる主な動力を発生させる方式として、具体的には、風力、水力、太陽光、及び地熱を利用して、他の動力を発生させる方式が用いられている。
その中でも、特に風力を利用して他の動力を発生させる方式は、小規模分散型エネルギー源として注目されている。
【0003】
風力を利用して他の動力を発生させる装置としては、例えば、風力により電力を発生させる風力発電装置が挙げられる。このような風力発電装置の開発として、風を受けてそのエネルギーを効率よく回転運動に変更できるような回転体、及び、回転体の回転翼の大きさ・角度・向き等は種々検討されているが、風のエネルギーを効率よく貯蔵することはあまり検討されていない。
【0004】
風力発電装置を利用する場合、風が吹いている時は、風力発電装置によって得られる電力を送電線によって、各所に供給するが、風が吹いていない時は、発電量がゼロであるため、他の発電方式で賄うのが一般的である。一方で、送電線のない地域では、風力発電装置によって得られる電力を最大限利用することは困難である。また、発電した電力を蓄電装置で貯蔵する方法もあるが、蓄電効率及び蓄電した電力の放出効率について、検討の余地がある。
【0005】
そのような問題を解決するため、風力発電装置によって得られる電力を一旦別のエネルギー(例えば、位置エネルギー)に変換し、蓄積した上で、再度そのエネルギーを電力に変換するということが検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、縦軸式の風車において、該風車の水平回転を環状のチェーンベルトを用いて垂直回転として伝え、ギアを装置した発電機の該ギア部分をチェーンベルト上を可動できるよう金具で挟んで宙吊りにし、発電機がチェーンベルトを伝って落下する時に生じるギアの回転力を発電機の回転力として利用する方法を用いることにより、チェーンベルトが風力により回転する間も発電機が位置エネルギーを蓄積しつつ同時に電力エネルギーを引き出す風力発電装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、風力発電による回転エネルギー(1)を、コントロール装置(2)により、電力供給過剰時において、複数の発電可能エネルギー貯蔵装置(3)へ、重力による位置エネルギー等に変換し、貯蔵し、必要時に風力による回転エネルギーと同質のエネルギーを供給することを特徴とする風力発電装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の風力発電装置は、小型の装置が前提とされており、また、構造上電力を位置エネルギーに変換できる量が限定されているため、貯蔵性に検討の余地がある。また、同一の設置場所でも時期によって風力の強さや環境(湿度等)が異なるため、時期によって適切な錘の重さや材質が存在するが、該錘の交換が容易でないため、発電効率の観点からも検討の余地がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、風力をより大量に位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の動力を効率的に発生させることができる動力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]本発明の第1の態様は、風力によって回転される回転体と、
上下に離間した一対の第1プーリ間に巻回され、前記回転体の回転に連動して周回される第1無端状ワイヤと、
前記第1無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の第1錘係合部と、
複数の錘と、
前記回転体の回転に伴って前記第1無端状ワイヤが上昇する上昇ラインの下部に設けられ、前記錘を前記第1無端状ワイヤの前記第1錘係合部に取り付ける下部錘装着機構と、
前記上昇ラインの上部に設けられ、前記第1錘係合部から前記錘を取り外す上部錘離脱機構と、
前記上部錘離脱機構が取り外した前記錘を一時的に蓄えておく上部錘収容部と、
上下に離間した一対の第2プーリ間に巻回され、前記錘の降下に連動して周回される第2無端状ワイヤと、
前記第2無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の第2錘係合部と、
前記錘の降下に伴って前記第2無端状ワイヤが下降する下降ラインの上部に設けられ、前記上部錘収容部に蓄えられた前記錘を前記第2無端状ワイヤの前記第2錘係合部に取り付ける上部錘装着機構と、
前記下降ラインの下部に設けられ、前記第2錘係合部から前記錘を取り外す下部錘離脱機構と、
前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘を一時的に蓄えておく下部錘収容部と、
前記第2プーリの回転力を外部へ伝達するための動力伝達部とを具備し、
前記上部錘収容部は、前記上部錘離脱機構が取り外した前記錘が、自重で対応する前記上部錘装着機構まで自動で移動するように、前記上部錘離脱機構側から前記上部錘装着機構側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した上部走行台を有し、
前記下部錘収容部は、前記下部錘離脱機構が取り外した前記錘が、自重で対応する前記下部錘装着機構まで自動で移動するように、前記下部錘離脱機構側から前記下部錘装着機構側へ徐々に低くなるように長手方向に傾斜した下部走行台を有する、動力装置である。
【0012】
この動力装置は、風力によって回転体が軸まわりに回転し、前記回転体の回転に連動して、第1無端状ワイヤが、上下に離間した一対の第1プーリ間を周回する。前記第1無端状ワイヤが周回することにより、前記第1無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の第1錘係合部も周回する。前記第1無端状ワイヤが上昇する上昇ラインにおいて、前記周回する第1錘係合部に、下部錘装着機構を用いて、前記錘を取り付けることにより、前記錘を上昇させる。前記上昇した錘は、上部錘離脱機構により、前記周回する第1錘係合部から取り外される。前記取り外された錘は、上部錘収容部に一時的に蓄えられる。前記上部錘収容部に一時的に蓄えられた錘を降下させる際は、上下に離間した一対の第2プーリ間に周回される第2無端状ワイヤに間隔をあけて取り付けられた複数の第2錘係合部に、上部錘装着機構により、前記錘を取り付けることにより、前記錘を下降させる。前記下降した錘は、下部錘離脱機構により、前記周回する第2錘係合部から取り外される。前記取り外された錘は、下部錘収容部に一時的に蓄えられる。前記錘を下降させることにより、前記第2プーリが回転し、前記第2プーリの回転力を動力伝達部により外部へ伝達する。
【0013】
したがって、この動力装置によれば、前記錘を前記上部錘収容部に、複数蓄えておくことができるため、風力によって発生する動力を、複数の前記錘(位置エネルギー)に変換することで蓄積可能である。また、前記錘は、着脱可能であるため、風力の強さや設置場所の環境によって、重さや材質を簡易に変更することができるため、効率的に動力を発生させることができる。
【0014】
[2]前記[1]の装置は、前記回転体と前記第1プーリとの間には、減速機構を備えていてもよい。
この減速機構により、前記プーリの回転速度は調整させる。
この場合、非常に風力の強い場所に設置した場合であっても、安定して発電することができるという利点を有する。
また、減速に対して反比例したトルクを出力することができ、非常に重い錘であっても上昇させることができる。
【0015】
[3]前記[1]又は[2]の装置において、前記錘は、錘本体と引っ掛け部を備え、前記引っ掛け部は、前記錘係合部が上部からは進入可能であるが、下部からは抜け出すことができない機構を有してもよい。
この機構は、前記錘の引っ掛け部において、前記錘係合部が上部からは進入可能であるが、下部からは抜け出すことができないようにさせる。
この場合、前記錘と前記錘係合部とを、複雑な制御を行わずに装着及び離脱することができるという利点を有する。
【0016】
[4]本発明の第2の態様は、前記[1]〜[3]の動力装置と、前記動力装置の前記動力伝達部により伝達される動力によって発電する発電機とを具備する、発電装置である。
この発電装置によれば、前記錘を前記上部錘収容部に、複数蓄えておくことができるため、大量の電力を、複数の前記錘(位置エネルギー)に変換することで蓄積可能である。また、前記錘は、着脱可能であるため、風力の強さや設置場所の環境によって、重さや材質を簡易に変更することができるため、効率的に発電することができる。
【0017】
[5]本発明の第3の態様は、前記[1]〜[3]の動力装置と、前記動力装置の前記動力伝達部により伝達される動力によって作動するコンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー又はポンプとを具備する、装置である。
この装置によれば、前記錘を前記上部錘収容部に、複数蓄えておくことができるため、風力によって発生する動力を、複数の前記錘(位置エネルギー)に変換することで蓄積可能である。また、前記蓄えた複数の錘を降下させることにより、前記動力装置によって動力を発生させ、前記動力によってコンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー又はポンプを作動させることができる。このため、前記装置によれば、電気を使用せずにコンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー又はポンプを作動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、風力をより大量に位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の動力を効率的に発生させることができる動力装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した一実施形態である動力装置について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る動力装置1の正面図である。
動力装置1は、垂直方向に長く接地面GLに直立した筒状の本体4と、この本体4の上端に設置され風を受けて回転する回転体2とを有する。回転体2は回転体軸6により固定されている。回転体軸6は本体4の天板部を貫通して、回転体2と回転可能に取り付けられている。回転体軸6の下端には回転方向変換ギア8が取り付けられ、回転方向変換ギア8は、水平に伸びる第1軸7に連結されている。第1軸7は、第1上部プーリ10に連結されている。第1上部プーリ10の同軸下方には、第1上部プーリ10と対になる第1下部プーリ12を有する。第1上部プーリ10及び第1下部プーリ12には、第1無端状ワイヤ14が巻回されている。
【0022】
風を受けて回転体2が回転すると、回転体2及び回転体軸6が水平方向に回転する。回転体軸6の水平方向の回転を受けて、回転方向変換ギア8は第1軸7及び第1上部プーリ10を垂直方向に回転させる。第1上部プーリ10が垂直方向に回転すると、第1上部プーリ10に巻回されている第1無端状ワイヤ14が垂直方向に周回し、第1上部プーリ10の同軸上の第1下部プーリ12も垂直方向に回転する。
【0023】
第1無端状ワイヤ14が上昇する上昇ラインの上部には、上部錘離脱機構28が設けられている。上部錘離脱機構28は、細長い板状の上部走行台46の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部が有する機構である。上部走行台46の第1無端状ワイヤ14側とは反対側の長手方向端部には、上部錘装着機構32を有する。上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、上部錘離脱機構28側から上部錘装着機構32側へ徐々に低くなっている。上部走行台46は、上部錘離脱機構28と上部錘装着機構32との間に上部錘収容部30を有する。
【0024】
上部走行台46の第1無端状ワイヤ14側とは反対側の長手方向端部には、第2上部プーリ16及び第2下部プーリ18に巻回された第2無端状ワイヤ20を有する。第2無端状ワイヤ20が下降する下降ラインの上部には、前述した上部錘装着機構32が設けられている。第2無端状ワイヤ20が下降する下降ラインの下部には、下部錘離脱機構34が設けられている。下部錘離脱機構34は、下部走行台47の第2無端状ワイヤ20側の長手方向端部が有する機構である。下部走行台47の第2無端状ワイヤ20側とは反対側の長手方向端部には、下部錘装着機構38を有する。すなわち、下部錘装着機構38は、第1無端状ワイヤ14が上昇する上昇ラインの下部に設けられている。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構34側から下部錘装着機構38側へ徐々に低くなっている。下部走行台47は下部錘離脱機構34と下部錘装着機構38との間に下部錘収容部36を有する。
【0025】
第1無端状ワイヤ14は、間隔をあけて取り付けられた複数の第1錘係合部22を有し、第2無端状ワイヤ20は、間隔をあけて取り付けられた複数の第2錘係合部24を有する。第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22、及び、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24は、錘26と着脱可能である。
【0026】
第1無端状ワイヤ14が上昇する上昇ラインにおいては、下部錘装着機構38によって、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが係合し、錘26が上昇する。上昇した錘26は、上部錘離脱機構28により、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが離脱し、上部錘収容部30に一時的に蓄えられる。上部走行台46は、長手方向に傾斜しているため、上部錘収容部30に一時的に蓄えられた錘26は、自重で上部錘装着機構32側に移動する。次いで、上部錘装着機構32により、錘26は、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24と係合する。次いで、錘26は、第2無端状ワイヤ20が下降する下降ラインの上部から、下部へと下降する。錘26が下降することにより、第2下部プーリ18に連結された動力伝達部Tが回転し、その回転力が機械Mに伝達される。下降した錘26は、下部錘離脱機構34により、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24と錘26とが離脱し、下部錘収容部36に一時的に蓄えられる。下部走行台47は、長手方向に傾斜しているため、下部錘収容部36に一時的に蓄えられた錘26は、自重で下部錘装着機構38側に移動する。
【0027】
したがって、風が吹いている時は、下部錘収容部36に一時的に蓄えられる複数の錘26は、下部錘装着機構38によって、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが係合され、次々に上昇する。次いで、上昇した錘26は、上部錘離脱機構28により、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが離脱し、複数の錘26が上部錘収容部30に一時的に蓄えられる。そして、動力を発生させたい場合は、上部錘収容部30に一時的に蓄えられた複数の錘26を、上部錘装着機構32により、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24と係合し、次々に下降させる。この錘26が下降するエネルギーによって、第2上部プーリ16、第2無端状ワイヤ20、及び第2下部プーリ18を介して動力伝達部Tが回転し、その回転力が機械Mに伝達される。
【0028】
図1には示していないが、回転体2と第1上部プーリ10との間には、回転速度を調整するための減速機構を備えていてもよい。該減速機構としては、公知の減速機を用いることができる。また、回転体2と第1上部プーリ10との間に、減速に対して反比例したトルクを出力することができるように、複数のプーリ及びベルトを備えていてもよい。この場合、回転体2側のプーリの直径が小さく、第1上部プーリ10側のプーリの直径が大きいものとなるように配置する。
【0029】
図1には示していないが、回転速度を上げるために、第2下部プーリ18と動力伝達部Tとは、複数のプーリ及びベルトを介して連結されていてもよい。この場合、第2下部プーリ18側のプーリの直径が大きく、動力伝達部T側のプーリの直径が小さいものとなるように配置する。
【0030】
本体4の形状は特に限定されず、角筒状であっても、円筒状であってもよい。また、本体4は、複数の部材がつなぎ合わされて構成されていてもよい。
【0031】
動力装置1の高さは、特に限定されないが、例えば、10〜200mが好ましく、20〜200mがより好ましく、30〜200mがさらに好ましい。動力装置1の高さは、動力装置1の設置場所の風力の強さ等で適宜設計することができる。
【0032】
動力伝達部Tとしては、例えば、第2下部プーリ18に連動して回転する回転軸が挙げられる。
【0033】
機械Mが発電機である場合、動力伝達部Tにより伝達される回転力により発電される。すなわち、機械Mが発電機である場合は、動力装置1を風力発電装置として利用することができる。
【0034】
機械Mとして、具体的には、製造業機器、酪農機器、空調機器、又は建設機器等の大型機器等が挙げられる。
機械Mが該大型機器である場合、動力伝達部Tにより伝達される回転力により該大型機器を作動させることができる。機械Mが、大型機器である場合、機械Mとしては、上記の中でも、コンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー(大割圧砕機及び小割圧砕機)又はポンプであることが好ましい。
機械Mとして、コンプレッサー、エアコン、扇風機、クラッシャー又はポンプを用いることで、本来必須の構成となるモーターが不要となる他、高価な高圧受変電盤の設置も不要となるため、動力装置1を利用する効果がより高まり、大幅なコスト削減につながる。
以下、動力装置1の各構成を詳細に説明する。
【0035】
図2は、回転体2の斜視図である。回転体2は、垂直な回転体軸6に固定された回転翼3と、回転翼3をベアリング5を介して支持する回転体フレーム11を有する。回転翼3は、風を受けた際に、回転翼中心軸9を中心軸として回転し、回転体軸6を回転させる。
【0036】
本実施形態における回転体2は、垂直軸S型ロータ式の回転翼3であるが、回転翼の形状は特に限定されない。回転翼の形状としては、例えば、水平軸プロペラ式、水平軸セイルウィング式、水平軸オランダ式、水平軸多翼式、垂直軸直線翼式、垂直軸サボニウス式、垂直軸パドル式等の回転翼等が挙げられる。その中でも、回転翼の形状は、弱い風力でも回転できる垂直軸の回転翼が好ましく、垂直軸S型ロータ式の回転翼がより好ましい。
【0037】
図3は、上部移動機構44を示す平面図である。上部移動機構44は、細長い板状の上部走行台46で構成されている。上部走行台46の長手方向の一方の端部には、上部錘離脱機構28を有し、他方の端部には、上部錘装着機構32を有し、上部錘離脱機構28と上部錘装着機構32との間には、上部錘収容部30を有する。上部錘収容部30の距離を長くするために、上部走行台46は、上部走行台46の上部錘離脱機構28側の端部から、上部走行台46の上部錘装着機構32側の端部まで、上部走行台46の上部錘装着機構32側の端部の外側を周回するような形状となっている。
【0038】
上部走行台46の上部錘装着機構32側の長手方向端部には、上部走行台46の幅方向の上方に突出し、錘26を静止させる端部ストッパ51を有する。上部走行台46は、上部走行溝48を有し、上部走行溝48は、上部走行台46の上部錘離脱機構28側の長手方向端部から、上部走行台46の端部ストッパ51に接するところまで、同一深さ及び幅で設けられている。上部走行台46の長手方向の両端部は、上部走行台46と第1無端状ワイヤ14及び第2無端状ワイヤ20とが接触しないように、切欠部50を有する。
【0039】
図4は、上部移動機構44を示す正面図である。上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、上部錘離脱機構28側から上部錘装着機構32側へ徐々に低くなっている。上部走行台46の上部錘離脱機構28側端部の高さと上部走行台46の上部錘装着機構32側端部の高さとの差(上部錘離脱機構28側端部の高さ−上部錘装着機構32側端部の高さ)は、上部走行台46に載置される錘26が自重で上部錘離脱機構28側端部から上部錘装着機構32側端部まで、自動で移動可能な差であれば特に限定されないが、例えば、10〜30cmが好ましい。
【0040】
上部錘離脱機構28により離脱した錘26は、上部走行台46に載置された後、上部走行溝48に沿って自重で移動し、上部走行台46の上部錘収容部30を経由し、上部走行台46の上部錘装着機構32側へ自動で移動する。なお、図示していないが、上部走行台46の上部錘装着機構32側には、端部ストッパ51以外の錘ストッパを少なくとも1つ有する。該ストッパにより、錘26は一時的に停止し、錘26が上部錘収容部30に蓄積されていく。
【0041】
図5は、下部移動機構52を示す平面図である。下部移動機構52は、細長い板状の下部走行台47で構成されている。下部走行台47の長手方向の一方の端部には、下部錘離脱機構34を有し、他方の端部には、下部錘装着機構38を有し、下部錘離脱機構34と下部錘装着機構38との間には、下部錘収容部36を有する。下部錘収容部36の距離を長くするために、下部走行台47は、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の端部から、下部走行台47の下部錘装着機構38側の端部まで、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の端部の外側を周回するような形状となっている。
【0042】
下部走行台47は、下部走行溝49を有し、下部走行溝49は、下部走行台47の下部錘離脱機構34側の長手方向端部から、下部走行台47の下部錘装着機構38側の長手方向端部まで、同一深さ及び幅で設けられている。下部走行台47の長手方向の両端部は、下部走行台47と第1無端状ワイヤ14及び第2無端状ワイヤ20とが接触しないように、切欠部53を有する。
【0043】
図6は、下部移動機構52を示す正面図である。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部錘離脱機構34側から下部錘装着機構38側へ徐々に低くなっている。下部走行台47の下部錘離脱機構34側端部の高さと下部走行台47の下部錘装着機構38側端部の高さとの差(下部錘離脱機構34側端部の高さ−下部錘装着機構38側端部の高さ)は、下部走行台47に載置される錘26が自重で下部錘離脱機構34側端部から下部錘装着機構38側端部まで、自動で移動可能な差であれば特に限定されないが、例えば、10〜30cmが好ましい。
【0044】
下部錘離脱機構34により離脱した錘26は、下部走行台47に載置された後、下部走行溝49に沿って自重で移動し、下部走行台47の下部錘収容部36を経由し、下部走行台47の下部錘装着機構38側へ自動で移動する。なお、図示していないが、下部走行台47の下部錘装着機構38側には、錘ストッパを少なくとも1つ有する。該ストッパにより、錘26は一時的に停止し、錘26が下部錘収容部36に蓄積されていく。
【0045】
図7は、第1上部プーリ10に巻回されている第1無端状ワイヤ14の状態を示す側面図である。
図7に示す通り、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22は、第1無端状ワイヤ14の第1上部プーリ10側とは反対側にのみ突出しているため、第1無端状ワイヤ14が第1上部プーリ10を巻回することを妨げない。同様に第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24も、第2上部プーリ16側とは反対側にのみ突出しているため、第2無端状ワイヤ20が第2上部プーリ16を巻回することを妨げない。なお、本実施形態の第1錘係合部22及び第2錘係合部24はピン状(円柱状)であるが、第1錘係合部22の形状は特に限定されず、第1錘係合部22が係合する錘26の形状によって適宜変更することができる。第1錘係合部22の他の形状としては、先端がL字状の円柱形状、釣り針形状等が挙げられる。また、第1無端状ワイヤ14、第2無端状ワイヤ20、第1錘係合部22及び第2錘係合部24の材質は特に限定されないが、金属製であることが好ましい。
【0046】
図8(a)は、錘26の正面図である。
図8(b)は、錘26の側面図である。錘26は、錘本体54と、錘本体54の両側面に連結するはさみ爪56と、錘本体54の底面と連結する走行用ローラ64とを有する。はさみ爪56は、先端に鉤状部68を有する一対の板状部材で構成されており、鉤状部68が互いに向かい合い、鉤状部68の先端同士が一部重なるように固定されている。はさみ爪56の鉤状部68の上側は、はさみ爪56が重なり合う部分に向かって互いに傾斜している。一方で、はさみ爪56の鉤状部68の下側は略水平である。はさみ爪56は、はさみカバー66によりカバーされている。はさみカバー66は、はさみ爪56の互いに向かい合う面に、はさみ爪56が閉まりすぎないように制御するストッパ部67を有する。はさみ爪56の下側端部は、スプリング60により連結されている。スプリング60は、スプリングカバー62により覆われている。錘本体54の底面と連結する走行用ローラ64は、はさみ爪56方向に回転できるように連結されている。
【0047】
はさみ爪56の下側端部は、スプリング60により連結されているため、はさみ爪56の鉤状部68は、回動軸58を回転軸として開閉可能である。また、はさみ爪56の鉤状部68の上側は、はさみ爪56が重なり合う部分に向かって互いに傾斜しており、はさみ爪56の鉤状部68の下側は略水平であるため、第2錘係合部24がはさみ爪56の鉤状部68の上側からは進入することができるが、はさみ爪56の鉤状部68の下側からは抜け出せない機構になっている。また、ストッパ部67により、はさみ爪56が閉まりすぎないように制御されている。
【0048】
錘26の重さは、動力装置1を設置する場所の風力や必要な発電量によって、適宜変更することができ、特に限定されないが、例えば、数kg〜数十tの錘を用いることができる。動力装置1を、住宅や小規模施設に動力を供給するために用いる場合は、1〜100kgの錘を用いることが好ましく、20〜100kgの錘を用いることがより好ましい。一方で、動力装置1を、工場等の大規模施設に電力を供給するために用いる場合は、100kgから50tの錘を用いることが好ましい。また、錘26の材質は、鉄又はステンレス鋼であることが好ましい。
【0049】
錘26は、上部移動機構44及び下部移動機構52において、走行用ローラ64により、上部走行溝48、及び、下部走行溝49上を走行する。本実施形態においては、錘26は、走行用ローラ64により移動するが、移動手段は特に限定されない。例えば、上部走行台46及び下部走行台47が、レールであり、錘26が該レールに対応する車輪を有していてもよい。また、錘26は移動手段を有しておらず、上部走行台46及び下部走行台47が、錘26を移動させる手段を有していてもよい。例えば、上部走行台46及び下部走行台47が底面ローラを有する機構である場合や上部走行台46及び下部走行台47がベルトコンベアで構成されている場合が挙げられる。
【0050】
図9は、下部錘装着機構38を示す側面図である。下部走行台47は、下部走行台47の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部が低くなるように傾斜している。下部走行台47の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部の下側には、第1垂直アクチュエータ70を有する。第1垂直アクチュエータ70には、下部走行台47を貫通し、下部走行台47の幅方向に伸縮可能な第1錘ストッパプレート71が連結されている。
【0051】
下部走行台47は、下部走行台47の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部が低くなるように傾斜しているため、錘26は自重で、下部走行台47の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部に向けて、自動で移動し、第1錘ストッパプレート71により、下部走行台47の第1無端状ワイヤ14側の長手方向端部で静止する。次いで、図示していないセンサにより、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22が上昇してきたことを感知し、第1垂直アクチュエータ70により第1錘ストッパプレート71を収納する。第1錘ストッパプレート71が収納されると、再度、錘26が自重で第1無端状ワイヤ14側に移動し、錘26のはさみ爪56内に第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22が挿入することにより、錘26のはさみ爪56と、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22とは係合する。
【0052】
図10は、錘26が上昇している状態を示す図である。錘26は、錘26のはさみ爪56と第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22とが係合しているため、第1無端状ワイヤ14の上昇に伴って上昇する。また、錘26が上昇する際、第1無端状ワイヤ14と錘26のスプリングカバー62とが接触する。錘26は、錘26のはさみ爪56と第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22とが係合する点、及び、第1無端状ワイヤ14とスプリングカバー62とが接触する点の2点で支持されているため、安定して上昇する。
【0053】
図示はしていないが、動力装置1は、回転体2の停止により錘26が落下してしまわないように、錘落下ストッパを有する。錘落下ストッパは、第1無端状ワイヤ14が上昇する上昇ラインに一定間隔で配置されており、回転体2の停止をセンサで感知することにより作動し、錘26の落下を防止する。
【0054】
図11は、上部錘離脱機構28を示す側面図である。上部走行台46の下方には、第1水平アクチュエータ72、及び、第1水平アクチュエータ72に連結され水平方向に伸縮可能なロッド73が配置され、ロッド73は、第2垂直アクチュエータ74及び第2垂直アクチュエータ74に連結され垂直方向に伸縮可能なロッド75を有し、ロッド75の垂直方向の上端には、錘持上げ台座76を有する。錘持上げ台座76は、長手方向に傾斜しており、上部走行台46側向けて徐々に低くなるように構成されている。第2垂直アクチュエータ74が作動し、ロッド75が上方に伸びると、錘持上げ台座76の上面と上部走行台46の上面とが接触するように構成されている。
【0055】
第1水平アクチュエータ72、ロッド73、第2垂直アクチュエータ74、ロッド75、及び錘持上げ台座76は、錘26が上昇して来るまでは、第1水平アクチュエータ72側に収納されており、錘26の上昇を妨げない。錘26が上昇してきたことを図示していないセンサで感知すると、第1水平アクチュエータ72が作動し、ロッド73が第1無端状ワイヤ14方向に伸び、錘26に接触しないように、錘26の下方に第2垂直アクチュエータ74、ロッド75、及び、錘持上げ台座76が挿入される。次いで、第2垂直アクチュエータ74が作動し、ロッド75が上方に伸び、錘26を錘持上げ台座76で持ち上げることにより、錘26を第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22から離脱させる。錘持上げ台座76は、長手方向に傾斜しており、上部走行台46側向けて徐々に低くなるように構成されているため、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22から離脱した錘26は、自重で錘持上げ台座76から上部走行台46に自動で移動する。
【0056】
図12は、上部錘装着機構32を示す側面図である。上部走行台46の第2無端状ワイヤ20側の長手方向端部は、下方に傾動する傾動台座82と蝶番86により連結されている。傾動台座82の第2錘係合部24側の長手方向端部には、上部走行台46の幅方向の上方に突出する端部ストッパ51を有する。上部走行台46の第2無端状ワイヤ20側の長手方向端部の下側には、第3垂直アクチュエータ83を有する。第3垂直アクチュエータ83には、上部走行台46を貫通し、上部走行台46の幅方向に伸縮可能な第2錘ストッパプレート84が連結されている。また、上部走行台46の第2無端状ワイヤ20側の長手方向端部の下側には、第2水平アクチュエータ78を有する。第2水平アクチュエータ78は、水平方向に伸縮可能なロッド79を有し、ロッド79の第2水平アクチュエータ78とは反対方向の先端には、ローラ80が連結されている。ローラ80は、傾動台座82の底面と接触している。
【0057】
上部走行台46は、長手方向に傾斜しており、第2無端状ワイヤ20側が低くなるように構成されているため、錘26は自重で、上部走行台46の第2錘係合部24側の長手方向端部に向けて自動で移動し、傾動台座82の端部ストッパ51により、錘26が静止する。錘26の上方から第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24が下降して、錘26のはさみ爪56に接触すると、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24の押圧によりはさみ爪56が一旦開き、はさみ爪56内に第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24が進入し、はさみ爪56が再度閉じる。図示していないセンサで、はさみ爪56内に第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24が進入したことを感知すると、第2水平アクチュエータ78が作動し、ロッド79及びロッド79の先端に連結しているローラ80が第2水平アクチュエータ78側に収納される。ローラ80が第2水平アクチュエータ78側に収納されると、傾動台座82は支えが無くなり、下方に折れ曲がる。これにより、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24に係合した錘26が下降していく。なお、複数の錘26を使用する場合は、1つの錘26が傾動台座82上に載置された場合、複数の錘26が傾動台座82上に載置されないように、他の錘26は、第2錘ストッパプレート84により、上部走行台46の第2無端状ワイヤ20側の長手方向端部に静止される。錘26が下降したことを図示していないセンサが感知すると、再度第2水平アクチュエータ78が作動し、ロッド79及びロッド79の先端に連結しているローラ80が水平方向に伸びることで、下方に折れ曲がった傾動台座82が元の位置に戻る。
【0058】
図示していないが、錘26が下降する際、錘26は、錘26のはさみ爪56と、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24とが係合する点、及び、第2無端状ワイヤ20とスプリングカバー62とが接触する点の2点で支持されているため、安定して下降する。
【0059】
図13は、下部錘離脱機構34を示す側面図である。下部走行台47は、長手方向に傾斜しており、下部走行台47の第2無端状ワイヤ20側が高くなるように構成されている。錘26が下降してきて、下部走行台47に載置されると、自重で第2無端状ワイヤ20側とは反対側に自動で移動し、錘26と、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24とが離脱する。
【0060】
以上説明したように、この動力装置1は、風を受けて回転体2が回転するエネルギーにより、動力伝達部Tを回転させ、機械Mを作動させるのみではなく、風を受けて回転体2が回転するエネルギーにより、錘26を上昇させ、錘26を上部錘収容部30に複数蓄えておくことができる。そのため、風のエネルギーを位置エネルギーに変換して蓄積することが可能である。また、上部錘収容部30に蓄えられた複数の錘26を、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24と係合させ、下降させ、動力伝達部Tを回転させ、機械Mを作動させることにより、蓄積した位置エネルギーを動力に変換することができる。よって、この動力装置1によれば、比較的に大量の動力を蓄積することができる。
【0061】
また、錘26は、着脱可能であるため、風力の強さや設置場所の環境によって、重さや材質を簡易に変更することができ、効率的に動力を発生させることができる。
【0062】
また、動力装置1は、上部錘離脱機構28が取り外した錘26を、対応する上部錘装着機構32まで移動させる上部移動機構44と、下部錘離脱機構34が取り外した錘26を、対応する下部錘装着機構38まで移動させる下部移動機構52とを有するため、錘26をより効率的に活用することができる。また、上部移動機構44及び下部移動機構52は、錘26の自重により自動で移動させる機構であるため、動力装置1の装置内での複雑な制御を行う必要がなく効率的に動力を発生させることができる。
【0063】
また、動力装置1は、一対のプーリ及び無端状のワイヤをそれぞれ2組(第1上部プーリ10と第1下部プーリ12、及び、第2上部プーリ16と第2下部プーリ18、並びに、第1無端状ワイヤ14と第2無端状ワイヤ20)有し、上部錘収容部30及び下部錘収容部36の距離が長くなるように構成されているため、風力をより大量に位置エネルギーとして蓄積することができ、かつ、より大量の動力を発生させることができる。
【0064】
また、動力装置1の上部錘離脱機構28は、第1錘係合部22に吊された錘26の下に錘持上げ台座76を挿入するとともに錘持上げ台座76を上昇させ、錘26を持ち上げることにより、第1錘係合部22から錘26を取り外す機構であるため、錘26のはさみ爪56に負荷がかからず、錘26のはさみ爪56の劣化を抑制することができる。加えて、はさみ爪56は第2錘係合部24が上部からは進入可能であるが、下部からは抜け出すことができない機構を有するため、複雑な制御を行わずに第2錘係合部24とはさみ爪56とを装着することができる。
【0065】
<第二実施形態>
図14は、本発明の第二実施形態に係る動力装置101の正面図である。
動力装置101の基本的な構成は、上述した第一実施形態に係る動力装置1と同一であるため、同一の符号を付している。
動力装置101は、上述した第一実施形態に係る動力装置1の構成に加えて、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18を、クラッチCを介して連結させる第2軸40を備える。動力装置101においては、クラッチCを制御することにより、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18を連動させたり、切り離したりすることができる。
【0066】
第2軸40が有するクラッチCの基本的な制御として、風が吹いている時は、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18が連動しないようにクラッチCを切り離し、回転体2の回転によって、回転体軸6、回転方向変換ギア8、及び第1軸7を介して、第1上部プーリ10、第1無端状ワイヤ14及び第1下部プーリ12のみが回転する。そして、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と錘26とを装着させ、錘26を上昇させることにより、錘26を上部錘収容部30に蓄積していく。全ての錘26が、上部錘収容部30に蓄えられた場合は、第2軸40が、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18のいずれにも連結するように、クラッチCを連結させる。第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18が第2軸40を介して連結することにより、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18が連動し、錘26を下降させなくても、回転体2の回転により、第2下部プーリ18が回転する。そして、第2下部プーリ18の回転により動力伝達部Tも回転し、その回転力が機械Mに伝達される。
【0067】
また、第2軸40が有するクラッチCの基本的な制御として、風が吹いていない時は、第1下部プーリ12及び第2下部プーリ18が連動しないようにクラッチCを切り離し、上部錘収容部30に蓄積された錘26を降下させることにより、第2無端状ワイヤ20、第2上部プーリ16、及び第2下部プーリ18のみが回転する。また、第2下部プーリ18の回転により動力伝達部Tも回転し、その回転力が機械Mに伝達される。
【0068】
したがって、風が吹いている時は、下部錘収容部36に一時的に蓄えられる複数の錘26は、下部錘装着機構38によって、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが係合され、次々に上昇する。次いで、上昇した錘26は、上部錘離脱機構28により、第1無端状ワイヤ14の第1錘係合部22と、錘26とが離脱し、複数の錘26が上部錘収容部30に一時的に蓄えられる。全ての錘26が、上部錘収容部30に蓄えられた場合、回転体2の回転により、直接、回転体軸6、回転方向変換ギア8、第1軸7、第1上部プーリ10、第1無端状ワイヤ14、第1下部プーリ12、第2軸40、及び第2下部プーリ18を介して動力伝達部Tが回転し、その回転力が機械Mに伝達される。すなわち、錘26の降下ではなく、回転体2の回転力を直接機械Mに伝達する。
【0069】
一方で、風が吹いていない場合は、上部錘収容部30に一時的に蓄えられた複数の錘26が、上部錘装着機構32により、第2無端状ワイヤ20の第2錘係合部24と係合され、次々に下降する。この錘26が下降するエネルギーによって、第2上部プーリ16、第2無端状ワイヤ20、及び第2下部プーリ18を介して動力伝達部Tが回転し、その回転力が機械Mに伝達される。
【0070】
以上説明したように、この動力装置101は、風を受けて回転体2が回転するエネルギーにより、錘26を上昇させ、錘26を上部錘収容部30に複数蓄え、風のエネルギーを位置エネルギーに変換して蓄積することができるのみではなく、錘26を用いずとも、風を受けて回転体2が回転するエネルギーにより、動力伝達部Tを回転させ、機械Mを作動させることができる。
よって、この動力装置101によれば、比較的に大量の動力を蓄積しつつ、より効率的に動力を発生させることができる。
【解決手段】この動力装置1は、風力によって回転される回転体2と、回転体2の回転に連動して周回される第1無端状ワイヤ14と、第1無端状ワイヤ14に間隔をあけて取り付けられた複数の第1錘係合部22と、錘26と、錘26を一時的に蓄えておく上部錘収容部30と、錘26の下降に連動して周回される第2無端状ワイヤ20及び第2下部プーリ18と、第2下部プーリ18の回転により回転力を外部へ伝達するための動力伝達部Tとを具備する。