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特許6903218油圧作動油および耐燃料油性シーリング剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903218
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】油圧作動油および耐燃料油性シーリング剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/02 20060101AFI20210701BHJP
   C08L 63/04 20060101ALI20210701BHJP
   C08G 75/02 20160101ALI20210701BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210701BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20210701BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C08L63/02
   C08L63/04
   C08G75/02
   C08K3/26
   C08K3/36
   C08K3/013
   C08K5/54
   C09K3/10 F
【請求項の数】22
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2020-500074(P2020-500074)
(86)(22)【出願日】2018年7月6日
(65)【公表番号】特表2020-526612(P2020-526612A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】US2018041151
(87)【国際公開番号】WO2019010457
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2020年2月5日
(31)【優先権主張番号】15/644,587
(32)【優先日】2017年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン、レンヘ
(72)【発明者】
【氏名】キュイ、ウェイビン
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−513314(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/89000(WO,A1)
【文献】 米国特許第09006360(US,B1)
【文献】 国際公開第2016/90221(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/208137(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/74919(WO,A1)
【文献】 特表2018−502961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 − 101/14
C08G 59/00 − 59/72
C08K 3/00 − 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、
(b)10重量%〜35重量%の有機充填剤であって、
リン酸エステル油圧作動油に50℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1vol%未満の膨潤を示し、またはリン酸エステル油圧作動油に70℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1.2vol%未満の膨潤を示す前記有機充填剤で、前記膨潤は、EN ISO10563に従って決定され、
1.4未満の比重を有する前記有機充填剤で、
固形物粒子と、アミノプラスト樹脂のコーティングを有する熱膨張したマイクロカプセルとを含む、前記有機充填剤
(c)5重量%〜30重量%の無機充填剤、および
(d)5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、
重量%は、組成物の総重量に基づく、組成物であって、
ISO2781に従って決定される比重が1.2未満である、前記組成物
【請求項2】
前記チオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、チオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(1)の構造を有する少なくとも1つの部分を含むチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み、
−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R
(1)
式中、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−10アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CHR−X−](CHR−基から選択され、各Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−14アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CH−X−](CH−基から選択され、
各Xは独立して、O、S、およびNRから選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、
mは、0〜50の範囲であり、
nは、1〜60の範囲の整数であり、
pは、2〜6の範囲の整数であり、
qは、1〜5の範囲の整数であり、および
rは、2〜10の範囲の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(1a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1c)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含み、
HS−R−[S−(CH−O−(R−O)(CH−S−R−]SH
(1a)
{HS−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1b)
{R−S−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1c)
式中、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、
式中、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各Rは独立して、水素およびメチルから選択され、および
各Xは独立して、−O−、−S−、および−NR−から選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、p、q、r、R、およびXは、Rと同様に定義され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオールと反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、
各Rは独立して、水素、および式(1)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、または前述のいずれかの組み合わせ、およびアミノプラスト樹脂でコーティングされ、膨張した熱可塑性マイクロカプセルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤が、沈降炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリエポキシドが、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、フェノールノボラックポリエポキシド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a)35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、
(b)10重量%〜35重量%の有機充填剤、
(c)5重量%〜30重量%の無機充填剤、および
(d)5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、
前記ポリエポキシドが、30重量%〜80重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含み、
重量%は、前記組成物中の前記ポリエポキシドの総重量に基づく、組成物。
【請求項9】
前記組成物が、0.5重量%〜4重量%の接着促進剤を含み、重量%は、前記組成物の総重量に基づく、前記接着促進剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
有機官能性シラン、フェノール樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、接着促進剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、0.9〜1.15の範囲内の比重を含み、前記比重は、ISO2781に従って決定される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記チオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み、
前記有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、または前述のいずれかの組み合わせを含み、
前記無機充填剤が、沈降炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカを含み、および
前記ポリエポキシドが、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドおよびフェノールノボラックポリエポキシドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1の組成物から得られた硬化性シーリング剤組成物。
【請求項14】
前記硬化組成物が、リン酸エステル油圧作動油に70℃で1,000時間浸漬した後、1MPa超の引張強度、150%超の伸び、および30ショアA超の硬度を含み、引張強度は、ISO37に従って測定され、伸びは、ISO37に従って測定され、および硬度は、ISO868に従って測定される、請求項13の硬化組成物。
【請求項15】
請求項13に記載の硬化組成物で密封された部品。
【請求項16】
第1の部分および第2の部分を含むシーリング剤系であり、
第1の部分は、
50重量%〜70重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、
15重量%〜40重量%の有機充填剤であって、
リン酸エステル油圧作動油に50℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1vol%未満の膨潤を示し、またはリン酸エステル油圧作動油に70℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1.2vol%未満の膨潤を示す前記有機充填剤で、前記膨潤は、EN ISO10563に従って決定され、
1.4未満の比重を有する前記有機充填剤で、
固形物粒子と、アミノプラスト樹脂のコーティングを有する熱膨張したマイクロカプセルとを含む、前記有機充填剤
2重量%〜16重量%の無機充填剤、および
0.5重量%〜3重量%の接着促進剤を含み、
ここで重量%は第1の部分の総重量に基づき、
第2の部分は、
35重量%〜80重量%のポリエポキシド、
10重量%〜50重量%の無機充填剤、および
0.5重量%〜10重量%の接着促進剤を含み、
ここで重量%は第2の部分の総重量に基づ
第1の部分および第2の部分を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分の組み合わせが請求項1に記載の組成物を提供する、
シーリング剤系。
【請求項17】
請求項16に記載の前記シーリング剤系から調製された硬化性シーリング剤組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の前記硬化組成物で密封された部品。
【請求項19】
部品を密封する方法であり、
請求項1の前記組成物を部品に適用すること、および
前記適用された組成物を硬化させて密封部品を提供することを含む、部品を密封する方法。
【請求項20】
部品を密封する方法であり、
請求項16に記載のシーリング剤系の第1の部分と請求項16に記載のシーリング剤系の第2の部分とを組み合わせて、シーリング剤組成物を提供すること、
シーリング剤組成物を部品に適用すること、および
前記適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することを含む、部品を密封する方法。
【請求項21】
前記熱膨張したマイクロカプセルが、ISO787(パート10)に従って決定される、0.02〜0.08の比重を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記アミノプラスト樹脂が、尿素/ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧作動油(hydraulic fluid)および航空燃料に耐性のあるシーリング剤に関する。シーリング剤には、硫黄含有プレポリマーおよび耐溶剤性有機充填剤(solvent−resistant organic filler)が含まれる。
【背景技術】
【0002】
硫黄含有プレポリマーに基づく航空宇宙用シーリング剤は、多くの航空宇宙用途の性能要件を満たすことができる。しかし、既存の要件が開発され続け、新しい要件が課せられているので、新しい航空宇宙用シーリング剤を開発する必要性が依然として存在する。耐溶剤性は、航空宇宙用シーリング剤の標準要件である。航空宇宙用シーリング剤などの航空宇宙用材料の特性は、油圧作動油および航空燃料などの使用中に材料が接触する可能性がある流体への暴露後に、特定の閾値を超えて維持され、実質的に劣化しないことが重要である。加速流体抵抗試験は、材料の性能を評価するために使用される。耐燃料油性を評価するために使用される一般的な試験の1つは、例えば、AMS3277に記載されている。この試験では、材料サンプルを、有機溶剤の混合物であるジェット基準液タイプI(JRF Type I)に、60℃の温度で1週間浸漬させる。JRF Type I浸漬後、許容される閾値を超える引張強度、伸び、硬度、および接着性などの特性を維持する材料は、耐燃料油性であると考えられる。特定の用途について航空宇宙用シーリング剤を認定するために使用される別の要件は、リン酸エステル油圧作動油に対する耐性である。リン酸エステル油圧作動油に対する耐性は、達成がより困難である。例えば、JRF Type Iの耐燃料油性試験に合格したシーリング剤は、70℃のリン酸エステル油圧作動油に長時間暴露されると、溶解する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、組成物は、(a)35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、(b)10重量%〜35重量%の有機充填剤、(c)5重量%〜30重量%の無機充填剤、および(d)5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0004】
本発明によれば、硬化組成物は、本発明による組成物から得られる。
【0005】
本発明によれば、部品は、本発明による硬化組成物で密封される。
【0006】
本発明によれば、シーリング剤系は、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、50重量%〜70重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、15重量%〜40重量%の有機充填剤、2重量%〜16重量%の無機充填剤、および0.5重量%〜3重量%の接着促進剤を含み、重量%は第1の部分の総重量に基づき、第2の部分は、35重量%〜80重量%のポリエポキシド、10重量%〜50重量%の無機充填剤、および0.5重量%〜10重量%の接着促進剤を含み、重量%は第2の部分の総重量に基づく。
【0007】
本発明によれば、硬化組成物は、本発明によるシーリング剤系から調製される。
【0008】
本発明によれば、部品は、本発明による硬化組成物で密封される。
【0009】
本発明によれば、部品を密封する方法は、本発明による組成物を部品に適用すること、適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することを含む。
【0010】
本発明によれば、部品を密封する方法は、本発明によるシーリング剤系の第1の部分を本発明によるシーリング剤系の第2の部分と組み合わせて、シーリング剤組成物を提供すること、シーリング剤組成物を部品に適用すること、適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することを含む。
【0011】
本明細書で説明される図面は、例示のみを目的とする。図面は、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、Skydrol(登録商標)LD−4浸漬中の本開示により提供されるシーリング剤のショアA硬度を示すグラフである。
【0013】
図2図2は、様々な温度でSkydrol(登録商標)LD−4に浸漬した後のシーリング剤の重量増加を示すグラフである。
【0014】
図3図3は、様々な温度でSkydrol(登録商標)LD−4に浸漬したシーリング剤の体積膨張を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明の目的のために、本開示により提供される実施形態は、そうでないと明確に指定された場合を除き、様々な代替的な変形およびステップの順序を想定することができることを理解されたい。さらに、任意の実施例以外、または特に明記しない限り、例えば、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量を表すすべての数は、すべての場合において、用語「約」により修飾されるものとして理解されたい。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に依存して変化し得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告される有効数字の数を考慮し、通常端数処理を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0016】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値には、それぞれの試験測定値において見出される標準変動から必然的に生じる特定の誤差が本質的に含まれる。
【0017】
また、本明細書に列挙された任意の数値範囲は、そこに含まれるすべての下位範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙された最小値1および列挙された最大値10の間(およびそれらを含む)、つまり最小値が1以上および最大値が10以下を有するすべての下位範囲を含むことが意図される。
【0018】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「−」)は、置換基または2つの原子間の結合点を示すために使用される。例えば、−CONHは、炭素原子を介して結合する。
【0019】
「アルカンジイル」とは、例えば、1〜18個の炭素原子(C1−18)、1〜14個の炭素原子(C1−14)、1〜6個の炭素原子(C1−6)、1〜4個の炭素原子(C1−4)、または1〜3個の炭化水素原子(C1−3)を有する飽和、分岐状または直鎖状非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐状アルカンジイルは、最低3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルカンジイルは、C2−14アルカンジイル、C2−10アルカンジイル、C2−8アルカンジイル、C2−6アルカンジイル、C2−4アルカンジイル、またはC2−3アルカンジイルであってもよい。アルカンジイル基の例としては、メタン−ジイル(−CH−)、エタン−1,2−ジイル(−CHCH−)、プロパン−1,3−ジイルおよびイソプロパン−1,2−ジイル(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)、ブタン−1,4−ジイル(−CHCHCHCH−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CHCHCHCHCH−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CHCHCHCHCHCH−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、およびドデカン−1,12−ジイルが挙げられる。
【0020】
「アルカンシクロアルカン」とは、1個または複数のシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基および1個または複数のアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、およびアルカンジイルが本明細書で定義される。各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基は、C3−6、C5−6、シクロヘキシルまたはシクロヘキサンジイルであってもよい。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1−6、C1−4、C1−3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン−1,2−ジイルであってもよい。アルカンシクロアルカン基は、C4−18アルカンシクロアルカン、C4−16アルカンシクロアルカン、C4−12アルカンシクロアルカン、C4−8アルカンシクロアルカン、C6−12アルカンシクロアルカン、C6−10アルカンシクロアルカン、またはC6−9アルカンシクロアルカンであってもよい。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0021】
「アルカンシクロアルカンジイル」とは、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C4−18アルカンシクロアルカンジイル、C4−16アルカンシクロアルカンジイル、C4−12アルカンシクロアルカンジイル、C4−8アルカンシクロアルカンジイル、C6−12アルカンシクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、またはC6−9アルカンシクロアルカンジイルであってもよい。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイルおよびシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0022】
「アルカンアレーン」とは、1個または複数のアリールおよび/またはアレーンジイル基および1個または複数のアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、アリール、アレーンジイル、アルキル、およびアルカンジイルが本明細書で定義される。各アリールおよび/またはアレーンジイル基は、C6−12、C6−10、フェニルまたはベンゼンジイルであってもよい。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1−6、C1−4、C1−3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン−1,2−ジイルであってもよい。アルカンアレーン基は、C4−18アルカンアレーン、C4−16アルカンアレーン、C4−12アルカンアレーン、C4−8アルカンアレーン、C6−12アルカンアレーン、C6−10アルカンアレーン、またはC6−9アルカンアレーンであってもよい。アルカンアレーン基の例としては、ジフェニルメタンが挙げられる。
【0023】
「アルカンアレーンジイル」とは、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。アルカンアレーンジイル基は、C4−18アルカンアレーンジイル、C4−16アルカンアレーンジイル、C4−12アルカンアレーンジイル、C4−8アルカンアレーンジイル、C6−12アルカンアレーンジイル、C6−10アルカンアレーンジイル、またはC6−9アルカンアレーンジイルである。アルカンアレーンジイル基の例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0024】
「アルケニル」基とは、構造−CR=C(R)を指し、アルケニル基が末端基であり、より大きな分子に結合している。そのような実施形態では、各Rは独立して、例えば、水素およびC1−3アルキルを含んでもよい。各Rは水素であり、アルケニル基は構造−CH=CHを有することができる。
【0025】
「アルコキシ」とは、−OR基を指し、Rがアルキルであることが本明細書で定義される。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびn−ブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C1−8アルコキシ、C1−6アルコキシ、C1−4アルコキシ、またはC1−3アルコキシであってもよい。
【0026】
「アルキル」とは、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜3個の炭素原子を有する飽和、分岐状または直鎖状非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐状アルキルは、最低3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルキル基は、C1−6アルキル、C1−4アルキル、またはC1−3アルキルであってもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、およびテトラデシルが挙げられる。アルキル基は、C1−6アルキル、C1−4アルキル、およびC1−3アルキルであってもよい。
【0027】
「アレーンジイル」とは、ジラジカル単環式または多環式芳香族基を指す。アレーンジイル基の例としては、ベンゼン−ジイルおよびナフタレン−ジイルが挙げられる。アレーンジイル基は、C6−12アレーンジイル、C6−10アレーンジイル、C6−9アレーンジイル、またはベンゼンジイルであってもよい。
【0028】
「シクロアルカンジイル」とは、ジラジカル飽和単環式または多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C3−12シクロアルカンジイル、C3−8シクロアルカンジイル、C3−6シクロアルカンジイル、またはC5−6シクロアルカンジイルであってもよい。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイルおよびシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0029】
「シクロアルキル」とは、飽和単環式または多環式炭化水素モノラジカル基を指す。シクロアルキル基は、C3−12シクロアルキル、C3−8シクロアルキル、C3−6シクロアルキル、またはC5−6シクロアルキルであってもよい。
【0030】
「ヘテロアルカンジイル」とは、1個または複数の炭素原子がN、O、S、またはPなどのヘテロ原子で置換されているアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルでは、1個または複数のヘテロ原子はNまたはOを含むことができる。
【0031】
「ヘテロシクロアルカンジイル」とは、1個または複数の炭素原子がN、O、S、またはPなどのヘテロ原子で置換されているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルでは、1個または複数のヘテロ原子はNまたはOを含むことができる。
【0032】
「ヘテロアレーンジイル」とは、1個または複数の炭素原子がN、O、S、またはPなどのヘテロ原子で置換されているアレーンジイル基を指す。ヘテロアレーンジイルでは、1個または複数のヘテロ原子はNまたはOを含むことができる。
【0033】
「置換された」とは、1個または複数の水素原子がそれぞれ独立して、同じまたは異なる置換基で置換されている基を指す。置換基は、ハロゲン、−S(O)OH、−S(O)、−SH、RがC1−6アルキルである−SR、−COOH、−NO、各Rが独立して水素およびC1−3アルキルを含む−NR、−CN、=O、C1−6アルキル、−CF、−OH、フェニル、C2−6ヘテロアルキル、C5−6ヘテロアリール、C1−6アルコキシ、またはRがC1−6アルキルである−CORを含むことができる。置換基は、−OH、−NH、またはC1−3アルキルであってもよい。
【0034】
「から形成された」または「から調製された」とは、例えば、請求項の文言を含む、オープンクレームを意味する。したがって、列挙された成分のリストから「形成」または「調製」された組成物は、少なくとも列挙された成分、または少なくとも列挙された成分の反応生成物を含む組成物であり、組成物を形成または調製するために使用される他の列挙されていない成分をさらに含むことができることが意図される。
【0035】
「の反応生成物」とは、列挙された反応物の化学反応生成物を意味し、部分反応生成物ならびに完全に反応した生成物およびより少ない量で存在する他の反応生成物を含むことができる。
【0036】
本明細書で使用する場合、組成物、例えば「硬化時の組成物」または「硬化組成物」に関連して使用される用語「硬化」または「硬化された」は、組成物の硬化性または架橋性成分が少なくとも部分的に反応または架橋することを意味する。
【0037】
用語「等価」とは、物質の官能性反応性基の数を指す。「当量」は、物質の分子量を、その物質の官能性反応性基の原子価または数で割ったものと実質的に等しい。
【0038】
「プレポリマー」とは、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーを指す。チオール末端プレポリマーの場合、分子量は、ヨウ素滴定を使用した末端基分析によって決定される数平均分子量「Mn」である。チオール末端化されていないプレポリマーの場合、数平均分子量は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。本開示により提供されるチオール末端硫黄含有プレポリマーなどのプレポリマーを、硬化剤と組み合わせて硬化性組成物を提供することができ、これは、硬化して硬化ポリマーネットワークを提供することができる。プレポリマーは、室温(25℃)および室圧(760torr;101kPa)で液体である。
【0039】
「硬化性組成物」とは、反応して硬化組成物を形成することができる少なくとも2つの反応物を含む組成物を指す。例えば、硬化性組成物は、反応して硬化ポリマーを形成することができるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーおよびポリエポキシドを含むことができる。硬化性組成物は、硬化反応のための触媒、ならびに例えば、充填剤、顔料、および接着促進剤などの他の成分を含んでもよい。硬化性組成物は、室温で硬化性であってもよく、または硬化反応を開始および/または加速するために室温を超える温度などの高温または他の条件への暴露を必要としてもよい。硬化性組成物は、例えば、別個のベース成分および促進剤成分を含む二部分組成物として最初に提供されてもよい。ベース組成物は、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーなどの硬化反応に関与する反応物の1つを含むことができ、促進剤成分は、ポリエポキシドなどの他の反応物を含むことができる。硬化性組成物を提供するために、使用の直前に2つの成分を混合することができる。硬化性組成物は、特定の適用方法に適した粘度を示し得る。例えば、塗布用途に適したクラスAシーリング剤組成物は、1ポアズ〜500ポアズ(0.1Pa−sec〜50Pa−sec)の粘度を特徴とする。フィレット密封用途に適したクラスBシーリング剤組成物は、4,500ポアズ〜20,000ポアズ(450Pa−sec〜2,000Pa−sec)の粘度を特徴とする。接合密封用途に適したクラスCシーリング剤組成物は、500ポアズ〜4,500ポアズ(50Pa−sec〜450Pa−sec)の粘度を特徴とする。組成物の粘度は、本明細書に記載されるように測定される。シーリング剤系の2つの成分が組み合わされて混合された後、本明細書に記載のように、硬化反応が進行し、硬化性組成物の粘度が増加することができ、ある時点で、もはや加工不能となる。2つの成分が混合されて硬化性組成物を形成するときと、硬化性組成物が意図された目的のために合理的または実用的に表面に適用できなくなるまでの期間は、作用時間と呼ばれ得る。理解され得るように、作用時間は、例えば、硬化化学、使用される触媒、適用方法、および温度を含む多くの要因に依存し得る。硬化性組成物が表面に適用されると(および適用中に)、硬化反応が進行して硬化組成物が得られる。硬化組成物は、粘着性のない表面を生じ、硬化し、その後、ある期間にわたって完全に硬化する。硬化性組成物は、クラスBシーリング剤またはクラスCシーリング剤について、表面の硬度が少なくとも30ショア(Shore)Aである場合に硬化したと見なすことができる。シーリング剤が30ショアAの硬度に硬化した後、硬化性組成物が完全に硬化するまでに数日から数週間かかることがある。組成物は、硬度が増加しなくなったときに、完全に硬化したと見なされる。配合に応じて、完全に硬化したシーリング剤は、例えば、ISO868に従って測定された、40ショアA〜70ショアAの硬度を示す。
【0040】
「化合物に由来する部分」などの「に由来する」とは、親化合物と反応物との反応時に生成される部分を指す。例えば、ビス(アルケニル)化合物CH=CH−R−CH=CHは、チオール基を有する2つの化合物などの別の化合物と反応して、反応に由来する部分−(CH−R−(CH−を生成できる。
【0041】
「−Vとチオールとの反応に由来する」とは、チオール基と、チオール基と反応する末端基を含む部分との反応から生じる部分−V’−を指す。例えば、基V−は、CH=CH−CH−O−を含むことができ、末端アルケニル基CH=CH−はチオール基−SHと反応する。チオール基と反応すると、部分−V’−は−CH−CH−CH−O−−になる。
【0042】
化合物またはポリマーの「コア」とは、反応性末端基の間のセグメントを指す。例えば、ポリチオールHS−R−SHのコアは−R−になる。化合物またはプレポリマーのコアはまた、化合物の骨格またはプレポリマーの骨格と呼ばれてもよい。
【0043】
組成物およびシーリング剤の比重および密度は、ISO2781に従って決定される。
【0044】
充填剤の比重および密度は、ISO787(パート10)に従って決定される。
【0045】
ショアA硬度は、ISO868に従って、タイプAデュロメータを使用して測定される。
【0046】
引張強度および伸びは、ISO37に従って測定される。
【0047】
ガラス転移温度Tは、1Hzの周波数、20ミクロンの振幅、および−80℃〜25℃の温度勾配を有するTA Instruments Q800装置を用いて、動的質量分析(DMA)によって決定され、Tは、tanδ曲線のピークとして同定される。
【0048】
Skydrol(登録商標)は、リン酸エステル化学に基づく耐火性油圧作動油である。Skydrol(登録商標)流体としては、Skydrol(登録商標)500B−4、Skydrol(登録商標)LD−4、Skydrol(登録商標)5、およびSkydrol(登録商標)PE−5が挙げられ、イーストマンケミカル社から市販されている。
【0049】
ここで、本発明の特定の化合物、組成物、および方法を参照する。開示された化合物、組成物、および方法は、特許請求の範囲を限定することを意図していない。対照的に、特許請求の範囲は、すべての代替物、修正物、および均等物を包含することを意図するものである。
【0050】
本開示により提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、有機充填剤、無機充填剤、ポリエポキシド硬化剤、および場合により接着促進剤を含むことができる。組成物は、航空宇宙用シーリング剤などのシーリング剤、特にSkydrol(登録商標)耐性および耐燃料油性の航空宇宙用シーリング剤として配合することができる。
【0051】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤製剤は、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、チオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせなどのチオール末端硫黄含有プレポリマーを含むことができる。
【0052】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルを含むことができ、またはチオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含むことができる。チオール末端硫黄含有プレポリマーは、異なるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーおよび/またはチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの混合物を含んでもよく、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーおよび/またはチオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、同じまたは異なる官能性を有してもよい。
【0053】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3、2.3〜2.8、または2.05〜2.5の平均官能性を有することができる。例えば、チオール末端硫黄含有プレポリマーは、二官能性チオール末端硫黄含有プレポリマー、三官能性チオール末端硫黄含有プレポリマー、およびそれらの組み合わせを含むことができる。硫黄含有プレポリマーは、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーを含むことができる。硫黄含有プレポリマーは、チオール末端モノスルフィドプレポリマーを含むことができる。
【0054】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、例えば、35重量%〜65重量%、40重量%〜60重量%、43重量%〜57重量%、または46重量%〜54重量%のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーまたはチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの組み合わせなど、チオール末端硫黄含有プレポリマーまたはチオール末端硫黄含有プレポリマーの組み合わせを含むことができる。
【0055】
硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルを含むことができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示され、参照によりその全体が組み込まれる。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、Permapol(登録商標)P3.1E、Permapol(登録商標)L56086、またはそれらの組み合わせを含むことができ、それぞれがカリフォルニア州シルマーのPPG Aerospace社から入手可能である。
【0056】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、式(1)の構造を有する少なくとも1つの部分を含むチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含むことができ、
−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R− (1)
式中、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−10アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CHR−X−](CHR−基から選択され、各Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−14アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CH−X−](CH−基から選択され、
各Xは独立して、O、S、およびNRから選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、
mは、0〜50の範囲であり、
nは、1〜60の範囲の整数であり、
pは、2〜6の範囲の整数であり、
qは、1〜5の範囲の整数であり、および
rは、2〜10の範囲の整数である。
【0057】
式(1)のプレポリマーでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、各Xは独立して、OおよびSから選択できる。式(1)のプレポリマーでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、各XはOであってもよく、または各XはSであってもよい。
【0058】
式(1)のプレポリマーでは、Rは−[(CH−X−](CH−であってもよく、各Xは独立して、OおよびSから選択できる。式(1)のプレポリマーでは、Rは−[(CH−X−](CH−であってもよく、各XはOであってもよく、または各XはSであってもよい。
【0059】
式(1)のプレポリマーでは、Rは−[(CH−X−](CH−であってもよく、pは2であってもよく、XはOであってもよく、qは2であってもよく、rは2であってもよく、Rはエタンジイルであってもよく、mは2であってもよく、nは9であってもよい。
【0060】
式(1)のプレポリマーでは、各Rは1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)に由来することができ、各Rはジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、またはそれらの組み合わせに由来することができる。
【0061】
式(1)のプレポリマーでは、各mは独立して、1〜3の整数であってもよい。各mは同じであってもよく、1、2、または3であってもよい。
【0062】
式(1)のプレポリマーでは、nは1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、または1〜5の整数であってもよい。さらに、nは1〜60の任意の整数であってもよい。
【0063】
式(1)のプレポリマーでは、各pは独立して、2、3、4、5、および6であってもよい。各pは同じであってもよく、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0064】
式(1)のプレポリマーでは、各qは独立して、1、2、3、4、または5であってもよい。各qは同じであってもよく、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0065】
式(1)のプレポリマーでは、各rは独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0066】
式(1)のプレポリマーでは、各rは同じであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0067】
式(1)のプレポリマーでは、各rは独立して、2〜4、2〜6、または2〜8の整数であってもよい。
【0068】
式(1)のプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、および−[(CH−X−](CH−基から選択することができる。
【0069】
式(1)のプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−10n−アルカンジイル基であってもよい。
【0070】
式(1)のプレポリマーでは、各Rは独立して、−[(CH−X−](CH−基を含むことができ、各XはOまたはSであってもよい。
【0071】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、式(1a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1c)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含むことができ、
HS−R−[S−(CH−O−(R−O)(CH−S−R−]SH (1a)
{HS−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1b)
{R−S−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1c)
式中、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、
式中、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各Rは独立して、水素およびメチルから選択され、および
各Xは独立して、O、S、およびNRから選択され、
Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、p、q、r、R、およびXは、Rと同様に定義され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオールと反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、または式(1)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合を含む。
【0072】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、Rは−[(CH−X−](CH−であってもよく、pは2であってもよく、XはOであってもよく、qは2であってもよく、rは2であってもよく、Rはエタンジイルであってもよく、mは2であってもよく、nは9であってもよい。
【0073】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、RはC2−6アルカンジイルおよび−[(CHR−X−](CHR−から選択することができる。
【0074】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、XはOであってもよく、またはXはSであってもよい。
【0075】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、pは2であってもよく、rは2であってもよく、qは1であってもよく、XはSであってもよく;またはpは2であってもよく、qは2であってもよく、rは2であってもよく、XはOであってもよく;またはpは2であってもよく、rは2であってもよく、qは1であってもよく、XはOであってもよい。
【0076】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、各Rは水素であってもよく、または少なくとも1つのRはメチルであってもよい。
【0077】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各Rは同じであってもよく、または少なくとも1つのRが異なっていてもよい。
【0078】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各mは独立して、1〜3の整数であってもよい。各mは同じであってもよく、1、2、または3であってもよい。
【0079】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、nは1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、または1〜5の整数であってもよい。変数nは、1〜60の任意の整数であってもよい。
【0080】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各pは独立して、2、3、4、5、および6であってもよい。各pは同じであってもよく、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0081】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各qは独立して、1、2、3、4、または5であってもよい。各qは同じであってもよく、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0082】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各rは独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0083】
式(1a)〜(1c)のプレポリマーでは、各rは独立して、2〜4、2〜6、または2〜8の整数であってもよい。
【0084】
式(1)〜(1c)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために、様々な方法を使用することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例、およびそれらの製造方法は、米国特許第6,172,179号に記載されている。そのようなチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、二官能性、すなわち、2つの末端チオール基を有する直鎖状プレポリマーであってもよく、または多官能性、すなわち、3つ以上の末端チオール基を有する分岐状プレポリマーであってもよい。
【0085】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、異なるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの混合物を含んでもよく、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、同じまたは異なる官能性を有してもよい。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、またはチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの組み合わせは、例えば、2〜6、2〜4、2〜3、2.05〜2.8、または2.05〜2.5の平均官能性を有することができる。例えば、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、二官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、三官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0086】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ポリチオールとジビニルエーテルなどのジエンとを反応させることにより調製することができ、ポリチオエーテルの調製に使用される反応物のそれぞれの量は、末端チオール基を生じるように選択することができる。したがって、いくつかの場合においては、(nまたはn超、例えばn+1)モルのポリチオール、例えばジチオール、または少なくとも2つの異なるジチオールの混合物と、0.05モル〜1モル、例えば0.1モル〜0.8モル数のチオール末端多官能化剤とを、(n)モルのジエン、例えばジビニルエーテル、または少なくとも2つの異なるジエンの組み合わせ、例えば2つの異なるジビニルエーテルの組み合わせと反応させることができる。チオール末端多官能化剤は、例えば、2.05〜3、例えば2.1〜2.8、または2.1〜2.6の平均チオール官能性を有するチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを提供するのに十分な量で反応混合物中に存在することができる。
【0087】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応は、フリーラジカル触媒によって触媒され得る。適切なフリーラジカル触媒としては、アゾ化合物、例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などのアゾビスニトリル化合物;ベンゾイルペルオキシドおよびtert−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物;および過酸化水素などの無機過酸化物が挙げられる。反応はまた、ラジカル開始剤/光増感剤の有無にかかわらず、紫外線を照射することによって行うことができる。無機塩基または有機塩基、例えばトリエチルアミンを使用するイオン触媒法も使用することができる。
【0088】
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ジビニルエーテルまたはジビニルエーテルの組み合わせを、過剰のジチオールまたはジチオールの組み合わせと反応させることにより生成することができる。
【0089】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、以下を含む反応物の反応生成物を含むことができる、
(a)式(2)のジチオールと、
HS−R−SH (2)
式中、
は、C2−6アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、式中、
各Rは独立して、水素およびメチルから選択され、
各Xは独立して、−O−、−S−、−NR−から独立して選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、および
rは、2〜10の整数であり、および
(b)式(3)のジビニルエーテルと、
CH=CH−O−(R−O−)CH=CH (3)
式中、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、p、q、r、R、およびXは、上記と同様に定義され、および
mは、0〜50の整数である。
【0090】
反応物は、(c)多官能性化合物B(−V)などの多官能性化合物をさらに含むことができ、B、−−V、およびzは、本明細書で定義されるとおりである。
【0091】
式(2)のジチオールでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよい。
【0092】
式(2)のジチオールでは、XはOおよびSから選択することができるので、式(2)の−[(CHR−X−](CHR−は、−[(CHR−O−](CHR−または−[(CHR−S−](CHR−であってもよい。pおよびrは、pおよびrの両方が2の場合など、等しくてもよい。
【0093】
式(2)のジチオールでは、RはC2−6アルカンジイルおよび−[(CHR−X−](CHR−から選択することができる。
【0094】
式(2)のジチオールでは、Rは−[(CHR−X−](CHR−であってもよく、XはOであってもよく、またはXはSであってもよい。
【0095】
が−[(CHR−X−](CHR−であってもよい式(2)のジチオールでは、pは2であってもよく、rは2であってもよく、qは1であってもよく、XはSであってもよく、または、pは2であってもよく、qは2であってもよく、rは2であってもよく、XはOであってもよく、または、pはであってもよく2、rは2であってもよく、qは1であってもよく、XはOであってもよい。
【0096】
が−[(CHR−X−](CHR−であってもよい式(2)のジチオールでは、各Rは水素であってもよく、または少なくとも1つのRはメチルであってもよい。
【0097】
式(2)のジチオールでは、各Rは1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO;2,2−(エタン−1,2−ジイルビス(スルファニル))ビス(エタン−1−チオール))に由来することができ、または各Rはジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS;2,2’−チオビス(エタン−1−チオール))、およびそれらの組み合わせに由来することができる。
【0098】
式(2)のジチオールでは、各pは独立して、2、3、4、5、および6から選択することができる。各pは同じであってもよく、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0099】
式(2)のジチオールでは、各qは独立して、1、2、3、4、または5であってもよい。各qは同じであってもよく、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0100】
式(2)のジチオールでは、各rは独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。各rは同じであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0101】
式(2)のジチオールでは、各rは独立して、2〜4、2〜6、または2〜8の整数であってもよい。
【0102】
式(3)のジビニルエーテルでは、各mは独立して、1〜3の整数であってもよい。各mは同じであってもよく、1、2、または3であってもよい。
【0103】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、および−[(CH−X−](CH−基から選択することができる。
【0104】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基であってもよい。
【0105】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、−[(CH−X−](CH−基であってもよく、各XはOまたはSであってもよい。
【0106】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、−[(CH−X−](CH−基であってもよく、各XはOまたはSであってもよく、各pは独立して、2、3、4、5、および6であってもよい。
【0107】
式(3)のジビニルエーテルでは、各pは同じであってもよく、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0108】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、−[(CH−X−](CH−基であってもよく、各XはOまたはSであってもよく、各qは独立して、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0109】
式(3)のジビニルエーテルでは、各qは同じであってもよく、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0110】
式(3)のジビニルエーテルでは、各Rは独立して、−[(CH−X−](CH−基であってもよく、各XはOまたはSであってもよく、各rは独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0111】
式(3)のジビニルエーテルでは、各rは同じであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。式(3)のジビニルエーテルでは、各rは独立して、2〜4、2〜6、または2〜8の整数であってもよい。
【0112】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの調製に使用するのに適したジチオールには、式(2)の構造を有するものが含まれ、
HS−R−SH (2)
式中、Rは、C2−6アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、式中、各Rは独立して、水素およびメチルから選択され、各Xは独立して、O、S、およびNRから選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、pは、2〜6の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは、2〜10の整数である。
【0113】
適切なジチオールの例としては、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0114】
ジチオールは、低級(例えば、C1−6)アルキル基、低級アルコキシ基、またはヒドロキシル基を含む1個または複数のペンダント基を有してもよい。適切なアルキルペンダント基としては、例えば、C1−6直鎖状アルキル、C3−6分岐状アルキル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0115】
適切なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(2)で、Rは−[(CH−X−](CH−であり、pは2、rは2、qは1、XはSである)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(2)で、Rは−[(CH−X−](CH−であり、pは2、qは2、rは2、XはOである)、および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(2)で、Rは−[(CH−X−](CH−であり、pは2、rは2、qは1、XはOである)が挙げられる。炭素骨格にヘテロ原子およびメチル基などのペンダントアルキル基の両方を含むジチオールを使用することもできる。そのようなジチオールとしては、例えば、HS−CHCH(CH)−S−CHCH−SH、HS−CH(CH)CH−S−CHCH−SHなどのメチル置換DMDS、ならびにHS−CHCH(CH)−S−CH(CH)CH−SHおよびHS−CH(CH)CH−S−CHCH(CH)−SHなどのジメチル置換DMDSが挙げられる。
【0116】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの調製に適したジビニルエーテルには、例えば、式(3)のジビニルエーテルが含まれ、
CH=CH−O−(R−O−)CH=CH (3)
式中、各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、各Rは独立して、水素およびメチルから選択することができ、各Xは独立して、O、S、およびNRから選択することができ、Rは、水素およびメチルから選択することができ、pは、2〜6の整数であってもよく、qは、1〜5の整数であってもよく、rは、2〜10の整数であってもよい。
【0117】
適切なジビニルエーテルとしては、例えば、1〜4個のオキシアルカンジイル基などの少なくとも1個のオキシアルカンジイル基−R−O−を有する化合物、すなわち式(3)のmが1〜4の範囲の整数である化合物が挙げられる。式(3)の変数mは、2〜4の範囲の整数であってもよい。1分子あたりのオキシアルカンジイル単位の数の非整数平均値を特徴とする市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。したがって、式(3)のmは、1.0〜10.0、1.0〜4.0、または2.0〜4.0などの0〜10.0の範囲の有理数の値をとることもできる。
【0118】
適切なビニルエーテルの例としては、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(4)のRはエタンジイルであり、mは1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(4)のRはブタンジイルであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(4)のRはヘキサンジイルであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(4)のRはエタンジイルであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(4)のRはエタンジイルであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(3)のRはエタンジイルであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル、トリメチロールプロパンなどのトリビニルエーテルモノマー、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどの四官能性エーテルモノマー、および2つ以上のそのようなポリビニルエーテルモノマーの組み合わせが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはアミン基を含むことができる1つまたは複数のペンダント基を有してもよい。
【0119】
式(3)のRがC3−6分岐状アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシル化合物を、アセチレンと反応させることにより調製することができる。この種類のジビニルエーテルの例としては、式(3)のRがCH(−CH)などのアルキル置換メタンジイル基、またはアルキル置換エタンジイルである化合物が挙げられる。
【0120】
2種類以上の式(3)のジビニルエーテルを使用することができる。したがって、2つの式(2)のジチオールと1つの式(3)のジビニルエーテル、1つの式(2)のジチオールと2つの式(3)のジビニルエーテル、2つの式(2)のジチオールと2つの式(3)ジビニルエーテル、ならびに式(2)および式(3)の一方または両方の3つ以上の化合物を使用して、様々なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを生成することができる。
【0121】
ジビニルエーテルは、例えば、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される、20モルパーセント〜50モルパーセント未満、または30モルパーセント〜50モルパーセント未満の反応物を含むことができる。
【0122】
ジチオールおよびジビニルエーテルの相対量を選択して、末端チオール基を有するポリチオエーテルプレポリマーを生成することができる。したがって、式(2)のジチオールまたは式(2)の異なるジチオールの少なくとも2つの混合物は、式(3)のジビニルエーテルまたは式(3)の異なるジビニルエーテルの少なくとも2つの混合物と、アルケニル基に対するチオール基のモル比が、1.1:1.0〜2.0:1.0などの1:1超である相対量で、反応することができる。
【0123】
ジチオールとジビニルエーテルおよび/またはポリチオールとポリビニルエーテルとの間の反応は、フリーラジカル触媒、イオン触媒、または紫外線によって触媒され得る。適切なフリーラジカル触媒としては、例えば、アゾ化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などのアゾビスニトリル、ベンゾイルペルオキシドおよびt−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物、過酸化水素などの無機過酸化物が挙げられる。特定の反応では、触媒は酸性または塩基性化合物を含まず、分解時に酸性または塩基性化合物を生成しない。適切なフリーラジカル触媒の例としては、Vazo(登録商標)−57(デュポン社)、Vazo(登録商標)−64(デュポン社)、Vazo(登録商標)−67(デュポン社)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals社)、およびV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals社)などのアゾ型触媒が挙げられる。他の適切なフリーラジカル触媒の例としては、t−ブチルペルオキシドなどのアルキルペルオキシドが挙げられる。この反応はまた、カチオン性光惹起部分の有無にかかわらず、紫外線を照射することによって行うことができる。
【0124】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、少なくとも1つの式(2)のジチオールと少なくとも1つの式(3)のジビニルエーテルを組み合わせ、続いて適切な触媒を添加し、例えば、70℃〜90℃などの30℃〜120℃の範囲内の温度で、例えば、2時間〜6時間などの2時間〜24時間の範囲内の時間で反応を行うことにより、調製することができる。
【0125】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、多官能性ポリチオエーテルプレポリマーを含んでもよく、すなわち、2.0超の平均チオール官能性を有してもよい。適切な多官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーとしては、例えば、式(1b)の構造、式(1c)の構造、またはそれらの組み合わせを有するものが挙げられ、
{HS−R−[S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]S−V’−}B (1b)
{R−S−R−[S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]S−V’−}B (1c)
式中、zは、2〜3の範囲内の平均値、2.1〜2.8の範囲内の平均値、2〜4の範囲内の平均値、3〜6の範囲内の平均値、または3〜6の範囲内の平均値などの2.0超の平均値を有する。
【0126】
式(1c)のプレポリマーでは、各Rは独立して、水素、または多官能化剤B(V)への結合を含むことができる。式(1c)のプレポリマーでは、各Rは独立して、水素であるか、式(1)の部分を介して多官能化剤B(V)に結合することができる。
【0127】
そのような多官能性チオール末端プレポリマーの調製に使用するのに適した多官能化剤としては、三官能化剤、すなわちzが3である化合物が挙げられる。適切な三官能化剤としては、例えば、米国特許出願公開第2010/0010133号に開示されているように、トリアリルシアヌラート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌラート含有トリチオール、およびそれらの組み合わせが挙げられ、参照によりその全体が組み込まれ、および例えば、米国特許第7,858,703号に開示されているように、イソシアヌラートが挙げられ、参照によりその全体が組み込まれる。他の有用な多官能化剤としては、米国特許第4,366,307号;4,609,762号;および5,225,472号に記載されているトリメチロールプロパントリビニルエーテル、およびポリチオールが挙げられ、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。多官能化剤の混合物も使用することができる。結果として、本開示により提供されるポリチオエーテルプレポリマーは、広範囲の平均官能性を有し得る。例えば、三官能化剤は、チオール基と反応することができる基の平均官能性を2.1〜2.6などの2.05〜2.9にすることができる。四官能性以上の多官能化剤を使用することにより、より広い範囲の平均官能性が達成され得る。当業者によって理解されるように、官能性は、化学量論などの要因によっても決定され得る。
【0128】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、室温で液体であり、例えば、−20℃未満、−30℃未満、または−40℃未満のガラス転移温度Tを有することができ、ガラス転移温度Tは、1Hzの周波数、20ミクロンの振幅、および−80℃〜25℃の温度勾配を有するTA Instruments Q800装置を用いて、動的質量分析(DMA)によって決定され、Tは、tanδ曲線のピークとして同定される。
【0129】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、No.6スピンドルを備えたBrookfield CAP 2000粘度計を使用して300rpmの速度、25℃の温度で測定され、例えば、20ポアズ〜500ポアズ(2Pa−sec〜50Pa−sec)、20ポアズ〜200ポアズ(2Pa−sec〜20Pa−sec)または40ポアズ〜120ポアズ(4Pa−sec〜12Pa−sec)の範囲内の粘度を示し得る。
【0130】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、数平均分子量および/または分子量分布を特徴とすることができる。ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、500ダルトン〜20,000ダルトン、2,000ダルトン〜5,000ダルトン、または1,000ダルトン〜4,000ダルトンの数平均分子量を示し得る。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、1〜20、または1〜5の多分散性(Mw/Mn;重量平均分子量/数平均分子量)を示し得る。本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの骨格は、ポリチオエーテルプレポリマーを使用して調製されたシーリング剤およびコーティングの接着性、引張強度、伸び、UV耐性、硬度、および/または柔軟性などの特性を改善するために修正することができる。例えば、接着促進基、抗酸化剤、金属配位子、および/またはウレタン結合をポリチオエーテルプレポリマーの骨格に組み込んで、1つまたは複数の性能属性を改善することができる。骨格修飾ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第8,138,273号(ウレタン含有)、米国特許第9,540,540号(スルホン含有)、米国特許第8,952,124号(ビス(スルホニル)アルカノール含有)、米国特許第9,382,642号(金属配位子含有)、米国出願公開第2017/0114208号(抗酸化剤含有)、2016年11月4日に提出された米国仮出願第62/417,848号(硫黄含有ジビニルエーテル)、および2016年8月8日に提出された米国仮出願第62/372,158号(ウレタン含有)に開示され、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。
【0131】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端硫黄含有ポリホルマールを含むことができる。航空宇宙用シーリング剤用途に有用な硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国特許第8,729,216号および米国特許第8,541,513号に開示されており、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。
【0132】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、式(4)の部分を含むチオール末端硫黄含有ポリホルマールを含むことができ、
−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]− (4)
式中、nは、1〜50の整数であり、各pは独立して、1および2から選択され、各Rは、C2−6アルカンジイルであってもよく、各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリール、および置換C6−12アリールから選択することができる。
【0133】
チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(4a)の構造を有することができ、
−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]−R (4a)
式中、nは、1〜50の整数であり、各pは独立して、1および2から選択され、各Rは、C2−6アルカンジイルであり、各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリール、および置換C6−12アリールから選択され、ならびに各Rは、チオール末端基を含む。
【0134】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−6アルカンジイル、C2−4アルカンジイル、C2−3アルカンジイル、およびエタン−1,2−ジイルから選択することができる。式(4)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、エタン−1,2−ジイルであってもよい。
【0135】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C1−4アルキル、C1−3アルキル、およびC1−2アルキルから選択することができる。式(4)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、水素、メチル、およびエチルから選択することができる。
【0136】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、同じであり、エタン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,3−ジイルなどのC2−3アルカンジイルから選択することができ、ならびに各Rは、同じであり、水素、およびメチル、エチル、またはプロピルなどのC1−3アルキルから選択することができる。式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、エタン−1,2−ジイルであってもよい。式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、水素であってもよい。式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、エタン−1,2−ジイルであってもよく、各Rは、水素であってもよい。
【0137】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、nは、1〜50の整数、2〜40の整数、4〜30の整数、またはnは7〜30の整数であってもよい。
【0138】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各pは、同じであり、1であってもよく、各pは、同じであり、2であってもよい。
【0139】
式(4)および式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、200ダルトン〜6,000ダルトン、500ダルトン〜5,000ダルトン、1,000ダルトン〜5,000ダルトン、1,500ダルトン〜4000ダルトン、または2,000ダルトン〜3,600ダルトンの数平均分子量を有することができる。
【0140】
式(4a)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、チオール末端基あってもよく、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、または式(f)の基であってもよく、
HS−R−R−O− (a)
HS−R−O− (b)
HS−R−NH−C(=O)−O− (c)
HS−R−C(=O)−O−R−NH−C(=O)−O− (d)
HS−R−C(=O)−NH−R−NH−C(=O)−O− (e)
HS−R−C(=O)−O− (f)
式中、各Rは、ジイソシアナートに由来する部分またはエチレン性不飽和モノイソシアナートに由来する部分を含み、各Rは、C2−14アルカンジイルおよびC2−14ヘテロアルカンジイルから選択することができ、および各Rは、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイル、および置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択することができる。
【0141】
本開示により提供される硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(4b)の構造を有することができ、
{R−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]−O−C(R−O−}Z (4b)
式中、各nは、1〜50から選択される整数であり、mは、3〜6から選択される整数であり、pは独立して、1および2から選択され、各Rは独立して、C2−6アルカンジイルであってもよく、各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリール、および置換C6−12アリールから選択することができ、各Rは、チオール末端基を含み、およびZは、m価の親ポリオールZ(OH)のコアに由来する。
【0142】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−6アルカンジイル、C2−4アルカンジイル、C2−3アルカンジイル、およびエタン−1,2−ジイルから選択することができる。式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、エタン−1,2−ジイルであってもよい。
【0143】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C1−4アルキル、C1−3アルキル、およびC1−2アルキルから選択することができる。式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、水素、メチル、およびエチルから選択することができる。
【0144】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、同じであってもよく、エタン−1,2−ジイルまたはプロパン−1,3−ジイルなどのC2−3アルカンジイルから選択することができ、ならびに各Rは、同じであり、水素、およびメチル、エチル、またはプロピルなどのC1−3アルキルから選択することができる。式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、エタン−1,2−ジイルであってもよい。式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、水素であってもよい。式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rはエタン−1,2−ジイルであってもよく、各Rは、水素であってもよい。
【0145】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、mは1であってもよく、mは2であってもよく、mは3であってもよく、mは4であってもよく、mは5であってもよく、またはmは6であってもよい。
【0146】
mが3である式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、親ポリオールZ(OH)は式(5)のトリオールであり、
【化1】

式中、各Rは独立して、C1−6アルカンジイル、または式(6)のトリオールであり、
【化2】

式中、各Rは独立して、C1−6アルカンジイルである。したがって、これらの実施形態では、Zは式(7a)または式(7b)の構造を有することができ、
【化3】

式中、各Rは独立して、C1−6アルカンジイルである。
【0147】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各nは、1〜50から選択される整数、2〜40から選択される整数、4〜30から選択される整数、または7〜30から選択される整数である。
【0148】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各pは、同じであり、1であり、各pは、同じであり、2である。
【0149】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、200ダルトン〜6,000ダルトン、500ダルトン〜5,000ダルトン、1,000ダルトン〜5,000ダルトン、1,500ダルトン〜4000ダルトン、または2,000ダルトン〜3,600ダルトンの数平均分子量を有する。
【0150】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、Rは、式(4)の部分を介して多官能化剤B(V)に結合することができる。
【0151】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、同じであってもよい。
【0152】
式(4b)の硫黄含有ポリホルマールプレポリマーでは、各Rは、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、または式(f)のチオール末端基を含むことができ、
HS−R−R−O− (a)
HS−R−O− (b)
HS−R−NH−C(=O)−O− (c)
HS−R−C(=O)−O−R−NH−C(=O)−O− (d)
HS−R−C(=O)−NH−R−NH−C(=O)−O− (e)
HS−R−C(=O)−O− (f)
式中、各Rは、ジイソシアナートに由来する部分またはエチレン性不飽和モノイソシアナートに由来する部分を含み、各Rは、C2−14アルカンジイルおよびC2−14ヘテロアルカンジイルから選択することができ、および各Rは、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイル、および置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択することができる。
【0153】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端モノスルフィドを含むことができる。
【0154】
チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、式(8)の部分を含むチオール末端モノスルフィドプレポリマーを含むことができ、
−S−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S− (8)
式中、
各Rは独立して、C2−6アルカンジイルなどのC2−10アルカンジイル;C3−6分岐状アルカンジイル、または例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル基;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Xは独立して、OまたはSから選択することができ、
pは、1〜5の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、および
nは、2〜60、3〜60、または25〜35などの1〜60の整数である。
【0155】
式(8)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Xは独立して、S、O、およびNRから選択することができ、式中、Rは、C1−4アルキルを含み、pは、1〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、nは、1〜60の整数であり、各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、ならびに各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができる。
【0156】
チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、式(8a)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(8b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含むことができ、
HS−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−SH (8a)
{HS−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S−V’−}B (8b)
{R−S−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S−V’−}B (8c)
式中、
各Rは独立して、C2−6アルカンジイルなどのC2−10アルカンジイル;C3−6分岐状アルカンジイル、または例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC2−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル基;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Xは独立して、OおよびSから選択することができ、
pは、1〜5の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、および
nは、2〜60、3〜60、または25〜35などの1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、および式(8)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される。
【0157】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、
各Xは独立して、S、O、およびNRから選択することができ、Rは、C1−4アルキルから選択され、
pは、1〜5の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10 アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、および式(8)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される。
【0158】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Xは独立して、SまたはOであってもよく、各XはSであってもよく、または各XはOであってもよい。
【0159】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、pは2〜6の整数であってもよく、あるいはpは1、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0160】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、qは1〜5の整数であってもよく、qは2〜5の整数であってもよく、あるいはqは0、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0161】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、nは2〜60、3〜60、または25〜35の整数であってもよい。
【0162】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−10アルカンジイルおよびC6−8シクロアルカンジイルから選択することができ、各RはC2−10アルカンジイルであってもよく、または各RはC6−8シクロアルカンジイルであってもよい。
【0163】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、C2−6アルカンジイル、C2−4アルカンジイル、C3−10アルカンジイル、およびC3−6アルカンジイルから選択することができる。
【0164】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0165】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、C1−10アルカンジイルおよびC6−8シクロアルカンジイルから選択することができ、各Rは、C1−10アルカンジイルであってもよく、または各Rは、C6−8シクロアルカンジイルであってもよい。
【0166】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、C1−6アルカンジイル、C1−4アルカンジイル、C2−10アルカンジイル、およびC2−6アルカンジイルから選択することができる。
【0167】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、メタンジイル、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0168】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−10アルカンジイルおよびC6−8シクロアルカンジイルから選択することができ、各Rは、C2−10アルカンジイルであってもよく、または各Rは、C6−8シクロアルカンジイルであってもよい。
【0169】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、C2−6アルカンジイル、C2−4アルカンジイル、C3−10アルカンジイル、およびC3−6アルカンジイルから選択することができる。
【0170】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0171】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドでは、pは1または2であってもよく、qは1または2であってもよく、nは1〜60の整数または25〜35の整数であってもよく、各XはOまたはSであってもよく、各RはC2−4アルカンジイルであってもよく、各RはC1−4アルカンジイルであってもよく、および各RはC2−4アルカンジイルであってもよい。
【0172】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、pは1または2であってもよく、qは1または2であってもよく、nは1〜60の整数または25〜35の整数であってもよく、各XはOまたはSであってもよく、各RはCアルカンジイルであってもよく、各RはCアルカンジイルであってもよく、および各RはCアルカンジイルであってもよい。
【0173】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、pは1または2であってもよく、qは1または2であってもよく、nは1〜60の整数または25〜35の整数であってもよく、各XはOであってもよく、各RはCアルカンジイルであってもよく、各RはCアルカンジイルであってもよく、および各RはCアルカンジイルであってもよい。
【0174】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、B(−V)は、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)エタン、1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼン、および前述のいずれかの組み合わせから選択することができる。
【0175】
式(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、水素、および式(10)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択することができる。チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、例えば、2.1〜2.8、または2.2〜2.6などの2.05〜2.9の平均チオール官能性を有することができる。
【0176】
式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーは、α,ω−ジハロ有機化合物、金属水硫化物、金属水酸化物、および任意の多官能化剤を反応させることにより調製することができる。適切なα,ω−ジハロ有機化合物の例としては、ビス(2−クロロエチル)ホルマールが挙げられる。適切な金属水硫化物および金属水酸化物の例としては、水硫化ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。適切な多官能化剤の例としては、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)エタン、および1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。式(8)〜(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーを合成する方法は、例えば、米国特許第7,875,666号に開示され、参照によりその全体が組み込まれる。
【0177】
チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、式(9)の部分を含むチオール末端モノスルフィドプレポリマーを含むことができ、
−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S− (9)
式中、
各Rは独立して、C2−6アルカンジイルなどのC2−10アルカンジイル;C3−6分岐状アルカンジイル、または例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC3−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC3−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル基;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Xは独立して、OおよびSから選択することができ、
pは、1〜5の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、および
nは、2〜60、3〜60、または25〜35などの1〜60の整数である。
【0178】
チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、式(9a)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(9b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述いずれかの組み合わせを含むことができ、
H−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−SH (9a)
{H−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S−V’−}B (9b)
{R−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S−V’−}B (9c)
式中、
各Rは独立して、C2−6アルカンジイルなどのC2−10アルカンジイル;C3−6分岐状アルカンジイル、または例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC3−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Rは独立して、水素、C1−6 n−アルカンジイルなどのC1−10 n−アルカンジイル、例えばメチルまたはエチル基などのアルキル基であってもよい1個または複数のペンダント基を有するC3−6分岐状アルカンジイルなどのC3−10分岐状アルカンジイル;C6−8シクロアルカンジイル基;C6−10アルキルシクロアルカンジイルなどのC6−14アルキルシクロアルカンジイル;およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択することができ、
各Xは独立して、OおよびSから選択することができ、
pは、1〜5の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
nは、2〜60、3〜60、または25〜35などの1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、および式(9)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される。
【0179】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Xは独立して、SおよびOから選択することができ、pは、1〜5の整数であり、qは、1〜5の整数であり、nは1〜60の整数であり、各Rは独立して、C2−10アルカンジイルであってもよく、各Rは独立して、水素およびC1−10アルカンジイルから選択することができ、Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、zは、3〜6の整数であり、各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および各Rは独立して、水素であるか、式(9)の部分を介して多官能化剤B(−V)に結合している。
【0180】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各XはSであってもよく、または各XはOであってもよい。
【0181】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、pは2〜5の整数であってもよく、またはqは1、2、3、4、または5であってもよい。
【0182】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、pは2〜5の整数であってもよく、またはqは1、2、3、4、または5であってもよい。
【0183】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、nは2〜60、3〜60、または25〜35の整数であってもよい。
【0184】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、C2−6アルカンジイルおよびC2−4アルカンジイルから選択することができる。
【0185】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0186】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、C2−10 n−アルカンジイル、C2−10分岐状アルカンジイル、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0187】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、水素およびC2−6アルカンジイルから選択することができる。
【0188】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、水素、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0189】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各Rは、C1−10 n−アルカンジイル、C1−10分岐状アルカンジイル、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0190】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各XはOであり、pは1または2であり、qは1または2であり、nは2〜60などの1〜60であり、各RはエタンジイルなどのC2−4アルカンジイルであり、および各Rは水素である。
【0191】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各XはOであり、pは1であり、qは1であり、nは2〜60などの1〜60であり、各RはエタンジイルなどのC2−4アルカンジイルであり、および各Rは水素である。
【0192】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、各XはOであり、pは2であり、qは2であり、nは2〜60などの1〜60であり、各RはエタンジイルなどのC2−4アルカンジイルであり、および各Rは水素である。
【0193】
式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーでは、B(−V)は、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)エタン、1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼン、および前述のいずれかの組み合わせから選択することができる。
【0194】
式(9)−(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマーは、α,ω−ジハロ有機化合物、金属水硫化物、金属水酸化物、および任意の多官能化剤を反応させることにより調製することができる。適切なα,ω−ジハロ有機化合物の例としては、ビス(2−クロロエチル)ホルマールが挙げられる。適切な金属水硫化物および金属水酸化物の例としては、水硫化ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。適切な多官能化剤の例としては、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)エタン、および1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。式(9)〜(9c)のチオール末端モノスルフィドを合成する方法は、例えば、米国特許第8,466,220号に開示され、参照によりその全体が組み込まれる。
【0195】
チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、1,000ダルトン〜8,000ダルトンの範囲内などの300ダルトン〜10,000ダルトンの範囲内の数平均分子量を有することができ、分子量は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、−40℃未満、−55℃未満、または−60℃未満のガラス転移温度Tを有することができる。ガラス転移温度Tは、1Hzの周波数、20ミクロンの振幅、および−80℃〜25℃の温度勾配を有するTA Instruments Q800装置を用いて、動的質量分析(DMA)によって決定され、Tは、tanδ曲線のピークとして同定される。
【0196】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含むことができる。ポリスルフィドプレポリマーとは、プレポリマー骨格および/またはプレポリマー鎖のペンダント位置に、1つまたは複数のポリスルフィド結合、すなわち、xが2〜4である−S−結合を含むプレポリマーを指す。ポリスルフィドプレポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有することができる。適切なポリスルフィドは、例えば、それぞれThioplast(登録商標)およびThiokol−LP(登録商標)という名称で、アクゾノーベル社および東レ株式会社から市販されている。
【0197】
適切なポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国特許第4,623,711号;6,172,179号;6,509,418号;7,009,032号;および7,879,955号に開示され、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。
【0198】
適切なチオール末端ポリスルフィドの例としては、Thioplast(商標)G1、Thioplast(商標)G4、Thioplast(商標)G10、Thioplast(商標)G12、Thioplast(商標)G21、Thioplast(商標)G22、Thioplast(商標)G44、Thioplast(商標)G122、Thioplast(商標)G131などのThioplast(商標)Gポリスルフィドが挙げられ、アクゾノーベル社から市販されている。Thioplast(商標)G樹脂は、二官能性および三官能性分子のブレンドである液体ポリスルフィドポリマーであり、二官能性ポリスルフィドポリマーは式(10)の構造を有し、
SH−(−R−S−S−)−R−SH (10)
三官能性ポリスルフィドポリマーは、式(11)の構造を有し、
【数1】

式中、各Rは、−(CH−O−CH−O−(CH−であり、n=a+b+cであり、nの値は、ポリスルフィドポリマーの合成中に使用される三官能性架橋剤(1,2,3,−トリクロロプロパン;TCP)の量に応じて7〜38であってもよい。Thioplast(商標)Gポリスルフィドは、1,000ダルトン未満〜6,500ダルトンの数平均分子量、1%〜5.5%超のSH含有量、および0%〜2.0%の架橋密度を有することができる。
【0199】
適切なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例としてはまた、Thiokol(商標)LP2、Thiokol(商標)LP3、Thiokol(商標)LP12、Thiokol(商標)LP23、Thiokol(商標)LP33、およびThiokol(商標)LP55など東レ株式会社から入手可能なThiokol(商標)LPポリスルフィドが挙げられる。Thiokol(商標)LPポリスルフィドは、1,000ダルトン〜7,500ダルトンの数平均分子量、0.8%〜7.7%のSH含有量、および0%〜2%の架橋密度を有する。チオコールLPポリスルフィドは、式(12)の一般構造を有し、
HS−[(CH−O−CH−O−(CH−S−S−]−(CH−O−CH−O−(CH−SH (12)
式中、nは、数平均分子量が1,000ダルトン〜7,500ダルトンとなるように、例えば8〜80の整数であってもよい。
【0200】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、Thiokol−LP(登録商標)ポリスルフィド、Thioplast(登録商標)Gポリスルフィド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0201】
チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含むことができ、
HS−R−(S−R)−SH (13)
式中、
tは、1〜60の整数であり、
qは、1〜8の整数であり、
pは、1〜10の整数であり、
rは、1〜10の整数であり、
yは、1.0〜1.5の範囲内の平均値を有し、
各Rは独立して、分岐状アルカンジイル、分岐状アレーンジイル、および構造−(CH−O−(CH−O−(CH−を有する部分から選択することができ、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、および
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来する。
【0202】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、tは、例えば、2〜60、1〜40、または1〜20の整数であってもよい。
【0203】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、qは、例えば、1〜6の整数、または1〜4の整数であってもよい。例えば、qは1、2、3、4、5、または6であってもよい。
【0204】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、各pは、例えば、1〜6または1〜4の整数であってもよい。例えば、各pは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0205】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、各rは、例えば、1〜6または1〜4の整数であってもよい。例えば、各pは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。
【0206】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、yは、1の値を有することができる。
【0207】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、yは、例えば1.05〜2、または1.1〜1.8などの1の平均値を有することができる。
【0208】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、Rは、−(CH−O−(CH−O−(CH−であってもよい。
【0209】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、Rは、−(CH−O−(CH−O−(CH−であってもよく、各qは、1、2、3、または4であってもよく、ならびにpおよびrは、1または2であってもよい。
【0210】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、R基の0%〜20%が分岐状アルカンジイルまたは分岐状アレーンジイルを含むことができ、R基の80%〜100%が−(CH−O−(CH−O−(CH−であってもよい。
【0211】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、分岐状アルカンジイルまたは分岐状アレーンジイル、−R(−A)−であってもよく、式中、Rは炭化水素基であり、nは1または2であり、Aは分岐点である。分岐状アルカンジイルは、構造−CH(−CH(−CH−)−を有することができる。
【0212】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、α,ω−ジハロ有機化合物、金属水硫化物、金属水酸化物、および任意の多官能化剤を反応させることにより調製することができる。適切なα,ω−ジハロ有機化合物の例としては、ビス(2−クロロエチル)ホルマールが挙げられる。適切な金属水硫化物および金属水酸化物の例としては、水硫化ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。適切な多官能化剤の例としては、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(クロロメチル)エタン、および1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。
【0213】
式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国出願公開第2016/0152775号、米国特許第9,079,833号、および米国特許第9,663,619号に開示されている。
【0214】
チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、式(14)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含むことができ、
HS−(R−O−CH−O−R−S−)n−1−R−O−CH−O−R−SH (14)
式中、Rは、C2−4アルカンジイルであり、mは、1〜8の整数であり、およびnは、2〜370の整数である。
【0215】
式(16)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、mは、例えば1.05〜2、または1.1〜1.8などの1超の平均値を有することができる。
【0216】
式(16)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、mは、例えば、1〜6の整数、および1〜4の整数、あるいは整数1、2、3、4、5、6、7、または8であってもよい。
【0217】
式(14)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、nは、例えば、2〜200の整数または2〜100の整数であってもよい。
【0218】
式(14)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーでは、各Rは独立して、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,1−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,1−ブタンジイル、1,2−ブタンジイル、および1,3−ブタンジイルから選択することができる。
【0219】
式(14)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、日本特許第62−53354号(JP62−53354)に開示されている。
【0220】
チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、室温で液体であることができる。チオール末端モノスルフィドプレポリマーは、ブルックフィールドCAP 2000粘度計を使用してASTM D−2849§79−90に従って測定された、約25℃の温度および約760mm Hg(101kPa)の圧力で、100%固形物で40ポアズ〜500ポアズ(4Pa−sec〜50Pa−sec)などの1,500ポアズ(150Pa−sec)以下の粘度を有することができる。
【0221】
チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、1,000ダルトン〜8,000ダルトンの範囲内などの300ダルトン〜10,000ダルトンの範囲内の数平均分子量を有することができ、分子量は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、−40℃未満、−55℃未満、または−60℃未満のガラス転移温度Tを有することができる。ガラス転移温度Tは、1Hzの周波数、20ミクロンの振幅、および−80℃〜25℃の温度勾配を有するTA Instruments Q800装置を用いて、動的質量分析(DMA)によって決定され、Tは、tanδ曲線のピークとして同定される。
【0222】
硫黄含有プレポリマーは、硫黄含有ペルフルオロエーテル、ペルフルオロシリコーンプレポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0223】
Skydrol(登録商標)および耐燃料油性有機充填剤はまた、ペルフルオロエーテルプレポリマー、ペルフルオロシリコーンプレポリマー、およびそれらの組み合わせを含むシーリング剤組成物と共に使用することができる。
【0224】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、有機充填剤、または有機充填剤の組み合わせを含むことができる。有機充填剤は、比重が低く、JRF Type I、およびSkydrol(登録商標)LD−4などのSkydrol(登録商標)などの航空溶剤および/または流体に耐性であるように選択することができる。
【0225】
有機充填剤は、Skydrol(登録商標)に耐性であるように選択することができる。例えば、Skydrol(登録商標)LD−4などのSkydrol(登録商標)に耐性である有機充填剤は、Skydrol(登録商標)に50℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1vol%未満の膨潤を示し、またはSkydrol(登録商標)に70℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1.2vol%未満の膨潤を示し、膨潤率はEN ISO10563に従って決定される。適切な有機充填剤はまた、硫黄含有ポリマーマトリックスへの許容可能な接着を有することができる。有機充填剤は、固形物粒子、中空粒子、またはそれらの組み合わせを含むことができる。粒子は、一般に球状(粉末と呼ばれる)、一般的に非球状(粒子と呼ばれる)、またはそれらの組み合わせであってもよい。粒子は、ASTM E−2651−13に従って決定されるように、例えば100μm、50μm、40μm、30μm、または25μm未満の平均粒径を有することができる。粉末は、0.25μm〜100μm、0.5μm〜50μm、0.5μm〜40μm、0.5μm〜30μm、0.5μm〜20μm、または0.1μm〜10μmの範囲の平均粒径を有する粒子を含むことができる。充填剤粒子は、例えば、1nm〜100nmの平均粒径を特徴とする粒子を含むナノ粉末を含むことができる。
【0226】
有機充填剤は、例えば、1.6未満、1.4未満、1.15未満、1.1未満、1.05未満、1未満、0.95未満、0.9未満、0.8未満、または0.7未満の比重を有することができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。有機充填剤は、例えば、0.85〜1.6の範囲内、0.85〜1.4の範囲内、0.9〜1.1の範囲内、0.9〜1.05の範囲内、または0.85〜1.05の範囲内の比重を有することができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。
【0227】
有機充填剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはそれらの組み合わせを含むことができる。適切な有機充填剤の例としては、エポキシ、エポキシアミド、ETFEコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、TFE、ポリアミド、ポリイミド、エチレンプロピレン、ペルフルオロ炭化水素、フルオロエチレン、ポリカルボナート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メラミン、ポリエステル、フェノール樹脂、エピクロロヒドリン、フッ素化炭化水素、多環式化合物、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、イソブチレンイソプレン、シリコーン、スチレンブタジエン、液晶ポリマー、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0228】
適切な有機充填剤の例としては、ポリアミド6およびポリアミド12などのポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0229】
適切なポリアミド6およびポリアミド12粒子の例は、グレードSP−500、SP−10、TR−1、およびTR−2として、東レプラスチックス社から入手可能である。適切なポリアミドはまた、商標名Orgasol(登録商標)でアルケマグループから、商標名Vestosin(登録商標)でエボニックインダストリーズ社から入手可能である。例えば、Ganspearl(登録商標)GPA−550およびGPA−700などのGanzpearl(登録商標)ポリアミドは、ニューヨーク州ニューヨークのPersperse Sakai Tradingから入手可能である。
【0230】
適切なポリイミド充填剤の例は、商標名P84(登録商標)NTでエボニックインダストリーズ社から入手可能である。
【0231】
有機充填剤は、酸化ポリエチレン粉末などのポリエチレンを含むことができる。適切なポリエチレンは、例えば、ハネウェルインターナショナル社から、商標名ACumist(登録商標)で、イオネス社から商標名Eltrex(登録商標)で、三井化学アメリカ社から商標名Mipelon(商標)で入手可能である。
【0232】
航空宇宙用シーリング剤におけるポリフェニレンスルフィドなどの有機充填剤の使用は、米国特許第9,422,451号に開示され、参照によりその全体が組み込まれる。ポリフェニレンスルフィドは、寸法安定性、耐薬品性、ならびに耐腐食性および高温環境に対する耐性を示す熱可塑性エンジニアリング樹脂である。ポリフェニレンスルフィドエンジニアリング樹脂は、例えば、商標名ライトン(登録商標)(シェブロン)、テクトロン(登録商標)、フォートロン(登録商標)(セラニーズ)、およびトレリナ(登録商標)(東レ)で市販されている。ポリフェニレンスルフィド樹脂は、一般に、約1.3〜約1.4の比重を特徴とし、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。1.34g/cmの密度および0.2μm〜0.25μm(水中、またはイソプロパノール中で0.4μm〜0.5μm)の平均粒径を有するポリフェニレンスルフィド粒子は、東レ株式会社から入手可能である。
【0233】
ポリエーテルスルホン粒子は、東レ株式会社から入手でき、1.37g/cmの密度および5μm〜60μmの平均粒径を有する。
【0234】
熱可塑性コポリエステル粒子は、東レ株式会社から入手可能である。
【0235】
有機充填剤は、任意の適切な形状をとることができる。例えば、有機充填剤は、所望のサイズ範囲にろ過された粉砕ポリマーの断片を含むことができる。有機充填剤は、実質的に球形の粒子を含むことができる。粒子は固形物であってもよく、多孔質であってもよい。
【0236】
有機充填剤は、例えば、1μm〜100μm、2μm〜40μm、2μm〜30μm、4μm〜25μm、4μm〜20μm、2μm〜12μm、または5μm〜15μmの範囲内の平均粒径または中央値粒径を有することができる。有機充填剤は、例えば、100μm未満、75μm未満、50μm未満、40μm未満、または20μm未満の平均粒径を有することができる。粒度分布は、Fischer Sub−Sieve Sizerを使用して、または光学検査によって決定することができる。
【0237】
有機充填剤は、膨張した熱可塑性マイクロカプセルおよび/または変性し膨張した熱可塑性マイクロカプセルなどの低密度充填剤を含むことができる。適切な変性し膨張した熱可塑性マイクロカプセルは、メラミンまたは尿素/ホルムアルデヒド樹脂の外部コーティングを含むことができる。
【0238】
熱膨張性マイクロカプセルとは、所定の温度で膨張する揮発性材料を含む中空シェルを指す。熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルは、5μm〜70μm、場合によっては10μm〜24μm、または10μm〜17μmの平均初期粒径を有することができる。用語「平均初期粒径」は、膨張前のマイクロカプセルの平均粒径(粒度分布の数値加重平均)を指す。粒度分布は、Fischer Sub−Sieve Sizerを使用して、または光学検査によって決定することができる。
【0239】
熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂の壁内に、揮発性炭化水素または揮発性ハロゲン化炭化水素を含むことができる。そのようなマイクロカプセルでの使用に適した炭化水素の例としては、塩化メチル、臭化メチル、トリクロロエタン、ジクロロエタン、n−ブタン、n−ヘプタン、n−プロパン、n−ヘキサン、n−ペンタン、イソブタン、イソペンタン、イソオクタン、ネオペンタン、石油エーテル、およびFreon(商標)などのフッ素を含む脂肪族炭化水素、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0240】
熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成するのに適した材料の例としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリカルボナート、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、酢酸ビニルのポリマー、これらのモノマーのコポリマー、ならびにポリマーおよびコポリマーの組み合わせが挙げられる。架橋剤は、熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成する材料に含まれていてもよい。
【0241】
適切な熱可塑性マイクロカプセルの例としては、アクゾノーベル社から入手可能なExpancel(商標)DEミクロスフェアなどのExpancel(商標)マイクロカプセルが挙げられる。適切なExpancel(商標)DEミクロスフェアの例としては、Expancel(商標)920 DE 40およびExpancel(商標)920 DE 80が挙げられる。適切な低密度マイクロカプセルはまた、クレハ社から入手可能である。
【0242】
低密度マイクロカプセルは、0.01〜0.09の範囲内、0.04〜0.09の範囲内、0.04〜0.08の範囲内、0.01〜0.07の範囲内、0.02〜0.06の範囲内、0.03〜0.05、0.05〜0.09の範囲内、0.06〜0.09の範囲内、または0.07〜0.09の範囲内の比重を特徴とすることができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。低密度マイクロカプセルは、0.1未満、0.09未満、0.08未満、0.07未満、0.06未満、0.05未満、0.04未満、0.03未満、または0.02未満の比重を特徴とすることができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。
【0243】
低密度マイクロカプセルは、1μm〜100μmの平均粒径を特徴とすることができ、実質的に球状の形状を有することができる。低密度マイクロカプセルは、例えば、ASTM E−2651−13に従って決定されるように、10μm〜100μm、10μm〜60μm、10μm〜40μm、または10μm〜30μmの平均粒径を特徴とすることができる。
【0244】
低密度充填剤は、非コーティングマイクロカプセル、コーティングマイクロカプセル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0245】
低密度マイクロカプセルなどの低密度充填剤は、メラミン樹脂などのアミノプラスト樹脂のコーティングを有する膨張したマイクロカプセルを含むことができる。アミノプラスト樹脂コーティング粒子は、例えば、米国特許第8,993,691号に記載されており、参照によりその全体が組み込まれている。そのようなマイクロカプセルは、熱可塑性シェルに囲まれた発泡剤を含むマイクロカプセルを加熱することにより形成することができる。非コーティング低密度マイクロカプセルを尿素/ホルムアルデヒド樹脂などのアミノプラスト樹脂と反応させて、粒子の外表面に熱硬化性樹脂のコーティングを施すことができる。
【0246】
低密度マイクロカプセルなどの低密度充填剤は、メラミン樹脂などのアミノプラスト樹脂の外部コーティングを有する熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルを含むことができる。コーティング低密度マイクロカプセルは、メラミン樹脂の外部コーティングを有することができ、コーティングは、例えば、2μm未満、1μm未満、または0.5μm未満の厚さを有することができる。軽量マイクロカプセル上のメラミンコーティングは、マイクロカプセルをチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーおよび/またはポリエポキシド硬化剤と反応させ、耐燃料油性を高め、マイクロカプセルを圧力耐性にするものと考えられている。
【0247】
アミノプラスト樹脂の薄いコーティングは、25μm未満、20μm未満、15μm未満、または5μm未満の膜厚を有することができる。アミノプラスト樹脂の薄いコーティングは、少なくとも10ナノメートル、または少なくとも100ナノメートル、または場合によっては少なくとも500ナノメートルなどの少なくとも0.1ナノメートルの膜厚を有することができる。
【0248】
アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒドと、アミノ基またはアミド基を有する物質との縮合物に基づくことができる。縮合物は、アルコールおよびホルムアルデヒドと、メラミン、尿素またはベンゾグアナミンとの反応から得られる。他のアミンおよびアミドの縮合物、例えば、トリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアニジン、グアナミンのアルデヒド縮合物、ならびにアルキル置換尿素およびアリール置換尿素およびアルキル置換メラミンおよびアリール置換メラミンを含むそのような化合物のアルキル置換誘導体およびアリール置換誘導体も使用することができる。そのような化合物の例としては、N,N’−ジメチル尿素、ベンゾウレア、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン、アセトグアナミン、グリコールウリル、アンメリン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、3,5−ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2−メルカプト−4,6−ジアミノピリミジンおよび3,4,6−トリス(エチルアミノ)−1,3,5トリアジンが挙げられる。適切なアミノプラスト樹脂はまた、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、およびグリオキサールなどの他のアルデヒドの縮合物に基づくことができる。
【0249】
アミノプラスト樹脂は、3.0未満、または2.0未満などの3.75未満の重合度を有する高度にアルキル化された低イミノアミノプラスト樹脂を含むことができる。数平均重合度は、ポリマー鎖あたりの構造単位の平均数として定義することができる。例えば、重合度1.0は、完全に単量体のトリアジン構造を示し、重合度2.0は、メチレンまたはメチレンオキシ架橋で結合された2つのトリアジン環を示す。重合度は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される平均重合度値を表す。
【0250】
アミノプラスト樹脂は、メチロールまたは他のアルキロール基を含むことができ、アルキロール基の少なくとも一部は、アルコールとの反応によりエーテル化することができる。適切な一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ベンジルアルコール、他の芳香族アルコール、シクロヘキサノールなどの環式アルコール、グリコールのモノエーテル、ならびに3−クロロプロパノールおよびブトキシエタノールなどのハロゲン置換または他の置換アルコールなどのアルコールが挙げられる。アミノプラスト樹脂は、メタノールまたはブタノールで実質的にアルキル化することができる。
【0251】
アミノプラスト樹脂は、メラミン樹脂を含むことができる。適切なメラミン樹脂の例としては、メチル化メラミン樹脂(ヘキサメトキシメチルメラミン)、混合エーテルメラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ベンゾグアナミンおよびグリコールウリル樹脂、ならびにホルムアルデヒドを含まない樹脂が挙げられる。そのような樹脂は、例えばAllnex Group社およびHexion社から入手可能である。適切なメラミン樹脂の例としては、Cymel(商標)300、Cymel(商標)301、Cymel(商標)303LF、Cymel(商標)303ULF、Cymel(商標)304、Cymel(商標)350、Cymel(商標)3745、Cymel(商標)XW−3106、Cymel(商標)MM−100、Cymel(商標)370、Cymel(商標)373、Cymel(商標)380、ASTRO MEL(商標)601、ASTRO MEL(商標)601ULF、ASTRO MEL(商標)400、ASTRO MEL(商標)NVV−3A、Aricel PC−6A、ASTRO MEL(商標)CR−1、およびアストロセット(商標)90などのメチル化メラミン樹脂が挙げられる。適切なアミノプラスト樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂を含むことができる。
【0252】
低密度マイクロカプセルは、例えば、米国特許第8,816,023号および第8,993,691号に記載されているような、適切な技術によって調製することができ、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。コーティング低密度マイクロカプセルは、例えば、撹拌下で、メラミン樹脂を含む水中のマイクロカプセルの水性分散液を調製することにより得ることができる。次いで、触媒を添加し、分散液を、例えば、50℃〜80℃の温度に加熱してもよい。ポリアクリロニトリルシェル、脱イオン水、およびメラミン樹脂などのアミノプラスト樹脂を有する熱膨張したマイクロカプセルなどの低密度マイクロカプセルを組み合わせて混合することができる。次いで、蒸留水中のパラトルエン硫酸の10%w/w溶液を添加し、混合物を60℃で約2時間反応させた。次いで、飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、混合物を10分間撹拌することができる。固形物をろ過し、蒸留水ですすぎ、室温で一晩乾燥させることができる。次いで、得られたアミノプラスト樹脂コーティングマイクロカプセルの粉末は、250μmのふるいを通してふるいにかけ、凝集物を除去し、分離することができる。
【0253】
アミノプラスト樹脂コーティングの適用前に、熱膨張した熱可塑性マイクロカプセルは、例えば、0.01〜0.05の範囲内、0.015〜0.045の範囲内、0.02〜0.04の範囲内、または0.025〜0.035の範囲内の比重を特徴とすることができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。例えば、Expancel(商標)920 DE 40およびExpancel(商標)920 DE 80は、約0.03の比重を特徴とすることができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。
【0254】
アミノプラスト樹脂によるコーティング後、アミノプラストコーティングマイクロカプセルは、例えば、0.02〜0.08の範囲内、0.02〜0.07の範囲内、0.02〜0.06の範囲内、0.03〜0.07の範囲内、0.03〜0.065の範囲内、0.04〜0.065の範囲内、0.045〜0.06の範囲内、または0.05〜0.06の範囲内の比重を特徴とすることができ、比重は、ISO787(パート10)に従って決定される。
【0255】
アミノプラストコーティングマイクロカプセルおよびアミノプラストコーティングマイクロカプセルの製造方法は、例えば、米国出願公開第2016/0083619号に開示され、参照によりその全体が組み込まれる。
【0256】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、例えば、10重量%〜35重量%の有機充填剤、15重量%〜35重量%、10重量%〜35重量%、15重量%〜30重量%、18重量%〜32重量%、15重量%〜25重量%、17重量%〜23重量%、20重量%〜30重量%、または22重量%〜28重量%の有機充填剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。組成物およびシーリング剤は、ポリアミド、酸化ポリエチレン、およびアミノプラストコーティングマイクロカプセルを含む有機充填剤を含むことができる。組成物およびシーリング剤は、ポリアミドおよびアミノプラストコーティングマイクロカプセルを含む有機充填剤を含むことができる。
【0257】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、無機充填剤または無機充填剤の組み合わせを含むことができる。機械的補強を提供し、組成物のレオロジー特性を制御するために、無機充填剤を含むことができる。無機充填剤を組成物に添加し、例えば、衝撃強度を増大させ、粘度を制御し、または硬化組成物の電気特性を変更するなど、所望の物理的特性を付与することができる。
本開示により提供され、航空および航空宇宙用途に有用な組成物に有用な無機充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水和アルミナ(水酸化アルミニウム)、ヒュームドシリカ、シリカ、沈降シリカ、シリカゲル、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。例えば、無機充填剤としては、炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカの組み合わせを挙げることができ、炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカは、処理済および/または未処理であってもよい。無機充填剤は、炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカを含んでいてもよい。
【0258】
無機充填剤は、コーティングされていてもよく、または非コーティングでもよい。例えば、無機充填剤は、ポリジメチルシロキサンのコーティングなどの疎水性コーティングでコーティングすることができる。
【0259】
適切な炭酸カルシウム充填剤としては、ソルベイスペシャルティポリマーズ社から入手可能なSocal(登録商標)31、Socal(登録商標)312、Socal(登録商標)U1S1、Socal(登録商標)UaS2、Socal(登録商標)N2R、Winnofil(登録商標)SPM、およびWinnofil(登録商標)SPTなどの製品が挙げられる。炭酸カルシウム充填剤は、沈降炭酸カルシウムの組み合わせを含むことができる。
【0260】
本開示により提供される組成物は、例えば、10重量%〜30重量%の無機充填剤または無機充填剤の組み合わせ、5重量%〜25重量%、10重量%〜25重量%、15重量%〜25重量%、または17重量%〜23重量%を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0261】
本開示により提供される組成物は、適切な硬化剤を含むことができる。硬化剤は、本開示により提供されるチオール末端硫黄含有プレポリマーの末端チオール基と反応するように選択することができる。
【0262】
本開示により提供される組成物は、ポリエポキシド硬化剤を含むことができる。ポリエポキシドとは、2つ以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。ポリエポキシドは、ポリエポキシドの組み合わせを含むことができる。ポリエポキシドは、室温(23℃)で液体であってもよい。
【0263】
適切なポリエポキシドの例としては、ヒダントインジエポキシドなどのポリエポキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ダウ・ケミカル社から入手可能なDEN(商標)438(エピクロロヒドリンとフェノール−ホルムアルデヒドノボラックとの反応生成物を含むフェノールノボラックポリエポキシド)およびDEN(商標)431(エピクロロヒドリンとフェノール−ホルムアルデヒドノボラックとの反応生成物を含むフェノールノボラックポリエポキシド)などのノボラック型エポキシド、特定のエポキシ化不飽和、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0264】
ポリエポキシド硬化剤は、DEN(登録商標)431などのフェノールノボラックポリエポキシド、EPON(登録商標)828などのビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。ポリエポキシド硬化剤は、フェノールノボラックポリエポキシドとビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド(ビスフェノールA型ポリエポキシド)の組み合わせを含むことができる。
【0265】
適切なポリエポキシド硬化剤の他の例としては、ビスフェノールA型ポリエポキシド、臭素化ビスフェノールA型ポリエポキシド、ビスフェノールF型ポリエポキシド、ビフェニル型ポリエポキシド、ノボラック型ポリエポキシド、脂環式ポリエポキシド、ナフタレン型ポリエポキシド、エーテル系またはポリエーテル系ポリエポキシド、オキシラン環含有ポリブタジエン、シリコーンポリエポキシドコポリマー、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0266】
適切なビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドの追加の例としては、400以下の重量平均分子量を有するビスフェノールA型ポリエポキシド;p−グリシジルオキシフェニルジメチルトリルビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの分岐状多官能性ビスフェノールA型ポリエポキシド、ビスフェノールF型ポリエポキシド;570以下の重量平均分子量を有するフェノールノボラック型ポリエポキシド、ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシラート(3,4−エポキシシクロヘキシル)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパートおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンなどの脂環式ポリエポキシド、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルなどのビフェニル型エポキシ;ジグリシジルヘキサヒドロフタラート、ジグリシジル3−メチルヘキサヒドロフタラートおよびジグリシジルヘキサヒドロテレフタラートなどのグリシジルエステル型エポキシ;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのグリシジルアミン型ポリエポキシド;1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインなどのヒダントイン型ポリエポキシド;およびナフタレン環含有ポリエポキシドが挙げられる。また、1,3−ビス(3−グリシドキシ−プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどのシリコーンを有するポリエポキシドを使用することができる。適切なポリエポキシドの他の例としては、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルおよびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルおよびグリセリントリグリシジルエーテルなどのトリエポキシドが挙げられる。
【0267】
本開示により提供される組成物に使用するのに適した市販のポリエポキシドの例としては、リゾリューションパフォーマンスプロダクツ社からの商標名Epon(登録商標)828、Epon(登録商標)1001、Epon(登録商標)1009、およびEpon(登録商標)1031;ならびにダウ・ケミカル社からのDER(登録商標)331、DER 332、DER(登録商標)334、およびDER(登録商標)542などのフェノール化合物のポリグリシジル誘導体が挙げられる。他の適切なポリエポキシドとしては、ポリオールなどから調製されるポリエポキシド、およびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体が挙げられ、後者は、ダウ・ケミカル社から商標名DEN(登録商標)431、DEN(登録商標)438、およびDEN(登録商標)439で市販されている。クレゾール類似体はまた、ECN(登録商標)1235、ECN(登録商標)1273、およびECN(登録商標)1299であり、Ciba Specialty Chemicals社から市販されている。SU−8は、リゾリューションパフォーマンスプロダクツ社から入手可能なビスフェノールA型ポリエポキシドノボラックである。アミン、アミノアルコールおよびポリカルボン酸のポリグリシジル付加物も有用なポリエポキシドであり、F.I.C社からのGlyamine(登録商標)135、Glyamine(登録商標)125、およびGlyamine(登録商標)115;Ciba Specialty Chemicals社からのAraldite(登録商標)MY−720、Araldite(登録商標)MY−721、Araldite(登録商標)0500、およびAraldite(登録商標)0510が挙げられる。
【0268】
ポリエポキシドは、ウレタン変性ジエポキシドを含むことができる。ウレタンジエポキシドは、芳香族ジイソシアナートとジエポキシドとの反応から誘導することができる。ウレタン変性ジエポキシドは、式(15)の構造を有するジエポキシドを含むことができ、
【化4】

式中、各Rは、ジグリシジルエーテルに由来し、Rは芳香族ジイソシアナートに由来する。
【0269】
イソシアナート基が芳香環に直接結合していない適切な芳香族ジイソシアナートの例としては、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタラート、および2,5−ジ(イソシアナトメチル)フランが挙げられるが、これらに限定されない。芳香環に直接結合したイソシアネート基を有する芳香族ジイソシアナートとしては、フェニレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアナート、カルバゾールジイソシアナート、エチルカルバゾールジイソシアナート、ジクロロカルバゾールジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、および2,6−トルエンジイソシアナートが挙げられる。
【0270】
適切なジエポキシドの例としては、ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロール1,3−ジグリシジルエーテル、エトグルシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、ジエポキシプロピルエーテル、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,2:9,10−ジエポキシデカン、1,2:8,9−ジエポキシノナン、および1,2:6,7−ジエポキシヘプタン;レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、1,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、および4,4−ジグリシジルオキシビフェニルなどの芳香族ジエポキシド;ならびに1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、および1,4−ビス(グリシジルオキシ)シクロヘキサンなどの環状ジエポキシドが挙げられる。
【0271】
式(15)のジエポキシドは、例えば、クッドケミカル社(韓国)から入手可能である。
【0272】
組成物は、フェノールノボラックポリエポキシドおよびビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドを含むことができる。組成物は、等しい重量%のノボラックポリエポキシドおよびビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドを含むことができる。組成物は、例えば、0.8:1〜1:0.8、または0.9:1〜1:0.9の範囲の重量%比のフェノールノボラックポリエポキシドおよびビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドを含むことができる。
【0273】
ポリエポキシドは、例えば、40重量%〜60重量%のビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドおよび40重量%〜60重量%のフェノールノボラックポリエポキシド;45重量%〜55重量%のビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドおよび45重量%〜55重量%のフェノールノボラックポリエポキシド;または、42重量%〜53重量%のビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドおよび42重量%〜53重量%のフェノールノボラックポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく。
【0274】
ポリエポキシドは、例えば、30重量%〜80重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシド、35重量%〜75重量%、または40重量%〜70重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく。
【0275】
ポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性ポリエポキシド、またはヒドロキシル官能性ポリエポキシドの組み合わせを含むことができる。例えば、ポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドを含むことができる。
【0276】
ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、例えば、1、2、3、4、5、または6個のペンダントヒドロキシル基など、1〜10個のペンダントヒドロキシル基、1〜8個のヒドロキシル基、1〜6個のヒドロキシル基、1〜4個のペンダントヒドロキシル基、あるいは1〜2個のペンダントヒドロキシル基を含むことができる。ペンダントヒドロキシル基を有するビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドと呼ばれ得る。
【0277】
ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、400ダルトン〜1,500ダルトン、400ダルトン〜1,000ダルトンまたは400ダルトン〜600ダルトンのエポキシ当量を有することができる。
【0278】
ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性成分を含まないビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、部分的にヒドロキシル官能性であるビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、またはすべてがヒドロキシル官能性であることができるビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドを含むことができる。
【0279】
ヒドロキシルペンダント基を有するビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、式(16)の構造を有することができ、
【化5】

式中、nは1〜6の整数であり、またはnは1〜6の範囲内である。式(16)のポリエポキシドでは、nは2であってもよい。
【0280】
適切なビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドの例としては、nが1〜6の整数であるビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、またはnが非整数値、例えば0.1〜2.9、0.1〜2.5、0.1〜2.1、0.1〜1.7、0.1〜1.5、0.1〜1.3、0.1〜1.1、0.1〜0.9、0.3〜0.8、または0.5〜0.8であってもよいビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドの組み合わせが挙げられる。
【0281】
ヒドロキシルペンダント基を含むビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、例えば、2,2−ビス(p−グリシジルオキシフェニル)プロパンおよび類似の異性体の2,2−ビス(p−グリシジルオキシフェニル)プロパン縮合物を含むことができる。ヒドロキシルペンダント基を含む適切なビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、例えば、モメンティブ社およびヘキシオン社から入手可能であり、Epon(商標)1001F、Epon(商標)1002F、Epon(商標)1004F、Epon(商標)1007F、Epon(商標)1009FなどのEpon(商標)固形物エポキシ、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。そのようなビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、例えば、メチルエチルケトンなどの適切な溶媒中の70重量%〜95重量%の固体溶液として提供することができる。そのような高固形分としては、例えば、Epon(商標)1001−A−80、Epon(商標)1001−B−80、Epon(商標)1001−CX−75、Epon(商標)1001−DNT−75、Epon(商標)1001−FT−75、Epon(商標)1001−G−70、Epon(商標)1001−H−75、Epon(商標)1001−K−65、Epon(商標)1001−O−75、Epon(商標)1001−T−75、Epon(商標)1001−UY−70、Epon(商標)1001−X−75、Epon(商標)1004−O−65、Epon(商標)1007−CT−55、Epon(商標)1007−FMU−50、Epon(商標)1007−HT−55、Epon(商標)1001−DU−40、Epon(商標)1009−MX−840、または前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。適切なビスフェノールA誘導ポリエポキシド樹脂のさらなる例としては、Epon(商標)824、Epon(商標)825、Epon(商標)826、およびEpon(商標)828が含まれる。
【0282】
ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドは、例えば150〜450のエポキシ当量(EEW、gm/eq)を有することができる。
【0283】
フェノールノボラックポリエポキシドは、フェノールノボラックとエピクロロヒドリンとを反応させて得られる多官能性ポリエポキシドであり、1分子あたり2個以上のエポキシ基を含む。
フェノールノボラックポリエポキシドは、例えば150〜200のEEWを有することができる。フェノールノボラックポリエポキシドは、式(17)の構造を有することができ、
【化6】

式中、nは、例えば0.2〜1.8の平均値を有することができる(DER(商標)354、DEN(商標)431、DEN(商標)438、およびDEN(商標)439、ダウ・ケミカル社から入手可能)。
【0284】
適切なエポキシノボラックの例としては、nが1〜6、1〜4、または1〜2の整数であるか、あるいはnが非整数値、例えば、0.1〜2.9、0.1〜2.5、0.1〜2.1、0.1〜1.7、0.1〜1.5、0.1〜1.3、0.1〜1.1、0.1〜0.9、0.3〜0.8、または0.5〜0.8であってもよいノボラックポリエポキシドが挙げられる。
【0285】
ポリエポキシドは、例えば、二官能性ポリエポキシド、3〜6などの2超のエポキシ官能性を有するポリエポキシド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。多官能性ポリエポキシドは、例えば、2.1〜3.5、2.2〜3.4、2.6〜3.2、または2.7〜3.1の平均エポキシ官能性を有することができる。
【0286】
ポリエポキシドは、例えば、二官能性ポリエポキシドの組み合わせまたは二官能性ポリエポキシドの組み合わせ、多官能性ポリエポキシドまたは多官能性ポリエポキシドの組み合わせ、あるいは前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0287】
本開示により提供される組成物は、例えば、40重量%〜70重量%の二官能性ポリエポキシドおよび30重量%〜60重量%の多官能性ポリエポキシド、45重量%〜65重量%の二官能性ポリエポキシドおよび35重量%〜55重量%の多官能性ポリエポキシド、または、40重量%〜60重量%の二官能性ポリエポキシドおよび40重量%〜60重量%の多官能性ポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づき、多官能性ポリエポキシドは、2超の平均エポキシ官能性を有する。
【0288】
二官能性ポリエポキシドは、例えば、400ダルトン〜1,500ダルトン、400ダルトン〜1,000ダルトン、または400ダルトン〜600ダルトンのエポキシ当量を有することができる。
【0289】
多官能性ポリエポキシドは、例えば、140ダルトン〜500ダルトン、150ダルトン〜300ダルトン、または160ダルトン〜200ダルトンのエポキシ当量を有することができる。
【0290】
本開示により提供される組成物は、例えば、40重量%〜70重量%のヒドロキシル官能性二官能性ポリエポキシドおよび30重量%〜60重量%の多官能性ポリエポキシド、45重量%〜65重量%のヒドロキシル官能性二官能性ポリエポキシドおよび35重量%〜55重量%の多官能性ポリエポキシド、または、40重量%〜60重量%のヒドロキシル官能性二官能性ポリエポキシドおよび40重量%〜50重量%の多官能性ポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく。
【0291】
本開示により提供される組成物での使用に適したポリエポキシドは、例えば、2.6〜3.2の平均エポキシ官能性を有する30重量%〜60重量%のポリエポキシド、2.6〜3.2の平均エポキシ官能性を有する35重量%〜58重量%、44重量%〜56重量%、46重量%〜54重量%、または48重量%〜52重量%のポリエポキシド、および30重量%〜60重量%の二官能性ポリエポキシド、42重量%〜58重量%、44重量%〜56重量%、46重量%〜54重量%、または44重量%〜52重量%二官能性ポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく。
【0292】
二官能性ポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含むことができる。
【0293】
本開示により提供される組成物に使用するのに適したポリエポキシドは、例えば、30重量%〜80重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシド、35重量%〜75重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシド、または40重量%〜70重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含むことができ、重量%は、ポリエポキシドの総重量に基づく。
【0294】
本開示により提供される組成物は、ポリエポキシドの組み合わせを含むことができる。ポリエポキシドの組み合わせは、異なる官能性または異なる平均官能性を有する異なるポリエポキシドを有するポリエポキシドを含むことができる。例えば、ポリエポキシドの組み合わせは、2.7〜2.9の平均エポキシ官能性を有するポリエポキシドおよび2のエポキシ官能性を有するポリエポキシドを含むことができる。より高い平均官能性を有するポリエポキシドは、硬化ポリマーネットワークの架橋密度を増加させることができ、これにより、引張強度の増大をもたらすことができるが、硬化シーリング剤の伸び率も減少させることができる。約2などの低エポキシ官能性を有するポリエポキシドは、より柔軟な硬化組成物をもたらすことができる。低密度組成物は充填剤の含有量が多く、硬化シーリング剤の引張強度を高める傾向があるため、2.1〜2.5または2.1〜2.3などの2.1〜3の平均エポキシ官能性を有するポリエポキシド、またはポリエポキシドの組み合わせを使用することが望ましい場合がある。
【0295】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、例えば、4重量%〜20重量%、4重量%〜20重量%、4重量%〜18重量%、6重量%〜16重量%、6重量%〜14重量%のポリエポキシド、またはポリエポキシドの組み合わせを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0296】
本開示により提供される組成物は、例えば、35重量%〜80重量%の二官能性ヒドロキシル含有ポリエポキシド、20重量%〜60重量%の多官能性ポリエポキシド、および1重量%〜7重量%のウレタン変性ポリエポキシドを含むことができる。本開示により提供される組成物は、例えば、40重量%〜75重量%の二官能性ヒドロキシル含有ポリエポキシド、20重量%〜60重量%の多官能性ポリエポキシド、および2重量%〜6重量%のウレタン変性ポリエポキシドを含むことができる。
【0297】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、接着促進剤、または接着促進剤の組み合わせを含むことができる。有機充填剤、無機充填剤、ならびにチタン複合材表面、ステンレス鋼表面、組成物、アルミニウム、およびその他のコーティングおよび非コーティング航空宇宙用表面などの表面へのポリマーマトリックスの接着性を高めるために、接着促進剤を組成物に含めることができる。
【0298】
接着促進剤は、フェノール系接着促進剤、フェノール系接着促進剤の組み合わせ、有機官能性シラン、有機官能性シランの組み合わせ、加水分解シラン、加水分解シランの組み合わせ、または前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。有機官能性シランは、アミン官能性シランであってもよい。
【0299】
本開示により提供される組成物は、有機官能性シラン、フェノール系接着促進剤、および加水分解有機官能性シランを含むことができる。適切な接着促進剤の例としては、Methylon(登録商標)フェノール樹脂などのフェノール樹脂、Silquest(登録商標)有機官能性シランなどのエポキシ、メルカプトまたはアミン官能性シランなどの有機官能性シラン、および加水分解シランが挙げられる。
【0300】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、フェノール系接着促進剤、有機官能性シラン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。フェノール系接着促進剤は、加熱フェノール樹脂、未加熱フェノール樹脂、またはそれらの組み合わせを含むことができる。フェノール系接着促進剤は、フェノール樹脂と1つまたは複数のチオール末端ポリスルフィドとの縮合反応の反応生成物を含むことができる。フェノール系接着促進剤は、チオール末端化することができる。
【0301】
適切な加熱フェノール樹脂の例としては、PPGエアロスペースから入手可能なT−3920およびT−3921が挙げられる。
【0302】
フェノール樹脂の提供に使用できる適切なフェノール樹脂の例としては、2−(ヒドロキシメチル)フェノール、(4−ヒドロキシ−1,3−フェニレン)ジメタノール、(2−ヒドロキシベンゼン−1,3,4−トリイル)トリメタノール、2−ベンジル−6−(ヒドロキシメチル)フェノール、(4−ヒドロキシ−5−((2−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−2,4−ジエン−1−イル)メチル)−1,3−フェニレン)ジメタノール、(4−ヒドロキシ−5−((2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−2,4−ジエン−1−イル)メチル)−1,3−フェニレン)ジメタノール、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0303】
適切なフェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの塩基触媒反応によって合成することができる。
【0304】
フェノール系接着促進剤は、Methylon(登録商標)樹脂、Varcum(登録商標)樹脂、またはDurez Corporationから入手可能なDurez(登録商標)樹脂と、Thioplast(登録商標)樹脂またはThiokol(登録商標)樹脂などのチオール末端ポリスルフィドとの縮合反応の反応生成物を含むことができる。
【0305】
Methylon(登録商標)樹脂の例としては、Methylon(登録商標)75108(メチロールフェノールのアリルエーテル、米国特許第3,517,082号を参照)およびMethylon(登録商標)75202が挙げられる。
【0306】
Varcum(登録商標)樹脂の例としては、Varcum(登録商標)29101、Varcum(登録商標)29108、Varcum(登録商標)29112、Varcum(登録商標)29116、Varcum(登録商標)29008、Varcum(登録商標)29202、Varcum(登録商標)29401、Varcum(登録商標)29159、Varcum(登録商標)29181、Varcum(登録商標)92600、Varcum(登録商標)94635、Varcum(登録商標)94879、およびVarcum(登録商標)94917が挙げられる。
【0307】
Durez(登録商標)樹脂の例は、Durez(登録商標)34071である。ベークライトフェノール樹脂はHexion社から入手可能である。
【0308】
本開示により提供される組成物は、有機官能性シランなどの有機官能性接着促進剤を含むことができる。有機官能性シランは、ケイ素原子に結合した加水分解性基および少なくとも1個の有機官能基を含むことができる。有機官能性シランは、構造R−(CH−Si(−OR)3−nを有することができ、式中、Rは有機官能基を含み、nは0、1、または2であり、Rはメチルまたはエチルなどのアルキルである。適切な有機官能基の例としては、エポキシ、アミノ、メタクリロキシ、またはスルフィド基が挙げられる。有機官能性シランは、2個以上のシラン基を有するダイポーダル有機官能性シランであってもよい。有機官能性シランは、モノシランおよびダイポーダルシランの組み合わせであってもよい。
【0309】
アミン官能性シランは、一級アミン官能性シラン、二級アミン官能性シラン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一級アミン官能性シランとは、一級アミノ基を有するシランを指す。二級アミン官能性シランとは、二級アミン基を有するシランを指す。
【0310】
二級アミン官能性シランは、立体障害アミン官能性シランであってもよい。立体障害アミン官能性シランでは、二級アミンは、立体障害のない二級アミンの自由度と比較して、二級アミンの自由度を制限または限定する大きな基または部分に近接することができる。例えば、立体障害二級アミンでは、二級アミンは、フェニル基、シクロヘキシル基、または分岐状アルキル基に近接することができる。
【0311】
アミン官能性シランは、例えば、100ダルトン〜1000ダルトン、100ダルトン〜800ダルトン、100ダルトン〜600ダルトン、または200ダルトン〜500ダルトンの分子量を有する単量体アミン官能性シランであってもよい。
【0312】
適切な第一級アミン官能性シランの例としては、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(2−ピリジルエチルトリメトキシシラン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−アミノプロピルシラントリオール、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)プロパン、3−アミノプロピルジイソプロピレンエトキシシラン、および3−アミノプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
【0313】
適切なジアミン官能性シランの例としては、アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0314】
適切な二級アミン官能性シランの例としては、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、tert−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(N,N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−(n−エチルアミノ)イソブチル)メチルジエトキシシラン、(3−(N−エチルアミノ)イソブチル)トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、およびN−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0315】
適切なアミン官能性シランは、例えば、ゲレスト社およびダウコーニング社から市販されている。
【0316】
適切なアミノ官能性シランの例としては、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社から入手可能なSilquest(登録商標)A−187、Silquest(登録商標)A−1100、およびSilquest(登録商標)A−1110が挙げられる。
【0317】
適切な接着促進剤にはまた、米国特許第8,513,339号8,952,124号;および9,056,949号;ならびに米国出願公開第2014/0051789号に開示されているような硫黄含有接着促進剤が含まれ、その各々は、参照によりその全体が組み込まれている。
【0318】
適切なフェノール系接着促進剤の例としては、PPG Aerospace社から入手可能なT−3920およびT−3921が挙げられる。
【0319】
適切な加水分解シランの例としては、PPG Aerospace社から入手可能なT−1601が挙げられる。
【0320】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、0.5重量%〜4重量%、0.5重量%〜3.5重量%、0.8重量%〜3.2重量%、1.0重量%〜4.0重量%、1.0重量%〜3.0重量%、1.5重量%〜3.0重量%、または1.7重量%〜2.8重量%の接着促進剤、または接着促進剤の組み合わせを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。例えば、接着促進剤は、加熱フェノール類、アミノ官能性シラン、および加水分解シランの組み合わせを含むことができる。
【0321】
本開示により提供される組成物は、フェノール系接着促進剤、またはフェノール系接着促進剤の組み合わせを含む接着促進剤、およびアミン官能性シラン、またはアミン官能性シランの組み合わせを含むことができる。
【0322】
接着促進剤は、例えば、70重量%〜95重量%のフェノール系接着促進剤、および5重量%〜25重量%のアミン官能性シランを含むことができ、重量%は、組成物中の接着促進剤の総重量に基づく。
【0323】
接着促進剤は、例えば、75重量%〜92重量%のフェノール系接着促進剤、および8重量%〜20重量%の有機官能性シランを含むことができ、重量%は、組成物中の接着促進剤の総重量に基づく。
【0324】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、チオールエポキシ反応用の1つまたは複数の触媒を含むことができる。1つまたは複数の追加の触媒は、アミン触媒、またはアミン触媒の組み合わせを含むことができる。
【0325】
本開示の組成物で使用するのに適したアミン触媒は、チオール基とエポキシ基との間の反応を触媒することができる。アミン触媒は、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAE)、N−エチルモルホリン、N’,N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン(PMDETA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N−ジメチルベンジルアミン(DMBA)、N,N−ジメチルメチルアミン、N,N,N’N’’,N’’−ペンタメチル−ジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、トリエチルアミン、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)およびシグマアルドリッチ社から入手可能な加速剤組成物DMP−30(登録商標)に含まれる2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N,N’トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル、N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、または前述のいずれかの組み合わせなどのアミン触媒を含むことができる。
【0326】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、0.1重量%〜1重量%、0.2重量%〜0.9重量%、0.3重量%〜0.7重量%、または0.4重量%〜0.6重量%のアミン触媒、またはアミン触媒の組み合わせを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0327】
本開示により提供される組成物は、可塑剤、または可塑剤の組み合わせを含むことができる。
【0328】
適切な可塑剤の例としては、エクソンモービル社から入手可能なJayflex(商標)DINP、Jayflex(商標)DIDP、Jayflex(商標)DIUP、およびJayflex(商標)DTDPが挙げられる。Fairad(登録商標)可塑剤はPPG Aerospace社から入手可能である。可塑剤は、室温(23℃)の粘度が120ポアズ〜250ポアズのα−メチルスチレンホモポリマーであってもよい。α−メチルスチレン可塑剤は、PPG Aerospace社から入手可能である。適切な可塑剤の他の例としては、水素化テルフェニル、テルフェニル、および部分水素化クォーターフェニルの組み合わせ、ならびにイーストマンケミカル社から入手可能なHB−40などの高級ポリフェニルが挙げられる。
【0329】
本開示により提供される組成物は、0重量%〜4重量%、0.01重量%〜3.5重量%の可塑剤、0.05重量%〜3重量%、0.1重量%〜2.5重量%または1重量%〜3重量%の可塑剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。特定の組成物には、可塑剤が含まれない。そのような組成物は、例えば、Epon(登録商標)1001−B−80などの低粘度ヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含んでもよい。
【0330】
本開示により提供される特定の組成物には、可塑剤が含まれない。
【0331】
本開示により提供される組成物は、航空宇宙用シーリング剤での使用に適した1つまたは複数の追加の成分を含んでもよく、選択は、使用条件下での硬化シーリング剤の所望の性能特性に少なくとも部分的に依存し得る。本開示により提供されるシーリング剤などの組成物は、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、溶媒、または前述のいずれかの組み合わせなどの1つまたは複数の添加剤をさらに含んでもよい。
【0332】
チオール末端ポリチオエーテル、有機充填剤、無機充填剤、ポリエポキシド接着促進剤、可塑剤、および触媒以外に、本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、追加の材料を含まなくてもよく、または追加の材料は、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の量で存在し、重量%は、組成物またはシーリング剤の総重量に基づく。
【0333】
本開示により提供される組成物は、シーリング剤として配合されてもよい。配合とは、硬化ポリマーネットワークを形成する反応種に加えて、追加の材料を組成物に添加して、未硬化シーリング剤および/または硬化シーリング剤に所望の特性を付与することができることを意味する。未硬化シーリング剤の場合、これらの特性には、粘度、pH、および/またはレオロジーを含むことができる。硬化シーリング剤の場合、これらの特性には、重量、接着性、耐食性、色、ガラス転移温度、導電率、凝集力、および/または引張強度、伸び、硬度などの物理的特性を含むことができる。本開示により提供される組成物は、航空宇宙用シーリング剤での使用に適した1つまたは複数の追加成分を含んでもよく、使用条件下での硬化シーリング剤の所望の性能特性に少なくとも部分的に依存し得る。
【0334】
本開示により提供される組成物は、例えば、35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、10重量%〜35重量%の有機充填剤、5重量%〜25重量%の無機充填剤、および3重量%〜20重量%のポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。組成物はまた、0.5重量%〜4重量%の接着促進剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0335】
本開示により提供される組成物は、例えば、35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、15重量%〜35重量%の有機充填剤、10重量%〜30重量%の無機充填剤、および3重量%〜16重量%のポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。組成物はまた、0.5重量%〜4重量%の接着促進剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0336】
本開示により提供される組成物は、例えば、45重量%〜55重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、15重量%〜30重量%の有機充填剤、10重量%〜25重量%の無機充填剤、および5重量%〜14重量%のポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。組成物はまた、1.0重量%〜3.0重量%の接着促進剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0337】
本開示により提供される組成物は、例えば、40重量%〜60重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、10重量%〜30重量%の有機充填剤、5重量%〜25重量%の無機充填剤、および5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。組成物はまた、1重量%〜4重量%の接着促進剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0338】
本開示により提供される組成物は、例えば、45重量%〜60重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、10重量%〜30重量%の有機充填剤、5重量%〜25重量%の無機充填剤、1重量%〜4重量%の接着促進剤、4重量%〜15重量%のポリエポキシド、および0重量%〜4重量%の可塑剤を含むことができ、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0339】
本開示により提供される組成物および硬化性シーリング剤は、1.0g/cm以下、1.2g/cm以下、1.4g/cm以下、または1.65g/cm以下の密度を有することができ、密度は、ISO2781に従って決定される。
【0340】
本開示により提供される未硬化シーリング剤は、使用時に別々に調製および貯蔵され、組み合わされ、および混合することができる第1の部分および第2の部分を含む二部分システムとして提供することができる。
【0341】
本開示の硬化性シーリング剤系は、二部分シーリング剤組成物として提供することができる。二部分は別々に管理でき、使用前に組み合わせることができる。第1の部分は、例えば、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、有機充填剤、無機充填剤、接着促進剤、触媒、および他の任意の添加剤を含むことができる。第2の部分は、例えば、ポリエポキシド硬化剤、無機充填剤、接着促進剤、可塑剤、および他の任意の添加剤を含むことができる。任意の添加剤は、可塑剤、顔料、溶媒、反応性希釈剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、難燃剤、および前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0342】
シーリング剤などの組成物は、第1の部分が1つまたは複数のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み、第2の部分が1つまたは複数のポリエポキシド硬化剤を含む、二部分組成物などの複数部分組成物として提供されてもよい。要望に応じて、または必要に応じて、添加剤および/または他の材料を、いずれかの部分に添加することができる。二部分は、使用前に組み合わせて混合することができる。
【0343】
第1の部分および第2の部分は、ベースおよび促進剤成分の成分が混ざり合って均一に分散し、基材へ適用するためのシーリング剤またはコーティング組成物を提供できるように組み合わされた場合に、適合性になるように配合することができる。第1の部分および第2の部分の適合性に影響する要因としては、例えば、粘度、pH、密度、および温度が挙げられる。
【0344】
第1の部分は、例えば、40重量%〜80重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、50重量%〜70重量%、または55重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマーを含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0345】
第1の部分は、10重量%〜40重量%の有機充填剤、15重量%〜35重量%、20重量%〜30重量%、または22重量%〜28重量%の有機充填剤を含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0346】
第1の部分は、5重量%〜20重量%の無機充填剤、7重量%〜18重量%、または9重量%〜16重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0347】
第1の部分は、例えば、40重量%〜80重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、10重量%〜40重量%の有機充填剤、および5重量%〜20重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0348】
第1の部分は、例えば、50重量%〜70重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、15重量%〜35重量%の有機充填剤、および7重量%〜18重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0349】
第1の部分は、例えば、55重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、20重量%〜30重量%の有機充填剤、および9重量%〜16重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第1の部分の総重量に基づく。
【0350】
第2の部分は、例えば、30重量%〜80重量%のポリエポキシド、35重量%〜80重量%、または40重量%〜80重量%を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0351】
第2の部分は、5重量%〜50重量%の無機充填剤、10重量%〜50重量%、または10重量%〜45重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0352】
第2の部分は、例えば、1重量%〜20重量%の可塑剤、5重量%〜15重量%、または7重量%〜13重量%の可塑剤を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0353】
第2の部分は、例えば、30重量%〜80重量%のポリエポキシド、および5重量%〜50重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0354】
第2の部分は、例えば、35重量%〜80重量%のポリエポキシド、および10重量%〜50重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0355】
第2の部分は、例えば、40重量%〜80重量%のポリエポキシド、および15重量%〜45重量%の無機充填剤を含むことができ、重量%は、第2の部分の総重量に基づく。
【0356】
第1の部分および第2の部分は、例えば、100:10〜100:25の範囲内、100:12〜100:23の範囲内、または100:14〜100:21の範囲内の重量%比で組み合わせることができる。
【0357】
本開示により提供される組成物は、例えば、シーリング剤、コーティング、封入剤、およびポッティング組成物で使用することができる。シーリング剤は、水分および温度などの動作条件に耐え、水、燃料、その他の液体およびガスなどの材料の透過を少なくとも部分的にブロックする能力を有するフィルムを生成することができる組成物を含む。コーティングは、例えば、外観、接着性、湿潤、耐食性、耐損耗性、耐燃料油性、および/または耐摩耗性などの基材の特性を改善するために、基材の表面に適用されるカバーを含むことができる。シーリング剤を使用して、表面、滑らかな表面、充填間隙、密封接合部、密封開口部、および他の特徴を密封するために使用することができる。ポッティング組成物は、衝撃および振動に対する耐性を提供し、水分および腐食剤を排除するために、電子アセンブリにおいて有用な材料を含むことができる。本開示により提供されるシーリング剤組成物は、例えば、Skydrol(登録商標)などのリン酸エステル油圧作動油と接触する可能性がある航空宇宙機の部品を密封するのに有用である。
【0358】
本開示により提供される組成物およびシーリング剤は、航空宇宙用コーティングおよびシーリング剤に有用な任意の適切な硬化化学物質と共に使用することができる。本開示により提供される組成物は、ポリエポキシドで硬化したチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む。これらの組成物は、高含有量のSkydrol(登録商標)耐性および耐燃料油性有機充填剤を無機充填剤と組み合わせて含む。Skydrol(登録商標)および耐燃料油性有機充填剤を航空宇宙用コーティングまたはシーリング剤に組み込むと、硬化化学物質に関係なく、硬化コーティングまたはシーリング剤に対する改良されたSkydrol(登録商標)耐性および耐燃料性が向上することが期待される。例えば、Skydrol(登録商標)耐性および耐燃料油性有機充填剤は、Mn硬化ポリスルフィド、マイケルアクセプター硬化チオール末端硫黄含有プレポリマー、および水分硬化性硫黄含有プレポリマーで使用することができる。硫黄含有プレポリマーは、例えば、アミン基、ヒドロキシル基、イソシアナート基、またはポリアルコキシシリル基などの他の反応基を含むように末端修飾することができる。これらの末端修飾硫黄含有プレポリマーは、Skydrol(登録商標)耐性および耐燃料性有機充填剤と組み合わせて、ポリ尿素、ポリウレタン、または水分硬化性化学物質と共に、Skydrol(登録商標)耐性および耐燃料油性コーティングおよびシーリング剤を提供することができる。
【0359】
本開示により提供される硬化性組成物は、航空宇宙用シーリング剤またはコーティングとして、特に、油圧作動油に対する耐性が望まれるシーリング剤またはコーティングとして使用することができる。シーリング剤とは、硬化すると水分および温度などの大気条件に耐え、水、水蒸気、燃料、溶媒、および/または液体およびガスなどの材料の透過を少なくとも部分的にブロックする能力を有する硬化性組成物を指す。
【0360】
本開示により提供される組成物は、任意の適切なコーティングプロセスにより、基材の表面上に直接適用することができ、またはプライマーなどの下層を介して適用することができる。本開示により提供されるシーリング剤を含む組成物は、様々な基材のいずれかに適用されてもよい。組成物を適用できる基材の例としては、陽極酸化、下塗り、有機コーティング、またはクロマートコーティングすることができるチタン、ステンレス鋼、鋼合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属;エポキシ;ウレタン;黒鉛;繊維ガラス合成材;ケブラー(登録商標);アクリル;およびポリカルボナートが挙げられる。本開示により提供される組成物は、アルミニウムおよびアルミニウム合金などの基材に適用することができる。
【0361】
さらに、本開示により提供される組成物を利用して開口部を密封する方法が提供される。これらの方法は、例えば、硬化性組成物を部品の少なくとも1つの表面に適用し、適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することとを含む。
【0362】
本開示により提供されるシーリング剤組成物は、クラスA、クラスB、またはクラスCシーリング剤として配合されてもよい。クラスAシーリング剤とは、1ポアズ〜500ポアズの粘度を有するブラシ加工可能なシーリング剤を指し、ブラシ適用のために設計されている。クラスBシーリング剤とは、4,500ポアズ〜20,000ポアズの粘度を有する押し出し可能なシーリング剤を指し、空気圧銃を用いた押し出しによる適用のために設計されている。クラスBシーリング剤を使用して、低いスランプ/スラグが必要な垂直面またはエッジに、フィレットおよびシーリングを形成することができる。クラスCシーリング剤は、500ポアズ〜4,500ポアズの粘度を有し、ローラーまたは櫛歯スプレッダーによる適用のために設計されている。クラスCシーリング剤は、接合表面シーリングに使用することができる。粘度は、SAEインターナショナルグループが発行するSAE Aerospace Standard AS5127/1Cのセクション5.3に従って測定することができる。
【0363】
さらに、本開示により提供される組成物を利用して開口部を密封する方法が提供される。これらの方法は、例えば、本開示の硬化性組成物を提供し、硬化性組成物を部品の少なくとも1つの表面に適用し、適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することとを含む。
【0364】
本開示により提供される組成物は、周囲条件下で硬化させることができ、周囲条件とは、20℃〜25℃の温度および大気湿度を指す。組成物は、0℃〜100℃の温度および0%相対湿度〜100%相対湿度を含む条件下で硬化させることができる。組成物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、または少なくとも50℃などのより高い温度で硬化させることができる。組成物は、室温、例えば25℃で硬化させることができる。本方法は、航空機および航空宇宙機を含む航空宇宙機の開口部を密封するために使用することができる。
【0365】
本開示により提供される組成物で密封された、航空宇宙機の開口部、表面、フィレット、接続箇所、接合面を含む開口部、表面、接続箇所、フィレット、接合面も開示される。組成物およびシーリング剤は、留め具を固定するためにも使用することができる。
【0366】
本開示の硬化性組成物を使用して実行可能なシールを形成する時間は、当業者が認識することができ、適用可能な規格および仕様の要件によって定義される、いくつかの要因に依存し得る。一般に、本開示の硬化性組成物は、混合および表面への塗布後約3日〜ら約7日以内に接着強度を発現する。一般に、本開示の硬化組成物の完全な接着強度および他の特性は、硬化性組成物の混合および表面への塗布後7日以内に完全に発現するようになる。
【0367】
硬化組成物は、例えば、10ミル〜20ミル(254μm〜508μm)などの5ミル〜25ミル(127μm〜635μm)の厚さを有することができる。
【0368】
環境暴露の前に、本開示により提供される硬化シーリング剤は、ISO2781に従って測定される1.2g/cm未満の密度(1.2未満の比重)、ISO37に従って測定される1MPa超の引張強度、ISO37に従って測定される150%超の引張伸び、およびISO868に従って測定される40ショアA超の硬度を示し、試験は、21℃〜25℃の範囲内の温度、および45%RH〜55%RHの湿度で行われる。
【0369】
ISO1817による航空燃料(JRF Type 1)に60℃で168時間暴露した後、本開示で提供される硬化シーリング剤は、ISO37に従って測定される1.4 MPa超の引張強度、ISO37に従って測定される150%超の引張伸び、およびISO868に従って測定される30ショアA超の硬度を示し、試験は、21℃〜25℃の範囲内の温度、および45%RH〜55%RHの湿度で行われる。
【0370】
3%NaCl水溶液に60℃で168時間暴露した後、本開示で提供される硬化シーリング剤は、ISO37に従って測定される1.4 MPa超の引張強度、ISO37に従って測定される150%超の引張伸び、およびISO868に従って測定される30ショアA超の硬度を示し、試験は、21℃〜25℃の範囲内の温度、および45%RH〜55%RHの湿度で行われる。
【0371】
ISO11075 Type1による融氷液に60℃で168時間暴露した後、本開示で提供される硬化シーリング剤は、ISO37に従って測定される1MPa超の引張強度、およびISO37に従って測定される150%超の引張伸びを示し、試験は、21℃〜25℃の範囲内の温度、および45%RH〜55%RHの湿度で行われる。
【0372】
リン酸エステル油圧作動油(Skydrol(登録商標)LD−4)に70℃で1,000時間暴露した後、本開示で提供される硬化シーリング剤は、ISO37に従って測定される1MPa超の引張強度、ISO37に従って測定される150%超の引張伸び、およびISO868に従って測定される30ショアA超の硬度を示し、試験は、21℃〜25℃の範囲内の温度、および45%RH〜55%RHの湿度で行われる。
【0373】
発明の態様
態様1.(a)35重量%〜65重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、(b)10重量%〜35重量%の有機充填剤、(c)5重量%〜30重量%の無機充填剤、および(d)5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、組成物。
【0374】
態様2.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、チオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含む、態様1の組成物。
【0375】
態様3.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(1)の構造を有する少なくとも1つの部分を含むチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み、
−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R− (1)
式中、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−10アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CHR−X−](CHR−基から選択され、各Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C2−10 n−アルカンジイル基、C3−6分岐状アルカンジイル基、C6−8シクロアルカンジイル基、C6−14アルカンシクロアルカンジイル基、二価複素環基、および−[(CH−X−](CH−基から選択され、
各Xは独立して、O、S、またはNRから選択され、Rは、水素およびメチルから選択され、
mは、0〜50の範囲であり、
nは、1〜60の範囲の整数であり、
pは、2〜6の範囲の整数であり、
qは、1〜5の範囲の整数であり、および
rは、2〜10の範囲の整数である、態様1から2のいずれか1つの組成物。
【0376】
態様4.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(1a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1c)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含み、
HS−R−[S−(CH−O−(R−O)(CH−S−R−]SH (1a)
{HS−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1b)
{R−S−R−[S−(CH−O−(R−O−)(CH−S−R−]S−V’−}B (1c)
式中、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、
式中、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各Rは独立して、水素およびメチルから選択され、および
各Xは独立して、−O−、−S−、および−NR−から選択され、
Rは、水素およびメチルから選択され、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(CHR−X−](CHR−から選択され、p、q、r、R、およびXは、Rと同様に定義され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオールと反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、
各Rは独立して、水素、および式(1)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される、態様1から3のいずれか1つの組成物。
【0377】
態様5.各Rは、−[(CH−O−](CH−であり、
各Rは、C1−6アルカンジイルであり、
mは、0〜3の整数であり、
各pは、2であり、
qは、1または2であり、および
rは、2であり、およびzは、3である、態様3から4のいずれか1つの組成物。
【0378】
態様6.各Rは、−[(CH−O−](CH−であり、
各Rは、C1−6アルカンジイルであり、
mは、1〜3の整数であり、
各pは、2であり、
qは、1または2であり、
rは、2であり、および
zは、3である、態様3から4のいずれか1つの組成物。
【0379】
態様7.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(4)の部分を含むチオール末端硫黄含有ポリホルマールを含むことができ、
−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]− (4)
式中、
nは、1〜50の整数であり、
各pは独立して、1および2から選択され、
各Rは、C2−6アルカンジイルであってもよく、および
各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリール、および置換C6−12アリールから選択することができる、態様1から6のいずれか1つの組成物。
【0380】
態様8.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(4b)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、式(4a)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、
−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]−R (4a)
{R−R−(S)−R−[O−C(R−O−R−(S)−R−]−O−C(R−O−}Z (4b)
式中、
nは、1〜50から選択される整数であり、
各pは独立して、1および2から選択され、
各RはC2−6アルカンジイルから選択され、
各Rは独立して、水素、C1−6アルキル、C7−12フェニルアルキル、置換C7−12フェニルアルキル、C6−12シクロアルキルアルキル、置換C6−12シクロアルキルアルキル、C3−12シクロアルキル、置換C3−12シクロアルキル、C6−12アリール、および置換C6−12アリールから選択され、および
各Rは、チオール末端基を含み、および
Zは、m価の親ポリオールZ(OH)のコアに由来する、態様1から7のいずれか1つの組成物。
【0381】
態様9.各Rが、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、および式(f)の基から選択され、
HS−R−R−O− (a)
HS−R−O− (b)
HS−R−NH−C(=O)−O− (c)
HS−R−C(=O)−O−R−NH−C(=O)−O− (d)
HS−R−C(=O)−NH−R−NH−C(=O)−O− (e)
HS−R−C(=O)−O− (f)
式中、
各Rは、ジイソシアナートに由来する部分またはエチレン性不飽和モノイソシアナートに由来する部分を含み、
各Rは、C2−14アルカンジイルおよびC2−14ヘテロアルカンジイルから選択され、および
各Rは、C2−6アルカンジイル、C2−6ヘテロアルカンジイル、C6−12アレーンジイル、置換C6−12アレーンジイル、C6−12ヘテロアレーンジイル、置換C6−12ヘテロアレーンジイル、C3−12シクロアルカンジイル、置換C3−12シクロアルカンジイル、C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3−12ヘテロシクロアルカンジイル、C7−18アルカンアレーンジイル、置換C7−18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4−18アルカンシクロアルカンジイル、および置換C4−18アルカンシクロアルカンジイルから選択される、態様8の組成物。
【0382】
態様10.硫黄含有プレポリマーが、式(8)の部分を含むチオール末端モノスルフィドプレポリマーを含み、
−S−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S− (8)
式中、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C2−10分岐状アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Rは独立して、水素、C1−10 n−アルカンジイル、C2−10分岐状アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Rは独立して、水素、C1−10 n−アルカンジイル、C2−10分岐状アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Xは独立して、OおよびSから選択され、
pは、1〜5の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、および
nは、1〜60の整数である、態様1から9のいずれか1つの組成物。
【0383】
態様11.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(8a)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(8b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(8c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含み、
HS−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−SH (8a)
{HS−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S−V’−}B (8b)
{R−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S−V’−}B (8c)
式中、
各Xは独立して、S、O、およびNRから選択され、Rは、C1−4アルキルから選択され、
pは、1〜5の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Rは独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C1−4アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、および式(8)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される、態様1から10のいずれか1つの組成物。
【0384】
態様12.硫黄含有プレポリマーが、式(9)の部分を含むチオール末端モノスルフィドプレポリマーを含み、
−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S− (9)
式中、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイル、C3−10分岐状アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Rは独立して、水素、C1−10 n−アルカンジイル、C3−10分岐状アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル基;C6−14アルキルシクロアルカンジイル、およびC8−10アルキルアレーンジイルから選択され、
各Xは独立して、OおよびSから選択され、
pは、1〜5の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、および
nは、1〜60の整数である、態様1から11のいずれか1つの組成物。
【0385】
態様13.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(9a)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(9b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(9c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のいずれかの組み合わせを含み、
H−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−SH (9a)
{H−[−S−(R−X)−C(R−(X−R)−]−S−V’−}B (9b)
{R−S−R−[−S−(R−X)−(R−X)−R−]−S−V’−}B (9c)
式中、
各Xは独立して、SおよびOから選択され、
pは、1〜5の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
各Rは独立して、C2−10アルカンジイから選択され、
各Rは独立して、水素およびC1−10アルカンジイルから選択され、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し、および
各Rは独立して、水素、および式(9)の部分を介した多官能化剤B(−V)への結合から選択される、態様1から12のいずれか1つの組成物。
【0386】
態様14.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(10)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、式(11)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、
SH−(−R−S−S−)−R−SH (10)
【数2】

式中、各Rは、−(CH−O−CH−O−(CH−であり、n=a+b+cであり、nは、7〜38である、態様1から13のいずれか1つの組成物。
【0387】
態様15.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(12)のチオール末端ポリスルフィドを含み、
HS−[(CH−O−CH−(CH−S−S−]−(CH−O−(CH−SH (12)
式中、nは、チオール末端ポリスルフィドの数平均分子量が1,000ダルトン〜7,500ダルトンの範囲内となるように選択される、態様1から14のいずれか1つの組成物。
【0388】
態様16.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(13)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含み、
HS−R−(S−R)−SH (13)
式中、
tは、1〜60の整数であり、
qは、1〜8の整数であり、
pは、1〜10の整数であり、
rは、1〜10の整数であり、
yは、1.0〜1.5の範囲内の平均値を有し、
各Rは独立して、分岐状アルカンジイル、分岐状アレーンジイル、および構造−(CH−O−(CH−O−(CH−を有する部分から選択することができ、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)のコアを表し、
zは3〜6の整数であり、および
各Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分であり、および
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来する、態様1から15のいずれか1つの組成物。
【0389】
態様17.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、式(14)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含み、
HS−(R−O−CH−O−R−S−)n−1−R−O−CH−O−R−SH (14)
式中、Rは、C2−4アルカンジイルであり、mは、1〜8の整数であり、およびnは、2〜370の整数である、態様1から15のいずれか1つの組成物。
【0390】
態様18.有機充填剤が、Skydrol(登録商標)LD−4に50℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1vol%未満の膨潤を示し、またはSkydrol(登録商標)LD−4に70℃未満の温度で1,000時間浸漬した後、1.2vol%未満の膨潤を示す有機充填剤を含み、膨潤率がEN ISO10563に従って決定される、態様1から17のいずれか1つの組成物。
【0391】
態様19.有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、コーティングマイクロカプセル、または前述のいずれかの組み合わせを含む、態様1から20のいずれか1つの組成物。
【0392】
態様20.ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド12、またはそれらの組み合わせを含む、態様19の組成物。
【0393】
態様21.コーティングマイクロカプセルが、コーティングされ膨張した熱可塑性マイクロカプセルを含む、態様19から20のいずれか1つの組成物。
【0394】
態様22.コーティングマイクロカプセルが、アミノプラスト樹脂のコーティングを含む、態様19から21のいずれか1つの組成物。
【0395】
態様23.アミノプラスト樹脂が、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒドまたは前述のいずれかの組み合わせを含む、態様19から22のいずれか1つの組成物。
【0396】
態様24.有機充填剤が、メラミン樹脂でコーティングされ、膨張した熱可塑性マイクロカプセルを含む、態様1から23のいずれか1つの組成物。
【0397】
態様25.有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、または前述のいずれかの組み合わせ、およびメラミン樹脂でコーティングされ、膨張した熱可塑性マイクロカプセルを含む、態様1から23のいずれか1つの組成物。
【0398】
態様26.有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、または前述のいずれかの組み合わせを含む、態様1から23のいずれか1つの組成物。
【0399】
態様27.有機充填剤が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、または前述のいずれかの組み合わせを含む、態様1から26のいずれか1つの組成物。
【0400】
態様28.無機充填剤が、沈降炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、またはそれらの組み合わせを含む、態様1から27のいずれか1つの組成物。
【0401】
態様29.ポリエポキシドが、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、フェノールノボラックポリエポキシド、またはそれらの組み合わせを含む、態様1から28のいずれか1つの組成物。
【0402】
態様30.ポリエポキシドが、40重量%〜60重量%のヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド、および40重量%〜60重量%のフェノールノボラックポリエポキシドを含み、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく、態様1から29のいずれか1つの組成物。
【0403】
態様31.ポリエポキシドが、30重量%〜80重量%のヒドロキシル官能性ポリエポキシドを含み、重量%は、組成物中のポリエポキシドの総重量に基づく、態様1から30のいずれか1つの組成物。
【0404】
態様32.組成物が、0.5重量%〜4重量%の接着促進剤を含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、接着促進剤を含む態様1から31のいずれか1つの組成物。
【0405】
態様33.接着促進剤が、有機官能性シラン、フェノール樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、接着促進剤を含む態様1から32のいずれか1つの組成物。
【0406】
態様34.接着促進剤が、アミノ官能性シランを含む、接着促進剤を含む態様1から33のいずれか1つの組成物。
【0407】
態様35.組成物が、0.9〜1.15の範囲内の比重を含み、比重は、ISO2781に従って決定される、態様1から34のいずれか1つの組成物。
【0408】
態様36.チオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み、有機充填剤は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、または前述のいずれかの組み合わせを含み、無機充填剤は、沈降炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカを含み、およびポリエポキシドは、ヒドロキシル官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシドおよびフェノールノボラックポリエポキシドを含む、態様1から35のいずれか1つの組成物。
【0409】
態様37.接着促進剤が、アミノ官能性シランなどの有機官能性シラン、およびフェノール樹脂を含む、接着促進剤を含む態様1から36のいずれか1つの組成物。
【0410】
態様38.組成物が、40重量%〜60重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマーを含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から37のいずれか1つの組成物。
【0411】
態様39.組成物が、10重量%〜30重量%の有機充填剤を含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から38のいずれか1つの組成物。
【0412】
態様40.組成物が、5重量%〜25重量%の無機充填剤を含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から39のいずれか1つの組成物。
【0413】
態様41.組成物が、5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から40のいずれか1つの組成物。
【0414】
態様42.ポリエポキシドが、ウレタン変性ジエポキシドを含む、態様1から41のいずれか1つの組成物。
【0415】
態様43.組成物が、1.0重量%〜4.0重量%の接着促進剤を含む、態様1から42のいずれか1つの組成物。
【0416】
態様44.組成物が、0.5重量%〜3.5重量%の可塑剤を含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から43のいずれか1つの組成物。
【0417】
態様45.組成物が、(a)40重量%〜60重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、(b)10重量%〜30重量%の有機充填剤、(c)5重量%〜25重量%の無機充填剤、および(d)5重量%〜20重量%のポリエポキシドを含み、重量%は、組成物の総重量に基づく、態様1から44のいずれか1つの組成物。
【0418】
態様46.態様1から45のいずれか1つの組成物から得られた硬化組成物。
【0419】
態様47.硬化組成物が、Skydrol(登録商標)LD−4に70℃で1,000時間浸漬した後、1MPa超の引張強度、150%超の伸び、および30ショアA超の硬度を含み、引張強度は、ISO37に従って測定され、伸びは、ISO37に従って測定され、および硬度は、ISO868に従って測定される、態様46の硬化組成物。
【0420】
態様48.態様46から47のいずれか1つの硬化組成物で密封された部品。
【0421】
態様49.第1の部分および第2の部分を含むシーリング剤系であり、第1の部分は、50重量%〜70重量%のチオール末端硫黄含有プレポリマー、15重量%〜40重量%の有機充填剤、2重量%〜16重量%の無機充填剤、および0.5重量%〜3重量%の接着促進剤を含み、重量%は第1の部分の総重量に基づき、第2の部分は、35重量%〜80重量%のポリエポキシド、10重量%〜50重量%の無機充填剤、および0.5重量%〜10重量%の接着促進剤を含み、重量%は第2の部分の総重量に基づく、第1の部分および第2の部分を含むシーリング剤系。
【0422】
態様50.チオール末端硫黄含有プレポリマー、有機充填剤、無機充填剤、および接着促進剤が、態様2から37のいずれか1つに定義されている、態様49のシーリング剤系。
【0423】
態様51.第1の部分および第2の部分の重量%比が、100:10〜100:25の範囲内である、第1の部分と第2の部分の組み合わせを含む態様49から50のいずれか1つのシーリング剤系。
【0424】
態様52.態様49から51のいずれか1つのシーリング剤系から調製された硬化組成物。
【0425】
態様53.態様52の硬化組成物で密封された部品。
【0426】
態様54.部品を密封する方法であり、態様1から45のいずれか1つの組成物を適用すること、適用された組成物を硬化させて密封部品を提供することとを含む、部品を密封する方法。
【0427】
態様55.部品を密封する方法であり、態様49から51のいずれか1つのシーリング剤系の第1の部分と態様49から51のいずれか1つのシーリング剤系の第2の部分とを組み合わせて、シーリング剤組成物を提供すること、シーリング剤組成物を部品に適用すること、および適用された組成物を硬化させて、密封部品を提供することを含む、部品を密封する方法。
【0428】

本開示により提供される実施形態は、本開示により提供される組成物およびそのような組成物の使用を記載する以下の例を参照することによりさらに説明される。本開示の範囲から逸脱することなく、材料および方法の両方に対して多くの修正を実施することができることは、当業者には明らかであろう。
【0429】
比較例1
マンガン硬化ポリスルフィドシーリング剤
PR−1782B−2は、2時間の適用時間の二部分二酸化マンガン硬化ポリスルフィドシーリング剤であり、カリフォルニア州シルマーのPPG Aerospace社から市販されている。PR−1782パートBを、製造元の指示に従ってPR−1782パートAと混合した。混合物を室温で2日間硬化させ、その後60℃で1日間硬化させた。この後、硬化サンプルの一部を、Skydrol(登録商標)LD−4(油圧作動油、イーストマンケミカル社から市販)に70℃で96時間または500時間浸漬した。浸漬終了時に、サンプルを60分間冷却し、その後、ISO868に従って硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0430】
硬化サンプルの第2の部分を、Skydrol(登録商標)LD−4に70℃で96時間浸漬した。膨潤率をEN ISO10563に従って測定し、結果を表2に示す。
【表1】

【表2】
【0431】
比較例2
ポリエポキシ硬化ポリチオエーテルシーリング剤
PR−2001 B−2は、2時間の適用時間の、ポリエポキシドで硬化した二部分チオール末端ポリチオエーテルであり、カリフォルニア州シルマーのPPG Aerospace社から市販されている。PR−2001パートBを、製造元の指示に従ってPR−2001パートAと混合した。混合物を室温で2日間硬化させ、その後60℃で1日間硬化させた。この後、硬化サンプルの一部を、Skydrol(登録商標)LD−4(油圧作動油、イーストマンケミカル社から市販)に70℃で96時間または500時間浸漬した。浸漬の終了時に、サンプルを60分間冷却し、ISO868に従って硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0432】
硬化サンプルの第2の部分を、Skydrol(登録商標)LD−4に70℃で96時間浸漬した。浸漬後、膨潤率をEN ISO10563に従って測定し、結果を表2に示す。
【0433】
例1
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリアミド含有シーリング剤組成物
ポリアミド充填剤を含むSkydrol(登録商標)耐性および耐燃料油性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表3および表4に示す。
【表3】

【表4】
【0434】
シーリング剤組成物は、100部のパートB組成物と18.64部のパートA組成物を混合することにより調製した。シーリング剤組成物を1/4インチ厚のシートとして広げ、室温(23℃)で2日間室温で硬化させ、その後1日間60℃で硬化させた。
【0435】
硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃〜70℃の温度で最大1,000時間浸漬した。サンプルが硬化した後、ISO868に従って硬度を測定した。体積膨張をEN ISO10563に従って測定した。引張強度と伸びをISO37に従って測定した。結果を図1図3に示す。表5に示すように、追加の硬化サンプルを他の流体に浸漬した。
【表5】
【0436】
例2
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリイミド含有シーリング剤組成物
ポリイミド充填剤を含むSkydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表6および表7に示す。
【表6】

【表7】
【0437】
シーリング剤組成物を、14.36対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0438】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃、60℃、または70℃の温度で1,000時間浸漬した。硬度はISO868に従って測定した。体積膨張をEN ISO10563に従って測定した。結果を表8に示す。
【表8】
【0439】
例3
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリイミド含有シーリング剤組成物
ポリイミド充填剤を含むSkydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表9および表10に示す。
【表9】

【表10】
【0440】
シーリング剤組成物を、18.47対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0441】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃、60℃、または70℃の温度で1,000時間浸漬した。硬度はISO868に従って測定した。結果を表11に示す。
【表11】
【0442】
例4
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリフェニレンスルフィド含有シーリング剤組成物
ポリフェニレンスルフィド充填剤を含むSkydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表12および表13に示す。
【表12】

【表13】
【0443】
シーリング剤組成物を、14.36対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0444】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃、60℃、または70℃の温度で1,000時間浸漬した。硬度をISO868に従って測定し、ショア25A超であった。
【0445】
例5
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリフェニレンスルフィド含有シーリング剤組成物
Skydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表14および表15に示す。
【表14】

【表15】
【0446】
シーリング剤組成物を、20対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0447】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に60℃で144時間浸漬した。硬度はISO868に従って測定した。結果を表16に示す。
【表16】
【0448】
例6
耐油圧作動油性および耐燃料油性ポリエーテルスルホン含有シーリング剤組成物
ポリエーテルスルホン充填剤を含むSkydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表17および表18に示す。
【表17】

【表18】
【0449】
シーリング剤組成物を、15.87対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0450】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃、60℃、または70℃の温度で1,000時間浸漬した。サンプルは、テストの終了時に固形シーリング剤のままであった。
【0451】
例7
耐油圧作動油性および耐燃料油性熱可塑性コポリエステル含有シーリング剤組成物
熱可塑性コポリエステル粒子を含むSkydrol(登録商標)耐性シーリング剤を調製するために、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む組成物(パートB)およびポリエポキシドを含む組成物(パートA)を調製した。パートBおよびパートA組成物の成分を、それぞれ表19および表20に示す。
【表19】

【表20】
【0452】
シーリング剤組成物を、15.87対100の重量%比でパートAとパートBを組み合わせることにより調製した。
【0453】
例1に従って調製した硬化サンプルを、Skydrol(登録商標)LD−4に23℃、60℃、または70℃の温度で1,000時間浸漬した。サンプルは、テストの終了時に固形シーリング剤のままであった。
【0454】
最後に、本明細書に開示された実施形態を実施する代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示として見なされるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書で与えられた詳細に限定されるものではなく、その全範囲およびその均等物の権利を有する。

図1
図2
図3