【実施例1】
【0023】
図2Aおよび
図2Bは、本発明の第1の実施例における油圧駆動装置の回路図である。
【0024】
(1)構成
図2Aおよび
図2Bに示すように、第1の実施例における油圧駆動装置400は、図示しないエンジンによって駆動される3つの主油圧ポンプ、例えばそれぞれ可変容量形油圧ポンプからなる第1油圧ポンプ1、第2油圧ポンプ2、および第3油圧ポンプ3を備えている。また、図示しないエンジンによって駆動されるパイロットポンプ4を備えると共に、第1〜第3油圧ポンプ1,2,3、およびパイロットポンプ4に油を供給する作動油タンク5を備えている。
【0025】
第1油圧ポンプ1の傾転角は、この第1油圧ポンプ1に付設したレギュレータによって制御される。この第1油圧ポンプ1のレギュレータは、流量制御指令圧ポート1a、第1油圧ポンプ自己圧ポート1b、第2油圧ポンプ自己圧ポート1cを含んでいる。同様に、第2油圧ポンプ2の傾転角は、この第2油圧ポンプ2に付設したレギュレータによって制御される。この第2油圧ポンプ2のレギュレータは、流量制御指令圧ポート2a、第2油圧ポンプ自己圧ポート2b、第1油圧ポンプ自己圧ポート2cを含んでいる。また同様に、第3油圧ポンプ3の傾転角は、この第3油圧ポンプ3に付設したレギュレータによって制御される。この第3油圧ポンプ3のレギュレータは、流量制御指令圧ポート3a、第3油圧ポンプ自己圧ポート3bを含んでいる。
【0026】
第1油圧ポンプ1には、最上流に走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない右走行モータに供給される圧油の流れを制御する右走行用方向制御弁6が接続されている。この右走行用方向制御弁6の下流に、バケットシリンダ206aに供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁7と、アームシリンダ205aに供給される圧油の流れを制御する第2アーム用方向制御弁8と、ブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する第1ブーム用方向制御弁9とが接続されている。これらのバケット用方向制御弁7、第2アーム用方向制御弁8、及び第1ブーム用方向制御弁9は、右走行用方向制御弁に接続される管路41、及びこの管路41に管路42,43,44を介して互いにパラレルに接続されている。
【0027】
第2油圧ポンプ2には、ブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する第2ブーム用方向制御弁10と、アームシリンダ205aに供給される圧油の流れを制御する第1アーム用方向制御弁11と、例えばバケット206に代えて設けられる小割機等の第1特殊アタッチメントを駆動する図示しない第1アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する第1アタッチメント用方向制御弁12と、走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない左走行モータの駆動を制御する左走行用方向制御弁13とが接続されている。これらの第2ブーム用方向制御弁10、第1アーム用方向制御弁11、第1アタッチメント用方向制御弁12、及び左走行用方向制御弁13は、第2油圧ポンプ2に接続される管路45、及びこの管路45に管路46,47,48,49を介して互いにパラレルに接続されている。また、管路49は、合流弁17を介して管路41に接続されている。
【0028】
第3油圧ポンプ3には、旋回体202を駆動する図示しない旋回モータに供給される圧油の流れを制御する旋回用方向制御弁14と、ブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する第3ブーム用方向制御弁15と、第1特殊アタッチメントに加えて、第2アクチュエータを備えた第2特殊アタッチメントが装着され、または、第1特殊アクチュエータに代えて、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを備えた第2特殊アタッチメントが装着された際に、図示しない第2アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する第2アタッチメント用方向制御弁16とが接続されている。
【0029】
旋回用方向制御弁14と、第3ブーム用方向制御弁15と、第2アタッチメント用方向制御弁16とは、第3油圧ポンプ3に接続される管路50、及びこの管路50に管路51,52,53を介して互いにパラレルに接続されている。
【0030】
ブームシリンダ204aには、ボトム側の圧力を検出する圧力センサ71a、ロッド側の圧力を検出する圧力センサ71bが設けられている。同様に、アームシリンダ205aには、ボトム側の圧力を検出する圧力センサ72a、ロッド側の圧力を検出する圧力センサ72bが設けられている。また同様に、バケットシリンダ206aには、ボトム側の圧力を検出する圧力センサ73a、ロッド側の圧力を検出する圧力センサ73bが設けられている。また、車体の動作状態を取得することを目的として、ブームシリンダ204aのストローク量を検出するストロークセンサ74、アームシリンダ205aのストローク量を検出するストロークセンサ75、及びバケットシリンダ206aのストローク量を検出するストロークセンサ76が設けられている。なお、車体の動作状態を取得する手段は傾斜センサ、回転角センサ、IMUなど多様であり、上述したストロークセンサに限るものではない。
【0031】
バケット用方向制御弁7に接続された管路42、第2アーム用方向制御弁8に接続された管路43、および第1ブーム用方向制御弁9に接続された管路44には、複合操作時に第1油圧ポンプ1から各方向制御弁に供給される圧油の流量を制限する補助流量制御装置21,22,23がそれぞれ設けられている。
【0032】
第2ブーム用方向制御弁10に接続された管路46、および第1アーム用方向制御弁11に接続された管路47には、複合操作時に第2油圧ポンプ2から各方向制御弁に供給される圧油の流量を制限する補助流量制御装置24,25がそれぞれ設けられている。第1の実施例では、補助流量制御装置24は、補助可変絞りを形成するシート形の主弁31と、主弁31の弁体31aの移動量に応じて開口面積を変化させる弁体31aに設けられた制御可変絞りとしてのフィードバック絞り31bと、パイロット可変絞りとしての油圧可変絞り弁32とで構成される。主弁31が内蔵されるハウジングは、主弁31と管路46の接続部に形成された第1圧力室31cと、主弁31と第2ブーム用方向制御弁10間の管路57の接続部に形成された第2圧力室31dと、第1圧力室31cとフィードバック絞り31bを介して連通するように形成された第3圧力室31eとを有する。第3圧力室31eと油圧可変絞り弁32とは管路63aで接続されており、油圧可変絞り弁32と管路57とは管路63bで接続されており、これら管路63a,63bはパイロットライン63を形成している。
【0033】
油圧可変絞り弁32の圧力信号ポート32aは比例電磁減圧弁35の出力ポートと接続されており、比例電磁減圧弁35の供給ポートはパイロットポンプ4と接続されており、油圧可変絞り弁32のタンクポートは作動油タンク5と接続されている。
【0034】
第2油圧ポンプに接続される管路45には圧力センサ77が設けられている。第2ブーム用方向制御弁10と補助流量制御装置24とを接続する管路57には圧力センサ78が設けられている。第2ブーム用方向制御弁10とブームシリンダ204aのボトム側とを接続する管路には圧力センサ79aが設けられている。第2ブーム用方向制御弁10とブームシリンダ204aのロッド側とを接続する管路には圧力センサ79bが設けられている。第1アーム用方向制御弁11と補助流量制御装置25とを接続する管路58には圧力センサ80が設けられている。第1アーム用方向制御弁11とアームシリンダ205aのボトム側とを接続する管路には圧力センサ81aが設けられている。第1アーム用方向制御弁11とアームシリンダ205aのロッド側とを接続する管路には圧力センサ81bが設けられている。
【0035】
なお、説明を簡便にするため一部図示を省略しているが、補助流量制御装置21〜29及び周辺の機器、配管、配線は全て同じ構成である。
【0036】
この第1の実施例における油圧駆動装置400は、第1ブーム用方向制御弁9、第2ブーム用方向制御弁10、第3ブーム用方向制御弁15、及びバケット用方向制御弁7をそれぞれを切り換え操作可能な操作レバー91aおよびパイロットバルブ92aと、第1アーム用方向制御弁11、第2アーム用方向制御弁8をそれぞれを切り換え操作可能な操作レバー91bおよびパイロットバルブ92bを備えている。パイロットバルブ92a,92bと切換弁ユニット93とを接続する管路97には、ブーム204、アーム205、バケット206が操作されたことを検出する圧力センサ102が設けられている。なお、説明が煩雑となるので、旋回用方向制御弁14を切り換え操作する旋回用操作装置、右走行用方向制御弁6を切り換え操作する右走行用操作装置、左走行用方向制御弁13を切り換え操作する左走行用操作装置、第1アタッチメント用方向制御弁12を切り換え操作する第1アタッチメント用操作装置、第2アタッチメント用方向制御弁16を切り換え操作する第2アタッチメント用操作装置については、図示を省略している。
【0037】
切換弁ユニット93は、管路98を介して第1〜第3油圧ポンプ1,2,3の流量制御指令ポートに接続されており、管路99を介して各方向制御弁のパイロットポートに接続されており、管路100,101を介して電磁比例弁ユニット94に接続されている。
【0038】
図3は、切換弁ユニット93の構成図である。
図3に示すように、切換弁ユニット93は、コントローラ95からの指令により切換制御される複数の電磁切換弁93aを内蔵している。制御有効化スイッチ96により領域制限制御機能の無効化が指示されると電磁切換弁93aは図示A位置に切り換えられ、領域制限制御機能の有効化が指示されると図示B位置に切り換えられる。電磁切換弁93aが図示A位置にあるときは、管路97から入力されたパイロット圧力信号は、管路98,99を介して各方向制御弁のパイロットポート又は第1〜第3油圧ポンプ1,2,3の流量制御指令圧ポート3a,3b,3cに出力される。一方、電磁切換弁93aがB位置にあるときは、管路97から入力されたパイロット圧力信号は、管路100を介して電磁比例弁ユニット94に出力される。同時に、管路101を介して電磁比例弁ユニット94から入力されたパイロット圧力信号は、管路98,99を介して各方向制御弁のパイロットポート又は第1〜第3油圧ポンプ1,2,3の流量制御指令圧ポート3a,3b,3cに出力される。
【0039】
図4は、電磁比例弁ユニット94の構成図である。
図4に示すように、電磁比例弁ユニット94は、コントローラ95からの指令により開口量が制御される複数の比例電磁減圧弁94aを内蔵している。管路100から入力されたパイロット圧力信号は、比例電磁減圧弁94aによって補正され、管路101を介して切換弁ユニット93に出力される。
【0040】
第1の実施例における油圧駆動装置400では、コントローラ95を備え、圧力センサ71a,71b,72a,72b,73a,73b,77,78,79a,79b,80,81a,81bの出力値と、ストロークセンサ74,75,76の出力値と、及び制御有効化スイッチ96の指令値はコントローラ95へ入力される。また、コントローラ95は、切換弁ユニット93に備えられる切換弁と、電磁比例弁ユニット94に備えられる各電磁弁と、比例電磁減圧弁35,36(及び図示されない比例電磁減圧弁)へと指令を出力する。
【0041】
図5は、コントローラ95の機能ブロック図である。
図5において、コントローラ95は、入力部95aと、制御有効化判断部95bと、車体姿勢演算部95cと、要求流量演算部95dと、目標流量演算部95eと、修正目標流量演算部95fと、目標ポンプ流量演算部95gと、ポンプ流量減少率演算部95hと、アクチュエータ流量演算部95iと、現在ポンプ流量演算部95jと、出力部95kとを有する。
【0042】
入力部95aは、制御有効化スイッチ96の信号およびセンサ出力値を取得する。制御有効化判断部95bは、制御有効化スイッチ96の信号を基に領域制限制御を有効にするか無効にするかを判断する。車体姿勢演算部95cは、センサ出力値を基に旋回体202および作業装置203の姿勢を演算する。要求流量演算部95dは、センサ出力値を基にアクチュエータの要求流量を演算する。目標流量演算部95eは、車体の姿勢および要求流量を基にアクチュエータの目標流量を演算する。目標ポンプ流量演算部95gは、目標流量演算部95eからの各アクチュエータの目標流量を基に油圧ポンプの目標吐出流量(目標ポンプ流量)を演算する。アクチュエータ流量演算部95iは、センサ出力値を基にアクチュエータの現在流量を演算する。現在ポンプ流量演算部95jは、アクチュエータ流量演算部95iからの各アクチュエータの現在流量を基に油圧ポンプの現在吐出流量(現在ポンプ流量)を演算する。ポンプ流量減少率演算部95hは、目標ポンプ流量と現在ポンプ流量とを基に油圧ポンプの吐出流量減少率(ポンプ流量減少率)を演算する。修正目標流量演算部95fは、目標流量演算部95eからの目標流量とポンプ流量減少率演算部95hからのポンプ流量減少率とを基にアクチュエータの修正目標流量を演算する。出力部95kは、制御有効化判断部95bからの判断結果と、修正目標流量演算部95fからの修正目標流量と、入力部95aからの圧力センサ出力値とを基に指令電気信号を生成し、切換弁ユニット93、電磁比例弁ユニット94、および比例電磁減圧弁35,36に出力する。
【0043】
図6Aは、第1の実施例におけるコントローラ95の演算処理を示すフロー図である。コントローラ95は、制御有効化スイッチ96がONであるか否かを判定し(ステップS100)、制御有効化スイッチ96がOFFである(NO)と判定した場合は制御無効化処理(ステップS200)を実行し、制御有効化スイッチ96がONである(YES)と判定した場合は制御有効化処理(ステップS300)を実行する。
【0044】
図6Bは、制御無効化処理(ステップS200)の詳細を示すフロー図である。コントローラ95は、切換弁ユニット93をOFFに切り換え(ステップS201)、操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS202)。
【0045】
ステップS202で操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、制御無効化処理(ステップS200)を終了する。
【0046】
ステップS202で操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、操作レバー入力量に応じてパイロットバルブ92a,92bがパイロット指令圧を生成し(ステップS203)、パイロット指令圧に応じて方向制御弁を開口させ(ステップS204)、アクチュエータに圧油を送ってアクチュエータを動作させる(ステップS205)。ステップS205に続き、複数のアクチュエータに対する分流が必要であるか否かを判定する(ステップS206)。
【0047】
ステップS206で分流が必要でない(NO)と判定した場合は、コントローラ95から比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力せず(ステップS207)、パイロット可変絞り32,34を全開させ(ステップS208)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を全開させ(ステップS209)、制御無効化処理(ステップS200)を終了する。
【0048】
ステップS206で分流が必要である(YES)と判定した場合は、コントローラ95から比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力し(ステップS210)、比例電磁減圧弁35,36からの指令圧に応じてパイロット可変絞り32,34を開口させ(ステップS211)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を開口させ(ステップS212)、主弁31,33…の流量(方向制御弁からアクチュエータに送られる流量)を制御し(ステップS213)、制御無効化処理(ステップS200)を終了する。
【0049】
図6Cは、制御有効化処理(ステップS300)の詳細を示すフロー図である。コントローラ95は、切換弁ユニット93をONに切り換え(ステップS301)、操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS302)。
【0050】
ステップS302で操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、制御有効化処理(ステップS300)を終了する。
【0051】
ステップS302で操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、操作レバー入力量に応じて電磁比例弁ユニット94の比例電磁減圧弁94aがパイロット指令圧を生成し(ステップS303)、パイロット指令圧に応じて方向制御弁を開口させ(ステップS304)、アクチュエータに圧油を送ってアクチュエータを動作させる(ステップS305)。
【0052】
ステップS305に続き、コントローラ95の要求流量演算部95dにてアクチュエータの要求流量を算出し(ステップS306)、コントローラ95の目標流量演算部95eにてアクチュエータの目標流量を算出し(ステップS307)、コントローラ95の目標ポンプ流量演算部95gにて油圧ポンプの目標ポンプ流量を算出し(ステップS308)、コントローラ95のアクチュエータ流量演算部95iにてアクチュエータの現在流量を算出し(ステップS309)、コントローラ95の現在ポンプ流量演算部95jにて油圧ポンプの現在ポンプ流量を算出し(ステップS310)、コントローラ95のポンプ流量減少率演算部95hにて油圧ポンプの目標ポンプ流量と現在ポンプ流量からポンプ流量減少率αを算出する(ステップ311)。ステップ311に続き、ポンプ流量減少率αが1より小さい(すなわち、油圧ポンプが実際に吐出できる流量が目標ポンプ流量よりも低下するサチュレーション状態である)か否かを判定する(ステップS312)。
【0053】
ステップS312でサチュレーション状態でない(NO)と判定した場合は、コントローラ95の出力部95kにてアクチュエータの目標流量と補助流量制御装置24,25の前後差圧とを基に指令電気信号を算出し(ステップS313)、比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力し(ステップS314)、比例電磁減圧弁35,36からの指令圧に応じてパイロット可変絞り32,34を開口させ(ステップS315)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を開口させ(ステップS316)、主弁31,33の流量(方向制御弁からアクチュエータに送られる流量)を制御し(ステップS317)、制御有効化処理(ステップS300)を終了する。
【0054】
ステップS312でサチュレーション状態である(YES)と判定した場合は、コントローラ95の修正目標流量演算部95fにてアクチュエータの目標流量にポンプ流量減少率αを掛けて修正目標流量を算出し(ステップS318)、コントローラ95の出力部95kにて修正目標流量と補助流量制御装置24,25の前後差圧を基に指令電気信号を算出し(ステップS319)、比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力し(ステップS320)、比例電磁減圧弁35,36からの指令圧に応じてパイロット可変絞り32,34を開口させ(ステップS321)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を開口させ(ステップS321)、主弁31,33の流量(方向制御弁からアクチュエータに送られる流量)を制御し(ステップS323)、制御有効化処理(ステップS300)を終了する。
【0055】
なお、上記では具体的な制御対象としてブーム204、アーム205の方向制御弁、補助流量制御装置、比例電磁減圧弁を取り上げたが、
図6A〜
図6Cに示すフローは、図示しないものを含め全ての方向制御弁、補助流量制御装置、比例電磁減圧弁に対して実行される。
【0056】
(2)動作
このように構成した第1の実施例における油圧駆動装置400にあっては、以下に述べるような操作及び制御が可能である。なお、ここでは説明を簡便にするために、ブーム204、アーム205、バケット206の3複合動作を行った場合を取り上げて、動作を説明する。
【0057】
「オペレータによる手動操作」
制御有効化スイッチ96から油圧ショベル300の領域制限制御を無効とする信号がコントローラ95へ送られると、コントローラ95は、操作レバー91a,91bへの入力からパイロットバルブ92a,92bを介して生成されたパイロット指令圧を直接各アクチュエータの方向制御弁の各パイロットポートへ作用させるように切換弁ユニット93内の油路を切り換える。これにより、オペレータの入力した操作量に応じて各アクチュエータを駆動させることが可能となる。
【0058】
コントローラ95は、ブーム204、アーム205及びバケット206の操作量を基に、油圧可変絞り弁の目標開口量を算出し、例えば、第1アーム用方向制御弁11に対応する補助流量制御装置25の油圧可変絞り弁34の開口特性と比例電磁減圧弁36からの操作圧とを基に油圧可変絞り弁34の開口量が目標開口量となるように比例電磁減圧弁36を介して油圧可変絞り弁34の開口量を制御する。
【0059】
ここで、主弁33の変位はオペレータの操作入力量のみで、アームシリンダ205aの負荷に依存することなく決定される。そのため、オペレータが操作レバー91bの入力量を維持した状態でアームシリンダ205aの負荷が変動すると、主弁33の前後差圧が変化し、主弁33がアームシリンダ205aへ分流する流量が変化する。この流量変化は、アームシリンダ205aの挙動に如実に反映され、その変化をオペレータが認識することで操作レバー91bの入力を調整し、オペレータが意図した操作をおこなうことができる。
【0060】
「領域制限制御による自動操作」
制御有効化スイッチ96から油圧ショベル300の領域制限制御を有効とする信号がコントローラ95へ送られると、コントローラ95は、操作レバー91a,91bへの入力からパイロットバルブ92a,92bを介して生成されたパイロット指令圧を電磁比例弁ユニット94へと導くように切換弁ユニット93内の油路を切り換える。電磁比例弁ユニット94へ導かれた信号圧は、電磁比例弁ユニット94へ備えられる比例電磁減圧弁94aとコントローラ95の指令によって制御され、再び切換弁ユニット93へと導かれる。切換弁ユニット93へ導かれた信号圧は、各アクチェータの方向制御弁のパイロットポートへ導かれる。
【0061】
これにより、コントローラ95の制御によってアクチュエータを駆動させることが可能となり、油圧ショベル300の領域制限制御が行われる。
【0062】
コントローラ95は、ブーム204、アーム205及びバケット206の操作量を各圧力センサや各ストロークセンサから取得された車体動作状態を基にアクチュエータの目標流量を算出し、またアクチュエータの目標流量を基に油圧ポンプの目標ポンプ流量を算出する。同時に方向制御弁の前後に取り付けられた圧力センサ80,81b(または圧力センサ80,81a)から取得される方向制御弁前後差圧と、方向制御弁の圧力指令ポートに作用しているパイロット圧に対する方向制御弁の開口面積特性を基に算出される方向制御弁の開口面積とを用いてアクチュエータのメータイン側の現在流量を算出し、またアクチュエータの現在流量を基に油圧ポンプの現在ポンプ流量を算出する。さらに目標ポンプ流量と現在ポンプ流量とを基にポンプ流量減少率αを算出する。
【0063】
ポンプ流量減少率α=1の場合は、主弁33の目標流量を修正することなく、コントローラ95にて主弁33の目標流量と圧力センサ77,80から得られる補助流量制御装置25の前後差圧とを基に指令電気信号を算出し、パイロット可変絞り34へ比例電磁減圧弁36を介して指令を出力する。
【0064】
ポンプ流量減少率α<1の場合は、アクチュエータの目標流量にαを掛けて修正目標流量を算出し、コントローラ95にて主弁33の修正目標流量と圧力センサ77,80から得られる補助流量制御装置25の前後差圧とを基に指令電気信号を算出し、パイロット可変絞り34へ比例電磁減圧弁36を介して指令を出力する。
【0065】
以上、補助流量制御装置25の動作を説明したが、他の補助流量制御装置の動作も同様である。
【0066】
第1の実施例では、走行体201と、走行体201上に旋回可能に取り付けられた旋回体202と、旋回体202に取り付けられた作業装置203と、旋回体202または作業装置203を駆動する複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…と、油圧ポンプ1,2,3と、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の負荷圧力に応じて油圧ポンプ1,2,3の馬力制御を行うレギュレータ1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3bと、油圧ポンプ1,2,3の吐出ラインにパラレルに接続されており、油圧ポンプ1,2,3から複数の油圧アクチュエータへの供給流量を調整する複数の方向制御弁と、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の動作を指示するための操作レバー装置91a,91bと、パイロットポンプ4と、操作レバー装置91a,91bからの動作指示量に応じてパイロットポンプ4の吐出圧を減圧し、複数の方向制御弁7〜12,14〜16の操作圧として出力する操作圧生成用バルブ装置93,94と、作業装置303が予め設定された領域へ侵入することを防止する領域制限制御機能の有効化または無効化を指示するための制御有効化スイッチ96と、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の無効化が指示された場合に、操作レバー装置91a,91bからの動作指示量に応じた操作圧が出力されるように操作圧生成用バルブ装置93,94を制御し、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の有効化が指示された場合に、操作レバー装置91a,91bからの動作指示量に応じた操作圧が補正されて出力されるように操作圧生成用バルブ装置93,94を制御するコントローラ95とを備えた作業機械300において、複数の方向制御弁7〜12,14〜16の各上流に接続されており、油圧ポンプ1,2,3から複数の方向制御弁7〜12,14〜16への供給流量を制限可能な複数の補助流量制御装置21〜29を備え、コントローラ95は、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の無効化が指示された場合に、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の負荷変動に応じて油圧ポンプ1,2,3から複数の方向制御弁7〜12,14〜16への供給流量が変動するように複数の補助流量制御装置21〜29を制御し、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の有効化が指示された場合に、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の負荷変動に応じて油圧ポンプ1,2,3から複数の方向制御弁7〜12,14〜16への供給流量が変動しないように複数の補助流量制御装置21〜29を制御すると共に、前記馬力制御により油圧ポンプ1,2,3の現在吐出流量が油圧ポンプ1,2,3の目標吐出流量よりも減少するサチュレーションが生じたときに、前記目標吐出流量に対する前記現在吐出流量の比率であるポンプ流量減少率αに応じて油圧ポンプ1,2,3から複数の方向制御弁7〜12,14〜16への供給流量が減少するように複数の補助流量制御装置21〜29を制御する。
【0067】
また、複数の補助流量制御装置21〜29は、それぞれ、補助可変絞りを形成するシート形の主弁31,33…と、主弁31,33…のシート弁体の移動量に応じて開口面積を変化させる制御可変絞り31b,33b…と、通過流量に応じて前記シート弁体の移動量を決定するパイロットライン63,64…と、パイロットライン63,64…に配置され、コントローラ95からの指令に応じて開口量を変化させるパイロット可変絞り32,34…とを有し、コントローラ95は、制御有効化スイッチ96により領域制限制御機能の無効化が指示された場合に、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の負荷変動に応じて主弁31,33…の通過流量が変動するようにパイロット可変絞り32,34…の開口量を制御し、制御有効化スイッチ96により領域制限制御機能の有効化が指示された場合に、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の負荷変動に応じて主弁31,33…の通過流量が変動しないようにパイロット可変絞り32,34…の開口量を制御すると共に、前記サチュレーションが生じたときに、ポンプ流量減少率αに応じて主弁31,33…の通過流量が減少するようにパイロット可変絞り32,34…の開口量を制御する。
【0068】
また、パイロット可変絞り32,34…は油圧可変絞り弁で構成され、作業機械300は、油圧ポンプ1,2,3の吐出ラインに設けられた第1圧力センサ77…と、複数の方向制御弁7〜12,14〜16と主弁31,33…とを接続する油路に設けられた第2圧力センサ78,80…と、コントローラ95からの指令に応じてパイロットポンプ4の吐出圧を減圧し、油圧可変絞り弁32,34…の操作圧として出力する比例電磁減圧弁35,36…とを更に備え、コントローラ95は、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の無効化が指示された場合に、操作レバー装置91a,91bからの動作指示量を基に油圧可変絞り弁32,34…の目標開口量を算出し、油圧可変絞り弁32,34…の開口特性と油圧可変絞り弁32,34…の操作圧とを基に油圧可変絞り弁32,34…の現在開口量を算出し、前記目標開口量と前記現在開口量との差が小さくなるように比例電磁減圧弁35,36…を介して油圧可変絞り弁32,34…の開口量を制御し、制御有効化スイッチ96により前記領域制限制御機能の有効化が指示された場合に、操作レバー装置91a,91bからの動作指示量を基に主弁31,33…の目標通過流量を算出し、第1圧力センサ77及び第2圧力センサ78,80…で検出した主弁31,33…の前後差圧と比例電磁減圧弁35,36…から出力された操作圧に対する主弁31,33…の現在開口量とを基に主弁31,33…の現在通過流量を算出し、前記目標通過流量と前記現在通過流量との差が小さくなるように比例電磁減圧弁35,36…を介して油圧可変絞り弁32,34…の開口量を制御する。
【0069】
また、作業機械300は、複数の方向制御弁7〜12,14〜16の前後差圧を検出する前後差圧検出装置を更に備え、複数の方向制御弁7〜12,14〜16の開口特性と操作圧生成用バルブ装置93,94から出力された操作圧とに基づいて複数の方向制御弁7〜12,14〜16の現在開口量を算出し、コントローラ95は、前記前後差圧検出装置で検出した複数の方向制御弁7〜12,14〜16の前後差圧と複数の方向制御弁7〜12,14〜16の現在開口量とに基づいて複数の方向制御弁7〜12,14〜16から複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…への現在供給流量を算出し、複数の方向制御弁7〜12,14〜16から複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…への現在供給流量を合計することにより油圧ポンプ1,2,3の現在吐出流量を算出する。
【0070】
また、前記前後差圧検出装置は、複数の方向制御弁7〜12,14〜16と主弁31,33…とを接続する油路に設けられた第2圧力センサ78,80…と、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…の作動油供給側ポートと複数の方向制御弁7〜12,14〜16とを接続する油路に設けられた第3圧力センサ79b,81b…(79a,81a…)とで構成されている。
【0071】
(3)効果
以上のように構成した第1の実施例によれば、領域制限制御機能が無効な場合は、補助流量制御装置21〜29の流量制御を無効とし、補助流量制御装置21〜29はオペレータの操作入力量に応じた開口を維持し、複数の油圧アクチュエータへと分流を行う。この場合は、アクチュエータの負荷変動に応じたアクチュエータ動作の変化をオペレータがより感じ取りやすくなるため、オペレータ操作時の油圧ショベル300の操作性が確保される。一方、領域制限制御機能が有効な場合は、補助流量制御装置21〜29はアクチュータの負荷変動に依存することなくコントローラ95が指令する目標流量通りに流量を高応答かつ確実にアクチュエータへ供給することができ、アクチュエータの自動制御精度を向上できる。また、サチュレーション状態になった場合でも、各アクチュエータへの分流比率を維持することができ、アクチュエータの制御精度を低下させることなく自動制御が可能となる。これらにより、オペレータの手動操作時とコントローラ95による自動制御時の2種類の操作形態において、それぞれの操作形態に適した油圧システム特性へと切り替えることで、それぞれの操作形態で要求される性能を両立させることができる。
【実施例3】
【0081】
本発明の第3の実施例について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
【0082】
(1)構成
第3の実施例における油圧駆動装置の構成は、第1の実施例における油圧駆動装置400(
図2Aおよび
図2Bに示す)と同様であるが、コントローラ95の処理内容が異なる。
【0083】
図8は、第3の実施例におけるコントローラ95の機能ブロック図である。
図8において、コントローラ95は、第1の実施例(
図5に示す)の構成に加えて、流量補正比率演算部95lと圧力状態判断部95mとを有する。
【0084】
流量補正比率演算部95lは、ポンプ流量減少率演算部95hからのポンプ流量減少率αと各アクチュエータに対して予め設定された補正比率γを掛けて流量補正比率βを演算する。修正目標流量演算部95fは、目標流量演算部95eからの目標流量と流量補正比率演算部95lからの流量補正比率βとを基にアクチュエータの修正目標流量を演算する。圧力状態判断部95mは入力部95aの圧力センサ出力値を基に分流を必要とするアクチュエータのうち最も負荷圧が高いアクチュエータを判断する。出力部95kは、制御有効化判断部95bからの判断結果と、修正目標流量演算部95fからの修正目標流量と、入力部95aからの圧力センサ出力値と、圧力状態判断部95mの判断結果とを基に指令電気信号を生成し、切換弁ユニット93、電磁比例弁ユニット94、比例電磁減圧弁35,36に出力する。
【0085】
図9Aは、第3の実施例におけるコントローラ95Aの演算処理を示すフロー図である。コントローラ95Aは、制御有効化スイッチ96がONであるか否かを判定し(ステップS100)、制御有効化スイッチ96がOFFである(NO)と判定した場合は制御無効化処理(ステップS200)を実行し、制御有効化スイッチ96がONである(YES)と判定した場合は制御有効化処理(ステップS300A)を実行する。
【0086】
図9Bおよび
図9Cは、制御有効化処理(ステップS300A)の詳細を示すフロー図である。
図9Bにおいて、ステップS301〜S317は、第1の実施例(
図6Cに示す)と同様である。
【0087】
ステップS312でサチュレーション状態である(YES)と判定した場合は、コントローラ95の流量補正比率演算部95lにて、ポンプ流量減少率αに流量制御対象のアクチュエータに対して予め設定された補正係数γを掛けて流量補正比率βを算出し(ステップS341)、コントローラ95の修正目標流量演算部95fにて流量制御対象のアクチュエータの目標流量に流量補正比率βを掛けて修正目標流量を算出し(ステップS342)、コントローラ95の出力部95kにて修正目標流量と補助流量制御装置24,25の前後差圧とを基に指令電気信号を算出し(ステップS343)、コントローラ95の圧力状態判断部95mにて入力部95aからの圧力センサ出力値を基に流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのなかで最も高いか否かを判定する(ステップS345)。
【0088】
ステップS345で流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのうちの最高負荷圧ではない(NO)と判定した場合は、コントローラ95の出力部95kにて比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力し(ステップS346)、比例電磁減圧弁35,36からの指令圧に応じてパイロット可変絞り32,34を開口させ(ステップS347)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を開口させ(ステップS348)、主弁31,33の流量(方向制御弁からアクチュエータに送られる流量)を制御し(ステップS349)、制御有効化処理(ステップS300)を終了する。
【0089】
ステップS345で流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのなかで最も高い(YES)と判定した場合は、コントローラ95の出力部95kにて比例電磁減圧弁35,36へ指令電気信号を出力せず(ステップS344)、比例電磁減圧弁35,36からの指令圧(タンク圧)に応じてパイロット可変絞り32,34を全開させ(ステップS345)、パイロット可変絞り開口に応じて補助流量制御装置24,25の主弁31,33を全開させ(ステップS346)、制御有効化処理(ステップS300a)を終了する。
【0090】
ここで、流量補正比率βは、
図10Aに示されるように各アクチュエータに設定された補正係数γとポンプ流量減少率αの積で求められる。また、補正係数γは一定である必要は無く、
図10Bに例示されるようにアクチュエータの負荷圧Plに応じて変化させてもよい。
【0091】
なお、上記では具体的な制御対象としてブーム204、アーム205の方向制御弁、補助流量制御装置、比例電磁減圧弁を取り上げたが、
図9A〜
図9Cに示すフローは図示しないものを含め全ての方向制御弁、補助流量制御装置、比例電磁減圧弁に対して実行される。また、上記では、大きな慣性体を駆動するアクチュエータであって、流量変化が慣性体の挙動に及ぼす影響が大きいアクチュエータ(旋回モータおよびブームシリンダ204a)の流量補正比率βを高く設定した場合を例示したが、各アクチュエータの流量補正比率βの設定は、油圧システムや稼働条件などに応じて設計者などが任意に設定するものであり、例示した内容に限るものではない。
【0092】
(2)動作
第3の実施例における油圧駆動装置の動作は、第1の実施例における油圧駆動装置400の動作とほぼ同様であるが、以下の点で異なる。
【0093】
「領域制限制御による自動操作」
制御有効化スイッチ96から油圧ショベル300の領域制限制御を有効とする信号がコントローラ95へ送られ、領域制限制御による自動操作が行われる状態において、コントローラ95Aは、ブーム204、アーム205及びバケット206の操作量と各圧力センサや各ストロークセンサから取得された車体動作状態とを基にアクチュエータの目標流量を算出し、また各アクチュエータの目標流量を基に油圧ポンプの目標ポンプ流量を算出する。同時に方向制御弁の前後に取り付けられた圧力センサ80,81b(または圧力センサ80,81a)から取得される方向制御弁前後差圧と、方向制御弁の圧力指令ポートに作用しているパイロット圧に対する方向制御弁の開口面積特性を基に算出される開口面積からアクチュエータのメータイン側現在流量を算出し、また各アクチュエータの現在流量を基に油圧ポンプの現在ポンプ流量を算出する。さらに目標ポンプ流量と現在ポンプ流量とを基にポンプ流量減少率αを算出する。
【0094】
ポンプ流量減少率α=1の場合は、目標流量を修正することなく、コントローラ95にて主弁33の目標流量と圧力センサ77,80から得られる補助流量制御装置25の前後差圧とを基に指令電気信号を算出し、パイロット可変絞り34へ比例電磁減圧弁36を介して指令を出力する。
【0095】
ポンプ流量減少率α<1の場合は、ポンプ流量減少率αに各アクチュエータに対して予め設定された補正係数γを掛けて流量補正比率β(補正後のポンプ流量比率)を算出する。さらに各アクチュエータの目標流量に流量補正比率βを掛けて修正目標流量を算出し、コントローラ95Aにて主弁33の修正目標流量と圧力センサ77,80から得られる補助流量制御装置25の前後差圧とを基に目標指令電気信号を算出する。同時に、コントローラ95にて圧力センサ出力値から流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのなかで最も高いか否かを判断する。
【0096】
流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのうちの最高負荷圧でない場合は、コントローラ95Aから目標指令電気信号を比例電磁減圧弁36へ出力し、目標指令電気信号を受けて比例電磁減圧弁36が油圧可変絞り弁34の操作圧を出力する。
【0097】
流量制御対象のアクチュエータの負荷圧が分流対象のアクチュエータのなかで最も高い場合は、コントローラ95Aから目標指令電気信号を比例電磁減圧弁36へ出力せず、比例電磁減圧弁36が油圧可変絞り弁34の操作圧としてタンク圧を出力することで、主弁33を全開にする。
【0098】
以上、補助流量制御装置25の動作を説明したが、他の補助流量制御装置の動作も同様である。
【0099】
第3の実施例では、コントローラ95Aは、制御有効化スイッチ96により領域制限制御機能の有効化が指示された場合でかつサチュレーションが生じたときに、ポンプ流量減少率αに複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…のそれぞれに対して予め設定された補正係数γを掛けてポンプ流量減少率αを補正し、複数の油圧アクチュエータ204a,205a,206a…ごとに補正されたポンプ流量減少率βに応じて油圧ポンプ1,2,3から複数の方向制御弁7〜12,14〜16への供給流量が減少するように複数の補助流量制御装置21〜29を制御する。
【0100】
(3)効果
以上のように構成した第3の実施例によれば、第1の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0101】
アクチュエータの負荷圧上昇に伴うポンプの馬力制御などにより、目標ポンプ流量よりも実際のポンプ吐出流量が少なくなりサチュレーション状態となった場合、大きな慣性体を有するアクチュエータ(例えば旋回モータなど)に対してはポンプ流量減少率αを増加側に補正して優先的に油を流すことによってサチュレーションに対する流量低下量を軽減することで、サチュレーション時のアクチュエータ挙動の安定性を高めることができ、より安定したアクチュエータの操作を行うことができる。
【0102】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。