特許第6903314号(P6903314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903314窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法及び鉄筋コンクリート構造物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903314
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法及び鉄筋コンクリート構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/00 20060101AFI20210701BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20210701BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   B28C7/00
   C02F1/20 A
   C02F1/68 510A
   C02F1/68 520B
   C02F1/68 530A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-78447(P2017-78447)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-176526(P2018-176526A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年3月12日
【審判番号】不服2019-15851(P2019-15851/J1)
【審判請求日】2019年11月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505447629
【氏名又は名称】株式会社昭和冷凍プラント
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(72)【発明者】
【氏名】若山 敏次
(72)【発明者】
【氏名】若山 聖子
【合議体】
【審判長】 日比野 隆治
【審判官】 末松 佳記
【審判官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−85710(JP,A)
【文献】 特開昭64−27653(JP,A)
【文献】 特許第6024060号公報(JP,B1)
【文献】 特開2003−047950(JP,A)
【文献】 吉田 孝三郎,6.練混ぜ水,コンクリート総覧 THE CONCRETE,飯田 眞理 技術書院,第1版P.245−246
【文献】 第2編 コンクリート材料,コンクリート便覧(第二版),長 祥隆 技報堂出版株式会社,第2版 P.77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-32/02
C04B 40/00-40/06
C04B 103/00-111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気をエアコンプレッサにより取り込み圧縮空気とし窒素分離膜により前記圧縮空気から酸素をパージして取り出した窒素ガスを水に注入することにより、大気圧下において温度により決まる水の酸素溶存量及び二酸化炭素溶存量を低減又はほぼ零として酸素及び二酸化炭素に替えて窒素を溶存させた水である窒素溶存水を生成する工程と、
前記窒素溶存水と、セメントと、骨材と、混和剤とを混練することにより生コンクリートを生成する工程と、を含むことを特徴とする、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法。
【請求項2】
前記骨材として、前記窒素溶存水により洗浄したものを用いることを特徴とする請求項1に記載の、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法により製造された生コンクリートを用いて鉄筋コンクリート構造物を形成することを特徴とする、鉄筋コンクリート構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製造方法及び鉄筋コンクリート構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の鉄筋コンクリート構造物においては、二酸化炭素、酸素、水分、塩化物イオン等によるコンクリートの劣化や鉄筋の腐食が問題となっている。二酸化炭素の浸透は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムを生成してコンクリートを中性化させ、鉄筋の発錆を生じさせる。酸素の浸透は、鉄筋を酸化により腐食させ発錆を生じさせる。
【0003】
特許文献1は、耐炭酸化性能に優れた軽量発泡コンクリートを開示している。特許文献2は、耐酸性コンクリートおよび鉄腐食抑制コンクリートを開示している。
【0004】
特許文献3、4では、コンクリートの性能を向上させるためのコンクリート製造用水の製造方法を開示している。
【0005】
一方、全く異なる分野であるが、酸素溶存量を低下させて窒素溶存量を高めた窒素溶存水及びその製造方法が知られている。特許文献5には、窒素溶存水を凍らせた窒素溶存氷で魚艙の水面を覆い、窒素ガス封入氷が融けることにより魚艙内の水の溶存酸素量を減少させることで、魚の鮮度を維持する技術が開示されている。
【0006】
特許文献6には、水の溶存酸素を窒素に置換して窒素を飽和溶存量まで溶解させた窒素飽和溶存水よりも、さらに多くの窒素を安定に含む窒素溶存水の製造システム及び製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−277163号公報
【特許文献2】特開2008−230961号公報
【特許文献3】特開平9−38417号公報
【特許文献4】特開2014−213479号公報
【特許文献5】特開2007−155172号公報
【特許文献6】特許6024060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2における耐炭酸化性能及び耐酸化性能に優れたコンクリートは、水以外のセメント等のコンクリート成分に特徴がある。特許文献3、4のコンクリート製造用水は、コンクリート製造に一度用いられた廃水を再利用するものであり、通常は、コンクリート製造用水において特別な処理は行われていない。
【0009】
本発明の目的は、鉄筋コンクリートにおけるコンクリートの中性化及び鉄筋の酸化を防止又は軽減できるコンクリート製造方法、及びこれを用いた鉄筋コンクリート構造物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明は以下の構成を有する。
本発明の態様は、コンクリート製造方法であって、大気をエアコンプレッサにより取り込み圧縮空気とし窒素分離膜により前記圧縮空気から酸素をパージして取り出した窒素ガスを水に注入することにより、大気圧下において温度により決まる水の酸素溶存量及び二酸化炭素溶存量を低減又はほぼ零として酸素及び二酸化炭素に替えて窒素を溶存させた水である窒素溶存水を生成する工程と、前記窒素溶存水と、セメントと、骨材と、混和剤とを混練することにより生コンクリートを生成する工程と、を含むことを特徴とする。前記骨材として、前記窒素溶存水により洗浄したものを用いることが好適である。
本発明の別の態様は、鉄筋コンクリート構造物の製造方法であって、上記の窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法により製造された生コンクリートを用いて鉄筋コンクリート構造物を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンクリート製造方法では、原料の水に窒素ガスを注入することにより溶存する酸素及び二酸化炭素を窒素に置換した窒素溶存水を生成し、これをコンクリート製造用水として用いる。窒素溶存水を用いて製造された生コンクリートは、通常の水を用いて製造した生コンクリートに比べて二酸化炭素を含まないので、耐中性化特性が向上する。さらに、本発明により製造された生コンクリートを用いて形成された鉄筋コンクリート構造物は、通常の鉄筋コンクリート構造物に比べてコンクリートが酸素を含まないので、耐酸化特性が向上する。この結果、中性化及び酸化による鉄筋コンクリート構造物の劣化を防止又は軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法に用いるシステム構成の一例を示した概略的構成図である。
図2図2は、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法に用いるシステム構成の別の例を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本明細書中において、水の「窒素置換」とは、大気圧下において温度により決まる水の酸素溶存量及び二酸化炭素溶存量を著しく低減又はほぼ零とし、酸素及び二酸化炭素に替えて窒素を溶存させることを意味する。また、このようにして得られた水を「窒素溶存水」と称する。さらに、窒素溶存水には、酸素及び二酸化炭素が窒素に置換され、そしてさらにそれより多い窒素を溶存させた水も含まれるものとする。また本明細書中において、ガスが液体中に「溶存」するとは、ガスが分子レベルで液体中に溶けている場合の他に、ガスが微細気泡として液体中に安定に存在する場合を含むものとする。
【0014】
図1は、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法を適用したコンクリート製造システムの一例を示した概略的構成図である。図中の白矢印はガスの流れを示し、黒矢印は固体(粉体)又は液体の流れ又は移送を示す。
【0015】
コンクリート製造システムは、窒素溶存水生成システムと、コンクリートの各成分を混練するミキサ5とから構成されている。本例では、窒素溶存水生成システムとミキサ5が同じ場所に設置されている。別の例として、窒素溶存水生成システムがミキサ5とは別の場所に設置されていてもよい。その場合は、窒素溶存水生成システムにより製造された窒素溶存水をミキサ5の設置場所に搬送し、コンクリート製造用水として用いる。
【0016】
窒素溶存水生成システムは、水タンク4を有し、水タンク4に充填された水を循環させて窒素ガスを注入する窒素ガス注入装置を有する。窒素ガス注入装置は、本構成例では、エアコンプレッサ1と、窒素ガス抽出器2と、窒素ガス注入器3とから構成されている。エアコンプレッサ1は、大気を圧縮して窒素ガス抽出器2に送る。例えば、供給エア圧力が0.5から0.9MPaのものを用いる。
【0017】
窒素ガス抽出器2は、ポリイミド中空糸膜からなる窒素分離膜を設けた圧力容器の一端に圧縮空気を取り込み、横の口から酸素をパージし、圧力容器の多端から窒素ガスを取出すものである。気体の種類により膜の透過速度が異なることを利用したものである。
【0018】
窒素ガス注入器3は、例えば1時間あたり2t(2m)の水を通過させて窒素ガス注入を行い、酸素溶存量をほぼ零とするまで酸素を追い出す能力を有する。窒素ガス注入器3は、窒素ガスを噴出する注入ノズル(図示せず)を有し、例えば最大0.8MPaの高圧の窒素ガスが水中に注入される。窒素ガス注入器3の注入ノズルは、窒素置換を効率的に行うために、注入する窒素ガスの気泡をできるだけ細かくする構造を具備するものが好適である。例えば、脱気装置「リプレル」(登録商標:(株)片山化学工業研究所製)のように、窒素ガス抽出器2と窒素ガス注入器3を一体に構成した装置がある。
【0019】
水タンク4と窒素ガス注入器3の間には、水を往復循環させるための送水パイプからなる循環経路が形成される。循環経路上には循環ポンプ31が設けられる。循環する水に対して窒素ガスが注入されることにより、水の溶存酸素が追い出され窒素置換される。
【0020】
水タンク4は、天井に開閉バルブ41を設けている。開閉バルブ41は、水タンク4の内部空間(水の表面と天井の間の空間)と外部とを連通又は遮断する。好ましくは、開閉バルブ41を除いて、窒素ガス注入器3と第1水タンク4と循環経路とは、水及び気体に対して密閉性を有する構造となっている。図示しないが、水タンク4は、水温を計測するための温度計と、水の溶存酸素量を計測するための溶存酸素計等を具備することが好ましい。水タンク4の容量は、製造するコンクリートの量に応じて適宜選択する。
【0021】
図示しないが、好ましくは制御部を有し、窒素ガス注入装置におけるエアコンプレッサ1及び循環ポンプ31の稼動と停止を制御する。また制御部は、開閉バルブ41の開閉を制御する。さらに制御部は、温度計及び溶存酸素計の計測値に基づいて窒素ガス注入装置の稼動と停止及び開閉バルブ41の開閉を制御する。これらの制御は、マイコン等を用いて電気信号により行うことができる。
【0022】
水タンク4に原料の水を充填して窒素置換処理を開始した後、制御部は溶存酸素計の計測値をモニタリングし、それにより窒素置換の完了を検知する。窒素置換を行う間、制御部は、開閉バルブ41を開状態としておく。これにより、水から追い出された酸素及び二酸化炭素が開閉バルブ41を通って外部に放出される。開閉バルブ41が開状態であるので、窒素置換を行う間の水タンク4の内部空間は大気圧である。なお、開閉バルブ41は、開状態においては外部への放出のみを可能とする逆止弁としての機能も有する。窒素置換が完了した時点で、水の溶存酸素及び溶存二酸化炭素が窒素に置換された窒素溶存水が得られる。このようにして得られた窒素溶存水を、コンクリート製造用水として用いる。
【0023】
生コンクリートを製造するために、水タンク4から移送ポンプ42によりミキサ5へ窒素溶存水を送る。窒素溶存水の他に、セメント、粗骨材と細骨材とからなる骨材、混和剤を少なくとも含むコンクリートの各成分をミキサ5に投入し、通常の製造方法と同様に混練する。窒素溶存水以外の各成分の種類及び組成は、通常のコンクリート製造方法におけるものと同様でよい。すなわち、必要なコンクリート特性に応じて各成分の種類び組成を決定する。本発明により製造された生コンクリートは、窒素溶存水、セメント、骨材及び混和剤を少なくとも成分として含む混合物である。
【0024】
骨材は砕石や砂利等から構成される。現状では、塩分を含まない陸上の砕石や砂利が用いられている。海から採取した砕石や砂利は、水で洗浄して塩分を除去すれば骨材として使用可能となる。その場合、骨材の洗浄水として窒素溶存水を用いることが好ましい。
【0025】
生コンクリートを混練する際には反応によって混合物が発熱するため、冷水を用いたり氷を投入したりすることが一般的に行われている。従って、本発明の別の例として、水タンク4で得られた窒素溶存水を製氷機で氷とし、氷の形態でミキサ5に投入してもよい。コンクリートに配合する窒素溶存水の一部又は全部を氷として混合する場合、必要な水の全量を考慮して氷の量を決定する。
【0026】
好ましくは、図1に示すように、ミキサ5における混練の際に、窒素ガス抽出器2により取り出された窒素ガスをミキサ5内の混合物に送出する。これにより、窒素溶存水に二酸化炭素や酸素が再度取り込まれることを防止し、溶存窒素を維持する。別の例として、図1のエアコンプレッサ1及び窒素ガス抽出器2から窒素を供給せず、一般的な窒素ガスボンベを用いてミキサ5内の混合物に窒素ガスを供給してもよい。
【0027】
このように本発明による製造方法によってコンクリート、いわゆる生コンクリートが得られる。生コンクリートは、使用場所で製造した場合は直ちに使用される。また、生コンクリートは、製造プラントで製造され、コンクリートミキサ車により使用場所に搬送されて使用される場合もある。後者の場合、生コンクリート製造プラントにおける水として窒素溶存水が用いられる。その場合、生コンクリート製造プラントの一部として、窒素溶存水生成システムを組み込むことができる。
【0028】
コンクリートミキサ車で生コンクリートを搬送する場合、搬送中の生コンクリートに窒素ガスを供給するために、コンクリートミキサ車に窒素ガス供給設備を設けることが好ましい。窒素ガス供給設備は、例えば、図1に示したエアコンプレッサ1と窒素ガス抽出機2の組合せか、又は、一般的な窒素ガスボンベである。
【0029】
窒素溶存水を用いて製造した生コンクリートは、通常の水(水道水)を用いて製造した生コンクリートに比べて二酸化炭素を含まない。従って、硬化後のコンクリートの耐中性化特性が向上する。さらに、本発明により製造した生コンクリートを用いて形成された鉄筋コンクリート構造物は、通常の鉄筋コンクリート構造物に比べて硬化後のコンクリートが酸素を含まないので、耐酸化特性が向上する。この結果、中性化及び酸化による鉄筋の劣化や発錆が軽減され、鉄筋コンクリート構造物の劣化を防止又は軽減できる。
【0030】
窒素溶存水生成システムは、水タンク4に冷却設備を付設することが好ましい。図1の例では、水タンク4の外部に設置した冷却機6との間でポンプ43により水を循環させている。これにより、水温を低下させて窒素置換を行うことができる。窒素溶存量は低温になるほど大きくなるので、低温とすることが好ましい。水温は例えば5℃程度に保持する。制御部が、温度計の計測値に基づいて冷却設備を制御してもよい。
【0031】
好適例として、窒素置換が完了した後、開閉バルブ41を閉状態とし、水タンク4を完全に密閉状態とする。その後さらに、例えば5分〜10分程度の所定時間だけ窒素ガス注入装置の稼動を継続する。水タンク4が完全に密閉状態であるので、水タンク4の内部空間は、水中に注入された窒素ガスの気泡が上昇して内部空間に放出され、大気圧より高い高圧状態の窒素雰囲気となる。
【0032】
高圧状態の窒素雰囲気下にある水タンク4において、窒素溶存水中に継続して注入された窒素ガスは、その温度及び圧力における窒素飽和溶存量まで水に溶解する。このときの窒素飽和溶存量は大気圧の空気雰囲気下におけるよりも多い。所定時間の後、窒素ガス注入装置を停止させる。この時点で、水タンク4の窒素溶存水は、大気圧下の窒素溶存水よりもさらに二酸化炭素及び酸素が除去されておりかつ多くの窒素を含むので、コンクリート製造用水としてさらに好適である。
【0033】
図2は、窒素溶存水を用いたコンクリート製造方法を適用した製造システムの別の例を示す概略構成図である。図1と同じ構成については説明を省略する。図2の構成においては、窒素ガス抽出器2により抽出された窒素ガスを、水タンク4の水中に設置されたノズル装置45に供給することにより、窒素置換を行う。ノズル装置45は、長尺の管であり、その管壁に多数の孔を形成されている。窒素ガスは、多数の孔から微細な気泡として水中に注入される。これにより、窒素溶存水中の窒素が長期間安定に存在することができる。窒素の気泡は細かいほど安定性がよく、マイクロサイズよりもナノサイズが好ましい。また、図2の構成では、一般的な窒素ガスボンベ7を用いてミキサ5に窒素ガスを注入している。
【実施例】
【0034】
原料の水(水道水)と、上述した窒素溶存水生成システムにより得られる窒素溶存水の比較試験を行った。
<試料>
・比較例の試料:水道水
・実施例の試料:図1の製造システムにおける窒素溶存水生成システムにより生成された窒素溶存水
【0035】
<試験方法>
比較例の試料と実施例の試料を採取後に同じ条件の容器に密封し、同じ条件下で採取当日、採取3日後、採取5日後の各試料の温度、溶存酸素及び残留塩素を計測した。
<試験結果>
表1に試験結果をまとめて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、実施例は比較例よりも低温で計測したにも拘わらず、実施例の溶存酸素は比較例の約10分の1であり、溶存酸素が十分に除去されていることがわかる。
【0038】
また、残留塩素についても実施例では比較例よりも低い。残留塩素は、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンである遊離塩素を含み、強い酸化性を示すものである。窒素溶存水は残留塩素が少ないことからも、耐酸化特性の向上したコンクリートの製造に適しているといえる。
【0039】
さらに、pH値についても実施例では比較例よりアルカリ性の方に偏っている。従って、窒素溶存水は、耐中性化特性の向上したコンクリートの製造に適しているといえる。
【符号の説明】
【0040】
1 エアコンプレッサ
2 窒素ガス抽出器
21 切換バルブ
3 窒素ガス注入器
31 循環ポンプ
4 水タンク
5 ミキサ
6 冷却機
7 窒素ガスボンベ
41 開閉バルブ
42、43 移送ポンプ
45 ノズル装置
図1
図2