(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1)本実施形態の編地の構造
1−1)全体説明
以下では、本実施形態の編地1を編成する方法について説明することで、本実施形態の編地1の構造について説明する。
【0020】
本実施形態の編地1は、丸編機で編成される。そのため、
図1及び
図2はいずれも、丸編機で編成するときの編成方法を示している。
本実施形態の編地1は、
図1に示す第1レピート部3と、
図2に示す第2レピート部5とがコース方向に交互に編成された編地である。
【0021】
第1レピート部3は、
図1に示すように、コース方向(
図1の上下方向)に1F〜18Fの段階を経て編成され、第2レピート部5は、
図2に示すように、コース方向(
図2の上下方向)に19F〜36Fの段階を経て編成される。なお、本実施形態の編地1は、丸編機で下の段階から順に編成されるため、
図1及び
図2では、一番下が最も若い番号の段階になっている。
【0022】
本実施形態の編地1を編成する丸編機は、ウエール方向(
図1及び
図2の左右方向)に裏表とも2400の編目の編地を編成することが可能な編み機である。しかし、
図1及び
図2では、編地1の2400の編目の一部である16個半の編目を示している。
【0023】
また、本実施形態の編地1は、裏地部7と表地部8,9とを有するため、
図1及び
図2では各段階をダイヤル側とシリンダ側に分け、ダイヤル側(上段側)で裏地部7の編成方法を示し、シリンダ側(下段側)で表地部8,9の編成方法を示している。裏地部7と表地部8,9とは、編目を半個分だけずらして編まれるので、
図1及び
図2では、ダイヤル側の編目のうち、ウエール方向の右端の編目についてだけ半個分の編目で表し、シリンダ側の編目のうち、ウエール方向の左端の編目についてだけ半個分の編目で表している。ダイヤル側の編目もシリンダ側の編目も、半個分の編目を除き、左側から順に1番から16番目の編目として以下説明する。
【0024】
なお、本実施形態の編地1は、表地部8,9が2種類あり、第1レピート部3の表地部を第1表地部8、第2レピート部5の表地部を第2表地部9と以下呼ぶ。
1−2)第1レピート部3
1−2−1)裏地部7
本実施形態の編地1の第1レピート部3では、裏地部7が、下記に示す6つの段階で、ウエール方向に裏糸18を編成し、各段階の裏糸18をコース方向にも編成することで形成される。
【0025】
裏地部7は、
図1に示すように、第1段階(1F)と、第4段階(4F)と、第7段階(7F)と、第10段階(10F)と、第13段階(13F)と、第16段階(16F)とで、ウエール方向に黒色の裏糸18を用いて編成される。裏糸18は、図中では、実線で示している。
【0026】
第1段階(1F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の1番及び9番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0027】
第4段階(4F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の2番及び10番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0028】
第7段階(7F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の3番及び11番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0029】
第10段階(10F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の4番及び12番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0030】
第13段階(13F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の5番及び13番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0031】
第16段階(16F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の6番及び14番の編目にタックが入れられて裏地編成部70を編成する。
【0032】
このように、裏地部7は、各段階で、タックと、このタックに引き続いて4回交互に繰り返されるウエルト及びニットとを繰返単位として、裏糸をウエール方向に繰り返し編成して、それぞれ裏地編成部70を形成し、これら各段階の裏地編成部70をコース方向に編成することで形成される。
【0033】
また、裏地部7では各段階で複数のタックがなされているが、本実施形態の編地1は、これらタックによって裏地部7と第1表地部8側とを互いに引っ掛けることで、裏地部7と第1表地部8との二層構造の編み地を構成している。
【0034】
さらに、第1レピート部3では、各裏地部7の各段階でなされる各タックが、第1段階(1F)では、第1表地部8側の1番及び9番の編目でなされ、第4段階(4F)では、第1表地部8側の2番及び10番の編目でなされ、第7段階(7F)では、第1表地部8側の3番及び11番の編目でなされ、第10段階(10F)では、第1表地部8側の4番及び12番の編目でなされ、第13段階(13F)では、第1表地部8側の5番及び13番の編目でなされ、第16段階(16F)では、第1表地部8側の6番及び14番の編目でなされることにより、コース方向に対して傾いた第1傾斜線30に沿って配置されるように編成されている。
【0035】
1−2−2)第1表地部8
本実施形態の編地1の第1レピート部3では、第1表地部8が、下記に示す12つの段階で、ウエール方向に第1表糸10及び第2表糸12を編成し、各段階の第1表糸10及び第2表糸12をコース方向にも編成することで形成される。第1表糸10は図中では一点鎖線で表される。第2表糸12は図中では点線で表される。
【0036】
第1表地部8は、第2段階(2F)と、第5段階(5F)と、第8段階(8F)と、第11段階(11F)と、第14段階(14F)と、第17段階(17F)とで、ウエール方向に赤色の第1表糸10が編成されることにより形成される。
【0037】
また、第1表地部8は、第3段階(3F)と、第6段階(6F)と、第9段階(9F)と、第12段階(12F)と、第15段階(15F)と、第18段階(18F)とで、ウエール方向に緑色の第2表糸12が編成されることにより形成される。
【0038】
第2段階(2F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の1番〜4番、9番〜12番の編目でニットされ、5番〜8番、13番〜16番の編目でウエルトされて、第3段階(3F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の5番〜8番、13番〜16番の編目でニットされ、1番〜4番、9番〜12番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0039】
第5段階(5F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の2番〜5番、10番〜13番の編目でニットされ、1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でウエルトされて、第6段階(6F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でニットされ、2番〜5番、10番〜13番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0040】
第8段階(8F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の3番〜6番、11番〜14番の編目でニットされ、1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でウエルトされて、第9段階(9F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でニットされ、3番〜6番、11番〜14番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0041】
第11段階(11F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の4番〜7番、12番〜15番の編目でニットされ、1番〜3番、8番〜11番、16番の編目でウエルトされて、第12段階(12F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の1番〜3番、8番〜11番、16番の編目でニットされ、4番〜7番、12番〜15番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0042】
第14段階(14F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の5番〜8番、13番〜16番の編目でニットされ、1番〜4番、9番〜12番の編目でウエルトされ、第15段階(15F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の1番〜4番、9番〜12番の編目でニットされ、5番〜8番、13番〜16番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0043】
第17段階(17F)の第1表地部8を編成する第1表糸10が、シリンダ側の1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でニットされ、2番〜5番、10番〜13番の編目でウエルトされ、第18段階(18F)の第1表地部8を編成する第2表糸12が、シリンダ側の2番〜5番、10番〜13番の編目でニットされ、1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でウエルトされて、第2表糸12による第1表糸編成部80を編成する。
【0044】
このように、第1表地部8は、4回連続してニットした第1表糸10と、第1表糸10に連続して4回連続してニットした第2表糸12とを繰返単位として、第1表糸10及び第2表糸12をウェール方向に繰り返し編成して、それぞれ第1表糸編成部80を形成し、これら各段階の第1表糸編成部80をコース方向に編成することで形成される。
【0045】
なお、第1表地部8において、4回連続してニットした第1表糸10と、第1表糸10に連続して4回連続してニットした第2表糸12とを繰返単位とした理由は、裏地編成部70の繰返単位と同じ長さ編成した部分を繰返単位とするためである。
【0046】
1−2−3)第1レピート部3の全体構造
本実施形態では、第1レピート部3は、ウエール方向に各裏地編成部70と各第1表糸編成部80とを編成しながら、各裏地編成部70と各第1表糸編成部80とをそれぞれコース方向に編成することで、裏地部7及び第1表地部8が編成される。
【0047】
1−3)第2レピート部5
1−3−1)裏地部7
本実施形態の編地1の第2レピート部5の裏地部7は、第1レピート部3の裏地部7に続いて形成される。
【0048】
本実施形態の編地1の第2レピート部5の裏地部7は、下記に示す6つの段階で、ウエール方向に裏糸18を編成し、各段階の裏糸18をコース方向にも編成することで形成される。
【0049】
裏地部7は、
図2に示すように、第19段階(19F)と、第22段階(22F)と、第25段階(25F)と、第28段階(28F)と、第31段階(31F)と、第34段階(34F)とで、ウエール方向に黒色の裏糸18が編成される。
【0050】
第19段階(19F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の7番及び15番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0051】
第22段階(22F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の6番及び14番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0052】
第25段階(25F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の5番及び13番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0053】
第28段階(28F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の4番及び12番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0054】
第31段階(31F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でニットされ、2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の3番及び11番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0055】
第34段階(34F)の裏地部7を編成する裏糸18は、ダイヤル側の2番,4番,6番,8番,10番,12番,14番,16番の編目でニットされ、1番,3番,5番,7番,9番,11番,13番,15番の編目でウエルトされ、第1表地部8側の2番及び10番の編目にタックが入れられて裏地編成部70が編成される。
【0056】
このように、裏地部7は、第2レピート部5の裏地部7と同様、各段階で、タックと、このタックに引き続いて4回交互に繰り返されるウエルト及びニットとを繰返単位として、裏糸をウエール方向に繰り返し編成して、それぞれ裏地編成部70を形成し、これら各段階の裏地編成部70をコース方向に編成することで形成される。
【0057】
また、裏地部7では各段階で複数のタックがなされているが、本実施形態の編地1は、これらタックによって裏地部7と第2表地部9側とを互いに引っ掛けることで、裏地部7と第2表地部9との二層構造の編み地を構成している。
【0058】
さらに、第2レピート部5では、各裏地部7の各段階でなされる各タックが、第19段階(19F)では、第1表地部8側の9番及び15番の編目でなされ、第22段階(22F)では、第1表地部8側の8番及び14番の編目でなされ、第25段階(25F)では、第1表地部8側の7番及び13番の編目でなされ、第28段階(28F)では、第1表地部8側の4番及び12番の編目でなされ、第31段階(31F)では、第1表地部8側の3番及び11番の編目でなされ、第34段階(34F)では、第1表地部8側の2番及び10番の編目でなされることにより、コース方向に対して第1傾斜線30とは逆方向に傾いた第2傾斜線50に沿って配置されるように編成されている。
【0059】
1−3−2)第2表地部9
本実施形態の編地1の第1レピート部3では、第1表地部8が、下記に示す12の段階で、ウエール方向に第3表糸14及び第4表糸16を編成し、各段階の第3表糸14及び第4表糸16をコース方向にも編成することで形成される。
【0060】
第1表地部8は、第20段階(20F)と、第23段階(23F)と、第26段階(26F)と、第29段階(29F)と、第32段階(32F)と、第35段階(35F)とで、ウエール方向に黄色の第3表糸14が編成されることにより形成される。第3表糸14は図中では太い点線で示している。
【0061】
また、第1表地部8は、第21段階(21F)と、第24段階(24F)と、第27段階(27F)と、第30段階(30F)と、第33段階(33F)と、第36段階(36F)とで、ウエール方向に青色の第4表糸16が編成されることにより形成される。第4表糸16は図中では二点鎖線で示している。
【0062】
第20段階(20F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でニットされ、3番〜6番、11番〜14番の編目でウエルトされて、第21段階(21F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の3番〜6番、11番〜14番の編目でニットされ、1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0063】
第23段階(23F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でニットされ、2番〜5番、10番〜13番の編目でウエルトされて、第24段階(24F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の2番〜5番、10番〜13番の編目でニットされ、1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0064】
第26階(26F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の5番〜8番、13番〜16番の編目でニットされ、1番〜4番、9番〜12番の編目でウエルトされて、第27段階(27F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の1番〜4番、9番〜12番の編目でニットされ、5番〜8番、13番〜16番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0065】
第29段階(29F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の4番〜7番、12番〜15番の編目でニットされ、1番〜3番、8番〜11番、16番の編目でウエルトされて、第30段階(30F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の1番〜3番、8番〜11番、16番の編目でニットされ、4番〜7番、12番〜15番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0066】
第32段階(32F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の3番〜6番、11番〜14番の編目でニットされ、1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でウエルトされ、第33段階(33F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の1番〜2番、7番〜10番、15番〜16番の編目でニットされ、3番〜6番、11番〜14番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0067】
第35段階(35F)の第2表地部9を編成する第3表糸14が、シリンダ側の2番〜5番、10番〜13番の編目でニットされ、1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でウエルトされ、第36段階(36F)の第2表地部9を編成する第4表糸16が、シリンダ側の1番、6番〜9番、14番〜16番の編目でニットされ、2番〜5番、10番〜13番の編目でウエルトされて、第4表糸16による第2表糸編成部90を編成する。
【0068】
このように、第2表地部9は、4回連続してニットした第3表糸14と、第3表糸14に連続して4回連続してニットした第4表糸16とを繰返単位として、第3表糸14及び第4表糸16をウェール方向に繰り返し編成して、それぞれ第2表糸編成部90を形成し、これら各段階の第2表糸編成部90をコース方向に編成することで形成される。
【0069】
なお、第2表地部9において、4回連続してニットした第3表糸14と、第3表糸14に連続して4回連続してニットした第4表糸16とを繰返単位とした理由は、裏地編成部70の繰返単位と同じ長さ編成した部分を繰返単位とするためである。
【0070】
1−3−3)第2レピート部5の全体構造
本実施形態では、第2レピート部5は、ウエール方向に各裏地編成部70と各第2表糸編成部90とを編成しながら、各裏地編成部70と各第2表糸編成部90とをそれぞれコース方向に編成することで、裏地部7及び第2表地部9が編成される。
【0071】
2)本実施形態の特徴的な作用効果
以上のように構成された本実施形態の編地1を構成する裏地部7は、裏地編成部70が、ウエルトとニットをウエール方向に交互行った構成なので、
図3及び
図4に示すように、編み終わった後、ニットした部分が互いに近づいてウェール方向に縮む。一方、本実施形態の編地1の表地部8,9は、第1表糸編成部80及び第2表糸編成部90が、いずれも連続してニットしたものなので、裏地編成部70がウエール方向に縮むと、裏地部7と表地部8,9とを引っ掛けているウエール方向に並んだタック間の中央部分が立ち上がる。
【0072】
また、本実施形態の編地1は、第1レピート部3では、コース方向に対して傾いた第1傾斜線30に沿ってタックが並び、第2レピート部5では、第1傾斜線30とは逆方向に傾いた第2傾斜線50に沿ってタックが並ぶので、表地部8,9の中で立ち上がった頂点部分も、第1傾斜線30又は第2傾斜線50に沿って並ぶ。しかも、第1傾斜線30及び第2傾斜線50は連続している。そのため、本実施形態の編地1は、編み上がると、
図5(a)に示すように、表地部8,9の中で立ち上がった頂点部分が、第1傾斜線30及び第2傾斜線50に沿ってジグザグに並ぶ。
【0073】
しかも、本実施形態の編地1は、第1表糸編成部80のうちウエール方向に並んだ各タック間が、第1表糸10と第2表糸12とで半分ずつ編成されているので、
図5(b)に示すように、第1傾斜線30に沿って並んだ頂点部分の両側に第1表糸10で形成された傾斜面10aと、第2表糸12で形成された傾斜面12aとが形成されることになる。
【0074】
同様に、本実施形態の編地1は、第2表糸編成部90のうちウエール方向に並んだ各タック間が、第3表糸14と第4表糸16とで半分ずつ編成されているので、
図5(c)に示すように、第2傾斜線50に沿って並んだ頂点部分の両側に第3表糸14で形成された傾斜面14aと、第4表糸16で形成された傾斜面16aとが形成されることになる。
【0075】
したがって、本実施形態の編地1は、第1〜第4の表糸10〜16が異なる色の糸で構成されているので、各表糸10〜16で形成された各傾斜面に対向する位置から見た場合、4つの色に色が変化する。その結果、本実施形態の編地1は、多彩な色彩感覚を観者に与えることができる。
【0076】
また、本実施形態の編地1は、タックによって裏糸18が第1表地部8又は第2表地部9に引っ掛けられているので、編地1が編み上がった後、表側から裏糸18が見えにくい。
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0077】
(1)上記実施形態で説明した編地1は、4色の表糸で構成したが3色又は2色で構成してもよい。または4色以上の表糸で形成してもよい。
(2)上記実施形態では、タックによって裏糸18を第1表地部8又は第2表地部9に引っ掛けているが、ニットによって引っ掛けてもよい。
【0078】
(3)上記実施形態では、異なる色の表糸10〜16を用いたが、これらの表糸10〜16として異なる模様の杢糸を用いることができる。この場合、各表糸10〜16で形成された各傾斜面に対向する位置から見た場合、4つ模様に変化するので、これらの表糸10〜16で編成した編地1は、多様な模様感覚を観者に与えることができる。
【0079】
(4)上記実施形態では、異なる色の表糸10〜16を用いたが、これらの表糸10〜16として異なる光沢の色を用いることができる。この場合、各表糸10〜16で形成された各傾斜面に対向する位置から見た場合、4つ光沢に変化するので、これらの表糸10〜16で編成した編地1は、多様な光沢感覚を観者に与えることができる。
【0080】
(5)本発明の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。