特許第6903322号(P6903322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903322
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/14 20060101AFI20210701BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   F24C15/14 D
   F24C3/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-143282(P2017-143282)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-23538(P2019-23538A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2020年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康弘
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−053608(JP,A)
【文献】 実開昭53−038580(JP,U)
【文献】 実開平04−132308(JP,U)
【文献】 実開昭58−049119(JP,U)
【文献】 特開2015−137771(JP,A)
【文献】 米国特許第04458661(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00−15/14
F24C 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口され、左右方向における中央部にグリル庫が配置される筐体と、
前記筐体の側壁同士を前記グリル庫の上方において架設する架設部材と、
前記架設部材に取り付けられるコンロバーナと、
前記コンロバーナを含む複数のバーナに燃料を供給する複数の燃料供給装置と
を備えたコンロであって、
前記複数の燃料供給装置のうち一部の燃料供給装置は、前記筐体の前記側壁のうち第一方向の側の前記側壁である第一側壁と前記グリル庫との間に配置され、
前記複数の燃料供給装置のうち前記一部の燃料供給装置とは異なる他の燃料供給装置は、前記筐体の前記側壁のうち前記第一側壁とは反対側の第二側壁と前記グリル庫との間に配置され、
前記架設部材の下側を延びる第一延設部及び前記第一延設部の前方において前記架設部材の下端よりも上方に突出する第一突出部を有し、前記第一突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置して前記一部の燃料供給装置の上側を覆った状態で前記筐体に対して固定される第一部材と、
前記架設部材の下側を延びる第二延設部及び前記第二延設部の前方において前記架設部材の下端よりも上方に突出する第二突出部を有し、前記第二突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置して前記他の燃料供給装置の上側を覆った状態で前記筐体に対して固定される第二部材と
を備え、
前記筐体に固定される前の状態の前記第一部材及び前記第二部材は、前記第一延設部及び前記第二延設部を前記架設部材の下側に配置し、前記第一突出部及び前記第二突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置した状態で、前記架設部材に沿った方向に移動可能であることを特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記第一部材の左右方向の長さである第一長さは、前記筐体の前記第一側壁と、前記グリル庫の側部のうち前記第一側壁と対向する側の第一側部との間の左右方向の長さよりも長く、且つ、前記第一長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短く、
前記第二部材の左右方向の長さである第二長さは、前記筐体の前記第二側壁と、前記グリル庫の前記側部のうち前記第一側部とは反対側の第二側部との間の左右方向の長さよりも長く、且つ、前記第二長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短く、
前記第一突出部及び前記第二突出部は、前記架設部材に沿って上方に突出していることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記第一部材及び前記第二部材が上下方向に互いに重ね合された状態において、
前記第一延設部及び前記第二延設部のなす上下方向の長さは、前記グリル庫の上面と前記架設部材との間の上下方向の長さよりも短く、
前記第一部材及び前記第二部材のなす左右方向の長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記第一部材の形状と前記第二部材の形状とが同一であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンロ。
【請求項5】
前記第一延設部及び前記第二延設部は、前記第一延設部及び前記第二延設部のそれぞれの上面よりも一段下方に窪んだ部分である第一部分と、前記第一部分よりも下方に位置し、正面視で弧状に窪んで前記第一部分側から後方に向けて延びる第二部分とを備え、
前記第二部分の後端部は、前方から後方に向けて拡径するラッパ状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロバーナの有する貫通口からコンロの内部へ浸入した煮汁等の液体がコンロ内部の各種機器にかかることを防止するためのカバー部材を設けたコンロが知られている。特許文献1に開示されたガスコンロは、平面視においてバーナの貫通口を含む部分に位置するように煮こぼれカバーを備える。煮こぼれカバーは、貫通口から進入した煮汁を受け、受けた煮汁を排出口から下方に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−137771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンロの製造過程において、コンロバーナ等に燃料を供給する燃料供給装置及び燃料供給装置に連結する燃料配管に種火を近づけることで、燃料供給装置及び燃料配管に燃料漏れが生じていないかを確認する作業が行われる。上記の煮こぼれカバーは、燃料供給装置に液体がかかることによる燃料供給装置等の故障を防止するため、燃料供給装置を覆うように設けられる。煮こぼれカバーが燃料供給装置の上方に設けられた状態では、作業者は、燃料漏れの有無を確認する作業を行いにくい。燃料漏れの有無を確認する作業を行った後に煮こぼれカバーを取り付けることも考えられる。しかしながら、バーナ受け桟等、コンロ筐体を横架する部材がコンロ筐体に設けられる場合には、コンロ筐体を横架する部材及びコンロバーナがコンロ筐体に取り付けられた後に煮こぼれカバーを取り付けることが難しいといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、筐体を横架する部材が設けられていても、燃料漏れの有無を確認する作業を行いやすく、カバー部材を取り付けやすいコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、上部が開口され、左右方向における中央部にグリル庫が配置される筐体と、前記筐体の側壁同士を前記グリル庫の上方において架設する架設部材と、前記架設部材に取り付けられるコンロバーナと、前記コンロバーナを含む複数のバーナに燃料を供給する複数の燃料供給装置とを備えたコンロであって、前記複数の燃料供給装置のうち一部の燃料供給装置は、前記筐体の前記側壁のうち第一方向の側の前記側壁である第一側壁と前記グリル庫との間に配置され、前記複数の燃料供給装置のうち前記一部の燃料供給装置とは異なる他の燃料供給装置は、前記筐体の前記側壁のうち前記第一側壁とは反対側の第二側壁と前記グリル庫との間に配置され、前記架設部材の下側を延びる第一延設部及び前記第一延設部の前方において前記架設部材の下端よりも上方に突出する第一突出部を有し、前記第一突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置して前記一部の燃料供給装置の上側を覆った状態で前記筐体に対して固定される第一部材と、前記架設部材の下側を延びる第二延設部及び前記第二延設部の前方において前記架設部材の下端よりも上方に突出する第二突出部を有し、前記第二突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置して前記他の燃料供給装置の上側を覆った状態で前記筐体に対して固定される第二部材とを備え、前記筐体に固定される前の状態の前記第一部材及び前記第二部材は、前記第一延設部及び前記第二延設部を前記架設部材の下側に配置し、前記第一突出部及び前記第二突出部を前記架設部材と前記筐体の前壁部との間に配置した状態で、前記架設部材に沿った方向に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記第一部材の左右方向の長さである第一長さは、前記筐体の前記第一側壁と、前記グリル庫の側部のうち前記第一側壁と対向する側の第一側部との間の左右方向の長さよりも長く、且つ、前記第一長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短く、前記第二部材の左右方向の長さである第二長さは、前記筐体の前記第二側壁と、前記グリル庫の前記側部のうち前記第一側部とは反対側の第二側部との間の左右方向の長さよりも長く、且つ、前記第二長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短く、前記第一突出部及び前記第二突出部は、前記架設部材に沿って上方に突出していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係るコンロは、請求項2に記載の構成に加えて、前記第一部材及び前記第二部材が上下方向に互いに重ね合された状態において、前記第一延設部及び前記第二延設部のなす上下方向の長さは、前記グリル庫の上面と前記架設部材との間の上下方向の長さよりも短く、前記第一部材及び前記第二部材のなす左右方向の長さは、前記グリル庫の左右方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加えて、前記第一部材の形状と前記第二部材の形状とが同一であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係るコンロは、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加えて、前記第一延設部及び前記第二延設部は、前記第一延設部及び前記第二延設部のそれぞれの上面よりも一段下方に窪んだ部分である第一部分と、前記第一部分よりも下方に位置し、正面視で弧状に窪んで前記第一部分側から後方に向けて延びる第二部分とを備え、前記第二部分の後端部は、前方から後方に向けて拡径するラッパ状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係るコンロは、第一部材が筐体に対して固定される前の状態で、第一部材の第一延設部を架設部材の下側に潜らせたまま第一突出部を架設部材に沿って移動させることができる。これにより、作業者は、一部の燃料供給装置に対する燃料漏れの有無を確認する作業を行いやすい。また、作業者は、燃料漏れがないことを確認した後、第一突出部を架設部材に沿って筐体の第一側壁に向けて移動させることで、第一部材を固定すべき位置に容易に配置できる。作業者は、第二部材についても第一部材と同様に、他の燃料漏れの有無を確認する作業時には第二部材を移動させることができ、作業終了後には、第二部材を固定すべき位置に容易に配置できる。したがって、請求項1に係るコンロは、筐体を横架する架設部材が設けられていても、燃料漏れの有無を確認する作業を行いやすく、また、第一部材及び第二部材を取り付けやすくできる。
【0012】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加え、第一部材が筐体に対して固定される前の状態で、第一部材をグリル庫の上側に退避させることができる。また、作業者は、作業終了後には、第一部材を固定すべき位置に容易に配置できる。作業者は、第二部材についても第一部材と同様に、作業時には第二部材をグリル庫の上側に退避させることができ、作業終了後には、第二部材を固定すべき位置に容易に配置できる。したがって、請求項2に係るコンロは、筐体を横架する架設部材が設けられていても、作業スペースを確保できる。
【0013】
請求項3に係るコンロは、請求項2に記載の発明の効果に加え、第一部材と第二部材とを上下方向に重ね合わせた状態で、第一部材と第二部材との双方をグリル庫の上側に配置できる。この場合、作業者は、第一部材と第二部材との双方をグリル庫の上側に退避させた状態で、一部の燃料供給装置に対する燃料漏れの有無を確認する作業と、他の燃料供給装置に対する燃料漏れの有無を確認する作業とを連続して行うことができる。作業終了後には、作業者は、第一部材を筐体の左側壁に向けて、第二部材を筐体の右側壁に向けて、それぞれ移動させることで、第一部材及び第二部材の双方を固定すべき位置に容易に配置できる。したがって、請求項2に係るコンロは、コンロの生産性を向上できる。
【0014】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加え、第一部材と第二部材とを互いに同一形状としているので、第一部材と第二部材とをぴったりと重ね合わせ易い。この場合、コンロは、第一部材及び第二部材をコンパクトに重ね合わせることができるので、燃料漏れの有無を確認する作業を行うためのスペースを筐体内部において確保しやすい。また、第一部材と第二部材とが共通化されるので、コンロ部品の管理コストが低減される。
【0015】
請求項5に係るコンロは、請求項1から4のいずれかに記載の発明の効果に加え、第一延設部及び第二延設部に受け止められた煮汁等の液体を、第一部分に溜めることができる。第二部分は、第一部分よりも下方に位置するので、第一部分に溜まった液体は第二部分に移動する。第二部分に移動した液体は、その後端部から後方に向けて排出される。第二部分の後端部がラッパ形状に形成されているので、後端部から排出される液体が第二部分の下面を伝いにくく、コンロは、燃料供給装置に液体が付着すること防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】天板3を省略したコンロ1の平面図である。
図3】第一カバー部31の斜視図である。
図4】第一カバー部31の右側面図である。
図5】第一カバー部31及び第二カバー部32をグリル庫25の上側に移動させた状態を示すコンロ1の平面図である。
図6】第一架設部材41、第二架設部材42、第三架設部材43及びバーナをさらに省略したコンロ1の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられているものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0018】
図1を参照して、コンロ1について説明する。コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口した略直方体状に形成される(図2参照)。天板3は、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5及び奥コンロバーナ6を挿通させるための開口(図示略)を有しており、筐体2の開口部分に天板3が設置されると、天板3の右手前に右コンロバーナ4、左手前に左コンロバーナ5、中央奥側に奥コンロバーナ6が配置される。天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル庫25(図2参照)からの燃焼排気を外部に排出する排気口7が設けられる。
【0019】
コンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル庫25の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が左右方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さの位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11〜14のそれぞれは、右コンロバーナ4、グリル庫25内のグリルバーナ(図示略)、奥コンロバーナ6、左コンロバーナ5の点火、消火及び火力調節を行うために操作される。右コンロバーナ4、左コンロバーナ5及び奥コンロバーナ6を総称する場合、以下では、単にバーナという。操作つまみ11〜14は、それぞれ、燃料供給装置51〜54(図5及び図6参照)の前端部に取り付けられる。
【0020】
図2を参照して、筐体2の内部の構造について説明する。筐体2は、筐体2の右側壁、左側壁、前側壁及び後側壁をなす、右側壁部21、左側壁部22、前側壁部23及び後側壁部24を備える。筐体2の内側上部に、右側壁部21と左側壁部22との間を左右方向に延びて横架する細長板状の第一架設部材41及び第二架設部材42が設けられる。第一架設部材41は前側に、第二架設部材42は後側に配置され、互いに略平行に設けられている。第一架設部材41の左右方向略中央部と第二架設部材42の左右方向略中央部との間に、前後方向に延びる細長板状の第三架設部材43が架設される。第一架設部材41、第二架設部材42及び第三架設部材43は、筐体2を補強するため、また、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5及び奥コンロバーナ6を筐体2の内側に支持するために設けられる。第一架設部材41の上面右側に右コンロバーナ4が、上面左側に左コンロバーナ5が、第二架設部材42と第三架設部材43との接続部の上側に奥コンロバーナ6が、それぞれ支持される。
【0021】
筐体2の内側の左右方向略中央部において、第一架設部材41、第二架設部材42及び第三架設部材43の下側に、略直方体状のグリル庫25が設けられる。右コンロバーナ4の下側に第一カバー部31が、左コンロバーナ5の下側に第二カバー部32が、それぞれ設けられる。右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の使用等により生じた煮こぼれ等の液体が、天板3の開口を介して筐体2の内部に滴下することがある。第一カバー部31及び第二カバー部32は、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5のそれぞれに対応する位置の天板3の開口から筐体2の内部に滴下する液体を受け止めるために設けられる。
【0022】
図2から図4を参照して、第一カバー部31の形状について説明する。本実施形態において、第一カバー部31と第二カバー部32とは、同一形状の同一部材である。したがって、第二カバー部32の説明を適宜省略する。図2に示すように、第一カバー部31は、平面視で略長方形状であり、金属製である。コンロ1は、第一カバー部31と第二カバー部32とを同一形状の同一部材とすることで、コンロ1の部品の管理コストを軽減できる。
【0023】
図3に示すように、第一カバー部31は、延設部301、突出部302及び前縁部308を主に備える。延設部301は、第一カバー部31のうち下側の位置において延びる部分である。突出部302は、延設部301の前方において、延設部301から上方に突出する部分である。突出部302は、第一斜面部302A、第二斜面部302B及び第三斜面部302Cを備える。第一斜面部302Aは、延設部301の前端部から、延設部301の上面に対して斜め上方に折り返して延びる。第二斜面部302Bは、第一斜面部302Aの前端部から前方に僅かに上り傾斜して延びる。第三斜面部302Cは、第二斜面部302Bの前端部から下方に折り返して延びる。このように形成される突出部302は、前後方向に同じ幅を有して左右方向に亘って延びる。前縁部308は、突出部302の前端部(第三斜面部302Cの下端部)から前方に、延設部301の上面と上下方向において略同じ高さで延び、第一カバー部31及び第二カバー部32の前縁部を構成する。前縁部308にはねじ孔309が設けられている。
【0024】
延設部301の左右方向略中央部には、第一部分305及び第二部分306が設けられる。第一部分305は、延設部301の上面よりも一段下方に、平面視で略正方形状に窪んだ部分である。第二部分306は、第一部分305の右側後部から後方に延びる溝状である。第二部分306は、前方から後方に向かうほど、延設部301に対して下方にU字状に窪んで形成される。すなわち、第二部分306は、第一部分305の側から第一カバー部31及び第二カバー部32の後端部の側に向けて下り傾斜する。延設部301の右側部分301A及び左側部分301Bは、それぞれ、第一部分305の中央部に向けて僅かに下り傾斜した形状に設けられる。延設部301の上面と第一部分305との境界部は、丸みを帯びて形成され、延設部301と第一部分305とが滑らかに接続する。第一部分305と第二部分306との境界部も丸みを帯びて形成され、第一部分305と第二部分306とが滑らかに接続する。
【0025】
図2に示すように、第一カバー部31の延設部301は、第一カバー部31がねじ孔309において筐体2の前側壁部23に対して所定のねじ(図示略)を用いてねじ止め固定された状態で、右コンロバーナ4の下方に配置される。このとき、第一カバー部31の右端部は筐体2の右側壁部21に接して配置され、左端部は、グリル庫25の上方に配置される。第二カバー部32の左端部は筐体2の左側壁部22に接して配置され、右端部は、グリル庫25の上方に配置される。
【0026】
図4に示すように、第二部分306の後端部306Aの下端から延設部301の上面までの長さ、すなわち延設部301の上下方向の厚さを、厚さT1とする。厚さT1は、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さい。したがって、第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に対して固定された状態で、第一カバー部31及び第二カバー部32それぞれの延設部301は、グリル庫25の上面と第一架設部材41との間の位置に配置される。
【0027】
延設部301の上面から突出部302の上端部までの長さ、すなわち突出部302の延設部301に対する高さを、高さHとする。高さHは、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも大きい。第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に対して固定された状態で、第一カバー部31及び第二カバー部32それぞれの前縁部308は、第一架設部材41の下端部と上下方向においてほぼ同じ位置に配置される。したがって、第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に対して固定された状態で、第一カバー部31及び第二カバー部32それぞれの突出部302が、第一架設部材41の下端部よりも上方に配置される。このため、第一カバー部31及び第二カバー部32それぞれの突出部302を第一架設部材41と前側壁部23との間の位置(筐体2の開口部の前縁部)に配置することで、第一カバー部31及び第二カバー部32が、第一架設部材41の下側をくぐるように配置される。
【0028】
このような第一カバー部31及び第二カバー部32の配置及び形状により、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5に対応する位置の天板3の開口から筐体2の内部に向けて滴下する液体は、延設部301の上面によって受け止められる。延設部301の右側部分301A及び左側部分301Bが、第一部分305の中央部に向けて傾斜しているので、延設部301の上面に到達した液体は、第一部分305に移動する。右側部分301A及び左側部分301Bと第一部分305とが滑らかに接続されているので、左側部分301Bと第一部分305の上面から第一部分305に向けて液体が集まりやすい。第一部分305に接続する第二部分306は、第一部分よりも低い位置に設けられており、第一部分305と第二部分306とが滑らかに接続されているので、第一部分305に溜まった液体は第二部分306へ移動する。第二部分306は、第一部分305から離間して後方に向かうほど下方に位置するので、第二部分306に移動した液体は、第二部分306の上面を流下して、後端部306Aから延設部301の後方に向けて排出される。
【0029】
なお、図3に示すように、延設部301の後端部のうち、第二部分306が設けられない部分には、延設部301の上面から斜め上方に折り返された折返し部303,304が設けられる。このため、延設部301に受け止められた液体が、第二部分306の後端部306A以外の部分から延設部301の後方に排出されることが防止される。図4のW領域内に示すように、第二部分306の後端部306Aは、前方から後方に向けて溝部の径が拡大するように形成されている。このように、後端部306Aが前方から後方に向けて拡径するラッパ状に形成されているので、後端部306Aから延設部301の後方に排出される液体が、後端部306Aの下側に回って第二部分306の下面を伝うことが防止される。したがって、第二部分306の後端部306Aから排出される液体は、確実に第一カバー部31及び第二カバー部32よりも後方に排出される。
【0030】
前述したように、第一カバー部31及び第二カバー部32の延設部301の厚さT1は、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さい。グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの間の空間には、第一カバー部31及び第二カバー部32以外の部品は配置されない。このため、コンロ1を組み立てる作業者は、筐体2に固定される前の第一カバー部31及び第二カバー部32を、第一架設部材41の下側に延設部301をくぐらせた状態を保って、グリル庫25の上側の位置に移動させることができる。図5を参照して、筐体2に対して固定される前の第一カバー部31及び第二カバー部32が、第一架設部材41に沿って左右方向に移動可能である構成について説明する。第一カバー部31の突出部302が第一架設部材41と前側壁部23との間の位置(筐体2の開口部の前縁部)に配置され、第一架設部材41の下側に延設部301が配置されると、突出部302が、第一架設部材41に沿って左右方向に延びた状態で上方に突出する。このため、作業者は、筐体2の前側壁部23に対して固定される前の第一カバー部31を第一架設部材41に沿って左右方向にスライドさせることができる。このとき、突出部302が第一架設部材41に沿って延びているので、作業者は、突出部302を第一架設部材に沿わせることで、第一カバー部31を前後方向において同じ位置において左右方向にスライドさせることができる。作業者は、第二カバー部32についても、第一カバー部31と同様に、第一架設部材41に沿って左右方向にスライドできる。
【0031】
第一カバー部31と第二カバー部32とは、同一形状であるので、作業者は、第一カバー部31と第二カバー部32とを、上下方向に互いに重ね合わせることができる。本実施形態において、第一カバー部31と第二カバー部32とは、上下方向にぴったりと重ね合わせられる。このため、第一カバー部31と第二カバー部32とを重ね合わせた状態で、第一カバー部31の延設部301及び第二カバー部32の延設部301とがなす上下方向の厚さは、第一カバー部31又は第二カバー部32の延設部301単体の厚さT1に、第一カバー部31又は第二カバー部32の金属板の厚み等を加えたものとなる。この厚さは、厚さT1とほぼ同じ厚さである。本実施形態では、第一カバー部31と第二カバー部32とを重ね合わせた状態の第一カバー部31の延設部301及び第二カバー部32の延設部301とがなす上下方向の厚さが、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さい。したがって、作業者は、グリル庫25の上側にスライドさせた第一カバー部31と第二カバー部32とを、上下方向に互いに重ね合わせることで、重なり合う第一カバー部31及び第二カバー部32をグリル庫25の上側に配置できる。図5は、第一カバー部31を第二カバー部32の上側にして、第一カバー部31及び第二カバー部32が互いに重ね合されている状態を示す。なお、第一カバー部31と第二カバー部32とが、第二カバー部32を上側にして互いに重ね合されても、図5に示す場合と同様に、重なり合う第一カバー部31及び第二カバー部32がグリル庫25の上側に配置される。
【0032】
このような第一カバー部31及び第二カバー部32は、例えば次のような順序で筐体2の内部に取り付けられる。第一架設部材41、第二架設部材42、第三架設部材43及びバーナが取り付けられる前の状態の筐体2に対して、第一カバー部31及び第二カバー部32がグリル庫25の上側に載せ置かれる(図6参照)。なお、図6において、第一カバー部31と第二カバー部32とが、第一カバー部31を上側にして上下方向にぴったりと重ね合わされているとする。その後、第一架設部材41、第二架設部材42、第三架設部材43及びバーナが取り付けられる(図5参照)。その後、後述する所定の確認作業が行われた後、第一カバー部31は筐体2の右部に、第二カバー部32は筐体2の左部に、それぞれ第一架設部材41に沿ってスライドされる。その後、第一カバー部31及び第二カバー部32のねじ孔309が、筐体2の前側壁部23に対してねじ止めされる。
【0033】
図2図5及び図6を参照して、第一カバー部31及び第二カバー部32の大きさと筐体2の内部の構成との関係について説明する。なお、図6においては、図5に対して、第一架設部材41、第二架設部材42及び第三架設部材43の図示が省略されている。図5に示すように、第一カバー部31及び第二カバー部32が、最終的に取り付けられる位置からグリル庫25に向けて移動されると、作業者は、平面視で燃料供給装置51〜54を容易に視認できるようになる。燃料供給装置51は、操作つまみ11の後方に配置され、右コンロバーナ4に燃料であるガスを供給する。燃料供給装置52は、操作つまみ12の後方に配置され、グリルバーナにガスを供給する。燃料供給装置53は、操作つまみ13の後方に配置され、奥コンロバーナ6にガスを供給する。燃料供給装置54は、操作つまみ14の後方に配置され、左コンロバーナ5にガスを供給する。図6に示すように、燃料供給装置51,52は、筐体2の右側壁部21と、グリル庫25の右側部251との間に配置される。燃料供給装置53,54は、筐体2の左側壁部22と、グリル庫25の左側部252との間に配置される。グリル庫25の右側部251は、グリル庫25の右側部を構成し、筐体2の右側壁部21に対向して配置される。グリル庫25の左側部252は、グリル庫25の左側部を構成し、筐体2の左側壁部22に対向して配置される。
【0034】
コンロ1の組み立て作業時には、作業者は、燃料供給装置51〜54において燃料漏れ等の不具合が生じていないことを確認する作業を行う必要がある。燃料漏れの有無を確認する作業(以下、「確認作業」という。)は、例えば、コンロ1にガスが供給された状態で、燃料供給装置51〜54及び燃料供給装置51〜54に接続する燃料配管等に、ライターの火等の種火を近接させることで行われる。図2に示すように、第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に対して固定された状態では、第一カバー部31及び第二カバー部32が燃料供給装置51〜54の上側を覆っている。このような状態では、作業者は燃料供給装置51〜54を視認することが難しく、確認作業を行いにくい。本実施形態では、第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に対して固定される前の状態において、第一カバー部31及び第二カバー部32を第一架設部材41に沿って左右方向に容易に移動できる。よって、作業者は、第一カバー部31及び第二カバー部32を筐体2に対して固定する前に、第一カバー部31及び第二カバー部32を、燃料供給装置51〜54の上側から、燃料供給装置51〜54が配置されないグリル庫25の上側に退避させることができる。これにより、作業者は、確認作業を円滑に行うことができる。
【0035】
なお、図5は、第一カバー部31及び第二カバー部32が第一カバー部31を上側にして互いに重ね合された状態を示す。作業者は、第一カバー部31と第二カバー部32とを重ね合わせることで、第一カバー部31と第二カバー部32との双方を同時にグリル庫25の上側に配置できる。このため、作業者は、燃料供給装置51,52に対する確認作業と、燃料供給装置53,54に対する確認作業を、連続して行うことができる。すなわち、コンロ1は、確認作業を作業者に効率よく進めさせることができる。なお、第一カバー部31及び第二カバー部32は、確認作業時において、必ず同時にグリル庫25の上側に退避される必要はない。作業者は、第一カバー部31を右側壁部21に近接させた状態で第二カバー部32をグリル庫25の上側に退避させて燃料供給装置53,54に対する確認作業を行った後、第二カバー部32を左側壁部22に近接するよう移動させ、第一カバー部31をグリル庫25の上側に退避させて燃料供給装置51,52に対する確認作業を行ってもよい。
【0036】
図2に示すように、第一カバー部31の左右方向の長さは、長さM1であり、第二カバー部32の左右方向の長さは、長さM2である。本実施形態では、第一カバー部31と第二カバー部32とが同一部材なので、長さM1と長さM2とは同じ長さである。図6に示すように、筐体2の右側壁部21とグリル庫25の右側部251との間の長さは、長さL1であり、筐体2の左側壁部22とグリル庫25の左側部252との間の長さは、長さL2である。長さM1は、長さL1よりも長い。長さM2は、長さL2よりも長い。なお、第一カバー部31及び第二カバー部32が筐体2に固定された状態で、第一カバー部31及び第二カバー部32の後端部は、燃料供給装置51〜54よりも後方に配置される。このため、第一カバー部31の右端部が右側壁部21に接した状態で第一カバー部31が筐体2に対して固定された場合、第一カバー部31は、燃料供給装置51,52の上側全体を覆う。また、第二カバー部32の左端部が左側壁部22に接した状態で第二カバー部32が筐体2に対して固定された場合、第二カバー部32は、燃料供給装置53,54の上側全体を覆う。このため、第一カバー部31及び第二カバー部32によって受け止められた液体は、それぞれの第一部分305及び第二部分306を介して、第二部分306の後端部306Aから燃料供給装置51〜54よりも後方に排出される。よって、コンロ1は、燃料供給装置51〜54に液体がかかることを防止できる。
【0037】
図6に示すように、グリル庫25の右側部251と左側部252との間の長さ、すなわち、グリル庫25の左右方向の長さは、長さL3である。長さM1及び長さM2は、長さL3よりも短い。したがって、コンロ1は、筐体2に対して固定される前の第一カバー部31及び第二カバー部32を、グリル庫25の左右方向の外側にはみ出すことなく、グリル庫25の上側に退避させることができる。コンロ1は、燃料供給装置51〜54の上側から第一カバー部31及び第二カバー部32を完全に退避させることができるので、確認作業のための作業スペースを燃料供給装置51〜54の上側の位置に十分確保できる。なお、第一カバー部31と第二カバー部32とは同一形状であるので、コンロ1は、グリル庫25の上側において、第一カバー部31と第二カバー部32とを上下方向にぴったりと重ね合わせた状態で配置できる。上下方向に互いに重なり合った状態の第一カバー部31及び第二カバー部32がなす左右方向の長さは、第一カバー部31又は第二カバー部32単体の長さM1又は長さM2とほぼ同じである。本実施形態では、上下方向に互いに重なり合った状態の第一カバー部31及び第二カバー部32がなす左右方向の長さが、グリル庫25の左右方向の長さL3よりも短くされている。このため、作業者は、グリル庫25の上側にスライドさせた第一カバー部31及び第二カバー部32を、上下方向に互いに重ね合わせた状態で、グリル庫25の左右方向の外側にはみ出すことなくグリル庫25の上側に配置できる。このように、コンロ1は、第一カバー部31と第二カバー部32について燃料供給装置51〜54に液体がかからないための十分な大きさを確保でき、確認作業を行うための作業スペースも十分に確保できる。
【0038】
以上説明したように、コンロ1は、筐体2に対して最終的に固定される前の状態の第一カバー部31及び第二カバー部32を、第一架設部材41に沿って左右方向にスライドさせることができる。これにより、コンロ1は、確認作業のための作業スペースを、燃料供給装置51〜54の上側の位置に確保できる。作業者は、確認作業の終了後、第一カバー部31及び第二カバー部32のそれぞれを、第一架設部材41に沿って筐体2の右部及び左部にスライドさせることで、最終的な取付位置に第一カバー部31及び第二カバー部32のそれぞれを容易に配置できる。したがって、コンロ1は、筐体2を左右方向に架設する第一架設部材41を有していても確認作業を行いやすく、また、第一カバー部31及び第二カバー部32を筐体2に取り付けやすくできる。
【0039】
第一カバー部31及び第二カバー部32の延設部301の上下方向の厚さである厚さT1は、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さい。よって、コンロ1は、筐体2に取り付けられる前の第一カバー部31及び第二カバー部32を、第一架設部材41にくぐらせた状態のまま、グリル庫25の上側に配置できる。このため、作業者は、確認作業を行いやすい。作業者は、確認作業の終了後、第一カバー部31及び第二カバー部32を第一架設部材41に沿って移動させることで、第一カバー部31及び第二カバー部32のそれぞれを最終的な取付位置に配置できる。このように、確認作業時には第一カバー部31及び第二カバー部32をグリル庫25の上側に退避させ、取付時には、第一カバー部31及び第二カバー部32を最終的な取付位置に容易に配置できる。よって、コンロ1は、第一架設部材41を有していても、確認作業に必要な作業スペースを確保でき、第一カバー部31及び第二カバー部32を容易に取り付けることができる。
【0040】
第一カバー部31と第二カバー部32とを重ね合わせた状態で、第一カバー部31の延設部301及び第二カバー部32の延設部301とがなす上下方向の厚さは、第一カバー部31又は第二カバー部32の延設部301単体の厚さT1とほぼ同じである。よって、コンロ1は、第一カバー部31と第二カバー部32とを重ね合わせた状態で、第一カバー部31及び第二カバー部32をグリル庫25の上側に配置できる。したがって、コンロ1は、燃料供給装置51,52に対する確認作業と、燃料供給装置53,54に対する確認作業を、作業者に連続して行わせることができる。よって、コンロ1の生産性が向上する。
【0041】
第一カバー部31と第二カバー部32とは同一形状であるので、コンロ1は、第一カバー部31と第二カバー部32とを上下方向にぴったりと重ね合わせたコンパクトな状態で、グリル庫25の上側に配置できる。このため、確認作業に必要な作業スペースが筐体2の内部に十分に確保される。また、コンロ1は、第一カバー部31と第二カバー部32とを同一形状の同一部材とすることで、コンロ1の部品の管理コストを軽減できる。
【0042】
第一カバー部31及び第二カバー部32の第一部分305は、延設部301の上面よりも一段下方に窪んだ形状に設けられる。このため、延設部301によって受け止められた液体は、第一部分305に移動する。第一部分305に後方から接続する第二部分306は、第一部分305よりも低い位置に設けられているので、第一部分305に溜まった液体は、第二部分306に移動し、後端部306Aから延設部301の後方に向けて排出される。後端部306Aは、前方から後方に向けて拡径するラッパ状に形成されているので、後端部306Aから延設部301の後方に排出される液体が、後端部306Aの下側に回って第二部分306の下面を伝いにくい。よって、コンロ1は、後端部306Aから排出される液体が燃料供給装置51〜54にかかることを防止できる。
【0043】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。グリル庫25が、本発明の「グリル庫」に相当する。第一架設部材41が、本発明の「架設部材」に相当する。右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5が、本発明の「コンロバーナ」に相当する。燃料供給装置51〜54が、本発明の「燃料供給装置」に相当する。燃料供給装置51,52が「一部の燃料供給装置」に相当し、燃料供給装置53,54が「他の燃料供給装置」に相当する。右側壁部21及び左側壁部22が、本発明の「側壁」に相当する。右側壁部21が、「第一側壁」に相当し、左側壁部22が、「第二側壁」に相当する。前側壁部23が、本発明の「前壁部」に相当する。第一カバー部31が、本発明の「第一部材」に相当する。第二カバー部32が、本発明の「第二部材」に相当する。第一カバー部31の延設部301が、本発明の「第一延設部」に相当する。第二カバー部32の延設部301が、「第二延設部」に相当する。第一カバー部31の突出部302が、本発明の「第一突出部」に相当する。第二カバー部32の突出部302が、本発明の「第二突出部」に相当する。右側部251が、本発明の「第一側部」に相当する。長さM1が、本発明の「第一長さ」に相当する。左側部252が、本発明の「第二側部」に相当する。長さM2が、本発明の「第二長さ」に相当する。第一部分305が、本発明の「第一部分」に相当する。第二部分306が、本発明の「第二部分」に相当する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第二部分306の形状は、U字状に窪む溝状に限られず、例えば、下方に一つの頂点を有する逆三角形状に窪んだ形状等、様々な形状であってもよい。
【0045】
第一カバー部31と第二カバー部32とは、同一形状の同一部品でなくてもよい。例えば、第一カバー部31と第二カバー部32において、第一部分305及び第二部分306の形状及び大きさが共通し、延設部301の大きさが異なっていてもよい。例えば、第一カバー部の延設部301の右側部分301Aと、第二カバー部の延設部301の右側部分301Aとの左右方向の長さが異なっていてもよい。第一カバー部31の延設部301の左側部分301Bと、第二カバー部の延設部301の左側部分301Bとの左右方向の長さが異なっていてもよい。この場合であっても、第一カバー部31及び第二カバー部32それぞれの第一部分305及び第二部分306を上下方向において同じ位置に配置した状態で、第一カバー部31と第二カバー部32とが厚みを増すことなくぴったりと上下方向に重ね合わせられ得る。
【0046】
また、第一カバー部31と第二カバー部32において、第一部分305及び第二部分306の形状及び大きさが共通しなくてもよい。この場合であっても、上下方向に重ね合された第一カバー部31と第二カバー部32において、延設部301の部分の厚さがグリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さくされていればよい。
【0047】
第一カバー部31及び第二カバー部32の形状が共通しない等の理由で、上下方向に重ね合された第一カバー部31と第二カバー部32における延設部301の部分の厚さがグリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも大きくてもよい。この場合であっても、第一カバー部31単体、第二カバー部32単体の厚さT1がグリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さければ、第一カバー部31と第二カバー部32とが交互にグリル庫25の上側に退避可能である。
【0048】
第二部分306の後端部306Aの下端から延設部301の上面までの長さに相当する厚さT1が、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも大きくてもよい。筐体2の内部において、第一架設部材41の下側をくぐるように配置された第一カバー部31及び第二カバー部32のうち、延設部301のうち第一部分305が設けられる部分が、第一架設部材41の真下の位置に配置される。よって、少なくとも、第一架設部材41の真下の位置に配置される部分の厚さが、第一部分305の下端から延設部301の上面までの長さよりも小さくされていればよい。したがって、第一部分305の下端から延設部301の上面までの長さに相当する厚さT2(図4参照)が、グリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さくなるように形成されていてもよい。この場合、厚さT1がグリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも大きくされていたとしても、厚さT2がグリル庫25の上面から第一架設部材41の下端部までの距離よりも小さい。これにより、作業者は、確認作業時に、第一カバー部31及び第二カバー部32を燃料供給装置51〜54の上側から、燃料供給装置51〜54が配置されないグリル庫25の上側に退避させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 コンロ
2 筐体
4 右コンロバーナ
5 左コンロバーナ
21 右側壁部
22 左側壁部
23 前壁部
25 グリル庫
51〜54 燃料供給装置
31 第一カバー部
32 第二カバー部
301 延設部
302 突出部
305 第一部分
306 第二部分
M1,M2 長さ
T1,T2 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6