(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
口部、胴部及び底部を有するボトル状をなすと共に容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められ内容物の収容空間を形成する内層体と、前記外層体の前記口部を貫通する貫通孔とを備え、前記内層体の減容変形に伴い前記貫通孔から前記外層体と前記内層体との間に形成される内部空間に空気を導入可能な容器本体と、
前記内層体からの内容物を注出する注出孔を有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、
前記注出孔と前記内層体との連通を遮断する一方、該内層体内の圧力上昇によって開放されて内容物を注出孔へ供給する逆止弁と、
前記キャップ本体の外周壁に配設され、開放操作により前記内部空間内の空気を排出可能な減容機構と
を備えることを特徴とする二重容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の二重容器では、内層体内の内容物を使い切る前に容器(外層体)を潰してしまうと、外気導入孔と内層体が過度に近づくため、外層体の押圧を解除しても、外気導入孔から十分な外気が導入されず、外層体が元の状態にまで復元しないため、内容物の吐出機能が損なわれることがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、減容操作を行っても内容物の吐出機能に影響を与えない二重容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二重容器は、
口部、胴部及び底部を有するボトル状をなすと共に容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められ内容物の収容空間を形成する内層体と、前記外層体の前記口部を貫通する貫通孔とを備え、前記内層体の減容変形に伴い前記貫通孔から前記外層体と前記内層体との間に形成される内部空間に空気を導入可能な容器本体と、
前記内層体からの内容物を注出する注出孔を有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、
前記注出孔と前記内層体との連通を遮断する一方、該内層体内の圧力上昇によって開放されて内容物を注出孔へ供給する逆止弁と、
前記キャップ本体の外周壁に配設され、開放操作により前記内部空間内の空気を排出可能な減容機構と
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記減容機構は、前記キャップ本体の外周壁に配設された排出孔と、
前記キャップ本体の径方向内側
方向への押圧により該排出孔を開放可能な減容弁とを有することが好ましい。
【0009】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記キャップ本体の径方向内側方向における前記減容弁の端
部が、前記貫通孔内に進入可能であることが好ましい。
【0010】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記キャップ本体は、ねじ係合により前記容器本体に装着可能であり、
前記キャップ本体の径方向内側方向における前記減容弁の端
部は、前記キャップ本体側のねじ係合部におけるねじ山の領域に収まるように形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記キャップ本体は、打栓係合により前記容器本体に装着可能であり、
前記キャップ本体の径方向内側方向における前記減容弁の端
部は、前記キャップ本体側の打栓係合部の領域に収まるように形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記減容機構は、前記キャップ本体の外周壁に配設された排出孔と、該排出孔に嵌合する突起部とを有することが好ましい。
【0013】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記突起部は、ヒンジ周りに回動可能な状態で前記キャップ本体の外周壁に連結されることにより、前記排出孔に着脱自在に嵌合することが好ましい。
【0014】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記キャップ本体は、ねじ係合により前記容器本体に装着可能であり、
前記キャップ本体の径方向内側方向における前記突起部の端
部は、前記キャップ本体側のねじ係合部におけるねじ山の領域に収まるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、減容操作を行っても内容物の吐出機能に影響を与えない二重容器を提案することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態である二重容器100を示しており、二重容器用キャップ1(以下、「キャップ1」という)が、これに適合する容器本体2に装着された状態を示す。キャップ1は、キャップ本体10、中栓20、移動弁体30、逆止弁40、蓋体50、及び減容弁60で構成されている。また、容器本体2は、内層体3、及び外層体4で構成されている。
【0019】
まず、容器本体2について説明する。容器本体2を構成する内層体3及び外層体4は、本実施形態ではともに合成樹脂製であって、相互に相溶性が低い樹脂を用いている。また容器本体2は、内層体3の合成樹脂素材と外層体4の合成樹脂素材とを積層して形成されるパリソンに対し、ブロー成形を行うことによって形作っている。また、図示は省略するが、内層体3と外層体4との間に、縦方向に延在して内層体3と外層体4とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
【0020】
内層体3は、減容変形可能に形成されるものであって、本実施形態では、積層状態で形成された容器本体2に対し、外層体4から剥離させることで得られるものである。内層体3は、
図2に示すように、その内側に内容物を収容する収容空間Sと、この収容空間Sにつながる上部開口3aを備えている。
【0021】
外層体4は、
図1に示すように、円筒状の口部周壁4aに、復元自在な可撓性を有する胴部4d、及び胴部4dの下端を閉鎖する底部4eを連結したものである。また、
図2に示すように、口部周壁4aの外周面には雄ねじ部4bを設けている。また、口部周壁4aには、内層体3との相互間に空気を取り込むための貫通孔4cを設けている。
【0022】
次に、キャップ1に関し、キャップ本体10について説明する。キャップ本体10は、口部周壁4aを取り囲む外周壁11を備えていて、外周壁11の内周面には、口部周壁4aの雄ねじ部4bに対応する雌ねじ部12が形成されている。また、外周壁11の上部には、頂壁13が一体に連結している。頂壁13には注出筒14が設けられており、注出筒14の径方向内側には内容物を注出する注出孔14aが形成されている。また、頂壁13の下面には、同心二重配置となる一対の上部嵌合壁15が設けられている。更に、上部嵌合壁15より径方向外側には、頂壁13を貫通する外気導入孔16を設けている。本実施形態では、頂壁13の中央部分と外周部分との間に段差を設け(中央部分に対し外周部分は高さが低くなっている)、この段差に径方向外側に向けて開口するようにして外気導入孔16を設けている。このように構成することで、頂壁13上に溢れた内容物が、外気導入孔16に入り難くなる。なお、外周壁11の下端は口部周壁4aと気密に当接していて、口部周壁4aと外周壁11との間には、貫通孔4cに通じる通気路Tが設けられている。なお、本実施形態では、雄ねじ部4bと雌ねじ部12との隙間が通気路Tとして用いられているが、例えば雄ねじ部4bに縦溝を形成して、当該縦溝が通気路として機能するように構成してもよい。
【0023】
キャップ本体10の内側には、中栓20が設けられている。中栓20は、注出筒14と内層体3との間に位置するとともに、内層体3の上部開口3aを覆う隔壁21を備えている。
【0024】
隔壁21には、一端が注出筒14側に開口するとともに他端が内層体3の収容空間S側に開口する筒状壁22が設けられている。本実施形態の筒状壁22は、
図2に示すように、隔壁21の中央部よりも径方向外側寄りに貫通孔22aを設け、この貫通孔22aの縁部から下方に向けて円筒部22bを延在させ、傾斜部22cを介して、収容空間Sに通じる貫通孔22dを設けたものである。また隔壁21には、筒状壁22より径方向内側にこの隔壁21を貫通する孔(連通口23)が設けられている。
【0025】
また隔壁21は、連通口23より径方向外側において収容空間S側に屈曲する段部24を備えていて、段部24より径方向外側には、段部24との間で上向き開放の溝を形成する嵌合壁25が設けられている。そして隔壁21の下面には、外層体4との間で内層体3を挟み込む環状のシール壁26を設けている。なお、
図2に示すように隔壁21の外縁には、少なくとも1つの溝27が設けられている。
【0026】
筒状壁22内には、本実施形態では球状となる移動弁体30が設けられている。筒状壁22と移動弁体30との間には、容器本体2の姿勢変更に応じて移動弁体30が移動可能、且つ内容物はほとんど通過させない(実質的に通過させない)程度の隙間が設けられている。なお、筒状壁22の注出筒14側は、貫通孔22aによって開口し、収容空間S側は、貫通孔22dによって開口しているので、筒状壁22内に入り込んだ内容物が移動弁体30の移動を妨げることはない。また移動弁体30は、容器本体2を起立姿勢(容器本体2の底部を水平な台の上に載置した状態の姿勢)にすることで、筒状壁22の傾斜部22cに着座する。これによって収容空間Sをシールすることができる。
【0027】
キャップ本体10と中栓20との間には、逆止弁40が設けられている。逆止弁40は、本実施形態では円筒状になる環状壁41の径方向内側に、3つのアーム42を介して連結する板状の弁体43を備えていて、所謂3点弁の形態をなしている。また逆止弁40は、
図2に示すようにキャップ本体10、中栓20に対して取り付けた際、環状壁41の下部が段部24と嵌合壁25との間で嵌合保持され、環状壁41の上部が一対の上部嵌合壁15で嵌合保持されるようになっている。これにより、
図2に示すように、環状壁41の径方向内側には、連通口23と注出筒14とを連通させて内容物の流路を形成する内側空間K1が区画形成され、環状壁41の径方向外側には、外気導入孔16と溝27とを連通させて空気の流路を形成する外側空間K2が区画形成される。また、弁体43は、貫通孔22a及び連通口23をほぼ覆い隠す大きさになっており、通常時は隔壁21に着座して連通口23を閉鎖する。
【0028】
蓋体50は、
図2に示すように、ヒンジ51を介してキャップ本体10の外周壁11に連結していて、ヒンジ51で折り曲げることで、注出筒14及び外気導入孔16を覆い隠すことができる。より詳細には、蓋体50は、平板状の上壁52と、上壁52の縁部に連結するとともに外周壁11に連なる形状となる蓋体周壁53とを備えていて、上壁52には、蓋体50を閉めた際に注出筒14の内側に入り込んで注出筒14をシールする筒状のシール部54が設けられている。なお、蓋体50は、ヒンジ51を設けずにキャップ本体10とは別体のものとし、ねじやアンダーカットでキャップ本体10に装着するように構成してもよい。
【0029】
減容弁60は、キャップ本体10の外周壁11に設けられた排出孔18に緩合し、弁として機能する。減容弁60は、
図2及び
図3に示すように、半球形状の薄肉部であって容器本体2の径方向外側に向けて凸となるように配置される傘状部62と、傘状部62から容器本体2の径方向内側に延びる軸部64と、軸部64の径方向内側端において拡径して形成された弁体部66とを有している。減容弁60は、ゴム、エラストマー等の弾性材料で形成されている。傘状部62は、
図2に示すように、周方向の1箇所において空気の通過が可能な通気孔62aを有している。また、軸部64の外径は、排出孔18の内径よりも小さく形成されており、軸部64と排出孔18との隙間を空気が通過することができる。なお、傘状部62は、弁体部66を弾性支持可能であれば半球形状の薄肉部以外の様々な形状を採用することができる。
【0030】
図2及び
図3に示す状態では、傘状部62が外周壁11に当接して弾性変形しているため、元の形状に復元しようとして軸部64及び弁体部66を容器本体2の径方向外側方向に引っ張る。これによって、軸部64の径方向内側端に設けられている弁体部66が排出孔18を外周壁11の径方向内側から押圧し閉塞している。これに対して後述するように、利用者が外層体4を減容変形させるため、減容弁60の傘状部62を径方向外側から押圧すると、
図4及び
図5に示すように傘状部62の中央部が容器本体2の径方向内側に弾性変形し、軸部64及び弁体部66も同方向に移動する。これによって、弁体部66が外周壁11から離間して減容弁60は開放状態となるため、外層体4と内層体3の間の内部空間N内の空気は、貫通孔4c、通気路T、排出孔18、及び通気孔62aを経由して外部に排出することができる。
【0031】
上記のように構成されるキャップ1から内容物を吐出するに当たっては、
図2に示す蓋体50をヒンジ51周りに回動させて開き、容器本体2を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体4の胴部4dを押圧する。これにより、筒状壁22内の移動弁体30は注出筒14側に移動し、また、内層体3と外層体4との間の内部空間N内の空気を介して収容空間Sが加圧される。なお、外層体4の貫通孔4cとキャップ本体10の外気導入孔16との間は、通気路T、溝27、及び外側空間K2でつながっており、常時開放された状態であるものの、溝27は狭くなっていて空気が流れる際に抵抗が生じるため、外層体4を押圧しても、内層体3と外層体4との間の空気はそれ程多く漏れ出すことはなく、収容空間Sへの加圧が阻害されることはない。そして、加圧された内容物が、弁体43を持ち上げて連通口23から流出し、アーム42横の空間、及び内側空間K1を経由して注出孔14aから外界に注出される。ここで、連通口23は隔壁21の中央部に設けられているので、連通口23の周囲における内容物の流れは均等化され、内容物が注出される際の液の乱れが抑制される。また、連通口23が弁体43の中央に配置されているので、収容空間Sからの圧力が弁体43の中央にかかることになる。従って、弁体43の傾きが生じにくくなり、流れの乱れがより起きにくくなる。
【0032】
所要量の内容物を注出した後は、外層体4の胴部4dへの押圧を解除する。これによって収容空間S内の圧力が下がり、弁体43が連通口23を閉鎖するので、収容空間S内への外気の入り込みが防止できる。また、外層体4は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体3と外層体4との間の内部空間Nは負圧状態となり、これによって、外気導入孔16から外側空間K2、溝27、通気路Tを経て、貫通孔4cより空気が導入され、内層体3を減容変形させたまま外層体4が復元する。
【0033】
弁体43が連通口23を閉鎖すると、注出筒14及び内側空間K1内には内容物が残留したままになっているものの、容器本体2を元の起立姿勢に戻すと、移動弁体30は、それ自身の自重や収容空間S内の圧力低下によって内層体3の収容空間S側に移動する。これにより、筒状壁22における注出筒14側にはスペースが生じることになるため、注出筒14及び内側空間K1内に残留した内容物を、アーム42横の空間を経由してこのスペースに移動させることができ(サックバック機能)、液だれを有効に防止することができる。
【0034】
図4は、収容空間S内の内容物をほぼ使い切ったときの二重容器100の状態を示している。内容物の減少に伴って内層体3内の収容空間Sが減容変形する一方、外層体4は自らの剛性により元の状態に復元しており、外層体4と内層体3との間の内部空間Nには外気導入孔16を通じて十分な量の空気が導入されている。利用者は、内容物を使い切った後、二重容器100を廃棄するために内部空間N内の空気を迅速に排出し、外層体4を減容変形させることができると好都合である。
【0035】
利用者は、収容空間S内の内容物を使い切ると、減容弁60の傘状部62部分を容器本体2の径方向内側方向に押圧する。これによって、
図4及び
図5に示すように、軸部64及び弁体部66は、容器本体2の径方向内側方向に移動し、内部空間Nは、貫通孔4c、通気路T、排出孔18、及び通気孔62aを通じて外部に連通する。利用者は、
図6及び
図7に示すように、減容弁60を押圧した状態で外層体4の胴部4dを押圧することで内部空間N内の空気を外部に排出し、外層体4を減容変形させることができる。なお、
図6において、減容弁60及び胴部4dの押圧方向を太い矢印で示しており、
図6及び
図7において、排出される空気の流れを細い矢印で示している。
【0036】
利用者は、内部空間N内の空気の排出を終了すると、
図8に示すように減容弁60の押圧を解除する。これによって、減容弁60は、傘状部62が元の形状へと復元し、軸部64及び弁体部66は、再度容器本体2の径方向外側方向へと移動する。弁体部66が外周壁11の内周面に当接することで排出孔18は閉塞され、内部空間N内は、
図8に示すように空気が僅かしか入っていない状態に維持される。
【0037】
本実施形態では、
図3に示すように、雌ねじ部12の開始位置12aの直前位置に減容弁60の弁体部66が配置されるように構成している。また、弁体部66は、雌ねじ部12のねじ山の領域に収まるように形成されている。すなわち、弁体部66の位置にも雌ねじ部12のねじ山が形成されていると仮定した場合に、減容弁60が押圧されていない状態において弁体部66がそのねじ山の範囲を越えないように形成されている。従って、減容弁60をキャップ本体10に取り付けた状態でキャップ本体10を容器本体2に装着することができる。
【0038】
なお、弁体部66の周方向の位置は、雌ねじ部12の開始位置12aの直前位置に限定されるものではなく、例えば雌ねじ部12が形成されている周方向位置であってもよい。但し、
図3のように減容弁60が押圧されていない状態において、弁体部66が雌ねじ部12のねじ山の範囲を越えないように形成されていることが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、キャップ本体10を容器本体2に対してねじ係合により定位置まで締結した際に、貫通孔4cの軸線と減容弁60の軸線とが一致するように構成した。これによって、減容弁60を押圧した際に弁体部66が貫通孔4c内に進入するため、減容弁60の押し込みが妨げられることが無い。従って、より確実に減容弁60を開放して外層体4の減容操作を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、外気導入孔16経由で空気を内部空間N内に導入するように構成したが、この態様に限定されない。例えば、弁体部66に微小な孔を形成し、当該微小な孔経由で空気を内部空間N内に導入するように構成してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、キャップ本体10がねじ係合によって容器本体2の口部周壁4aに装着されるように構成したが、この態様には限定されない。口部周壁4aに径方向外側に突出する係合突部を設けると共に、キャップ本体10の外周壁11の内周面に環状突壁を設け、キャップ本体10を上方から口部周壁4aに押し込むことでキャップ本体10を容器本体2に打栓係合させるように構成してもよい。この場合、減容弁60が押圧されていない状態において、減容弁60の弁体部66が環状突壁の範囲を越えないように形成されていることが望ましい。これによって、減容弁60をキャップ本体10に取り付けた状態でキャップ本体10を容器本体2に装着することができる。
【0042】
以上述べたように、本実施形態では、キャップ本体10の外周壁11に配設され、開放操作により内部空間N内の空気を排出可能な減容機構(排出孔18及び減容弁60)を備えるように構成した。これによって、内容物を使い切った後に減容弁60を開放して内部空間N内の空気を排出孔18経由で排出し、容易に外層体4を潰して廃棄することができる。また、本実施形態では、外気導入孔16から内部空間N内に空気を取り込むことができるので、中身を使い切る前に減容操作を行っても、新たに空気を内部空間N内に取り込んで内容物を吐出させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、減容弁60の径方向内側端(弁体部66)が、貫通孔4c内に進入可能であるように構成した。これによって、減容弁60の押し込みが妨げられることが無いので、より確実に減容弁60を開放して外層体4の減容操作を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、減容弁60の径方向内側端(弁体部66)が、キャップ本体10側の雌ねじ部12におけるねじ山の領域に収まるように構成した。すなわち、弁体部66の位置にも雌ねじ部12のねじ山が形成されていると仮定した場合に、減容弁60が押圧されていない状態において弁体部66がそのねじ山の範囲を越えないように構成した。従って、減容弁60をキャップ本体10に取り付けた状態でキャップ本体10を容器本体2に装着することができる。
【0045】
次に、本発明に従う第2実施形態の二重容器200について、
図9−
図12を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態における減容弁60を、ヒンジ168周りに回動可能な突起部164に置き換えた他は、第1実施形態と大きな相違が無い。従って、ここでは、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
図9は、本発明の第2実施形態である二重容器200を示しており、二重容器用キャップ101(以下、「キャップ101」という)が、これに適合する容器本体102に装着された状態を示す。キャップ101は、キャップ本体110、中栓120、移動弁体130、逆止弁140、蓋体150、及び減容部材160で構成されている。また、容器本体102は、内層体103、及び外層体104で構成されている。
【0047】
次に、キャップ101に関し、キャップ本体110について説明する。
図9及び
図10に示すように、キャップ本体110は、口部周壁104aを取り囲む外周壁111を備えていて、外周壁111の内周面には、口部周壁104aの係合突部104bに対応する環状突壁112が形成されている。すなわち、キャップ本体110を上方から口部周壁104aに押し込むことで、キャップ本体110の環状突壁112が口部周壁104aの係合突部104bにアンダーカット係合し、キャップ101が装着される。また、口部周壁104aの外周面、及び外周壁111の内周面には、上下に延びるリブ104f及びリブ112aがそれぞれ形成されており、リブ104f間にリブ112aが入り込むことでキャップ本体110は口部周壁4aに対して回り止め固定されている。
【0048】
また、外周壁111の上部には、頂壁113が一体に連結している。頂壁113には注出筒114が設けられており、注出筒114の径方向内側には内容物を注出する注出孔114aが形成されている。また、頂壁113の下面には、同心二重配置となる一対の上部嵌合壁115が設けられている。更に、上部嵌合壁115より径方向外側には、頂壁113を貫通する外気導入孔116を設けている。本実施形態では、頂壁113の中央部分と外周部分との間に段差を設け(中央部分に対し外周部分は高さが低くなっている)、この段差に径方向外側に向けて開口するようにして外気導入孔116を設けている。このように構成することで、頂壁113上に溢れた内容物が、外気導入孔116に入り難くなる。なお、外周壁111の下端は口部周壁104aと気密に当接していて、口部周壁104aと外周壁111との間には、貫通孔104cに通じる通気路Tが設けられている。なお、本実施形態では、リブ104fとリブ112aとの隙間が通気路Tとして用いられているが、例えば口部周壁4aの外周面に縦溝を形成して、当該縦溝が通気路Tとして機能するように構成してもよい。
【0049】
減容部材160は、外周壁111にヒンジ168を介して連結された開閉板162と、開閉板162の内周面から容器本体102の径方向内側に突出する突起部164とを備えている。突起部164は、径方向内側端の嵌合部166がやや拡径しており、
図9の排出孔118の閉塞状態では、嵌合部166が排出孔118を乗り越えて外周壁111の内周面から突出することで突起部164は排出孔118に嵌合している。一方、
図11に示すように、利用者が開閉板162の下端部を把持してヒンジ168周りに径方向外側に開くことにより、突起部164は排出孔118から引き抜かれ、排出孔118は開放状態となる。これによって、外層体104と内層体103の間の内部空間N内の空気は、貫通孔104c、通気路T、排出孔118を経由して外部に排出することができる。
【0050】
上記のように構成されるキャップ101から内容物を吐出するに当たっては、
図9に示す蓋体150をヒンジ151周りに回動させて開き、容器本体102を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体104の胴部104dを押圧する。なお、内容物を吐出する際の各部材の動作は第1実施形態と同様であるから、ここでの詳細な説明は省略する。
【0051】
所要量の内容物を注出した後は、胴部104dの押圧を解除する。これによって収容空間S内の圧力が下がり、逆止弁140が閉塞するので、収容空間S内への外気の入り込みが防止できる。また、外層体104は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体103と外層体104との間の内部空間Nは負圧状態となり、これによって、外気導入孔116から貫通孔104cを経由して空気が導入され、内層体103を減容変形させたまま外層体104が復元する。
【0052】
利用者は、収容空間S内の内容物を使い切ると、
図11に示すように、開閉板162の下端部を把持してヒンジ168周りに径方向外側に開くことにより、突起部164は排出孔118から引き抜かれ、排出孔118は開放状態となる。これによって、外層体104と内層体103の間の内部空間N内の空気は、貫通孔104c、通気路T、排出孔118を経由して外部に排出することができる。利用者は、
図11に示すように、排出孔118を開放した状態で外層体104の胴部104dを押圧することで内部空間N内の空気を外部に排出し、外層体104を減容変形させることができる。なお、
図11において、開閉板162の回動方向、及び胴部104dの押圧方向を太い矢印で示しており、排出される空気の流れを細い矢印で示している。
【0053】
利用者は、内部空間N内の空気の排出を終了すると、
図12に示すように開閉板162の下端部を把持してヒンジ168周りに径方向内側に回動させることにより排出孔18を閉塞する。これによって、内部空間N内は、
図12に示すように空気が僅かしか入っていない状態に維持される。
【0054】
なお、本実施形態では、キャップ本体110が打栓係合によって容器本体102の口部周壁104aに装着されるように構成したが、この態様には限定されない。口部周壁104aに雄ねじ部を設けると共に、キャップ本体110の外周壁111の内周面に雌ねじ部を設け、キャップ本体110を口部周壁104aに対してねじ係合により装着させるように構成してもよい。この場合、突起部164を排出孔118に嵌合させた状態において、嵌合部166が雌ねじ部のねじ山の範囲を越えないように形成されていることが望ましい。これによって、突起部164を排出孔118に嵌合させた状態でキャップ本体110を容器本体102に装着することができる。
【0055】
以上述べたように、本実施形態では、キャップ本体110の外周壁111に配設され、開放操作により内部空間N内の空気を排出可能な減容機構(排出孔118及び突起部164)を備えるように構成した。これによって、内容物を使い切った後に排出孔118を開放して内部空間N内の空気を排出孔118経由で排出し、容易に外層体104を潰して廃棄することができる。
【0056】
また、本実施形態では、突起部164がヒンジ168周りに回動可能な状態で外周壁111に連結されるように構成した。これによって、突起部164をキャップ本体110と一体形成できるので、部品点数を増加させることなく容易に外層体104を潰して廃棄することができる。
【0057】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。