(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
図1は、実施例1の自動運転車両を示す全体システム図である。
【0010】
図1に示すように、自動運転制御装置としての自動運転用コントロールユニット1がある。
手動運転機能(レベル0)以外に、この自動運転用コントロールユニット1は、レベル1からレベル5までの自動運転機能を備えている。
レベル1(運転支援)とは、ステアリング操作・加減速のいずれか1つを支援的に行う。例えば、予め設定した車速内でクルマが自動的に加減速し、先行車との適切な車間距離を維持しながら追従走行するアダブティブ・クルーズ・コントロールなどである。
レベル2(部分自動運転)とは、ステアリング操作・加減速のうち同時に複数の操作を行う。例えば、渋滞時、走行レーンの逸脱を補正するとともに、一定の車間距離を維持しながら、先行車を追従し、停車後は先行車の動きを検知し再度発進を行う渋滞時追従支援システムなどである。この場合、ドライバは常時、運転状況を監視操作する必要がある。
レベル3(条件付自動運転)とは、限定的な環境下もしくは交通状況のみにおいて、自動的にステアリング操作・加減速を行い、緊急時、自動運転コントロールユニット1が要請したときにはドライバが対応する。
レベル4(高度自動運転)とは、特定の条件下(例えば、高速道路)のみにおいて、自動運転用コントロールユニット1がステアリング操作・加減速のすべてを制御する。特定の条件下を離脱すると、ドライバによる運転が必要になる。
レベル5(完全自動運転)とは、ドライバを必要としない、無人運転である。
また、この自動運転用コントロールユニット1には、外部との通信(路車間通信、車車間通信、歩者間通信等)を行う周辺環境検出部としての車載通信装置2より走行道路情報、他車情報、歩行者情報等が入力される。
路車間通信とは、自車両と道路に設置された道路側機との相互通信を行うことである。
これにより、例えば、自車両は自車情報を道路側機に送信します。道路側機は周辺状況を把握して周囲を走る他車両に自車両情報を送信し、別の車両のドライバに注意喚起することで衝突事故を防ぐことができ、センサやカメラが搭載された道路側機であれば、道路側機自身が車や横断歩道の歩行者の有無を調べ、周辺の車に送信することでも事故防止につなげることができます。この場合、自車両に通信システムが搭載してあれば、周囲の車両や人が通信システムを持っていなくても周辺環境の把握が可能となります。
車車間通信とは、自車両と周辺にいる他車両との相互通信を行うことである。
これにより、見通しの悪い交差点において、通信システムを備える車両同士がお互いの位置や速度といった情報を無線で送受信し、もしも出会い頭衝突の危険性がある場合、両車両のドライバに警告して衝突事故を防ぐことができます。
歩車間通信とは、自車両と周辺にいる歩行者との相互通信を行うことである。
これにより、見通しの悪い交差点において、通信システムを備える車両とスマートフォンを持つ歩行者がお互いの位置や速度といった情報を無線で送受信し、もしも出会い頭衝突の危険性がある場合、自車両のドライバと歩行者に警告して衝突事故を防ぐことができます。
その他、自動運転用コントロールユニット1には、周辺環境検出部としてのGPSアンテナ3からの自車位置情報、道路状況検知デバイス4からの周辺道路状況情報、ナビゲーション装置5からのマップデータ、交通状況情報、物体検知センサ6からの車両周囲の物体情報、車両状態検出部としての各種センサ7からの車速等の車両状態情報、Bat監視システム8からのバッテリの状態情報が入力されている。
また、ドライバからは、切替スイッチとしての自動運転モードスイッチ(SW)20の操作情報が、自動運転用コントロールユニット1に入力される。
これにより、ドライバの自動運転モードSW20の操作に対応した複数の自動運転機能(レベル1からレベル5)の自動運転モードで走行中において、自動運転用コントロールユニット1は前述した入力情報に基づき、先読みを行い、可能な限り、ドライバの操作無しに、安全な走行を行う。
【0011】
また、自動運転用コントロールユニット1が、指示を出力するものとしては、車内スピーカ9へドライバへの警告を出すためのアラーム・音声指示、内燃機関11を制御する内燃機関用コントロールユニット10への駆動力指示、自動変速機13を制御する自動変速機用コントロールユニット12への変速指示、モータ15を制御するモータ制御コントロールユニット14への駆動力指示、ブレーキアクチュエータ17を制御するブレーキ制御用コントロールユニット16への制動力指示、ステアリング19を制御するステアリング制御用コントロールユニット18への舵角指示等がある。
なお、自動運転用コントロールユニット1は、内燃機関11、自動変速機13、モータ15、ブレーキアクチュエータ17、ステアリング19の作動を監視するために、各コントロールユニットと相互に通信を行っている。
【0012】
図2は、実施例1の自動運転モードスイッチにより、ドライバの手動運転モードから自動運転モードへの切替要求操作が行われたときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0013】
自車両の走行準備(内燃機関は稼働中、車速は'0'、自動変速機は車両停止レンジ)が整うと、処理が開始される。
ステップS1では、自動運転モードへ移行可能か否かを判定する。詳細は、後述する。
ステップS2では、自動運転中の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行操作が可能か否かを判定する。詳細は、後述する。
【0014】
図3は、
図2のフローチャートの自動運転モードの実施可否判定の処理の流れの詳細を
示すフローチャートである。
【0015】
ステップS11では、ドライバの操作による自動運転モードSW20がON状態(自動運転モードへの切替要求あり)か否かを判定する。自動運転モードSW20がON状態のときは、ステップS12へ進み、自動運転モードSW20がON状態でないときは、ステップS11へ戻る。
ステップS12では、自動運転モードが禁止中か否かを判定する。自動運転モードが禁止中のときは、ステップS13へ進み、自動運転モードが禁止中でないときは、ステップS17へ進む。
ステップS13では、所定回転数としての内燃機関11の目標アイドル回転数(Ne0)は、変更しないで、ステップS14へ進む。
ステップS14では、自動運転モードSW20がONされたときからの経過時間(tn)を算出し、ステップS15へ進む。
ステップ15では、自動運転モードSW20がONされたときからの経過時間(tn)が所定時間(t0)を経過したか否かを判定する。自動運転モードSW20がONされたときからの経過時間(tn)が所定時間(t0)を経過したときは、ステップS16へ進む。自動運転モードSW20がONされたときからの経過時間(tn)が所定時間(t0)を経過していないときは、ステップS11へ戻る。
ステップS16では、自動運転モードSW20のON状態(自動運転モードへの切替要求あり)をキャンセルし(OFF状態)、これをドライバへ車内スピーカ9、メータ、ナビゲーション画面等を使用して、報知するとともに、自動運転モード禁止フラグを立てる。
【0016】
ステップS17では、ドライバ要求(デフロスタースイッチ(SW)ON、アクセルペダルのレーシング操作)によるアイドルアップ中か否かを判定する。ドライバ要求によるアイドルアップ中のときは、ステップS13へ進み、ドライバ要求によるアイドルアップ中でないときは、ステップS18へ進む。
ステップS18では、車両要求(内燃機関暖気要求、触媒活性化要求等)によるアイドルアップ中か否かを判定する。車両要求によるアイドルアップ中のときは、ステップS21へ進み、車両要求によるアイドルアップ中でないときは、ステップS19へ進む。
ステップS19では、内燃機関11の目標アイドル回転数(Ne0)は、変更しないで、ステップS20へ進む。
ステップS20では、自動運転モードSW20のON状態(自動運転モードへの切替要求あり)を維持し、
図4に示すステップS31へ進む。
ステップS21では、所定回転数としての内燃機関11の目標アイドル回転数(Ne0)を暖気後のアイドル回転数に設定し、内燃機関11の回転数を、暖気後のアイドル回転数とした目標アイドル回転数(Ne0)に強制的に低下させて、ステップS20へ進む。
【0017】
図4は、
図2のフローチャートの自動運転中の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、
走行レンジ(Dレンジ)への移行操作可否判定の処理の流れの詳細を示すフローチャート
である。
【0018】
ステップS31では、自動運転モードSW20がON状態(自動運転モードへの切替要求あり)か否かを判定する。自動運転モードSW20がON状態(自動運転モードへの切替要求あり)のときは、ステップS32へ進み、自動運転モードSW20がON状態(自動運転モードへの切替要求あり)でないときは、ステップS31へ戻る。
ステップS32では、自動運転用コントロールユニット1が、走行レンジ(Dレンジ)を要求しているか否かを判定する。自動運転用コントロールユニット1が、走行レンジ(Dレンジ)を要求しているときは、ステップS33に進み、自動運転用コントロールユニット1が、走行レンジ(Dレンジ)を要求していないときは、ステップS37へ進む。
ステップS33では、走行レンジ(Dレンジ)への移行許可が出ているか否かを判定する。走行レンジ(Dレンジ)への移行許可が出ているときは、ステップS34へ進み、走行レンジ(Dレンジ)への移行許可が出ていないときは、ステップS35へ進む。
ステップS34では、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行を実行し、車両を発進させる。
【0019】
ステップ35では、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行許可となる所定回転数としての内燃機関11の移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)を設定し、ステップS36へ進む。
なお、移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)は、あらかじめ自動変速機13の油温ごとのクラッチ締結時の出力軸トルク変動上、許容できる内燃機関11の回転数のデータをマップとして備えている。もちろん、演算して求めてもよい。
基本的には、移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)は、暖気後の目標アイドル回転数とする。
ステップS36では、内燃機関11の実回転数(Nea)と移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)との回転数差が設定値ΔNe0より小さくなったか否かを判定する。実際の内燃機関11の回転数(Nea)と移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)との差が設定値ΔNe0より小さくなったときは、ステップS34へ進み、実際の内燃機関11の回転数(Nea)と移行許可用目標アイドル回転数(Ne0)との回転数差が設定値ΔNe0より小さくなってないときは、ステップS37へ進む。
ステップS37では、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)状態を維持し、ステップS31へ戻る。
【0020】
図5は、実施例1の車両要求のアイドル回転数アップ時の自動運転モードスイッチによ
り、ドライバによる手動運転モードから自動運転モードへの切替要求操作が行われた
ときの内燃機関回転制御処理を表すタイムチャートである。
【0021】
横軸は、時間であり、一番上が車両からのアイドル回転数アップ要求の有無、その下がドライバの操作による自動運転モードSW20のON−OFF状態、内燃機関11の回転数、自動変速機13のレンジ位置、駆動輪の発生駆動力の変化を示している。
時刻t0で、内燃機関11が始動され、時刻t1で冷機時始動の暖気、触媒活性化のために車両からのアイドル回転数のアップ要求が出て、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数は上昇していく。
また、時刻t2にて、ドライバが自動運転モードSW20をON操作して、自動運転モードへの切替要求を行う。
しかし、このときには、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数(Nea)は、高いため、自動運転用コントロールユニット1は、ドライバの自動運転モードの要求を優先するため、内燃機関11に速やかに目標アイドル回転数(Ne0)に回転数を下げるように指令を行なう。
この指令により、速やかに内燃機関11の回転数は減少し、時刻t3にて、実際の内燃機関11の回転数(Nea)と目標アイドル回転数(Ne0)との回転数差が設定値(ΔNe0)より、小さくなるので、自動運転モードへの切替許可が出て、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行が実行され、車両を発進させる。
なお、時刻t3とt2との時間差は、1−2秒であり、ドライバが違和感を感じることはない。
このように、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致したときに、自動変速機13のクラッチが締結されるので、本来必要とする発生駆動力を駆動輪に伝えることができ、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制することができる。
【0022】
図6は、実施例1のドライバ要求のアイドル回転数アップ時の自動運転モードスイッチ
により、ドライバによる手動運転モードから自動運転モードへの切替要求操作が行われた
ときの自動運転モードへの切替要求のキャンセル制御処理を表すタイムチャートである。
【0023】
横軸は、時間であり、一番上がドライバによるアイドル回転数アップ要求の有無、その下がドライバの操作による自動運転モードSW20のON−OFF状態、内燃機関11の回転数、自動変速機13のレンジ位置、駆動輪の発生駆動力の変化を示している。
【0024】
時刻t1でドライバからのアイドル回転数のアップ要求(デフロスターSWのON、アクセルペダルのレーシング操作)が出て、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数は上昇していく。
また、時刻t2にて、ドライバが自動運転モードSW20をON操作して、自動運転モードへの切替要求を行う。
しかし、このときには、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数(Nea)は高いため、自動運転用コントロールユニット1は、すぐには、自動運転モードへの切替許可は出さず、ドライバが自動運転モードSW20をON操作してからの経過時間(tn)が、所定時間(t0)を経過するまで、実際の内燃機関11の回転数(Nea)の変化を監視する。
この所定時間(t0)は、具体的には、1−2秒である。
時刻t4にて、時刻t2からの経過時間(tn)が、所定時間(t0)を経過したとき、ドライバからのアイドル回転数のアップ要求が継続し、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転(Ne0)に比較して高いので、ドライバからのアイドル回転数のアップ要求を優先して、ドライバの自動運転モードへの切替要求をキャンセル(自動運転モードSW20をOFF)し、この情報を車内スピーカ9による音声、メータ、ナビゲーション画面等により、ドライバへ報知する。
また、ドライバからのアイドル回転数のアップ要求が継続し、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転(Ne0)に比較して高い状態が継続している場合には、再度、ドライバが自動運転モードSW20をON操作しても、ドライバが自動運転モードSW20をON操作してからの経過時間(tn)が、所定時間(t0)を経過するときには、ドライバの自動運転モードへの切替要求をキャンセル(自動運転モードSW20をOFF)し、この情報を車内スピーカ9による音声、メータ、ナビゲーション画面等により、ドライバへ報知する。
さらに、時刻t5にて、ドライバからのアイドル回転数のアップ要求(デフロスターSWのON、アクセルペダルのレーシング操作)が終了し、時刻t5以降、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転(Ne0)に向けて減少していく。
その後、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転(Ne0)にほぼ一致した状態の時刻t6にて、ドライバが、再度自動運転モードSW20をON操作して、自動運転モードへの切替要求を行うと、自動運転用コントロールユニット1は、自動運転モードへの切替許可を出し、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行が実行され、車両を発進させる。
このように、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致した状態で、ドライバによる自動運転モードSW20のON操作のときに、自動変速機13のクラッチが締結されるので、本来必要とする発生駆動力を駆動輪に伝えることができ、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制することができる。
【0025】
図7は、実施例1のドライバ要求のアイドル回転数アップ時の自動運転モードスイッチ
により、ドライバによる手動運転モードから自動運転モードへの切替要求操作が行われた
ときの自動運転モード切替要求の許可制御処理を表すタイムチャートである。
【0026】
横軸は、時間であり、一番上がドライバによるアイドル回転数アップ要求の有無、その下がドライバの操作による自動運転モードSW20のON−OFF状態、内燃機関11の回転数、自動変速機13のレンジ位置、駆動輪の発生駆動力の変化を示している。
【0027】
時刻t1でドライバからのアイドル回転数のアップ要求(デフロスターSWのON、アクセルペダルのレーシング操作)が出て、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数は上昇していく。
また、時刻t2にて、ドライバが自動運転モードSW20をON操作して、自動運転モードへの切替要求を行う。
しかし、このときには、目標アイドル回転(Ne0)に比較して、実際の内燃機関11の回転数(Nea)は高いため、自動運転用コントロールユニット1は、すぐには、自動運転モードへの切替え許可は出さず、ドライバが自動運転モードSW20をON操作してからの経過時間(tn)が、所定時間(t0)を越えるまで、実際の内燃機関11の回転数(Nea)の変化を監視する。
時刻t7にて、ドライバからのアイドル回転数のアップ要求(デフロスターSWのON、アクセルペダルのレーシング操作)が終了し、時刻t7以降、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転(Ne0)に向けて減少していく。
ドライバが自動運転モードSW20をON操作した時刻t2からの経過時間(tn)が所定時間(t0)を経過しない時刻t8にて、実際の内燃機関11の回転数(Nea)と目標アイドル回転数(Ne0)との差が設定値(ΔNe0)より、小さくなるので、自動運転モードへの切替許可が出て、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行が実行され、車両を発進させる。
このように、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致したときに、自動変速機13のクラッチが締結されるので、本来必要とする発生駆動力を駆動輪に伝えることができ、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制することができる。
【0028】
次に、作用効果を説明する。
実施例1の自動運転車両にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0029】
(1)自動変速機13が非駆動力伝達状態で、自動運転モードSW20により自動運転モードへの切替要求が出されたときに、実際の内燃機関の回転数(Nea)が目標アイドル回転数(Ne0)以上のときには、自動運転モードへの切り替え、および、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行を禁止した。
よって、実際の内燃機関11の回転数(Nea)が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致したときに、自動変速機13のクラッチが締結されるので、本来必要とする発生駆動力を駆動輪に伝えることができ、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制することができる。
【0030】
(2)冷機時始動の暖気、触媒活性化のために車両からのアイドル回転数のアップ要求が出ているときに、ドライバの自動運転モードへの切替要求があったときは、ドライバの自動運転モードへの切替要求を優先して、強制的に目標アイドル回転数(Ne0)に内燃機関11の回転数を下げるようにして、実際の内燃機関11の回転数(Nea)と目標アイドル回転数(Ne0)との差が設定値(ΔNe0)より小さくなったときに、自動運転モードへの切替許可が出て、自動変速機13の車両停止レンジ(P、Nレンジ)から、走行レンジ(Dレンジ)への移行が実行され、車両を発進させる。
よって、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制して、速やかに自動運転が実行される。
【0031】
(3)ドライバからのアイドル回転数のアップ要求(デフロスターSWのON、アクセルペダルのレーシング操作)が出ているときに、ドライバが自動運転モードSW20をON操作して、自動運転モードへの切替要求を行った場合、自動運転モードSW20をON操作してからの経過時間(tn)が、所定時間(t0)内に、ドライバの操作により実際の内燃機関11の回転数が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致したときには、自動運転モードへの切替許可を出して、自動変速機13を走行レンジ(Dレンジ)への移行が実行され、車両を発進させ、所定時間(t0)内に、ドライバの操作により実際の内燃機関11の回転数が目標アイドル回転数(Ne0)とほぼ一致しないときには、自動運転モードへの切替要求をキャンセルし、自動変速機13を車両停止レンジ(P、Nレンジ)に維持するようにした。
よって、内燃機関の燃費悪化やブレーキ部品の消耗、自動変速機のクラッチ締結による大きなショックの発生を抑制するとともに、自動運転モードの要求よりドライバのアイドル回転数のアップ要求を優先することにより、強い不快感や違和感を緩和することができる。
【0032】
(4)自動運転モードへの切替要求をキャンセルしたときには、この情報を車内スピーカ9による音声、メータ、ナビゲーション画面等により、ドライバへ報知する。
よって、ドライバの強い不快感や違和感を、より緩和することができる。
【0033】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。