特許第6903400号(P6903400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000002
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000003
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000004
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000005
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000006
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000007
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000008
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000009
  • 特許6903400-ランドリー機器 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903400
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】ランドリー機器
(51)【国際特許分類】
   D06F 34/10 20200101AFI20210701BHJP
   D06F 34/28 20200101ALI20210701BHJP
   D06F 39/00 20200101ALI20210701BHJP
【FI】
   D06F34/10
   D06F34/28
   D06F39/00 A
   D06F39/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-75109(P2016-75109)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-184940(P2017-184940A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細糸 強志
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−083176(JP,A)
【文献】 特開平09−117588(JP,A)
【文献】 特開平10−033891(JP,A)
【文献】 特開2013−075011(JP,A)
【文献】 特開平05−064486(JP,A)
【文献】 特開2011−053269(JP,A)
【文献】 特開2011−205341(JP,A)
【文献】 特開2013−027259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00 − 34/34
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱の上部に配置される収納部と、
この収納部内に収納されている操作表示部と、
この操作表示部の裏面側に配置され、前記操作表示部が搭載されている基板と別体の基板に搭載されているインバータ回路及び前記インバータ回路に供給される直流電源を生成する駆動電源回路を備えるパワー回路部と、
前記インバータ回路を構成する負側スイッチング素子と前記直流電源の負側端子との間に接続される電流検出抵抗と、
前記操作表示部に配置されて当該操作表示部を制御すると共に、前記電流検出抵抗を介して検出される電流をA/D変換して読み込むことで前記インバータ回路をフィードバック制御する制御部と、
前記パワー回路部に配置され、A/D変換用の電源を生成するA/D用電源回路と、
前記操作表示部と前記パワー回路部との間を接続するワイヤ配線とを備え、
前記制御部に入力される前記A/D変換用の電源電圧及びグランドレベルは、前記ワイヤ配線中の電源線及びグランド線を介して付与されており、
前記電流検出抵抗に発生する電圧信号は、前記ワイヤ配線において前記電源線と前記グランド線との間に配線されている状態で、前記制御部に入力されており、
前記グランド線と前記制御部のグランド電位の入力端子とは、個別の配線パターンで回路基板のグランド電位に接続されているランドリー機器。
【請求項2】
前記A/D変換用のグランドは、前記直流電源の負側端子に接続されており、
前記A/D変換用の電源電圧は、前記負側端子を基準電位として前記A/D用電源回路により生成される請求項1記載のランドリー機器。
【請求項3】
前記A/D変換用の電源電圧は、前記A/D用電源回路により入力電圧から降圧制御により生成され、且つ一定の電圧となるように制御される請求項1又は2記載のランドリー機器。
【請求項4】
前記A/D変換用の電源電圧は、前記制御部に供給される動作用電源,及び当該制御部が外部との間で信号の入出力を行うために供給される信号用電源の電源電圧と共通であり、前記動作用電源及び前記信号用電源を前記操作表示部に供給するための電源線とは異なる電源線で供給されている請求項1から3の何れか一項に記載のランドリー機器。
【請求項5】
前記ワイヤ配線は、フラットケーブルで行われている請求項1から4の何れか一項に記載のランドリー機器。
【請求項6】
前記ワイヤ配線は、前記電源線,前記グランド線及び前記電流検出抵抗に発生する電圧信号を伝達する配線と、他の配線との間が、離隔した形状である請求項1から5の何れか一項に記載のランドリー機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外箱の上部に配置される収納部内に、操作表示部及びパワー回路部を収納する構成のランドリー機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洗濯機等のランドリー機器では、インバータ回路によりモータを駆動制御してパルセータやドラムを回転させる。そのため、インバータ回路を構成する負側のスイッチング素子とグランドとの間に電流検出用の抵抗素子を接続し、制御部は、その抵抗素子の端子電圧をA/D変換して読み込み、例えばベクトル制御などを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5466482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗濯機等の構造によっては、前記制御部は、ユーザが操作入力を行うと共に運転状態に関する表示が行われる操作表示部と同じ回路基板に搭載されている。その場合は一般に、前記操作表示部の回路基板はインバータ回路や電源回路が搭載されているパワー回路部の回路基板と分離されており、双方の回路基板の間をワイヤ配線で電気的に接続されることが多い。
上記の構成を採用した際に、前記ワイヤ配線が長くなるとノイズの影響を受け易くなる。そして、制御部が電流検出するための信号線にノイズが重畳されるとモータの駆動制御に影響が及び、騒音や振動が増大したり誤動作が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、操作表示部とパワー回路部との間をワイヤ配線で接続する構成でも、制御部の電流検出にノイズの影響が及ぶことを極力回避できるランドリー機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のランドリー機器は、外箱の上部に配置される収納部と、この収納部内に収納されている操作表示部と、この操作表示部の裏面側に配置され、前記操作表示部が搭載されている基板と別体の基板に搭載されているインバータ回路及び前記インバータ回路に供給される直流電源を生成する駆動電源回路を備えるパワー回路部と、前記インバータ回路を構成する負側スイッチング素子と前記直流電源の負側端子との間に接続される電流検出抵抗と、前記操作表示部に配置されて当該操作表示部を制御すると共に、前記電流検出抵抗を介して検出される電流をA/D変換して読み込むことで前記インバータ回路をフィードバック制御する制御部と、前記パワー回路部に配置され、A/D変換用電源を生成するA/D用電源回路と、前記操作表示部と前記パワー回路部との間を接続するワイヤ配線とを備える。
【0007】
そして、前記制御部に入力されるA/D変換用の電源電圧及びグランドレベルは、前記ワイヤ配線中の電源線及びグランド線を介して付与されており、前記電流検出抵抗に発生する電圧信号は、前記ワイヤ配線において前記電源線と前記グランド線との間に配線されている状態で、前記制御部に入力されており、前記グランド線と前記制御部のグランド電位の入力端子とは、個別の配線パターンで回路基板のグランド電位に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態であり洗濯機の構成を模式的に示す一部の縦断側面図
図2】洗濯機の収納部の構成を模式的に示す分解斜視図
図3】収納部の縦断側面図
図4】洗濯機の電気的構成を示す回路図
図5】電源基板と表示基板との間をフラットケーブルで接続した状態を模式的に示す図
図6】フラットケーブルにおける配線の信号等の割り当てを示す図
図7】電源基板の平面図
図8】第2実施形態であり、洗濯機の電気的構成を示す回路図
図9】第3実施形態であり、電源基板と表示基板との間を単芯ケーブルで接続した状態を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、ランドリー機器である洗濯機に適用した第1実施形態について図1から図6を参照しながら説明する。図1に示すように、洗濯機10は、その外郭を構成する外箱11の内部に、上面が開放した有底円筒状の水槽12が弾性吊持機構13によって弾性的に支持されている。この水槽12の内部には、上面が開放した有底円筒状の回転槽14が回転可能に設けられている。回転槽14の底部には、当該回転槽14の底部を補強するための補強部材15が設けられている。回転槽14は、垂直な軸線を中心に回転するように構成されており、洗濯物を洗う洗い行程及び洗濯物をすすぐすすぎ行程における洗濯槽、及び、洗濯物を脱水する脱水行程における脱水槽として兼用される。つまり、洗濯機10は、回転槽14の回転中心軸が垂直方向に延びるいわゆる縦軸型洗濯機である。
【0010】
この回転槽14は、その周壁部に多数の孔16を有している。これらの孔16は貫通しており、通水及び通気が可能である。なお、図1には多数の孔16のうちその一部のみを示している。回転槽14の上部には、例えば塩水等の液体が封入された合成樹脂製のバランスリング17が取り付けられている。回転槽14内の底部には、撹拌体として例えば合成樹脂で形成されたパルセータ18が回転可能に設けられている。
【0011】
水槽12の下部には排水経路19が設けられている。この排水経路19には排水弁20が設けられており、この排水弁20が開放されることにより、水槽12内の水が機外に排出される。また、水槽12の底部には、水位検知用のエアトラップ21が設けられている。このエアトラップ21には、エアチューブ22を介して図示しない水位センサが接続されている。この水位センサは例えば圧力センサで構成されており、エアトラップ21内の圧力に基づいて水槽12内の水位を検知する。
【0012】
水槽12の下部の中央部には駆動機構部23が設けられている。この駆動機構部23は、図4に示すモータ24、及び図示しないクラッチ機構部等を備えている。駆動機構部23は、洗い行程時またはすすぎ行程時においては、クラッチ機構部により回転力をパルセータ18に伝達する。このため、洗い行程時またはすすぎ行程時に回転槽14は回転駆動されず、パルセータ18だけが回転駆動される。また、駆動機構部23は、脱水行程時においては、モータ24の回転力をクラッチ機構部によりパルセータ18及び回転槽14に伝達する。このため、脱水行程時にパルセータ18は、回転槽14と一体に回転駆動される。
【0013】
外箱11の上部には、トップカバー26が設けられている。このトップカバー26には、図2に示す洗濯物出入口35を開閉する例えば二つ折り式の蓋27が開閉可能に設けられている。なお、水槽12の上部には、図示しない槽カバーが開閉可能に取り付けられている。トップカバー26の前部には、操作パネル28が設けられている。
【0014】
操作パネル28の裏側には、洗濯機10の動作全般を制御する制御ユニット29が配置されている。この制御ユニット29は、図2に示すように、トップカバー26において洗濯物出入口35と外箱11の前面側との間に設けられ、操作パネル28により覆われる収納部33に収納される。
【0015】
制御ユニット29には、図4に示すように、操作パネル28を介してユーザにより操作される各種の操作スイッチを備える操作部81や、例えば液晶表示器や7セグメントLED等で構成される表示器82が設けられている。操作表示部83は、操作部81及び表示器82を一体に構成したものである。なお、操作パネル28全体を静電式タッチセンサで構成して機械的なスイッチを設けない構成や、例えば電源スイッチのみ機械的なスイッチを設ける構成であってもよい。
【0016】
制御ユニット29は、図3に示すように、表示基板84及び電源基板85の2枚の回路基板を備えており、上面側に表示基板84が配置され、その下面側電源基板85が配置されている。これらの構成の詳細については後述する。そして、制御ユニット29は、図2に示すように、ホルダ34に取り付けられた状態で、ホルダ34ごと収納部33に収納される。
【0017】
トップカバー26内の後部には、図1に示すように、水源からの水を水槽12内に供給する給水機構部30が設けられている。この給水機構部30は、図示しない給水弁や水槽12に連通する図示しない給水経路等を備えており、制御ユニット29が給水弁の開閉を制御することにより、水槽12内への給水が制御される。
【0018】
次に、洗濯機10の制御系に係る電気的構成について説明する。図4に示すように、制御ユニット29は、PWM制御方式インバータであるインバータ回路50を備えている。インバータ回路50は、6個のIGBT51を三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT51のコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード52が接続されている。IGBT51はスイッチング素子に相当する。インバータ回路50の各相出力端子は、モータ24の各モータ巻線24aに接続されている。本実施形態では、モータ24として、例えばアウタロータ型の三相ブラシレスDCモータを採用している。
【0019】
下アーム側のIGBT51のエミッタには、それぞれ電流検出抵抗であるシャント抵抗53がグランドとの間に直列に接続されている。シャント抵抗53の抵抗値は、例えば0.22Ωである。また、下アーム側のIGBT51のエミッタとシャント抵抗53との共通接続点は、過電流検出回路54及び抵抗分圧回路で構成されたレベルシフト回路64にそれぞれ接続されている。シャント抵抗53には、下アーム側のIGBT51がONしているタイミングで、モータ巻線24aと同じモータ相電流が流れる。したがって、その端子電圧は、モータ相電流に応じたレベルを示す。
【0020】
過電流検出回路54は、インバータ回路50の上下アームが短絡した場合等に生じる過電流を検出するもので、三相分を検出するために図示しない3つのコンパレータを有している。これら3つのうち何れか1つ以上のコンパレータにおいて、入力電圧が予め設定されている閾値を超えるとその出力レベルが変化する。そして、コンパレータ出力の変化を受け付けた制御部55により、PWM信号の出力が直ちにOFFされる。これにより回路素子の破壊等が防止される。
【0021】
シャント抵抗53には、インバータ回路50が動作する際にグランド電位に対して正負の端子電圧が発生する。そのため、レベルシフト回路64は、シャント抵抗53の端子電圧,すなわちIGBT51のエミッタとシャント抵抗53との共通接続点の電圧を、制御部55に内蔵されている図示しないA/D変換器の入力範囲に合わせてレベルシフトする。レベルシフト回路64の電源電圧は電源回路63によって生成されており、本実施形態では3.3Vである。
【0022】
電源回路63は、3端子レギュレータで構成されており、シャント抵抗53のグランド電位を基準として生成されている。換言すると、電源回路63で生成される3.3V電源は、シャント抵抗53のグランド電位に対する変動が少なくなる状態で生成されている。具体的には、電源回路63はシャント抵抗53の近傍に配置され、シャント抵抗53のグランド電位との間が幅太の配線パターンで接続されていると共に、一点GNDとなっている。これにより、電源回路63とシャント抵抗53のグランド電位の電位差が僅かとなり、生成される3.3V電源は、シャント抵抗53側のグランド電位に対する変動が少なくなる。
【0023】
レベルシフト回路64は、電源電圧に接続されている3つの抵抗65a〜67a、及び、これらの抵抗65a〜67aとシャント抵抗53との間に直列に接続されている3つの抵抗65b〜67bによって、シャント抵抗53の端子電圧をそれぞれ抵抗分圧して制御部55に入力する。これらの抵抗65〜67の抵抗値は、例えば何れも1kΩである。
【0024】
モータ24には、ロータの位置を検出するために例えばホールICなどで構成された回転位置センサ56が設けられており、回転位置センサ56が出力するセンサ信号が制御部55に入力される。そして、制御部55は、モータ24の各モータ巻線24aに流れる電流値に基づいてフィードバック制御,例えばベクトル制御によりPWM信号を生成し、インバータ回路50に与えることでモータ24を制御する。制御部55は、前述のようにA/D変換器等を内蔵したマイクロコンピュータで構成されている。
【0025】
インバータ回路50の入力側には、駆動用電源回路57が接続されている。駆動用電源回路57は、100Vの交流電源61に対して一端側にリアクトル58を介して接続される、ダイオードブリッジからなる全波整流回路59で構成されている。駆動用電源回路57は、倍電圧全波整流により生成した約280Vの直流電圧をインバータ回路50に供給する。
【0026】
全波整流回路59の入力側には、商用周波数検出回路80が接続されており、その検出出力は制御部55に入力されている。また、全波整流回路59の出力側には、制御ユニット29で使用する電源電圧,例えば5V,16Vの2種類の電圧をチョッピングにより生成する電源回路62が設けられている。
【0027】
電源回路62で生成された5Vの電源電圧は、制御部55の動作用電源電圧となり、電源回路63にも供給されている。電源回路63は、制御部55の動作用電源電圧の5Vよりも低く、レベルシフト回路64において端子電圧をレベルシフトする際の上限となる3.3Vの電源電圧を生成する。つまり、3.3Vの電源電圧を、5Vの電源電圧を降圧して生成することでノイズを低減している。上記の電源電圧は、シャント抵抗53を分圧して得られる電圧値に応じて適宜適切な値が選択される。
【0028】
本実施形態では、制御部55に内蔵されているA/D変換器を用いている。そのため、制御部55は、A/D変換する際のアナログ電圧の入力範囲を規定する上限電圧3.3Vが付与される入力端子RefHと、同下限電圧が付与される入力端子をRefLとを備えている。入力端子をRefLは、制御部55のグランド電位の入力端子,図4中のVSSとは個別の配線パターンでグランド電位に接続されている。電源回路63は、A/D用電源回路に相当する。
【0029】
交流電源61には、洗濯機10の電源をON/OFFする電源スイッチ回路60が接続されている。ユーザにより図示しない電源オンスイッチが操作されると、電源スイッチ回路60により初期通電が行われ、駆動用電源回路57が電圧を出力することで16V,5V電源が発生し、制御部55が動作を開始する。その後、制御部55からのオン指令が電源スイッチ回路60に与えられてオン動作が継続される。ユーザにより図示しない電源オフスイッチが操作されると、制御部55の指令により電源スイッチ回路60がオフされる。また、16V電源は、後述するようにIGBT51のゲート駆動電圧に使用される他、表示器82のLED用電源にも使用される。
【0030】
制御部55は、三相のインバータ回路50に対応して、U相のモータ相電流を検出する入力端子:U相電流A/D,V相のモータ相電流を検出する入力端子:V相電流A/D,W相のモータ相電流を検出する入力端子:W相電流A/Dを備えている。
【0031】
また、制御部55には、クラッチの切り替え状態を検出するクラッチセンサ回路68、水槽12内の水位に応じて発振周波数が変化する水位センサ発振回路69、排水弁20を開閉駆動する排水弁回路70、給水弁を開閉駆動する給水弁回路71、ソフター弁を駆動するソフター弁回路72、ブザー73、風呂水ポンプ74、蓋ロック回路75や蓋メカスイッチ76等も接続されている。
【0032】
モータ24の回転力は、前述のクラッチ機構部を介して洗い時は撹拌翼18に伝達され、脱水時には回転槽14に伝達されるように切替えられる。この切替えは、クラッチが上下に移動することにより行われるので、制御部55は、クラッチセンサ回路68によりその切替えを監視する。ブザー73は、洗濯運転の終了時や操作時における7キー入力確認の際に鳴動させる。風呂水ポンプ74は、洗いや濯ぎ時の給水に風呂水を汲み上げるために使用される。
【0033】
制御部55は、風呂水ポンプ74の駆動出力の他に、風呂水凍結時に発生する過電流異常の検知機能も有する。蓋ロック回路75は、脱水回転時に誤って回転槽14内に腕等が投入されると危険なため、蓋27を自動的にロックする機能と、そのロック済みを検出するために使用される。蓋メカスイッチ76は、蓋27の開閉状態を検知するために使用される。
【0034】
また、電源回路62で生成された5Vの電源電圧は、回転位置センサ56のセンサ信号を制御部55に入力するための反転バッファや、クラッチセンサ回路68等のI/O用電源にも使用されている。I/O用電源は、信号用電源に相当する。
【0035】
操作表示部83は、前述した操作部81及び表示器82を有するユニットであり、ユーザにより操作部81において操作入力が行われると、その操作信号:KEYが制御部5に入力される。また、制御部55は、表示器82に対してセグメント信号やディジット信号を出力して数字やアルファベット等の表示を制御する。
【0036】
制御部55は、モータ24を駆動するためのPWM指令を生成する。このとき、モータ24を駆動するため駆動用電源回路57で生成された280Vの電源電圧にはリプル変動があり、滑らかなモータ駆動の障害となる。そこで、280Vの電源電圧を分圧抵抗76、77及びクランプ回路78を介してA/D変換器に入力し、制御部55において電源電圧の変動に応じてPWM指令を補正し、リプル変動の影響を排除している。
【0037】
また、制御部55は、PWM信号の搬送波周期毎に、下アーム側のIGBT51がONするタイミングの中間付近で最低二相分,例えば下アームのON時間が長い相を選択し、それらの端子電圧をA/D変換してモータ相電流を取得する。制御部55は、モータ24の回転に伴う回転位置センサ56の出力に基づきロータの位置を取得してPWM信号を調整し、モータ24のd軸電流及びq軸電流が適切な値となるようにベクトル制御演算を行い、モータ24を駆動制御する。PWM信号は、駆動回路86を介して、更に上アーム側は高圧ドライバ87を介して、各IGBT51のゲートに入力される。
【0038】
以上の構成において、制御部55及び操作表示部83は、前述の表示基板84に搭載されている。また、インバータ回路50,駆動回路86及び高圧ドライバ87は一体のパワーモジュール88として構成されている。そして、駆動用電源回路57及びパワーモジュール88は、パワー回路部に相当する電源基板85に搭載されている。
【0039】
図3に示す収納部33の断面図において、表示基板84は、図中の上面が開放されている基板ケース91に収納されており、電源基板85は、図中の下面が開放されている基板ケース92に収納されている。そして、制御ユニット29は、各基板ケース91,92の互いの底部外面が背中合わせで張り合わされて構成されている。表示基板84と電源基板85とは、フラットケーブル93により電気的に接続されている。
【0040】
フラットケーブル93は、実際は図5に示すように、93(1)及び93(2)の2本である。図5では、表示基板84と電源基板85との間が、フラットケーブル93(1)及び93(2)により接続されている状態を模式的な斜視図で示している。図3において、パワーモジュール88の下面にはヒートシンク94が接続されている。そして、表示基板84の上面と電源基板85の下面には防水を図るため、それぞれにウレタン樹脂95,96が充填されている。
【0041】
図6は、フラットケーブル93(1)の各ワイヤ配線に割り当てられている信号名等の一覧である。そして図7は、電源基板85を、図3における下面側から見たものである。
フラットケーブル93(1)の第1ピンから第5ピンの信号割り当ては、以下のようになっている。
第1ピン A/DrefL
第2ピン U相電流
第3ピン V相電流
第4ピン W相電流
第5ピン A/DrefH
【0042】
図7において、電源基板85の中央部にパワーモジュール88が配置され、その上部に直方体形状のヒートシンク94が乗せられて、例えばねじ止めなどにより固定されている。高圧系の入出力である280V電源の入力ピンや、モータ24のU,V,W各相巻線24aに駆動信号を出力するピンは、図中の左側に配置されている。
【0043】
上記の駆動信号をモータ24に伝達するため、コネクタ97が配置されている。コネクタ97の右側には、U,V,W各相のシャント抵抗53が配置され、下側IGBT51のエミッタのピンに接続される。3個のシャント抵抗53のマイナス側は1点に結ばれて、GND及びA/DrefLの基準電位点となっている。
【0044】
前記基準電位点は枝分かれして、それぞれの配線ピンと最短距離で接続される。その間に3個のシャント抵抗53のモータ電流出力端が最短距離で引き出され、それぞれの配線ピンに接続されている。3端子レギュレータである電源回路63のグランド端子は前記基準電位点に最短距離で接続されており、出力端子はフラットケーブル93(1)の5ピンに接続されている。
【0045】
つまり、制御部55がモータ24の各相電流を読み込むための信号配線は、A/D変換用の基準電位A/DrefLの配線と、基準電源電圧A/DrefHの配線との間に配置されている。この配線形態により生じるシールド効果で、制御部55が電流値のA/D変換データを読み込む際にノイズの影響を受け難くしている。また、基準電位A/DrefLは前述のようにノイズを低減するため、第9ピンのグランドとは別の1ピンに接続されている。
【0046】
以上のように本実施形態によれば、外箱11の上部に配置される収納部33に、操作表示部83が搭載される表示基板84及びその裏面側に配置され、インバータ回路50,駆動用電源回路57及び電源回路63が搭載される電源基板85を収納する。加えて、操作表示部83を制御する制御部55を表示基板84に配置し、制御部55は、シャント抵抗53を介して検出される電流をA/D変換して読み込むことでインバータ回路50をフィードバック制御する。
【0047】
そして、表示基板84と電源基板85との間をフラットケーブル93で接続し、制御部55に入力されるA/D変換用の電源電圧及びグランドレベルを、フラットケーブル93中の電源線及びグランド線を介して付与し、シャント抵抗53に発生する各相電流の電圧信号を、フラットケーブル93において前記電源線と前記グランド線との間に配線されている状態で制御部55に入力する。
【0048】
このように構成すれば、フラットケーブル93を使用した配線が長くなっても、モータ電流信号に対するノイズの干渉によるS/N比悪化を防ぐことができ、モータの駆動騒音や振動の発生を抑えることができる。したがって、制御ユニット29が省スペースな空間の収納部33内に配置できるので、低コストな製品が構成可能となる。
【0049】
また、A/D変換用のグランドA/DrefLを駆動用電源回路57の負側端子に接続し、同電源である3.3V電圧は、前記負側端子を基準電位として電源回路63により生成するので、A/D変換用電源のノイズを最小化できる。更に、前記3.3Vの電源電圧を、3端子レギュレータである電源回路63により入力電圧から降圧制御して生成し、且つ一定の電圧となるように制御する。したがって、入力される電源電圧が電源回路62のようなチョッパ電源により生成されるノイズの多いものであっても、電源回路63のフィードバック制御により一定の電圧を生成できる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図8に示すように、第2実施形態の電源基板85Aでは、第1実施形態では5Vであった制御部55の動作用電源及びI/O用電源の電圧を、電源回路63より供給される3.3Vにしている。
【0051】
このように、A/D変換用の電源電圧を、制御部55に供給される動作用電源,及びI/O用電源の電圧と共通にして、何れも3端子レギュレータの安定した電源を用いる。加えて、A/D変換用の電源電圧を、動作用電源及びI/O用電源を操作表示部83に供給するための電源線とは異なる電源線で供給するようにフラットケーブル93中での配線を分けていることで、A/D変換に対するノイズ源の影響をより低減し、更に電流検出のS/N比を向上させてモータ騒音などを低減できる。
【0052】
(第3実施形態)
図9に示す第3実施形態では、表示基板84と電源基板85との間の接続にフラットケーブル93を用いる代わりに、各配線が独立している単芯ケーブル101を用いている。複数の単芯ケーブル101は、フラットケーブル93(1),93(2)にそれぞれ対応する第1配線群102(1),第2配線群102(2)を構成している。また、各配線ピンに対応する信号等の割り当ては第1実施形態と同様である。
【0053】
そして、第1配線群102(1)では、第1ピン〜第5ピンに対応する単芯ケーブル101と、第15ピン〜第20ピンに対応する単芯ケーブル101とがそれぞれまとめられており、前者は第1サブ配線群102(1−1),後者は第2サブ配線群102(1−2)となっている。また、第2配線群102(2)も第1サブ配線群102(2−1)と、第2サブ配線群102(2−2)とにまとめられている。
【0054】
このように、複数の単芯ケーブル101による配線において、電源線,グランド線及びシャント抵抗35に発生する電圧信号を伝達する配線を第1サブ配線群102(1−1)に、他の配線を第2サブ配線群102(2−2)にそれぞれまとめ、両者の間を離隔した形状として配線することで、第1サブ配線群102(1−1)側に及ぶ第2サブ配線群102(2−2)で発生したノイズの影響を低減できる。
【0055】
(その他の実施形態)
電源回路63の入力電源電圧は、必ずしも電源回路62の出力電圧にすることはない。また、電源回路63は、必ずしも3端子レギュレータである必要はない。
図6に示す各配線への信号等の割り当ては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して良い。
各電源電圧や抵抗値等についても、個別の設計に応じて変更すれば良い。
ドラム式洗濯機や洗濯乾燥機,乾燥機などのランドリー機器に適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
図面中、10は洗濯機、11は外箱、33は収納部、50はインバータ回路、51はIGBT、53はシャント抵抗、55は制御部、57は駆動用電源回路、63は電源回路、83は操作表示部、84は表示基板、85は電源基板、93はフラットケーブル、101は単芯ケーブルを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9