特許第6903432号(P6903432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903432CNSの疾患および傷害を処置するために全身性調節性T細胞のレベルまたは活性を低下させること
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903432
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】CNSの疾患および傷害を処置するために全身性調節性T細胞のレベルまたは活性を低下させること
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20210701BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A61K39/395 DZMD
   A61K39/395 N
   A61K39/395 U
   A61P25/28
【請求項の数】11
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2016-556895(P2016-556895)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-512771(P2017-512771A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】IL2015050265
(87)【国際公開番号】WO2015136541
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2017年12月11日
【審判番号】不服2019-15661(P2019-15661/J1)
【審判請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】61/951,783
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/030,164
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500018608
【氏名又は名称】イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンバッハ‐シュワルツ、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】バルーク、クティ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンツワイク、ネタ
【合議体】
【審判長】 岡崎 美穂
【審判官】 原田 隆興
【審判官】 齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−513079号公報
【文献】 特開2012−158605号公報
【文献】 国際公開第2014/037952号
【文献】 特開2013−150606号公報
【文献】 The EMBO Journal,2013年,Vol.33,No.1,pp.7−20
【文献】 Molecular Immunology,2013年12月10日,Vol.58,pp.85−91
【文献】 Journal of Neuroimmunology,2014年10月15日,Vol.275,No.1−2,pp.206−207,Abstract No.115
【文献】 European Journal of Neuroscience,2007年,Vol.26,pp.413−416
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K39/00-39/44
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のアルツハイマー病を処置するために使用されるための、個体における全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす活性な薬剤を含む医薬組成物であって、該活性な薬剤は、抗PD−1中和抗体、抗PD−L1中和抗またはこれらの組み合わせであり、
全身的免疫抑制のレベルを一時的に減少させる投薬計画によって投与され、
該投薬計画が、少なくとも2回の治療過程であって、ただし、それぞれの治療過程が順に、該個体に該医薬組成物が投与される処置期、その後での該個体に該医薬組成物が投与されない非処置期を含み、
前記非処置期が2週間〜6ヶ月長さであり、
前記処置期が反復投与を含む場合は:
前記医薬組成物が前記処置期中に3日毎に1回投与され;
前記処置期が3日〜4週間の長さであり;かつ
前記非処置期が前記処置期中における反復投与の間の期間よりも長い;
医薬組成物。
【請求項2】
前記処置期が反復投与を含む場合は、前記処置期が3日の長さである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記処置が、前記医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記処置期が、少なくとも前記レベルが参照基準よりも低くなるまでは維持され、前記投与することが前記非処置期の期間中は休止され、かつ、前記非処置期が、前記レベルが前記参照基準よりも低い限りは維持され、
前記参照基準が、
(a)前記投与する前における前記個体から得られる最も最近の血液サンプルにおいて測定される調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベル;あるいは
(b)アルツハイマー病に苦しむ個体の集団に特徴的である調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベル
から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記参照基準が、前記投与する前における前記個体から得られる最も最近の血液サンプルにおいて測定される調節性T細胞の全身的存在または活性のレベルである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記処置期が、前記医薬組成物を前記個体に投与することを含み、かつ、前記処置期が、少なくともIFNγ産生白血球の全身的存在またはレベルが参照基準を超えて増大するまでは維持され、そして、前記投与することが前記非処置期の期間中は休止され、かつ、前記非処置期が、前記レベルが前記参照基準を超えている限りは維持され、
ただし、前記参照基準が、
(a)前記投与する前における前記個体から得られる直近の血液サンプルにおいて測定されるIFNγ産生白血球の全身的存在または活性のレベル;あるいは
(b)アルツハイマー病に苦しむ個体の集団に特徴的であるIFNγ産生白血球の全身的存在または活性のレベル
から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記調節性T細胞が、CD25、CD127、GITR、CTLA−4またはPD−1のうちの1つまたは複数を発現するFoxP3細胞、あるいは、CD25、CD127、GITR、CTLA−4またはPD−1の表面分子のうちの1つまたは複数を発現するFoxP3細胞から選択されるCD4細胞である、請求項3又は4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記調節性T細胞がCD4CD25FoxP3細胞またはCD4CD25FoxP3細胞である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記活性な薬剤が、抗PD−L1中和抗体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記薬剤が、PD−1中和抗体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記アルツハイマー病の処置が、認知機能の改善をもたらす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記認知機能が、学習、記憶、心象の創造、思考、認識、推論、空間的能力、発話技能および言語技能、言語習得、及び/または判断注意のための能力である、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には、中枢神経系(CNS)の疾患、障害、状態または傷害を、循環における全身的免疫抑制のレベルを一時的に低下させることによって処置するための方法および組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系(CNS)のほとんどの病変が、疾患進行の一部であり、かつ、疾患憎悪の一因である共通する神経炎症成分を介している。これらの病変の1つが、アルツハイマー病(AD)、すなわち、アミロイドβ(Aβ)ペプチド凝集体の蓄積がCNS内の炎症カスケードにおいて重要な役割を果たし、最終的にはニューロンの損傷および組織破壊を引き起こすことが示唆された、記憶機能および認知機能の進行性喪失によって特徴づけられる加齢に関連した神経変性疾患である(Akiyama他、2000;Hardy&Selkoe、2002;Vom Berg他、2012)。様々な神経変性疾患における長期間に及ぶ神経炎症性応答にもかかわらず、過去10年間にわたる臨床研究および前臨床研究では、免疫抑制に基づく治療法が神経変性疾患において調べられる一方で、抗炎症性薬物がなぜ不足しているかに関して疑問が生じている(Breitner他、2009;Group他、2007;Wyss−Coray&Rogers、2012)。本発明者らは、ADならびにCNSの類似する疾患および傷害の既存の治療法の欠点を克服する新規な答えを提供する;この方法は、CNSの維持および修復における全身性免疫系および中枢性免疫系の種々の成分の役割を本発明者らが独自の理解に基づいている。
【発明の概要】
【0003】
1つの局面において、本発明は、自己免疫性神経炎症性疾患、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含まないCNSの疾患、障害、状態または傷害を処置する際に使用されるための、個体における全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす活性な薬剤を含む医薬組成物であって、少なくとも2回の治療過程(ただし、それぞれの治療過程が順に、処置期、その後での非処置の間欠期を含む)を含む投薬計画によって投与するための医薬組成物を提供する。
【0004】
別の局面において、本発明は、自己免疫性神経炎症性疾患の再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含まない中枢神経系(CNS)の疾患、障害、状態または傷害を処置するための方法であって、その必要性のある個体に、請求項1〜24のいずれか一項に記載される医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、少なくとも2回の治療過程(ただし、それぞれの治療過程が順に、処置期、その後での非処置期間の間欠期を含む)を含む投薬計画によって投与される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A-B】ADの5XFAD遺伝子組換えマウスモデル(AD−Tg)における疾患進行に沿う脈絡叢(CP)活性を示す。(A)1月齢、2月齢、4月齢および8月齢のAD−Tgマウスから単離されるCPにおける、RT−qPCRによって測定される、icam1、vcam1、cxcl10およびccl2の各遺伝子についてのmRNA発現レベルであって、月齢一致のWT型コントロールと比較して変化倍数として示されるmRNA発現レベル(n=6〜8/群;各時点についてのスチューデントt検定)。(B)上皮タイトジャンクション分子クローディン−1についての免疫染色、Hoechst核染色およびインテグリンリガンドICAM−1についての免疫染色が行われた8月齢AD−Tgマウスおよび月齢一致WT型コントロールのCPの代表的な顕微鏡画像(スケールバー、50μm)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図2A-C】(A)若年者および高齢者のCNS非疾患者ならびにAD患者のヒト死後CPにおけるICAM−1免疫反応性の定量化(n=5/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析);(B)8月齢AD−Tgマウスおよび月齢一致WT型コントロールのCPにおけるIFN−γ発現免疫細胞(細胞内染色され、CD45に対してプレゲート処理されたもの)についてのフローサイトメトリー分析。網掛けヒストグラムはイソタイプコントロールを表す(n=4〜6/群;スチューデントt検定);ならびに(C)月齢一致のWT型コントロールと比較される4月齢および8月齢のAD−Tgマウスから単離されるCP組織における、RT−qPCRによって測定されるifn−γのmRNA発現レベル(n=5〜8/群;各時点についてのスチューデントt検定)を示す。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図3A-B】(A)8月齢のAD−TgマウスおよびWT型コントロールマウスにおける(TCRβに対してプレゲート処理された)CD4Foxp3脾細胞頻度の代表的なフローサイトメトリープロット、ならびに、(B)1月齢、2月齢、4月齢および8月齢のAD−TgマウスおよびWT型コントロールマウスから得られる脾細胞の定量的分析(n=6〜8/群;各時点についてのスチューデントt検定)を示す。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図4】DTxの最後の注入の1日後におけるAD−Tg/Foxp3−DTR+/−マウスから得られる脾細胞のゲート処理戦略および代表的なフローサイトメトリープロットを示す。DTxを4日間連続してi.p.注入し、これにより、Foxp3細胞の約99%の枯渇化を達成した。
図5A-G】AD−TgマウスにおけるTregの一時的枯渇化の影響を示す。(A)(DTR導入遺伝子を発現する)AD−Tg/Foxp3−DTRと、DTRを発現しないAD−Tg同腹子(AD−Tg/Foxp3−DTR)コントロール群とを4日間連続してDTxにより処置した。最後のDTx注入の1日後での、6月齢のDTx処置AD−Tgマウスにおける、RT−qPCRによって測定される、icam1、cxcl10およびccl2の各遺伝子についてのCP mRNA発現レベル(n=6〜8/群;スチューデントt検定)。(B〜D)最後のDTx注入の3週間後での、6月齢のDTx処置されたAD−Tgマウスおよびコントロールの脳の実質組織(別個に切除された脈絡叢を除く)のフローサイトメトリー分析。DTxにより処置されたAD−Tg/Foxp3−DTRマウスおよびAD−Tg/Foxp3−DTR−コントロールの脳の実質組織における、増大した数のCD11bhigh/CD45highmo−MΦおよびCD4T細胞を示す定量的フローサイトメトリー分析(B)、ならびに、CD4Foxp3Treg頻度の代表的なフローサイトメトリープロット(C)および定量的分析(D)(n=3〜7/群;スチューデントt検定)。(E)最後のDTx注入の3週間後での、6月齢のDTx処置されたAD−Tg AD−Tg/Foxp3−DTRおよびAD−Tg/Foxp3−DTR−コントロールの脳の実質組織におけるfoxp3およびil10のmRNA発現レベル(n=6〜8/群;スチューデントt検定)。(F)最後のDTx注入の3週間後での、6月齢のDTx処置されたAD−Tg/Foxp3−DTRマウスおよびAD−Tg/Foxp3−DTRコントロールマウスの海馬切片における低下したアストログリオーシスを示す、GFAP免疫染色の定量的分析(スケールバー、50μm;n=3〜5/群;スチューデントt検定)。(G)最後のDTx注入の3週間後での、脳の実質組織におけるil−12p40およびtnf−αのmRNA発現レベル(n=6〜8/群;スチューデントt検定)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図6A-E】Aβプラーク学習/記憶成績に対するTregの一時的枯渇化の影響を示す。Aβプラークについての免疫染色およびHoechst核染色が行われた、最後のDTx注入の3週間後での、5月齢のDTx処置されたAD−Tg/Foxp3−DTRマウスおよびAD−Tg/Foxp3−DTRコントロールマウスの脳の(A)代表的な顕微鏡像および(B)定量的分析(スケールバー、250μm)。海馬の歯状回(DG)および大脳皮質の第5層における平均のAβプラーク面積およびAβプラーク数を定量化した(6μmの脳薄片において;n=5〜6/群;スチューデントt検定)。図6C〜6Eは、最後のDTx注入の3週間後での、6月齢のDTx処置されたAD−Tg/Foxp3−DTRマウスおよびコントロールマウスのモリス水迷路(MWM)試験成績を示す。一時的なTreg枯渇化の後、AD−Tgマウスの方が、AD−Tgコントロールと比較して、MWMの(C)習得期、(D)プローブ期および(E)反転期における良好な空間学習/記憶成績を示した(n=7〜9/群;個々のペア比較についての二元配置反復測定ANOVA、それに続くボンフェローニ事後解析;、P<0.05、取得、プローブおよび反転のすべてについて)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図7】月齢一致のWT型コントロールと比較される6月齢および12月齢のAPP/PS1 AD−Tgマウス(アルツハイマー病のためのマウスモデル(材料および方法を参照のこと))から単離されるCPにおける、RT−qPCRによって測定されるifn−γのmRNA発現レベルを示す(n=5〜8/群;スチューデントt検定)。エラーバーは±s.e.m.を表す;、P<0.05。
図8A-I】AD−Tgマウスにおける毎週のグラチラマー酢酸塩(GA)の投与の治療効果を示す。(A)毎週GA処置療法の概略図。マウス(5月齢)にGA(100μg)を4週間の全期間にわたって、第1週の期間中は2回(1日目および4日目)、その後は毎週1回、s.c.注入した。マウスを認知成績について最後の注入の1週間後(MWM)、1ヶ月後(RAWM)および2ヶ月後(RAWM;実験での異なる空間設定を使用する)に調べ、また、海馬の炎症について調べた。図8B〜8Dは、6mの月齢における非処置AD−Tgマウスおよび毎週GA処置のAD−Tgマウスの海馬における様々な遺伝子のmRNA発現レベルを示しており、(B)炎症促進性サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1βおよびIL−12p40など)の低下した発現、(C)抗炎症性サイトカイン(IL−10およびTGF−β)の上昇、および、(D)神経栄養因子(IGF−1およびBDNF)の上昇が、毎週GA処置のマウスにおいて示される(n=6〜8/群;スチューデントt検定)。図8E図8Gでは、AD−Tgマウス(5月齢)を毎週GAにより、またはビヒクル(PBS)によりそのどちらかで処置し、6mの月齢でMWM課題において月齢一致のWT型同腹子と比較した。処置されたマウスの方が、コントロールと比較して、MWMの習得期(E)、プローブ期(F)および反転期(G)における良好な空間学習/記憶成績を示した(n=6〜9/群;個々のペア比較についての二元配置反復測定ANOVA、それに続くボンフェローニ事後)。図8H図8Iは、最後のGA注入の1ヶ月後(H)または2ヶ月後(I)での、RAWM課題における同じマウスの認知成績を示す(n=6〜9/群;個々のペア比較についての二元配置反復測定ANOVA、それに続くボンフェローニ事後)。データは、少なくとも3回の独立した実験を表している。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図9A-H】AD−Tgマウスにおける毎週GAの投与のさらなる治療効果を示す。A〜Bは、毎週GAまたはビヒクル(PBS)のいずれかにより処置され、投与計画の第1週終了時において(合計で2回のGA投与の後で)調べられた5XFAD AD−Tgマウスを示す。月齢一致のWT型コントロールと比較される処置された6月齢のAD−Tgマウスにおける、CD4Foxp3脾細胞頻度についてのフローサイトメトリー分析(A)、および、CPのIFN−γ発現免疫細胞(B;細胞内染色され、CD45に対してプレゲート処理されたもの)(n=4〜6/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。(C)毎週GAまたはビヒクルのどちらかにより処置され、毎週GA療法の第1週または第4週の終了時のどちらかで調べられる4月齢のAD−TgマウスのCPにおける、RT−qPCRによって測定される、icam1、cxcl10およびccl2の各遺伝子についてのmRNA発現レベル(n=6〜8/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。図9D図9Eは、毎週GAの後での6月齢AD−Tg/CXCR1GFP/+BMキメラ体から得られる脳切片の代表的な像を示す。CXCR1GFP細胞が、毎週GAにより処置されたAD−Tgマウスでは、第3脳室のCP(3V;i)、隣接する脳室空間(ii)、および、側脳室のCP(LV;iii)に局在化していた(D;スケールバー、25μm)。骨髄性マーカーCD68とのGFP細胞の共局在化が、毎週GAにより処置された7月齢のAD−Tg/CXCR1GFP/+マウスにおいて示され、しかし、コントロールのPBS処置AD−Tg/CXCR1GFP/+マウスでは示されない、共焦点z軸方向積重ねの代表的な直交投影図(E;スケールバー、25μm)。(F)CXCR1GFP細胞が、GA処置されたAD−Tg/CXCR1GFP/+マウスの脳において、Aβプラークの近傍に骨髄性マーカーIBA−1と共局在化し、骨髄性マーカーIBA−1を共発現する(スケールバー、25μm)。図9G図9Hは、4月齢のWT型マウス、非処置AD−Tgマウス、および、毎週GA療法の第2週でのAD−Tgマウスの海馬から単離された細胞の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。CD11bhigh/CD45highmo−ΜΦをゲート通過させ(G)、定量化した(H;n=4〜5/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図10A-H】AD−Tgマウスにおけるp300阻害剤(C646)の投与の治療効果を示す。図10Aおよび図10Bでは、高齢マウス(18月)を1週間の期間にわたってp300iまたはビヒクル(DMSO)のどちらかにより処置し、処置中断の1日後に調べた。IFN−γを発現するCD4T細胞の脾臓での頻度(A)およびCPでのIFN−γ発現免疫細胞数(B)における増大をp300i処置の後で示す代表的なフローサイトメトリープロット。図10C図10Eは、p300iまたはビヒクル(DMSO)のどちらかを1週間の期間にわたって受け、続いてさらに3週間の後で調べられた10月齢のAD−Tgマウスの脳におけるAβプラーク負荷の代表的な顕微鏡像(C)および定量的分析を示す。脳をAβプラークについて免疫染色し、Hoechst核染色によって免疫染色した(n=5/群;スケールバー、250μm)。平均のAβプラーク面積およびAβプラーク数を海馬DG(D)および大脳皮質の第5層において定量化した(E)(6μmの脳薄片において;n=5〜6/群;スチューデントt検定)。(F)月齢が7ヶ月であるAD−Tgマウスの種々の群に対する、1回または2回のどちらかでのp300i処置(またはビヒクルとしてのDMSO)投与計画の概略図。図10G図10Hは、非処置AD−Tg群と比較して、大脳皮質(第5層)のAβプラーク被覆率の変化平均(G)、ならびに、平均での脳の可溶性のAβ1_40タンパク質レベルおよびAβ1_42タンパク質レベルにおける変化(H)を示す(非処置群におけるAβ1_40およびAβ1_42の平均レベル、90.5±11.2pg/mg総タンパク質および63.8±6.8pg/mg総タンパク質、それぞれ;n=5〜6/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図11A-B】AD−Tgマウスにおける抗PD1抗体の投与の治療効果を示す。(A)マウスの実験群、それらの月齢、処置投与計画、および、マウスが調べられた時点の概略図。10ヶ月の月齢において、5XFADアルツハイマー病(AD)遺伝子組換え(Tg)マウスに250μgの抗PD1抗体(RMP1−14)またはコントロールIgG(ラット)抗体のどちらかを実験の1日目および4日目にi.p.注入した。マウスを3週間後に、放射状アーム水迷路(RAWM)での空間学習・記憶課題によってそれらの認知成績について調べた。月齢を一致させた未処置のWT型マウスおよびAD−Tgマウスをコントロールとして使用した。(B)は、放射状アーム水迷路(RAWM)での空間学習・記憶課題によって評価されるような認知成績を示す。データを、二元配置反復測定ANOVAを使用して分析し、ボンフェローニ事後手順を追跡調査でのペア毎の比較のために使用した。n=6〜12/群。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図12A-B】AD−Tgマウスにおける抗PD1抗体の投与のIFN−γ産生T細胞に対する全身的影響を示す。(A)マウスの実験群、それらの月齢、処置投与計画、および、マウスが調べられた時点の概略図。マウスに250μgの抗PD1抗体(RMP1−14)またはコントロールIgG(ラット)抗体のどちらかを実験の1日目および4日目にi.p.注入し、マウスを7日目に調べた。(B)PD−1またはIgGにより処置されたAD−Tgマウス、ならびに、非処置のAD−TgコントロールおよびWT型コントロールにおけるCD4IFN−γT細胞の脾細胞頻度(細胞内染色され、CD45およびTCR−βに対してプレゲート処理されたもの)についてのフローサイトメトリー分析(n=4〜6/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析;**、P<0.01(示された処置群の間において;エラーバーは平均±s.e.m.を表す)。
図13A-B】AD−Tgマウスにおける抗PD1処置の後でのCPに対する影響を示す。月齢が10ヶ月であるAD−TgマウスをPD−1またはIgGにより処置したか、あるいは未処置のままにした。マウスに250μgの抗PD1抗体(RMP1−14)またはコントロールIgG(ラット)抗体のどちらかを実験の1日目および4日目にi.p.注入し、マウスを7日目に調べた。(A)リアルタイム定量的PCR(RT−qPCR)によって測定される場合のCPでのIFN−γレベルは、 に対して正の相関があり(ピアソンのr=0.6284、P<0.05)、フローサイトメトリーによって測定される場合のCD4IFN−γT細胞の脾細胞頻度に対して負の相関があった。CPでのIFN−γレベルがCD4Foxp3CD25Tregの脾細胞頻度と比較されたとき(n=3〜4/群)、逆の負の傾向が、同じマウスにおいて認められた。(B)同じマウスのCPにおける、RT−qPCRによって測定されるcxcl10およびccl2の各遺伝子についてのmRNA発現レベル(n=3〜4/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を意味する;、P<0.05。
図14A-B】1回の処置過程を2回の処置過程に対して比較したときの、AD−Tgマウスにおける抗PD1抗体の投与の治療効果を示す。1回の抗PD1処置過程を受けた図11A図11Bに記載されるマウス群におけるマウスの半数が、最初のRAWM課題の後でのもう1回の抗PD1処置過程を受けたか、または非処置のままにされた。さらに3週間の後において、すべてのマウスを、認知学習および記憶のための空間合図の異なる、かつ、新しい実験設定を使用するRAWMによって試験した。(A)マウスの実験群、それらの月齢、処置投与計画、および、マウスが調べられた時点の概略図。それぞれの処置過程のために、マウスに250ugの抗PD1抗体(RMP1−14)またはコントロールIgG(ラット)抗体のどちらかをi.p.注入した。(B)は、RAWMでの空間学習・記憶課題によって評価されるような認知成績を示す。データを、二元配置反復測定ANOVAを使用して分析し、ボンフェローニ事後手順を追跡調査でのペア毎の比較のために使用した。n=6〜12/群。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図15A-H】オールトランスレチノイン酸(ATRA)によって増強される全身性TregレベルのAD病理に対する有害影響を示す。図15A図15Bは、ATRAまたはビヒクル(DMSO)のどちらかを1週間の期間にわたって受けた5月齢のAD−TgマウスにおけるCD4/Foxp3/CD25Treg脾細胞の頻度における上昇を示す代表的なフローサイトメトリープロット(A)および定量的分析(B)を示す(n=5/群;スチューデントt検定)。図15C図15Fは、5ヶ月の月齢でATRAまたはビヒクル(DMSO)のどちらかにより1週間の期間にわたって処置され、続いてさらに3週間の後で調べられたAD−Tgマウスの脳におけるAβプラーク負荷およびアストログリオーシスの代表的な顕微鏡像(C)および定量的分析(D、E、F)を示す。脳を、Aβプラーク、(アストログリオーシスのマーカーとなる)GFAPについて免疫染色し、Hoechst核染色によって染色した(n=4〜5/群;スケールバー、250μm)。平均のAβプラーク面積およびAβプラーク数を海馬DGおよび大脳皮質の第5層において定量化し、GFAP免疫反応性を海馬において測定した(6μmの脳薄片において;n=5〜6/群;スチューデントt検定)。(G)5ヶ月の月齢でATRAまたはビヒクル(DMSO)のどちらかにより1週間の期間にわたって処置され、続いてさらに3週間の後で調べられたAD−Tgマウスの大脳の脳実質における、ELISAによって定量される可溶性のAβ1_40およびAβ1_42のレベル(n=5〜6/群;スチューデントt検定)。(H)5ヶ月の月齢でATRAまたはビヒクル(DMSO)のどちらかにより1週間の期間にわたって処置され、続いてさらに3週間の後で調べられたAD−TgマウスのRAWM課題における認知成績(n=5/群;個々のペア比較についての二元配置反復測定ANOVA、それに続くボンフェローニ事後)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
図16A-F】毎週GA投与によって増強される全身性TregレベルのAD病理に対する有害影響を示す。(A)毎週GA療法と比較される毎日GA処置療法の概略図。毎日GA処置群において、マウスに、100μgのGAを1ヶ月の期間にわたって毎日、s.c.注入した。(B)RAWMでの学習・記憶課題における1日あたりの誤りの平均数によって評価されるような、月齢一致のWT型マウスおよび非処置AD−Tgマウスと比較される、毎日GAおよび毎週GAにより処置された7月齢のAD−Tgマウスの認知成績(n=6〜8/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。(C)Aβプラークについて免疫染色され、また、Hoechst核染色について免疫染色される、未処置AD−Tgマウスおよび毎日GAまたは毎週GAにより処置されたAD−Tgマウスの大脳皮質および海馬(HC)の代表的な顕微鏡像(スケールバー、250μm)。図16D図16Fは、GA処置AD−Tgマウス(毎日GA群および毎週GA群)および非処置AD−Tgマウスにおける(6μmの薄片あたりの)Aβプラークのサイズおよび数の定量化を示す。毎週GA処置のAD−Tgマウスは、それらの海馬歯状回(DG)の総面積の百分率としてのAβプラーク負荷量における減少、および、平均Aβプラーク数における減少を示した(n=6/群;一元配置ANOVA、それに続くニューマン・クールス事後解析)。すべてのパネルにおいて、エラーバーは平均±s.e.m.を表す;、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
【発明を実施するための形態】
【0006】
アルツハイマー病のマウスモデル(AD−Tgマウス)におけるFoxp3調節性T細胞(Treg)の短期間の一時的枯渇化が、脳の脈絡叢を介したCNSへの白血球の改善された動員、CNSに浸潤する抗炎症性単球由来マクロファージmo−MΦおよびCD4T細胞の増大した数、ならびに、脳内に蓄積するFoxp3Tregの顕著な富化をもたらすことが本発明に従って見出されている。そのうえ、ただ1回だけの処置期の長期効果は、海馬神経膠症における軽減、および、脳内における炎症促進性サイトカインの低下したmRNA発現レベルを引き起こしている。重要なことに、疾患病理に対する効果には、海馬歯状回および大脳皮質(第5層)、すなわち、ロバストなAβプラーク病理をAD−Tgマウスにおいて示す2つの脳領域における低下した脳アミロイドベータ(Aβ)プラーク負荷が含まれる。最も重要なことに、Tregの短期間の一時的枯渇化の後には、空間的な学習および記憶における劇的な改善がもたらされ、これにより、野生型マウスの認知成績と類似する認知成績が達成される(実施例2および実施例3)。まとめると、これらの発見から、短い期間のTreg枯渇化は、その後に非介入の期間が続く場合、Treg媒介の全身的免疫抑制をAD−Tgマウスにおいて一時的に中断させることを生じさせ、このことは、炎症を解消する細胞(mo−MΦおよびTreg)を脳に動員することを可能にし、そして、神経炎症性応答の消散、Aβの排除および認知低下の回復をもたらすことが明らかにされる。これらの発見は、この研究分野における常識(それによれば、増大する全身的免疫応答が神経炎症性応答の緩和を生じさせるであろう)に強く反論するものである。これに反して、本発明者らの発見は、全身的なTreg媒介抑制における短期間の短時間かつ一時的な低下によって全身的応答を高めることが、Treg自身を含めて、炎症消散免疫細胞の脳内の蓄積を達成するために、したがって、AD病理を撃退するために必要となることを示す。
【0007】
本明細書中に示される本発明者らの取組みの特異性が、下記において詳述されるように、いくつかの独立した実験的枠組みを使用することによって実証されている。簡単に記載すると、最初に本発明者らは、末梢Tregレベルに対する逆の影響、CP活性化に対する逆の影響、そして、疾患病理に対する逆の影響をもたらした2つの異なる投与療法において、すなわち、末梢Tregレベルを増強する毎日投与療法(Weber他、2007)と、末梢Tregレベルを低下させることが見出された毎週投与療法とにおいて、免疫調節化合物を使用した(実施例3および実施例5)。本発明者らはまた、末梢Tregレベルと疾患病理との間における直接的な機能的連関を提供しており、このとき、本発明者らはAD−Tgマウスにおいて、Tregの一時的なインビボでの遺伝的枯渇化(実施例2)によって、または、AD−TgマウスのFoxp3機能の薬理学的阻害(実施例3および4)によってそのどちらによってでも、これらの操作が、CNSへの白血球輸送、病変部位における炎症消散免疫細胞の蓄積、脳Aβプラークの排除、および、脳実質組織の免疫学的環境を炎症の消散の方に向かわせることを促進させるためのCPの活性化を生じさせることを明らかにしている。
【0008】
さらには、万能的抗原のコポリマー−1を(1回の処置期を表す)限られた期間にわたってまれに投与する場合、Treg媒介の全身的免疫抑制が低下し、また、CNS内への白血球の選択的浸潤が、脳の脈絡叢入口活性が増大することによって改善され、これにより、アルツハイマー病病理における劇的な有益な効果がもたらされ(実施例3)、一方で、コポリマー−1を毎日投与した場合には、Treg免疫抑制が高まる(Hong他、2005;Weber他、2007)が、疾患病理に対する有益な効果が何ら示されなかったか、または、それどころか、何らかの大きくない有害な影響が示された(実施例5)ことが本発明に従って見出されている。本発明の発明者らはさらに本明細書中において、p300を特異的な小分子阻害剤(p300i)により阻害することによって、または、PD−1受容体との相互作用を抗PD−1抗体により阻害することによってそのどちらによってでもFoxp3のTreg活性を直接に妨げることにより、AD−Tgマウスにおける脈絡叢入口活性が改善され、そして、アルツハイマー病病理が緩和されることを示す(実施例4)。
【0009】
重要なことに、本発明者らによって提供されるこれらの実施例のそれぞれにより、全身的免疫抑制における短期間の低下を引き起こす異なる介入が明らかにされる:コポリマー−1は免疫調節化合物として作用し、p300iは、Foxp3アセチル化およびTreg機能を低下させる小分子として作用し、抗PD−1は、Treg表面に発現されるPD−1に対する中和抗体として使用される。これらの治療的取組みが、主には末梢IFN−γレベルおよびIFN−γ産生細胞を増大させ、したがって、脳の脈絡叢を活性化し、これにより、T細胞および単球のCNS内への選択的な浸潤、ならびに、病変部位および神経炎症部位へのこれらの細胞のホーミングを可能にすることによって免疫応答を末梢において一時的に増強する短い処置期のために使用された。非処置の間欠期によって中断される反復した処置期は、ただ1回だけの処置期と比較して、処置の効力を劇的に改善することもまた見出された(実施例4)。非処理のその後の時間間隔は、脳内のTregレベルおよびTreg活性における一時的な増強、神経炎症の消散を促進させること、ならびに、CNSの治癒および修復に有利である環境条件を誘導し、その後、組織の回復を引き起こすことを可能にした。これらの場合のそれぞれにおいて、脳病理に対する効果は堅固であり、神経炎症応答の消散、ADマウスの脳からのアミロイドベータプラークの排除、および、認知低下の回復を伴っていた。現時点での取組みの特異性がさらに、Foxp3調節性T細胞の一時的枯渇化の遺伝モデルを使用してADの遺伝子組換えマウスモデルにおいて実証されている(実施例2)。
【0010】
このように、全身的なFoxp3CD4Treg媒介の免疫抑制が、CPのIFN−γ依存的活性化(これは、CNSへの炎症消散白血球の動員を組織化するために必要である;Schwartz&Baruch、2014b)を阻害することによって少なくとも部分的に作用して、AD病理を撃退する能力を妨げることが本発明に従って見出されている。全身性Tregは自己免疫恒常性の維持および自己免疫疾患からの保護のために非常に重要である(Kim他、2007)。しかしながら、本発明者らの発見は、神経変性条件下では、修復免疫応答が脳において必要となるとき、この応答を開始する能力が全身性Tregによって妨げられることを示唆している。それにもかかわらず、本発明者らの結果によれば、Tregが脳内において必要となり、神経病変の部位にホーミングし、抗炎症活性を局所的に成し遂げる。本発明は、ADの場合のような進行性のニューロン死を撃退する際における明らかな相反する必要性のための独特かつ予想外の解決策を表す:すなわち、Tregを疾患脳において増大させることの代わりにTregを循環において一時的に低下させること/阻害する。したがって、末梢免疫抑制における短期間かつ一時的な低下は、脳のプラーク部位への抗炎症細胞(Tregおよびmo−MΦを含む)の動員を可能にする一方で、病理に対する長期効果を引き起こしている。しかしながら、特筆すべきことに、全身的なTregレベルおよびTreg活性の一時的低下は、CNS特異的な保護的自己免疫応答を支援すること(Schwartz&Baruch、2014a)、または、血管Aβの排除において役割を果たす循環性単球のレベルを増強すること(Michaud他、2013)を含めて、さらなる機構を介した疾患緩和の一因となる場合がある。
【0011】
病因が異なる様々な神経変性疾患が、共通する局所的な神経炎症成分を介しているにもかかわらず、本発明者らの結果は、全身的な抗炎症治療から一様に利益を得るであろう疾患としてすべてのCNS病理を単純化して特徴づけることに対して強く反論するものである。したがって、自己免疫性炎症性の脳病変、例えば、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)などは、長期間持続する末梢免疫抑制を達成するための抗炎症性薬物および免疫抑制薬物の連続した全身投与から利益を受けるが、長期間持続する末梢免疫抑制は、慢性的神経変性疾患においては、例えば、AD、一次性進行型多発性硬化症(PP−MS)および二次性進行型多発性硬化症(SP−MS)の場合などにおいては無効となるか、または、病理に悪影響を及ぼすことになるかのどちらかである(実施例5)。そのうえ、本発明者らの発見は、これらの病理における組織関連Tregに対する全身性Tregの役割に関する誤解を解明するために役立った(He&Balling、2013)。免疫−脳の軸は生涯にわたる脳可塑性の一部であり(Baruch他、2014)、様々な神経変性疾患が主に加齢に関連するので、本発明者らの発見はまた、全身的免疫抑制が脳機能を妨げるより一般的な現象を暗示している。したがって、全身的免疫抑制を低下させる短期間の周期的過程は、ADおよび加齢関連認知症を含めて幅広い脳病理に対して適応可能である治療的な取組み、または予防的でさえある取組みを表す場合がある。
【0012】
重要なことに、ADマウスモデルにおいて本明細書中に存在する本発明者らの取組みおよび発見は、ADにおけるどのような疾患特異的要因(例えば、アミロイドベータまたはタウの病理など)であっても直接に標的とするのではなく、むしろ、幅広いCNS病理において臨床的に適応可能であることが予想される新規な取組み(すなわち、全身的なTreg媒介の免疫抑制を、CNS内の病変部位への炎症消散免疫細胞の動員を増強するために一時的に低下させること)を明らかにする。
【0013】
上記で記載される予想外の結果を考慮すると、本発明は、自己免疫性神経炎症性疾患、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含まないCNSの疾患、障害、状態または傷害を処置する際に使用されるための、個体における全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす活性な薬剤を含む医薬組成物であって、少なくとも2回の治療過程(ただし、それぞれの治療過程が順に、処置期、その後での非処置の間欠期を含む)を含む投薬計画によって投与するための医薬組成物を提供する。
【0014】
ある特定の実施形態において、投薬計画は、全身的免疫抑制のレベルが一時的に低下させられるように調整される。
【0015】
用語「処置する」は、本明細書中で使用される場合、所望の生理学的効果を得る手段を示す。この効果は、疾患および/または当該疾患に起因すると考えられる症状を部分的または完全に治すという点で治療的である場合がある。この用語は、疾患を阻害すること、すなわち、その発達を停止させることまたは遅らせること、あるいは、疾患を改善すること、すなわち、疾患の退行を生じさせることを示す。
【0016】
用語「非処置期」は、本明細書中では用語「非処置の期間」と交換可能に使用され、活性な薬剤が処置中の個体に何ら投与されない期間を示す。
【0017】
調節性T細胞の用語「全身的存在」は、本明細書中で使用される場合、(そのレベルまたは活性によって測定されるような)調節性T細胞が循環免疫系(すなわち、血液、脾臓およびリンパ節)に存在することを示す。脾臓における細胞集団プロフィルが血液における細胞集団プロフィルに反映されることは、免疫学の分野では周知の事実である(Zhao他、2007)。
【0018】
本発明の処置は、全身的免疫抑制の上昇を示す患者に対して、同様にまた、そのような上昇を示さない患者に対して両方で適用可能である。ときには、本発明による処置を必要としている個体は末梢免疫抑制のある特定のレベルを有しており、この場合、そのようなレベルの末梢免疫抑制は、循環におけるTregの上昇した頻度または数、ならびに/あるいは、それらの高まった機能的活性、および/または、IFNγ産生白血球における低下、および/または、刺激に対する応答における白血球の低下した増殖によって反映される。Tregの頻度または数の上昇は総数においてであることが可能であり、またはCD4細胞全体の割合としてであることが可能である。例えば、アルツハイマー病の動物モデルは、野生型マウスと比較した場合、CD4細胞中のFoxp3のより大きい頻度を有することが本発明に従って見出されている。しかしながら、たとえ前記個体において、全身性Treg細胞のレベルが上昇しないとしても、それらの機能的活性が高まらないとしても、IFNγ産生白血球のレベルが低下しないとしても、または、刺激に対する応答における白血球の増殖が低下しないとしても、全身的免疫抑制のレベルまたは活性を低下させる本発明の方法は、自己免疫性神経炎症性疾患のRRMSを含まないCNSの疾患、障害、状態または傷害を処置することにおいて効果的である。重要なことに、前記全身的免疫抑制はまた、Tregを除くさらなる免疫細胞タイプ、例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)などを伴う可能性がある(Gabrilovich&Nagaraj、2009)。
【0019】
全身的免疫抑制のレベルは、当業者には広く知られている様々な方法によって検出される場合がある。例えば、Tregのレベルが、Tregの細胞表面マーカーまたは核の細胞内マーカーのどちらか(Chen&Oppenheim、2011)、リンパ球のCD45マーカー、TCR−βマーカーまたはCD4マーカーについて免疫染色される末梢血単核細胞またはTリンパ球のフローサイトメトリー分析によって、また、細胞に特異的に結合する抗体の量を測定することによって測定される場合がある。Tregの機能的活性が様々なアッセイによって測定される場合がある;例えば、チミジン取り込みアッセイが一般に使用されており、この場合、CD4CD25T細胞(従来のT細胞)の、抗CD3 mAbにより刺激された増殖の抑制が、[H]チミジン取り込みによって、または、CFSE(細胞内に入ることができる5−(および6)−カルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル;細胞分裂がCFSEの蛍光強度の連続的な半減として測定される)を使用することによって測定される。IFNγ産生白血球の数あるいはそれらの活性またはそれらの増殖能が、この技術分野で知られている方法を使用して当業者によって容易に評価されることが可能である;例えば、IFNγ産生白血球のレベルが、短期間のエクスビボ刺激およびゴルジ停止の後での末梢血単核細胞のフローサイトメトリー分析、ならびに、(例えば、BD Biosciences Cytofix/cytoperm(商標)固定/透過処理キットを使用する)IFNγ細胞内染色による免疫染色によって、または、これらの細胞の馴化培地を集め、分泌されたサイトカインのレベルを、ELISAを使用して定量化することによって、または、馴化培地における種々のサイトカインの比率(例えば、IL2/IL10、IL2/IL4、INFγ/TGFβなど)を比較することによって測定される場合がある。ヒト末梢血におけるMDSCのレベルが、記載されるように(Kotsakis他、2012)、例えば、DR/LIN/CD11b+細胞、DR/LIN/CD15+細胞、DR/LIN/CD33+細胞およびDR(−/low)/CD14+細胞の頻度のフローサイトメトリー分析を使用することによって当業者によって容易に評価されることが可能である。
【0020】
ヒトにおいては、末梢/全身的免疫抑制は、下記のときには上昇していると見なされる場合がある:循環におけるTregの総数が、健常なコントロール集団の場合よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%またはそれ以上に大きいとき、CD4+細胞全体におけるTreg細胞の割合が、健常なコントロール集団の場合よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%またはそれ以上に上昇しているとき、あるいは、Tregの機能的活性が、健常なコントロール集団の場合よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%またはそれ以上に上昇しているとき。代替において、末梢/全身的免疫抑制は、下記のときには上昇していると見なされる場合がある:IFNγ産生白血球のレベルまたはそれらの活性が、健常なコントロール集団のレベルまたは活性に対して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下しているとき、あるいは、刺激に対する応答における白血球の増殖が、健常なコントロール集団の増殖に対して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下しているとき。
【0021】
薬剤は、下記のときには全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす薬剤であると見なされる場合がある:当該薬剤が個体に投与されたときにおいて、この個体の循環におけるTregの総数が、当該薬剤を投与する前のレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下するとき、CD4+細胞全体におけるTreg細胞の割合が、健常なコントロール集団の割合に対して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下するとき、あるいは、Tregの機能的活性が、当該薬剤を投与する前のレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下するとき。代替において、薬剤は、下記のときには全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす薬剤であると見なされる場合がある:当該薬剤が個体に投与されたときにおいて、IFNγ産生白血球の総数またそれらの活性が、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%増大するとき、あるいは、刺激に対する応答における白血球の増殖が、健常なコントロール集団の増殖に対して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%増大するとき。
【0022】
本発明に従って使用される薬剤は、調節性T細胞のレベルまたは活性をダウンレギュレートするか、あるいはその活性を妨げるどのような薬剤であってもよく、しかし、代替においては、本発明による治療の過程に従った使用についてたとえ知られていないとしても、(i)ドパミンまたはその医薬的に許容される塩、(ii)ドパミン前駆体またはその医薬的に許容される塩、(iii)ドパミン受容体1型ファミリーのアゴニスト(D1−Rアゴニスト)またはその医薬的に許容される塩、および、(iv)ドパミン受容体2型ファミリーのアンタゴニスト(D2−Rアンタゴニスト)またはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される薬剤を除くそのような薬剤の群に限定される場合がある。
【0023】
ある特定の実施形態において、処置期は、医薬組成物を個体に投与することを含み、かつ、処置期は、少なくともレベルが参照基準よりも低くなるまでは維持され、そして、投与することが間欠期の期間中は休止され、かつ、間欠期は、レベルが参照基準よりも低い限りは維持される。参照基準が、(a)前記投与する前における前記個体から得られる直近の血液サンプルにおいて測定される調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベル、あるいは、(b)CNSの疾患、障害、状態または傷害に苦しむ個体の集団に特徴的である調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベルから選択される場合がある。
【0024】
代替において、処置期は、医薬組成物を個体に投与することを含み、かつ、処置期は、少なくともIFNγ産生白血球の全身的存在またはレベルあるいは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度が参照基準を超えて増大するまでは維持され、そして、投与することが間欠期の期間中は休止され、かつ、間欠期は、前記レベルが前記参照基準を超えている限りは維持され、ただし、この場合、参照基準は、(a)前記投与する前における前記個体から得られる最も最近の血液サンプルにおいて測定されるIFNγ産生白血球の全身的存在もしくは活性のレベルまたは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度、あるいは、(b)CNSの疾患、障害、状態または傷害に苦しむ個体の集団に特徴的であるIFNγ産生白血球の全身的存在もしくは活性のレベルまたは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度から選択される。
【0025】
処置期および間欠期の長さは、免疫抑制のレベルを個人ベースでモニターすることを必要とすることなく、ある特定の患者集団に向けられる臨床試験において医師によって決定され、その後、この患者集団に対して一貫して適用される場合がある。
【0026】
ある特定の実施形態において、処置期は3日間〜4週間の間の長さである場合があり、例えば、1週間〜4週間の間の長さである場合がある。
【0027】
ある特定の実施形態において、間欠期は1週間〜6ヶ月の間である場合があり、例えば、2週間〜6ヶ月間の間の長さ、特に3週間〜6ヶ月の間の長さである場合がある。
【0028】
処置期において、薬学的組成物の投与は反復投与である場合があり、例えば、医薬組成物が、毎日、あるいは、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎または6日毎に1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または4週間毎に1回投与される場合がある。これらの頻度は、どのような活性な薬剤に対しても適用可能であり、この技術分野における一般に使用されている慣行に基づく場合があり、最終的には臨床試験において医師によって決定される場合がある。代替において、処置期における反復投与の頻度は、活性な薬剤の性質に従って適合化され得るであろう。だが、この場合、例えば、小分子が毎日投与される場合がある;抗体が3日毎に1回投与される場合がある;また、コポリマー1が毎週、2週間毎に1回、3週間毎に1回または4週間毎に1回投与される。薬剤(例えば、コポリマー1など)が処置期の期間中に比較的低い頻度で投与されるとき、例えば、1ヶ月の処置期の期間中に週あたり1回、または、6ヶ月の処置期の期間中に月あたり1回投与されるとき、この処置期の後には、非処置の間欠期が続き、その長さは処置期の期間中における反復投与の間の期間よりも長いこと(すなわち、この例ではそれぞれ、1週間または1ヶ月よりも長いこと)を理解しなければならない。この例における処置期の期間中での投与の間における1週間または1ヶ月の休止は間欠期と見なされない。
【0029】
処置期および間欠期の長さは投与頻度に合わせて調節される場合があり、その結果、例えば、活性な薬剤を3日毎に1回投与するという頻度により、6日または9日の処置期と、それに従って開始される間欠期とがもたらされることがあるようにされる。
【0030】
事前に決定された一般的な処置療法に対する代替として、免疫抑制のレベルが、Treg細胞(またはIFN−γ産生白血球)のレベルまたは活性(あるいは刺激に対する応答における白血球の増殖速度)を個々にモニターし、処置期、投与頻度および間欠期をモニタリングの結果から決定されるように経験的かつ個人的に調節することによって、処置中であるそれぞれの患者のための所望のレベルに調整される場合がある(個別化医療)。
【0031】
したがって、処置期の長さが、(a)個体における調節性T細胞の全身的存在または活性のレベルを、前記投与した後における所定の期間の範囲内において個体から得られる血液サンプルにおけるレベルを測定することによりモニターすること、(b)(a)で測定されたレベルを上述の参照基準と比較し、そのレベルが参照基準と異なるかどうかを明らかにすること、(c)前記参照基準に対する、(a)で測定されたレベルの関係に基づいて、処置期を、投与することを繰り返すことによって継続するか、または、投与することを繰り返すことをやめることにより次回の間欠期を開始することによって継続するかを決定すること、そして、(d)(c)での決定に従って、投与することを繰り返し、または次回の間欠期を開始することによって決定される場合がある。代替において、IFN−γ産生白血球のレベル、または、刺激に対する応答における白血球の増殖速度がモニターされ、上述されるような適切な参照基準と比較される場合がある。
【0032】
同様に、間欠期の長さが、(a)個体における調節性T細胞の全身的存在または活性のレベルを、前記投与した後における所定の期間の範囲内において個体から得られる血液サンプルにおけるレベルを測定することによりモニターすること、(b)(a)で測定されたレベルを上述の参照基準と比較し、そのレベルが参照基準と異なるかどうかを明らかにすること、(c)前記参照基準に対する、(a)で測定されたレベルの関係に基づいて、投与することならびに工程(a)および工程(b)を繰り返すことにより新しい治療過程を開始するか、または、工程(a)および工程(b)だけを繰り返すことにより間欠期を延長するかどうかを決定すること、そして、(d)(c)での決定に従って、投与することならびに工程(a)および工程(b)を、または、工程(a)および工程(b)だけを繰り返すことによって決定される場合がある。代替において、IFNγ産生白血球のレベル、または、刺激に対する応答における白血球の増殖速度がモニターされ、上述されるような適切な参照基準と比較される場合がある。
【0033】
いずれの場合でも、投薬計画、すなわち、処置期および間欠期の長さが調整され、その結果、例えば、個体における調節性T細胞の全身的存在または活性のレベルにおける低下によって測定されるような免疫抑制のレベルにおける低下が一時的であるようにされる。
【0034】
ある特定の実施形態において、上記の所定の期間、すなわち、活性な薬剤の最も最近の投与と、モニタリング工程との間において経過した時間は2日〜6ヶ月の間である。
【0035】
ある特定の実施形態において、モニターされる調節性T細胞は、CD25、CD127、GITR、CTLA−4またはPD−1のうちの1つまたは複数を発現するFoxP3細胞、あるいは、CD25、CD127、GITR、CTLA−4またはPD−1の表面分子のうちの1つまたは複数を発現するFoxP3細胞から選択されるCD4+細胞である。具体的には、調節性T細胞の共通する表現型はCD4CD25FoxP3細胞またはCD4CD25FoxP3細胞である。
【0036】
調節性T細胞のレベルを低下させることができる様々な薬剤がこの技術分野では知られており(Colombo&Piconese、2007)、これらの薬剤は本発明に従って使用することができる。下記における引用された刊行物のそれぞれが、本明細書中に完全に開示されているかのように参照により組み込まれる。
【0037】
従って、薬剤が下記のものから選択される場合があり、しかし、薬剤は必ずしもそれらに限定されない:(i)抗体、例えば、(a)抗PD−1、(b)抗PD−L1、(c)抗PD−L2(Coyne&Gulley、2014;Duraiswamy他、2014;Zeng他、2013)、(d)抗CTLA−4(Simpson他、2013;Terme他、2012)、(e)インターフェロンαとの組合せでの抗PD−1(Terawaki他、2011)、(f)抗CTLA−4との組合せでの抗PD−1、(g)抗CD47(Tseng他、2013)、(h)抗OX40(Voo他、2013)、(i)抗VEGF−A(ベバシズマブ)(Terme他、2013)、(j)抗CD25(Zhou他、2013)、(k)抗GITR(GITR誘因mAb(DTA−1)(Colombo&Piconese、2007)、(l)抗CCR4、(m)抗TIM−3/ガレクチン9(Ju他、2014)、(n)抗キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、(o)抗LAG−3または(p)抗4−1BB;(ii)(a)〜(p)の任意の組合せ;(iii)アジュバントとの組合せでの(a)〜(p)の任意の組合せ、例えば、抗OX40抗体およびTLR9リガンド(例えば、CpGなど)との組合せでの抗CTLA−4抗体(Marabelle他、2013);(iv)下記から選択される小分子:(a)p300阻害剤(Liu他、2013)、例えば、ゲムシタビン(低用量)(Shevchenko他、2013)、あるいは、C646またはそのアナログ、すなわち、下記の式Iの化合物:
【化1】
(式中、
は、H、−CO、−CONR、−SOHまたは−SONRから選択される;
は、H、−COまたはハロゲン(好ましくはCl)から選択される;
は、ハロゲン(好ましくはF)、−NO、−CN、−CO(好ましくはCOCHまたはCOCHCH)または−CHOHから選択される;
およびRはそれぞれ独立して、Hまたは−C〜Cアルキル(好ましくはメチル)である;
はHまたは−C〜Cアルキルであり、好ましくは、H、メチルまたはエチルである;かつ
はHまたは−C〜Cアルキルであり、好ましくはHまたはメチルである)[(Bowers他、2010)を参照のこと]、
(b)スニチニブ(Terme他、2012)、(c)ポリオキソメタラート(Polyoxometalate)−1(POM−1)(Ghiringhelli他、2012)、(d)α,β−メチレンアデノシン5’−二リン酸(APCP)(Ghiringhelli他、2012)、(e)三酸化ヒ素(As)(Thomas−Schoemann他、2012)、(f)GX15−070(オバトクラックス(Obatoclax)(Kim他、2014)、(g)レチノイン酸アンタゴニスト、例えば、Ro41−5253(合成レチノイドで、選択的な小分子アンタゴニスト)(Galvin他、2013)またはLE−135(Bai他、2009)、(h)SIRPα(CD47)アンタゴニスト、例えば、CV1−hIgG4(SIRPα変化体)(単剤として、または抗CD47抗体との組合せで)(Weiskopf他、2013)、(i)CCR4アンタゴニスト、例えば、AF399/420/18025(単剤として、または抗CCR4抗体との組合せで)(Pere他、2011)、(j)アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、PSB603(Nakatsukasa他、2011)、(k)インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)のアンタゴニスト、または、(l)HIF−1調節因子;(iv)下記から選択されるタンパク質:(a)インドセンダンの葉の糖タンパク質(NLGP)(Roy他、2013)、または、(b)sCTLA−4(CTLA−4の可溶性イソ型)(Ward他、2013);(vi)サイレンシング分子、例えば、miR−126アンチセンス(Qin他、2013)および抗ガレクチン−1(Gal−1)(Dalotto−Moreno他、2013);(vii)OK−432(化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の凍結乾燥調製物)(Hirayama他、2013);(viii)IL−12および抗CTLA−4の組合せ;(ix)コポリマー1、あるいは、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマー;(x)抗生剤、例えば、バンコマイシン(Brestoff&Artis、2013;Smith他、2013);または(xi)(i)〜(x)の任意の組合せ。
【0038】
ある特定の実施形態において、薬剤は、抗PD−1抗体、すなわち、PD−1に対して特異的な抗体である。
【0039】
多くの抗PD−1抗体がこの技術分野において知られている。例えば、本発明に従って使用される抗PD−1抗体が、Ohaegbulam他(Ohaegbulam他、2015;その全内容が本明細書により参照によって本明細書中に組み込まれる)に開示される抗PD−1抗体から選択される場合がある:すなわち、CT−011(ピジリズマブ(pidilizumab);ヒト化IgG1;Curetech)、MK−3475(ランブロリズマブ(lambrolizumab)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab);ヒト化IgG4;Merck)、BMS−936558(ニボルマブ;ヒトIgG4;Bristol−Myers Squibb)、AMP−224(PD−L2とIgG2aとの融合タンパク質;AstraZeneca)、BMS−936559(ヒトIgG4;Bristol−Myers Squibb)、MEDI4736(ヒト化IgG;AstraZeneca)、MPDL3280A(ヒトIgG;Genentech)、MSB0010718C(ヒトIgG1;Merck−Serono);または、本発明に従って使用される抗体は、MEDI0680(AMP−514;AstraZeneca)、すなわち、ヒト化IgG4 mAbである場合がある。
【0040】
ある特定の実施形態において、CT−011抗体が、0.2mg/kg〜6mg/kgの投薬量で、または、1.5mg/kg〜6mg/kgの間での投薬量でヒトに投与される場合がある;MK−3475抗体が1mg/kg〜10mg/kgの投薬量でヒトに投与される場合がある;BMS−936558が、0.3mg/kg〜20mg/kgの投薬量で、0.3mg/kg〜10mg/kgの投薬量で、1mg/kg〜10mg/kgの投薬量で、または、1mg/kgもしくは3mg/kgでヒトに投与される場合がある;BMS−936559が0.3mg/kg〜10mg/kgの投薬量でヒトに投与される場合がある;MPDL3280Aが1mg/kg〜20mg/kgの投薬量でヒトに投与される場合がある;MEDI4736が0.1mg/kg〜15mg/kgの投薬量でヒトに投与される場合がある;MSB0010718Cが1mg/kg〜20mg/kgの投薬量でヒトに投与される場合がある。
【0041】
抗CTLA−4抗体は、トレメリムマブ(Pfizer)、すなわち、完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、または、イピリムマブ、すなわち、完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である場合がある。
【0042】
抗キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)抗体は、リリルマブ(Lirilumab)(BMS−986015;Innate Pharmaによって開発され、Bristol−Myers Squibbにライセンス供与される)、すなわち、完全ヒトモノクローナル抗体である場合がある。
【0043】
抗LAG−3抗体はリンパ球活性化遺伝子−3に対して向けられる。本発明に従って使用されることがある1つのそのような抗体がモノクローナル抗体BMS−986016(ペンブロリズマブ;ヒト化IgG4;Merck)である。
【0044】
抗4−1BB抗体は、PF−05082566(Pfizer Oncology)、すなわち、完全ヒト化IgG2アゴニストモノクローナル抗体、または、ウレルマブ(Urelumab)(BMS−663513;Bristol−Myers Squibb)、すなわち、完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である場合がある(これらは4−1BBを標的とする)。
【0045】
ある特定の実施形態において、抗体の組合せが使用される場合があり、例えば、限定されないが、下記のものが使用される場合がある:タンパク質CD20に対するキメラなモノクローナル抗体であるリツキシマブ(商品名:Rituxan、MabTheraおよびZytux)との組合せでのCT−011、例えば、それぞれが3mg/kgで;イピリムマブ(例えば、3mg/kgで)との組合せでのBMS−936558(例えば、1mg/kg);または、HLA−A0201制限の多ペプチドワクチンとの組合せでのBMS−936558(例えば、1mg/kg〜10mg/kg)(Weber他、2013)。
【表1】
Bowers他(2010)に基づく。
【0046】
ある特定の実施形態において、薬剤は、式が表1に列挙されるp300阻害剤であり、すなわち、C646(4−(4−((5−(4,5−ジメチル−2−ニトロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸)、C146(4−ヒドロキシ−3−(((2−(3−ヨードフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)イミノ)メチル)安息香酸)またはC375(2−クロロ−4−(5−((2,4−ジオキソ−3−(2−オキソ−2−(p−トリルアミノ)エチル)チアゾリジン−5−イリデン)メチル)フラン−2−イル)安息香酸)である。特に、p300阻害剤はC646である。
【0047】
ある特定の実施形態において、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ経路の小分子阻害剤が、Indoximod(NLG9189;NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)またはNLG919(NewLink Genetics)である場合がある。
【0048】
HIF−1調節因子が、M30、すなわち、Zheng他(Zheng他、2015)に記載される5−[N−メチル−N−プロパルギルアミノメチル]−8−ヒドロキシキノリンである場合がある。
【0049】
ある特定の実施形態において、薬剤は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌を標的とし、それにより、Tregの免疫調節を促進させる広範囲の抗生物質に由来することができ、例えば、グラム陽性細菌を標的とし、Tregのレベル/活性を低下させることが示されているバンコマイシン(Brestoff&Artis、2013;Smith他、2013)に由来することができる。
【0050】
ある特定の実施形態において、薬剤は、ある特定の療法ではTregのダウンレギュレーションを引き起こすことになるどのようなコポリマーであってもよい(例えば、YFAK、VYAK、VWAK、VEAK、FEAK、FAK、VAKまたはWAKなど)。本明細書中で使用される場合、用語「Cop−1」および用語「コポリマー1」は交換可能に使用される。
【0051】
本発明の医薬組成物は、好適な量の正荷電アミノ酸(例えば、リシンまたはアルギニンなど)を(好ましくはより少ない量での)負荷電アミノ酸(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸など)との組合せで、必要な場合にはフィラーとして役立つ非荷電中性アミノ酸(例えば、アラニンまたはグリシンなど)との組合せで、また、必要な場合にはコポリマーに免疫原性を与えるために適合化されたアミノ酸(例えば、チロシンまたはトリプトファンのような芳香族アミノ酸など)とともに含む、Tregの活性またはレベルを調節するランダムコポリマーを活性な薬剤として含む場合がある。そのような組成物は、国際公開WO00/05250(その全内容が本明細書により参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されるそのようなコポリマーのいずれをも含む場合がある。
【0052】
より具体的には、本発明において使用されるための組成物は、下記群のうちの少なくとも3つのそれぞれから選択される1つのアミノ酸を含むランダムコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのコポリマーを含む:(a)リシンおよびアルギニン;(b)グルタミン酸およびアスパラギン酸;(c)アラニンおよびグリシン;ならびに(d)チロシンおよびトリプトファン。
【0053】
本発明において使用されるためのコポリマーは、L−アミノ酸もしくはD−アミノ酸またはその混合物から構成されることが可能である。当業者によって知られているように、L−アミノ酸はほとんどの天然タンパク質に存在する。しかしながら、様々なD−アミノ酸が市販されており、本発明において使用されるターポリマーおよび他のコポリマーを製造するために使用されるアミノ酸の一部またはすべての代わりに使用されることが可能である。本発明では、L−アミノ酸またはD−アミノ酸のどちらかから本質的になるコポリマーと同様に、D−アミノ酸およびL−アミノ酸の両方を含有するコポリマーの使用が意図される。
【0054】
ある特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、コポリマー1、すなわち、1.5:4.8:1:3.6のおおよその比率でのL−グルタミン酸(E)、L−アラニン(A)、L−チロシン(Y)およびL−リシン(K)のアミノ酸から本質的になり、正味の全体的な正の電荷を有し、かつ、分子量が約2KDa〜約40KDaであるランダムポリペプチドの混合物を含む。ある特定の実施形態において、Cop1は平均分子量が約2KDa〜約20KDaであり、または約4.7KDa〜約13KDaであり、または約4KDa〜約8.6KDaであり、または約5KDa〜約9KDaであり、または約6.25KDa〜8.4KDaである。他の実施形態において、Cop1は平均分子量が約13KDa〜約20KDaであり、または約13KDa〜約16KDaであり、または約15KDa〜約16KDaである。40KDa未満である、Cop1についての他の平均分子量もまた、本発明によって包含される。前記分子量範囲のコポリマー1は、この技術分野で知られている方法によって調製することができ、例えば、米国特許第5,800,808号(その全内容が本明細書によってその全体において参照により組み込まれる)に記載されるプロセスによって調製することができる。コポリマー1は、長さにおいて約15個〜約100個のアミノ酸または約40個〜約80個のアミノ酸を含むポリペプチドである場合がある。ある特定の実施形態において、Cop1は、グラチラマー酢酸塩の一般名で知られているその酢酸塩の形態であり、これは、Copaxone(登録商標)(Teva Pharmaceuticals Ltd.、Petach Tikva、イスラエル)の商品名で多発性硬化症(MS)の処置のためにいくつかの国で承認されている。本明細書中に開示される医薬組成物のためのコポリマー1の活性は、下記置換の1つまたは複数がなされるならば、残存することが予想される:グルタミン酸に代わるアスパラギン酸、アラニンに代わるグリシン、リシンに代わるアルギニン、および、チロシンに代わるトリプトファン。
【0055】
本発明のある特定の実施形態において、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマーは、3つの異なるアミノ酸(ただし、それぞれが群(a)〜群(d)のうちの3つの群の異なる1つに由来する)からなるコポリマーである。これらのコポリマーは本明細書中ではターポリマーと呼ばれる。
【0056】
1つの実施形態において、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマーは、チロシン、アラニンおよびリシンを含有するターポリマー(これは以降、YAKと称される)であり、ただし、これらのアミノ酸の平均モル分率は変化させることができる:チロシンは約0.05〜0.250のモル分率で存在することができ、アラニンは約0.3〜0.6のモル分率で存在することができ、リシンは約0.1〜0.5のモル分率で存在することができる。チロシン、アラニンおよびリシンのモル比がそれぞれ、約0.10:0.54:0.35である場合がある。リシンをアルギニンに置換すること、アラニンをグリシンに置換すること、および/または、チロシンをトリプトファンに置換することが可能である。
【0057】
ある特定の実施形態において、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマーは、チロシン、グルタミン酸およびリシンを含有するターポリマー(これは以降、YEKと称される)であり、ただし、これらのアミノ酸の平均モル分率は変化させることができる:グルタミン酸は約0.005〜0.300のモル分率で存在することができ、チロシンは約0.005〜0.250のモル分率で存在することができ、リシンは約0.3〜0.7のモル分率で存在することができる。グルタミン酸、チロシンおよびリシンのモル比がそれぞれ、約0.26:0.16:0.58である場合がある。グルタミン酸をアスパラギン酸に置換すること、リシンをアルギニンに置換すること、および/または、チロシンをトリプトファンに置換することが可能である。
【0058】
ある特定の実施形態において、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマーは、リシン、グルタミン酸およびアラニンを含有するターポリマー(これは以降、KEAと称される)であり、ただし、これらのアミノ酸の平均モル分率は変化させることができる:グルタミン酸は約0.005〜0.300のモル分率で存在することができ、アラニンは約0.005〜0.600のモル分率で存在することができ、リシンは約0.2〜0.7のモル分率で存在することができる。グルタミン酸、アラニンおよびリシンのモル比がそれぞれ、約0.15:0.48:0.36である場合がある。グルタミン酸をアスパラギン酸に置換すること、アラニンをグリシンに置換すること、および/または、リシンをアルギニンに置換することが可能である。
【0059】
ある特定の実施形態において、Tregの活性またはレベルを調節するコポリマーは、チロシン、グルタミン酸およびアラニンを含有するターポリマー(これは以降、YEAと称される)であり、ただし、これらのアミノ酸の平均モル分率は変化させることができる:チロシンは約0.005〜0.250のモル分率で存在することができ、グルタミン酸は約0.005〜0.300のモル分率で存在することができ、アラニンは約0.005〜0.800のモル分率で存在することができる。グルタミン酸、アラニンおよびチロシンのモル比がそれぞれ、約0.21:0.65:0.14である場合がある。チロシンをトリプトファンに置換すること、グルタミン酸をアスパラギン酸に置換すること、および/または、アラニンをグリシンに置換することが可能である。
【0060】
上記ターポリマー(YAK、YEK、KEAおよびYEA)の平均分子量は約2KDa〜40KDaの間で変化させることができ、好ましくは約3KDa〜35KDaの間で変化させることができ、より好ましくは約5KDa〜25KDaの間で変化させることができる。
【0061】
Tregの活性またはレベルを調節するコポリマー1および他のコポリマーは、この技術分野において知られている方法によって、例えば、所望のモル比のアミノ酸を溶液中で使用する縮合条件のもとでの方法によって、または、固相合成手順によって調製される場合がある。縮合条件には、1つのアミノ酸のカルボキシル基を別のアミノ酸のアミノ基と縮合して、ペプチド結合を形成するための適切な温度、pHおよび溶媒条件が含まれる。様々な縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)を、ペプチド結合の形成を促進させるために使用することができる。様々なブロック基を、官能基(例えば、側鎖部分および一部のアミノ基またはカルボキシル基)を望ましくない副反応から保護するために使用することができる。
【0062】
例えば、上記コポリマーは、米国特許第3,849,550号に開示されるプロセスによって調製することができ、この場合、チロシン、アラニン、γ−ベンジルグルタマートおよびNε−トリフルオロアセチル−リシンのN−カルボキシアンヒドリドが、ジエチルアミンを開始剤として無水ジオキサン中において周囲温度(20℃〜26℃)で重合される。グルタミン酸のγ−カルボキシル基は氷酢酸中において臭化水素によって脱ブロック化することができる。トリフルオロアセチル基は1Mのピペリジンによってリシンから除かれる。当業者は、このプロセスが、グルタミン酸、アラニン、チロシンまたはリシンのうちのいずれか1つに関連する反応を選択的に除外することによって、所望のアミノ酸、すなわち、コポリマー1における4つのアミノ酸のうちの3つを含有するペプチドおよびポリペプチドを製造するために調節され得ることを容易に理解する。
【0063】
上記コポリマーの分子量は、ポリペプチド合成の期間中に、または、コポリマーが製造された後で調節することができる。分子量をポリペプチド合成の期間中に調節するために、合成条件またはアミノ酸の量が調節され、その結果、ポリペプチドが、所望されるおおよその長さに達したとき、合成が停止する。合成後、所望の分子量を有するポリペプチドを、どのような手順であれ、利用可能なサイズ選択手順によって、例えば、分子量サイズ分画用のカラムまたはゲルでのポリペプチドのクロマトグラフィー、および、所望される分子量範囲の回収などによって得ることができる。上記コポリマーはまた、高分子量の化学種を除くために、例えば、酸加水分解または酵素加水分解によって部分的に加水分解し、その後、酸または酵素を除くために精製することができる。
【0064】
1つの実施形態において、所望の分子量を有するコポリマーが、保護されたポリペプチドを臭化水素酸と反応させて、望ましい分子量プロファイルを有するトリフルオロアセチル−ポリペプチドを形成させることを含むプロセスによって調製される場合がある。反応が、1回または複数回の試験反応によって事前に決定される時間および温度で行われる。試験反応の期間中において、時間および温度が変化させられ、試験ポリペプチドの所与の回分物の分子量範囲が決定される。最適な分子量範囲をポリペプチドのその回分物に与える試験条件が当該回分物のために使用される。したがって、所望の分子量プロファイルを有するトリフルオロアセチル−ポリペプチドを、保護されたポリペプチドを試験反応によって事前に決定された時間および温度で臭化水素酸と反応することを含むプロセスによって製造することができる。所望の分子量プロフィルを有するトリフルオロアセチル−ポリペプチドはその後、所望の分子量を有する低毒性のポリペプチドを形成するためにピペリジン水溶液でさらに処理される。
【0065】
ある特定の実施形態において、所与の回分物に由来する保護されたポリペプチドの試験サンプルが、約20℃〜28℃の温度で約10時間〜50時間、臭化水素酸と反応させられる。その回分物のための最も良好な条件が、数回の試験反応を行うことによって決定される。例えば、1つの実施形態において、保護されたポリペプチドが、約26℃の温度で約17時間、臭化水素酸と反応させられる。
【0066】
MS関連HLA−DR分子に対するCop1の結合モチーフが知られている(Fridkis−Hareli他、1999)ので、Fridkis−Hareli他(1999)の刊行物に記載されるように、規定された配列を有するポリペプチドを容易に調製し、HLA−DR分子のペプチド結合溝に対する結合について試験することができる。そのようなペプチドの例が、国際公開WO00/05249および同WO00/05250に開示されるペプチドであり(それらの全内容が本明細書によって参照によって本明細書中に組み込まれる)、そのようなペプチドの例には、配列番号1〜配列番号32のペプチド(表2)が含まれる。
【0067】
そのようなペプチドおよび他の類似ペプチドは、Cop1と同様な活性を有することが予想されるであろう。そのようなペプチドおよび他の類似ペプチドもまた、CNSミエリン抗原と交差反応するコポリマーの定義の範囲内であると見なされ、それらの使用は、本発明の一部であると見なされる。
【表2】
【0068】
本発明に従って「Tregの活性またはレベルを調節するコポリマー」の定義は、他の合成アミノ酸コポリマー、例えば、Fridkis−Hareli他(2002)および米国特許第8,017,125号によって(多発性硬化症を処置するための候補物として)記載されるランダムな4アミノ酸のコポリマーなど、すなわち、下記のコポリマーを包含することが意味される:バリン(V)、フェニルアラニン(F)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むVFAKコポリマー;バリン(V)、チロシン(Y)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むVYAKコポリマー;バリン(V)、トリプトファン(W)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むVWAKコポリマー;バリン(V)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むVEAKコポリマー;フェニルアラニン(F)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むFEAKコポリマー;フェニルアラニン(F)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むFAKコポリマー;バリン(V)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むVAKコポリマー;ならびに、トリプトファン(W)、アラニン(A)およびリシン(K)のアミノ酸を含むWAKコポリマー。
【0069】
本発明による医薬組成物は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、一次性進行型多発性硬化症;二次性進行型多発性硬化症、皮質基底核変性症、レット症候群から選択される神経変性の疾患、障害または状態、加齢性黄斑変性症および網膜色素変性症からなる群から選択される網膜変性障害;前部虚血性視神経症;緑内障;ブドウ膜炎;うつ病;外傷関連ストレスまたは外傷後ストレス障害、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、軽度認知障害、後部皮質萎縮、原発性進行性失語または進行性核上性麻痺であるCNSの疾患、障害または状態を処置するためのものである場合がある。ある特定の実施形態において、CNSの状態は加齢性の認知症である。
【0070】
ある特定の実施形態において、CNSの状態は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病である。
【0071】
本発明による医薬組成物はさらに、脊髄損傷、閉鎖性頭部外傷、鈍的外傷、穿通性外傷、出血性卒中、虚血性卒中、脳虚血、視神経損傷、心筋梗塞、有機リン中毒、および、腫瘍切除によって引き起こされる傷害から選択されるCNSの傷害を処置するためのものである場合がある。
【0072】
上述のように、本発明者らは、本発明により、アルツハイマー病を模倣するマウスにおける認知機能が改善されることを見出している。したがって、医薬組成物は、CNSの運動機能および/または認知機能を改善する際に使用されるためのものである場合があり、例えば、診断された疾患を有しない個体において生じることがある、同様にまた、神経変性疾患に罹患する人々において生じることがある認知機能の加齢関連喪失を緩和する際に使用されるためのものである場合がある。そのうえ、医薬組成物は、急性ストレスまたは外傷性エピソードから生じる認知機能の喪失を緩和する際に使用されるためのものである場合がある。本明細書中で言及される認知機能は、学習、記憶または両者を含む場合がある。
【0073】
用語「CNS機能」は、本明細書中で使用される場合、とりわけ、感覚情報を受け取ることおよび処理すること、思考すること、学習すること、記憶すること、認識すること、言語を発することおよび理解すること、運動機能ならびに聴覚応答および視覚応答を制御すること、バランスおよび平衡を維持すること、運動の協調、感覚情報の伝達、そして、呼吸、心拍数および消化のような自律神経機能を制御することを示す。
【0074】
用語「認知」、用語「認知機能」および用語「認知成績」は本明細書中では交換可能に使用され、学習、記憶、心象の創造、思考、認識、推論、空間的能力、発話技能および言語技能、言語習得、ならびに、判断、注意のための能力を伴うどのような精神プロセスまたは精神状態に対しても関連づけられる。認知は、脳の多数の領域において、例えば、海馬、皮質および他の脳構造などにおいて形成される。しかしながら、長期記憶は少なくとも一部が皮質に蓄えられると考えられており、また、感覚情報が、島皮質内にある特定の皮質構造(味覚野)によって取得され、固定され、そして取り出されることが知られている。
【0075】
ヒトにおいて、認知機能は、どのような方法であれ、知られている方法によって測定される場合があり、例えば、また、限定されないが、変化の臨床全般印象尺度(CIBIC−plus尺度);ミニメンタルステート検査(MMSE);神経精神症状評価(NPI);臨床認知症評価尺度(CDR);ケンブリッジ神経心理学自動検査(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)(CANTAB)またはサンド臨床評価−老齢者(Sandoz Clinical Assessment−Geriatric)(SCAG)によって測定される場合がある。認知機能はまた、様々な画像化技術を使用して、例えば、脳機能を測定することを可能にする陽電子放射断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)、または、どのような画像化技術であれ、他の画像化技術を使用して間接的に測定される場合がある。
【0076】
患者における認知に影響を及ぼすプロセスの1つまたは複数の改善は、前記患者における認知機能の改善を意味するであろうし、したがって、ある特定の実施形態においては、認知を改善することは、学習、可塑性および/または長期記憶を改善することを含む。用語「改善する」および用語「強化する」は交換可能に使用される場合がある。
【0077】
用語「学習」は、新しい知識、行動、技能、価値または好みを習得することまたは獲得すること、あるいは、既存の知識、行動、技能、価値または好みを修正することおよび増強することに関連する。
【0078】
用語「可塑性」は、脳が学習により変化することができること、また、既に獲得された記憶を変化させることができることに伴うシナプス可塑性、脳可塑性または神経可塑性に関連する。可塑性を反映する1つの測定可能なパラメーターが記憶消去である。
【0079】
用語「記憶」は、情報がコード化され、蓄えられ、そして取り出されるプロセスに関連する。記憶は、感覚記憶、短期記憶および長期記憶の3つの識別可能なカテゴリーを有する。
【0080】
用語「長期記憶」とは、情報を長期間または無限の期間にわたって保つことができることである。長期記憶は、顕在記憶(陳述記憶)および潜在記憶(非陳述記憶)の2つの主要な部分を含む。長期記憶は、記憶痕跡をその最初の取得の後で安定化させる一群のプロセスである記憶固定によって達成される。固定は下記の2つの特異的なプロセスに区別される:シナプス固定(これは学習後の最初の数時間のうちに生じる)および体系固定(海馬依存性の記憶が数週間〜数年の期間を超えて海馬に依存しなくなる)。
【0081】
さらなる局面において、本発明は、自己免疫性神経炎症性疾患の再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含まない中枢神経系(CNS)の疾患、障害、状態または傷害を処置するための方法であって、その必要性のある個体に、上記で定義されるような本発明による医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、少なくとも2回の治療過程(ただし、それぞれの治療過程が順に、処置期、その後での間欠期を含む)を含む投薬計画によって投与される、方法に関する。
【0082】
ある特定の実施形態において、処置期は、医薬組成物を個体に投与することを含み、かつ、処置期は、少なくともレベルが参照基準よりも低くなるまでは維持され、そして、投与することが間欠期の期間中は休止され、かつ、間欠期は、レベルが参照基準よりも低い限りは維持される。参照基準が、(a)前記投与する前における前記個体から得られる最も最近の血液サンプルにおいて測定される調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベル、あるいは、(b)CNSの疾患、障害、状態または傷害に苦しむ個体の集団に特徴的である調節性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の全身的存在または活性のレベルから選択される場合がある。
【0083】
代替において、処置期は、医薬組成物を個体に投与することを含み、かつ、処置期は、少なくともIFNγ産生白血球の全身的存在またはレベルあるいは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度が参照基準を超えて増大するまでは維持され、そして、投与することが間欠期の期間中は休止され、かつ、間欠期は、前記レベルが前記参照基準を超えている限りは維持され、ただし、この場合、参照基準は、(a)前記投与する前における前記個体から得られる最も最近の血液サンプルにおいて測定されるIFNγ産生白血球の全身的存在もしくは活性のレベルまたは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度、あるいは、(b)CNSの疾患、障害、状態または傷害に苦しむ個体の集団に特徴的であるIFNγ産生白血球の全身的存在もしくは活性のレベルまたは刺激に対する応答における白血球の増殖の速度から選択される。
【0084】
本発明の医薬組成物の種々の特徴を記載する上記の実施形態は、本発明の方法では同じ医薬組成物が用いられるので、本発明の方法のためにも関連がある。
【0085】
さらにさらなる局面において、本発明は、自己免疫性神経炎症性疾患のRRMSを含まないCNSの疾患、障害、状態または傷害を処置する際に使用されるための医薬組成物であって、下記から選択される、個体における全身的免疫抑制のレベルの低下を引き起こす活性な薬剤を含む医薬組成物を提供する:(i)下記に対して特異的な抗体:(a)CD47、(b)OX40、(c)VEGF−A(ベバシズマブ)、(d)CD25、(e)GITR(GITR誘発mAb(DTA−1))、(f)CCR4、または(g)TIM−3/ガレクチン9、(h)抗キラー細胞免疫グロブリン様受容体、(i)抗LAG−3、または(j)抗4−1BB;(ii)(a)〜(j)の任意の組合せ;(iii)アジュバント(例えば、TLR9リガンド(例えば、CpGなど)など)との組合せでの(a)〜(j)の任意の組合せ;(iv)下記から選択されるタンパク質:(a)インドセンダンの葉の糖タンパク質(NLGP)または(b)sCTLA−4;(v)下記から選択される小分子:(a)スニチニブ、(b)ポリオキソメタラート−1(POM−1)、(c)α,β−メチレンアデノシン5’−二リン酸(APCP)、(d)三酸化ヒ素(As)、(e)GX15−070(オバトクラックス)、(f)レチノイン酸アンタゴニスト、例えば、Ro41−5253またはLE−135など、(g)SIRPα(CD47)アンタゴニスト、例えば、CV1−hIgG4(単剤として、または抗CD47抗体との組合せで)、(h)CCR4アンタゴニスト、例えば、AF399/420/18025(単剤として、または抗CCR4抗体との組合せで)、または(i)アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、PSB603など;(j)インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼのアンタゴニスト、(k)HIF−1調節因子;(vi)サイレンシング分子、例えば、miR−126アンチセンスおよび抗ガレクチン−1(Gal−1)など;(vii)OK−432、(viii)IL−12および抗CTLA−4の組合せ;(ix)抗生剤、例えば、バンコマイシンなど;または(x)(i)〜(ix)の任意の組合せ。
【0086】
本発明に従って使用されるための医薬組成物は、1つまたは複数の生理学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を使用して従来の様式で配合される場合がある。キャリアは、組成物のそれ以外の成分との適合性を有し、かつ、その受容者に対して有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0087】
キャリア、投与様式、投薬形態物などの下記の例示が、キャリア、投与様式、投薬形態物などが本発明との使用のために選択されることがある既知の可能性として列挙される。しかしながら、当業者は、どのような配合物および投与様式であれ、選択された所与の配合物および投与様式は最初に、所望の結果を達成することを明らかにするために試験されなければならないことを理解するであろう。
【0088】
投与方法には、非経口経路、例えば、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、皮下経路、粘膜経路(例えば、経口、鼻腔内、口内、膣、直腸、眼内)、クモ膜下腔内経路、局所的経路および皮内経路が含まれるが、これらに限定されない。投与は全身的または局所的であることが可能である。
【0089】
用語「キャリア」は、活性な薬剤が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを示す。医薬組成物におけるキャリアは、バインダー、例えば、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン(ポリビドンまたはポビドン)、トラガカントゴム、ゼラチン、デンプン、ラクトースまたはラクトース一水和物など;崩壊剤、例えば、アルギン酸およびトウモロコシデンプンなど;滑剤または界面活性剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなど;ならびに流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素などを含む場合がある。
【0090】
経口投与のために、医薬調製物は液体形態(例えば、溶液、シロップまたは懸濁液)である場合があり、あるいは、水または他の適当なビヒクルにより使用前に再構成されるための薬物製造物として提供される場合がある。そのような液体調製物は、医薬的に許容される添加剤(例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステルまたは分画化植物油)および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルあるいはソルビン酸)など)を用いて従来の手段によって調製される場合がある。医薬組成物は、例えば、医薬的に許容される賦形剤(例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、フィラー(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)または湿潤化剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)など)を用いて従来の手段によって調製される錠剤またはカプセル剤の形態を取る場合がある。錠剤は、この技術分野で広く知られている方法によって被覆される場合がある。
【0091】
経口投与のための様々な調製物が、活性な化合物の制御された放出を与えるために好適に配合される場合がある。
【0092】
口内投与のために、組成物は、従来の様式で配合される錠剤またはトローチ剤の形態を取る場合がある。
【0093】
組成物は、注入による非経口投与のために、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合される場合がある。注射用の配合物は、保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供される場合がある。組成物は、油状ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物、溶液または乳濁液のような形態を取る場合があり、また、様々な配合剤、例えば、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などを含有する場合がある。代替において、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の発熱物質非含有水)により使用前に構成されるための粉末形態である場合がある。
【0094】
組成物はまた、例えば、従来の座薬基剤(例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなど)を含有する直腸用組成物(例えば、坐剤または停留浣腸剤など)で配合される場合がある。
【0095】
吸入による投与のために、本発明に従って使用されるための組成物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガス)の使用により、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合には、投薬単位が、計量された量を送達するためのバルブを設けることによって決定される場合がある。吸入器または吹き入れ器において使用されるためのカプセル剤およびカートリッジ剤(例えば、ゼラチン製のもの)が、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)を含有して配合される場合がある。
【0096】
ヒトでの使用のために使用されるための有効成分の用量の決定は、この技術分野における一般に使用されている慣行に基づいており、最終的には臨床試験において医師によって決定されることになる。ヒトへの投与のための予想されるおおよその等価用量を、公知の公式を使用して、本明細書中下記において開示されるインビボ実験の証拠に基づいて計算することができる(例えば、Reagan−Show他(2007)、動物研究からヒト研究への再考された用量変換、The FASEB Journal、22:659〜661)。この理論的枠組みによれば、成人等価用量(mg/kg体重)は、0.081が乗じられる、マウスに与えられた用量(mg/kg体重)に等しい。
【0097】
本発明が次に、以下の限定されない実施例によって例示される。
【実施例】
【0098】
材料および方法
動物。ヒトAPPの家族性AD変異型形態(スウェーデン変異、K670N/M671L;フロリダ変異、I716V;およびロンドン変異、V717I)およびPS1の家族性AD変異型形態(M146L/L286V)の導入遺伝子をニューロン特異的なマウスThy−1プロモーター(Oakley他、2006)の転写制御のもとで過剰共発現する5XFAD遺伝子組換えマウス(Tg6799)と、AD二重遺伝子組換えB6.Cg−Tg(APPswe、PSEN1dE9)85Dbo/Jマウス(Borchelt他、1997)とを、The Jackson Laboratoryから購入した。遺伝子型決定を以前の記載(Oakley他、2006)のように尾DNAのPCR分析によって行った。ヘテロ接合性変異体cxcr1GFP/+マウス(Jung他、2000)(B6.129P−cx3cr1tm1Litt/J、これは、CXCR1ケモカイン受容体対立遺伝子の1つが、GFPをコードする遺伝子により置換されたものである)を、BMキメラ体のためのドナーとして使用した。Foxp3.LuciDTRマウス(Suffner他、2010)を5XFADマウスと交配して、Foxp3Tregの条件的枯渇化を可能にした。動物はワイツマン科学研究所の動物育種センターによって飼育され、維持された。本明細書中に詳述されるすべての実験が、ワイツマン科学研究所の施設内動物管理使用委員会(IACUC)によって策定される規則に従った。
【0099】
RNA精製、cDNA合成および定量的リアルタイムPCR分析。海馬歯状回(DG)の総RNAを、TRI Reagent(Molecular Research Center)を用いて抽出し、RNeasy Kit(Qiagen)を使用して溶解物から精製した。脈絡叢の総RNAを、RNA MicroPrep Kit(Zymo Research)を使用して抽出した。mRNA(1μg)を、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を使用してcDNAに変換した。特異的mRNAの発現を、蛍光に基づく定量的リアルタイムPCR(RT−qPCR)を使用してアッセイした。RT−qPCR反応を、Fast−SYBR PCR Master Mix(Applied Biosystems)を使用して行った。定量化反応を、標準曲線法を使用してそれぞれのサンプルについて三連で行った。ペプチジルプロリルイソメラーゼA(ppia)を参照(ハウスキーピング)遺伝子として選定した。増幅サイクルは、95℃を5秒間、60℃を20秒間、72℃を15秒間であった。アッセイが終了したとき、融解曲線を作製して、反応の特異性を評価した。ifn−γおよびppiaの遺伝子分析のために、cDNAを、製造者のプロトコル(PreAmp Master Mix Kit;Applied Biosystems)に従って、非ランダムなPCRプライマーを用いた14回のPCRサイクルで予備増幅し、それにより、その後のリアルタイムPCR分析の感度を増大させた。mRNA発現を、TaqMan RT−qPCRを製造者の説明書(Applied Biosystems)に従って使用して求めた。すべてのRT−qPCR反応を、StepOneソフトウエアV2.2.2(Applied Biosystems)を使用して行い、分析した。下記のTaqMan Assays−on−Demand(商標)プローブを使用した:Mm02342430_g1(ppia)およびMm01168134_m1(ifn−γ)。
調べられたすべての他の遺伝子については下記のプライマーを使用した:
ppia 順方向5’−AGCATACAGGTCCTGGCATCTTGT−3’(配列番号33)および逆方向5’−CAAAGACCACATGCTTGCCATCCA−3’(配列番号34);
icam1 順方向5’−AGATCACATTCACGGTGCTGGCTA−3’(配列番号35)および逆方向5’−AGCTTTGGGATGGTAGCTGGAAGA−3’(配列番号36);
vcam1 順方向5’−TGTGAAGGGATTAACGAGGCTGGA−3’(配列番号37)および逆方向5’−CCATGTTTCGGGCACATTTCCACA−3’(配列番号38);
cxcl10 順方向5’−AACTGCATCCATATCGATGAC−3’(配列番号39)および逆方向5’−GTGGCAATGATCTCAACAC−3’(配列番号40);
ccl2 順方向5’−CATCCACGTGTTGGCTCA−3’(配列番号41)および逆方向5’−GATCATCTTGCTGGTGAATGAGT−3’(配列番号42);
tnf−γ 順方向5’−GCCTCTTCTCATTCCTGCTT−3’(配列番号43)および逆方向CTCCTCCACTTGGTGGTTTG−3’(配列番号44);
il−1β 順方向5’−CCAAAAGATGAAGGGCTGCTT−3’(配列番号45)および逆方向5’−TGCTGCTGCGAGATTTGAAG−3’(配列番号46);
il−12p40 順方向5’−GAAGTTCAACATCAAGAGCA−3’(配列番号47)および逆方向5’−CATAGTCCCTTTGGTCCAG−3’(配列番号48);
il−10 順方向5’−TGAATTCCCTGGGTGAGAAGCTGA−3’(配列番号49)および逆方向5’−TGGCCTTGTAGACACCTTGGTCTT−3’(配列番号50);
tgfβ2 順方向5’−AATTGCTGCCTTCGCCCTCTTTAC−3’(配列番号51)および逆方向5’−TGTACAGGCTGAGGACTTTGGTGT−3’(配列番号52);
igf−1 順方向5’−CCGGACCAGAGACCCTTTG(配列番号53)および逆方向5’−CCTGTGGGCTTGTTGAAGTAAAA−3’(配列番号54);
bdnf 順方向5’−GATGCTCAGCAGTCAAGTGCCTTT−3’(配列番号55)および逆方向5’−GACATGTTTGCGGCATCCAGGTAA−3’(配列番号56);
【0100】
免疫組織化学。組織処理および免疫組織化学をパラフィン包埋の切片化されたマウス脳(6μm厚)およびヒト脳(10μm厚)に対して行った。ヒトICAM−1染色のために、一次マウス抗ICAM抗体(1:20;Abcam;ab2213)を使用した。スライドガラス標本を3%のH2O2と10分間インキュベーションし、二次ビオチンコンジュゲート化抗マウス抗体を使用し、その後、Vectastain ABCキット(Vector Laboratories)によるビオチン/アビジン増幅を行った。続いて、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB基質)(Zytomedキット)を加えた;スライドガラス標本を脱水し、キシレン系封入液により封入した。組織染色のために、マウスを組織の切除および固定処理の前にPBSによる経心的灌流に供した。CP組織を解剖顕微鏡(Stemi DV4;Zeiss)のもと、脳の側脳室、第3脳室および第4脳室から単離した。全載CP染色のために、組織を2.5%パラホルムアルデヒド(PFA)により4℃で1時間にわたって固定処理し、続いて、0.05%のアジ化ナトリウムを含有するPBSに移した。染色に先立って、解剖組織をPBSにより洗浄し、室温で1時間ブロッキング処理した(20%ウマ血清、0.3% Triton X−100およびPBS)。一次抗体(2%ウマ血清および0.3% Triton X−100を含有するPBSにおいて)または二次抗体による全載染色を室温で1時間行った。それぞれの工程の後、PBSにおける3回の洗浄を行った。組織をスライドガラスに載せ、Immu−mount(9990402、Thermo Scientificから得られた)により固定し、カバースリップにより密封した。切片化脳の染色のために、2つの異なる組織調製プロトコル(パラフィン包埋切片またはミクロトームで切片化された浮遊切片)を以前の記載(Baruch他、2013;Kunis他、2013)のように適用した。下記の一次抗体を使用した:マウス抗Aβ(1:300、Covance、#SIG−39320);ウサギ抗GFP(1:100、MBL、#598);ラット抗CD68(1:300、eBioscience、#14−0681);ラット抗ICAM−1(1:200、Abcam、#AB2213);ヤギ抗GFP(1:100、Abcam、#ab6658);ウサギ抗IBA−1(1:300、Wako、#019−19741);ヤギ抗IL−10(1:20、R&D systems、#AF519);ラット抗Foxp3(1:20、eBioscience、#13−5773−80);ウサギ抗CD3(1:500、Dako、#IS503);マウス抗ZO−1、マウス抗E−カドヘリンおよびウサギ抗クローディン−1(すべて1:100、Invitrogen、#33−9100、#33−4000、#51−9000);ウサギ抗GFAP(1:200、Dako、#Z0334)。二次抗体には、下記のものが含まれた:Cy2/Cy3/Cy5−コンジュゲート化ロバ抗マウス/ヤギ/ウサギ/ラット抗体(1:200;すべてが、Jackson Immunoresearchから得られた)。スライドガラス標本をHoechst核染色に1分間さらした(1:4000;Invitrogen Probes)。2つの陰性コントロールを免疫染色手順において、すなわち、イソタイプコントロール抗体、それに続く二次抗体による染色、または、二次抗体単独による染色において常法的に使用した。Foxp3細胞内染色のために、パラフィン包埋されたスライドガラス標本からの抗原回復を、Retreivagen Kit(#550524、#550527;BD Pharmingen(商標))を使用して行った。顕微鏡分析を、蛍光顕微鏡(E800;Nikon)またはレーザー走査共焦点顕微鏡(Carl Zeiss,Inc.)を使用して行った。蛍光顕微鏡は、デジタルカメラ(DXM 1200F;Nikon)と、20倍のNA 0.50対物レンズまたは40倍のNA 0.75対物レンズ(Plan Fluor;Nikon)のどちらかとを備えた。共焦点顕微鏡は、LSM510レーザー走査能を備えた(3つのレーザー光:Ar 488、HeNe 543、およびHeNe 633)。記録を、取得ソフトウエア(NIS−Elements、F3[Nikon]またはLSM[Carl Zeiss,Inc.])を使用して後固定の組織に対して行った。染色強度の定量化のために、以前に記載されたように(Burgess他、2010)、細胞およびバックグラウンドの全体的染色を、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して測定し、特異的染色の強度を計算した。画像は、Photoshop CS6 13.0(Adobe)を使用して、不要部分の削除、画像の併合および最適化が行われ、そして、Illustrator CS5 15.1(Adobe)を使用して配置された。
【0101】
ヒトCPのパラフィン包埋切片。若年者および高齢者の死後のCNS非疾患個体のヒト脳切片、同様にまた、AD患者のヒト脳切片を、適切な同意および倫理委員会承認(TW220)により、Oxford Brain Bank(以前には、Thomas Willis Oxford Brain Collection(TWOBC)として知られていた)から得た。これらの切片を伴う実験はワイツマン科学研究所生命倫理委員会によって承認された。
【0102】
フローサイトメトリー、サンプル調製および分析。マウスをPBSによる経心的灌流に供し、組織を以前の記載(Baruch他、2013)のように処理した。脳を切開し、種々の脳領域を解剖顕微鏡(Stemi DV4;Zeiss)下、PBSに取り出し、組織を、gentleMACS(商標)解離装置(Miltenyi Biotec)を使用して解離させた。脈絡叢組織を脳の側脳室、第3脳室および第4脳室から単離し、400U/mlのIV型コラゲナーゼ(Worthington Biochemical Corporation)を含有するPBS(Ca2+/Mg2+を伴う)において37℃で45分間インキュベーションし、その後、ピペッティングによって手で均質化した。脾臓をシリンジのプランジャーですりつぶし、ACK(塩化アンモニウムカリウム)溶解緩衝液により処理して、赤血球を除いた。すべての場合において、サンプルを製造業者のプロトコルに従って染色した。すべてのサンプルを70μmのナイロンメッシュでろ過し、抗Fc CD16/32(1:100;BD Biosciencies)によりブロッキング処理した。IFN−γの細胞内染色のために、細胞をパラ−メトキシアンフェタミン(10ng/ml;Sigma−Aldrich)およびイオノマイシン(250ng/ml;Sigma−Aldrich)と6時間インキュベーションし、ブレフェルジン−A(10μg/ml;Sigma−Aldrich)を最後の4時間は加えた。サイトカインの細胞内標識化を、BD Cytofix/Cytoperm(商標)Plus固定/透過化キット(cat.no.555028)を用いて行った。Treg染色のために、eBiosciences社のFoxP3染色用緩衝液セット(cat.no.00−5523−00)を使用した。下記の蛍光色素標識化モノクローナル抗体を、BD Pharmingen、BioLegend、R&D SystemsまたはeBiosciencesから購入し、製造者のプロトコルに従って使用した:PEまたはAlexa Fluor450コンジュゲート化抗CD4;PEコンジュゲート化抗CD25;PerCP−Cy5.5コンジュゲート化抗CD45;FITCコンジュゲート化抗TCRβ;APCコンジュゲート化抗IFN−γ;APCコンジュゲート化抗FoxP3;ブリリアントバイオレットコンジュゲート化抗CD45。細胞を、FlowJoソフトウエアを使用してLSRIIサイトメーター(BD Biosciences)で分析した。それぞれの実験において、それぞれの組織についての関連する陰性コントロール群、陽性コントロールおよび単一染色サンプルを使用して、目的とする集団を特定し、かつ、他の集団を除外した。
【0103】
BMキメラ体の調製。BMキメラ体を以前の記載のように調製した(Shechter他、2009;Shechter他、2013)。簡単に記載すると、性別一致のレシピエントマウスを、頭部を遮蔽しながら致死的全身照射(950rad)に供した(Shechter他、2009)。その後、マウスにCXCR1GFP/+ドナーからの5×10個のBM細胞を静脈内注入した。マウスを、実験における使用に先立って、造血系譜の再構成を可能にするためにBM移植後8週間〜10週間放置した。キメラ現象の割合を、循環する単球(CD11b)の中のGFP発現細胞の割合に従って血液サンプルのFACS分析によって求めた。この頭部遮蔽モデルでは、平均して60%のキメラ現象が達成され、CNS浸潤のGFP骨髄性細胞は、CD45high/CD11bhighであることが確認され、このことは、ミクログリアではなく、単球由来マクロファージを表していた(Shechter他、2013)。
【0104】
モリス水迷路。マウスに、連続して4日間、1日に3回の試行を与えて、プール(直径が1.1m)において水面下1.5cmに位置する隠されたプラットホームを見つけることを学習させた。水温を21℃〜22℃の間で保った。水は粉ミルクにより不透明にされた。試験室内では、遠位の視覚的形状手がかりおよび物体手がかりのみが、水面下のプラットホームを突き止めることを助けるためにマウスには利用可能であった。逃避潜時、すなわち、プラットホームを発見し、その上に登るために要する時間を、60秒を上限として記録した。それぞれのマウスは、15秒間プラットホームに留まることが許され、その後、迷路から取り出され、そのホームケージに戻された。マウスが60秒以内にプラットホームを発見しないならば、マウスを手でプラットホームに置き、15秒後にそのホームケージに戻した。それぞれのマウスについての試行間の間隔が10分であった。5日目に、プラットホームを除き、マウスに、利用可能な逃避を伴うことなく60秒持続する1回だけの試行を与えた。6日目および7日目に、プラットホームを最初の訓練用象限の反対側の象限に置き、マウスに毎日3回の再訓練を与えた。データを、Etho Vision V7.1自動追跡システム(Noldus Information Technology)を使用して記録した。統計学的分析を、分散分析(ANOVA)およびボンフェローニ事後検定を使用して行った。すべてのMWM試験を照明停止期間中の午前10時〜午後5時の間で行った。
【0105】
放射状アーム水迷路。詳しくは以前に記載されたように(Alamed他、2006)、放射状アーム水迷路(RAWM)を使用して、空間学習および記憶を試験した。簡単に記載すると、6個のステンレススチール製インサートをタンクに置き、開いた中央領域から放射状に広がる6つの遊泳アームを形成させた。逃避プラットホームがプール(直径が1.1m)において水面下1.5cmのところに1つのアーム(ゴールアーム)の終点に位置した。水温を21℃〜22℃の間で保った。水は粉ミルクにより不透明にされた。試験室内では、遠位の視覚的形状手がかりおよび物体手がかりのみが、水面下のプラットホームを突き止めることを助けるためにマウスには利用可能であった。ゴールアームの場所は所与のマウスについては一定のままであった。1日目に、マウスを(3時間にわたって一定の間隔での)15回の試行について訓練した:試行が、視認されるプラットホームと、隠されたプラットホームとの間で交互に行われ、最後の4回の試行では、隠されたプラットホームのみが用いられた。2日目に、マウスを、隠されたプラットホームを用いた15回の試行について訓練した。間違ったアームへの進入、または、アームを15秒以内に選択できなかったことを、エラーとしてスコア化した。空間学習および記憶を、それぞれの試行でのマウスのアーム進入エラーの数または逃避潜時を算出することによって測定した。訓練データを、3回の連続試行からなる一組の訓練について、平均エラーまたは平均逃避潜時として分析した。
【0106】
GA投与。それぞれのマウスに、200μlのPBSに溶解されるGA(バッチ番号P53640;Teva Pharmaceutical Industries、Petah Tiqva、イスラエル)の100μgの総用量を皮下(s.c.)注入した。マウスには、毎週GA療法(Butovsky他、2006)または毎日GA投与に従ってどちらかが注入された(図8および図16)。マウスを、それぞれの実験について示されるように、最後のGA注入の1週間後に、または処置後1ヶ月でそのどちらかで安楽死させた。
【0107】
Tregの条件的消失。ジフテリア毒素(DTx;8ng/g体重;Sigma)をFoxp3.LuciDTRマウス(Suffner他、2010)に4日間連続して毎日、腹腔内(i.p.)注入した。DTxの効率を血液および脾臓における免疫細胞のフローサイトメトリー分析によって確認し、これにより、GFPを発現するFoxP3CD4Treg細胞のほぼ完全な(99%超の)枯渇化を達成した(図4)。
【0108】
P300阻害。マウスにおけるp300の阻害を以前の記載(Liu他、2013)と同様に行った。p300i(C646;Tocris Bioscience)をDMSOに溶解し、1週間にわたって毎日、i.p.注入した(8.9mg kg−1−1、i.p.)。ビヒクル処置マウスにDMSOを同様に注入した。
【0109】
ATRA処置。マウスへのオールトランスレチノイン酸(ATRA)投与を以前の記載(Walsh他、2014)と同様に行った。ATRA(Sigma)をDMSOに溶解し、1週間の間、1日おきにi.p.注入した(8mg kg−1−1)。ビヒクル処置マウスにDMSOを同様に注入した。
【0110】
可溶性Aβ(sAβ)タンパク質の単離および定量化。組織の均質化およびsAβタンパク質の抽出を以前の記載(Schmidt他、2005)のように行った。簡単に記載すると、大脳の実質組織を切開し、急速凍結し、均質化まで−80℃で保存した。タンパク質をサンプルから逐次的に抽出して、溶解性が異なるタンパク質を含有する別個の分画物を得た。サンプルを、すりガラス乳棒をDounceホモジナイザーにおいて使用して、250mMのスクロース、20mMのTris塩基、1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)および1mMのエチレングリコール四酢酸(pH7.4)を含有する10体積の氷冷した組織均質化緩衝液において均質化した。6回のストロークの後、ホモジネートをさらなる6回のストロークの前に100mMのNaCl溶液における0.4%ジエチルアミン(DEA)と1:1で混合し、その後、4℃で45分間にわたって135,000gで遠心分離した。上清(細胞外タンパク質および細胞質ゾルタンパク質を含有するDEA可溶性画分)を集め、0.5MのTris−HCl(pH6.8)の10%により中和した。Aβ1_40およびAβ1_42を個々に、市販のキット(Biolegend;#SIG−38954および#SIG−38956)を製造業者の説明書に従って使用して可溶性画分から酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定した。
【0111】
Aβプラークの定量化。それぞれの脳から、6μmの冠状面薄片を集め、マウスあたり8個の切片(目的とする領域(歯状回または大脳皮質)の全体にわたる4つの異なる所定の深さからのもの)を免疫染色した。陽性染色画素のヒストグラム型セグメント化を、Image−Pro Plusソフトウエア(Media Cybernetics、Bethesda、MD、米国)を使用して行った。セグメント化アルゴリズムを歯状回領域または皮質層Vにおいて手動でそれぞれの画像に適用し、総Aβ免疫染色によって占められる領域の百分率を求めた。プラーク数を同じ6μmの冠状面脳薄片から定量化した。プラーク数が脳領域あたりの平均プラーク数として示される。定量化に先立って、薄片は、実験群の正体を隠すためにコード化され、プラーク負荷が、実験群の正体を知らない観測者によって定量化された。
【0112】
統計学的分析。それぞれの実験組を分析するために使用される具体的な検定が図の凡例に示される。データを、2つの群の間で比較するために両側スチューデントt検定を使用して分析し、一元配置ANOVAを、いくつかの群を比較するために使用し、その後、ニューマン・クールス事後手順を、帰無仮説が棄却された(P<0.05)後での群のペア毎の比較のために使用した。行動試験からのデータを、二元配置反復測定ANOVAを使用して分析し、ボンフェローニ事後手順を追跡調査でのペア毎の比較のために使用した。サンプルサイズを、文献および過去の経験に基づく十分な統計学的検出力により選定し、マウスを、月齢、性別および遺伝子型に従って実験群に割り当てた。研究者には、実験群の正体を実験期間中および結果評価期間中は知らせなかった。すべての算入基準および除外基準がIACUCガイドラインに従って事前に確立された。結果が平均±s.e.m.として示される。グラフにおいて、y軸の誤差バーはs.e.m.を表す。統計学的計算を、GraphPad Prismソフトウエア(Graphpad Software、San Diego、CA)を使用して行った。
【0113】
序論。アルツハイマー病(AD)は、認知機能の段階的喪失および脳組織の破壊を引き起こす中枢神経系(CNS)内のニューロン損傷、アミロイドベータ(Aβ)プラーク形成および慢性的炎症によって特徴づけられる加齢関連の神経変性疾患である(Akiyama他、2000;Hardy&Selkoe、2002)。これらの状態のもとでは、循環する骨髄性細胞と、CNSの常在性の骨髄性細胞、すなわち、ミクログリアとが、非冗長的な役割を、神経炎症性応答を緩和する際に果たしている(Britschgi&Wyss−Coray、2007;Cameron&Landreth、2010;Lai&McLaurin、2012)。具体的には、ミクログリアはAβ沈着物を究極的には排除することができないが、CNS浸潤の単球由来マクロファージ(mo−MΦ)は、Aβプラーク形成を制限することおよびAD様病理を撃退することにおいて有益な役割を果たしている(Butovsky他、2007;Koronyo−Hamaoui他、2009;Mildner他、2011;Simard他、2006;Town他、2008)。脳の脈絡叢(CP)は、その上皮層が血液−CSF関門(BCSFB)を形成する一方で、神経組織損傷の後でのmo−MΦ細胞およびT細胞の動員を可能にする、CNSへの白血球進入のための選択的入口として特定されている(Kunis他、2013;Shechter他、2013)。ここで、本発明者らは、ADにおいて、罹患した実質組織への炎症消散免疫細胞の最適とはいえない動員は、CPの入口機能不全を伴う全身的な免疫不全の結果であると仮定した。
【0114】
実施例1.ADのマウスモデルにおける疾患進行に沿った脈絡叢(CP)入口活性。
本発明者らは最初に、ADの5XFAD遺伝子組換えマウスモデル(AD−Tg)における疾患進行に沿ったCP活性を調べた;これらのマウスは、家族性ADに伴う5つの変異を共発現し、脳のAβ病理および神経膠症を2ヶ月もの早期の月齢において発症する(Oakley他、2006)。本発明者らは、疾患病理の進行段階に沿って、AD−TgマウスのCPが、月齢一致の野生型(WT)コントロールと比較した場合、icam1、vcam1、cxcl10およびccl2(これらは、急性CNS損傷に対する応答においてCPによってアップレギュレーションされることが示され、白血球の経上皮遊走のために必要であった;Kunis他、2013;Shechter他、2013)を含めて、白血球ホーミングおよび白血球輸送の決定因子の有意に低下したレベルを発現することを見出した(図1A)。インテグリンリガンドICAM−1についての免疫組織化学的染色により、AD−TgマウスのCP上皮によるその低下した発現が確認された(図1b)。加えて、ヒト死後脳におけるICAM−1についての染色では、CP上皮におけるその加齢関連低下が、本発明者らの以前の観察結果(Baruch他、2014)と一致して示され、また、この影響の定量的評価では、さらなる低下が、CNS疾患を有しない高齢者と比較されるAD患者において明らかにされた(図2A)。CPによる白血球輸送決定因子の誘導が上皮でのインターフェロン(IFN)−γのシグナル伝達に依存している(Kunis他、2013)ので、本発明者らは次に、認められた影響がCPにおけるIFN−γ利用能の喪失を反映し得るであろうかどうかを検討した。5XFAD AD−TgマウスのCPを、フローサイトメトリー細胞内染色を使用して調べることにより、この区画におけるIFN−γ産生細胞の有意に低下した数が明らかにされ(図2B)、また、定量的リアルタイムPCR(RT−qPCR)分析では、月齢一致のWT型コントロールと比較されるAD−TgマウスのCPにおけるifn−γのより低いmRNA発現レベルが確認された(図2C)。
【0115】
実施例2.Treg媒介全身的免疫抑制、CP入口活性およびAD病理の間における機能的関係。
調節性T細胞(Treg)が、きわめて重要な役割を、全身的エフェクター免疫応答を抑制する際に果たしている(Sakaguchi他、2008)。本発明者らは、Treg媒介の全身的免疫抑制がCPにおけるIFN−γ利用能に影響を及ぼすことを想定し、したがって、AD病理におけるTregの関与に集中した。AD患者における上昇したTregレベルおよび抑制的活性の以前の報告(Rosenkranz他、2007;Saresella他、2010;Torres他、2013)と一致しているが、5XFAD AD−Tgマウスの脾細胞におけるFoxp3Treg頻度をそれらの月齢一致のWT型同腹子と比較して評価することにより、それらの上昇したレベルが疾患進行に沿って明らかにされた(図3A図3B)。Treg媒介全身的免疫抑制、CP入口活性およびAD病理の間における機能的関係を研究するために、本発明者らは、5XFAD AD−TgマスをFoxp3−ジフテリア毒素受容体(DTR)マウスと交雑し、これにより、ジフテリア毒素(DTx)の投与によるAD−Tg/DTRマウスにおけるFox3Tregの一時的な条件的インビボ枯渇化を可能にした(図4A)。Tregの一時的な枯渇化は、DTx処置されたAD−Tg/DTR同腹子と比較して、AD−Tg/DTRマウスのCPによる白血球輸送分子の上昇したmRNA発現を生じさせた(図5A)。脳の実質組織に対する一時的Treg枯渇化の長期影響の(3週間後での)分析により、上昇した数のCD45high/CD11bhigh骨髄性細胞(これは浸潤性mo−MΦを表す;Shechter他、2013)およびCD4T細胞を含めて、脳における免疫細胞の蓄積が明らかにされた(図5B)。加えて、Tregの短期間かつ一時的な枯渇化は、フローサイトメトリーによって評価された場合、脳内に蓄積するCD4T細胞の中でのFoxp3Tregの際立った増強を生じさせた(図5C図5D)。海馬のRT−qPCR分析では、foxp3およびil10のmRNAの増大した発現が示された(図5E)。
【0116】
Tregの短期間の枯渇化の後には、脳病理の部位における免疫調節細胞の蓄積が続くので、本発明者らは次に、Tregの短期間の枯渇化が脳機能に対する長期影響を引き起こすかどうかを調べた。本発明者らは海馬の神経膠症における低下を認め(図5F)、また、炎症促進性サイトカイン(例えば、il−12p40およびtnf−αなど)の低下したmRNA発現レベルを認めた(図5G)。そのうえ、海馬歯状回および大脳皮質(第5層)における、すなわち、堅固なAβプラーク病理を5XFAD AD−Tgマウスにおいて示す2つの脳領域(Oakley他、2006)における脳Aβプラーク負荷が低下した(図6A図6B)。認知機能に対する影響を、モリス水迷路(MWM)試験を使用して評価することにより、Treg枯渇化後のAD−Tg/DTRマウスでの空間学習および記憶における著しい改善が、DTx処置されたAD−Tg/DTR月齢一致マウスと比較して明らかにされ、WT型マウスの成績と類似する成績に達した(図6C図6E)。まとめると、これらのデータにより、Treg媒介の全身的免疫抑制をAD−Tgマウスにおいて一時的に中断させることは、mo−MΦおよびTregを含めて、炎症消散細胞の脳における蓄積をもたらし、その後には、神経炎症性応答の消散、Aβの排除および認知低下の回復が続くことが明らかにされた。
【0117】
実施例3.コポリマー−1の毎週投与はTreg媒介の全身的免疫抑制を低下させ、CP入口活性を改善し、AD病理を緩和する。
全身的免疫抑制、CP機能およびAD病理の間における逆相関の因果性をさらに実証するために、本発明者らは次に、免疫調節化合物のグラチラマー酢酸塩(GA;これはコポリマー−1またはCopaxone(登録商標)としてもまた知られている)を使用した。グラチラマー酢酸塩は、毎週投与療法において、治療効果をADのAPP/PS1マウスモデルにおいて有することが見出されていた(Butovsky他、2006);この効果には、疾患病理の脳部位へのmo−MΦ動員が機能的に伴っていた(Butovsky他、2007)。ここで、本発明者らは最初に、5XFAD AD−Tgマウスにおける本発明者らの観測結果と同様に、APP/PS1 AD−TgマウスにおけるCPもまた、IFN−γ発現レベルに関して欠乏しているかどうかを調べた。本発明者らは、APP/PS1 AD−Tgマウスでは、CPにおけるIFN−γレベルが月齢一致のWT型コントロールに対して低下したことを見出した(図7A)。これらの結果は、APP/PS1マウスにおける毎週GAの治療効果(Butovsky他、2006)が、5XFAD AD−Tgマウスにおいて再現され得るであろうかどうか、そして、もしそうであるならば、その治療効果は、全身的Tregと、mo−MΦ輸送のためのCPの活性化とに影響を及ぼすであろうかどうかを検討することを本発明者らに促した。したがって、本発明者らは、5XFAD AD−Tgマウスを4週間の期間にわたるGAの毎週投与療法(以降、「毎週GA」)により処置した(図8Aに概略的に示される)。本発明者らは、毎週GAにより処置される5XFAD AD−Tgマウスが、低下した神経炎症を示し(図8B図8D)、かつ、認知成績を改善し、改善が処置後2ヶ月に至るまで持続した(図8E図8I)ことを見出した。全身性免疫およびCPに対する毎週GAの影響をフローサイトメトリーによって調べたとき、本発明者らは、脾細胞でのFoxp3Tregレベルが低下したことを見出し(図9A)、また、IFN−γ産生細胞が、処置された5XFAD AD−TgマウスのCPにおいて増大し、WT型コントロールにおいて認められるレベルと類似するレベルに達したことを見出した(図9B)。毎週GAで処置されたマウスにおけるCPでのIFN−γ発現細胞の上昇したレベルには、白血球輸送分子のアップレギュレーションされた上皮発現が伴った(図9C)。
【0118】
浸潤するmo−MΦのCNSへの進入を検出するために、本発明者らは、(頭部保護を使用して調製される)5XFAD AD−Tg/CXCR1GFP/+骨髄(BM)キメラマウスを使用した。このキメラマウスでは、循環する(緑色蛍光タンパク質(GFP)標識された)骨髄性細胞の可視化が可能であった(Shechter他、2009;Shechter他、2013)。本発明者らは、ビヒクル処置のAD−Tg/CXCR1GFP/+コントロールと比較した場合、毎週GA処置の後におけるCPおよび隣接脳室空間へのGFPmo−MΦの増大したホーミングを見出した(図9D図9E)。脳の実質組織の免疫組織化学により、脳のプラーク形成の部位におけるGFPmo−MΦ蓄積の存在が明らかにされ(図9F)、浸潤する骨髄性細胞の定量化は、AD−Tg非キメラマウスにおける海馬のフローサイトメトリー分析による場合、CD11bhighCD45high発現細胞の増大した数を示した(図9G図9H)。まとめると、これらの結果により、AD病理の部位へのmo−MΦ動員、全身的Tregレベルの低下、および、CPのIFN−γ依存的活性化の間における機能的連関が実証された。
【0119】
実施例4.Treg活性を短期間にわたって直接に妨げることにより、CP入口活性が改善され、AD病理が緩和される。
4.1 小分子のヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤を使用するTreg活性の妨害。上記の発見は、Treg媒介の全身的免疫抑制が、AD病理と闘う能力を妨げることを示唆した一方で、ガン免疫療法におけるTregに起因すると考えられる機能を連想させる。これは、ガン免疫療法では、これらの細胞が、効果的な抗腫瘍応答を免疫系が開始し得ることを妨げているからである(Bos&Rudensky、2012;Nishikawa&Sakaguchi、2010)。したがって、本発明者らは、Foxp3Treg細胞活性を直接に妨げる処置はADにおいて好都合であるかもしれないと考えた。本発明者らは、p300i(C646(Bowers他、2010))、すなわち、p300(Treg機能を調節するヒストンアセチルトランスフェラーゼ(Liu他、2013))の非ペプチド性阻害剤を検討した:この阻害剤は、保護的なTエフェクター細胞応答を損なわないままにしながら、Treg抑制活性に影響を及ぼすことが示された(Liu他、2013)。本発明者らは、p300iにより処置されたマウスが、ビヒクル(DMSO)処置のコントロールと比較して、脾臓における全身的IFN−γ発現細胞の上昇したレベルを示し(図10A)、同様にまた、CPにおける全身的IFN−γ発現細胞の上昇したレベルを示したこと(図10B)を見出した。本発明者らは次に、AD−Tgマウスを1週間の間、p300iまたはビヒクルのどちらかで処置し、脳のAβプラーク負荷について3週間後に調べた。免疫組織化学的分析により、脳のAβプラーク負荷における著しい低下がp300i処置のAD−Tgマウスにおいて明らかにされた(図10C図10E)。本発明者らはまた、1回の処置過程の後でのプラーク病理に対する影響が3週間を超えて持続するであろうかどうかを、そして、もしそうであるならば、さらなる回数の処置過程は、長く持続する効果に寄与するであろうかどうかを検討した。したがって、本発明者らは、ただ1回だけのp300i処置過程を受け、2ヶ月後に調べられたAD−Tgマウスを、1ヶ月の間欠を間に伴う2回の処置過程(図10Fに概略的に示される)をこの期間の期間中に受けた月齢一致群と比較した。本発明者らは、脳のプラーク負荷の低下が、ただ1回だけの処置過程の2ヶ月後においてさえ明白であり、しかし、1ヶ月の間欠を間に伴う2回の処置過程を受けたマウスではより強かったことを見出した(図10G)。ADにおける損なわれたシナプス可塑性および記憶には、可溶性Aβ1_40/Aβ1_42(sAβ)レベルの上昇した脳レベルが伴う(Shankar他、2008)ので、本発明者らはまた、sAβレベルをp300i処置のただ1回だけのサイクルまたは反復したサイクルの後で測定した。再度ではあるが、本発明者らは、1回の過程および(1ヶ月の間欠を間に伴う)2回の過程の両方が、脳のsAβを低下させることにおいて効果的であったことを見出し、そして、それにもかかわらず、この効果は、sAβ1_42に対する影響に関して、反復した過程の後ではより強かった(図10H)。これらの結果は、ただ1回だけの短期間の処置過程が効果的であるが、反復した回数の処置過程が、毎週GA処置の後での本発明者らの観測結果と同様な長期間持続する治療効果を維持するために好都合であろうことを示している。
【0120】
4.2 抗PD1抗体を使用するTreg活性の妨害。10ヶ月の月齢において、5XFADアルツハイマー病(AD)遺伝子組換え(Tg)マウスに250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a;#BE0089;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかを実験の1日目および4日目にi.p.注入し、そして、詳しくは以前に記載されるように(Alamed他、2006)、マウスを放射状アーム水迷路(RAWM)での空間学習・記憶課題によってそれらの認知成績について3週間後に調べた(図11Aに概略的に示される)。簡単に記載すると、RAWM課題の1日目に、マウスを(3時間にわたって一定の間隔での)15回の試行について訓練した:試行が、視認されるプラットホームと、隠されたプラットホームとの間で交互に行われ、最後の4回の試行では、隠されたプラットホームのみが用いられた。2日目に、マウスを、隠されたプラットホームを用いた15回の試行について訓練した。間違ったアームへの進入、または、アームを15秒以内に選択できなかったことを、エラーとしてスコア化した。空間学習および記憶を、それぞれの試行でのマウスのアーム進入エラーの数または逃避潜時を算出することによって測定した。月齢を一致させた未処置のWT型マウスおよびAD−Tgマウスをコントロールとして使用した。本発明者らは、(1日目および4日目での)抗PD1の2回の注入を含む1回の治療期間により処置された5XFAD AD−Tgマウスが、3週間後に評価された場合、RAWMにおける著しい改善された空間認知成績を示したことを見出した(図11B)。
【0121】
本発明者らは次に、疾患病理に対する影響には全身的免疫抑制の低下が伴うかどうかを調べた。本発明者らは上記実験を繰り返したが、今回は、マウスを、処置期が終了したとき(実験の7日目)に調べた(図12Aに概略的に示される)。本発明者らは、この時点では、PD−1で処置されたAD−Tgマウスにおける全身的免疫抑制の減弱には、IFN−γ産生CD4脾細胞が上昇するという全身的影響が付随し(図12B)、そして、この影響が、IFN−γのmRNAレベルが上昇するというCPでの局所的影響と相関し(図13A)、また、CPの白血球輸送分子、ケモカインであるCCL2およびCXCL10の発現における上昇と相関する(図13B)ことを認めた。これらのデータは、AD−Tgマウスにおける短期間の抗PD−1処置期には、予想されたように、Treg媒介の免疫抑制を弱めるという全身的応答(Naidoo他、2014)、および、CNSへの白血球輸送のためのCP入口活性の活性化が伴うことを示した。
【0122】
最後に、本発明者らは、AD−Tgマウスにおける疾患病理に対する影響を調べ、かつ、さらなる処置期が病理に対するその影響において好都合であるかどうかを調べた。この目的を達成するために、10月齢のAD−Tgマウスは、上記で記載されるような1回の抗PD−1処置期、または、3週間の間欠を伴うさらなる処置のどちらかを受けた。コントロール群はIgGによる処置または非処置のどちらかに供され、すべてのマウス群を3週間後にそれらの認知成績について試験した(図14Aに概略的に示される)。本発明者らは、1回の抗PD−1により処置されたAD−Tgマウス(「AD−Tg+PD−1 X1」)で、2ヶ月後に調べられたAD−Tgマウスは、著しい認知改善を、IgG処置および非処置のAD−Tgマウスとの比較において示したが、その効果は、同じマウスが1ヶ月早く認知成績について評価されたときよりも堅固でなかったことを見出した。対照的に、もう1回の抗PD−1処置期を受けたAD−Tgマウス(「AD−Tg+PD−1 X2」)は、IgG処置または非処置のAD−Tgマウスと比較された場合と同様に、1回の処置期を受けたAD−TGと比較して、RAWMにおける著しくより良好な空間学習能および記憶能を示した(図14B)。これらの発見により、長期間持続する治療効果を維持するためには、反復した処置期が必要であることが明らかにされた。
【0123】
4.3 抗PD1抗体および抗CTLA4抗体の組合せを使用するTreg活性の妨害。
10ヶ月の月齢において、5XFADアルツハイマー病(AD)遺伝子組換え(Tg)マウスに250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)および250μgの抗CTLA4抗体(InVivoMAb抗mCD152;#BE0131;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089、または、ポリクローナルなゴールデンハムスターIgG、#BE0087;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかを実験の1日目および4日目にi.p.注入し、マウスを、上記で記載されるように、放射状アーム水迷路(RAWM)での空間学習・記憶課題によってそれらの認知成績について3週間後に調べる。
【0124】
一部のマウスは、3週間の間欠期を有するさらなる処置期を受ける。コントロール群はIgGによる処置または非処置のどちらかに供され、すべてのマウス群が3週間後にそれらの認知成績について試験される。
【0125】
抗体の組合せにより処置されるマウスは、著しい認知改善を、IgG処置および非処置のAD−Tgマウスとの比較において示し、同様にまた、脳のプラーク負荷の著しい低下を示すことが予想される。
【0126】
実施例5.Treg活性の増強はAD病理に対する悪影響を有する。
ADにおけるTreg媒介の全身的免疫抑制の負の役割を実証するために、本発明者らは次に、全身的Tregレベルを増強することはAD病理に対する逆の悪影響を有し得るであろうかどうかを調べた。このことを検討するために、本発明者らは、AD−TgマウスにおけるTreg抑制機能をオールトランスレチノイン酸(ATRA)の投与によって増強した:この場合、オールトランスレチノイン酸により、Treg分化が誘導され(Mucida他、2007)、Treg表現型が安定化され(Zhou他、2010)、Tregがより抑制的にされる(Zhou他、2010)。本発明者らは、5XFAD AD−Tgマウスを疾患進行の比較的早い段階で使用し、ATRAまたはビヒクル(DMSO)のどちらかで処置した。ATRAで処置されたAD−TgマウスはFoxp3CD25Tregの著しくより大きい脾細胞頻度を示した(図15A図15B)。マウスを最後のATRA注入の3週間後に調べた場合、より大きい脳Aβプラーク負荷および神経膠症が明らかにされ(およそ2倍〜3倍の増大;図15C図15E)、sAβの評価により、脳での増大したsAβ1_40レベルおよびsAβ1_42レベルが全身的Tregの増強の後で明らかにされた(図15F図15G)。RAWMを使用した認知成績の評価では、空間記憶欠損の悪化が、ビヒクル処置のAD−Tgマウスと比較して、ATRA処置のAD−Tgマウスにおいて示された(図15H)。
【0127】
GAの毎日の投与は、Tregを誘導することが知られており、また、多発性硬化症(MS)を処置するために臨床で使用されるという事実(Haar他、2009;Hong他、2005;Weber他、2007)と併せて、AD病理に対する全身的Tregの負の影響の本発明者らの今回の発見を考慮して、本発明者らは、(1ヶ月の期間にわたる)毎日療法におけるGAは、毎週GAとは対照的に、AD−Tgマウスにおける疾患病理に対する負の影響を有するかもしれないかどうかを検討した。本発明者らは、(図16Aに概略的に示される)毎週GA投与に対する毎日GA投与の影響を、5XFAD AD−Tgマウスにおいて比較した。RAWM課題による認知成績の評価では、毎週GA処置の有益な効果とは対照的に、空間記憶に対する有益な効果、または、悪化影響への傾向のどちらもが、毎日GAを受けたAD−Tgマウスにおいて認められなかったことが明らかにされた(図16B)。加えて、プラーク排除に対する毎週GA投与の堅固な影響とは異なり、毎日GAで処置されたAD−Tgマウスは有益な効果を何ら示さず、または、プラーク負荷に対する中程度の悪影響を示した(図16C図16F)。これらの発見により、MSおよびAD、すなわち、神経炎症を伴う2つのCNS病理がどのように、毎日GAによる同じ免疫調節処置によって逆向きかつ弁別的に影響され得るであろうかが強調される(Schwartz&Baruch、2014a)。
【0128】
実施例6.Treg活性を直接に妨げることにより、CP入口活性が改善され、かつ、PTSD病理が妨げられ、または緩和される。
重度のストレス性状態または慢性的ストレスは心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびうつ病を引き起こす可能性がある。本発明者らは以前に、CP入口活性が、精神的ストレスに対処するために非常に重要であるかもしれないこと、そして、CPの機能が最適とはいえない場合には、精神的な外傷性エピソードがPTSDを引き起こすかもしれないことを示唆した(Schwartz&Baruch、2012)。本発明者らはさらに、外傷後の時宜を得た全身的介入が、CP応答を修正することを助けることになる一方で、PTSDの慢性的状態の発症を妨げるかもしれないことを仮定した。Treg媒介の全身的免疫抑制を短期間弱めることは脳病理に対する長期影響を有するという本発明者らの発見は、この介入が、外傷事象の直後であれば、PTSDの発症を妨げるであろうことを示唆している。
【0129】
CPが、外傷性ストレスに対処する際には関与し、そして、外傷性ストレスがPTSDの発症を引き起こす場合、CPは機能不全に陥っているかもしれないという本発明者らの作業仮説を検証するために、本発明者らは生理学的PTSD様動物モデルを採用した:このモデルにおいて、マウスは、過度に用心深い行動、注意力の低下、増大したリスク評価、および、睡眠不足を示す(Lebow他、2012)。PTSD誘導のこの実験モデルにおいて、マウスは昼夜逆転サイクルに10日間慣らされ、電気的ショックの2つのエピソード(外傷および誘因)が与えられ(これは「PTSD誘導」と呼ばれる)、外傷後の種々の時点で評価される。外傷事象の後、マウスには、末梢の免疫抑制を一時的に低下させる前記化合物が注入される。マウスは下記療法の1つまたは複数に従って処置される:
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を外傷事象後1日目および4日目に受け、2週間のさらなる間欠期の後で調べられる;
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)および250μgの抗CTLA4抗体(InVivoMAb抗mCD152;#BE0131;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089、または、ポリクローナルなゴールデンハムスターIgG、#BE0087;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を実験の1日目および4日目に受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、上記のような毎週GAによるi.p.注入を外傷事象の後で受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、1週間の過程にわたるp300iまたはビヒクルによる処置を外傷事象の後で受け、上記で記載されるように3週間後に調べられる;
一部のマウスは、適切な間欠期を有するさらなる処置期を受ける。
【0130】
処置を受けるマウスは、探索に費やす時間、および、(Lebow他、2012)に記載される明暗迷路または他の行動課題でのリスク評価によって評価されるような、この実験モデルにおけるPTSDに伴う不安行動を示さないことが予想される。
【0131】
実施例7.全身的免疫抑制の一時的低下はパーキンソン病の病理を緩和する。
パーキンソン病(PD)遺伝子組換え(Tg)マウスがこれらの実験では使用される。マウスは下記療法の1つまたは複数に従って疾患の進行段階において処置される:
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を外傷事象後1日目および4日目に受け、2週間のさらなる間欠期の後で調べられる;
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)および250μgの抗CTLA4抗体(InVivoMAb抗mCD152;#BE0131;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089、または、ポリクローナルなゴールデンハムスターIgG、#BE0087;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を実験の1日目および4日目に受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、上記のような毎週GAによるi.p.注入を外傷事象の後で受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、1週間の過程にわたるp300iまたはビヒクルによる処置を外傷事象の後で受け、上記で記載されるように3週間後に調べられる;
一部のマウスは、適切な間欠期(約3週間〜1ヶ月)を有するさらなる処置期間を受ける。
【0132】
運動の神経学的機能が、例えば、ロータロッド成績試験(これにより、回転する棒の上に留まるマウスの能力が評価される)を使用して評価される。
【0133】
1回の処置期により処置されるPD−Tgマウスは、IgG処置またはビヒクル処置のコントロール群あるいは非処置群と比較して、著しい改善された運動成績を示すことが予想される。2回の治療過程を受け、適切な間欠期の後で調べられるPD−Tgマウスは、長期間持続する治療効果を示すことが予想される。この治療効果を維持するために、マウスは、適切な間欠期をそれぞれの処置期の間に有する有効な処置期に供される。
【0134】
実施例8.全身的免疫抑制の一時的低下はハンチントン病の病理を緩和する。
これらの実験で使用されるモデルはハンチントン病(HD)R6/2遺伝子組換えマウス(Tg)試験系である場合がある。R6/2遺伝子組換えマウスは、多数のCAG反復の挿入を含む変異型ヒトハンチンチン遺伝子を疾患の進行段階でのマウスにおいて過剰発現する。これらのマウスは、5週〜6週もの早い週齢で始まり、10週〜13週での早過ぎる死を引き起こす進行性の行動−運動障害を示す。症状には、低体重、抱擁、振戦および痙攣が含まれる。
【0135】
マウスは生後45日のときに下記療法の1つまたは複数に従って処置される:
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を外傷事象後1日目および4日目に受け、2週間のさらなる間欠期の後で調べられる;
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)および250μgの抗CTLA4抗体(InVivoMAb抗mCD152;#BE0131;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089、または、ポリクローナルなゴールデンハムスターIgG、#BE0087;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を実験の1日目および4日目に受け、2週間のさらなる間欠期の後で調べられる。
・マウスは、上記のような毎週GAによるi.p.注入を外傷事象の後で受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、1週間の過程にわたるp300iまたはビヒクルによる処置を外傷事象の後で受け、上記で記載されるように3週間後に調べられる;
一部のマウスは、適切な間欠期(約3週間〜1ヶ月)を有するさらなる処置期間を受ける。
【0136】
運動の神経学的機能が、例えば、ロータロッド成績試験(これにより、回転する棒の上に留まるマウスの能力が評価される)を使用して評価される。
【0137】
1回の処置期により処置されるHD−Tgマウスは、IgG処置またはビヒクル処置のコントロール群あるいは非処置群と比較して、著しい改善された運動成績を示すことが予想される。2回の治療過程を受け、適切な間欠期の後で調べられるHD−Tgマウスは、長期間持続する治療効果を示すことが予想される。この治療効果を維持するために、マウスは、適切な間欠期をそれぞれの処置期の間に有する有効な処置期に供される。
【0138】
実施例9.全身的免疫抑制の一時的低下は筋萎縮性側索硬化症の病理を緩和する。
この実験で使用されるモデルは、Gly93→Ala(G93A)遺伝子を含有する欠損型ヒト変異SOD1対立遺伝子を過剰発現する遺伝子組換えマウス(B6SJL−TgN(SOD1−G93A)1Gur(本明細書中では「ALSマウス」)である場合がある。このモデルは運動ニューロン疾患を発症し、したがって、ALSを処置するための容認された動物モデルを構成する。
【0139】
マウスは生後75日のときに下記療法の1つまたは複数に従って処置される:
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を外傷事象後1日目および4日目に受け、2週間のさらなる間欠期の後で調べられる;
・マウスは、250μgの抗PD1抗体(RMP1−14;#BE0146;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)および250μgの抗CTLA4抗体(InVivoMAb抗mCD152;#BE0131;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)またはコントロールIgG抗体(IgG2a、#BE0089、または、ポリクローナルなゴールデンハムスターIgG、#BE0087;Bioxcell Lifesciences Pvt.LTD.)のどちらかによるi.p.注入を実験の1日目および4日目に受け、2週間の間欠期の後で調べられる。
・マウスは、上記のような毎週GAによるi.p.注入を外傷事象の後で受け、2週間の間欠期の後で調べられる;
・マウスは、1週間の過程にわたるp300iまたはビヒクルによる処置を外傷事象の後で受け、上記で記載されるように3週間後に調べられる;
一部のマウスは、適切な間欠期(約3週間〜1ヶ月)を有するさらなる処置期間を受ける。
【0140】
運動の神経学的機能が、例えば、ロータロッド成績試験(これにより、回転する棒の上に留まるマウスの能力が評価される)を使用して評価されるか、または、マウスは、小さいループを下方端に有する垂直なワイヤ(直径が2mm)をつかみ、それにしがみつくことが許される。垂直なワイヤは、マウスが、ワイヤにつかまるために前足および後足の両方を使用することを可能にする。このワイヤは、24rpmでの垂直配向の円形運動(円の半径が10cmであった)で維持される。マウスがワイヤにしがみつくことができる時間がタイマーにより記録される。
【0141】
1回の処置期により処置されるALSマウスは、IgG処置またはビヒクル処置のコントロール群あるいは非処置群と比較して、著しい改善された運動成績を示すことが予想される。2回の治療過程を受け、適切な間欠期の後で調べられるALSマウスは、長期間持続する治療効果を示すことが予想される。この治療効果を維持するために、マウスは、適切な間欠期をそれぞれの処置期の間に有する有効な処置期に供される。
【0142】
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図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
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図5F
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図9H
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図14A
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図15A
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図16A
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図16D-F】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]