(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、圃場の空撮システムを含む農業支援システムを示している。
図1では、圃場の空撮システムを含む農業支援システムを示しているが、圃場の空撮システムと農業支援システムとは別体のシステムとして独立してもよい。
まず、農業支援システムについて説明する。農業支援システムは、農作業を支援するシステムである。農業支援システムは、コンピュータを備えている。コンピュータは、例えば、農家、営農会社等に設置された固定型の管理コンピュータ1aと、管理コンピュータ1a等が接続可能なサーバ1bとを含んでいる。管理コンピュータ1aは、例えば、管理者や作業者等に割り当てられたパーソナルコンピュータ(PC)である。
【0012】
サーバ1bは、作業計画を設定可能である。作業計画とは、農業におけるリモートセンシングの作業(農作業)の計画である。リモートセンシングの作業(農作業)とは、例えば、圃場のセンシング作業、作物のセンシング作業等であり、より詳しくは、圃場の撮像、作物の撮像等である。
サーバ1bは、作業計画を設定する計画設定部10を備えている。計画設定部10は、サーバ1bに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ1bに格納されたプログラム等から構成されている。
【0013】
例えば、管理コンピュータ1aがサーバ1bにログインすると、当該管理コンピュータ1aの表示部20にメニュー等を選択するメニュー画面が表示される。表示部20は、液晶モニタ等により構成されている。メニュー画面において、所定の操作が行われると、管理コンピュータ1aは、サーバ1bに対して、作業計画の作成の要求を行う。サーバ1bの計画設定部10は、
図2に示すような作業計画を立てるための設定画面T1を管理コンピュータ1aに表示する。設定画面T1では、圃場又は圃場の作物を空撮する農作業の作業計画を設定する。即ち、設定画面T1では、
図1に示すような無人飛行体(マルチコプター)30で圃場上を飛行して空撮する農作業の作業計画を設定する。説明の便宜上、空撮する農作業のことを「空撮作業」といい説明を進める。
【0014】
設定画面T1は、圃場を表示する圃場表示部50と、日付を表示する日付表示部51と、作業時間を表示する時間表示部52と、作業表示部53とを有している。圃場表示部50は、サーバ1b又は管理コンピュータ1aに予め登録された圃場名が表示される。日付表示部51は、予め設定された日数の日付等が表示される。
時間表示部52は、日付表示部51の日付に対応していて、当該日付表示部51で示された1日の中で、空撮作業を行う時間帯(空撮を開始する開始時間から空撮を終了する終了時間)を表示する。時間表示部52をマウス、キーボード等の入力インターフェースを用いて選択可能であり、当該時間表示部52に表示された時間帯は変更可能である。作業表示部53は、時間表示部52の周りに表示されていて、空撮作業が予定されていることを示す情報(例えば、空撮予定)であることを表示する。なお、この実施形態では、時間表示部52の周りに作業表示部53を表示していたが、設定画面T1に作業表示部53を表示して、空撮予定の作業計画であることを把握できるようにしてもよい。
【0015】
即ち、計画設定部10は、作業計画として、予め定められた時間帯と時間帯に行う空撮作業とを含む計画を設定し、設定された作業計画(圃場、日付、時間帯、空撮予定)等は、サーバ1bに設けられた不揮発性の記憶部11又は管理コンピュータ1aに設けられた不揮発性の記憶部21に記憶される。
図1に示すように、サーバ1bは、気象情報取得部13を備えている。気象情報取得部13は、サーバ1bに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ1bに格納され
たプログラム等から構成されている。気象情報取得部13は、外部のネットワーク(WAN等)を介して、気象庁のサーバ等に接続し、当該気象庁が提供する気象情報を取得する。或いは、気象情報取得部13は、気象情報を提供する気象情報提供会社等のサーバにアクセスすることによって、気象情報を取得したり、その他の情報提供会社が提供する気象情報を取得する。なお、気象情報の取得の方法は限定されない。
【0016】
気象情報取得部13が取得する気象情報は、例えば、所定地域及び時刻(時間)等に対応して、風向、風速、気温、湿度、晴れ、曇り、雨、雷、雪、降雨量、降雪量、降水確率、気圧、気圧配置等である。気象情報取得部13が取得する気象情報は、数分、数十分、数時間、数日後等に予測される情報(天気予報)、現在の時刻(現時点)での情報であってもよい。少なくとも気象情報取得部13は、作業計画で示された空撮作業を行う日付、又は、時間帯の気象情報を取得する。気象情報取得部13が取得した気象情報は、記憶部11に記憶される。
【0017】
図1に示すように、サーバ1bは、遂行評価部14を備えている。遂行評価部14は、サーバ1bに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ1bに格納されたプログラム等から構成されている。
遂行評価部14は、気象情報取得部13が取得した気象情報に基づいて、空撮作業(農作業)の遂行に関する評価(遂行評価)を行う。この実施形態では、遂行評価部14は、計画設定部10で設定した作業計画における空撮作業の遂行に関する評価(遂行評価)を行う。
【0018】
遂行評価部14は、まず、遂行評価を行うに際して、サーバ1bの記憶部11又は管理コンピュータ1aの記憶部21を参照して、評価を行う作業計画の抽出(圃場、日付、時間帯)を実行する。また、遂行評価部14は、抽出した作業計画で示された圃場、日付、時間帯に対応する気象情報をサーバ1bの記憶部11から抽出する。なお、遂行評価部14は、作業計画に対応する気象情報が記憶部11に記憶されていない場合、或いは、記憶部11に記憶された気象情報が過去に発表されたデータである場合等は、気象情報の取得を気象情報取得部13に要求して、気象情報取得部13を介して作業計画に対応する気象情報を取得する。
【0019】
遂行評価部14は、気象情報の取得後、例えば、作業計画の空撮作業で示された時間帯において空撮作業の遂行が適しているか否かを気象情報から判断する。ここで、無人飛行体30における圃場の空撮において、1つの圃場を撮像するに際しては、撮像途中での天気の移り変わると(1つの圃場に対して撮像を開始してから撮像を終了するまでの間に雲等による影が圃場に移ってしまう)、撮像画像に影響するため、リモートセンシングの精度が低下する。そのため、遂行評価部14は、所定の圃場において、空撮作業を行う時間帯に天候の移り変わりに基づいて、遂行に関する評価を行う。
【0020】
遂行評価部14は、例えば、所定の圃場における地域において、当該地域の時間帯に晴れが続くのか否か(空撮作業の開始から終了までの時間帯は晴れが続くか否か)、又は、曇りが続くのか否か(空撮作業の開始から終了までの時間帯は曇りが続くか否か)を、気象情報に含まれる天気予報から判断する。
具体的には、
図3に示すように、遂行評価部14は、空撮作業を行う時間帯において晴れが続く場合、又は、雲が続く場合は、遂行評価は良「○」と判定する。晴れとは、全天のうち雲量が20%未満、雲とは雲量が全天の80%であるが、この数値は限定されない。
【0021】
また、遂行評価部14は、空撮作業の時間帯に千切れ雲が発生する場合、小雨が続く場合は、遂行評価は可「△」と判定する。千切れ雲とは、全天のうち雲量が20%〜80%、小雨は3時間当たりの降水量が0.5mm未満であるが、この数値は限定されない。
また、遂行評価部14は、空撮作業の時間帯に雨が続く場合、遂行評価は不良「×」と判定する。雨とは、3時間当たりの降水量が0.5mm以上であるが、この数値は限定されない。
【0022】
また、遂行評価部14は、空撮作業の時間帯における風速によっても遂行評価を行う。遂行評価部14は、空撮作業の時間帯における風速が10.0m/s以下である場合、遂
行評価を良「○」と判定し、空撮作業の時間帯における風速が10.0m/s超える場合、遂行評価を不良「×」と判定する。なお、上述した風速は一例であって、10.0m/sに限定されない。
【0023】
遂行評価部14は、天気(晴れ、雲り、雨等)から判定した遂行評価と、風速から判定した遂行評価とから、総合的な遂行評価を行う。
図3に示すように、遂行評価部14は、風速による遂行評価が不良「×」と判定した場合、天気による遂行評価が良「○」、可「△」のいずれであっても、総合の遂行評価(総合評価という)は不良「×」と判定する。また、遂行評価部14は、天気による遂行評価が不良「×」と判定した場合、風速による遂行評価が良「○」であっても、総合評価は、不良「×」と判定する。即ち、遂行評価部14は、2つの評価項目(天気、風)のうち、評価の悪い方を総合評価に適用する。
【0024】
なお、上述した実施形態では、遂行評価部14は、作業計画の空撮作業に示された時間帯に対して評価を行っているが、これに加え、作業計画の空撮作業に示された時間帯以外の時間に対して遂行評価を行ってもよい。例えば、4/30の「9時〜12時」が空撮予定であったとしても、それ以外の時間「0時〜8時、13時〜24時」について、遂行評価部14は、気象情報に基づいて遂行評価を行う。この場合、遂行評価部14は、24時間における遂行評価を行う。また、上述した実施形態では、雨(降雨量)に基づいて評価を行っているが、降雪量によって評価を行ってもよい。
【0025】
農業支援システムは、評価表示部を備えている。評価表示部は、サーバ1bに設けられた液晶モニタ等から構成された表示部、管理コンピュータ1aの表示部20から構成されている。評価表示部は、遂行評価部14が行った評価を表示する。例えば、評価表示部20は、設定画面T1と共に遂行評価部14が行った遂行評価を表示する。
具体的には、
図2に示すように、設定画面T1において、評価ボタン54が入力インタフェース等によって選択されると、当該遂行評価部14は設定画面T1の日付表示部51に対応した時間表示部52に表示された時間帯に対して、空撮作業の遂行評価を実行する。そして、評価表示部20は、時間表示部52の上又は下に遂行評価の結果を示す結果表示部55を表示する。結果表示部55には、総合評価が表示される。
【0026】
したがって、評価表示部20によって、空撮作業の作業計画上に、遂行評価が表示されるため、空撮作業の作業計画を立てながら作業計画を構築することができる。
なお、上述した実施形態では、設定画面T1と共に総合評価を表示していたが、設定画面T1とは別の評価画面T2に遂行評価を表示してもよい。例えば、設定画面T1において、圃場表示部50に示された圃場(圃場名)を、入力インタフェース等を用いて選択すると、
図4に示すように評価表示部20は、設定画面T1とは別の評価画面T2を表示する。
【0027】
評価画面T2は、日時表示部61と、天気表示部62と、風速表示部63と、降水表示部64と、降雪表示部65と、結果表示部55とを有している。日時表示部61は、日付及び時間(時刻)を表示する。なお、日時表示部61において表示する時刻は、1時間毎であっても3時間毎であってよく、限定されない。
天気表示部62、風速表示部63、降水表示部64、降雪表示部65は、それぞれ日時表示部61に表示された時刻に対応する天気、風速、降水量、降雪量を表示する。結果表示部55は、天気表示部62、風速表示部63、降水表示部64、降雪表示部65のそれぞれに表示された天気、風速、降水量、降雪量に基づいて、遂行評価部14が評価を行った総合評価を表示する。
【0028】
上述した実施形態では、空撮作業の作業計画が表示された設定画面T1において、評価ボタン54を選択することにより作業計画(空撮作業)の遂行の評価を表示していたが、これに代えて、作業計画を設定していない状況下で、管理コンピュータ1aの表示部20に評価ボタン54を表示して、当該評価ボタン54を選択した場合に空撮作業で遂行できるか否かの評価及び表示を行ってもよい。
【0029】
以上によれば、農業支援システムは、気象情報取得部13と、遂行評価部14と、評価表示部20と、を備えている。これによれば、気象情報取得部13が取得した気象情報を用いて、空撮作業等の評価を遂行評価部14によって評価することができ、管理者や作業
者等は、遂行評価部14によって評価した結果を、マルチコプター30によって行う農作業を実行する前に把握することができる。また、農業支援システムが計画設定部10を有している場合は、気象情報を用いて、予め計画設定部10で設定された作業計画に関する評価を遂行評価部14によって評価することができる。
【0030】
遂行評価部14は、気象情報に含まれる風速、天気の予測に基づいて、作業計画、又は、空撮作業の遂行が適しているか否かの評価を行う。評価表示部20は、作業計画毎、又は、空撮作業毎に遂行が適しているか否かを表示する。したがって、管理者や作業者等は、マルチコプター30によって農作業を行う前に、風速、天気等の予測によってマルチコプター30が飛行して作業計画を遂行できるかを把握することができる。
【0031】
計画設定部10は、予め定められた時間帯と時間帯に行う農作業とを対応させた作業計画を設定し、評価遂行部14は、時間帯毎に農作業の遂行が適しているか否かの評価を行う。管理者や作業者は、作業計画で示された時間帯毎に農作業の遂行が判断できるため、評価結果によって柔軟に農作業を行うことができる。例えば、ある時間帯では作業計画が遂行できない評価が示されたとしても、他の時間帯で作業計画が遂行できる場合には、他の時間帯の作業計画を優先して行うことができる。特に、複数の圃場に対して複数の時間帯に対応する作業計画がある場合には、農作業を行える圃場及び時間帯から優先して作業を行い、フレキシブルに農作業を変更することができる。
【0032】
計画設定部10は、マルチコプター30によって圃場の空撮を行う作業計画を設定し、評価表示部20は、空撮の作業計画に対応させて評価を表示する。作業計画が空撮である場合には、圃場の空撮を判断することができる。
次に、圃場の空撮システムについて説明する。
圃場の空撮システムは、圃場を空撮するシステムであって、例えば、マルチコプター等の無人飛行体によって圃場を空撮する。まず、無人飛行体の1つであるマルチコプターについて説明する。
【0033】
図1に示すように、マルチコプター30は、本体30aと、本体30aに設けられたアーム30bと、アーム30bに設けられた回転翼30cと、本体30aに設けられたスキッド30dとを有している。回転翼30cは、飛行するための揚力を発生させる装置で、回転力を付与するロータとローラの駆動によって回転するブレード(プロペラ)とを含んでいる。マルチコプター30は、図示省略の蓄電池(バッテリ)等を備え、蓄電池の電力によってロータが回転する。
【0034】
圃場の空撮システムは、マルチコプター30に設けられた撮像装置30eを備えている。撮像装置30eは、CCDカメラ、赤外線カメラ等で構成され、本体30aの下部に着脱自在に取り付けられている。したがって、マルチコプター30を圃場上に飛行させながら、撮像装置30eによって圃場を空撮することができる。例えば、圃場の上空約100mの高さから、マルチコプター30の撮像装置30eによって、圃場の断片画像を数十枚〜数百枚撮像する。空撮した複数枚の画像、即ち、撮像装置30eで撮像した複数枚の画像(撮像画像)は、マルチコプター30に設けられた記憶部30gに記憶される。マルチコプター30の記憶部30gに記憶された複数枚の撮像画像は、USBメモリ、SDカード等の電子記憶媒体31に転送され、当該電子記憶媒体31に記憶される。
【0035】
なお、マルチコプター30は、位置検出装置40と、画像処理部41とを有していることが好ましい。位置検出装置40は、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、位置検出装置40は、測位衛星から送信された信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(緯度、経度)を検出する。位置検出装置40は、測位衛星からの信号を受信可能な基地局(基準局)からの補正等の信号に基づいて補正した位置を、自己の位置(緯度、経度)として検出してもよい。
【0036】
画像処理部41は、マルチコプター30に設けられたCPU等の演算部に格納されたプログラム、演算部等を構成する電気・電子部品等で構成されている。画像処理部41は、撮像装置30eで撮像した撮像画像と位置検出装置40で検出されたマルチコプター30の位置(機械位置)とを対応付ける。画像処理部41は、例えば、撮像装置30eにおけ
る撮像動作時の機械位置と撮像画像とを対応付ける。即ち、位置検出装置40は、少なくとも1枚の撮像画像毎に機械位置を対応付ける。撮像画像と機械位置とは画像データとして記憶部30gに記憶される。
【0037】
以上のように、圃場上をマルチコプター30で飛行しながら空撮することによって、圃場又は圃場に作付けされた作物の撮像画像を取得することができる。また、機械位置が対応付けられた撮像画像を取得することができる。
さて、圃場の空撮システムは、空撮した撮像画像に対して評価を行うことが可能なシステムである。
【0038】
図1に示すように、圃場の空撮システムは、撮像評価部18と、表示装置19と、照度検出装置42とを備えている。
照度検出装置42は、照度を検出する装置であって、少なくとも撮像装置30eの撮像時における照度を検出する装置である。例えば、照度検出装置42は、マルチコプター30の本体30a、例えば、本体30aの上部又は側部に設けられている。照度検出装置42は、撮像装置30eの撮像時に本体30aの外部(マルチコプター30の外部)における照度を検出する。例えば、マルチコプター30の記憶部30gには、撮像装置30eの撮像の開始から撮像の終了までの期間(撮像期間)における照度検出装置42によって検出された照度(照度値)が記憶される。
【0039】
そして、撮像の終了後に、電子記憶媒体31をドローン30に設けたデータ出力部43に接続すると、マルチコプター30の記憶部30gに記憶された照度を示すデータ(照度データ)と撮像画像とは、撮像データとして電子記憶媒体31に転送され、当該電子記憶媒体31に記憶される。即ち、撮像を開始してから終了するまでの撮像期間における照度値と撮像画像とが電子記憶媒体31に記憶される。
【0040】
なお、照度データ、撮像画像及びマルチコプター30の位置を撮像データとしいてもよい。また、撮像時において、1枚の撮像画像を撮像する毎に、当該1枚の撮像画像と照度検出装置42で検出した照度とを対応付けて、撮像画像毎に少なくとも1つの照度を対応付けて記憶部30g及び電子記憶媒体31に記憶してもよい。
撮像評価部18は、撮像装置30eの撮像時における照度に基づいて、撮像装置30eにおける撮像の評価を行う。表示装置19は、撮像評価部18が行った評価を表示する。
【0041】
撮像評価部18及び表示装置19は、管理コンピュータ1a、管理コンピュータ1aとは別に空撮サービス会社等に設置された固定型の管理コンピュータ1c、空撮を行う作業者等が所持する管理コンピュータ1d等に設けられている。この実施形態では、撮像評価部18及び表示装置19は、管理コンピュータ1dに設けられている。
管理コンピュータ1dは、携帯可能な端末(携帯端末)であって、例えば、スマートフォン、タブレット、PDA等のである。撮像評価部18は、管理コンピュータ1dに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該管理コンピュータ1dに格納されたプログラム等から構成されている。表示装置19は、管理コンピュータ(携帯端末)1dに設けられた液晶パネル等で構成されたモニタである。
【0042】
圃場の空撮を終了後、管理コンピュータ1dに対して所定の動作を行うと、
図5に示すように、撮像評価部18は、当該コンピュータ1dのモニタ等で構成された表示装置19に評価画面T3を表示する。評価画面T3は、読み込みボタン70と、評価ボタン71と、メッセージ部72、データ表示部73とを有している。読み込みボタン70は、撮像データを読み込むボタンであって、電子記憶媒体31をコンピュータ1dに接続した状態で、当該読み込みボタン70を選択すると、評価画面T3に電子記憶媒体31に格納されている撮像データのファイル名が表示され、一覧表から所定の撮像データのファイル名を選択することによって、撮像データは管理コンピュータ1dに送信される。データ表示部73は、照度、撮像画像等の読み込まれたデータを表示する。管理コンピュータ1dが撮像データの取得後、評価ボタン71を選択すると、撮像評価部18は、取得した撮像データの評価を実行する。
【0043】
撮像評価部18は、撮像データに含まれる照度データ(照度値)と、予め定められた照度閾値とを比較し、照度値が第1閾値以上であるか否かを判定する。第1閾値とは、撮像
画像に対して所定の分析(解析)を適正に実行可能な照度を有する画像であるかを判断する値であって、例えば、作物の生育に用いられる植生指数(DVI、RVI、NDVI、GNDVI、SAVI、TSAVI、CAI、MTCI、REP、PRI、RSIなど)による解析を行った場合に、解析値によって生育が適正に判断できるかを基準として決められた照度である。なお、第1閾値は、上述した植生指数に限定されず、解析手法によって要求される照度が第1閾値として設定される。
【0044】
撮像評価部18は、撮像開始から撮像終了までの撮像期間において、全ての照度値が第1閾値以上である場合、撮像画像は良好であると評価を行う。そして、撮像評価部18は、評価が良好である(撮像画像が良好に撮影されている)ことを示す情報として、メッセージ部72に、例えば、「品質OK」を表示させる。
一方、撮像評価部18は、撮像期間において、照度値が第1閾値未満であるものが存在した場合、撮像画像は不良であると評価を行う。そして、撮像評価部18は、評価が不良である(撮像画像が良好に撮影することができなかった)ことを示す情報として、メッセージ部72に、例えば、「品質NG」を表示させる。
【0045】
以上のように、圃場の空撮システムは、撮像装置30eと、照度検出装置42と、撮像評価部18とを備えている。これによれば、空撮作業後に撮像装置30eによって撮像した画像の評価を、空撮作業時に検出した照度検出装置42の照度を用いて撮像評価部18によって直ぐに行うことができる。即ち、空撮作業において撮像開始から撮像終了までの撮像期間における照度値が第1閾値以上で高い場合は、撮像画像は解析に適した画像であることを把握することができる。
【0046】
圃場の空撮システムは、撮像評価部18による評価を表示する表示装置19を備えている。空撮作業後に表示装置19に表示された評価を見ることによって、空撮作業のやり直しが必要か否かを即座に把握することができる。
また、撮像時におけるマルチコプター30の傾きによって撮像画像の評価を行ってもよい。
図1に示すように、圃場の空撮システムは、傾き検出装置44を備えている。傾き検出装置44は、マルチコプター30の傾きを検出する装置である。傾き検出装置44は、ジャイロセンサや加速度センサ等の慣性計測装置であって、本体30aに設けられている。傾き検出装置44は、少なくとも撮像装置30eにおける撮像が開始されると、マルチコプター30の本体30aの傾き等を検出する。傾き検出装置44は、撮像装置30eにおける撮像が終了すると、マルチコプター30の本体30aの傾き等の検出を終了する。記憶部30gは、撮像期間における傾き検出装置44によって検出された傾き(ジャイロセンサの検出値、加速度センサの検出値)が撮像データとして記憶される。
【0047】
撮像評価部18は、傾き検出装置44で検出された傾き(傾き値という)及び照度に基づいて、撮像装置30eにおける撮像の評価を行う。具体的には、撮像評価部18は、撮像期間における撮像データにおいて、傾き検出装置44で検出された傾き値が閾値以下(第2閾値以下)であるか否かを判定する。第2閾値とは、撮像装置30eによって圃場を直上から撮像した状態に対してどの程度、撮像装置30eが傾いているかを判断する。例えば、理想状態における圃場の水平面と撮像装置30eの光軸とのなす角が90度(90deg)であれば、撮像装置30eが圃場を直上から撮像した状態であり、撮像は理想的に行われている。一方、例えば、圃場の水平面と撮像装置30eの光軸とのなす角が45度(45deg)であれば、撮像装置30eが圃場を斜めから撮像した状態である。このようなことから、第2閾値は、圃場の水平面に対する撮像装置30eの光軸の角度等の関係から設定されており、当該第2閾値は、撮像画像から圃場の状態を解析(分析)であるかに基づいて設定される。第2閾値は、例えば、植生指数等による解析を行った場合に、解析値によって生育が適正に判断できるかを基準として決められた傾きである。第2閾値は、上述した植生指数に限定されず、解析手法によって要求される傾きが第2閾値として設定される。
【0048】
撮像評価部18は、撮像期間において、全ての傾き値が第2閾値以下である場合、撮像画像は良好であると評価を行う。撮像評価部18による傾き値を用いた評価は、上述した照度を同様に表示装置19(評価画面T3)のメッセージ部72に表示される。
なお、マルチコプター30は、圃場の上空で旋回と直進とを繰り返しながら、撮像を行う場合がある。このような場合は、撮像評価部18は、マルチコプター30を操作する外部コントローラから当該マルチコプター30に入力された操作信号及び/又は傾き値から旋回であるか否かを判断し、旋回中の傾き値以外の傾き値(直進の傾き値)を用いて、撮像画像が良好であるか否かを判断してもよい。
【0049】
また、撮像画像と位置検出装置40で検出した機械位置とが対応付けられているか否かで評価を行ってもよい。撮像評価部18は、画像処理部41において撮像画像と機械位置との対応付けが行われているか否かに基づいて評価を行う。具体的には、撮像評価部18は、少なくとも撮像期間における撮像データにおいて、少なくとも撮像画像毎に、機械位置が対応付けられているか否かを判定する。例えば、撮像評価部18は、撮像期間において、全ての撮像画像に機械位置が対応付けられている場合、撮像画像は良好であると評価を行う。撮像評価部18による機械位置を用いた評価は、上述した照度値及び傾き値と同様に表示装置19(評価画面T3)のメッセージ部72に表示される。
【0050】
図6は、撮像評価部18における撮像画像の評価の手順をまとめたフローである。
図6に示すように、管理コンピュータ1dに撮像データを読み込んだ後、所定の操作が行われると、撮像評価部18による評価が実行される(S1)。撮像評価部18は、撮像データに含まれる照度値が第1閾値以上であるか否かを判定する(S2)。照度値が第1閾値以上でない場合(S2、No)、撮像評価部18は、撮像画像は不良であると評価する(S5)。
【0051】
一方、照度値が第1閾値以上である場合(S2、Yes)、撮像評価部18は、撮像データに含まれる傾き値が第2閾値以下であるか否かを判定する(S3)。傾き値が第2閾値以下でない場合(S3、No)、撮像評価部18は、撮像画像は不良であると評価する(S5)。
また、撮像データに含まれる傾き値が第2閾値以下である場合(S3、Yes)、撮像評価部18は、撮像データに含まれる機械位置と撮像画像とが対応付けられているか否かを判断する(S4)。機械位置と撮像画像とが対応付けられていない場合(S4、No)、撮像評価部18は、撮像画像は不良であると評価する(S5)。また、機械位置と撮像画像とが対応付けられている場合(S4、Yes)、撮像評価部18は、撮像画像は良好であると評価する(S6)。
【0052】
以上によれば、撮像時における照度値が第1閾値以上、傾きが第2閾値以下、全ての撮像画像に対して機械位置が対応付けられている場合、撮像画像は良好であると評価することができる。
上述した実施形態では、撮像画像の評価は、照度値、傾き及び機械位置を用いて行っているが、少なくとも照度値による評価を行えばよく傾き及び機械位置による評価は行わなくてもよい。言い換えれば、撮像画像の評価は、照度値、傾き及び機械位置の全てについて行っても良いし、照度値のみ、或いは、照度値及び傾き、照度値及び機械位置で行ってもよい。
【0053】
さて、圃場の空撮システムは、生育マップ作成部45を備えている。生育マップ作成部45は、管理コンピュータ1a、固定型の管理コンピュータ1c、管理コンピュータ1d等に設けられている。この実施形態では、生育マップ作成部45は、管理コンピュータ1dに設けられているとして説明を進める。
具体的には、生育マップ作成部45は、管理コンピュータ1dに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該管理コンピュータ1dに格納されたプログラム等から構成されている。
【0054】
生育マップ作成部45は、撮像装置30eによって撮像した撮像画像に基づいて、作物の生育マップを作成する。具体的には、生育マップ作成部45は、撮像画像を解析することで植生指数等を求め、
図7に示すように、植生指数の分布を撮像画像で示された圃場マップ上に示すことで生育マップM1を作成する。なお、
図7では植生指標の値に対応して、グループ(ランク)等を示す数値(1〜5)を割り当てている。なお、生育マップ作成部45の作成は、上述した例に限定されない。
【0055】
空撮作業の終了後に、表示装置19は、
図7に示すような生育マップM1を表示する。したがって、圃場の空撮システムでは、空撮作業後に撮像画像から生育マップを作成することから、空撮作業直後に圃場における作物の生育の状態を確認することができる。
図1に示すように、圃場の空撮システムは、散布設定部46を備えていてもよい。散布設定部46は、管理コンピュータ1a、固定型の管理コンピュータ1c、管理コンピュータ1d等に設けられている。この実施形態では、散布設定部46は、管理コンピュータ1dに設けられているとして説明を進める。
【0056】
具体的には、散布設定部46は、管理コンピュータ1dに設けられた電気・電子部品、電気回路、当該管理コンピュータ1dに格納されたプログラム等から構成されている。
散布設定部46は、撮像画像に基づいて圃場に散布する散布物の散布量を設定する。散布物とは、肥料、薬剤等である。具体的には、散布設定部46は、生育マップ作成部45に作成された生育マップ等を用いて、肥料の散布量(施肥量)を設定する。
【0057】
管理コンピュータ1dに対して所定の操作が行われると、
図8に示すように、当該管理コンピュータ1dの表示装置19は、施肥を設定する設定画面T4を表示する。
設定画面T4は、生育マップM1を表示する第1マップ表示部80と、散布量を設定する設定部81と、散布量(施肥量)を示す散布量マップ(施肥マップ)M2を表示する第2マップ表示部81とを有している。設定部81には、生育マップM1において示された植生指標のグループ(グループ1〜グループ5)が表示され、入力部81aにグループ1〜グループ5に対応して散布量を入力可能である。入力部81aに散布量が入力されると、第2マップ表示部81には、入力部81aに入力された散布量に対応するグループ(グループ1〜グループ5)が表示される。
【0058】
したがって、圃場の空撮システムでは、空撮作業後に撮像画像から圃場に散布する散布物の散布量を設定することができる。特に、生育マップM1から施肥マップM2を作成することができるため、空撮作業の終了後に、生育マップM1及び施肥マップM2を見ながら次の農作業である施肥について検討することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。