(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びポリオキシエチレンステロールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、O/D型乳化組成物を用いた製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、O/D型乳化組成物を口腔内へ適用した場合、予想外にも好ましい使用感が得られることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
炭化水素油、多価アルコール、及び界面活性剤を含有する、O/D型乳化口腔用組成物。
項2.
水の含有量が0.5質量%以下である、項1に記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項3.
実質的に水を含まない、項1又は2に記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項4.
調製後25℃1週間静置により相分離しない、項1〜3のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項5.
多価アルコールが、2価のアルコール及び3価のアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の多価アルコールである、項1〜4のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項6.
炭化水素油が、スクワラン及びパラフィンからなる群より選択される少なくとも1種の炭化水素油である、項1〜5のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項7.
界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びポリオキシエチレンステロールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜6のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項8.
口腔用組成物用担体である、炭化水素油、多価アルコール、及び界面活性剤を含有する、O/D型乳化組成物。
項9.
水の含有量が0.5質量%以下である、項8に記載のO/D型乳化組成物。
項10.
実質的に水を含まない、項8又は9に記載のO/D型乳化組成物。
項11.
調製後25℃1週間静置により相分離しない、項8〜10のいずれかに記載のO/D型乳化組成物。
項12.
多価アルコールが、2価のアルコール及び3価のアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の多価アルコールである、項8〜11のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項13.
炭化水素油が、スクワラン及びパラフィンからなる群より選択される少なくとも1種の炭化水素油である、項8〜12のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
項14.
界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ、及びポリオキシエチレンステロール油からなる群より選択される少なくとも1種である、項8〜13のいずれかに記載のO/D型乳化口腔用組成物。
【発明の効果】
【0008】
O/D型乳化組成物を用いた製品(口腔用組成物)が提供される。当該O/D型乳化口腔用組成物を用いることにより、予想外にも優れた使用感を得ることができる。特に、口腔用組成物が多価アルコールを含む場合であっても、多価アルコール特有の灼熱感が抑制されている。また、O/D型乳化組成物特有の感触を口腔内で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0010】
本発明に包含される口腔用組成物は、O/D型乳化組成物を含んでなる。言い換えれば、本発明に包含される口腔用組成物は、O/D型乳化口腔用組成物である。
【0011】
当該O/D型乳化口腔用組成物には、炭化水素油、多価アルコール、及び界面活性剤が含有される。炭化水素油はO相に、多価アルコール及び界面活性剤はD相に、それぞれ含有される。
【0012】
一方で、当該O/D型乳化口腔用組成物は、実質的に水を含まないことが好ましい。実質的に水を含まないとは、調製に水を原料として用いないということである。ただし、原料(例えば多価アルコール及び炭化水素油)には、極少量ながら水を含むものが存在するため、得られるO/D型乳化口腔用組成物に当該原料由来の水が極少量含まれる場合がある。この原料由来の極少量の水が含まれるO/D型乳化口腔用組成物は、「実質的に水を含まないO/D型乳化口腔用組成物」に包含される。
【0013】
より具体的には、原料由来の水がO/D型乳化口腔用組成物に含まれる場合、その含有量は0質量%より多く0.5質量%以下程度であり、より好ましくは0質量%より多く0.4質量%以下程度である。
【0014】
炭化水素油としては、スクワラン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、セレシン、リモネン、テレビン油等が例示でき、特に口腔用組成物に用いられる公知の炭化水素油が好ましく、中でもスクワラン及びパラフィンが好ましい。スクワランとしては動物性スクワラン及び植物性スクワランのどちらも用いることができ、例えばサメスクワラン、オリーブスクワラン等を好ましく用いることができる。また、パラフィンとしては、流動パラフィンが好ましい。炭化水素油は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
多価アルコールとしては、2価又は3価のアルコールが好ましく例示される。2価のアルコール及び3価のアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の多価アルコールを好ましく用いることができる。2価のアルコール及び3価のアルコールとしては、特に制限はされないが、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等が好ましく挙げられる。プロパンジオールとしては、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)及び1,3−プロパンジオールのいずれも好ましく用いることができる。中でも、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが好ましく、特にプロピレングリコール、グリセリンが好ましい。多価アルコールは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はされないが、より具体的には、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール等が好ましく挙げられる。なお、界面活性剤(特にノニオン性界面活性剤)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の飽和又は不飽和脂肪酸とポリグリセリンのエステル化合物が好ましい。
【0018】
当該脂肪酸の炭素数は、より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合は炭素間二重結合数が1、2、3、又は4であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。当該脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が好ましく例示され、中でもカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましい。また、これらの脂肪酸を含む、ヤシ油脂肪酸及びパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸を用いてもよい。
【0019】
また、当該ポリグリセリンは、平均4〜12(4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)のグリセリン単位(−OCH
2CH(OH)CH
2−)を含むことが好ましく、平均5〜10のグリセリン単位を含むことがより好ましい。
【0020】
好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルとして、より具体的には、例えば、カプリン酸ポリグリセリル−n
1、ラウリン酸ポリグリセリル−n
1、ミリスチン酸ポリグリセリル−n
1、ステアリン酸ポリグリセリル−n
1、オレイン酸ポリグリセリル−n
1、(ここでのn
1はグリセリン単位数を表しており、前記の通り4〜12であることが好ましく、特に5又は10が好ましい)等が挙げられる。
【0021】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の飽和又は不飽和脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル化合物が好ましい。
【0022】
当該脂肪酸の炭素数は、より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合は炭素間二重結合数が1、2、3、又は4であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。当該脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が好ましく例示され、中でもカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましい。また、これらの脂肪酸を含む、ヤシ油脂肪酸及びパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸を用いてもよい。
【0023】
また、当該ポリエチレングリコールは、エチレンオキシドユニット(EO)の平均付加モル数が4〜20(4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)であることが好ましく、5〜15であることがより好ましい。
【0024】
好ましいポリエチレングリコール脂肪酸エステルとして、より具体的には、例えば、ステアリン酸PEG−n
2、ラウリン酸PEG−n
2(ここでのn
2はEO平均付加モル数を表しており、前記の通り4〜20であることが好ましく、5〜15であることがより好ましい)等が挙げられる。
【0025】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の飽和又は不飽和脂肪酸と、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテルとの、エステル化合物が好ましい。
【0026】
当該脂肪酸の炭素数は、より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合は炭素間二重結合数が1、2、3、又は4であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。当該脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が好ましく例示され、中でもカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましい。また、これらの脂肪酸を含む、ヤシ油脂肪酸及びパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸を用いてもよい。
【0027】
また、当該ポリオキシエチレンは、エチレンオキシドユニット(EO)の平均付加モル数が20〜80程度であることが好ましく、25〜70程度であることがより好ましく、30〜60程度であることがさらに好ましい。
【0028】
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、前記脂肪酸と、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテルとの、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、又はシクロエステル化合物が好ましく、トリ又はテトラエステル化合物がより好ましい。
【0029】
好ましいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、より具体的には、例えば、テトラオレイン酸ソルベス−n
3(ここでのn
3はEO平均付加モル数を表しており、前記の通り20〜80程度であることが好ましく、25〜70程度であることがより好ましく、30〜60程度であることがさらに好ましい)等が挙げられる。
【0030】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、脂肪酸グリセリル(脂肪酸とグリセリンのモノエステル)のポリエチレングリコールエーテルであり、例えば、炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の飽和又は不飽和脂肪酸とグリセリンのモノエステルに、ポリエチレングリコールが結合(エーテル結合)したものが好ましい。
【0031】
当該脂肪酸の炭素数は、より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合は炭素間二重結合数が1、2、3、又は4であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。当該脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が好ましく例示され、中でもカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましい。また、これらの脂肪酸を含む、ヤシ油脂肪酸及びパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸を用いてもよい。
【0032】
また、当該ポリオキシエチレンは、エチレンオキシドユニット(EO)の平均付加モル数が3〜200程度であることが好ましく、5〜50程度であることがより好ましく、5〜30程度であることがさらに好ましい。
【0033】
また、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、脂肪酸グリセリルの有する2つのヒドロキシル基のうち1つだけがポリエチレングリコールとエーテル結合したものが好ましい。
【0034】
好ましいポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、より具体的には、例えば、ステアリン酸PEG−n
4グリセリル(ここでのn
4はEO平均付加モル数を表しており、前記の通り3〜200程度であることが好ましく、5〜50程度であることがより好ましく、5〜30程度であることがさらに好ましい)等が挙げられる。
【0035】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)であることが好ましい。より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であり得、直鎖状であることがより好ましい。
【0036】
また、エチレンオキシドユニット(EO)の平均付加モル数が2〜100程度であることが好ましく、2〜50程度であることがより好ましく、2〜40程度であることがさらに好ましい。
【0037】
好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、より具体的には、例えば、POE(n
5)ラウリルエーテル、POE(n
5)セチルエーテル、POE(n
5)ステアリルエーテル、POE(n
5)ベヘニルエーテル、POE(n
5)オレイルエーテル(ここでのn
5はEO平均付加モル数を表しており、前記の通り2〜100程度であることが好ましく、2〜50程度であることがより好ましく、2〜40程度であることがさらに好ましい)等が挙げられる。また、これらの少なくとも2種以上のミックスを用いることもできる。
【0038】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜24(8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)であることが好ましい。より好ましくは8〜22であり、さらに好ましくは10〜20であり、よりさらに好ましくは12〜18である。また、当該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。
【0039】
また、エチレンオキシドユニット(EO)の平均付加モル数が2〜100程度であることが好ましく、2〜50程度であることがより好ましく、2〜40程度であることがさらに好ましい。また、プロピレンオキシドユニット(PO)は平均付加モル数が2〜12程度であることが好ましく、2〜10程度であることがより好ましく、4〜8程度であることがさらに好ましい。
【0040】
好ましいポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとして、より具体的には、例えば、PPG−yセテス−x、PPG−yデシルテトラデセス−x(ここでのxはEO平均付加モル数を表しており、前記の通り2〜100程度であることが好ましく、2〜50程度であることがより好ましく、2〜40程度であることがさらに好ましい。また、ここでのyはPO平均付加モル数を表しており、前記の通り、2〜12程度であることが好ましく、2〜10程度であることがより好ましく、4〜8程度であることがさらに好ましい。)等が上げられる。
【0041】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、POE(n
6)硬化ヒマシ油(ここでn
6はEO平均付加モル数を表しており、10〜150程度が好ましく、15〜130程度がさらに好ましく、20〜120程度がさらに好ましい)が好ましく例示できる。なお、これはPEG−n
6水添ヒマシ油と記載することもできる。
【0042】
ポリオキシエチレンステロールとしては、PEG−n
7フィトステロール(ここでn
7はEO平均付加モル数を表しており、5〜100程度が好ましく、5〜50程度がさらに好ましく、10〜40程度がさらに好ましい)が好ましく例示できる。
【0043】
また、界面活性剤(特にノニオン性界面活性剤)としては、HLB(Hydrophilic−Lipophilic Balance)が比較的大きなものが好ましく、例えば11以上が好ましく、12以上がより好ましく、13以上がさらに好ましく、14以上がよりさらに好ましく、15以上が特に好ましい。HLBの上限は特に限定はされないが、例えば20以下が例示できる。
【0044】
O/D型乳化口腔用組成物における、炭化水素油及び界面活性剤の含有割合は、例えば、界面活性剤1質量部に対して、炭化水素油は5〜70質量部程度が好ましく、6〜25質量部程度がより好ましく、7〜20質量部程度がさらに好ましい。また例えば、界面活性剤1質量部に対して、
また、O/D型乳化口腔用組成物における、多価アルコール及び界面活性剤の含有割合は、例えば、界面活性剤1質量部に対して、多価アルコールは1〜40質量部程度が好ましく、2〜20程度がより好ましく、3〜15程度がさらに好ましい。
【0045】
また、O/D型乳化口腔用組成物における、炭化水素油及び多価アルコールの含有割合は、例えば、多価アルコール1質量部に対して、炭化水素油は0.5〜5質量部程度が好ましく、0.7〜4程度がより好ましく、1〜2程度がさらに好ましい。
【0046】
なお、これらO/D型乳化口腔用組成物における、炭化水素油及び界面活性剤の含有割合、多価アルコール及び界面活性剤の含有割合、並びに炭化水素油及び多価アルコールの含有割合は、O/D型乳化組成物が調製されるのであれば特に制限されるわけではないが、いずれか1つを満たすことが好ましく、いずれか2つを満たすことがより好ましく、3つ全てを満たすことがさらに好ましい。
【0047】
これらO/D型乳化口腔用組成物における、炭化水素油、多価アルコール、及び界面活性剤の含有量は、O/D型乳化組成物が調製されれば特に制限されるわけではないが、炭化水素油は、40〜80質量%程度が好ましく、45〜75質量%程度がより好ましく、50〜75質量%程度がさらに好ましい。また、多価アルコールは、1〜55質量%程度が好ましく、5〜45質量%程度がより好ましく、10〜40質量%程度がさらに好ましい。また、界面活性剤は、1〜10質量%程度が好ましく、2〜8質量%程度がより好ましく、3〜7質量%程度がさらに好ましい。
【0048】
O/D型乳化口腔用組成物はできるだけ安定なものが好ましい。例えば調製後室温(25℃)で1週間静置したときに、相分離を起こさないものが好ましい。
【0049】
O/D型乳化口腔用組成物の調製方法としては、例えば、多価アルコールと界面活性剤とをまず撹拌し混合した後、撹拌を続けながら、当該混合物に炭化水素油を徐々に加えて混合する方法が挙げられる。混合は公知の攪拌機(例えばディスパーミキサー等)により行うことができる。一度に大量に炭化水素油を加えると均一に混ざらないか、あるいは粘性を帯びない(相分離が起こる、あるいは液状のままである、といった状態になる)場合があるため、少しずつ加えることが好ましい。
【0050】
本発明に係る口腔用組成物は、特に限定するものではないが、常法に従って例えば練歯磨剤、液体歯磨剤、洗口剤(マウスウォッシュ)、ジェル剤、軟膏状製剤、パスタ剤、ガム剤等の通常の剤形にすることができる。
【0051】
本発明の効果を損なわない範囲において、O/D型乳化口腔用組成物には、口腔用組成物に含有させることができる公知の成分を含ませてもよい。ただし、このような成分を含ませることにより、O/D型乳化口腔用組成物が調製でき無くなる場合には、好ましくない。このような成分を加えたO/D型乳化口腔用組成物は、例えば、多価アルコールと界面活性剤とをまず撹拌し混合する際、一緒に当該成分を加えて混合する方法により調製することができる。
【0052】
このような公知の成分としては、例えば、研磨剤、湿潤剤、香料、活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、安定化剤、矯味剤、収れん剤、増粘剤、他の薬効剤等が挙げられる。なお、このような公知の成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂等を用いることができる。
【0054】
上記多価アルコールは湿潤剤としても作用し得るが、その他にも、湿潤剤として、例えば、エタノール等が挙げられる。
【0055】
香料としては、例えば、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、シオネール、チモール、丁字油、ユーカリ油、ローズマリー油、セージ油、レモン油、オレンジ油、オシメン油、シトロネロール、メチルオイゲノール等が挙げられる。
【0056】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、α−メトキシシンナミックアルデヒド、キシリット、スクラロース、パラチノース、ステビアフィン等が挙げられる。
【0057】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
【0058】
着色剤としては、例えば、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等が挙げられる。
【0059】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0060】
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0061】
矯味剤としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0062】
収れん剤としては、例えば、重曹、乳酸アルミニウム等が挙げられる。
【0063】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム、ローカストビンガム、カラギーナン、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、増粘性シリカ、アルミニウムシリカゲル、ビーガム等の無機粘結剤、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、寒天、ゼラチン、大豆多糖類、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0064】
他の薬効剤としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ素化合物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素;トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロリン酸、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;酢酸−dl−α−トコフェロール、酢酸ピリドキシン、アスコルビン酸またはその塩等のビタミン類;アロエ、イチョウ葉、アガリクス、ウーロン茶、カミツレ、カリン、ギムネマ、クマザサ、甜茶、杜仲茶、ドクダミ、ハトムギ、メグスリノキ、ヨモギ、緑茶、ルイボス、レモンバーム、ローズマリー、クラブミン、ラカンカ、シソ、クランベリー、ノコギリソウ、エルダー、リコリス、ハッカ、ユーカリ、ガラナ、カンゾウ、ボダイジュ、ホップ、カカオ、クワ葉、タイム、オウゴン等の植物抽出物等が挙げられる。
【0065】
なお、これら公知の成分の配合量は、本発明の効果を妨げない(特にO/D型組成物の調製を妨げない)範囲で、通常の口腔用組成物に配合されている程度の量を参考に適宜調整することができる。
【0066】
また本発明は、口腔用組成物用担体である、炭化水素油、多価アルコール、及び界面活性剤を含有する、O/D型乳化組成物も包含する。当該O/D型乳化組成物は、用途が口腔用組成物用担体であるという点を除けば、その構成は基本的に上記O/D型乳化口腔用組成物に用いられるO/D型乳化組成物と同様である。
【0067】
当該口腔用組成物用担体に更に口腔用組成物に許容される成分(例えば上記公知の成分)を加えることにより、好適なO/D型乳化口腔用組成物を製造することができる。
【0068】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0069】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は「質量%」を示す。
【0070】
O/D型乳化組成物の調製1
表1に示す成分を用いて、多価アルコール35%、界面活性剤5%、及び炭化水素油60%となるよう各成分を混合して、各実施例のO/D型乳化組成物を調製した。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルは太陽化学株式会社製品(サンソフトシリーズ)を入手して使用した。また、いずれの例においても多価アルコールとしてグリセリンを使用した。
【0071】
混合は、より詳細には次のようにして行った。容器(ビーカー)に多価アルコールと界面活性剤を加えてディスパーミキサーにより撹拌してこれらを混合した。撹拌を続けながら、さらに炭化水素油を少量づつ加えた。また、炭化水素油添加時には、必要に応じて混合物の加温を行った。
【0072】
なお、調製後、得られた組成物を目視観察して、いずれも相分離が起こらないことを確認した。これにより、O/D型乳化組成物が調製されていることがわかった。また、これらの組成物を口に含んだところ、グリセリン由来の灼熱感は特に感じられず、使用感に問題はなかった。
【0073】
【表1】
【0074】
O/D型乳化組成物の調製2
界面活性剤として、HLBが10.9のラウリン酸ポリグリセリル−5、又はHLBが15.7のラウリン酸ポリグリセリル−10を用いた以外は、上記と同様にしてO/D型乳化組成物を調製した(それぞれ、実施例α及び実施例β)。HLBが15.7のラウリン酸ポリグリセリル−10を用いた場合(実施例β)には、実施例1〜8の組成物と同様に、二相分離は観察されなかったが、HLBが10.9のラウリン酸ポリグリセリル−5を用いた場合(実施例α)には二相分離が観察された。このため、用いる界面活性剤のHLBが比較的高め(例えば11以上)である方が、得られる組成物の安定性がよいことが示唆された。
【0075】
O/D型乳化組成物の調製3
実施例6において、グリセリンの代わりにソルビット液(ソルビトール70%水溶液)を用いてO/D型乳化組成物を調製した(参考例1:組成物中に6%の水を含む)。当該組成物において二相分離は起こらなかった。
【0076】
O/D型乳化組成物の調製4
表2に示す組成を用いて、上記と同様にして実施例A〜EのO/D型乳化組成物を調製した。表中の数値は各成分の含有量(質量%)を示す。なお、PEG−60水添ヒマシ油はHLB14.0のものを用いた。得られた組成物について、歯ブラシへの適用可否、及び調製1週間後の安定性(目視により相分離が確認できるか)を検討した。結果を表2に併せて示す。なお、歯ブラシへの適用可否の評価基準は次の通りである。
○:薬剤が歯ブラシから垂れることがなく、保形性がある
△:薬剤が歯ブラシから垂れる可能性が高く、保形性があまりない
×:薬剤が歯ブラシから垂れ落ちるため、不適当
【0077】
また、安定性の検討では、調製後1週間室温(25℃)で静置した際、相分離を起こさないかを目視で確認した。
【0078】
【表2】