特許第6903511号(P6903511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903511
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド、液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
   B41J2/01 401
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-145644(P2017-145644)
(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公開番号】特開2019-25716(P2019-25716A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】川本 俊司
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−235528(JP,A)
【文献】 特開平05−006284(JP,A)
【文献】 特開2011−255670(JP,A)
【文献】 特開2016−150567(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0368265(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103885734(CN,A)
【文献】 特開平10−024585(JP,A)
【文献】 特開2006−260427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信する受信部と、
受信した前記印刷データが正常であるか否かを判別する判別部と、
前記印刷データが正常である場合に前記印刷データを保持し、前記印刷データが正常ではない場合に前記印刷データを保持せず、保持している前記印刷データを印刷させる制御部と、
を備え
前記判別部は、
出力を指示する指示信号と前記指示信号との間に送信された複数の前記印刷データそれぞれに対してエラーチェックを行い、
前記制御部は、
複数の前記印刷データのうち1つでも正常である場合に正常な前記印刷データを保持し、全ての前記印刷データが正常ではない場合に前記印刷データを保持しない、液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記制御部は、
出力を指示する指示信号と前記指示信号との間に複数の前記印刷データを受信した場合、受信した複数の正常な前記印刷データのうち、最も先に受信した正常な前記印刷データを保持する、請求項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記印刷データは、誤り検出符号が付加されている、請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記判別部は、
前記印刷データが正常ではない状態の回数をカウントして記憶部に記憶させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
複数の前記制御部により構成され、前記複数の制御部のうち初段の制御部が判別部を備え、
前記初段の制御部が備える判別部が、前記印刷データが正常であるか否かの判別を行い、判別した結果を他の前記制御部に出力する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドに前記印刷データを送信するコントローラと、
を備える液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、記録信号に応じて記録ヘッドの複数のノズルからインクを吐出することによって記録媒体に情報を印刷する。このような記録装置は、例えば、コントローラと、ヘッドドライバと、複数のノズルを含む記録ヘッドを有している。また、このような記録装置では、コントローラが、記録信号をシリアルデータまたはパラレルデータとして、ヘッドドライバへ送信する。記録ヘッドの数が増加した場合は、記録信号を伝送する伝送線路の配線数やコネクタ数が増加する。このように、伝送線路が増加したり長くなると、記録信号の電気的信頼性が低下する場合がある。記録信号の電気的信頼性が低下した場合は、記録信号の転送にエラーが生じ、所望の位置に所望の印刷ができない場合がある。
【0003】
このため、特許文献1に記載の技術では、ヘッドドライバ側で記録信号の転送エラーをリアルタイムに検出し、検出した結果をコントローラへ送信し、コントローラが検出された結果によって印刷制御を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−255670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、コントローラとヘッドドライバ側を接続するケーブルが長くなると、外来ノイズ、波形の劣化などにより、送信データの誤りが発生して、印刷の白抜け等の印刷品質低下が発生することがあった。また、特許文献1に記載の技術では、受信した印刷データに対する応答信号をコントローラ側へ送信する必要があった。このように、応答信号をコントローラ側へ送信するためには、液体噴射ヘッド側とコントローラとの接続に、応答信号やリトライ信号用の上りの高速な信号線が必要であった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、印刷データにエラーが発生した場合であっても、印刷品質を向上させることができる液体噴射ヘッド、液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る液体噴射ヘッドは、印刷データを受信する受信部と、受信した前記印刷データが正常であるか否かを判別する判別部と、前記印刷データが正常である場合に前記印刷データを保持し、前記印刷データが正常ではない場合に前記印刷データを保持せず、保持している前記印刷データを印刷させる制御部と、を備え、前記判別部は、出力を指示する指示信号と前記指示信号との間に送信された複数の前記印刷データそれぞれに対してエラーチェックを行い、前記制御部は、複数の前記印刷データのうち1つでも正常である場合に正常な前記印刷データを保持し、全ての前記印刷データが正常ではない場合に前記印刷データを保持しない
【0008】
この構成によれば、液体噴射ヘッド側で印刷データが正常であるか否かの判別を行い、印刷データが正常ではない場合に、保持されている正常な印刷データを印刷するので、印刷品質を向上させることができる。また、この構成によれば、液体噴射ヘッド側は、自装置で印刷データが正常であるか否かの判別と正常ではない場合の対応処理を行い、受信した印刷データに対する応答信号を、印刷データを送信したコントローラ側に送信しないで済む。これにより、液体噴射ヘッド側とコントローラとの接続に、応答信号やリトライ信号用の上りの高速な信号線が不要となる。
【0010】
この構成によれば、指示信号と指示信号との間に送信された複数の印刷データのうち1つでも正常であればその印刷データを印刷し、全てが異常であれば保持されている印刷データを印刷するので、印刷品質を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る液体噴射ヘッドにおいて、前記制御部は、出力を指示する指示信号と前記指示信号との間に複数の前記印刷データを受信した場合、受信した複数の正常な前記印刷データのうち、最も先に受信した正常な前記印刷データを保持するようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、指示信号と指示信号との間に複数の正常な印刷データを受信できた場合であっても、最初に受信できた正常な印刷データを印刷することで、保持する印刷データの書き換えを減らすことができる。これにより、この構成によれば、液体噴射ヘッド側の処理を減らすことができるので、消費電力を低減することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る液体噴射ヘッドにおいて、前記印刷データは、誤り検出符号が付加されているようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、印刷データに例えばCRC等の誤り検出符号が付加されているので、付加されている誤り検出符号をチェックすることで、パリティや単純な加算によるチェックサムに比べエラーの検出精度を向上することができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る液体噴射ヘッドにおいて、前記判別部は、前記印刷データが正常ではない状態の回数をカウントして記憶部に記憶させるようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、コントローラ側は、液体噴射ヘッドに記憶されているエラー数を読み出すことで、エラー数が多い場合に、所定の期間に送信する印刷データの個数を増やす等のエラー処理を行うことができる。また、この構成によれば、コントローラは、エラー数が所定の閾値以上の場合に、液体噴射ヘッドに対して動作を停止させることもできる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る液体噴射ヘッドにおいて、複数の前記制御部により構成され、前記複数の制御部のうち初段の制御部が判別部を備え、前記初段の制御部が備える判別部が、前記印刷データが正常であるか否かの判別を行い、判別した結果を他の前記制御部に出力するようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、複数の制御部全てが、それぞれ印刷データが正常であるか否かの判別を行う必要が無く、簡易な構成で印刷品質を向上させることができる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る液体噴射装置は、上記のいずれかに記載の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに前記印刷データを送信するコントローラと、を備える。
【0020】
この構成によれば、液体噴射ヘッド側で印刷データが正常であるか否かの判別を行い、印刷データが正常ではない場合に、保持されている正常な印刷データを用いて印刷するので、印刷品質を向上させることができる。また、この構成によれば、液体噴射ヘッド側は、自装置で印刷データが正常であるか否かの判別と正常ではない場合の対応処理を行い、受信した印刷データに対する応答信号を、印刷データを送信したコントローラ側に送信しないで済む。これにより、液体噴射ヘッド側とコントローラとの接続に、応答信号やリトライ信号用の上りの高速な信号線が不要となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、印刷データにエラーが発生した場合であっても、応答信号やリトライ信号用の上りの高速な信号線を必要とせずに、印刷品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る液体噴射装置の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る液体噴射ヘッドの一部破断斜視図である。
図3】本実施形態に係る液体噴射装置の概略構成例を示す図である。
図4】第1実施形態に係るデータ信号に含まれる印刷データに誤りが無かった場合の処理例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るデータ信号に含まれる印刷データに誤りがあった場合の処理例を示す図である。
図6】第1実施形態に係るコントローラがデータ信号を所定の時間毎に出力したときの液体噴射装置が行う処理例を示すタイミングチャートである。
図7】本実施形態に係る液体噴射装置の概略構成の変形例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データ全てに誤りが無かった場合に液体噴射装置が行う処理例を示すタイミングチャートである。
図9】第2実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち1番目の印刷データに誤りがあった場合に液体噴射装置が行う処理例を示すタイミングチャートである。
図10】第2実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データ全てに誤りがあった場合に液体噴射装置が行う処理例を示すタイミングチャートである。
図11】第2実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち2番目の印刷データに誤りがあった場合に液体噴射装置が行う処理例を示すタイミングチャートである。
図12】第3実施形態に係る制御部がカスケード接続された液体噴射装置の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る液体噴射装置(印刷装置)1の斜視図である。
図1に示すように、液体噴射装置1は、紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送機構500と600、被記録媒体Sにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド10、液体噴射ヘッド10にインクを供給する液体供給部200、および液体噴射ヘッド10を被記録媒体Sの搬送方向(主走査方向)と略直交する方向(副走査方向)に走査させる走査部101を含んで構成される。なお、液体噴射装置1は、例えばインクジェットプリンタである。
【0025】
なお、以下の説明において、副走査方向をX方向、主走査方向をY方向、そしてX方向及びY方向にともに直交する方向をZ方向として説明する。液体噴射装置1は、X方向、Y方向が水平方向となるように、かつZ方向が重力方向上下方向となるように載置して使用されるようになっている。
すなわち、液体噴射装置1を載置した状態では、被記録媒体S上を液体噴射ヘッド10が水平方向(X方向、Y方向)に沿って走査するように構成されている。また、この液体噴射ヘッド10から重力方向下方(Z方向下方)に向かってインク滴が噴射され、このインク滴が被記録媒体Sに着弾するように構成されている。
【0026】
一対の搬送機構500と600は、それぞれX方向に延びて設けられたグリットローラ501,601と、グリットローラ501,601のそれぞれに平行に延びるピンチローラ502,602と、詳細は図示しないがグリットローラ501,601を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構とを備えている。
【0027】
液体供給部200は、インクが収容された液体収容体800と、液体収容体800と液体噴射ヘッド10とを接続する液体供給管201とを備えている。液体収容体800は、複数設けられており、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクが収容されたインクタンク800Y,800M,800C,800Kが並べて設けられている。インクタンク800Y,800M,800C,800KのそれぞれにはポンプモータMが設けられており、液体供給管201を通じてインクを液体噴射ヘッド10へ押圧移動する。液体供給管201は、例えば、液体噴射ヘッド10(キャリッジユニット104)の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースで構成されている。
【0028】
なお、液体収容体800は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクが収容されたインクタンク800Y,800M,800C,800Kに限られるものではなく、さらに多色のインクを収容したインクタンクを備えていてもよい。
【0029】
走査部101は、X方向に延びて設けられた一対のガイドレール102,103と、一対のガイドレール102,103に沿って摺動可能なキャリッジユニット104と、キャリッジユニット104をX方向に移動させる駆動機構105とを備えている。駆動機構105は、一対のガイドレール102,103の間に配設された一対のプーリ106,107と、一対のプーリ106,107間に巻回された無端ベルト108と、一方のプーリ106を回転駆動させる駆動モータ109とを備えている。
【0030】
一対のプーリ106,107は、一対のガイドレール102,103の両端部間にそれぞれ配設されており、X方向に間隔を空けて配置されている。無端ベルト108は、一対のガイドレール102,103間に配設されており、この無端ベルト108に、キャリッジユニット104が連結されている。キャリッジユニット104の基端部104aには、複数の液体噴射ヘッド10が搭載されている。具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクに個別に対応する液体噴射ヘッド10Y,10M,10C,10KがX方向に並んで搭載されている。
【0031】
(液体噴射ヘッド)
図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド10の一部破断斜視図である。
図2に示すように、液体噴射ヘッド10は、被記録媒体S(図1参照)に対してインク滴を噴射する噴射部300と、噴射部300と電気的に接続された制御回路基板305と、噴射部300と液体供給管201との間に、それぞれ接続部307,308を介して介在された圧力緩衝器306とをベース801,802上に備えている。圧力緩衝器306は、液体供給管201から噴射部300へインクの圧力変動を緩衝しながら通流させるためのものである。なお、ベース801,802は一体成形とされていても構わない。
【0032】
噴射部300は、圧力緩衝器306に接続部302を介して接続された流路部材301と、電圧が印加されることにより、インクを液滴として被記録媒体Sへと噴射させる液体噴射ヘッドチップ303と、液体噴射ヘッドチップ303と制御回路基板305とに電気的に接続され液体噴射ヘッドチップ303に電圧を印加するためのフレキシブル配線304とを備えている。
【0033】
なお、図1図2に示した構成は一例であり、液体噴射装置1の構成、液体噴射ヘッド10の構成は、これに限られない。
【0034】
(液体噴射装置1の電気的な構成)
次に、液体噴射装置1の電気的な構成例を説明する。
図3は、本実施形態に係る液体噴射装置1の概略構成例を示す図である。図3に示すように、液体噴射装置1は、液体噴射ヘッド10、およびコントローラ9を備える。
液体噴射ヘッド10は、受信部2、AND回路3、NOT回路4、AND回路5、判別部6、制御部7、およびノズル8を備える。
【0035】
制御部7は、シフトレジスタ71、ラッチ回路721〜728、波形信号生成部731〜738を備える。なお、ラッチ回路721〜728のうち1つを特定しない場合は、ラッチ回路72という。また、波形信号生成部731〜738のうち1つを特定しない場合は、波形信号生成部73という。
ノズル8は、ノズル81〜88を備える。
【0036】
液体噴射装置1は、コントローラ9が出力する信号(データ信号(DATA信号)、シフトクロック信号(SHIFT CLOCK)、指示信号)に応じて、ノズル8からインクを噴射することで印刷を行う。液体噴射装置1は、例えばインクジェットプリンタである。また、データ信号に含まれる印刷データは、例えばピクセルデータパケットである。
コントローラ9は、液体噴射装置1の印刷を制御する。コントローラ9は、例えばCPU(中央演算装置)、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0037】
受信部2は、コントローラ9が出力する信号(データ信号、シフトクロック信号、指示信号)を受信する。受信部2は、受信した指示信号をAND回路3の一方の入力端と、判別部6のCLEAR入力部とに出力する。受信部2は、受信したデータ信号を、制御部7のシフトレジスタ71に第1入力端と、判別部6のDATA IN端に出力する。受信部2は、受信したシフトクロック信号を、AND回路5の一方の入力端に出力する。
【0038】
AND回路3は、一方の入力端に受信部2から指示信号が入力され、他方の入力端に判別部6から判別信号が入力され、指示信号と判別信号に対してANDの論理演算を行い制御部7のラッチ回路721に出力する。
【0039】
NOT回路4は、入力端に判別部6から判別信号が入力され、入力された判別信号を論理反転してAND回路5の一方の入力端に出力する。
【0040】
AND回路5は、一方の入力端にNOT回路4から論理反転された判別信号が入力され、他方の入力端に受信部2からシフトクロック信号が入力され、論理反転された判別信号とシフトクロック信号に対してANDの論理演算を行い制御部7のラッチ回路721の他方の入力端に出力する。
【0041】
判別部6は、DATA IN入力端に受信部2からデータ信号が入力され、CLEAR入力端に受信部2から指示信号が入力される。判別部6は、指示信号と指示信号との間に入力されたデータ信号に含まれる印刷データに対して誤りがあるか否かのエラー判別を行う。なお、エラー判別方法については、後述する。判別部6は、印刷データに誤りが無いと判別した場合、判別結果を示すH(ハイ)レベルの判別信号を、AND回路3の一方の入力端とNOT回路4の入力端とに出力し、次の指示信号が来るまで保持する。判別部6は、印刷データに誤りが有ると判別した場合、L(ロー)レベルの判別信号をAND回路3の一方の入力端とNOT回路4の入力端とに出力する。
【0042】
制御部7は、例えばドライバIC(集積回路)である。制御部7は、受信部2が出力するデータ信号に含まれる印刷データを、AND回路3とAND回路5とが出力する信号に応じて、シフトレジスタ71に書き込み、ラッチ回路72がラッチ(保持)する。制御部7は、ラッチ回路72が保持している印刷データに基づいて印刷を行うように制御する。
【0043】
シフトレジスタ71は、判別部6の判別結果に応じて、受信部2が出力したデータ信号に含まれる印刷データに対して、シフトクロック信号のタイミング毎にレジスタに書き込んでシフトを行う、またはシフトを行わない。
印刷データに誤りが無い場合、判別信号がHレベルであるので、NOT回路4の出力がLレベル(SHIFT DISABLE)である。AND回路5は、シフトクロック信号の立ち上がり時に、判別信号とシフトクロック信号とのAND演算を行った結果、Lレベルを出力する。AND回路5の出力がLレベルは、シフトを行わないことを表している。このため、シフトレジスタ71は、印刷データのシフトを行わない。
印刷データに誤りが有る場合、判別信号がLレベルであるので、NOT回路4の出力がHレベル(SHIFT ENABLE)である。AND回路5は、シフトクロック信号の立ち上がり時に、判別信号とシフトクロック信号とのAND演算を行った結果、Hレベルを出力する。AND回路5の出力がHレベルは、シフトを行うことを表している。このため、シフトレジスタ71は、印刷データのシフトを行う。
【0044】
ラッチ回路72は、判別部6の判別結果に応じて、シフトレジスタ71に書き込まれている印刷データ対して、ラッチを行う、またはラッチを行わない。
印刷データに誤りが無い場合、判別信号がHレベルであるので、AND回路3の一方の入力端がHレベル(LATCH ENABLE)である。AND回路3は、指示信号の立ち上がり時に、判別信号と指示信号とのAND演算を行った結果、Hレベルを出力する。AND回路3の出力がHレベルは、ラッチを行うことを表している。このため、ラッチ回路72は、シフトレジスタ71に書き込まれている印刷データに対してラッチを行う。
印刷データに誤りが有る場合、判別信号がLレベルであるので、AND回路3の一方の入力端出力がLレベル(LATCH DISABLE)である。AND回路3は、指示信号の立ち上がり時に、判別信号と指示信号とのAND演算を行った結果、Lレベルを出力する。AND回路3の出力がLレベルは、ラッチを行わないことを表している。このため、ラッチ回路72は、シフトレジスタ71に書き込まれている印刷データに対してラッチを行わない。
【0045】
波形信号生成部73は、ラッチ回路72がラッチを行った印刷データに応じた波形信号を生成し、生成した波形信号によって、ノズル8からインクを噴射させる。
ノズル8は、波形信号生成部73が生成した波形信号に応じて、インクを噴射する。なお、波形信号生成部73とノズル8との間に、駆動回路を備えていてもよい。
なお、図3に示す例では、ノズル8を8個備える例を示したが、ノズル8の個数は、これに限られない。
【0046】
次に、コントローラ9が出力するデータ信号の構成例、各信号のタイミング例を説明する。
まず、コントローラ9から受信したデータ信号に含まれる印刷データに誤りが無かった場合の処理例を説明する。
図4は、本実施形態に係るデータ信号に含まれる印刷データに誤りが無かった場合の処理例を示す図である。図4において、横軸は時刻である。符号g1は、データ信号を表す。波形g2は、判別信号を表す。波形g3は、指示信号を表す。なお、図4では、シフトクロック信号を省略して示している。なお、図4に示す例では、時刻t1以前に、データnの前に送信されたデータ信号にデータn−1が含まれ、データn−1には誤りが無く、データn−1がすでに保持されているとする。
【0047】
図4に示す例では、データ信号は、データnと、エラー判別に使用されるCRC(Cyclic Redundancy Check;巡回冗長検査)を含んでいる。なお、印刷データの誤り検出は、CRCに限られず、例えばチェックサム、パリティ符号等を用いてもよい。
【0048】
時刻t1〜t2の期間、受信部2は、コントローラ9が出力したデータ信号を受信する。
時刻t3のとき、判別部6は、データ信号に含まれる印刷データであるデータnに対して誤りがあるか否かを判別した結果、データnに誤りがなかったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0049】
コントローラ9は、データ信号を出力後、所定の時間経過後、すなわち時刻t4のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t4〜t6の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
【0050】
時刻t4〜t5の期間、ラッチ回路72は、判別信号がHレベルであるためAND回路3の出力がHレベルであるので、データnに対してラッチを行い、データnを保持する。これにより、ラッチ回路72が保持していたデータn−1が、データnに書き換わる。
【0051】
時刻t6のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t7のとき、判別部6は、判別信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t7以降、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後、すなわち指示信号の立ち下がりをトリガーとして、ラッチ回路72が保持しているデータnに基づいて、印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0052】
次に、コントローラ9から受信したデータ信号に含まれる印刷データに誤りがあった場合の処理例を説明する。
図5は、本実施形態に係るデータ信号に含まれる印刷データに誤りがあった場合の処理例を示す図である。図5において、横軸は時刻である。なお、図5に示す例では、図4と同様に、時刻t1以前に、データnの前に送信されたデータ信号にデータn−1が含まれ、データn−1には誤りが無く、データn−1がすでに保持されているとする。
【0053】
時刻t1〜t2の期間、受信部2は、コントローラ9が出力したデータ信号を受信する。
時刻t3のとき、判別部6は、データ信号に含まれるデータnに誤りがあったため、判別信号をHレベルに変化させずにLレベルを維持する。
【0054】
コントローラ9は、データ信号を出力後、所定の時間経過後、すなわち時刻t4のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t4〜t6の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t4〜t5の期間、ラッチ回路72は、判別信号がLレベルであるためAND回路3の出力がLレベルであるので、データnに対してラッチを行わない。このため、ラッチ回路72には、データn−1が保持され続ける。
【0055】
時刻t6のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t7以降、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後、すなわち指示信号の立ち下がりをトリガーとして、ラッチ回路72が保持しているデータn−1に基づいて、印刷を行う。
【0056】
図4図5を用いて説明したように、本実施形態では、制御部7が、受信した印刷データに誤りが無い場合に受信した印刷データを保持して印刷し、受信した印刷データに誤りがある場合に受信した印刷データを保持せず、保持されている誤りの無かった印刷データを印刷する。誤り(エラー)が多発していなければ、保持されている印刷データは1つ前に受信した印刷データであるため、本実施形態によれば、この印刷データを受信した印刷データの代わりに印刷しても、白抜けのような違和感を少なくすることができる。
【0057】
次に、コントローラ9がデータ信号を所定の時間毎に出力したときの液体噴射装置1が行う処理例を説明する。
図6は、本実施形態に係るコントローラ9がデータ信号を所定の時間毎に出力したときの液体噴射装置1が行う処理例を示すタイミングチャートである。図6において、横軸は時刻である。符号g11〜g14は、データ信号を表す。符号g21は、シフトレジスタに書き込まれる印刷データを表している。波形g22は、判別信号を表す。波形g23は、指示信号を表す。符号g24は、ラッチ回路72にラッチされている印刷データを表す。符号g31〜g33は、印刷される印刷データを表している。また、時刻t11以前、データn−3を含むデータ信号を受信し、データn−3に誤りがなかったため、データn−3がラッチ回路72に保持されているとする。
【0058】
時刻t11〜t12の期間、受信部2は、コントローラ9が出力したデータn−2を含むデータ信号g11を受信する。
時刻t12のとき、シフトレジスタ71には、データn−2が書き込まれた状態である。
【0059】
時刻t13のとき、判別部6は、データ信号に含まれるデータn−2に対してCRCに基づいて印刷データに誤りがあるか否かを判別した結果、データn−2に誤りがなかったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させる。なお、判別部6は、時刻t12〜t13の期間に、CRCの確認、すなわち誤りがあるか否か判別を行う。
【0060】
コントローラ9は、データ信号を出力後、所定の時間経過後、すなわち時刻t14のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t14〜t15の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t14のとき、ラッチ回路72は、判別信号がHレベルであるためAND回路3の出力がHレベルであるので、シフトレジスタ71に書き込まれているデータnに対してラッチを行い、データn−2を保持する。これにより、ラッチ回路72が保持していたデータn−3が、データn−2に書き換わる。
【0061】
時刻t15のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
判別部6は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定時間後、すなわち時刻t16のとき、判別信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t17〜t18の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している印刷データg31のデータn−2に基づいて、印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0062】
時刻t19〜t26の期間は、受信したデータ信号に含まれるデータn−1に誤りが含まれていなかったため、時刻t11〜t18と同様の処理を行う。これにより、時刻t22のとき、ラッチ回路72は、シフトレジスタ71に書き込まれているデータn−1に対してラッチを行い、データn−1を保持する。この結果、ラッチ回路72が保持していたデータn−2が、データn−1に書き換わる。そして、時刻t25〜t26の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している印刷データg32のデータn−1に基づいて、印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0063】
時刻t27〜t28の期間、受信部2は、コントローラ9が出力したデータnを含むデータ信号g13を受信する。
【0064】
時刻t29のとき、判別部6は、データ信号に含まれるデータnに対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、データnに誤りがあったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させない。
【0065】
コントローラ9は、データ信号を出力後、所定の時間経過後、すなわち時刻t30のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t30〜t31の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t30のとき、ラッチ回路72は、判別信号がLレベルであるためAND回路3の出力がLレベルであるので、シフトレジスタ71に書き込まれているデータnに対してラッチを行わず、データn−1を保持し続ける。
時刻t31のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
【0066】
時刻t33〜t34の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している誤りの無い印刷データg32のデータn−1に基づいて、印刷を行う。
【0067】
時刻t35〜t42の期間は、受信したデータ信号に含まれるデータn+1に誤りが含まれていなかったため、時刻t11〜t18と同様の処理を行う。これにより、時刻t38のとき、ラッチ回路72は、シフトレジスタ71に書き込まれているデータn+1に対してラッチを行い、データn+1を保持する。この結果、ラッチ回路72が保持していたデータn−1が、データn+1に書き換わる。そして、時刻t41〜t42の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している印刷データg33のデータn+1に基づいて、印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0068】
以上のように、本実施形態では、コントローラ9が送信した送信信号(データ信号)に含まれる印刷データに対してCRCに基づいて、誤り判別を行うようにした。そして、本実施形態では、印刷データに誤りがある場合、誤りのある印刷データを保持せず、保持されている誤りの無い印刷データを印刷に使用するようにした。
【0069】
これにより、本実施形態によれば、液体噴射ヘッド側で印刷データの誤り確認(エラーチェック)を行い、印刷データに誤りが発生した場合に、保持されている正常な印刷データを印刷するので、印刷品質を向上させることができる。また、液体噴射ヘッド側は、自装置でエラーチェックとエラー対応処理を行い、受信した印刷データに対する応答信号を、印刷データを送信したホスト側に送信しないで済む。これにより、液体噴射ヘッド側とホストとの接続に、応答信号やリトライ信号用の上りの高速な信号線が不要となる。
そして、本実施形態によれば、受信した印刷データに誤りがある場合であっても、保持している印刷データ、例えば1ライン前のピクセルデータパケットを印刷することにより、白抜けを防ぐことができる。これにより、本実施形態では、印刷性能を向上させることができる。また、本実施形態では、液体噴射装置1が受信した結果やエラー信号等をコントローラ9へ送信しないので、コントローラ9はエラー処理を行わずに液体噴射装置1へ送信信号を送信することができる。または、液体噴射ヘッド10Aがエラー検出した場合に、液体噴射ヘッド10Aがコントローラ9にその旨を報知するようにしてもよい。
【0070】
ここで、本実施形態の変形例を説明する。
図7は、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの概略構成の変形例を示す図である。図7に示すように、液体噴射装置1Aは、液体噴射ヘッド10A、コントローラ9Aを備える。
液体噴射ヘッド10Aは、受信部2、AND回路3、NOT回路4、AND回路5、判別部6、エラーカウント部62、制御部7、およびノズル8を備える。
図3に示した液体噴射装置1との差異は、エラーカウント部62と、コントローラ9Aである。
【0071】
エラーカウント部62は、判別部6が印刷データに対してエラー判定した結果、誤りがあった数(エラー数)をカウントして記憶する。
コントローラ9Aは、所定の時間毎(例えば1秒毎)に、エラーカウント部62が記憶するエラー数を読み出す。コントローラ9Aは、読み出したエラー数が閾値以上の場合に、送信信号(データ信号)の送信を停止するなど、読み出したエラー数に基づいてエラー処理を行うようにしてもよい。または、液体噴射ヘッド10Aがエラー数を一定レベル以上にカウントした場合に、液体噴射ヘッド10Aがコントローラ9Aにその旨を報知するようにしてもよい。
【0072】
これにより、変形例によれば、エラーが続く場合に印刷を中止することもできる。この結果、変形例によれば、システム自体の信頼性評価及び信頼性向上に役立てることができる。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態では、コントローラ9が、指示信号と指示信号との間にデータ信号を1回送信する例を説明したが、送信する回数は2回以上であってもよい。本実施形態では、図8図11を用いて、コントローラ9が、指示信号と指示信号との間にデータ信号を3回送信する例を説明する。なお、液体噴射装置1は、図3と同様である。
【0074】
図8は、本実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データ全てに誤りが無かった場合に液体噴射装置1が行う処理例を示すタイミングチャートである。図9は、本実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち1番目の印刷データに誤りがあった場合に液体噴射装置1が行う処理例を示すタイミングチャートである。図10は、本実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データ全てに誤りがあった場合に液体噴射装置1が行う処理例を示すタイミングチャートである。図11は、本実施形態に係る指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち2番目の印刷データに誤りがあった場合に液体噴射装置1が行う処理例を示すタイミングチャートである。
【0075】
図8図11において、横軸は時刻である。符号g21は、シフトレジスタ71に書き込まれる印刷データを表している。波形g22は、判別信号を表す。波形g23は、指示信号を表す。符号g24は、ラッチ回路72にラッチされている印刷データを表す。
【0076】
まず、図8について説明する。図8において、符号g101〜g103は、データ信号を表す。符号g21は、シフトレジスタ71に書き込まれる印刷データを表している。符号g301は、印刷される印刷データを表している。また、時刻t51以前、データn−3を含むデータ信号を受信し、データn−3に誤りがなかったため、データn−3がラッチ回路72に保持されているとする。
【0077】
ここで、指示信号と指示信号との間に送信される1番目のデータ信号を第1送信信号といい、2番目のデータ信号を第2送信信号といい、3番目のデータ信号を第3送信信号という。なお、第1送信信号、第2送信信号、第3送信信号それぞれに含まれる印刷データは同じデータを含むが、印刷データ以外に異なるデータ(例えば送信信号の送信順を示す情報)等を含んでいてもよい。なお、図8に示す例では、第1送信信号g101、第2送信信号g102、および第3送信信号g103に誤りが無い、すなわちエラーが無いと判別された例である。
【0078】
時刻t51〜t52の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第1送信データn−2を含む第1送信信号g101を受信する。
時刻t52のとき、シフトレジスタ71には、第1送信データn−2が書き込まれている。本実施形態では、指示信号と指示信号との間に複数の送信信号(データ信号)を受信した場合、指示信号と指示信号との間に受信した中で最も早い時間に受信した誤りの無い送信信号である第1送信信号g101に含まれる第1送信データn−2をシフトレジスタ71が保持する。シフトレジスタ71は、判別信号がLレベルであれば、印刷データのシフトを行い、判別信号がHレベルであれば、以降の印刷データを無視し印刷データのシフトを行わない。
【0079】
時刻t53のとき、判別部6は、第1送信信号g101に含まれる第1送信データn−2に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第1送信データn−2に誤りがなかったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0080】
時刻t54〜t55の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第2送信データn−2を含む第2送信信号g102を受信する。
時刻t55のとき、第1送信信号g101に誤りがなかったため、判別信号がHとなっているので、シフトレジスタ71には、第2送信データn−2が書き込まれていない。
【0081】
時刻t56のとき、判別部6は、第2送信信号g102に含まれる第2送信データn−2に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第2送信データn−2に誤りがないと判別する。この場合、第1送信信号g101に誤りがなく、かつ直前の判別信号がHであるため、判別部6は、判別信号をHレベルに維持する。
【0082】
時刻t57〜t58の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第3送信データn−2を含む第3送信信号g103を受信する。
時刻t58のとき、第1送信信号g101に誤りがなかったため、判別信号がHとなっているので、シフトレジスタ71には、第3送信データn−2が書き込まれていない。
【0083】
時刻t59のとき、判別部6は、第3送信信号g103に含まれる第3送信データn−2に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第3送信データn−2に誤りがないと判別する。この場合、第1送信信号g101に誤りがなく、かつ直前の判別信号がHであるため、判別部6は、判別信号をHレベルに維持する。
【0084】
なお、判別部6は、第1送信信号g101に誤りがなかったため、第2送信信号g102、第3送信信号g103に対して印刷データに誤りがあるか否かを判別しないようにしてもよい。
【0085】
コントローラ9は、第3送信信号g103を出力後、所定の時間経過後、すなわち時刻t60のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t60〜t61の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t60のとき、ラッチ回路72は、判別信号がHレベルであるためAND回路3の出力がHレベルであるので、シフトレジスタ71が保持している第1送信データn−2に対してラッチを行い、データn−3を第1送信データn−2に書き換える。
時刻t61のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
【0086】
判別部6は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定時間後、すなわち時刻t62のときに、判別信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t63〜t64の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している印刷データg301の第1送信データn−2に基づいて波形信号(吐出波形)の生成を行い、生成した波形信号に基づいて印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0087】
次に、図9に移って説明を続ける。図9に示す例では、指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち1番目の印刷データに誤りがあった場合の例である。
【0088】
時刻t65〜t66の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第1送信データn−1を含む第1送信信号g111を受信する。
時刻t66のとき、シフトレジスタ71には、第1送信データn−1が書き込まれた状態である。
【0089】
時刻t67のとき、判別部6は、第1送信信号g111に含まれる第1送信データn−1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第1送信データn−1に誤りがあったため、判別信号をLレベルに維持する。
【0090】
時刻t68〜t69の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第2送信データn−1を含む第2送信信号g112を受信する。
時刻t69のとき、シフトレジスタ71には、第2送信データn−1が書き込まれた状態である。本実施形態では、このように、指示信号と指示信号との間に複数の送信信号(データ信号)を受信した場合、指示信号と指示信号との間に受信した中で最も早い時間に受信した誤りの無い送信信号である第2送信信号g112に含まれる第2送信データn−1をシフトレジスタ71が保持する。シフトレジスタ71は、判別信号がLレベルであれば、印刷データのシフトを行い、判別信号がHレベルであれば、以降の印刷データを無視し印刷データのシフトを行わない。
【0091】
時刻t70のとき、判別部6は、第2送信信号g112に含まれる第2送信データn−1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第2送信データn−1に誤りがなかったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0092】
時刻t71〜t72の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第3送信データn−1を含む第3送信信号g113を受信する。
時刻t72のとき、第2送信信号g112に誤りがなかったため、判別信号がHとなっているので、シフトレジスタ71には、第3送信データn−1が書き込まれておらず、第2送信データn−1が書き込まれたままの状態である。
【0093】
時刻t73のとき、判別部6は、第3送信信号g113に含まれる第3送信データn−1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第3送信データn−1に誤りがないと判別する。この場合、第2送信信号g112に誤りがなく、かつ直前の判別信号がHであるので、判別部6は、判別信号をHレベルに維持する。
【0094】
なお、判別部6は、第2送信信号g112に誤りがなかったため、第3送信信号g113に対して誤りがあるか否かを判別しないようにしてもよい。
【0095】
コントローラ9は、第3送信信号g113を出力してから所定の時間経過後、すなわち時刻t74のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t74〜t75の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t74のとき、ラッチ回路72は、判別信号がHレベルであるためAND回路3の出力がHレベルであるので、シフトレジスタ71に書き込まれている第2送信データn−1に対してラッチを行い、第1送信データn−2を第2送信データn−1に書き換える。
時刻t75のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
【0096】
判別部6は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定時間後、すなわち時刻t76のときに、判別信号をHレベルからLレベルに戻す。
時刻t77〜t78の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している印刷データg311の第2送信データn−1に基づいて波形信号(吐出波形)の生成を行い、生成した波形信号に基づいて印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0097】
次に、図10に移って説明を続ける。図10に示す例では、指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データ全てに誤りがあった場合の例である。
【0098】
時刻t79〜t80の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第1送信データnを含む第1送信信号g121を受信する。
時刻t80のとき、シフトレジスタ71には、第1送信データnが書き込まれた状態である。
【0099】
時刻t81のとき、判別部6は、第1送信信号g121に含まれる第1送信データnに対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第1送信データnに誤りがあったため、判別信号をLレベルに維持する。
【0100】
時刻t82〜t83の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第2送信データnを含む第2送信信号g122を受信する。
時刻t83のとき、シフトレジスタ71には、第2送信データnが書き込まれた状態である。
【0101】
時刻t84のとき、判別部6は、第2送信信号g122に含まれる第2送信データnに対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第2送信データnに誤りがあったため、判別信号をLレベルに維持する。
【0102】
時刻t85〜t86の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第3送信データnを含む第3送信信号g123を受信する。
時刻t85のとき、シフトレジスタ71には、第3送信データnが書き込まれた状態である。
【0103】
時刻t87のとき、判別部6は、第3送信信号g123に含まれる第3送信データnに対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第3送信データnに誤りがあったため、判別信号をLレベルに維持する。
【0104】
コントローラ9は、第3送信信号g123を出力後の所定の時間経過後、すなわち時刻t88のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t88〜t89の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t88のとき、ラッチ回路72は、判別信号がLレベルであるためAND回路3の出力がLレベルであるので、第2送信データn−1を維持する。
時刻t75のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
【0105】
時刻t90〜t91の期間、制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定の時間後に、ラッチ回路72が保持している1つ前の印刷データg311の第2送信データn−1に基づいて波形信号(吐出波形)の生成を行い、生成した波形信号に基づいて印刷を行う。
【0106】
次に、図11に移って説明を続ける。図11に示す例では、指示信号と指示信号との間に受信した3つの印刷データのうち2番目の印刷データに誤りがあった場合の例である。
【0107】
時刻t92〜t93の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第1送信データn+1を含む第1送信信号g131を受信する。
時刻t93のとき、シフトレジスタ71には、第1送信データn+1が書き込まれた状態である。
【0108】
時刻t94のとき、判別部6は、第1送信信号g131に含まれる第1送信データn+1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第1送信データn−1に誤りがなかったため、判別信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0109】
時刻t95〜t96の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第2送信データn+1を含む第2送信信号g132を受信する。
時刻t96のとき、第1送信信号g131に誤りがなかったため、シフトレジスタ71には、第2送信データn+1が書き込まれず、第1送信データn+1が書き込まれた状態のままである。
【0110】
時刻t97のとき、判別部6は、第2送信信号g132に含まれる第2送信データn+1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第2送信データn+1に誤りがあり、かつ直前の判別信号がHであるので、判別信号をHレベルに維持する。
【0111】
時刻t98〜t99の期間、受信部2は、コントローラ9が出力した第3送信データn+1を含む第3送信信号g133を受信する。
時刻t99のとき、第1送信信号g131に誤りがなかったため、シフトレジスタ71には、第3送信データn+1が書き込まれず、第1送信データn+1が書き込まれた状態のままである。本実施形態では、このように、指示信号と指示信号との間に複数の送信信号(データ信号)を受信した場合、指示信号と指示信号との間に受信した中で最も早い時間に受信した誤りの無い送信信号である第1送信信号g131に含まれる第1送信データn+1をシフトレジスタ71が保持する。シフトレジスタ71は、判別信号がLレベルであれば、印刷データのシフトを行い、判別信号がHレベルであれば、以降の印刷データを無視し印刷データのシフトを行わない。
【0112】
時刻t100のとき、判別部6は、第3送信信号g133に含まれる第3送信データn+1に対してCRCに基づいて誤りがあるか否かを判別した結果、第3送信データn+1に誤りがないと判別する。この場合、第1送信信号g131に誤りがなく、かつ直前の判別信号がHであるので、判別部6は、判別信号をHレベルに維持する。
【0113】
なお、判別部6は、第1送信信号g131に誤りがなかったため、第2送信信号g132、第3送信信号g133に対して印刷データに誤りがあるか否かを判別しないようにしてもよい。
【0114】
コントローラ9は、第3送信信号g123を出力後の所定の時間経過後、すなわち時刻t101のときに、指示信号をLレベルからHレベルに変化させる。時刻t101〜t102の期間、コントローラ9は、指示信号をHレベルに維持する。
時刻t101のとき、ラッチ回路72は、判別信号がHレベルであるためAND回路3の出力がHレベルであるので、シフトレジスタ71に書き込まれている第1送信データn+1に対してラッチを行い、第2送信データn−1を第1送信データn+1に書き換える。
時刻t102のとき、コントローラ9は、指示信号をHレベルからLレベルに戻す。
【0115】
判別部6は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定時間後、すなわち時刻t103のときに、判別信号をHレベルからLレベルに戻す。
制御部7は、指示信号がHレベルからLレベルに変化した時から所定時間後、すなわち時刻t104〜t105の期間、ラッチ回路72が保持している印刷データg331の第1送信データn+1に基づいて波形信号(吐出波形)の生成を行い、生成した波形信号に基づいて印刷を行う。なお、制御部7は、指示信号の立ち下がりから所定の時間内に判別信号の立ち下がりを検出した時または後に、印刷を行うようにしてもよい。
【0116】
以上のように、本実施形態では、コントローラ9が、指示信号と指示信号との間に複数の送信信号を送信するようにした。液体噴射装置1は、指示信号と指示信号との間に受信した複数の印刷データのうち、誤りのない印刷データが1つ以上あれば、受信した中で最も早く受信した誤りのない印刷データを用いて印刷を行うようにした。そして、本実施形態では、指示信号と指示信号との間に受信した複数の印刷データの全てが誤りである場合、ラッチ回路72が保持している誤りの無い印刷データを印刷するようにした。
【0117】
これにより、本実施形態によれば、コントローラ9から液体噴射装置1へ指示信号と指示信号との間に冗長な複数の送信信号を送信するようにしたので、従来のように、コントローラと液体噴射装置との接続にアクノリッジを出力する信号線やリトライを指示する信号線が不要となる。なお、これらの信号は、エラー処理に使われるため、液体噴射装置からコントローラへ高速に出力する必要があった。
また、図8図11では、指示信号と指示信号との間に送信する冗長な複数の送信信号が3つの例を説明したが、第1実施形態のように1つでもよく、また2つでもよく、4つ以上であってもよい。
【0118】
なお、上述した例では、液体噴射装置1の構成の例で説明したが、液体噴射装置が、液体噴射装置1Aのようにエラーカウント部62(図7参照)を備えていてもよい。この場合、コントローラ9A(図7参照)は、エラーカウント部62が記憶するエラー数を読み出し、読み出したエラー数に応じて、指示信号と指示信号との間に送信する送信信号の数を変更するようにしてもよい。コントローラ9Aは、指示信号と指示信号との間に送信する数を、例えば、エラー数が第1閾値未満であれば1つとし、エラー数が第1閾値以上かつ第2閾値未満の場合に2つとし、エラー数が第2閾値以上かつ第3閾値未満の場合に3つとし、エラー数が第3閾値以上の場合に印刷を停止させるようにしてもよい。
【0119】
[第3実施形態]
第1実施形態、第2実施形態では、制御部7が1つの例を説明したが、複数の制御部7がカスケード接続されていてもよい。
図12は、本実施形態に係る制御部7Bがカスケード接続された液体噴射装置1Bの概略構成例を示す図である。なお、図12では、制御部それぞれに、8個のノズルが接続されている例を示すが、ノズルの数は、これに限られない。
【0120】
図12に示すように、液体噴射装置1Bは、液体噴射ヘッド10B、コントローラ9Bを備える。
液体噴射ヘッド10Bは、受信部2B、制御部7B1、・・・、制御部7BN(Nは2以上の整数)、およびノズル8B1、・・・ノズル8BN備える。なお、制御部7B1、・・・、制御部7BNのうち1つを特定しない場合は、制御部7Bという。また、ノズル8B1、・・・ノズル8BNのうち1つを特定しない場合は、ノズル8Bという。
【0121】
制御部7B1は、フリップフロップ(FF)64B、判別部6B、NOT回路74B1、シフトレジスタ71B1、ラッチ回路72B11〜72B18、波形信号生成部73B11〜73B18を備える。ラッチ回路72B11〜72B18のうち1つを特定しない場合は、ラッチ回路72B1という。また、波形信号生成部73B11〜73B18のうち1つを特定しない場合は、波形信号生成部73B1という。
ノズル8B1は、ノズル8B11〜8B18を備える。
【0122】
制御部7B2は、NOT回路74B2、シフトレジスタ71B2、ラッチ回路72B21〜72B28、波形信号生成部73B21〜73B28を備える。ラッチ回路72B21〜72B28のうち1つを特定しない場合は、ラッチ回路72B2という。また、波形信号生成部73B21〜73B28のうち1つを特定しない場合は、波形信号生成部73B2という。
ノズル8B2は、ノズル8B21〜8B28を備える。
【0123】
制御部7BNは、NOT回路74BN、シフトレジスタ71BN、ラッチ回路72BN1〜72BN8、波形信号生成部73BN1〜73BN8を備える。ラッチ回路72BN1〜72BN8のうち1つを特定しない場合は、ラッチ回路72BNという。また、波形信号生成部73BN1〜73BN8のうち1つを特定しない場合は、波形信号生成部73BNという。
ノズル8B2は、ノズル8BN1〜8BN8を備える。
【0124】
ラッチ回路72B1、・・・、ラッチ回路72BNのうち1つを特定しない場合は、ラッチ回路72Bという。波形信号生成部73B1、・・・、波形信号生成部73BNのうち1つを特定しない場合は、波形信号生成部73Bという。NOT回路74B1、・・・、NOT回路74BNのうち1つを特定しない場合は、NOT回路74Bという。
なお、波形生成部とノズルとの間に、駆動回路を備えていてもよい。
【0125】
データ信号(送信信号)は、印刷データと例えばCRCを含む。
判別部6Bは、データ信号に含まれる印刷データに誤りがあるか否かを、例えばCRCに基づいて判別する。判別部6Bは、判別した結果を示す判別信号をフリップフロップ64Bに出力する。
【0126】
フリップフロップ64Bは、D型フリップフロップである。フリップフロップ64Bは、SET入力端に判別部6Bが出力する判別信号が入力され、RESET入力端に指示信号が入力される。フリップフロップ64Bは、指示信号の立ち上がりのタイミングで、判別信号の状態(LレベルまたはHレベル)を保持し、保持している信号をLATCH ENABLE信号として、制御部7Bのラッチ回路75BとNOT回路74Bに出力する。
【0127】
ラッチ回路72Bは、データ入力端にデータ信号が入力され、LATCHCK入力端に指示信号が入力され、SHIFTCK入力端にフリップフロップ64Bが出力するLATCH ENABLE信号が入力される。
シフトレジスタ71Bは、SHIFTEN入力端にNOT回路74Bによって反転されたLATCH ENABLE信号が入力され、SHIFTCK入力端にシフトクロック信号が入力される。
【0128】
すなわち、本実施形態では、カスケード接続された制御部7B1、・・・、制御部7BNのうち初段(first stage)の制御部7B1で印刷データに誤りがあるか否かを判別し、判別信号に基づく信号であるLATCH ENABLE信号を、他の制御部7Bに出力するようにした。これにより、初段以外の制御部7Bは、初段の制御部7Bが生成したLATCH ENABLE信号に応じてラッチを制御することができる。これにより、液体噴射装置1Bの構成部品を低減することができる。
なお、図12に示した例では、フリップフロップ64Bと判別部6Bを、初段の制御部7B1が備える例を示したが、フリップフロップ64Bと判別部6Bは初段の制御部7B1に外付けされていてもよい。
【0129】
なお、第1実施形態〜第3実施形態で説明した液体噴射装置(1,1A,1B)は、サーマル(バブルジェット(登録商標))式などの他の形式のものであってもよい。
【0130】
なお、本発明における液体噴射装置1(または1A、1B)の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより液体噴射装置1(または1A、1B)が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、フラッシュメモリ媒体等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0131】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0132】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0133】
1,1A,1B…液体噴射装置、10,10A,10B…液体噴射ヘッド、2…受信部、3…AND回路、4,74B1、74B2,・・・,74BN…NOT回路、5…AND回路、6,64B…判別部、62…エラーカウント部、64B…フリップフロップ、7,7B,7B1,・・・,7BN…制御部、71,71B1,・・・,71BN…シフトレジスタ、721,・・・,728,72B,72B11,・・・,72B18,・・・,72BN1,・・・,72BN8…ラッチ回路、731,・・・,738,73B,73B11,・・・,73B18,・・・,73BN1,・・・,73BN8…波形信号生成部、8,・・・,88,8B1,・・・,8BN1,8B11,・・・,8B18,・・・,8BN1,・・・,8BN8…ノズル、9,9A,9B…コントローラ
図1
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図12