【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名 IoT活用コンテスト(NTTコミュニケーションズ株式会社) 開催場所 東京都港区芝浦1−2−1 シーバンスビルN館16階 研修室 開催日 平成29年2月2日、平成29年2月8日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の香り提供システム1のシステム構成を示す概略ブロック図である。香り提供システム1は、バイタルセンサ10、端末装置20、臭気発生装置30及び判定装置40を備える。バイタルセンサ10と端末装置20とは、通信を行うことによってデータを送受信する。バイタルセンサ10と端末装置20との間で行われる通信は、無線通信であってもよいし有線通信であってもよい。この通信は、例えば短距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標))であってもよい。端末装置20と臭気発生装置30とは、通信を行うことによってデータを送受信する。端末装置20と臭気発生装置30との間で行われる通信は、無線通信であることが好ましい。この通信は、例えば短距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標))であってもよい。
【0015】
端末装置20と判定装置40とは、ネットワーク50を介して通信する。臭気発生装置30と判定装置40とは、ネットワーク50を介して通信する。ネットワーク50は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク50は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。ネットワーク50は、例えばインターネットを用いて構成されてもよい。
【0016】
バイタルセンサ10は、ユーザのバイタル信号を取得する。バイタル信号は、ユーザの体の生命活動に関連する情報を示す信号である。バイタル信号は、例えば心臓の活動電位、呼吸活動、血圧等の時系列の変化を示す信号である。本実施形態では、バイタルセンサ10は、ユーザの心臓の活動電位(心電のデータ)をバイタル信号として取得する。バイタルセンサ10は、取得されたバイタル信号に基づいて、RRIや脈拍数などを示すバイタル情報を取得する。バイタルセンサ10は、取得されたバイタル情報にバイタル信号が取得された日時を対応付けて無線通信又は有線通信によって端末装置20に送信する。バイタルセンサ10は、例えばウェアラブルに構成されてもよい。
【0017】
端末装置20は、ユーザに伴って移動する情報処理装置である。端末装置20は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯可能なパーソナルコンピュータ(例えばノートパソコン)、携帯可能なゲーム機器等の情報機器を用いて構成される。端末装置20は、例えばウェアラブルに構成されてもよい。
【0018】
図2は、端末装置20の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。端末装置20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。端末装置20は、所定のプログラムを実行することによって、通信部21、距離判定部22、ユーザ情報記憶部23、装置情報記憶部24及び制御部25を備える装置として機能する。なお、端末装置20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。端末装置20によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。端末装置20によって実行されるプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0019】
通信部21は、ネットワークインタフェースを用いて構成される。通信部21は、例えば無線通信又は有線通信を用いて、バイタルセンサ10と通信する。通信部21は、例えば無線通信又は有線通信を用いて、臭気発生装置30と通信する。通信部21は、例えば無線通信又は有線通信を用いてネットワーク50と通信する。通信部21は、1つのハードウェアを用いて構成されてもよいし、複数のハードウェアを用いて構成されてもよい。例えば、バイタルセンサ10及び臭気発生装置30との間でBluetooth(登録商標)を用いて通信し、ネットワーク50との間では無線LANを用いて通信する場合には、通信部21はBluetoothモジュール及び無線LANモジュールを用いて構成されてもよい。
【0020】
距離判定部22は、自身が設けられた端末装置20と臭気発生装置30との間の距離(以下「装置間距離」という。)を判定する。端末装置20は、上述したようにユーザに伴って移動する。そのため、装置間距離は、実質的にユーザと臭気発生装置30との距離の大きさを示す。すなわち、装置間距離が大きい場合には、ユーザと臭気発生装置30との距離が相対的に大きく、装置間距離が小さい場合には、ユーザと臭気発生装置30との距離が相対的に小さい。距離判定部22は、装置間距離を判定可能であればどのような技術を用いて実装されてもよい。距離判定部22は、例えば臭気発生装置30から送信された無線信号が通信部21において受信された際の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)に基づいて、装置間距離を判定してもよい。距離判定部22は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)に実装されている機能を用いることによって装置間距離を判定してもよい。距離判定部22は、判定結果である装置間距離を制御部25に出力する。
【0021】
ユーザ情報記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。ユーザ情報記憶部23は、端末装置20を携帯するユーザに関する情報(以下「ユーザ情報」という。)を記憶する。ユーザ情報は、例えばユーザを示す識別情報(以下「ユーザ識別情報」という。)を含む。
【0022】
装置情報記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。装置情報記憶部24は、端末装置20を携帯するユーザによって使用される臭気発生装置30に関する情報(以下「装置情報」という。)を記憶する。装置情報は、例えば臭気発生装置30を示す識別情報(以下「装置識別情報」という。)を含む。
【0023】
制御部25は、通信部21を介してバイタルセンサ10からバイタル情報を受信する。制御部25は、受信されたバイタル情報を含む登録情報を生成する。登録情報は、バイタル情報の他に、例えばユーザ情報を含んでもよい。制御部25は、生成された登録情報を、ネットワーク50を介して判定装置40に送信する。制御部25は、距離判定部22によって判定された装置間距離が、所定の閾値以下であるか否か判定する。制御部25は、装置間距離が所定の閾値以下である場合には、要求情報を生成する。要求情報は、臭気発生装置30に対し臭気を発生させることを要求することを示す情報である。要求情報は、例えば、その情報が要求情報であることを示す所定の情報、ユーザ情報及び装置情報を含む。制御部25は、生成された要求情報を、ネットワーク50を介して判定装置40に送信する。
【0024】
次に臭気発生装置30について説明する。臭気発生装置30は、臭気を発生させる装置である。
図3は、臭気発生装置30の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。臭気発生装置30は、通信部31、気流発生装置32、臭気ガス生成部33及び制御部34を備える装置として構成される。制御部34は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。制御部34は、所定のプログラムを実行することによって気流発生装置32又は臭気ガス生成部33の少なくとも一方の動作を制御する。なお、制御部34の機能の全て又は一部は、ASIC等のハードウェアを用いて実現されてもよい。臭気発生装置30によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。臭気発生装置30によって実行されるプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0025】
通信部31は、ネットワークインタフェースを用いて構成される。通信部31は、例えば無線通信又は有線通信を用いて、端末装置20と通信する。通信部31は、例えば無線通信又は有線通信を用いてネットワーク50と通信する。通信部31は、1つのハードウェアを用いて構成されてもよいし、複数のハードウェアを用いて構成されてもよい。例えば、端末装置20との間でBluetooth(登録商標)を用いて通信し、ネットワーク50との間では無線LANを用いて通信する場合には、通信部31はBluetoothモジュール及び無線LANモジュールを用いて構成されてもよい。
【0026】
気流発生装置32は、臭気発生装置30の内部から外部へ向けた気流を発生させる装置である。気流発生装置32は、例えば1又は複数のファンを用いて構成されてもよい。
【0027】
臭気ガス生成部33は、1又は複数の種別の臭気ガスを生成する。臭気ガス生成部33は、例えば予め所定の臭気を有する物質(固体、液体又は気体:以下「臭気物質」という。)を格納した格納容器であってもよい。臭気ガス生成部33は、このような格納容器から臭気物質を気流発生装置32が設けられた空間に出力するための機構(例えば開閉扉)を備えてもよい。臭気ガス生成部33は、例えば臭気物質を生成するための原料を予め格納し、制御部34の制御に応じて原料を混ぜることによって臭気物質を生成するように構成されてもよい。この場合、臭気ガス生成部33は、原料を混ぜるための機構やこの機構を駆動するための駆動部などを備えてもよい。
【0028】
制御部34は、気流発生装置32又は臭気ガス生成部33の少なくとも一方を制御する。制御部34は、気流発生装置32又は臭気ガス生成部33の少なくとも一方を制御することによって、臭気発生装置30から外部に出力される臭気の量と、出力タイミングとを制御する。制御部34は、さらに臭気発生装置30から外部に出力される臭気ガスの種別を制御する。
【0029】
まず、臭気の量の制御について説明する。制御部34は、例えば気流発生装置32が発生させる気流の風量を制御することによって、臭気の量を制御してもよい。具体的には、制御部34は、気流発生装置32が備えるファンの回転速度を制御することによって臭気の量を制御してもよい。制御部34は、気流発生装置32が備える複数のファンのうち駆動させるファンの数を制御することによって臭気の量を制御してもよい。
【0030】
次に、出力タイミングの制御について説明する。制御部34は、例えば気流発生装置32が駆動するタイミングを制御することによって、臭気ガスの出力タイミングを制御してもよい。
【0031】
次に、臭気ガスの種別の制御について説明する。制御部34は、例えば臭気ガス生成部33において混合される原料の種別を選択することによって、出力される臭気ガスの種別を制御してもよい。制御部34は、例えば異なる臭気物質が格納された格納容器毎に設けられた気流発生装置32のうち、どの気流発生装置32を駆動させるか選択することによって、出力される臭気ガスの種別を制御してもよい。制御部34は、例えば異なる臭気物質が格納された格納容器毎に設けられた上記開閉扉のうち、どの開閉扉を開放させるか選択することによって、出力される臭気ガスの種別を制御してもよい。
【0032】
以上、制御部34の動作の例について説明したが、制御部34が上記各制御を行う際に実行する処理は、上述したものに限定される必要は無い。
【0033】
次に判定装置40について説明する。判定装置40は情報処理装置である。
図4は、判定装置40の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。判定装置40は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。判定装置40は、所定のプログラムを実行することによって、通信部41、臭気情報記憶部42、ユーザ情報記憶部43、ログ情報記憶部44及び制御部45を備える装置として機能する。なお、判定装置40の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。判定装置40によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。判定装置40によって実行されるプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0034】
通信部41は、ネットワークインタフェースを用いて構成される。通信部41は、例えば無線通信又は有線通信を用いてネットワーク50と通信する。
【0035】
臭気情報記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。臭気情報記憶部42は、制御部45が臭気を選択するための基準を示す情報を記憶する。例えば、臭気情報記憶部42は、複数の条件と、条件が満たされる際に選択されるべき臭気情報と、を対応付けて記憶する。臭気情報とは、臭気に関する情報である。臭気情報は、例えば臭気の種別と臭気の量とを示す。条件は、少なくともユーザのバイタル情報に関する条件を含む。例えば、条件は、ユーザの心拍数、脈拍数、R−Rインターバル(RRI)、血圧、体温、呼吸数などに基づいて定められた条件であってもよい。条件が示すバイタル情報の場合に、ユーザに対して提供されることが望ましい臭気の種別と量とが予め定義される。
【0036】
図5は、臭気情報の条件の具体例を示す図である。
図5に示される例では、RRIと脈拍数との組み合わせ毎に異なる臭気情報が対応付けられている。例えば、RRIが大であり、脈拍数が高である場合には、臭気情報Aが取得される。なお、RRIの値は大、中、小の3つのカテゴリに分類されているが、各分類の境界となる値はどのように定義されてもよい。また、分類の数は必ずしも3種類である必要は無い。脈拍数に関しても同様である。すなわち、脈拍数の値は高、中、低の3つのカテゴリに分類されているが、各分類の境界となる値はどのように定義されてもよい。また、分類の数は必ずしも3種類である必要は無い。
【0037】
RRIが大きい場合には、ユーザが緊張状態にあると推定できる。そのため、RRIが大きい場合に対応付けられる臭気情報は、少なくともユーザがリラックスするような臭気の種別が含まれるように構成される。RRIが小さい場合には、ユーザが弛緩状態にあると推定できる。そのため、RRIが小さい場合に対応付けられる臭気情報は、少なくともユーザに対して緊張感を与えるような臭気の種別が含まれるように構成される。
【0038】
脈拍数が高い場合には、ユーザが興奮状態にあると推定できる。そのため、脈拍数が高い場合に対応付けられる臭気情報は、少なくともユーザがリラックスするような臭気の種別が含まれるように構成される。脈拍数が低い場合には、ユーザが眠気の強い状態にあると推定できる。そのため、脈拍数が低い場合に対応付けられる臭気情報は、少なくともユーザに対して眠気を覚まして覚醒させる効果のある臭気の種別が含まれるように構成される。
【0039】
例えば、RRIが大きく脈拍数も高い場合に対応付けられている臭気情報Aは、RRIが大きく脈拍数が中である臭気情報Bに比べて、同じ臭気の種別(リラックスするような臭気)であっても量がより多量と定義されてもよい。
【0040】
図4に戻って判定装置40の説明を続ける。ユーザ情報記憶部43は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。ユーザ情報記憶部43は、例えばユーザ識別情報毎に認証情報を対応付けて記憶してもよい。ユーザ情報記憶部43は、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報が示すユーザによって使用される臭気発生装置30の装置識別情報とを対応付けて記憶してもよい。
【0041】
ログ情報記憶部44は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。ログ情報記憶部44は、ユーザ識別情報毎に、ログ情報を記憶する。ログ情報は、バイタル情報と、そのバイタル情報が取得された日時と、を対応付けた情報である。
【0042】
制御部45は、例えばCPUがプログラムを実行することによって実現される。制御部45は、例えば認証部451、ログ情報管理部452及び臭気制御部453の各機能を備える。
【0043】
認証部451は、ユーザ情報記憶部43に記憶される情報に基づいて、ユーザを認証する。例えば、認証部451は、端末装置20から送信された情報に含まれるユーザ識別情報と認証情報とが、ユーザ情報記憶部43に登録されている組み合わせと一致するか否かに基づいて認証してもよい。
【0044】
ログ情報管理部452は、登録情報が受信されると、登録情報に含まれるバイタル情報を、登録情報に含まれるユーザ識別情報に応じたログ情報に登録する。ログ情報管理部452は、さらに状態判定処理を行ってもよい。以下、状態判定処理について説明する。ログ情報管理部452は、端末装置20から送信された登録情報に含まれるバイタル情報に基づいて、状態判定処理を実行する。状態判定処理は、バイタル情報に基づいてユーザの状態を判定する処理である。例えば、ログ情報管理部452は、ユーザの状態に異常が生じていないか判定する。より具体的には、ログ情報管理部452は、受信された登録情報に含まれるバイタル情報が、予め定められた異常条件を満たしていないか判定する。異常条件とは、ユーザに異常が生じていると推定されるバイタル情報の値を示す条件である。ログ情報管理部452は、ユーザに異常が生じていると判定された場合、予め定められた通知先に対して通知処理を実行する。通知先は、例えばユーザ自身が有する端末装置であってもよいし、ユーザの関係者(上司、親族、監督者など)が有する端末装置であってもよい。通知処理は、ユーザ識別情報を含む。すなわち、通知処理は、ユーザ識別情報が示すユーザにおいて異常が生じていることを示す通知を行う処理である。通知処理において通知がなされる通知先の端末は、通知された内容を出力する。
【0045】
臭気制御部453は、端末装置20から要求情報が受信されると、要求情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて、要求情報の送信元の端末装置20のユーザのログ情報をログ情報記憶部44から取得する。臭気制御部453は、取得されたログ情報のうち、所定条件を満たす近い過去のバイタル情報を取得する。臭気制御部453は、臭気情報記憶部42に記憶される条件とに基づいて、取得されたバイタル情報に応じた臭気情報を取得する。臭気制御部453は、要求情報に含まれる装置識別情報が示す臭気発生装置30に対し、取得された臭気情報で臭気を発生させることを示す指示情報を送信する。
【0046】
図6は、登録処理における香り提供システム1の動作の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。まず、バイタルセンサ10は所定のタイミングでユーザのバイタル情報を取得する(ステップS101)。所定のタイミングは、例えば予め定められた周期である。バイタルセンサ10は、取得されたバイタル情報を端末装置20に送信する(ステップS102)。端末装置20は、バイタルセンサ10からバイタル情報を受信すると、受信されたバイタル情報を含む登録情報を生成する。そして、端末装置20は、生成された登録情報を判定装置40に送信する(ステップS103)。判定装置40は、登録情報を受信すると、登録情報に含まれるバイタル情報に基づいて、状態判定処理を実行する(ステップS104)。判定装置40は、状態判定処理の判定結果において異常条件が満たされた場合(ステップS105−YES)、通知処理を実行する(ステップS106)。通知処理の後、又は異常条件が満たされなかった場合(ステップS105−NO)、判定装置はログ情報を記録する(ステップS107)。
【0047】
図7は、要求処理における香り提供システム1の動作の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。まず、端末装置20は所定のタイミングで装置間距離を判定する(ステップS201)。装置間距離が所定の閾値よりも長い場合(ステップS202−NO)、端末装置20はステップS201の処理に戻る。一方、装置間距離が所定の閾値よりも短い場合(ステップS202−YES)、端末装置20は要求情報を生成する(ステップS203)。端末装置20は、生成された要求情報を判定装置40に送信する(ステップS204)。
【0048】
判定装置40は、要求情報を受信すると、要求情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて認証処理を行う(ステップS205)。もし、認証がなされなかった場合には、この時点で判定装置40の処理は終了する。一方、認証がなされた場合、判定装置40は要求情報に含まれる装置識別情報に基づいて、制御の対象となる臭気発生装置30(対象装置)を判定する(ステップS206)。判定装置40は、要求情報に含まれるバイタル情報に基づいて、対象装置において発生させる臭気に関する臭気情報を判定する(ステップS207)。判定装置40は、判定結果である臭気情報を含む指示情報を生成する(ステップS208)。判定装置40は、生成された指示情報を、対象装置に相当する臭気発生装置30に対して送信する(ステップS209)。
【0049】
臭気発生装置30は、指示情報を受信すると、指示情報に含まれる臭気情報に応じて臭気を発生させる(ステップS210)。
【0050】
このように構成された香り提供システム1では、ユーザのバイタル情報に基づいて臭気情報が選択される。例えば、ユーザのバイタル情報に基づいて、発生させる臭気の種別が判定される。この判定は、ユーザのバイタル情報に応じて判定されたユーザの状態を、よりよい状態に移行させる効能を有すると考えられている種別の臭気を判定するように行われる。そのため、ユーザは、積極的に現在の自身の状態を自ら判定することなく、よりよい状態に移行できるような香りを容易に嗅ぐことが可能となる。例えば、RRIの値が良好と認定できる所定の範囲よりも大きい場合には、RRIの値が小さくなるような効能を有する臭気情報が定義される。例えば、RRIの値が良好と認定できる所定の範囲よりも小さい場合には、RRIの値が大きくなるような効能を有する臭気情報が定義される。このように構成されることによって、ユーザの状態をよりよい状態にし、業務のパフォーマンスを向上させることや、より有効に休憩をとることを可能とする。
【0051】
また、このように構成された香り提供システム1では、ユーザによって携帯される端末装置20と臭気発生装置30との距離(装置間距離)が所定の閾値よりも小さい場合に臭気発生装置30が臭気を発生させる。そのため、ユーザが臭気発生装置30の近くにいない場合に臭気が無駄に発生してしまうこと(無駄な動作)を抑止することが可能となる。
【0052】
(変形例)
図8は、香り提供システム1のシステム構成の第一の変形例(香り提供システム1a)を示す図である。香り提供システム1aは、判定装置40を備えない。香り提供システム1aでは、判定装置40が有していた機能を端末装置20aが備える。すなわち、端末装置20aは、臭気情報記憶部42、ログ情報記憶部44、ログ情報管理部452及び臭気制御部453に相当する機能を備える。
【0053】
図9は、香り提供システム1のシステム構成の第二の変形例(香り提供システム1b)を示す図である。香り提供システム1bは、判定装置40を備えない。香り提供システム1bでは、判定装置40が有していた機能を臭気発生装置30bが備える。すなわち、臭気発生装置30bは、臭気情報記憶部42、ログ情報記憶部44、ログ情報管理部452及び臭気制御部453に相当する機能を備える。なお、判定装置40が有していた機能を、端末装置20aと臭気発生装置30bとで分散して備えてもよい。
【0054】
図10は、香り提供システム1のシステム構成の第三の変形例(香り提供システム1c)を示す図である。香り提供システム1cは、端末装置20及び判定装置40を備えない。香り提供システム1cでは、端末装置20及び判定装置40がそれぞれ有していた機能を、バイタルセンサ10c及び臭気発生装置30cで分散して備える。例えば、距離判定部22に相当する機能をバイタルセンサ10cが備え、臭気情報記憶部42、ログ情報記憶部44、ログ情報管理部452及び臭気制御部453に相当する機能を臭気発生装置30cが備えてもよい。
【0055】
図8〜
図10は、香り提供システム1の変形例の一例にすぎない。香り提供システム1はその他どのように変形して構成されてもよい。例えば、香り提供システム1において、距離判定部22に相当する機能は、バイタルセンサ10に設けられてもよいし、臭気発生装置30に設けられてもよい。
【0056】
他の変形例についてさらに説明する。臭気制御部453は、バイタル情報に加えてさらに他の情報も用いることによって臭気情報を判定してもよい。例えば、端末装置20や臭気発生装置30の周囲の環境を示す情報(以下「環境情報」という。)が用いられてもよい。環境情報の具体例として、音の大きさ、光の強さ(明るさ)、天気、気温、湿度、周囲の臭いなどがある。それぞれの環境におかれたユーザがどのような状態になるかという推定結果に応じ、そのユーザがよりよい状態になる効能を有する臭いを示す臭気情報が環境情報に対応付けて定義されてもよい。例えば、周囲の臭いを示す値が閾値よりも高い場合には、消臭効果を有する臭気が発生するように臭気情報が定義されてもよい。
【0057】
図5に示されるようなバイタル情報と臭気情報との対応付けは、ユーザのシチュエーションに応じて複数定義されてもよい。例えば、ユーザが仕事を行っているシチュエーションにおける対応付けと、ユーザが休憩をとっているシチュエーションにおける対応付けとは、それぞれ異なるように定義されてもよい。ユーザのシチュエーションはどのように判定されてもよい。例えば、ユーザが端末装置20を操作することによってシチュエーションを選択するように構成されてもよい。例えば、ユーザのスケジュールが不図示のサーバーに予め定義されており、端末装置20又は判定装置40がこのサーバーにアクセスすることによってスケジュールを取得することによってシチュエーションが判定されてもよい。この場合、臭気制御部453は、判定されたシチュエーションと、バイタル情報と、に基づいて臭気情報を判定する。
【0058】
臭気制御部453は、装置間距離の大きさに基づいて、臭気発生装置30の気流発生装置32における気流の大きさを決定してもよい。例えば臭気制御部453は、装置間距離が大きいほど、より大きい気流を発生させるように指示情報を生成してもよい。例えば臭気制御部453は、装置間距離が小さいほど、より小さい気流を発生させるように指示情報を生成してもよい。
【0059】
臭気情報として、臭気を発生させないことが定義されてもよい。例えば、
図5においてRRI及び脈拍数がいずれも“中”である場合は、ユーザの状態は十分に好ましい状態であると推定できる。そのため、このようなバイタル情報が得られている場合には、特に臭気を発生させる必要がないと判断できる。したがって、臭気情報Eには、臭気を発生させないことが定義されてもよい。また、このような臭気情報Eには、ユーザの好みに応じた臭気情報が定義されてもよい。
【0060】
図5に示されるようなバイタル情報と臭気情報との対応付けは、ユーザ毎に個別に行われてもよい。このように構成されることによって、ユーザ毎のバイタル情報と状態との違いを吸収し、より各ユーザに適した臭気を発生させることが可能となる。
【0061】
バイタル情報と臭気情報との対応付けは、臭気発生装置30によって実際に臭気を発生させた後のユーザのバイタル情報の変化に応じて更新されてもよい。バイタル情報の変化とは、例えば臭気が発生する前のユーザのバイタル情報と、臭気が発生した後のユーザのバイタル情報との差を示す情報である。例えば、実際に発生した臭気を示す臭気情報と、その臭気の提供を受けたユーザのバイタル情報の変化と、に基づいて機械学習処理を実行することによって、上記対応付けが更新されてもよい。このような機械学習処理の具体例として、SVM(Support Vector Machine)やDL(Deep Learning)がある。例えば、上述した臭気情報の変化とバイタル情報との組み合わせに基づいて機械学習処理を行うことによって、ユーザの現在のバイタル情報とユーザに望まれるバイタル情報とを入力とし臭気情報を出力とする識別器が生成又は更新されてもよい。このような識別器に対して、ユーザの現在のバイタル情報とユーザに望まれるバイタル情報とを与えることによって、臭気情報が取得されてもよい。このように構成されることによって、より精度よくユーザの状況に応じた臭気情報を判定することが可能となる。また、上述した機械学習処理は、ユーザ毎に行われてもよいし、複数のユーザが所属するグループ毎に行われてもよいし、上記のシチュエーション毎に行われてもよい。
【0062】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。