(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用済み核燃料を含む核燃料集合体を収容するとともに、核燃料貯蔵ピット内に貯えられた液体に浸漬された状態で該核燃料貯蔵ピットの底面に対して移動可能に設置されており、かつ複数の外壁面を有する複数の核燃料貯蔵ラックと、
互いに隣り合う位置に配置された前記核燃料貯蔵ラックの前記複数の外壁面のうち、互いに対向する外壁面にそれぞれ設けられた連結部を有するとともに、前記互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラックを近接させることによって、対向する前記連結部同士を連結させる複数の鉄道用連結器と、
を備える核燃料貯蔵ラック群。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態)
図1〜
図4を参照して、本実施形態の核燃料貯蔵ラック群10について説明する。
図1では、説明の便宜上、本実施形態の核燃料貯蔵ラック群10以外の構成である核燃料貯蔵ピット1を図示する。また、
図1では、紙面の都合上、一例として、4つの核燃料貯蔵ラック(具体的には、核燃料貯蔵ラック11〜14)を用いた場合を例に挙げて図示している。
図4では、紙面の都合上、核燃料貯蔵ラック群10の一部の構成要素を省略して図示する。
図1及び
図2において、X方向は核燃料貯蔵ピット1の幅方向を示している。
図1〜
図4において、Y方向はX方向に対して直交する核燃料貯蔵ピット1の長さ方向を示している。また、以下の説明では、X方向及びY方向に対して平行な面方向を「水平面方向」という。
図2〜
図4において、Z方向は、水平面方向に対して直交(X方向及びY方向に対して直交)する鉛直方向(上下方向でもある)を示している。
図1〜
図4に示す構造体において、同一構成部分には同一符号を付す。
【0029】
本実施形態の核燃料貯蔵ラック群10は、核燃料貯蔵ピット1内に蓄えられた液体7(例えば、冷却水)に浸漬されている。
ここで、核燃料貯蔵ピット1の構成について説明する。核燃料貯蔵ピット1は、Y方向において対向配置された壁部2,4と、X方向において対向配置され、かつ壁部2,4と一体に構成された壁部3,5と、壁部2〜5の下端部と一体とされた床部6と、を有する。
【0030】
壁部2は、Y方向に対して直交する平面であり、かつ液体7と接触する壁面2aを有する。壁部3は、X方向に対して直交する平面であり、かつ液体7と接触する壁面3aを有する。
壁部4は、Y方向に対して直交する平面であり、かつ液体7と接触する壁面4aを有する。壁面4aは、Y方向において壁面2aと対向して配置されている。
壁部5は、X方向に対して直交する平面であり、かつ液体7と接触する壁面5aを有する。壁面5aはX方向において壁面3aと対向して配置されている。
床部6は、Z方向に対して直交する平面であり、かつ液体7と接触する床面6aを有する。
【0031】
上記構成とされた核燃料貯蔵ピット1の深さは、核燃料貯蔵ラック群10の高さの値よりも大きくなるように構成されている。そして、核燃料貯蔵ピット1に貯えられた液体7の液面7aは、核燃料貯蔵ラック群10よりも上方に配置されている。
【0032】
次に、本実施形態の核燃料貯蔵ラック群10について説明する。
核燃料貯蔵ラック群10は、核燃料貯蔵ラック11〜14(複数の核燃料貯蔵ラック)と、複数の鉄道用連結器17,18と、複数の連結解除機構20と、複数の核燃料集合体21と、を有する。
【0033】
核燃料貯蔵ラック11〜14は、フリースタンディングラックであり、互いに隣り合うように、格子状に水平面方向(具体的には、X方向及びY方向)に配置されている。
核燃料貯蔵ラック11は、ベースプレート25と、複数の脚部27と、下部支持格子31と、中部支持格子32と、上部支持格子33と、外板35,36と、複数のラックセル39と、外壁面40A〜40Dと、を有する。
【0034】
ベースプレート25は、矩形とされた金属製の板材である。
複数の脚部27は、ベースプレート25の下面に設けられている。複数の脚部27は、ベースプレート25を支持している。複数の脚部27は、床面6a上に載置されている。
【0035】
次いで、
図1、
図2、及び
図5を参照して、下部支持格子31について説明する。
図5では、
図1〜
図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0036】
下部支持格子31は、ベースプレート25上に固定されている。下部支持格子31は、外枠31Aと、内枠31Bと、を有する。
外枠31Aは、内枠31Bを囲む矩形とされた枠体である。外枠31Aは、外壁面40A〜40Dの一部を構成する外面31aを有する。
【0037】
内枠31Bは、外枠31A内に配置された複数の板材31C,31Dで構成されている。複数の板材31Cは、X方向に延在し、かつ互いに間隔を空けた状態でY方向に配列されている。複数の板材31Dは、Y方向に延在するとともに、互いに間隔を空けた状態でX方向に配列されている。複数の板材31Dは、それぞれ複数の板材31Cに対して直交している。
【0038】
下部支持格子31は、外枠31A及び内枠31B、或いは内枠31Bのみで区画され、ラックセル39の下部(具体的には、下端)が挿入される開口部31Eを複数有する。複数の開口部31Eは、水平面方向(具体的には、X方向及びY方向)に形成されている。
上記構成とされた下部支持格子31は、複数のラックセル39の下部を支持している。
【0039】
次いで、
図1、
図2、及び
図6を参照して、中部支持格子32について説明する。
図6において、
図1〜
図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0040】
中部支持格子32は、外板35の上端と外板36の下端との間に配置されている。中部支持格子32は、Z方向において、外板35を挟んだ状態で下部支持格子31と対向配置されている。中部支持格子32は、外枠32Aと、内枠32Bと、を有する。
【0041】
外枠32Aは、内枠32Bを囲む矩形とされた枠体である。外枠32Aは、外壁面40A〜40Dの一部を構成する外面32aを有する。
【0042】
内枠32Bは、外枠32A内に配置された複数の板材32C,32Dで構成されている。複数の板材32Cは、X方向に延在し、かつ互いに間隔を空けた状態でY方向に配列されている。複数の板材32Dは、Y方向に延在するとともに、互いに間隔を空けた状態でX方向に配列されている。複数の板材32Dは、それぞれ複数の板材32Cに対して直交している。
【0043】
中部支持格子32は、外枠32A及び内枠32B、或いは内枠32Bのみで区画され、ラックセル39の中部が挿入される開口部32Eを複数有する。複数の開口部32Eは、水平面方向(具体的には、X方向及びY方向)に形成されている。
上記構成とされた中部支持格子32は、複数のラックセル39の高さ方向における中部を支持している。
【0044】
次いで、
図1、及び
図2を参照して、上部支持格子33について説明する。
上部支持格子33は、外板36の上端に配置されている。上部支持格子33は、外板36を挟んだ状態で、Z方向において中部支持格子32と対向するように配置されている。
上部支持格子33は、外枠33Aと、内枠33Bと、を有する。
【0045】
外枠33Aは、内枠33Bを囲む矩形とされた枠体である。外枠33Aは、外壁面40A〜40Dの一部を構成する外面33aを有する。
【0046】
内枠33Bは、外枠33A内に配置された複数の板材33C,33Dで構成されている。複数の板材33Cは、X方向に延在し、かつ互いに間隔を空けた状態でY方向に配列されている。複数の板材33Dは、Y方向に延在するとともに、互いに間隔を空けた状態でX方向に配列されている。複数の板材33Dは、それぞれ複数の板材33Cに対して直交している。
【0047】
上部支持格子33は、外枠33A及び内枠33B、或いは内枠33Bのみで区画され、ラックセル39が挿入される開口部33Eを複数有する。複数の開口部33Eは、水平面方向(具体的には、X方向及びY方向)に形成されている。
上記構成とされた上部支持格子33は、複数のラックセル39の高さ方向における上部を支持している。
【0048】
上述した下部支持格子31、中部支持格子32、及び上部支持格子33よりなる支持格子部材は、複数のラックセル39の水平面方向への移動や転倒を抑制する機能を有する。
【0049】
外板35は、矩形とされた下部支持格子31の外枠と、矩形とされた中部支持格子32の外枠と、の間から露出される複数のラックセル39の側面を四方から覆うように複数枚設けられている。外板35は、外壁面40A〜40Dの一部を構成する外面35aを有する。
【0050】
外板36は、矩形とされた中部支持格子32の外枠32Aと、矩形とされた上部支持格子33の外枠33Aと、の間から露出される複数のラックセル39の側面を四方から覆うように複数枚設けられている。外板36は、外壁面40A〜40Dの一部を構成する外面36aを有する。
【0051】
複数のラックセル39は、四角の筒形状とされており、上述した支持格子部材により支持されている。これにより、複数のラックセル39は、X方向及びY方向に所定の間隔で配置されている。複数のラックセル39の上部の一部は、上部支持格子33よりも上方に突出している。
【0052】
外壁面40A〜40Dは、外枠31Aの外面31a、外枠32Aの外面32a、外枠33Aの外面33a、及び外板35,36の外面35a,36aを含む。
そして、各外壁面40A〜40Dを構成する外枠31A,32A,33Aの外面31a,32a,33a、及び外板35,36の外面35a,36aは、水平面方向に対して直交する同一平面上に配置されている。
【0053】
外壁面40Aは、X方向に対して直交する面である。外壁面40Aは、壁部3の壁面3aと対向する面である。外壁面40Aは、壁面3aから所定の距離離間した位置に配置されている。
外壁面40Bは、Y方向に対して直交する面である。外壁面40Bは、壁部2の壁面2aと対向する面である。外壁面40Bは、壁面2aから所定の距離離間した位置に配置されている。
【0054】
外壁面40Cは、Y方向に対して直交する面である。外壁面40Cは、外壁面40Bの反対側に配置された面である。外壁面40Cは、核燃料貯蔵ラック12と対向している。
外壁面40Dは、X方向に対して直交する面である。外壁面40Dは、外壁面40Aの反対側に配置された面である。外壁面40Dは、核燃料貯蔵ラック13と対向している。
【0055】
核燃料貯蔵ラック12〜13は、核燃料貯蔵ピット1内における位置が核燃料貯蔵ラック11とは異なること以外は、核燃料貯蔵ラック11と同様に構成されている。
核燃料貯蔵ラック12は、核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Bが核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Cと対向するように配置されている。
【0056】
核燃料貯蔵ラック13は、核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Aが核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Dと対向するように配置されている。
核燃料貯蔵ラック14は、核燃料貯蔵ラック14の外壁面40Bが核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Cと対向するように配置されている。
【0057】
鉄道用連結器17は、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Bとの間、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Dと核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Aとの間、核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック14の外壁面40Bとの間、及び核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Dと核燃料貯蔵ラック14の外壁面40Aとの間にそれぞれ複数配置されている。
【0058】
鉄道用連結器17は、一対の連結部である第1及び第2の上部連結部17A,17Bを有する。
第1及び第2の上部連結部17A,17Bは、X方向またはY方向において、対向するように配置されている。そして、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとが連結されることで、鉄道用連結器17は、隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14を連結させる。
【0059】
ここで、第1及び第2の上部連結部17A、17Bの構造を説明する前に、
図1、
図4、
図7、及び
図8を参照して、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Bとの間に配置された複数の鉄道用連結器17を例に挙げて、鉄道用連結器17を構成する第1及び第2の上部連結部17A、17Bの配設位置について説明する。
なお、
図7及び
図8において、
図1〜
図6に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0060】
第1の上部連結部17Aは、核燃料貯蔵ラック12を構成する上部支持格子33の外面33a(外壁面40B)に複数設けられている。複数の第1の上部連結部17Aは、X方向に対して間隔を空けた状態でX方向に配列されている。
【0061】
上述したように、上部支持格子33は、外枠33Aの内側に配置され、外枠33Aと接続された内枠33Bを有するため、外板35,36と比較して変形しづらい構成となっている。
したがって、複数の第1の上部連結部17Aを上部支持格子33の外面33aに設けることで、複数の第1の上部連結部17Aを外板35,36に設けた場合と比較して、対向配置された第2の上部連結部17Bに対する第1の上部連結部17Aの位置精度を高めることが可能となる。これにより、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとの間の連結精度を高めることができる。
【0062】
さらに、複数の第1の上部連結部17Aは、上部支持格子33の外面33aうち、板材33Dの端部が接続された部分に対応する外面33aに設けるとよい。
このような位置に複数の第1の上部連結部17Aを設けることで、第1の上部連結部17Aを上部支持格子33に固定しやすくなる。また、板材33Dが第1の上部連結部17Aの位置を規制する位置変位抑制部材として機能するので、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとの間の連結精度をさらに高めることができる。
【0063】
次に、第2の上部連結部17Bの配設位置について説明する。
第2の上部連結部17Bは、核燃料貯蔵ラック11を構成する上部支持格子33の外面33a(外壁面40C)に複数設けられている。複数の第2の上部連結部17Bは、X方向に対して間隔を空けた状態でX方向に配列されている。複数の第2の上部連結部17Bは、核燃料貯蔵ラック12に設けられた1つの第1の上部連結部17AとY方向で対向するように配置されている。
【0064】
上述したように、上部支持格子33は、外枠33Aの内側に配置され、外枠33Aと接続された内枠33Bを有するため、外板35,36と比較して変形しづらい構成となっている。
したがって、複数の第2の上部連結部17Bを上部支持格子33の外面33aに設けることで、複数の第2の上部連結部17Bを外板35,36に設けた場合と比較して、対向配置された第1の上部連結部17Aに対する第2の上部連結部17Bの位置の変位を抑制することが可能となる。これにより、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとの間の連結精度をさらに高めることができる。
【0065】
さらに、複数の第2の上部連結部17Bは、上部支持格子33の外面33aうち、板材33Dの端部が接続された部分に対応する外面33aに設けるとよい。
このような位置に複数の第2の上部連結部17Bを設けることで、第2の上部連結部17Bを上部支持格子33に固定しやすくなる。また、板材33Dが第2の上部連結部17Bの位置の変位を規制する位置変位抑制部材として機能するので、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとの間の連結精度をさらに高めることができる。
【0066】
次に、
図9〜
図12を参照して、鉄道用連結器17として、密着連結器45を用いた場合を例に挙げて、第1及び第2の上部連結部17A,17Bの構造について説明する。
図9において、
図1〜
図8に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。また、
図10〜
図12において、
図9に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0067】
鉄道用連結器17(密着連結器45)は、第1の上部連結部17Aの連結面47aと第2の上部連結部17Bの連結面52aとを密着させることで、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとを連結させている。
【0068】
第1の上部連結部17Aは、連結器本体47と、連結器鍵49と、緩衝器(図示せず)と、を有する。
連結器本体47は、第2の上部連結部17Bと組み合って連結する頭部と、該頭部に一体に形成され、該頭部よりも細い角形中空状の胴部と、連結解除ハンドル49cを連結器本体47の外に延出させる開口部47Aと、を有する。
【0069】
連結器本体47は、連結面47aと、案内部47bと、案内挿入部47cと、を有する。連結面47aは、連結部同士(第1の上部連結部17A及び第2の上部連結部17B)を密着させた際に、第2の上部連結部17Bと接触する平坦面である。連結面47aは、第1の上部連結部17Aの先端部に形成されている。
【0070】
案内部47bは、連結面47aから第2の上部連結部17Bに向かって突出した突出部である。連結状態において、案内部47bは、第2の上部連結部17Bの案内挿入部52cに収容される。案内部47bの形状は、例えば、略四角錐状とすることが可能である。
【0071】
案内挿入部47cは、連結面47aから内側に向かって形成された凹部である。連結状態において、案内挿入部47cには、第2の上部連結部17Bの案内部52bが挿入されている。案内挿入部47cの形状は、例えば、案内部47bと同様な形状とすることが可能である。
【0072】
連結器鍵49は、鍵室49aと、鍵49bと、連結解除ハンドル49cと、戻しばね49dと、を有する。鍵49bは、回転可能な状態で鍵室49a内に収容されている。鍵49bは、外観が半円筒状に形成された回転錠(回り子)である。鉄道用連結器17が連結された状態において、鍵49bは、鍵54bと噛み合っている。
【0073】
鍵室49aは、連結器本体47の案内部47bの内側側面を切り欠くように円筒面状に形成された凹部である。
【0074】
連結解除ハンドル49cは、鉄道用連結器17の連結を解放するときに操作する部材である。連結解除ハンドル49cは、基部側が鍵49bと一体に連結されている。
連結解除ハンドル49cは、F
1方向(
図10及び
図12参照)に常時付勢されている。連結解除ハンドル49cがF
2方向(
図9及び
図11参照)に回転操作されることで、鍵49bと鍵54bの噛み合いが解除されて、鉄道用連結器17の連結が解放される。
【0075】
戻しばね49dは、一方の端部が連結解除ハンドル49cに連結されており、他方の端部が連結器本体47に連結されている。
【0076】
第2の上部連結部17Bは、第1の上部連結部17Aの上下を反転させたこと以外は、第1の上部連結部17Aと同様に構成されている。
第2の上部連結部17Bは、第1の上部連結部17Aを構成する連結器本体47、連結器鍵49、及び緩衝器(図示せず)に対応する連結器本体52、連結器鍵54、及び緩衝器(図示せず)を有する。
【0077】
連結器本体52は、連結器本体47を構成する連結面47a、案内部47b、及び案内挿入部47cと同様な構成とされた連結面52a、案内部52b、及び案内挿入部52cを有する。
連結器鍵54は、連結器鍵49を構成する鍵室49a、鍵49b、連結解除ハンドル49c、及び戻しばね49dと同様な構成とされた鍵室54a、鍵54b、連結解除ハンドル54c、及び戻しばね54dを有する。
【0078】
次に、
図10〜
図12を参照して、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとを連結解除状態から連結状態にする方法と、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとが連結された状態から連結を解除させる方法と、について順次説明する。
【0079】
図10に示すように、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとが連結前の状態では、戻しばね49dの付勢力(ばね力)によって、鍵49bの平坦面は、連結器本体52の中心線に対して45°の回転角度で傾斜する。同様に、連結前の状態では、戻しばね54dの付勢力(ばね力)によって、鍵54bの平坦面は、連結器本体47の中心線に対して45°の回転角度で傾斜する。
【0080】
次いで、
図11に示すように、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとを近接させる(言い換えれば、互いに隣り合う2つの核燃料貯蔵ラック11〜14が近接させられる)と、第1の上部連結部17Aの案内部47bが第2の上部連結部17Bの案内挿入部52cに挿入されるとともに、第2の上部連結部17Bの案内部52bが第1の上部連結部17Aの案内挿入部47cに挿入される。
【0081】
そして、第1の上部連結部17Aの案内部47bが第2の上部連結部17Bの鍵54bに接触すると、案内部47bによって鍵54bが強制的に鍵室54a内で回転して、連結器本体52の中心線に対して鍵54bの平坦面が0°の回転角度に位置する。
同様に、第2の上部連結部17Bの案内部52bが第1の上部連結部17Aの鍵49bに接触すると、案内部52bによって鍵49bが強制的に鍵室49a内で回転して、連結器本体47の中心線に対して鍵49bの平坦面が0°の回転角度に位置する。
【0082】
その結果、第1の上部連結部17Aの鍵49bの平坦面と第2の上部連結部17B側の鍵54bの平坦面とが徐々に接触する。そして、戻しばね49d,54dの付勢力に抗して鍵49b,54bと一体となって連結解除ハンドル49c,54cがF
2方向に回転し、戻しばね49d,54dが伸長する。
【0083】
図12に示すように、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bがさらに接近すると、第1の上部連結部17Aの連結面47aと第2の上部連結部17Bの連結面52aとが接触する。
これと同時に、第1の上部連結部17Aの鍵49bの平坦面と第2の上部連結部17Bの鍵54bの平坦面とが完全に接合すると、戻しばね49d,54dの付勢力によって鍵49b,54bと一体となって連結解除ハンドル49c,54cがF
1方向に回転するため、戻しばね49d,54dが縮小する。
【0084】
これにより、第1の上部連結部17Aの鍵室49aに第2の上部連結部17Bの鍵54bが嵌合するとともに、第2の上部連結部17Bの鍵室54aに第1の上部連結部17Aの鍵49bが嵌合する。この結果、第1の上部連結部17Aの連結面47aと第2の上部連結部17Bの連結面52aとが密着して、第1及び第2の上部連結部17A,17Bが連結状態となる。
【0085】
次に、
図12に示す連結状態から
図10に示す解放状態に切り替える方法について説明する。
第1及び第2の上部連結部17A,17Bのいずれか一方の連結解除ハンドル49c,54cを戻しばね49d,54dの付勢力に抗して、F
2方向に回転させる。
これにより、第1の上部連結部17Aの鍵49bの平坦面と第2の上部連結部17Bの鍵54bの平坦面とが完全に接合した状態で、連結器本体52の中心線に対して鍵49bの平坦面が0°の回転角度に位置するまで鍵49bが回転する。
【0086】
そして、第1の上部連結部17Aの鍵49bが第2の上部連結部17Bの鍵室54aから抜け出すとともに、第2の上部連結部17Bの鍵54bが第1の上部連結部17Aの鍵室49aから抜け出す。
これにより、鍵49bと鍵54bとの嵌合状態が解除されて、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14(2つの核燃料貯蔵ラック)同士が分離される。
【0087】
次に、
図1及び
図4を参照して、複数の鉄道用連結器18について説明する。
鉄道用連結器18は、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Bとの間、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Dと核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Aとの間、核燃料貯蔵ラック13の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック14の外壁面40Bとの間、及び核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Dと核燃料貯蔵ラック14の外壁面40Aとの間にそれぞれ複数配置されている。
【0088】
鉄道用連結器18は、一対の連結部である第1及び第2の下部連結部18A、18Bを有する。第1の下部連結部18Aは、先に説明した第1の上部連結部17Aと同様な構成とされている。第2の下部連結部18Bは、先に説明した第2の上部連結部17Bと同様な構成とされている。
【0089】
第1及び第2の下部連結部18A、18Bは、X方向またはY方向において、対向するように配置されている。そして、第1の上部連結部17Aと第2の上部連結部17Bとが連結されるとともに、第1の下部連結部18Aと第2の下部連結部18Bとが連結されることで、鉄道用連結器18は、隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14を連結させる。
【0090】
ここで、
図1、
図4、及び
図8を参照して、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40Cと核燃料貯蔵ラック12の外壁面40Bとの間に配置された複数の鉄道用連結器18を例に挙げて、鉄道用連結器18を構成する第1及び第2の下部連結部18A、18Bの配設位置について説明する。
【0091】
第1の下部連結部18Aは、核燃料貯蔵ラック12を構成する下部支持格子31の外面31a(外壁面40B)に複数設けられている。複数の第1の下部連結部18Aは、X方向に対して間隔を空けた状態でX方向に配列されている。
第2の下部連結部18Bは、核燃料貯蔵ラック12を構成する下部支持格子31の外面31a(外壁面40C)に複数設けられている。複数の第2の下部連結部18Bは、X方向に対して間隔を空けた状態でX方向に配列されている。複数の第2の下部連結部18Bは、それぞれ1つの第1の下部連結部18Aと対向配置されている。
【0092】
先に説明したように、下部支持格子31は、外枠31Aの内側に配置され、外枠31Aと接続された内枠31Bを有するため、外板35,36と比較して変形しづらい構成となっている。
したがって、複数の第1及び第2の下部連結部18A,18Bを下部支持格子31の外面31aに設けることで、複数の第1及び第2の下部連結部18A,18Bを外板35,36に設けた場合と比較して、対向配置された第1及び第2の下部連結部18A,18B間の位置精度を高めることが可能となる。これにより、第1の下部連結部18Aと第2の下部連結部18Bとの間の連結精度を高めることができる。
【0093】
さらに、複数の第1及び第2の下部連結部18A,18Bは、下部支持格子31の外面31aうち、板材31Dの端部が接続された部分に対応する外面31aに設けるとよい。
このような位置に複数の第1及び第2の下部連結部18A,18Bを設けることで、第1及び第2の下部連結部18A,18Bを下部支持格子31に容易に固定することができる。
また、板材31Dが第1及び第2の下部連結部18A,18Bの位置を規制する位置変位抑制部材として機能するので、第1の下部連結部18Aと第2の下部連結部18Bとの間の連結精度をさらに高めることができる。
【0094】
第1の下部連結部18Aは、Z方向において第1の上部連結部17Aと対向配置されている。また、第2の下部連結部18Bは、Z方向において第2の上部連結部17Bと対向配置されている。
【0095】
互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14を近接させることで、核燃料貯蔵ラック11〜14間の連結を行う鉄道用連結器17,18を用いることにより、連結器の連結時にボルトの締結を行う必要がなくなるため、第1及び第2の上部連結部17A,17Bと第1及び第2の下部連結部18A,18BとをZ方向において対向配置させることが可能となる。
【0096】
そして、第1及び第2の上部連結部17A,17Bと第1及び第2の下部連結部18A,18BとをZ方向において対向配置させることで、Z方向に対して直交する方向(X方向またはY方向)に対して、従来よりも多くの数の連結器を配置させることが可能となる。これにより、核燃料貯蔵ラック群10が外力を受けた際、1つの鉄道用連結器17,18に印加される荷重を低減することができる。
【0097】
また、鉄道用連結器17,18として密着連結器を用いることで、鉄道用連結器17,18の連結方向とは反対の方向である引張方向、引張方向及びZ方向に対して直交する左右方向、及びZ方向に対する鉄道用連結器17,18の位置の規制を行うことができる。
【0098】
なお、鉄道用連結器17,18として、密着連結器に替えて密着自由連結器を用いてもよい。この場合、密着連結器を用いたと同様に、鉄道用連結器17,18の引張方向、引張方向及びZ方向に対して直交する左右方向、及びZ方向に対する鉄道用連結器17,18の位置の規制を行うことができる。
【0099】
上述した第1及び第2の上部連結部17A,17B、並びに第1及び第2の下部連結部18A,18Bは、核燃料貯蔵ピット1の壁部2〜5の壁面2a〜5aと対向する核燃料貯蔵ラック11〜14の外壁面40A〜40D(具体的には、核燃料貯蔵ラック11の外壁面40A,40B、核燃料貯蔵ラック12の外壁面40A,40C、核燃料貯蔵ラック13の外壁面40B,40D、及び核燃料貯蔵ラック14の外壁面40C,40D)には設けられていない。
【0100】
このように、核燃料貯蔵ラック11〜14の外壁面40A〜40Dのうち、核燃料貯蔵ピット1の壁面2a〜4aに対向する外壁面に連結部(第1及び第2の上部連結部17A,17B、並びに第1及び第2の下部連結部18a,18b)を配置させないことで、核燃料貯蔵ラック群10が地震等の外力を受けて、核燃料貯蔵ラック群10と核燃料貯蔵ピット1の壁面2a〜4aとが接触した際、外壁面40A〜40D全体と壁面2a〜4aとを接触させることが可能となる。
これにより、壁面2a〜4a、及び壁面2a〜4aと接触する外壁面40A〜40Dに局所定な応力集中が発生することを抑制可能になるため、核燃料貯蔵ピット1及び核燃料貯蔵ラック群10の破損を抑制することができる。
【0101】
次に、
図1及び
図7を参照して、連結解除機構20について説明する。連結解除機構20は、互いに隣り合う核燃料貯蔵ラック11〜14間に設けられている。
連結解除機構20は、固定部61と、引き上げ部62と、第1の解除部材64と、第2の解除部材65と、を有する。
【0102】
固定部61は、第1の解除部材64の一端、及び第2の解除部材65の一端を固定している。第2の解除部材65の一端は、第1の解除部材64の一端よりも下方に配置されている。固定部61は、第1の解除部材64の一端の位置、及び第2の解除部材65の一端の位置を規制するための部材である。固定部61は、例えば、天井から吊り下げられた状態で固定されていてもよいし、核燃料貯蔵ピット1の床面6a(
図2参照)に固定してもよい。
【0103】
引き上げ部62は、第1の解除部材64の他端、及び第2の解除部材65の他端と接続されている。引き上げ部62は、第2の上部連結部17Bよりも高い位置に配置されている。引き上げ部62は、
図7に示す状態(複数の鉄道用連結器17,18が連結された状態)から第1及び第2の解除部材64,65の他端側を引き上げる。
引き上げ部62は、例えば、天井から吊り下げられた状態で固定されていてもよい。また、引き上げ部62は、
図7に示す状態から第1及び第2の解除部材64,65の他端側(引き上げ部62側)を引き上げることの可能な構成とされている。
【0104】
第1の解除部材64は、同一方向に配置された複数の第2の上部連結部17Bの連結解除ハンドル54cの下側に形成された隙間を通過している。
第2の解除部材65は、同一方向に配置された複数の第2の下部連結部18Bの連結解除ハンドル54cの下側に形成された隙間を通過している。
第1及び第2の解除部材64,65としては、例えば、金属製のワイヤ等を用いることが可能である。
【0105】
上述した引き上げ部62は、
図7に示す状態(第1及び第2の解除部材64,65が連結解除ハンドル54cを押し上げていない状態)から第1及び第2の解除部材64,65の他端側を引き上げることで、第1及び第2の解除部材64,65とともに複数の連結解除ハンドル54cを一括して押し上げて、複数の鉄道用連結器17,18の連結を解除させる。
【0106】
このような構成とされた連結解除機構20を有することで、複数の鉄道用連結器17,18の連結解除ハンドル54cを一括して引き上げることが可能となるので、短時間で、かつ容易に複数の鉄道用連結器17,18の連結を解除させることができる。
【0107】
なお、
図7に示す連結解除機構20は、一例であって、
図7に示す構成に限定されない。本実施形態では、一例として、第1及び第2の解除部材64,65が金属製のワイヤの場合を例に挙げて説明したが、第1及び第2の解除部材64,65として金属製の棒を用いて、本実施形態と同様にてこの原理を用いて、複数の鉄道用連結器17,18の連結を解除させてもよい。
【0108】
次に、
図1及び
図13を参照して、核燃料集合体21について説明する。
図13において、
図1に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0109】
核燃料集合体21は、PWR型の核燃料集合体である。核燃料集合体21は、核燃料貯蔵ラック11〜14を構成する複数のラックセル39内に収容された状態で、液体7(例えば、冷却水)に浸漬されている。
核燃料集合体21は、下部ノズル72と、上部ノズル73と、複数の支持格子74と、複数の核燃料棒78と、を有した構成とされており、上部分21A、下部分21B、及び核燃料配置部分21Cを備える。
下部ノズル72は、上部ノズル73の下方に配置されている。下部ノズル72と上部ノズル73との間には、Z方向に配列された複数の支持格子74が設けられている。
【0110】
複数の核燃料棒78は、下部ノズル72と上部ノズル73との間に配置されており、複数の支持格子74により支持されている。
核燃料棒78は、上部分78Aと、下部分78Bと、核燃料収容部78Cと、を有する。上部分78Aは、使用済み核燃料81が収容されていない部分である。上部分78Aは、核燃料集合体21の上部分21Aに配置されている。
下部分78Bは、使用済み核燃料81が収容されていない部分である。下部分78Bは、核燃料集合体21の下部分21Bに配置されている。
核燃料収容部78Cは、筒状とされており、内部にペレット状の使用済み核燃料81を収容可能な構成とされている。核燃料収容部78Cは、核燃料集合体21の核燃料配置部分21Cに配置されている。
【0111】
先に説明した
図4では、上部支持格子33の外面33aに第1及び第2の上部連結部17A,17Bを設け、下部支持格子31の外面31aに第1及び第2の下部連結部18A,18Bを設けた場合について説明したが、核燃料配置部分21Cよりも上方に第1及び第2の上部連結部17A,17Bを配置させるとともに、核燃料配置部分21Cよりも下方に第1及び第2の下部連結部18A,18Bを配置させてもよい。
【0112】
このように、使用済み核燃料81が配置された核燃料集合体21の核燃料配置部分21Cよりも上方に第1及び第2の上部連結部17A,17Bを配置させるとともに、核燃料配置部分21Cよりも下方に第1及び第2の下部連結部18A,18Bを配置させることで、それらの間に連結部を配置する場合と比較して、核燃料貯蔵ラック群10の姿勢を安定させることができる。
【0113】
また、核燃料配置部分21Cよりも上方に第1及び第2の上部連結部17A,17Bを設けるとともに、核燃料配置部分21Cよりも下方に第1及び第2の下部連結部18A,18Bを設けることで、核燃料貯蔵ラック11〜14間に存在する液体7による減速効果が低下することを抑制可能となる。これにより、未臨界性に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0114】
本実施形態の核燃料貯蔵ラック群10によれば、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14の外壁面40A〜40Dのうち、互いに対向する外壁面40A〜40Dにそれぞれ設けられた連結部(第1及び第2の上部連結部17A,17Bまたは第1及び第2の下部連結部18A,18B)と、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14を互いに近接させることによって対向する連結部同士を連結させる複数の鉄道用連結器17,18と、を有することで、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14間の上部からボルトの締結作業を行うことなく、対向する連結部同士を連結させることが可能となる。これにより、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14同士を容易に連結させることができる。
【0115】
また、互いに隣り合う位置に配置された核燃料貯蔵ラック11〜14間の上部からボルトの締結作業を行う必要がなくなることで、Z方向において対向するように連結部を配列させることが可能となる。これにより、Z方向に対して交差する方向に対して、従来よりも多くの数の鉄道用連結器17,18を配置させることが可能となる。よって、1つの鉄道用連結器17,18に印加される荷重を低減することができる。
【0116】
なお、本実施形態では、核燃料貯蔵ラック11〜14が複数の脚部27を有する場合を例に挙げて説明したが、複数の脚部27に替えて、平板が床面6aと接触するような台座を用いてもよい。
【0117】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0118】
例えば、本実施形態では、一例として、Z方向(鉛直方向)に対して直交する方向(X方向またはY方向)に、第1の上部連結部17A、第2の上部連結部17B、第1の下部連結部18A、及び第2の下部連結部18Bを配列させた場合を例に挙げて説明したが、第1の上部連結部17A、第2の上部連結部17B、第1の下部連結部18A、及び第2の下部連結部18Bは、Z方向に対して交差する方向に配列させてもよい。この場合、本実施形態と同様な効果を得ることができる。